JP4317371B2 - エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法 - Google Patents

エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧板積層用樹脂フィルムの製造方法およびその樹脂フィルムを積層した化粧板に関する。より詳しくは、建材用途などでエンボス加工により意匠性を有する樹脂被覆金属板を製造するに好適な、エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面上に凹凸を与え、表面での艶消しや意匠を付与した樹脂フィルムは、エンボス調フィルムとして広く建材内・外装、家具、家電筐体被覆用フィルムとして使用されている。従来、当該分野ではポリ塩化ビニル(PVC)が用いられてきたが、地球環境や廃棄物汚染など観点から非PVC化が進行し、同樹脂の代替材料の普及が急がれている。
【0003】
非塩ビ樹脂材料としてポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンが挙げられる。PPフィルムはPVCフィルムに近い感触や、エンボス加工が可能であり、特開平7−290642号公報等に開示されている。しかし、PPフィルムは表面硬度がPVCに比較し不十分であるため傷つき性、また準不燃認定を受けられない等の課題が有る。
【0004】
ポリエステル樹脂も非塩ビ樹脂として有力な材料である。
【0005】
一般的にポリエステルフィルムは二軸延伸して使用される場合が多い。しかし、2軸延伸したフィルムでは、表面にエンボス加工を施す柔軟性が無かったり、高温で加熱して柔軟性を付与すると収縮したりして、エンボス加工が困難である。特開平9−24588号公報では上層に低融点(低Tm)、下層に高Tmのポリエステルを積層することにより、延伸フィルムでもエンボスを可能にしている。適切な加熱処理により、上層のポリエステルを軟化し、下層のポリエステルにより形状を保持し、収縮を防止するものである。
【0006】
また、ポリエステル成分を規定することにより、無延伸、延伸に関わらず、エンボス加工できることが開示されている。具体的には、特開2000−301662号公報、特開2001−341261号公報で、ポリエステルのグリコール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)をポリエチレンテレフタレート(PET)に共重合したフィルム、特開2001−164001号公報、特開2001−200073号公報で、PETとポリプロピレンテレフタレート(PPT)等をアロイ化したフィルム、等を用いることでエンボス加工が達成可能との技術が開示されている。
【0007】
さらに特開2001−310955号公報には、ポリエーテルなどの可塑剤を添加してポリエステルフィルム表層を軟化してエンボス加工する技術や、特開2001−287326号、特開2002−172738号、特開2002−225186号公報には、比較的柔軟なポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル成分を表層に積層してエンボス加工性する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−225186号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの技術ではポリエステル系樹脂フィルムのエンボス加工溝をいかにして転写するかに関しては開示されているが、金属材料にフィルムをラミネートした後のエンボス形状保持する技術に関しては開示されていない。金属にエンボスフィルムをラミネートする場合、金属板とフィルム間の十分な密着性確保のため、一般的に金属材料を被覆フィルムの融点温度Tm±50℃および/またはガラス転移温度Tg+(100℃〜200℃)近傍に加熱し、この加熱板上に被覆する方法が採られる。この際に多くの場合は、加熱によりエンボス溝の凹凸形状が変化(戻り)し、エンボス形状を保持できず、付与したエンボス意匠性を損ないやすい。従って、これらの開示技術によりエンボス加工したフィルムであっても、同加工条件を適正化しないと、加熱金属にラミネートする際に歪みが緩和して表面の凹凸形状が変化し、十分な意匠性を発揮できない場合が多かった。
【0010】
本発明は、上記の従来技術に鑑みて、凹凸形状を保持して十分な意匠性を発現できるような、エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、フィルム表面に転写したエンボス溝の変化が、加熱によりエンボス溝を凍結していた結晶もしくは非晶部が軟化し、歪みが緩和することにより生じること、冷却速度を緩和速度よりも大きくして、エンボス溝が緩和する前に歪みを凍結することを見出し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法であって、エンボス溝を有するポリエステル樹脂系フィルムを金属板にラミネートする際(後述のインラインエンボス法、アフターエンボス法にて加工したフィルムをラミネートする場合を意味する)にフィルムがラミネート圧下ロールから離れた時から、および/または、ポリエステル樹脂系フィルムを金属板にラミネートすると同時にあるいはその後にエンボス加工する際(後述のラミ同時エンボス法、ラミ後エンボス法での加工法を意味する)にエンボスロールがフィルムから離れた時から、フィルム表面温度が構成樹脂成分の凍結温度以下に降下するまでの冷却時間を、動的粘弾性測定法により測定された樹脂のtanδとエンボス加工で樹脂を押している時間Δtとから下記式で算出される歪み緩和時間τ以内になるように冷却することを特徴とする、エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法である
τ=(1/ω)・tanδ
ここで、ω=2π/Δtであり、tanδ=E’’/E’ (E’とE’’は、それぞれ、ラミネート直前の加熱板の温度における樹脂の貯蔵弾性率と損失弾性率である。)である。
【0013】
また、エンボス加工という加熱加工後の効果的な冷却方法としてミスト冷却方を用いることを特徴とする、エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のエンボス加工ポリエステル系樹脂フィルム被覆金属板は、被覆する樹脂フィルムと金属板との密着性を確保するためには、結晶性ポリエステルの場合、樹脂の融点(Tm)付近(例えば、Tm±50℃以内)の温度域、典型的にはTm以上の温度で、また非晶性ポリエステルの場合、樹脂のガラス転移温度(Tg)+100℃〜200℃の温度でラミネートすべきであるが、そのような高温熱処理をするとエンボス加工溝が変形し易いために、エンボス溝付き化粧板の品質を低下させるという問題を解決したものである。本発明ではその加熱後の冷却速度を制御してエンボス溝の変形を防止する。
【0015】
本発明においてエンボス加工方法は公知の加工方法を任意に適応可能である。以下に、主な加工方法を記す。中でもインライン、ラミネート同時エンボス法が、高温での加工が可能であるので樹脂の流動域での加工が可能で残留歪みエネルギーを小さく制御しやすいので、好ましい。
【0016】
インラインエンボス法は、製膜装置のTダイス直下で可塑化された樹脂(Tm以上の温度および/または(Tg+100℃〜200℃)の温度)をキャスティング(製膜展延)する際、エンボス加工を施したロール(一般に金属;室温〜50℃程度)とバックアップロール(一般に耐熱ゴム;室温〜50℃程度)を用い、製膜と同時にフィルム表面にエンボス模様を転写する方法である。従って、特に、結晶性ポリエステルの場合、樹脂のTm近傍温度(樹脂の流動域)でのエンボス加工が可能である。
【0017】
アフターエンボス法は、一度製膜したフィルムを、オーブン等で再加熱し軟化させ(フィルムが軟化し伸び始める直前の温度;PBTフィルムでは実績180℃程度が上限)、エンボス加工を施したロール(一般に金属;室温〜50℃程度)とバックアップロール(一般に耐熱ゴム;室温〜50℃程度)を用いフィルム表面にエンボス模様を転写する方法である。従って、特に結晶性ポリエステルの場合、樹脂のTm近傍温度にすることはできず、樹脂の弾性域から流動域直前でのエンボス加工となり、加工温度域に制限がある。
【0018】
ラミネート同時エンボス法は、一度製膜したフィルムを鋼板にラミネートする際、圧下ロールにエンボス加工を施したロール(一般に金属;たとえばTm近傍の温度設定可能)とバックアップロール(一般に耐熱ゴム;室温〜50℃程度)を用い、鋼板(たとえばTm近傍の温度に加温)へのラミネートと同時にフィルム表面にエンボス模様を転写する方法である。例えば、PBTフィルムを鋼板温度210℃、エンボスロール210℃で実施できる。
【0019】
ラミネート後エンボス法は、フィルムを鋼板にラミネートした後、オーブン等でラミネート鋼板を再加熱し(たとえばTm近傍の温度に加温)、樹脂部分を軟化させエンボスロール(一般に金属;室温〜50℃程度)とバックアップロール(一般に耐熱ゴム;室温〜50℃程度)を用いフィルム表面にエンボス模様を転写する方法である。例えば、PBTフィルムを鋼板温度210℃でラミネートしたのち、オーブンで200℃まで再加熱し、エンボスロール(室温〜50℃程度)にて実施することができる。
【0020】
本発明において、フィルム構成樹脂の歪み緩和時間τは次のように定義されるものである。
【0021】
測定装置は公知の動的粘弾性測定装置を使用して測定することができる。具体的には、固体樹脂、液体振動に正弦振動を与えて力学応答を測定するバイブロン型、レオメーター型測定装置などがあげられる。加工時の樹脂温度が非常に高く、フィルムとしての自己支持性が無い場合は、フィルムを液化してレオメーター型測定装置で、十分自己支持性がある場合は、フィルム形状のまま直接バイブロン型測定装置で測定するのが好ましい。なお、ポリエステルではエンボス加工温度を融点(Tm)および/またはガラス転移温度(Tg)+100℃〜200℃近傍に設定することが多く、フィルム状では自己支持性を保持することが困難で、フィルム形状のまま直接バイブロン型測定装置で測定した場合、正確な値が得られない。従ってレオメーター型測定装置を用いて測定することがより好ましい。
【0022】
歪み緩和時間の測定条件としては、周波数:1 rad/秒とし、温度は下記の温度とする。
【0023】
即ち、インライン法、アフターエンボス法(エンボス溝を転写したフィルムを鋼板にラミネート)の場合は、ラミネート直前の加熱板温度で測定する。例えば、塩化ビニルでは230℃、ポリエチレンテレフタレートでは200〜240℃が一般的である。接着剤を用いる場合にはその種類に依存する。但し、240℃を越えると、ポリエステル系樹脂フィルムでは添加している着色顔料の変色が生じ、意匠性に悪影響を及ぼす場合があるので、一般的には好ましくない。
【0024】
ラミ同時エンボス法、ラミ後エンボス法(ラミネート時もしくは後にエンボス溝転写)の場合は、エンボスロールと接するときの板温度で測定する。例えば、PBTでは200〜240℃が一般的である。
【0025】
上記の条件でフィルム構成樹脂の貯蔵弾性率E′、損失弾性率E″を測定し、それよりtanδ(=E″/E′)を計算し、以下の式に従って歪み緩和時間τを求める。
【0026】
τ=(1/ω)×tanδ
但し、ω=2π/Δtで、Δtはエンボス加工で押している時間(秒)であり、実測する。全ての加工法に於いて、「エンボス加工で押している時間Δt」はエンボスロールとバックアップロールで挟み込まれている時間と定義し、実測する。Δtはエンボスロール径、ニップ圧およびラインスピードによって変更可能である。
【0027】
本発明においてフィルム構成樹脂の凍結温度は、結晶性樹脂の場合には冷結晶化温度(Tc)である。Tcは、融点(Tm)以上に樹脂を加温融解し、示差走査熱量測定装置(DSC)等で一定速度で高温から低温に冷却した際に(例えば、サンプル量10mg、降温速度10℃/min)、樹脂が再結晶する温度として測定できる。DSC測定では同温度が幅を持った吸熱ピークとして観測され、ここでは、そのピークトップの温度と定義する。
【0028】
非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度(Tg)である。一般的に使用されている、ポリマー主鎖の運動性が凍結される温度で、溶融状態から固体状態に変化する温度である。
【0029】
本発明では、エンボス加工フィルムではラミネート後の、ラミネート同時又は後エンボス加工ではエンボス後の、フィルムの上記凍結温度までの冷却時間を、上記緩和時間τ(秒)以下に制御する。好ましくは1秒を上限とする、冷却時間は、具体的には、インラインエンボス法、アフターエンボス法では、エンボス加工フィルムがラミネート圧下ロールから離れた直後から、前記凍結温度に達するまでの冷却時間、ラミ同時エンボス法、ラミ後エンボス法では、エンボスロールによりフィルム表面にエンボス溝を転写した直後から、前記凍結温度に達するまでの冷却時間である。上記緩和時間τ(秒)の4分の3以下が好ましく、2分の1以下がさらに好ましい。
【0030】
この冷却時間を上記緩和時間τ(秒)以下に制御することで、加熱後のエンボス形状の保持を可能にする。この冷却条件を満たすことで、エンボス加工の条件やフィルムの樹脂構成に依存することなく、エンボス形状を保持できる。
【0031】
上記の冷却条件を達成するためには格別の急冷手段を用いるが、具体的には、ミスト冷却法が効果的である。ミスト冷却法とは冷却水を霧状で吹き付けることで、蒸発潜熱を利用して急冷する方法であり、本発明の急冷条件を満たす具体的冷却方法として有効である。ミスト冷却法を単独で又は水冷法と併用することで、殆どの樹脂フィルムの上記冷却速度を好ましく0.3秒未満、さらには0.2秒以下に制御できる。ただし、表裏面を急速に冷却できるので有ればその他の方法でも構わない。一般的には、温度管理された冷却水にて表裏面冷却する方法も採用できる。
【0032】
本発明で使用するポリエステル系樹脂フィルムはポリエステル樹脂を主成分とするフィルムであるが、ポリエステル樹脂としては、公知のポリエステル樹脂フィルムを用いることができる。好ましいフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT),変性ポリエチレンテレフタレート(例えば、PETの酸成分であるテレフタル酸を一部イソフタル酸に置き換えた共重合変性PET;PET−I),変性ポリブチレンテレフタレート(例えば、PBTの酸成分であるテレフタル酸を一部イソフタル酸に置き換えた共重合変性PBT;PBT−I),ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分であるエチレングリコールを一部シクロヘキサンジメタノールに置き換えた共重合変性ポリエチレンテレフタレート(たとえばPET−G),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリプロピレンテレフタレート(PPT),ポリアリーレート(全芳香族ポリエステル;PAr)。より好ましいフィルムはPET,PBT,PET−I,PBT−I,PET−G,PENであり、寸法安定性、経済性から特にPBTが好ましい。
【0033】
樹脂としてはポリエステル以外の樹脂成分がポリエステルに添加されていてもよい。例えば、ポリエステルと極性ユニットを含有するビニル重合体の混合樹脂、又はポリエステルと極性ユニットを含有するビニル重合体とゴム状弾性体の三種混合樹脂でもよい。また2種混合樹脂では重合体混合樹脂がマトリックス中に粒径1.5μm以下で分散した構造を有する樹脂でよく、または三種混合樹脂ではビニル重合体がゴム状弾性体を包み込んだカプセル構造を有し、さらにその粒子が粒径1.5μm以下で分散した構造を有する樹脂であってもよい。これらの樹脂組成物は金属板被覆エンボス加工樹脂フィルムの製造用として優れた機械的性質を有している。
【0034】
上記樹脂は、必要に応じて着色顔料、体質顔料、防錆顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加物を配合してもかまわない。
【0035】
本発明で使用するポリエステル系樹脂フィルムのポリエステル系樹脂は延伸、無延伸のどちらでも良いが、エンボスの転写性からは無延伸のものが好ましい。
【0036】
エンボス形状は皮シボ、梨地等任意である。但し、平均エンボス溝深さ/フィルム厚み=0.1〜0.4の凹凸が好ましい。この比が0.4を越えると、エンボス溝に残留する歪みエネルギーを低く押さえることができなくなり、熱によるエンボス形状の保持が困難となる。また、フィルム裏面にエンボス模様の凹凸が影響する場合があり、ラミネート時の密着性に悪影響を与える場合がある。フィルム厚みは、一般的に50〜300μmであり、好ましくは70〜150μmであるが、限定されない。ラミ同時エンボス法、ラミ後エンボス法を用いる場合には、薄膜化可能であり経済的にも好ましい。
【0037】
【実施例】
実施例及び比較例では以下の測定方法を採用した。
【0038】
(動的粘弾性測定方法)
・測定機器:レオメーター(レオメトリックスRDA−700)
・試験片:プレスシートより切り出し
・プレート径:r=12.5mm
・ギャップ:0.6mm
・周波数:1 rad/sec
・測定:高温(250℃)から低温に温度を変更してそれぞれの温度で測定し温度依存性を調べた
(エンボス保持率)
エンボス性の評価は、エンボス加工されたフィルムの平均エンボス溝平均深さ(d1)を測定し、同測定値に対して、鋼板ラミネート後のフィルムのエンボス溝平均深さ(d2)を測定し、その平均深さの比を求めて下記のように3段階で評価した。
【0039】
エンボス保持率=(d2/d1)×100 (%)
○:保持率80〜100%、△:50〜80%、×:50%以下
(温度変化の測定)
鋼板あるいはフィルム表面温度の変化は、鋼板あるいはフィルムに熱対を貼り付け、温度変化を実測する。
【0040】
(エンボス加工で押している時間Δtの測定)
圧接時間を、エンボスロール径、ニップ圧と膜厚の関係、およびラインスピードから算出する。
【0041】
(冷結晶化温度の測定)
装置:示差走査熱量測定装置DSC(リガク社製、DSC8230)装置
サンプル量:約10mg(比較標準サンプル:Al
温度条件:30℃から270℃に昇温(昇温速度10℃/min )後、270℃から50℃に降温(降温速度10℃/min )
測定雰囲気:大気中
(実施例1〜8、比較例1〜3)
PBT(固有粘度1.2、Tm:223℃)をアイボリー色に調色し、加熱溶融し(Tダイス温度250℃)、革シボエンボス加工を施したキャスティングロールとバックアップロール間に、樹脂が当接するように押し出し、エンボスロール径、ニップ圧およびラインスピードを設定し、エンボス加工で押している時間(Δt)0.16〜0.08秒となるように調節し、120μm厚さの革シボエンボスフィルム(平均エンボス溝深さは25μm)を得た。
【0042】
板厚0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板表面にクロメート処理し、2液型ポリエステル樹脂接着剤を乾燥膜厚で4μmになるように塗布した。塗布後、オーブンで最高到達板温が230℃となるように加熱乾燥し、直ちに前記フィルムのエンボス加工面の反対面が接着剤層に接するようにニップで圧着積層した。積層直後に鋼板表裏面を、当該樹脂のTc(冷結晶化温度:193℃)まで冷却される時間を、表裏面ミスト冷却法および/又は水冷にて、0.2〜1.2秒の範囲の条件で冷却し、鋼板温度が常温にまで低下した時点で、エンボス溝の形状保持率を評価した。なお、当該樹脂の230℃でのtanδの値は3.0×101 であった。結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
Figure 0004317371
【0044】
(実施例9,10、比較例4)
PBT(固有粘度1.2、Tm:223℃)をアイボリー色に調色し、加熱溶融し(Tダイス温度250℃)、押し出し成形にて125μm厚さの平滑表面フィルムを得た。得られた当該フィルムを、オーブンで再加熱し、革シボエンボス加工を施したキャスティングロールとバックアップロール間に、樹脂が当接するように押し出し、エンボスロール径、ニップ圧およびラインスピードを設定し、エンボス加工で押している時間(Δt)0.20秒となるように調節し、125μm厚さの革シボエンボスフィルム(平均エンボス溝深さは25μm)を得た。
【0045】
板厚0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板表面にクロメート処理し、2液型ポリエステル樹脂接着剤を乾燥膜厚で4μmになるように塗布した。塗布後、オーブンで最高到達板温が230℃となるように加熱乾燥し、直ちに前記フィルムのエンボス加工面の反対面が接着剤層に接するようにニップで圧着積層した。積層直後に鋼板表裏面を、当該樹脂のTc(冷結晶化温度:193℃)まで冷却される時間を、表裏面ミスト冷却法および/又は水冷にて、0.2〜1.2秒の範囲の条件で冷却し、鋼板温度が常温にまで低下した時点で、エンボス溝の形状保持率を評価した。なお、当該樹脂の230℃でのtanδの値は3.0×101 であった。結果を表2に示した。
【0046】
【表2】
Figure 0004317371
【0047】
(実施例11〜14、比較例5〜6)
PETのグリコール成分であるエチレングルコールを30モル%シクロヘキサンジメタノールに置き換えた共重合PET樹脂(Tg:80℃)をアイボリー色に調色し、加熱溶融し(Tダイス温度250℃)、革シボエンボス加工を施したキャスティングロールとバックアップロール間に、樹脂が当接するように押し出し、エンボスロール径、ニップ圧およびラインスピードを設定し、エンボス加工で押している時間(Δt)0.12〜0.20秒となるように調節し、100μm厚さの革シボエンボスフィルム(平均エンボス溝深さは20μm)を得た。
【0048】
板厚0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板表面にクロメート処理し、2液型ポリエステル樹脂接着剤を乾燥膜厚で4μmになるように塗布した。塗布後、オーブンで最高到達板温が230℃となるように加熱乾燥し、直ちに前記フィルムのエンボス加工面の反対面が接着剤層に接するようにニップ圧着積層した。積層直後に鋼板表裏面を、当該樹脂のTg(ガラス転移温度:80℃)まで冷却される時間を、表裏面ミスト冷却法および/又は水冷にて、0.4〜1.5秒の範囲の条件で冷却し、鋼板温度が常温にまで低下した時点で、エンボス溝の形状保持率を評価した。なお、当該樹脂の230℃でのtanδの値は3.4×101 であった。結果を表3に示した。
【0049】
【表3】
Figure 0004317371
【0050】
(実施例15〜18、比較例7〜10)
実施例1と同様に、PETのグリコール成分であるエチレングリコールを30モル%シクロヘキサンジメタノールに置き換えた共重合PET樹脂をアイボリー色に調色し、加熱溶融し(Tダイス温度250℃)、押し出し成形にて80μm厚さの平滑表面フィルムを得た。
【0051】
板厚0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板表面にクロメート処理し、2液型ポリエステル樹脂接着剤を乾燥膜厚で4μmになるように塗布した。塗布後、オーブンで最高到達板温が230℃となるように加熱乾燥した。前記フィルムを、同鋼板の片面に、230℃に加熱した実施例11と同様の革シボエンボスロール(フィルム側)−ゴムロール(鋼板側)を用いて圧着すると同時にエンボス加工(加工時間0.16秒、0.2秒に調節、最大エンボス溝深さは20μm)を施し、エンボスロールにてエンボス溝が形成された直後から当該樹脂のTg(ガラス転移温度:80℃)まで冷却される時間を、裏面ミスト冷却法および/又は水冷にて、0.5〜1.5秒の範囲の条件で冷却し、鋼板温度が常温にまで低下した時点で、エンボス溝の形状保持率を評価した。この場合、同評価は実施例11で得られたエンボスフィルムを基準とした。なお、当該樹脂の230℃でのtanδの値は3.4×101 であった。結果を表4に示した。
【0052】
【表4】
Figure 0004317371
【0053】
(実施例19〜20及び比較例11〜12)
実施例1と同様に、PETのグリコール成分であるエチレングルコールを30モル%シクロヘキサンジメタノールに置き換えた共重合PET樹脂をアイボリー色に調色し、加熱溶融し(Tダイス温度250℃)、押し出し成形にて80μm厚さの平滑表面フィルムを得た。
【0054】
板厚0.45mmの溶融亜鉛メッキ鋼板表面にクロメート処理し、2液型ポリエステル樹脂接着剤を乾燥膜厚で4μmになるように塗布した。塗布後、オーブンで最高到達板温が230℃となるように加熱乾燥した。前記フィルムを、同鋼板の片面に圧着した。当該鋼板を、オーブンで210℃に再加熱し、革シボエンボスロールにてエンボス加工を施し(加工時間0.12秒、0.20秒に調節、平均エンボス溝深さは20μm)、エンボスロールにてエンボス溝が形成された直後から当該樹脂のTg(ガラス転移温度:80℃)まで冷却される時間を、裏面ミスト冷却法および/又は水冷にて、0.5〜1.5秒の範囲の条件で冷却し、鋼板温度が常温にまで低下した時点で、エンボス溝の形状保持率を評価した。この場合も、同評価は実施例11で得られたエンボスフィルムを基準とした。なお、当該樹脂の210℃でのtanδの値は3.2×101 であった。結果を表5に示した。
【0055】
【表5】
Figure 0004317371

Claims (4)

  1. エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法であって、エンボス溝を有するポリエステル樹脂系フィルムを金属板にラミネートする際にフィルムがラミネート圧下ロールから離れた時から、および/または、ポリエステル樹脂系フィルムを金属板にラミネートすると同時にあるいはその後にエンボス加工する際にエンボスロールがフィルムから離れた時から、フィルム表面温度が構成樹脂成分の凍結温度以下に降下するまでの冷却時間を動的粘弾性測定法により測定された樹脂のtanδとエンボス加工で樹脂を押している時間Δtとから下記式で算出される歪み緩和時間τ以内になるように冷却することを特徴とする、エンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法。
    τ=(1/ω)・tanδ
    ここで、ω=2π/Δtであり、tanδ=E’’/E’ (E’とE’’は、それぞれ、ラミネート直前の加熱板の温度における樹脂の貯蔵弾性率と損失弾性率である。)である。
  2. 前記冷却でミスト冷却法を用いることを特徴とする、請求項1記載のエンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法
  3. ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,変性ポリエチレンテレフタレート,変性ポリブチレンテレフタレート,ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを含むポリエステル,ポリエチレンナフタレート,ポリプロピレンテレフタレート,ポリアリーレート(全芳香族ポリエステル)から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のエンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法。
  4. ポリエステル樹脂としてポリエステルと極性ユニットを含有するビニル重合体の混合樹脂、又はポリエステルと極性ユニットを含有するビニル重合体とゴム状弾性体の三種混合樹脂を含む請求項1又は2に記載のエンボス加工樹脂フィルム被覆金属板の製造における冷却制御方法。
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