10,50,60,70,100,150,200,300,400,500,600,610,620,630,650,660,670,680,700,720:折畳み式頚椎保護帯、12,52,62,72,102,152,202,302,402,502,602,632,652,662,672,682,702,722:保護帯本体、14,16:面ファスナー(対の係脱部(固定手段))、20:3分割構成部(分割構成部)、22:細分割構成部(分割構成部)、24,26,28:ヒンジ部、30,34,38:対向縁部、32,36,40:折曲げ部、104,105,106,108:主体層、110:ヒンジ層、204,663,673,675,683:蝶番、304:リブ部、404,408:分割構成部本体、406,410:高さ調節部材、504,604,605,634,635,654,655,657,665,684:緩衝板、606,636,656,666:突出端部、511:切り欠き、608,638,658,668,678,688:開口部、704,724:保護カバー、706:保持手段、728,730:面ファスナー(保持手段)
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
[第1実施例]
図1〜図7は、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第1実施例を示す図である。
図1は、本第1実施例における折畳み式頚椎保護帯10の展開状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯10は、使用者の頚部の略全体を包囲する長さ及び幅を有する帯状の保護帯本体12、及び使用時に保護帯本体12を頚部周りに沿って湾曲した使用状態に保持する係脱可能な面ファスナー14,16(対の係脱部(固定手段))から構成されている。保護帯本体12は、右端から突出している突出部18が設けられている。面ファスナー14,16は、一方が保護帯本体12の突出部18における表面に取り付けられ、他方が保護帯本体12の左端部における裏面に取り付けられている。
保護帯本体12は、全体が概ね同じ長さに3分割された3つの3分割構成部20(分割構成部)を有している共に、中央に位置する3分割構成部20が更に左右概ね同じ長さに2分割された細分割構成部22(分割構成部)を有している。
また、保護帯本体12は、3分割構成部20の間を折畳み可能に連結するヒンジ部24を有している。また、保護帯本体12は、細分割構成部22の間を折畳み可能に連結する保護帯本体略中央部に位置するヒンジ部26を有している。また、保護帯本体12は、3分割構成部20と突出部18との間を折畳み可能に連結するヒンジ部28を有している。
図2は、折畳み式頚椎保護帯10のヒンジ部24,26,28を示す上面図である。図2(a)は折畳み式頚椎保護帯10を3つ折にした折畳み状態を示す上面図である。図2(b)は折畳み式頚椎保護帯10を2つ折にした折畳み状態を示す上面図である。図2(a)において、ヒンジ部24は、互いに隣接する各3分割構成部20の互いに相対向する対向縁部30、及び各対向縁部30の間に形成され、保護帯本体12の幅方向に延びて不使用時に折畳み方向に折り曲げられる折曲げ部32で形成されている。図2(b)において、ヒンジ部26は、互いに隣接する各細分割構成部22の互いに相対向する対向縁部34、及び各対向縁部34の間に形成され、保護帯本体12の幅方向に延びて不使用時に折畳み方向に折り曲げられる折曲げ部36で形成されている。ヒンジ部28は、3分割構成部20及び突出部18の互いに相対向する対向縁部38、及び各対向縁部38の間に形成され、保護帯本体12の幅方向に延びて不使用時に折畳み方向に折り曲げられる折曲げ部40で形成されている。尚、折曲げ部32は、図1のヒンジ部24において、保護帯本体12の幅方向に下部が外側となるように傾斜して延びている。そのため、保護帯本体12をヒンジ部24で3つ折りに折り畳んだ際には、幅と長さが共に短寸となるように考慮されている。
ヒンジ部24,26,28は、保護帯本体12を形成する板材の表面に施された切込み加工からなる加工跡で形成されている。本実施例の切込み加工は、切込み刃を一定の深さまで挿入する圧入装置により切込み加工されると共に、保護帯本体12を形成する板材の厚さに対して表面から概ね50%の切込み深さに形成された加工跡となっている。
尚、本第1実施例では、保護帯本体12は、全体が概ね同じ長さに3分割された3つの3分割構成部20で構成されていると共に、中央に位置する3分割構成部20が更に左右概ね同じ長さに2分割された細分割構成部22で構成されているが、左右概ね同じ長さに2分割された一対の2分割構成部(分割構成部)、又は全体が概ね同じ長さの4分割以上に多数分割された多数分割構成部(分割構成部)で構成することもできる。
図3は、折畳み式頚椎保護帯10のヒンジ部24,26,28の他の例を示す上面図である。本第1実施例では、ヒンジ部24,26,28は、保護帯本体12を形成する板材の表面に施された切込み加工からなる加工跡で形成され、対向縁部30,34,38及び折曲げ部32,36,40が形成されているが、図3に示すように、保護帯本体12を形成する板材の表面に施された切欠き加工からなる加工跡(図3(a))、保護帯本体12を形成する板材の表面に施された切削加工からなる加工跡(図3(b))、又は保護帯本体12を形成する板材の表面に施された型押し加工からなる加工跡(図3(c))で形成することもできる。これらの加工跡について、耐久性が高く良好なヒンジ特性とするためには、保護帯本体を形成する板材の厚さに対して表面から概ね30〜70%の深さに形成される加工跡とすることが好ましい。
図4は、本第1実施例における折畳み式頚椎保護帯10の使用状態及び折畳み状態を示す正面図である。図4(a)は折畳み式頚椎保護帯10の前面から見た時の使用状態を示す正面図である。図4(b)は折畳み式頚椎保護帯10を3つ折にした折畳み状態を示す正面図である。図4(c)は折畳み式頚椎保護帯10を2つ折にした折畳み状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯10は、使用時には全体を頚部周りに沿って湾曲させて頚部に着用すると共に、不使用時にはヒンジ部24,26,28で短寸に折り畳むようになっている。具体的には、ヒンジ部24,26,28を形成する折曲げ部32,36,40が保護帯本体12の厚さ方向外面側(使用時に外側となる面)に位置し、使用時にはヒンジ部24,26,28に形成された対向縁部30,34,38が互いに突合せ状態に衝合され折曲げ部32,36,40で折れ曲がることなく使用者の頚部に沿って湾曲し、不使用時には保護帯本体12の厚さ方向内面側(使用時に内側となる面)を外側にして折曲げ部32,36,40で折り曲げられて使用時の湾曲方向とは反対の方向に折り畳まれる。また、保護帯本体12は長さ方向中央を境にして概ね左右対称に形成されており、保護帯本体12を3分割構成部20に分割するヒンジ部24は、ヒンジ部24で折り畳んだ際に、3分割構成部が概ね互いに重なり合うように、また、保護帯本体12を細分割構成部22に分割するヒンジ部26は、ヒンジ部26で折り畳んだ際に、細分割構成部が概ね互いに重なり合うように形成されている。折畳み式頚椎保護帯10は、頚部の真後ろが始点及び終点となるように形成されている。
尚、保護帯本体12には、使用時に頚部と折畳み式頚椎保護帯10の外部とを通気するために、保護帯本体12の適宜箇所に表裏に貫通する開口部を設けることができる。保護帯本体12に開口部を設けることは、使用者の着用感を向上させると共に、軽量化により携帯性を向上させる上から好ましい。そのため、開口部は保護帯本体12の全面に亘ってできるだけ大きな面積で形成することが好ましい。開口部を設ける際は、開口部の存在によって保護帯本体12の幅方向の圧縮強度の低下を招くことから、これらの点を考慮した形状と配列の開口部とすることが好ましい。
尚、保護帯本体12には、少なくとも使用時に頚部に接するその内面側の全面及び/又は両側縁部に、この保護帯本体12の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板を設けることができる。
尚、保護帯本体12は、その略全体が柔軟で取外し可能な保護カバーで被覆されているのがよく、更に、この保護カバーには折り畳まれた保護帯本体をその折畳み状態に保持する保持手段が設けられていることが好ましい。
尚、保護帯本体12は、全体を頚部周りに沿って湾曲させて頚部に着用することができればよく、材質について特に制限されないが、好ましくは板材とした際に可撓性を有する合成樹脂が好ましく、その他に、合成樹脂発泡体、ゴム、又はこれらから選ばれた2種以上の板材からなる積層体が挙げられ、例えば、熱可塑性プラスチック、変形保持プラスチック、ゴム弾性プラスチック、ゴム、等が例示でき、更に、これらのプラスチック、ゴムの単板、同じくこれらの発泡板、プラスチック板同士の積層板、プラスチック板とゴム板との積層板、プラスチック板と発泡板との積層板、更にプラスチック板、ゴム板、発泡板との組合せによる積層板等が挙げられる。本実施例での保護帯本体12は、熱可塑性エラストマーであるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン樹脂により押出シート成形された板状体であり、厚さ3mm、幅7cm、全長51cmの大きさに概ね形成されており、適宜な可撓性と耐圧縮強度を併せ持ち着用感に優れると共に、軽量で携帯性にも優れるものとなっている。
図5は、本第1実施例における折畳み式頚椎保護帯10の第1変形例を示す図である。図5(a)は折畳み式頚椎保護帯50の展開状態を示す正面図である。図5(b)は折畳み式頚椎保護帯50の前面から見た時の使用状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯50は、頚部の真ん前が始点及び終点となるように形成されている。折畳み式頚椎保護帯50の保護帯本体52は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、頚部の真ん前が始点及び終点となるように形成され、保護帯本体12に設けられている突出部18がなく、折曲げ部32(ヒンジ部24)は幅方向に鉛直に延びている。また、保護帯本体52の左右両端部には、それぞれ2個の面ファスナー14,16が取り付けられている。
図6は、本第1実施例における折畳み式頚椎保護帯10の第2変形例を示す図である。図6(a)は折畳み式頚椎保護帯60の展開状態を示す正面図である。図6(b)は折畳み式頚椎保護帯60の左側面から見た時の使用状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯60は、頚部の真横が始点及び終点となるように形成されている。折畳み式頚椎保護帯60の保護帯本体62は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、頚部の真横が始点及び終点となるように形成され、折曲げ部32(ヒンジ部24)は幅方向に鉛直に延びている。
図7は、本第1実施例における折畳み式頚椎保護帯10の第3変形例を示す図である。図7(a)は折畳み式頚椎保護帯70の展開状態を示す正面図である。図7(b)は折畳み式頚椎保護帯70の中央部の展開状体を示す部分拡大上面図である。折畳み式頚椎保護帯70の保護帯本体72は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、ヒンジ部24,26,28は、保護帯本体72を形成する板材の表面に施された型押し加工からなる加工跡で形成されている。また、保護帯本体72の各3分割構成部20には、表面に一様な間隔で幅方向に鉛直に型押し加工された加工跡が形成されて、各分割構成部が更に複数に分割された細分割構成部で構成されている。
尚、図7(c)及び図7(d)は、折畳み式頚椎保護帯70の保護帯本体72に代用可能な応用例を示す展開状体の部分拡大上面図である。これによれば、保護帯本体72を形成する板材の表面に型押し加工からなる加工跡が施されてヒンジ部24,26,28が形成されていると共に、保護帯本体72の各3分割構成部20には、表裏面に一様な間隔で幅方向に鉛直に型押し加工された加工跡が形成されて、各分割構成部20が更に複数に分割された細分割構成部で構成されている。また、図7(c)と図7(d)は、表裏での位相が異なる加工跡で形成されている。
尚、折畳み式頚椎保護帯70は、使用時に保護帯本体72を頚部周りに沿って湾曲した使用状態とする時に、保護帯本体72が長さ方向に曲げやすく装着が容易になると共に、湾曲状態に保持する係脱可能な面ファスナー14,16の接続を容易に行うことができ、その接続性を確実なものとすることができる。尚、保護帯本体702の表裏両面にヒンジ部を形成することで、任意の位置で折畳めるようにでき、また、L字状、U字状等の一方向に折畳む以外にZ字状等の表裏面方向にも折畳むことができる。
[第2実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第2実施例について説明する。尚、本実施例において、第1実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図8〜図10は、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第2実施例を示す図である。
図8は、本第2実施例における折畳み式頚椎保護帯100を示す図である。図8(a)は折畳み式頚椎保護帯100の展開状態を示す正面図である。図8(b)は折畳み式頚椎保護帯100の展開状態を示す上面図である。図8(c)は折畳み式頚椎保護帯100の折畳み状態を示す部分拡大上面図である。折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、保護帯本体102が3分割構成部20を形成する複数の主体層104、細分割構成部22を形成する複数の主体層106、及び突出部18を形成する主体層108、並びに、複数の主体層104、複数の主体層106、及び主体層108を互いに連結するヒンジ層110の積層体で形成されており、保護帯本体102に形成されるヒンジ部24が互いに隣接する各主体層104の互いに相対向する対向縁部30、及び対向縁部30の間に位置して折曲げ部32を形成するヒンジ層110、保護帯本体102に形成されるヒンジ部26が互いに隣接する各主体層106の互いに相対向する対向縁部34、及び対向縁部34の間に位置して折曲げ部36を形成するヒンジ層110、並びに、保護帯本体102に形成されるヒンジ部28が互いに隣接する主体層104及び主体層108の互いに相対向する対向縁部38、及び対向縁部38の間に位置して折曲げ部40を形成するヒンジ層110が保護帯本体102の厚さ方向外面側に位置して構成されている。尚、積層体は、ヒンジ層110の片面に複数の主体層104、複数の主体層106、及び主体層108を貼着して形成されている。その他については第1実施例と同様である。
尚、ヒンジ層110の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合)等のプラスチック、熱可塑性エラストマー等のゴム弾性プラスチック、更にポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系樹脂等の延伸加工により得られた変形保持プラスチック、そして塩化ビニール、ポリウレタン、ゴム等の薄板、また天然皮革、合成繊維不織布及びビニールレザー等の人工皮革、帆布等の織布、更にポリアミド、ポリエステル、ビニロン、アラミド、カーボン等の化学繊維の織布、又は、これら繊維を一方向に引き揃えた帯状体を基材として熱可塑性樹脂、ゴム等を含浸した薄板、等々のヒンジ特性に優れた材料が挙げられる。また、本実施例のヒンジ層110の厚さは1mmに形成されているが、ヒンジ層110の厚さについては耐久性に優れたヒンジ特性が得られれば特に制限されない。
また、主体層としては第1実施例と同様の材料が適用できる。尚、本第2実施例の積層体は、厚さ2mmのポリエチレン製の主体層104,106,108を形成するプラスチック板と、ポリエステル繊維製の織布との間にEVA系の熱可塑性フィルム接着剤を挟み込み加熱加圧することで、化学繊維の織布に熱可塑性フィルム接着剤が含浸してヒンジ層110が形成されると共に、主体層104,106,108を形成するプラスチック板とヒンジ層110が接着されるようにして成形されている。他の方法として、化学繊維の織布に熱可塑性フィルム接着剤、若しくはゴムを加熱加圧によって含浸してヒンジ層110を形成した後に、主体層104,106,108を形成するプラスチック板に貼着して形成することもできる。
尚、本第2実施例のヒンジ層110は、保護帯本体102の片面の全面に積層されて複数の主体層を互いに連結するヒンジ層として形成され保護帯本体102のヒンジ部を構成しているが、保護帯本体を構成するヒンジ層110は、複数の各主体層の間を折畳み可能に連結する大きさで設けることができ、例えば、ヒンジ部を中心とする部位において、保護帯本体の幅方向の全面又は一部に帯状にヒンジ層を設けるようにしてもよく、或いは幅方向に分離した複数でヒンジ層を設けるようにする等、ヒンジ層110は少なくとも複数の主体層を互いに連結することが可能な部位にだけ形成されていればよく、この様な形態の積層体として構成することができる。
図9は、折畳み式頚椎保護帯100のヒンジ部24,26,28の他の例を示す部分拡大上面図である。本第2実施例でのヒンジ部24,26,28は、保護帯本体102を形成する複数の主体層の片面に貼着されて各主体層を互いに連結するヒンジ層110との積層体により構成されているが、積層体は、複数の主体層の両面にヒンジ層110を貼着して形成されてヒンジ部を構成することもでき(図9(a))、これによれば、両面の任意の部分のヒンジ層と主体層を分割することで任意の方向に折り畳むことができるようになり、例えば、Z字状の形状に折り畳むことができる(図9(b))。
図10は、本第2実施例における折畳み式頚椎保護帯100の変形例を示す図である。図10(a)は折畳み式頚椎保護帯150の展開状態を示す正面図である。図10(b)は折畳み式頚椎保護帯150の展開状体を示す部分拡大上面図である。折畳み式頚椎保護帯150の保護帯本体152は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、ヒンジ層110の両面に複数の主体層104,106,108が貼着された積層体として形成されており、保護帯本体152に形成されるヒンジ部24、26,28が互いに隣接する各主体層104、106,108の互いに相対向する対向縁部30、34,38、及び対向縁部30、34,38の間に位置して折曲げ部32、36,40を形成するヒンジ層110で構成されている。そして、各主体層104(106)はヒンジ層110の両面で更に複数に分割された細分割構成部を形成する複数の主体層によって構成されている。尚、積層体は、ヒンジ層110の両面に複数に分割された主体層104、主体層106、及び主体層108を貼着して形成されている。
尚、図10(c)は、保護帯本体152に代用可能な応用例を示す図10(b)と同様の部分拡大上面図である。これによれば、保護帯本体152を形成する各主体層がヒンジ層110の両面に複数に分割されて貼着された積層体として構成されている。
尚、本変形例の折畳み式頚椎保護帯150は、使用時に保護帯本体152を頚部周りに沿って湾曲した使用状態とする時に、長さ方向に曲げやすく装着が容易になると共に、頸部の形状に容易に馴染み湾曲状態に保持する係脱可能な面ファスナー14,16の接続を容易に行うことができる。また、折畳みの位置を任意に設定できると共に、任意の方向に折り畳むことができる。
[第3実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第3実施例について説明する。尚、本実施例において、第2実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図11は、本第3実施例における折畳み式頚椎保護帯200を示す図である。図11(a)は折畳み式頚椎保護帯200の展開状態を示す正面図である。図11(b)は折畳み式頚椎保護帯200の展開状態を示す上面図である。図11(c)は折畳み式頚椎保護帯200を2つ折にした折畳み状態を示す上面図である。図11(c)は折畳み式頚椎保護帯200を3つ折にした折畳み状態を示す上面図である。
折畳み式頚椎保護帯200の保護帯本体202は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、ヒンジ部26が、互いに隣接する各細分割構成部22の互いに相対向する対向縁部34、及び対向縁部34の間に取り付けられて折曲げ部36を構成する蝶番204が保護帯本体202の厚さ方向外面側に位置して構成されている。尚、折畳み式頚椎保護帯200は、折畳み式頚椎保護帯100に対して、ヒンジ層110はヒンジ部26で分割されており、蝶番204の軸心回りに回転して保護帯本体202が2つ折に折り畳めるようになっている。
また、折畳み式頚椎保護帯200は、折畳み式頚椎保護帯100に対して、2箇所のヒンジ部24がそれぞれ所定間隔で平行である2箇所のヒンジ部24で形成されている。これによれば、折畳み式頚椎保護帯200を3つ折りにして折り畳んだ際に、所定間隔に配列された2箇所のヒンジ部24の間に形成されるコの字形状の所定間隔内に、他方の3分割構成部20の厚さ分を収めるようにできるので、全体をより短小に折り畳むことができる。
尚、蝶番204の材質は、例えば、ポリアミド等のプラスチック等が挙げられる。蝶番204をヒンジ層110に取り付ける手段としては、例えば、接着、溶着、ビス止め、鳩目等が挙げられる。尚、蝶番204及びヒンジ層110が同一材質である場合には、高周波ウェルダー溶接、超音波を利用したスポット溶接等によって蝶番204をヒンジ層110に取り付けることができる。本実施例では、ポリアミド製のプラスチック蝶番204は、ヒンジ層110の面上に熱可塑性フィルム接着剤により加熱接着され、良好に取り付けられている。
また、蝶番204としては、本実施例以外に例えば、第1実施例の保護帯本体12のヒンジ部24、26を構成するようなシート状材料に切込み加工等の加工跡により折曲げ部32、36を形成して適宜な大きさに切断したシート状の蝶番、或いは、第2実施例の保護帯本体102のヒンジ部24,26を構成するような互いに分離した2枚のシート状材料とヒンジ層との積層体により折曲げ部110を形成して適宜な大きさに切断したシート状の蝶番、等を本実施例の蝶番204として採用してもよく、このようなシート状の蝶番を採用すれば蝶番の厚さが小さくできるため、折畳み式頚椎保護帯を折畳んだときの折畳み厚さをより小さくすることができる。
[第4実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第4実施例について説明する。尚、本実施例において、第2実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図12は、本第4実施例における折畳み式頚椎保護帯300を示す図である。図12(a)は折畳み式頚椎保護帯300の展開状態を示す正面図である。図12(b)は折畳み式頚椎保護帯300の展開状態を示す上面図である。折畳み式頚椎保護帯300の保護帯本体302は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、ヒンジ部24を形成する各主体層104の対向縁部30、及びヒンジ部26を形成する各主体層106の対向縁部34が、各主体層104及び各主体層106の一般部の厚さより大きい厚さのリブ部304に形成されている。
尚、折畳み式頚椎保護帯300の保護帯本体302は、第1実施例の折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、ヒンジ部24を形成する各3分割構成部20の対向縁部30、及びヒンジ部26を形成する各細分割構成部22の対向縁部34を、各3分割構成部20及び各細分割構成部22の一般部の厚さより大きい厚さのリブ部304に形成することもできる。
また、リブ部304は、比較的厚さが薄く軽量に形成された保護帯本体302の幅方向の圧縮強度を高める効果を有すると共に、ヒンジ部24を形成する各主体層104の対向縁部30、及びヒンジ部26を形成する各主体層106の対向縁部34において、各対向縁部30,34の対向面の衝合面積を大きくすることができるので、折畳み式頚椎保護帯300の使用の繰り返しによる各対向縁部30,34の衝合時の摩耗、変形を防止することができ、ヒンジ部24及びヒンジ部26の耐久性を向上させることができる。尚、本第4実施例におけるリブ部304は、保護帯本体302の幅方向の全体に亘って形成されているが、幅方向の一部に形成してもよいし、幅方向に複数に分割して形成することもできる。
[第5実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第5実施例について説明する。尚、本実施例において、第1実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図13は、本第5実施例における折畳み式頚椎保護帯400を示す図である。図13(a)は折畳み式頚椎保護帯400の組立前の展開状態を示す正面図である。図13(b)は折畳み式頚椎保護帯400の組立後の展開状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯400の保護帯本体402は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、保護帯本体402の各3分割構成部20が、主体をなす3分割構成部本体404、及び3分割構成部本体404に着脱可能にかつ幅方向取付位置調節可能に取り付けられた高さ調節部材406で構成され、保護帯本体402の各細分割構成部22が、主体をなす細分割構成部本体408、及び細分割構成部本体408に着脱可能にかつ幅方向取付位置調節可能に取り付けられた高さ調節部材410で構成されている。また、折畳み式頚椎保護帯400の保護帯本体402は、3分割構成部本体404の表面に一方の面ファスナー412、高さ調節部材406の裏面に他方の面ファスナー414、細分割構成部本体408の表面に一方の面ファスナー416、及び高さ調節部材410の裏面に他方の面ファスナー418が取り付けられている。また、3分割構成部本体404及び細分割構成部本体408の表面には、高さ調節部材406,410を取り付けるための補助線420が形成されている。また、折畳み式頚椎保護帯400の保護帯本体402は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、2箇所のヒンジ部24がそれぞれ所定間隔で平行である2箇所のヒンジ部24で形成され、ヒンジ部26が所定間隔で平行である2箇所のヒンジ部26で形成されている。
尚、3分割構成部本体404及び細分割構成部本体408、並びに、高さ調節部材406及び高さ調節部材410の厚さは、それぞれ好ましくは0.5mm以上3mm以下の範囲で形成される。面ファスナー412,414,416,418を除いた3分割構成部本体404及び高さ調節部材406の合計厚さ、並びに、細分割構成部本体408及び高さ調節部材410の合計厚さは、それぞれ好ましくは1mm以上6mm以下、より好ましくは2mm以上5mm以下の範囲で形成される。また、3分割構成部本体404及び細分割構成部本体408、並びに、高さ調節部材406及び高さ調節部材410の厚さをそれぞれ異なる厚さとする場合には、3分割構成部本体404及び細分割構成部本体408の厚さは、それぞれ好ましくは1mm以上2.5mm以下、高さ調節部材406及び高さ調節部材410の厚さは、それぞれ好ましくは0.5mm以上1.5mm以下の範囲で形成される。
[第6実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第6実施例について説明する。尚、本実施例において、第1実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図14及び図15は、本第6実施例における折畳み式頚椎保護帯500を示す図である。図14(a)は折畳み式頚椎保護帯500の展開状態を示す正面図である。図14(b)は折畳み式頚椎保護帯500の展開状態を示す上面図である。図14(c)は図14(a)のAA断面図である。図15(a)は折畳み式頚椎保護帯500を3つ折にした折畳み状態を示す上面図である。図15(b)は折畳み式頚椎保護帯500を2つ折にした折畳み状態を示す上面図である。折畳み式頚椎保護帯500の保護帯本体502は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、使用時に頚部に接するその両側縁部に、保護帯本体502の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板504が設けられている。また、折畳み式頚椎保護帯500の保護帯本体502は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、2箇所のヒンジ部24がそれぞれ所定間隔で平行である2箇所のヒンジ部24で形成され、ヒンジ部26が所定間隔で平行である2箇所のヒンジ部26で形成されている。尚、図14(d)は、緩衝板504を2枚の緩衝板504で形成した本実施例に代用可能な図14(c)に相当する応用例を示す図である。
尚、緩衝板504の材質としては、軟質のゴム又はプラスチック、発泡したゴム又はプラスチック等からなる柔軟で緩衝能力に優れた材料が好ましく、例えば、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニール共重合体、ウレタン、ポリスチレン、シリコン等のプラスチックの発泡体、合成ゴム、天然ゴムの発泡体のほか、シリコン、ウレタン等の高分子ゲル物質、柔軟性に富むウレタンゴム、加硫ゴム、ゴム弾性を有するウレタン系、シリコン系、ポリアミド系等のエラストマー樹脂等であり、以上掲げた樹脂の単体、又は、これらの複合体等が挙げられ、概ね1〜50mm程度の厚さに形成された板状体の材料が例示でき、また発泡倍率10〜50倍のプラスチックの発泡板等が例示できる。
ここで、緩衝板504は、比較的薄い板状の保護帯本体502の上下の両側縁端を被覆して使用時の装着感を高めると共に、使用時に作用する衝撃を緩和することができる。更に、所定の厚さの緩衝体504が保護帯本体502の上下の両側縁端部に設けられるため、保護帯本体502の中央部には長さ方向に亘って帯状の凹み部が形成される。この凹み部は、使用時に頚部と保護帯本体502との間に帯状の空隙部を形成して、使用時の内面通気路となって装着感をより一層高めるものとなる。尚、保護帯本体502は、使用時に頚部に接するその内面側の全面に緩衝板504を設けることもできる。
尚、保護帯本体502に形成される2箇所のヒンジ部24及び2箇所のヒンジ部26のそれぞれの間隔は、保護帯本体502の概ね最大厚さと折畳み厚さをもとに決定され、本実施例では左側のヒンジ部24の間隔が他のヒンジ部の間隔より広く形成され、3つ折りしたときにはコンパクトでより短寸に折り畳むことができる。尚、保護帯本体に形成されるヒンジ部は、1箇所のヒンジ部、2箇所のヒンジ部又はこれ以上のヒンジ部で構成してもよく、更に、これらのヒンジ部を保護帯本体において適宜組み合わせて形成することもできる。
また、本実施例のヒンジ部24及びヒンジ部26には、切込み加工による加工跡が形成されているが、緩衝板504にはこの加工跡が形成されていない。これは、保護帯本体を折畳む際に柔軟な緩衝板がヒンジ部で伸展することによりヒンジ部に追随することができるためであり、緩衝板にこれらの加工跡を形成するか否かは任意である。本実施例では保護帯本体502と緩衝板504とは接着剤により貼着してあるが、ヒンジ部24及びヒンジ部26の部分は幅方向に亘り所定の幅で接着しておらず、この部分での緩衝板504が容易に伸展できるようになっている。尚、緩衝板504の表面及び/又は裏面には、ヒンジ部24,26と同様の切込み加工等の加工跡を施すことができる。この場合、折り畳んだ時の緩衝板504による復元力を小さくすることができる。
図16は、本第6実施例における折畳み式頚椎保護帯500の変形例を示す図である。図16は折畳み式頚椎保護帯500の変形例である折畳み式頚椎保護帯510の展開状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯510の保護帯本体512は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、使用時に頚部に接するその両側縁部に、保護帯本体512の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板504が設けられている。更に、折畳み式頚椎保護帯510の保護帯本体512は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、その主体をなす各分割構成部20本体とこの分割構成部20本体に着脱可能に取り付けられた高さ調節部材519とで構成されている。尚、高さ調節部材519は、保護帯本体512の3分割構成部20の両側縁部に設けられた緩衝板504の上下の両端部に着脱可能に取付けられ、また、高さ調節部材519は、保護帯本体512の中央に位置する分割構成部20に取付けられている。
そして、高さ調節部材519は緩衝板504と同様の材質よりなり、緩衝板504の保護帯本体512の上下端部での厚さに近似する幅で任意高さの帯状に形成されている。高さ調節部材519の着脱は、保護帯本体512の緩衝板504の取付け面に貼着されたループ状繊維で構成された帯状の織布片(図示せず)と、高さ調整部材519の取付け面に貼着されたフック状の雄面ファスナー片(図示せず)とによる対の係脱部材により着脱可能に取付けられている。尚、高さ調節部材519を取外した保護帯本体512は、中央の分割構成部20の緩衝板504に取付けられているループ状繊維で構成された帯状の織布片が使用時に直接頸部に接しても違和感のない織布として考慮されている。ここで、高さ調節部材519は、保護帯本体512の全長に延在するように構成してもよく、或いは、保護帯本体512の上下の一方の側にだけ構成することもできる。
また、保護帯本体512の高さ調節についての上記以外の例として、高さ調節部材519を着脱可能に構成せず、予め高さの高い高さ調節部材519を例えば粘着剤等の接着剤で貼着した後、必要に応じてこれを切り取ることによって保護帯本体512全体の高さ調節をすることもできる。この場合、高さ調節部材519に予め複数のカットラインを明示しておくとよい。
尚、折畳み式頚椎保護帯510の保護帯本体512は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、3つ折り専用に構成されたヒンジ部24である2箇所のヒンジ部24で形成されている。そして、ヒンジ部24の端部となる部分の保護帯本体512の両側縁端の一部にそれぞれ4箇所の切り欠き511が形成されている。切り欠き511は、ヒンジ部24によって保護帯本体512の両側縁端の一様性が失われてこの部分での装着時の当たり違和感を解消するためのもので、ヒンジ部24の端部となる保護帯本体512の両側縁端の一部をR形状に切り欠くことでこれらの装着違和感をなくすことができる。切り欠き形状については、円弧状、三角形状等で更に角部のない形状が好ましい。
また、上記以外に、この様な保護帯本体512の両側縁端における使用時の装着違和感に対して、概ね下顎部に位置する中央部付近の分割構成部20の幅方向の高さを他の部分と比較して小さく形成してもよく、或いは、この部分の両側縁端部を他の部分と比較して薄く形成したりしてもよく、更に、この部分を構成する材質を他の部分と比較して軟質の樹脂に置き換えたりしてもよく、特に下顎部、胸などが感じる装着違和感に対する当たり感覚を改善させることができる。
[第7実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第7実施例について説明する。尚、本実施例において、第1実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図17は、本第7実施例における折畳み式頚椎保護帯600を示す図である。図17(a)は折畳み式頚椎保護帯600の展開状態を示す正面図である。図17(b)は折畳み式頚椎保護帯600の展開状態を示す上面図である。図17(c)は図16(a)のBB断面図である。図17(d)は折畳み式頚椎保護帯600を2つ折にした折畳み状態を示す上面図である。折畳み式頚椎保護帯600の保護帯本体602は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、少なくとも使用時に頚部に接するその内面側の全面に、保護帯本体602の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板604が設けられている。緩衝板604はその両側縁端部が保護帯本体602の両側縁端より外方に突出する突出端部606を有しており、使用時には突出端部606が頚部への接触位置の形状に沿って変形し、保護帯本体602の両側縁端を被覆するようになっている。また、保護帯本体602のヒンジ部24及びヒンジ部26は、保護帯本体602の表面から緩衝板604と共に施された加工跡で形成されている。
尚、緩衝板604の突出端部606は、緩衝板604が使用時に変形して、保護帯本体602の上下の両側縁端部を十分に被覆する長さに形成されていることが好ましく、概ね5〜30mmの長さで、更に好ましくは10〜25mmの長さで、或いは、突出端部606を構成する緩衝板の厚さ以上の長さで、保護帯本体602の両側縁端よりそれぞれ外方に突出していることが好ましく、保護帯本体602の両側縁端を有効に被覆することができる。また、突出端部606は、保護帯本体602の中央部(長さ方向中央部で全長の略1/3の長さ)にのみ設けるようにしてもよいし、中央部から端部へ漸次減少するように設けてもよい。緩衝板604については、第6実施例の緩衝板504と同様の緩衝板が使用できる。また、本実施例の緩衝板604は、使用時に頚部に接する内面側の全面に設けられているため、頚部のどの部位に対しても緩衝効果が高く肌触りも向上する。尚、緩衝板604は、保護帯本体602の幅方向の中央部を除く上下の両側縁端部にのみ設けることでもよく、或いは、保護帯本体602の頚部に接しない外面側の全面又は一部等の両面側に設けることもできる。
尚、折畳み式頚椎保護帯600の保護帯本体602は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、保護帯本体602の概ね全面に亘って保護帯本体602の表裏に貫通する開口部608が形成されている。開口部608は、保護帯本体602のヒンジ部を除く領域に形成されている。そして、開口部608は、緩衝板604を共に貫通する複数の略長穴形状の長円形に形成され、保護帯本体602の幅方向には略鉛直状に複数配列され、更に保護帯本体602の長手方向に亘って複数の列状に配列されて開口部が形成されている。尚、開口部が形成された保護帯本体602には、上下の縁端部が幅方向に連結される複数の縦リブが残存して形成されている。そのため、保護帯本体602の耐圧縮強度の低下が抑制され、より大きな面積の開口部が形成され、使用時には頚部と外部とを良好に通気することができる。
図18は、本第7実施例における折畳み式頚椎保護帯600の変形例を示す図である。図18(a)は折畳み式頚椎保護帯600の第1変形例である折畳み式頚椎保護帯610の、図17(c)と同様の断面図である。図18(b)は折畳み式頚椎保護帯600の第2変形例である折畳み式頚椎保護帯620の、同じく図17(c)と同様の断面図である。折畳み式頚椎保護帯610の保護帯本体612は、折畳み式頚椎保護帯600の保護帯本体602に対して、緩衝板604の突出端部606が、予め保護帯本体の上下の両側縁端を被覆する方向に向けて所定の位置まで傾斜している。折畳み式頚椎保護帯620の保護帯本体622は、折畳み式頚椎保護帯600の保護帯本体602に対して、緩衝板604の突出端部606が、予め保護帯本体の上下の両側縁端を被覆する方向に向けて所定の位置まで折り曲げられている。
尚、緩衝板604は2枚以上の複数の緩衝板で構成することもできる。例えば2枚の緩衝板で緩衝板604を構成する場合、2枚の緩衝板を保護帯本体612又は保護帯本体622に対し、突出端部606の部分でずらして貼着することにより容易に傾斜又は折り曲げることができる。
図19は、本第7実施例における折畳み式頚椎保護帯600の保護帯本体602に設ける緩衝板の配設例を示す、図17(c)と同様の断面図である。図19(a)〜(c)は、緩衝板604が保護帯本体602の幅方向に離間して設けられている例である。更に、図19(b)、(c)は、第2の緩衝板605が保護帯本体602の幅方向全面に設けられている例である。そして、それぞれ保護帯本体602の両側縁端より外方に突出する突出端部606が形成され、保護帯本体602は、少なくとも使用時に頚部に接するその内面側の全面及び/又は両側縁部に、保護帯本体602の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板604及び/又は緩衝板605が設けられている。また、保護帯本体602の略中央部には長さ方向に亘って帯状の凹み部が形成され、使用時の内面通気路が形成されている。
ここで、上記のような保護帯本体602の幅方向に離間して設ける緩衝板604によって保護帯本体602の略中央部に長さ方向に亘る凹み部を形成する以外の例として、例えば、保護帯本体602の全面を被覆する大きさ以上の緩衝板の中央部を削り取って凹み部を形成したり、加熱、加圧、化学物質等の作用による緩衝板の変形手段によって凹み部を形成したり、更に緩衝板の成形時に凹み部を同時に形成する方法等が例示でき、これらによって得られた緩衝板を採用して使用時の内面通気路を形成してもよい。
図19(d)〜(f)は、緩衝板604が保護帯本体602の両面の全面に設けられている例である。更に、図19(e)、(f)では、第2の緩衝板605が保護帯本体602の上下の両側縁端に設けられている例である。そして、保護帯本体602は、少なくとも使用時に頚部に接するその内面側の全面及び/又は両側縁部に、保護帯本体602の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板604及び/又は緩衝板605が設けられている。尚、これら緩衝板の配設例は、他の実施例にも好ましく適用できる。
尚、図19(d)〜(f)の例において、緩衝板604又は緩衝板605を分割構成部20に対して予め幅方向に大きく(高く)形成しておくことで、その後、使用者の頸部に合わせて切断することによって保護帯本体602の幅方向の高さ調節をすることができる。
[第8実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第8実施例について説明する。尚、本実施例において、第2実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図20は、本第8実施例における折畳み式頚椎保護帯630を示す図である。本実施例の折畳み式頚椎保護帯630は3つ折り専用の頸椎保護帯632を示す例である。図20(a)は折畳み式頚椎保護帯630の展開状態を示す正面図である。図20(b)は図20(a)の主体層104の上部側縁端に沿った曲線(上部点線部)のCC断面図である。図20(c)は図20(a)のAA断面図である。図20(d)は図20(a)のBB断面図である。図20(e)は折畳み式頚椎保護帯630を3つ折にした折畳み状態を示す図20(b)と同様の断面図である。折畳み式頚椎保護帯630の保護帯本体632は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、3つ折り専用に構成された3分割構成部を形成する複数の主体層104と、複数の主体層104を互いに連結するヒンジ層110の積層体で形成されている。保護帯本体632に形成されるヒンジ部24は、互いに隣接する各主体層104の互いに相対向する対向縁部30、及び対向縁部30の間に位置して折曲げ部32を形成するヒンジ層110が保護帯本体632の厚さ方向外面側に位置して構成されている。
尚、複数の主体層104とこれらを互いに連結するヒンジ層110とで積層体に構成される保護帯本体632は、ヒンジ層110が各主体層104の全面に亘って貼着されておらず、保護帯本体632の中央部において概ね全長の1/2の長さで配設され、複数の主体層104を連結するのに少なくとも必要な長さの一面で貼着され各ヒンジ部24が構成されている。また、中央部付近が積層体に構成されているため、保護帯本体632の中央部の分割構成部104は左右に位置する分割構成部104と比較して、その幅方向の耐圧縮強度が高まり下顎部付近の保護帯本体632の強度が確保できる。
また、折畳み式頚椎保護帯630の保護帯本体632は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、使用時に頚部に接する内面側の全面及び一部の両側縁部に、保護帯本体632の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板634及び緩衝板635が設けられている。緩衝板635は保護帯本体632の全面に設けられ、更に、緩衝板634は、保護帯本体632の幅方向に離間して設けられ、緩衝板635の上から帯状の形態で貼着され、保護帯本体632の概ね1/3の長さでその中央部にだけ設けられている。また、緩衝板634、635は上下の両側縁端部が保護帯本体652の両側縁端より外方に突出する突出端部636を有しており、使用時には突出端部636が頚部への接触位置の形状に沿って変形し、保護帯本体632の両側縁端を被覆するようになっている。ここで、緩衝板634と緩衝板635はその厚さ方向の位置関係を逆にして、緩衝板634を中央の分割構成部104と緩衝板635との間に設けるようにしてもよい。本実施例の折畳み式頚椎保護帯630は、特に大きな荷重が作用する下顎部付近の緩衝効果を向上させて、できるだけ折畳み時の厚さが薄くなるように考慮されている。
尚、緩衝板635は、保護帯本体632の全面に接着して貼着されているが、2箇所のヒンジ部24においては、ヒンジ部24の全域に亘って約10mm(好ましくは5〜20mm)の幅で、緩衝板635が接着されていない部分を有している。これは、折畳み式頚椎保護帯630を保護帯本体632の厚さ方向内面側を外側にして折畳む際に、緩衝板635の伸展可能な部分を拡大するためであり、この接着して拘束されない範囲部分で緩衝板635は伸展可能となり、折畳みの繰返しによるその耐久性を向上させる。
また、折畳み式頚椎保護帯630の保護帯本体632は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、保護帯本体632のヒンジ部24を除く領域の全面に亘って保護帯本体632の表裏に貫通する開口部638が形成されている。そして、開口部638は、緩衝板634及び635を共に貫通する複数の長円形に形成されている。中央部の3分割構成部を形成する主体層104の部分(保護帯本体632の略1/3の長さの中央部)においては幅方向に鉛直状に2つの開口部が形成され、また、左右の3分割構成部を形成する主体層104の部分(中央部を除く左右略1/3の長さの部分)においては幅方向に鉛直状に延在する1つの長々円形の開口部が形成されている。更に、鉛直上に配列又は延在する開口部は、保護帯本体632の長手方向に亘って複数の列状に配列された開口部638が複数形成されている。
尚、開口部638が形成された保護帯本体632には、上下の縁端部が幅方向に連結される複数の縦リブが残存して形成されているため、保護帯本体632の耐圧縮強度の低下が抑制され大きな面積の開口部が形成でき、使用時に頚部と外部とを良好に通気できる。また、保護帯本体632の左右の3分割構成部104に形成された長々円形の開口部638は、幅方向に大きく開口されるため、折畳み式頚椎保護帯630を頚部周りに沿って湾曲する時に、保護帯本体632の左右端部が長さ方向に曲げやすくなり装着を容易とする。
また、折畳み式頚椎保護帯630の保護帯本体632は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、保護帯本体102の突出部108及び使用時に保護帯本体102を頚部周りに沿って湾曲した使用状態に保持する係脱可能な面ファスナー14,16を備えていない。そのため、保護帯本体632は、使用状態に保持するための係脱可能な固定手段が両端部に取り付けられた保護カバーで被覆されるのがよい。或いは、保護帯本体632は、係脱可能な固定手段の一方が取り付けられた保護カバーで被覆され、他方が保護帯本体632の一端部に取り付けられて係脱されるようにすることができる。この場合本実施例では、保護帯本体632の長手方向最終端側に位置する長々円形の開口部638に対して、例えば、面ファスナー、ゴムバンド等による係脱可能な固定手段の一方を取り付けることができる。
図21は、本第8実施例における折畳み式頚椎保護帯630の変形例を示す図である。本変形例は2つ折り専用に製作された折畳み式頚椎保護帯650を示す例である。図21(a)は折畳み式頚椎保護帯650の展開状態を示す正面図である。図21(b)は図21(a)の主体層104の上部側縁端に沿った曲線(上部の点線部)のCC断面図である。図21(c)は図21(a)のAA断面図である。図21(d)は折畳み式頚椎保護帯650を2つ折にした折畳み状態を示す図21(b)と同様の断面図である。
折畳み式頚椎保護帯650の保護帯本体652は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、2つ折り専用に構成された2分割構成部を形成する複数の主体層104と、複数の主体層104を互いに連結するヒンジ層110の積層体で形成されている。保護帯本体652の中央部に位置して形成されるヒンジ部24は、互いに隣接する各主体層104の互いに相対向する対向縁部30、及び対向縁部30の間に位置して折曲げ部32を形成する所定の幅のヒンジ層110が保護帯本体652の厚さ方向外面側に位置して構成されている。また、保護帯本体652のヒンジ部を除く領域の全面に亘って保護帯本体652の表裏に貫通する開口部658が形成されている。
尚、2つの主体層104とこれらを互いに連結するヒンジ層110とで積層体に構成される保護帯本体652は、ヒンジ層110が、保護帯本体652の中央部において概ね5cmの長さで配設され、2つの主体層104を連結するのに少なくとも必要な長さだけで貼着されてヒンジ部24が構成されている。本実施例のようにヒンジ層110は、ヒンジ部の部分にだけ分割して設けてもよいし、ヒンジ部を形成していない他の部分にまで延長して設けてよいし、ヒンジ部とヒンジ部の間に亘って設けるようにしてもよく、保護帯本体の全面に設けるようにしてもよく、少なくとも1つのヒンジ部の折曲げ部を構成するに必要な5mm以上若しくは1cm以上の長さで積層されていればよい。
尚、折畳み式頚椎保護帯650の保護帯本体652は、折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102に対して、使用時に頚部に接する内面側の全面及び両側縁部に、保護帯本体652の両側縁端が直接頚部に接するのを防止する緩衝板654、655及び657が設けられている。また、緩衝板654、655は両側縁端部が保護帯本体652の両側縁端より外方に突出する突出端部656を有しており、使用時には突出端部656が頚部への接触位置の形状に沿って変形し、保護帯本体652の両側縁端を被覆するようになっている。
ここで、比較的厚さの厚い緩衝板654は、保護帯本体652の両側縁部に幅方向の上下に2分割されてそれぞれが離間して貼着されている。また、比較的厚さの薄い緩衝板655は、緩衝板654が貼着されている状態でその表面から貼着されて保護帯本体652の内面側の全面に貼着されている。尚、緩衝板654によって形成される保護帯本体652の中央部の長さ方向に亘る帯状の凹み部は、使用時に頚部と保護帯本体652との間の内面通気路として機能する。また、緩衝板657は、保護帯本体652の外面側(裏面側)の全面に設けられているため、保護帯本体652の上下縁端部での緩衝性能を一層高めると共に、保護帯本体652の全体が緩衝板で包囲されるため全体がソフトな感覚の折畳み式頚椎保護帯650となっている。
[第9実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第9実施例について説明する。尚、本実施例において、第1実施例及び第2実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図22は、本第9実施例における折畳み式頚椎保護帯660を示す図である。図22(a)は折畳み式頚椎保護帯660の展開状態を示す正面図である。図22(b)は図22(a)の保護帯本体662の上部側縁端に沿った曲線(上部点線部)のCC断面図である。図22(c)は図22(a)のAA断面図である。図22(d)は折畳み式頚椎保護帯660を3つ折りにする様子を示す図22(b)と同様の断面図である。更に、図22(e)は保護帯本体662の各3分割構成部20と折曲げ部32を構成する蝶番663との間の取付け状態の変形例を示す部分断面説明図である。
折畳み式頚椎保護帯660の保護帯本体662は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、3つ折り専用に形成されてそれぞれが分離した3つの3分割構成部20により構成されており、ヒンジ部24は、互いに分離して互いに隣接する3分割構成部20の間に取り付けられたシート状の蝶番663によって構成されている。このシート状の蝶番663には互いに相対向する対向縁部30とこの対向縁部の間に折曲げ部32とが形成されている(図22(d)参照)。このような2つの蝶番663は、3分割構成部20の間にそれぞれ貼着されて取り付けられており、保護帯本体662が3つに折り畳めるようになっている。また、保護帯本体662には、使用時に頚部に接する内面側の全面に緩衝板665が設けられており、緩衝板665は上下の両側縁端部が保護帯本体662の両側縁端より外方に突出する突出端部666を有している。また、保護帯本体662のヒンジ部を除く領域には保護帯本体662の表裏に貫通する開口部668が大きな面積で形成されている。
尚、シート状の蝶番663は、その製造時に折畳み式頚椎保護帯100の保護帯本体102を構成するシート状材料と一体的に製造され、このシート状材料から保護帯本体102と共に切り出されて製造されたもので、保護帯本体662のヒンジ部24の部分が蝶番663の折曲げ部32となるように、このヒンジ部24の部分を略中心としてその周辺を適宜な大きさに切断することにより形成されている。従って、このシート状の蝶番663は、2つに分離された主体層104を互いに連結するヒンジ層110の積層体で形成されており、保護帯本体662のヒンジ部24を形成する蝶番663が互いに隣接する各主体層104の互いに相対向する対向縁部30、及び対向縁部30の間に位置して折曲げ部32を形成するヒンジ層110が蝶番663の厚さ方向外面側に位置して構成されている。このため、折畳み式頚椎保護帯660において、その保護帯本体662の折畳み厚さを小さくすることができる。このようなシート状の蝶番663は、保護帯本体662と同様に、プラスチック製、ゴム製、金属製又はこれらの材料から選ばれた2種以上の積層体等により製造される。
ここで、上記シート状の蝶番663と保護帯本体662との間の取付け方法については、例えば、上記図22(b)及び(d)に示されているように、使用時に、保護帯本体662の互いに相対向する各3分割構成部20の縁部が互いに所定の隙間を維持して衝合することなく、シート状の蝶番663の互いに相対向する対向縁部30のみが互いに突合せ状態に衝合するようにしてもよく、また、上記図22(e)に示されているように、各3分割構成部20の互いに相対向する縁部が対向縁部となってシート状の蝶番663の互いに相対向する対向縁部30と共に互いに突合せ状態に衝合するようにし、これによって対向面の衝合面積を大きくしてもよい。
図23は、本第9実施例における折畳み式頚椎保護帯660の変形例を示す図である。本変形例は折畳み式頚椎保護帯670を示す例である。図23(a)は折畳み式頚椎保護帯670の展開状態を示す正面図である。図23(b)は図23(a)の幅方向の中心を通過するCC断面図である。図23(c)は図23(a)のAA断面図である。図23(d)は折畳み式頚椎保護帯670を2つ折にした折畳み状態を示す図23(b)と同様の断面図である。折畳み式頚椎保護帯670の保護帯本体672は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、3分割構成部20で構成される保護帯本体672が比較的柔軟な合成樹脂発泡体により形成されており、ヒンジ部24は、互いに隣接する3分割構成部20の間に取り付けられるシート状の蝶番673によって構成され、このシート状の蝶番673には互いに相対向する対向縁部30とこの対向縁部の間に折曲げ部32とが形成されている。ヒンジ部26は、互いに隣接する細分割構成部22の間に取り付けられるシート状の蝶番675によって構成され、このシート状の蝶番675には互いに相対向する対向縁部34とこの対向縁部の間に折曲げ部36とが形成されている。蝶番673及び蝶番675は、それぞれ3分割構成部20及び細分割構成部22の間に貼着されて取り付けられている。また、保護帯本体672のヒンジ部を除く領域には保護帯本体672の表裏に貫通する開口部678が形成されている。
尚、蝶番673及び蝶番675は、折畳み式頚椎保護帯660の保護帯本体662で採用したシート状の蝶番663と同様に形成されたシート状の蝶番である。従って、このシート状の蝶番673及び蝶番675は、互いに分離した2つの主体層104(106)を互いに連結するヒンジ層110の積層体で形成されており、ヒンジ部24を構成する蝶番673が互いに隣接する各主体層104の互いに相対向する対向縁部30、及び対向縁部30の間に位置して折曲げ部32を形成するヒンジ層110、ヒンジ部26を構成する蝶番675が互いに隣接する各主体層106の互いに相対向する対向縁部34、及び対向縁部34の間に位置して折曲げ部36を形成するヒンジ層110がそれぞれ蝶番673及び蝶番675の厚さ方向外面側に位置して構成されている。
また、折畳み式頚椎保護帯670の保護帯本体672は、折畳み式頚椎保護帯660の保護帯本体662に対して、各分割構成部20、22が、ヒンジ部24、26において分離されておらず、保護帯本体672の各分割構成部20は一体に形成されている。尚、折畳み式頚椎保護帯670を折畳む際には、比較的柔軟な合成樹脂発泡体により形成された保護帯本体672が折曲げ部32、36において伸展変形して蝶番673、675のヒンジ部24、26において折畳むことができる。また、ヒンジ部24及び26を構成する蝶番673及び675が、この保護帯本体672の両側縁端より内方に引っ込んで取り付けられ、使用時に直接頸部に接するのを防止するように配置されている。尚、折畳み式頚椎保護帯670の保護帯本体672には、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12のヒンジ部24、26に対応する加工跡を形成したり、各分割構成部20(22)を互いに分離して構成することもできる。
図24は、本第9実施例における折畳み式頚椎保護帯670の変形例を示す図である。本変形例は2つ折り専用に製作された折畳み式頚椎保護帯680を示す例である。図24(a)は折畳み式頚椎保護帯680の展開状態を示す正面図である。図24(b)は図24(a)の幅方向略中心を通過するCC断面図である。図24(c)は図24(a)のAA断面図である。図24(d)は折畳み式頚椎保護帯680を2つ折りにする様子を示す図24(b)と同様の断面図である。折畳み式頚椎保護帯680の保護帯本体682は、折畳み式頚椎保護帯670の保護帯本体672に対して、2つ折り専用に構成された2つの分割構成部20が比較的柔軟な合成樹脂発泡体により形成されており、ヒンジ部24は、互いに隣接する各分割構成部20の間に取り付けられるシート状の蝶番683によって構成され、蝶番683には互いに相対向する対向縁部30とこの対向縁部の間に折曲げ部32とが形成されている。折畳み式頚椎保護帯670の保護帯本体672と同様に構成されたシート状の蝶番683は、2つの分割構成部20の間に貼着されて取り付けられ、折曲げ部32を形成するヒンジ層110が蝶番683の厚さ方向外面側に位置して構成されている。更に、保護帯本体682の外面側の全面には、保護帯本体682と同じ形状の緩衝板684が設けられている。また、保護帯本体682のヒンジ部を除く領域には保護帯本体682の表裏に貫通する開口部688が形成されている。
尚、シート状の蝶番683は、その略中心に幅方向に延びるヒンジ部24を有し、保護帯本体682の概ね1/3の長さを有して、保護帯本体682の略中央部に接着されて取付けられている。そのため、比較的柔軟な合成樹脂発泡体により形成された保護帯本体682では、シート状の蝶番683の存在によって、その中央部で幅方向の耐圧縮強度が高まり下顎部付近の保護帯本体682の強度向上が図られている。また、保護帯本体682の厚さ方向外面側の全面に緩衝板684が貼着されているため、比較的大きく形成されたシート状の蝶番683を中心に全体が合成樹脂発泡体及び緩衝板684によって被覆された形態を有し、蝶番683が使用時に直接頚部に接するのを防止するようになっている。
尚、折畳み式頚椎保護帯680を折畳む際には、比較的柔軟な合成樹脂発泡体により形成された保護帯本体682が折曲げ部32において伸展変形して、また、緩衝板684が圧縮変形して蝶番683のヒンジ部24において保護帯本体682を折畳むことができる。尚、折畳み式頚椎保護帯680の保護帯本体682には、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12のヒンジ部24に対応する加工跡を形成したり、各分割構成部20を互いに分離して構成することもできる。
[第10実施例]
次に、本発明に係る折畳み式頚椎保護帯の第10実施例について説明する。尚、本実施例において、第1実施例に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
図25は、本第10実施例における折畳み式頚椎保護帯700を示す図である。図25(a)は折畳み式頚椎保護帯700の展開状態を示す正面図である。図25(b)は折畳み式頚椎保護帯700の展開状態を示す上面図である。図25(c)は折畳み式頚椎保護帯700の2つ折にした折畳み状態を示す正面図である。図25(d)は折畳み式頚椎保護帯700の3つ折にした折畳み状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯700の保護帯本体702は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、全体が柔軟で取外し可能な保護カバー704で被覆されており、保護カバー704には折り畳まれた保護帯本体702を折畳み状態に保持する保持手段706が設けられている。保持手段706は、面ファスナー708,及び帯状の710から構成されており、保護帯本体702を折畳んだ際には、帯状の面ファスナー710を巻回させて面ファスナー708を止着させることで、折り畳まれた保護帯本体702を折畳み状態に保持することができるようになっている。
尚、折畳み式頚椎保護帯700の保護帯本体702は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、保護カバー704の両端部には、面ファスナー14,16が取り付けられており、折畳み式頚椎保護帯10に設けられた面ファスナー14,16を省略することができ、保護帯本体702を頚部周りに沿って湾曲した使用状態に保持する係脱可能な固定手段とすることができるようになっている。尚、面ファスナー14,16は、一方が折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12の一端部に取り付けられ、他方が保護カバー704の一端部に取り付けられるようにすることもできる。また、保護カバー704には面ファスナー14,16を設けず、その両端が解放された形状の保護カバー704とすることもでき、この場合、使用状態に保持する係脱可能な固定手段は折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12の面ファスナー14,16によって行われる。
尚、保護カバー704は、使用者の頚部周りに直接触れることから全体が柔軟な、例えば、天然繊維、合成繊維の織布、ニット布等の素材で製作され、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12を取り外し可能な構造であることが好ましい。本実施例の保護カバー704は、ポリエステル繊維織布の縫製加工により製作され、保護カバー704の裏面(使用時に外側となる面)に設けられた長さ方向に直線状に設けられたスライドファスナー(図示せず)を開口して取り外すことができるようになっている。そのため、保護カバー704は保護帯本体12より容易に取り外して洗濯することができるので長期間に亘って衛生的な状態を保つことができる。また、保護カバーの内部に前述の緩衝板を配置することもでき、その装着感を向上することができる。
図26は、本第10実施例における折畳み式頚椎保護帯700の変形例を示す図である。図26(a)は、折畳み式頚椎保護帯700の変形例である折畳み式頚椎保護帯720の展開状態を示す展開図である。図26(b)は折畳み式頚椎保護帯720の展開状態を示す正面図である。図26(c)は折畳み式頚椎保護帯720の2つ折にした折畳み状態を示す正面図である。折畳み式頚椎保護帯720の保護帯本体722は、全体が柔軟で取り外し可能な保護カバー724で被覆されている。保護カバー724の一端には、帯状に形成された面ファスナー14とこの面ファスナー14の裏面に設けられた面ファスナー728とを有し、更に保護カバー724の他の一端には、面ファスナー730とこの面ファスナー730の裏面側に設けられた面ファスナー16とを有している。ここで、面ファスナー728,730は、折り畳まれた保護帯本体722を折畳み状態に保持するための対の保持手段であり、また、面ファスナー14,16は、保護帯本体722を使用状態に保持するための係脱可能な対の固定手段として構成されている。
尚、折畳み式頚椎保護帯720の保護帯本体722は、折畳み式頚椎保護帯10の保護帯本体12に対して、保護帯本体12の突出部18を形成していない。突出部18は、保護帯本体を使用状態に保持する固定手段形成のための突出部であるため、保護カバー724に固定手段を設けた保護帯本体722は突出部18を省略することができる。従って、保護帯本体722は左右対称の形状に形成することができる。
尚、本発明では、折畳み式頚椎保護帯を構成する保護カバー、緩衝板、保護帯本体等に対して、例えば磁石等を埋め込むことなどにより、頸部周りの血行促進、こり防止等の健康増進機能を付与することもできる。
以上、本実施例によれば、例えば、自動車の追突事故等の際に、頭部の重みに基づいて頚部に作用する大きな前傾圧力にある程度耐えるだけの高い耐圧縮強度を有し、十分な頚椎保護機能を備えているだけでなく、その保護帯本体が長さ方向に複数に分割された分割構成部とこれら複数の分割構成部の間を折畳み可能に連結するヒンジ部とを有し、使用時には全体を頚部周りに沿って湾曲させて頚部に着用できると共に不使用時にはヒンジ部で2つ折り、3つ折、或いはそれ以上に短寸に折り畳むことができ、ハンドバッグ、或いはスーツのポケットに容易に収納することができるので、その携帯性が顕著に向上し、軽症患者等が予防的観点や安全目的で必要に応じて日常的に鞄、ハンドバッグ、スーツのポケット等に入れて携帯することができる。
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、上記実施例を組み合わせる変形のほか、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。