JPH0678943A - 腰部帯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 脊椎の動きに追従しかつ支持機能を有し、さ
らに外部からの衝撃に対し緩衝機能を有する腰部帯を提
供する。 【構成】 両端が互いに係止でき長手方向の少なくとも
一部に伸縮性素材を用いた本体ベルト１と、本体ベルト
１のほぼ中央に設けた緩衝性と支持性とを有する補助材
１３とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、腰痛の予防、治療、及
び外部からの衝撃緩和のために用いる腰部帯に関する。

【０００２】

【従来の技術】腰痛の予防や治療にはいくつかの方法が
あるが、その一つとして腰痛部に腰部帯を装着する方法
がある。この腰部帯の性能は、腰椎のずれを矯正したり
防止して腰椎を正しい位置に支持すること、又椎骨間の
椎間板に加わる圧力負荷を減少させることにある。この
ため腰部帯には次のような機能が要求される。 (1) 腰部全体を均等に圧迫し、腰部の筋、例えば背筋、
腹直筋、外腹斜筋等の筋群を緊張させ、その結果として
腰椎に加わる体重負荷を軽減させる。 (2) 下腹部を圧迫して腹部内圧を高め、その結果として
腰椎の前方へのずれを防止又は矯正する。 (3) 脊椎の近傍に支持ステーを密着させ腰椎を固定さ
せ、その結果として腰椎の屈曲を防止し、正しい位置に
保持又は矯正する。 (4) 骨盤を締め付け、骨盤を安定化させ、その結果とし
て腰椎下部から仙椎を安定させる。 (5) 腰部を保温して体温の低下を防止し、その結果とし
て血行を良くし、各種器官の活動を活発にする。 従来の腰部帯は、疾患の状態に合わせて上記の(1) 〜
(5) の機能に、素材、設計構造により強弱を付けたもの
である。

【０００３】また従来の腰部帯を機能面から大別する
と、 (a) 腰椎を固定し全く屈曲しないようにしたもの (b) 腰椎の屈曲を制限し過度の屈曲を防止しようとする
もの (c) 腰部全体を圧迫し筋群の緊張を高め腰椎に加わる負
荷を軽減するもの がある。

【０００４】(a)は主に腰椎の手術を行った後リハビリ
へ移行する際装着するもので、ギプスコルセット、オー
ダーメードのダーメンコルセット等がある。これらのも
のは、腰椎をいかに動かなく固定するかが最大の目的の
ため、装着中蒸れたり、部分的に圧迫があったりして装
着感は好ましくない。

【０００５】(b)は中程度の腰痛疾患を対象とし、軟性
コルセットと称されるもので、既製品でありながらいか
に (a)と類似の機能を持たせるかという点で素材、構造
設計されるものであるが、これらのものも (a)と同様の
欠点を有している。

【０００６】(c)は軽度の腰痛疾患を対象とし、伸縮性
又は軟伸縮性素材をベルト状にしたものであるが、腰痛
の予防又は治療用としては機能的に不十分なものであ
る。

【０００７】一方最近の腰痛の予防や治療に対する医学
的対処方法に変化があり、炎症期間を過ぎた場合は積極
的に体を動かし、その結果腰部を支えている各種筋の衰
退を防ぎ、逆に強化を計るよう適当な運動を奨励する傾
向にある。このような医学的対処方法に対しては従来の
腰部帯の素材、構造設計では腰椎の動きに追従すること
ができず、また腰痛を持ったスポーツ選手が運動すると
きに加わる衝撃に対応できる機能がなく、満足できるも
のは得ることができない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、腰痛
の治療、予防のために用いる腰部帯で、脊椎の動きに追
従しかつ支持機能を有し、さらに外部からの衝撃に対し
緩衝機能を有するものを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明においては、細長いベルト状物で両端が互い
に係止でき長手方向の少なくとも一部に伸縮性素材を用
いた本体ベルトを備え、本体ベルトのほぼ中央に緩衝性
と支持性とを有する補助材を設けたものである。

【００１０】本体ベルトの少なくとも一部分を構成する
伸縮性素材としては、柔軟で腰があり、長期間使用して
もへたりが少なく、通気性、吸湿性、伸縮性のあるもの
で、モジュラスとして２０％伸び時０．３〜１．５ｋｇ
／ｉｎｃｈ、好ましくは０．４〜０．８ｋｇ／ｉｎｃｈ
が適している。このような素材としては、ウレタン、天
然ゴム、ブタジェンゴム、クロロプレンゴム、アクリル
ニトリルゴム、又はブチルゴムの単体、コポリマー又は
変成したエラストマーの発泡体や不織布を天然繊維、半
合成繊維又は合成繊維からなるトリコット編地とラミネ
ートした伸縮布、天然ゴム糸又はポリウレタンゴム糸を
織物又は編物に用いた伸縮布がある。例えば、ポリウレ
タンの不織布で目付１００〜２５０ｇ／ｍ² のものに片
面に綿トリコット、他面にナイロントリコット又は伸縮
ナイロンパイルをラミネートした生地、或いは、１〜２
ｍｍ厚の圧縮ウレタン又は１〜３ｍｍ厚のネオプレンの
連続気泡体の両面に上記と同様にラミネートした生地な
どがある。伸縮性素材は本体ベルトの長手方向の少なく
とも２５％以上占めるのが好ましく、それによって、必
要とするフィット性、締付け力を得ることができる。本
体ベルトの全長を伸縮性素材で構成してもよい。

【００１１】本体ベルトに用いる伸縮性素材以外の素材
としては、柔軟で腰があり、長期間使用してもへたりが
少なく、通気性、吸湿性のあるものが好ましく、非伸縮
性の不織布、発泡体、例えばポリエステル、レイヨン、
羊毛の１〜５ｍｍ厚、目付５０〜３００ｇ／ｍ² の不織
布、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の１〜５ｍｍ厚の
エラストマー性のない又は小さい発泡体、の少なくとも
片面に伸縮性のないトリコット生地、織物をラミネート
したもの、伸縮性素材に用いるエラストマーに非伸縮性
の生地をラミネートしたものがある。

【００１２】緩衝性と支持性とを有する補助材として
は、適度の弾力性があり長期間使用しても塑性変形しな
いもので硬度（ＪＩＳ Ｋ−６３０１）５〜５０、圧縮
残留歪（ＪＩＳ Ｋ−６７６７）２０以内のものが好ま
しく、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレ
タン、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ポリクロロプレ
ン、ネオプレンゴム、ポリアクリルゴム等の単体又は変
性材からなる発泡体がある。補助材は、本体ベルトのほ
ぼ中央で脊椎を中心として少なくとも両側に５ｃｍずつ
の幅、すなわち１０ｃｍ以上の幅から全体の２／３を被
覆できる幅、好ましくは両脇腹までを被覆する幅がよ
く、高さは本体ベルト幅又はそれよりやや短いものが好
ましい。また厚みは５ｍｍ以上、好ましくは８ｍｍ以上
がよい。これらの値は支持性すなわち剛性を得るのに必
要な値である。補助材の形体はシート状又は着用者の体
形に合わせた成形物であってよく、数分割したり、切込
みを入れたりすることも可能である。補助材の本体ベル
トへの取付けは、本体ベルトにポケットを作り、このポ
ケットにセット、縫い込み、面状ファスナーによる係
止、接着等の方法で行うことができる。

【００１３】本体ベルトは、腰部の全周を被覆すると共
にその両端が重なり会える長さが好ましい。本体ベルト
の両端は面状ファスナーで係止できるようにするのが有
利である。

【００１４】

【作用】本発明においては、補助材が腰部の背中側に位
置するように本体ベルトを腰部に巻き付け、適度の締付
力でもって本体ベルトの両端を腹側で係止して装着する
もので、本体ベルトは少なくとも部分的に用いられる伸
縮性素材により腰部にフィットし、又補助材を体形にフ
ィットさせ、補助材の有する適度の弾力性と支持性とに
より脊椎の動きによく追従すると共に脊椎を保護する。

【００１５】

【実施例】次に本発明の実施例を図面について説明す
る。

【００１６】図１ａは本発明の一実施例の正面図、図１
ｂはその背面図、図１ｃは図１ａのＣ−Ｃ線に沿う断面
図、図１ｄは図１ａのＤ−Ｄ線に沿う断面図である。１
は本体ベルトで細長いベルト状物で形成され、両側の腹
位部２、３と中央の背位部４とを備え、腹位部２は背位
部４と縫合部５により連結され、腹位部３は背位部４と
縫合部６により連結されている。腹位部２、３は伸縮性
素材からなり、図１ｃに示すように、芯材として目付１
００ｇ／ｍ² のウレタン不織布７を用い、その内側（肌
側）には綿トリコット８、外側には伸縮性ナイロンパイ
ル９をウレタン系接着剤でラミネートしてある。背位部
４は非伸縮性素材からなり、図１ｄに示すように芯材と
して腹位部と同様に目付１００ｇ／ｍ² のウレタン不織
布１０を用い、内側（肌側）には綿トリコット１１、外
側には非伸縮性のナイロントリコット１２とウレタン系
接着剤でラミネートしたものである。本体ベルト１の背
位部４には補助材１３が縫い込まれ、この補助材１３は
発泡倍率３０倍のポリエチレンで厚みが２０ｍｍ、幅１
５０ｍｍのものを用い、表面は綿トリコット１４で覆わ
れている。腹位部３の端部には面状ファスナー１５が取
り付けられ、この面状ファスナー１５は腹位部３を腹位
部２の上に重ねて腹位部２の表面上に係止することがで
きる。

【００１７】図２は本発明の別の実施例で、図１と同等
部分には同符号を付してある。本体ベルト１は両腹位部
２、３と背位部４とからなり、全体が同一の伸縮性素材
で形成されている。伸縮性素材としては芯材として厚み
３ｍｍの連続発泡のネオプレンゴムに、内側（肌側）に
綿トリコット、外側に伸縮ナイロンパイルをラミネート
したものが用いられた。補助材１３としては硬度４０、
比重０．３のニトリルゴムで厚み１０ｍｍ、幅３００ｍ
ｍのものが用いられた。両腹位部２、３の端部にはそれ
ぞれ面状ファスナー１６、１７が設けられている。

【００１８】図３は本発明のさらに別の実施例で、図２
と同等部分には同符号を付してある。本体ベルト１は図
２と同様に全体が伸縮性素材で形成されている。補助材
１３は３分割され、背筋に沿ってほぼ平行に配置されて
おり、図２の例と同一の素材で厚み２０ｍｍ、幅１００
ｍｍのものを３個用いた。

【００１９】なお補助材には、肌に接する側との反対
面、即ち外面に、プラスチック、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、又はナイロン製の弾力ステーを付加し
て、支持力を補強することもできる。

【００２０】次に本発明と従来例との装着状態における
脊椎部に対する力の作用を比較説明する。

【００２１】図４ａ、ｂは、従来の腰痛帯で剛性のステ
ーを背位部に設けた代表的な例の、装着状態におけるそ
れぞれ横断面図、側面図である。図４ａから分かるよう
に、脊椎２１の後方の両側に剛性のステー２２、２３が
位置するように本体ベルト２４を体表面２５上に巻き付
けると、両ステー２２、２３間において体表面２５は脊
椎部を最大として凹状になっているから、この脊椎部が
ずれを起こさないよう支持すべき所に空間２６が生じて
いるため、本体ベルト２４を締め付けても脊椎の安定性
を得ることができない。また図４ｂから分かるように、
実線で示す直立状態から一点鎖線で示す前屈状態になる
と、ステー２２、２３は屈曲に追従できず、ステー２
２、２３の上部２７は体表面２５より浮き上がり、ステ
ー２２、２３の中間部２８は体表面２５を圧迫し、ステ
ー２２、２３の下部２９は体表面２５より浮き上がると
いう現象が起こり、中間部２８の身体部位に強い違和感
を与える。

【００２２】図５ａ、ｂは、本発明の腰部帯の装着状態
におけるそれぞれ横断面図、側面図である。図から分か
るように、脊椎２１の近傍の体表面２５の凹部におい
て、補助材１３は本体ベルト１による押圧力により変形
し、体表面に隙間なく密着して脊椎の安定性を高める。
また図５ｂから分かるように、実線で示す直立状態から
一点鎖線で示す前屈状態になっても補助材１３は弾力的
に変形して全体が均等に体に当たり違和感を与えること
がない。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、本体ベルトが少なくと
も部分的に伸縮性素材により構成されているから適度の
圧迫力を加えながら腰部によくフィットし、かつその締
付け力により補助材をも体形にフィットさせることがで
きる。また補助材が適度の弾力性を有し、長期使用によ
っても塑性変形しない素材であるため、脊椎の複雑な形
状にフィットし、かつ脊椎部位のように緩衝性のない部
位に直接補助材が触れても痛みや違和感がなく、通常の
腰痛患者はもとより、腰部に衝撃を受けやすい運動をす
る腰痛症のスポーツ選手が着用して、腰痛の予防、治
療、腰部の保護に大なる効果をあげることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の、ａは正面図、ｂは背面
図、ｃはａのＣ−Ｃ線に沿う断面図、ｄはａのＤ−Ｄ線
に沿う断面図である。

【図２】本発明の別の実施例の正面図である。

【図３】本発明のさらに実施例の正面図である。

【図４】従来のものの装着状態におけるａは横断面図、
ｂは側面図である。

【図５】本発明の腰部帯の装着状態におけるａは横断面
図、ｂは側面図である。

【符号の説明】

１ 本体ベルト ２、３ 本体ベルトの腹位部 ４ 本体ベルトの背位部 １３ 補助材 １５、１６、１７ 面状ファスナー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 細長いベルト状物で両端が互いに係止で
   き長手方向の少なくとも一部に伸縮性素材を用いた本体
   ベルトを備え、本体ベルトのほぼ中央に緩衝性と支持性
   とを有する補助材を設けたことを特徴とする腰部帯。