JP3925948B2 - 腰痛緩和ベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば妊婦等が腰痛を防止もしくは緩和するために使用する腰痛緩和ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、腰痛を和らげ、あるいは腰痛を防止するための腰痛緩和ベルトとしては、例えば痛みの原因となる箇所を締めつけるようにして、動かないようにし、このような箇所の安静をはかるようにしたものが知られている。
【0003】
しかしながら、このような腰痛緩和ベルトの多くは、患部だけでなく腹部を圧迫してしまうので、妊婦による使用には適していない。
そこで、例えば図21に示すような腰痛緩和ベルト1も知られている。
図において、腰痛緩和ベルト1は、着用者の腰部に当接する腰部固定板2と、この腰部固定板2から斜めに延びており、使用者の腹部の下の方へまわされる弾性支持ベルト3と、この弾性支持ベルト3と、腰部固定板2との間で、図において略3角形を呈するように形成された弾性補助ベルト4とからなっている。
【0004】
このような腰痛緩和ベルト1にあっては、弾性支持ベルト3は、使用者の腹の下に回され、この箇所を押さえることになる。弾性補助ベルト4は、この弾性支持ベルト3を腰部固定板2に対して固定するとともに、上方に付勢するので、弾性支持ベルト3はズリ下がることなく、装着し得る。
これにより、このような腰痛緩和ベルト1にあっては、着用者の腹部を圧迫することがなく、腹式呼吸を妨げるといった有害な影響を与えることなく、腰痛の防止,もしくは緩和を行うことができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の腰痛緩和ベルト1にあっては、弾性補助ベルト4を有していても、結局、使用者の身体に対して図21の矢印に示すように、斜め下方に沿った方向に支持力を働かせるので、弾性支持ベルト3が徐々に下がっていくことを十分に防止し得ない。
特に、妊婦の場合、腹部の膨張は、身体の可なり上の方で始まることから、支持ベルト3は下がりやすく、十分な腰痛緩和効果を期待できないという欠点があった。
【0006】
また、図21の腰痛緩和ベルト1では、矢印に示す一方向に支持力を働かせる関係から、重い腹部を支える力を使用者の背部に十分分散させることが出来ず、この点からの腰痛緩和が小さくなってしまう。
【0007】
また、パンツタイプのガードルを一体に備えた腰痛緩和ベルトも知られているが、このようなものはどうしても妊婦の腹部を圧迫することを避けられず、このため身体に悪影響を与える。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、腹部の重さを支える力を分散させることができ、腰痛を緩和する効果が大きいとともに、着用者の身体に対して無理なく装着が可能な腰痛緩和ベルトを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、着用者の背部に対応して設けられる背当て部と、この背当て部に結合されて、着用者の腹部上部付近に装着されると共に、少なくとも一部が、長さ方向に伸縮可能で、長さ調節可能に構成された第1の帯部と、前記背当て部及び第1の帯部の外側から固定され、前記背当て部の外側であって、該背当て部の上部領域に固定されていて、しかも該背当て部から斜め下方に延びるように設けられ、前記背当て部から斜め下方に延びるように設けられ、前記着用者の腹部の重さ受けることができるように、前記第1の帯部よりも大きな幅を有し、前記第1の帯部は、展開状態において、前記背当て部からほぼ水平に延びており、且つ前記第1の帯部は、右側帯部と左側帯部とからなり、着用者の腹部上部付近に回して前記右帯部と左帯部とを固定することにより装着する構成とされ、また前記第2の帯部は、右側帯部と左側帯部とからなり、着用者の腹部下部付近に回して前記右帯部と左帯部とを固定することにより装着する構成とされ、第1の帯部を着用者の腹部の上部に装着した後で、第2の帯部を腹部の下部に位置するように装着することで、前記第1の帯部と前記第2の帯部にて着用者の腹部の重量を、着用者の背部に導いて支持する構成とされている腰痛緩和ベルトにより、達成される。
【0010】
【0011】
【0012】
また、好ましくは、前記背当て部は、縦方向に沿って支持部材が設けられている板部材を有している。
【0013】
【0014】
前記第1の帯部は複数本に分離されていてもよい。
【0015】
【作用】
上記構成によれば、本発明の腰痛緩和ベルトにおいては、使用者の背部に対応して設けられた背当て部に、第1の帯部と第2の帯部が結合されている。
このため、支持しようとする腹部の重みを背当て部に関して斜め上方の方向及び斜め下方の方向に分散させることができ、背当て部が当接する着用者の背中に縦方向の荷重がかかるので、より有効に腰の負担を軽減できる。
【0016】
特に、第1の帯部及び/又は第2の帯部の少なくとも一部が伸縮自在に構成されている場合には、使用者の腹部の重みを身体に対して弾性的に無理なく支持させることができる。
【0017】
また、第1の帯部と第2の帯部とをそれぞれ右帯部,左帯部で形成すると、使用者の身体に回しやすく、しかも左右帯部の固定位置をずらすことにより、長さの調節も容易に行える。
【0018】
背当て部に縦方向に沿って支持部材を設ければ、腹部の重みを使用者の背部においてより広い範囲で支持することができ、その分一層腰への負担を減らすことが可能となる。
【0019】
【0020】
【実施例】
以下、この発明の好適な実施例を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1乃至図3は、本発明による腰痛緩和ベルトの第1の実施例を示しており、図1は全体の平面図、図2は分解図、図3は裏面図である。
これらの図において、腰痛緩和ベルト10は、第1の帯部11、背当て部14、第2の帯部17とを有している。
【0022】
第1の帯部11は、後述するように使用者の腹部の上部に回すようにして装着し得るように十分な長さと幅を備えている。
この第1の帯部11は、使用者が腰痛緩和ベルト10を装着した状態で、使用者の右側に位置するやや長く形成された右帯部12と、左側に位置するやや短く形成された左帯部13とを備えている。この右帯部12と左帯部13との間は、図2に示すようにやや広く形成されて所定の面積を有する接続部11aが設けられている。
【0023】
第1の帯部11は、好ましくは長さ方向に伸縮性のある帯状の部材でなり、本実施例では、主としてストレッチテープを用いている。そして、図示のように、装飾のため、このストレッチテープにストレッチレースを配して形成されている。 これ以外にも、パワーネット,トリコネット,ベア天竺等の素材を適宜用いることができる。
【0024】
第2の帯部17は、使用者の後述するように、腹部の下部にまわして装着するのに十分な長さを備え、かつ腹部の重みを十分に受けることができる幅に形成されている。
この第2の帯部17は、装着した状態で使用者の右側に位置する右帯部19と、左側に位置する左帯部18とを備えている。
【0025】
この第2の帯部17も、好ましくは長さ方向に伸縮性のある帯状の部材でなり、本実施例では、主としてストレッチテープを用いている。そして、図示のように、装飾のため、このストレッチテープにストレッチレースを配して形成されている。これ以外にも、パワーネット,ツーウェイトリコット,トリコネット等の素材を適宜用いることができる。
ここで、ストレッチテープは、ナイロン,ポリエステルにポリウレタン等の弾力糸を編み込んだ伸縮性あるテープである。
ストレッチレースは、ナイロン,ポリエステルにポリウレタン等の弾力糸を編み込んだ伸縮性あるレースであり、ここでは、ストレッチテープと併用することにより、このストレッチテープの伸びを適度に制限するのに用いている。
パワーネットもこのような材質と同じもので形成しているが、さらに弾力性に富んだ布地である。
トリコネットは、ナイロンやポリエステルと、綿糸とにより肌触りが良くなるように形成した糸に、ポリウレタン等の弾性糸を編み込んだ伸縮性に富む布地である。
【0026】
背当て部14は、本実施例では、図示のように縦方向に長いほぼ長円形に形成された板14として、ある程度丈夫で伸縮することのない比較的固い素材が用いられている。即ち、本実施例では針抜きネット等の固い繊維が用いられているが、これに限らず、プラスチックスやゴム材料等を用いてもよい。
この背当て部の板14は、後述するように、使用者により腰痛緩和ベルト10が用いられる際に、この使用者の腰より上で背中の下部に対応する部分に当接される。したがって、好ましくは、当該部位に沿った形状に立体的に形成されている。
【0027】
そして、これらの各部材,即ち第1の帯部11、第2の帯部17、背当て部の板14は図2に示すように重ねられて、固定される。
即ち、第2の帯部17に背当て部の板14を重ね、さらにその上に第1の帯部11の接続部を重ねて、例えば縫着等の手段により一体に固定されている。
この場合、さらに、背当て部の板14には、金属製のボーン14a,14bを縦方向に沿ってワイヤーループにてくるむことにより、固定するようにしている。これにより、本腰痛緩和ベルト10を装着した場合に、板14が着用に伴って折れたり、よれたりすることを防止し、縦方向の支持力が増大するようになっている。
尚、このような補強は、金属ボーンに限らず、プラスチックス等のボーンにより構成してもよい。
【0028】
さらに、図2に示すように、第1の帯部の右帯部12の端部には面ファスナーの雌部材12aが、左帯部13の端部には面ファスナーの雄部材13aがそれぞれ固定されている。
また、第2の帯部の右帯部19の端部には面ファスナーの雌部材19aが、左帯部18の端部には面ファスナーの雄部材18aがそれぞれ固定されている。
尚、固定手段としては他にフックアイ等の種々の金属もしくは非金属の留め具を用いてもよいことは勿論である。
【0029】
図4乃至図5はこのような腰痛緩和ベルト10を使用者Pが装着した状態を示している。
即ち、図4は、腰痛緩和ベルト10を装着した状態の正面から見た斜視図、図5は後ろから見た斜視図である。
【0030】
この腰痛緩和ベルト10を装着する場合を、使用者として妊婦を例に説明すると、先ず、背当て部の板14を背中の対応する箇所に当てて、第1帯部11を腹部の上に巻く。
具体的には、左帯部13を身体の左側面に回し、右帯部12の身体の右側面に回して、それぞれの端部を図6に示すように身体の側面の位置で固定する。この場合、左帯部13の端部は、身体の左側部のやや前よりの位置になり、これに対して右帯部12の端部を重ねるようにする。
このような位置で固定できるように左帯部13及び右帯部12の長さを設定しておくと、妊婦Pの腹部が膨張していても比較的装着しやすい。
【0031】
このとき、左帯部の端部12aがかなり大きめの面ファスナー部材で形成されていると、これに固定されるべき右帯部の端部13aは、長さ方向に適宜の位置で固定されることができる。
したがって、使用者Pの体型もしくは体型の変化に対応して、固定位置を調整することができるので、妊娠後の期間経過に応じて常に適切な位置に固定することができる。
フックアイの場合は、メス金具を設ける場合に長さ方向に数列段階的にもうければ、略同一の目的を達成できるが、面ファスナーは無段階に調整できる点でより優れている。
【0032】
次に、第2帯部17を妊婦Pの腹部の下部に位置するようにして身体周囲に巻く。
具体的には、腹部の膨張,突出状態に応じて、この膨張部の下側に沿うようにして、右帯部19を身体の左側面に回し、左帯部18を身体の右側面に回す。そして、図6に示すように、左帯部の端部18aの面ファスナーに対して右帯部19の端部である面ファスナー19aを重ねて固定する。
この場合、第1帯部11と同じように、ファスナーによる固定位置を調整し得るように、ファスナーの雌部材18aの面積を大きめに作っておけば、使用者Pの体型もしくは体型の変化に対応して固定位置を長さ方向に調整することができる。
【0033】
本実施例の腰痛緩和ベルト10はこのように装着されることにより、図5に示すように、膨張した腹部の重みを第1の帯部11により背中からやや上方の方向の力Aと第2の帯部17による背中からやや下方に向かう力Bとに分解して、板14に伝える。
言い換えると、板14に係る荷重は、第1の帯部11による矢印Aの力と、第2の帯部17による矢印Bの力により引っ張られて、この板14においては図示されているように、着用者Pの腰より上の背中の部分において矢印Cで示すような縦方向の力として働く。
このため、使用者Pは腰部への負担を大幅に低減でき、腰痛の防止もしくは緩和がなされる。
【0034】
この場合、本実施例の腰痛緩和ベルト10にあっては、腹部の荷重を第1及び第2の帯部11,17によって、複数に分散できることから、確実に荷重は背中へ集まる。これに対して、図21にて示した従来の腰痛緩和ベルトのように、下方に延びる帯部だけで腹部の重みを背中に導く場合には、背中への荷重の移動が不十分で、一部の荷重は腰部に導かれてしまい、その分腰痛緩和の効果が小さい。
【0035】
さらに、本実施例のように、上部に第1の帯部11が設けられていると、その分荷重を上方で支持するので、腹部の下部に回した帯部のズリ下がりも有効に防止される。
【0036】
さらに、本実施例の腰痛緩和ベルト10では、パンツタイプのガードルをベルトと組み合わせていないから、膨張し、変化する妊婦の腹部を必要以上に締めつけることがなく、腹式呼吸の妨げとならない等、健康上非常に有利であり、装着感においても優れている。
【0037】
図7は本実施例の変形例を示している。
全体の構成は前述の腰痛緩和ベルト10と同じであるが、この腰痛緩和ベルト20では、以下の点が相違している。
即ち、第2の帯部17の一部に、例えば斜線にて領域を示すようにストレッチ性に富んだ材料,例えば特にこの部分だけパワーネット等を適用してもよい。
【0038】
これにより、第2の帯部17が腹部下部もしくは下腹部の適宜な位置に、好適にフィットさせることができる。
さらに、この第2の帯部17は、図示のような傾斜角度でなく、例えば腰骨にかかるような角度に設定すると、妊婦だけでなく、広く一般の人々の腰痛緩和に好適に用いることができる。
【0039】
図8は本発明の腰痛緩和ベルトの第2の実施例を示しており、図8(a)は展開図、図8(b)は第2の帯部の右帯部39の要部拡大図である。
図において、第1の実施例と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから重複する説明は省略し、相違点を中心に述べる。
【0040】
第2の帯部の右帯部39、左帯部38は長さ方向に微調節できるようになっている。
図8(b)に示すように、これらの帯部には複数の長さ調節手段が設けられており、この長さ調節手段は帯部の表面に隣あった領域に面ファスナーの一方31と、面ファスナーの他方32が形成されている。
この面ファスナーの他方領域は、図示されているように帯部本体とは別の層をなすように、かつ隣合う領域との境が固定されて、先端側がフリーとなっている。
【0041】
この自由端側であるフリーの部分を適宜ずらして面ファスナーの一方の領域の適宜の箇所に固定されることにより、第2の帯部はその長さ方向の複数箇所で任意に長さ及び角度が調節ができるようになっている。
したがって、図9に示されているように、この実施例の腰痛緩和ベルト30は、第1の実施例の効果に加えて、着用者の腰や腹部のカーブに対応して、より適切に第2の帯部のフィット状態を調節することが可能であるという効果を奏する。
【0042】
図10及び図11は腰痛緩和ベルトの参考例1を示している。
図において腰痛緩和ベルト第2の帯部47の左帯部48と右帯部49の上部に扇状に形成され、腹部を無理なく被覆することができるようになされた腹部カバー42,41がそれぞれ設けられている。
これら腹部カバーは、伸縮性とフィット性に優れた素材が選択され、例えばツーウェイトリコット,ストレッチメッシュ,ベアー天竺等が好適に用いられる。
【0043】
この例においては、図11の装着状態を示す図に表れているように、腹部カバー41,42の上辺が第1の帯部に相当する。そしてこれら腹部カバー41,42の端部にはそれぞれ、例えば面ファスナーの雄部材41a、面ファスナーの雌部材42aが設けられており、図11に示すように固定可能となっている。
【0044】
一方第2の帯部47にあっては、右帯部49、左帯部48には、それぞれ着用者の腸骨に当たる箇所に伸縮性に富んだ素材を図示のように三角形状に形成したフォット部43,44をそれぞれ設けている。また、腹部に当たる領域にはダーツ45,46を設けてまちを形成している。
【0045】
この例では、腰痛緩和ベルト40を図11に示すように着用者が装着することによって、腹部カバー41,42が妊婦の腹部を無理な締めつけをすることなく被覆して保護し、当該腹部が冷えたりすることを効果的に防止できる。
さらに、この状態で第2の帯部47は、より確実かつ無理なく腹部下部に固定されることになる。
【0046】
図12は本発明の腰痛緩和ベルトの第3の実施例を示している。
図12(a)は、腰痛緩和ベルト50の裏側から見た展開図であり、同図において、腰痛緩和ベルト50は、第1の実施例と比較すると、第1の帯部51の構成が異なっている。
本実施例においては、第1の帯部51の右帯部53が、伸縮性に富んだ材料,例えばパワーネット,トリコネット,ベア天竺等で形成された第1の部分53aと他の実施例と同一の材質で形成された第2の部分53bとからなっている。
【0047】
同様に第1の帯部51の左帯部52も伸縮性に富んだ材料で形成された第1の部分52aと他の実施例と同一の材質で形成された第2の部分52bとからなっている。
さらに、背当て部に対応する箇所の上辺51aが、図示されているようにR状に形成されており、この部分が着用者の背中の上部に当たったときに、無用な刺激を与えないようになっている。
【0048】
したがって、本実施例においては、図12(b)に示すように、腰痛緩和ベルト50を装着すると、第1の帯部51の右帯部及び左帯部の上記各第1の部分53b,52bの作用により、腹部の上部近傍にしっかり装着される。これにより、特に第1の帯部52の装着ズレが生じることが有効に防止される。
【0049】
図13は腰痛緩和ベルトの参考例2を示している。
図13(a)は腰痛緩和ベルト60の裏側から見た展開図である。図において腰痛緩和ベルト60は第1帯部61、第2の帯部17を備え、それぞれ各右帯部63,19、左帯部62,18を有している。
【0050】
この例にあっては、さらに、第1の帯部61と第2の帯部17の間に腹部カバー64が形成されており、この点で上述の参考例1と近似している。
しかしながら、この例では、この腹部カバー64は、図13(a)に図示されている状態とは実際には異なっており、エンドレスに形成されている。
即ち、同図は便宜的に展開したものであり、この腹部カバー64は、左右に別れていないので、図13(b)に示されているように、筒状につながっている。そして、図示されているように表面に襞ができるように、布地に余裕をもたせている。
【0051】
したがって、腰痛緩和ベルト60では、特に腹部を保温することができるとともに、従来のガードルタイプのように履くことによって装着できるので、着用が簡単である。しかもガードルタイプのようにパンツ形式ではなく、しかも布地に襞ができるように余裕をもたせているから、腹部を不必要に締めつけることがない。
【0052】
図14は、本発明の腰痛緩和ベルトの第4の実施例を示している。
図14(a)の裏面から見た展開図に示されているように、本実施例の腰痛緩和ベルト70が第1の実施例と異なるのは第1の帯部71の構成である。
本実施例では、第1の帯部71は、その右帯部73と左帯部72が共に先端側に二股に分離されている。
【0053】
具体的には、右帯部73の上分離帯74はその先端部に面ファスナーの雌部材74aが形成されている。そして下分離帯75にも先端に面ファスナーの雌部材75aが形成されている。
左帯部72の上分離帯76はその先端部に面ファスナーの雄部材76aが形成されている。そして下分離帯77にも先端に面ファスナーの雄部材77aが形成されている。
【0054】
したがって、使用者の腹部の形状に応じて、第1の帯部71をよりよくフィットさせることができる。
具体的には、例えば妊婦が使用する場合に、お腹の中の胎児が妊娠初期において上の方にいるときには、上分離帯74,76を緩くして、下分離帯75,77を比較的つよく締めるようにする。
また、胎児が下がってきたら、逆に上分離帯74,76を締め、下分離帯75,77を緩める。
このように、本実施例の腰痛緩和ベルト70では、第1の実施例の効果とは別に、さらに上述のように、使用者の体型や、特に妊婦の場合に妊娠の時期に対応して適切な装着が可能である。
【0055】
図15は、本発明の腰痛緩和ベルトの第5の実施例を示している。
図15(a)は、腰痛緩和ベルト80を裏面から見た展開図である。図において、本実施例の腰痛緩和ベルト80は、第1に実施例と比較すると、第1の帯部の構成が異なっている。
【0056】
この腰痛緩和ベルト80では、第1の帯部81の右帯部83及び左帯部82の裏面の下辺に沿って、すべり防止部83a,82aがそれぞれ設けられている。
これらのすべり防止部83a,82aは、摩擦係数が高い素材を適宜選択して使用され、例えばウレタン系の素材等が適している。
そして、このようなすべり防止部83a,82aは、第1の帯部の下辺付近だけでなく、第1の帯部81の裏面全体に設けてもよい。
【0057】
したがって、本実施例の腰痛緩和ベルト80は、第1の実施例と同等の効果を発揮する。さらに、これに加えて、図15(b)に示すように使用者Pによって装着された場合には、すべり防止部82a,83aにより第1の帯部81が使用中に上へズレてしまうことがなく、正しい装着状態を維持することが可能となる。
【0058】
図16は、本発明の腰痛緩和ベルトの参考例3を示している。
図16(a)は腰痛緩和ベルト90の裏面から見た展開図、図16(b)は使用状態を示す一部側面図である。
この腰痛緩和ベルト90は、第1の帯部91の左帯部92と第2の帯部97の右帯部99とが適切に変化する幅を有する長い一枚の帯として、一体に形成されている。同様に、第1の帯部91の右帯部93と第2の帯部97の左帯部98とが予め設定された形状に仕上げられた一枚の長い帯状に一体に形成されている。
本例においては、この一体に形成した帯部同士を図示されているように、交差状態で重ねて、重合部94を縫着等により固定することにより形成されている。
そして、上記重合部94が使用者の背中に当接される背当て部を構成している。
【0059】
したがって、第1の実施例のように第1及び第2の帯部の左右端部に面ファスナー等の固定手段を取り付けることにより、第1の実施例と同様に使用することができ、同等の効果を発揮する。
ここで、本例の腰痛緩和ベルト90では、第1の帯部91の左帯部92と第2の帯部97の右帯部99とが一体に形成され、第1の帯部91の右帯部93と第2の帯部97の左帯部98とが一体に形成されている。これにより、構成部材の点数を少なくすることができ、きわめて容易に製造することができる。
尚、図示の例では、背当て部の板部材を用いていないが、必要により、第1の実施例のような板14を加えてもよい。
【0060】
図17は本発明の腰痛緩和ベルトの参考例4を示している。
図において、腰痛緩和ベルト100は、図17の展開図に示すように、第1の帯部101、第2の帯部107、背当て部104が全て一体に構成されている。
このように構成するためには、例えばパワーネット,ツーウェイトリコット等の伸縮性のある素材を、図17に示す形状の型紙をもとに裁断したり、あるいはプラスチックス等の適宜の素材を一体に打ち抜いたりして形成することができる。
【0061】
これにより、面ファスナー等の各固定手段等を除き、腰痛緩和ベルトの略全ての部材を一体に形成できるので、その分製造が容易であり、コストの低下を図ることが可能となる。
尚、このようにしてつくられた腰痛緩和ベルト100にあっても、同一の構成部分を備える以上第1の実施例と同等の効果を発揮できることは言うまでもない。
【0062】
図18及び図19は、本発明の腰痛緩和ベルトの第6の実施例を示している。
ここで、図18(a)は腰痛緩和ベルト110の裏面の展開図、図18(b)はその分解図である。
図18(a)に示されているように、この腰痛緩和ベルト110の第1の帯部111と、背当て部114は一体に形成されている。図18(b)に示すように、背当て部114の裏面には面ファスナーの雄または雌部材114bが縫着等の手段により設けられている。
【0063】
一方、第2の帯部117の右帯部119と左帯部118が交差して一体となった箇所の表側には上記面ファスナーと対となる面ファスナーの雄または雌部材117aが設けられている。
これによって、この背当て部114の面ファスナー部114bと第2の帯部117の面ファスナー部117aとは任意の位置にて固定できるようになっている。
また、背当て部114には縦方向に2箇所ボーン挿通部115,116が形成されており、補強処理がなされている。
【0064】
したがって、本実施例の腰痛緩和ベルト110にあっては、背当て部11の面ファスナー部114bと第2の帯部117の面ファスナー部117aとの固定位置を図18の矢印方向に調整することができる。
このため、図19に示されているように、装着状態において、第1の帯部111と、第2の帯部117の装着位置が身体に関して上下の方向に可変できることとなる。
これにより、本実施例の腰痛緩和ベルト110にあっては、第1の実施例の効果に加えて、使用者の体型もしくは体型の変化に応じて、適切な箇所に第1の帯部111と第2の帯部117とを装着することができるという利点を有する。
【0065】
図20は、本発明の腰痛緩和ベルトの第7の実施例を示している。
本実施例において、第1の実施例と構造的に共通する箇所は同じ符号を付して重複する説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施例の腰痛緩和ベルト120においては、背当て部の板124にマグネット125を固着している。
即ち、本実施例にあっては、第1の実施例に加えて、板124にマグネットを設けた点が異なる。このマグネット125は、腰痛緩和ベルト120を装着したときに、図20(b)にMで示すように、使用者の腰の近傍,即ち、身体の痛みをともなう箇所に近接するような位置に設けられている。
したがって、マグネット125を設ける位置は、患部の種類等に応じて図示の位置に限らず、適切な位置が選択される。また、その患部の種類等に応じて磁界の強さを選定して、適切なマグネットを選択するようになっている。
【0066】
これにより、本実施例にあっては、腹部の重みをベルトにより支持して背中で支えるようにするだけでなく、同時にマグネット125の磁界の作用により、腰痛の原因となる患部への治療効果を有する。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、腰痛の原因となる腹部等の重みを効率良く背中で支持できるようにし、且つ装着位置のズレを生じない腰痛緩和ベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による腰痛緩和ベルトの第1の実施例を表側から見た展開図である。
【図2】 図1の腰痛緩和ベルトの分解図である。
【図3】 図1の腰痛緩和ベルトの裏から見た展開図である。
【図4】 図1の腰痛緩和ベルトを装着した状態を斜め前から見た一部拡大斜視図である。
【図5】 図1の腰痛緩和ベルトを装着した状態を斜め後から見た一部拡大斜視図である。
【図6】 図1の腰痛緩和ベルトの装着方法を示す斜視図である。
【図7】 図1の腰痛緩和ベルトの変形例を示す斜視図である。
【図8】 腰痛緩和ベルトの第2の実施例を示す展開図である。
【図9】 図8の腰痛緩和ベルトを装着した状態を示す図である。
【図10】 腰痛緩和ベルトの参考例1を示す展開図である。
【図11】 図10の腰痛緩和ベルトを装着した状態を示す図である。
【図12】 腰痛緩和ベルトの第3の実施例を示す図である。
【図13】 腰痛緩和ベルトの参考例2を示す図である。
【図14】 腰痛緩和ベルトの第4の実施例を示す図である。
【図15】 腰痛緩和ベルトの第5の実施例を示す図である。
【図16】 腰痛緩和ベルトの参考例3を示す図である。
【図17】 腰痛緩和ベルトの参考例4を示す図である。
【図18】 腰痛緩和ベルトの第6の実施例を示す図である。
【図19】 図18の腰痛緩和ベルトを装着した状態を示す図である。
【図20】 腰痛緩和ベルトの第7の実施例を示す図である。
【図21】 従来の腰痛緩和ベルトの一例を示す図である。
【符号の説明】
10 腰痛緩和ベルト
11 第1の帯部
12 左帯部
13 右帯部
14 板(背当て部)
17 第2の帯部
18 左帯部
19 右帯部

Claims (3)

  1. 着用者の背部に対応して設けられる背当て部と、
    この背当て部に結合されて、着用者の腹部上部付近に装着されると共に、少なくとも一部が、長さ方向に伸縮可能で、長さ調節可能に構成された第1の帯部と、
    前記背当て部の外側であって、該背当て部の上部領域に固定されていて、しかも該背当て部から斜め下方に延びるように設けられ、前記着用者の腹部の重さ受けることができるように、前記第1の帯部よりも大きな幅を有し、前記着用者の腹部下部付近に装着されると共に、少なくとも一部が、長さ方向に伸縮可能で、長さ調節可能に構成された第2の帯部と
    を有し、
    前記第1の帯部は、展開状態において、前記背当て部からほぼ水平に延びており、
    且つ前記第1の帯部は、右側帯部と左側帯部とからなり、着用者の腹部上部付近に回して前記右帯部と左帯部とを固定することにより装着する構成とされ、
    また前記第2の帯部は、右側帯部と左側帯部とからなり、着用者の腹部下部付近に回して前記右帯部と左帯部とを固定することにより装着する構成とされ、
    第1の帯部を着用者の腹部の上部に装着した後で、第2の帯部を腹部の下部に位置するように装着することで、前記第1の帯部と前記第2の帯部にて着用者の腹部の重量を、着用者の背部に導いて支持する構成とされている
    ことを特徴とする腰痛緩和ベルト。
  2. 前記背当て部は、縦方向に沿って支持部材が設けられている板部材を有することを特徴とする請求項1に記載の腰痛緩和ベルト。
  3. 前記第1の帯部は、複数本に分離されていることを特徴とする請求項1または2に記載の腰痛緩和ベルト。
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