JP2005042225A - 妊婦および経産婦用支持具 - Google Patents

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JP2005042225A JP2003201147A JP2003201147A JP2005042225A JP 2005042225 A JP2005042225 A JP 2005042225A JP 2003201147 A JP2003201147 A JP 2003201147A JP 2003201147 A JP2003201147 A JP 2003201147A JP 2005042225 A JP2005042225 A JP 2005042225A
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Abstract

【課題】使用者が妊娠している時から出産した後において、大きくなった腹部を支えることができるとともに、腰痛の発生を軽減することができる妊婦および経産婦用支持具を提供すること。
【解決手段】少なくとも妊娠中の使用者Mの腹部1の下方位置に配置可能である支え帯部材20であり、支え帯部材20を固定するための支え帯部材固定部21を有する非伸縮性の支え帯部材20と、使用者Mの腰部2に配置可能な腰部部材30であり、腰部部材30の外面に腰部部材30を固定するための腰部部材固定部35を有する非伸縮性の腰部部材30と、長さ調整手段57が設けられ、伸縮性を有するベルト部材40の内面には、支え帯部材20の支え帯部材固定部21と腰部部材30の腰部部材固定部35を選択的に着脱自在に固定するためのベルト部材固定部56を有する、ベルト部材40は支え帯部材20または腰部部材30を選択的に着脱自在に固定される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、妊娠中もしくは出産後の使用者が着用することにより、使用者の腹部と腰部をサポートするための妊婦および経産婦用支持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
妊娠から出産までの間、女性の腹部には胎児の成長に伴って所謂妊娠脂肪が形成され、胎児を保護するようになっている。また、出産の直後において、子供の頭の大きさくらいにまで大きくなった子宮は、短期間のうちに鶏卵くらいの大きさにまで収縮する。このため、産褥期の間に腹部を自由にすると、妊娠脂肪のため妊娠肥満をおこす原因となる。さらに、腹部の膨らみに伴って妊娠中に腰痛が発生することがある。
【0003】
使用者が妊娠している時には、大きくなった腹部を下側から支えて、膨らんだ腹部による腰への負担を低減して腰痛を和らげると共に、腹部を安定して保護することが望ましい。このため、この腹部を支えるための支え帯が必要となり、この支え帯が提案されている(たとえば特許文献1)。
また、出産後1ヵ月程度は子宮を収縮させて、体型を補正するために、腹部を圧迫する必要がある。
さらに、妊娠中の使用者には、腰痛の発生が多く見られるために、腰部を固定するためのベルトが必要であり、このようなベルトが提案されている(たとえば特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−19560号公報(第3頁乃至第5頁、図4)
【特許文献2】
特開平10−46406号公報(第3頁乃至第5頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、妊娠時に大きくなった腹部を支えるために支え帯が提案されており、腰痛が発生した場合には腰部の固定ベルトが提案されているが、妊娠時から出産後における女性の体の変化に応じて、妊娠中の腹部を支え、出産後の腹部の戻りを促すと共に、腰部を固定するという体形の変化段階における、いずれに対しても使用することができる妊婦および経産婦用支持具は提案されていない。
そこで本発明は上記課題を解消し、使用者が妊娠している時から出産した後において、大きくなった腹部を支えることができるとともに、腰痛の発生を軽減することができる妊婦および経産婦用支持具を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、少なくとも妊娠中の使用者の腹部の下方位置に配置可能である支え帯部材であり、前記支え帯部材を固定するための支え帯部材固定部を有する非伸縮性の前記支え帯部材と、前記使用者の腰部に配置可能な腰部部材であり、前記腰部部材の外面に前記腰部部材を固定するための腰部部材固定部を有する非伸縮性の前記腰部部材と、長さ調整手段が設けられ、伸縮性を有するベルト部材であり、前記ベルト部材の内面には、前記支え帯部材の前記支え帯部材固定部と前記腰部部材の前記腰部部材固定部を選択的に着脱自在に固定するためのベルト部材固定部を有する前記ベルト部材と、を備え、前記ベルト部材は、前記支え帯部材または前記腰部部材が選択的に着脱自在に固定されることを特徴とする妊婦および経産婦用支持具である。
【0007】
上記構成によれば、非伸縮性の支え帯部材は、少なくとも妊娠中の使用者の腹部の下方位置に配置可能である。この支え帯部材は、支え帯部材を固定するための支え帯部材固定部を有している。
非伸縮性の腰部部材は、使用者の腰部に配置可能である。この腰部部材は、その外面に腰部部材を固定するための腰部部材固定部を有している。
ベルト部材は、長さ調整手段が設けられ、伸縮性を有している。ベルト部材は、その内面には支え帯部材の支え帯部材固定部と、腰部部材の腰部部材固定部とを選択的に着脱自在に固定するためのベルト部材固定部を有している。
ベルト部材は、支え帯部材または腰部部材を選択的に着脱自在に固定できるようになっている。
【0008】
これにより、ベルト部材に対して支え帯部材を着脱可能に固定することにより、支え帯部材は、少なくとも妊娠中の使用者の腹部の下方位置に配置して、大きくなった腹部を確実に支持することができる。
また腰部部材をベルト部材に対して着脱可能に固定して、腰部部材は使用者の腰部に配置することにより、腰痛の軽減を図ることができると共に、ベルト部材を締めることによって下腹部を押えることで、子宮の収縮や下腹部の補正を促す。
しかも、ベルト部材の長さ調節手段によって、長さを調整して装着することが可能とされており、ベルト部材が伸縮性を有することで適切な状態に維持されるため、妊娠から出産および産後という急激な使用者の体形の変化に応じて装着することができる。
このようにして、本発明の妊婦および経産婦用支持具は、妊娠中の使用者の腹部を支えることができるとともに、妊娠中もしくは出産後において女性の体に発生する腰痛の軽減が図れ、妊娠から出産後における女性の体の変化に応じて腹部と腰部のいずれも確実に支持することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記支え帯部材の上端縁が上方に向けて湾曲しており、前記支え帯部材の下端縁の略中央部には上方にのびる縫合線が配置されるとともに、前記下端縁が上方に湾曲するようにして前記上端縁と前記下端縁が略平行とされていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、支え帯部材の上端縁が上方に向けて湾曲している。支え帯部材の下端縁の略中央部には上方にのびる縫合線が配置されているとともに、前記下端縁が上方に湾曲するようにして上端縁と下端縁が略平行になっている。
これにより、上端縁と下端縁が略平行で上端縁が凸状に湾曲していることから、下端縁は凹状になっている。下端縁が凹状になっているので、下端縁が下腹部に食い込むことを防ぐ。上端縁が凸状になっていて上端縁と下端縁が略平行に形成されているので、支え帯部材は腹部をバランスよく支えることができる。
しかも、上方にのびる縫合線が配置されているため、立体的に支え帯部材が形成されることとなり、膨らんだ下腹部にフィットして支えることができる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明の構成において、前記腰部部材は、縦方向に沿って二本の骨格部を有し、前記腰部部材の下端の両端部が凸状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、腰部部材は、縦方向に沿って二本の骨格部を有している。腰部部材の下端部の両端部が凸状に形成されている。
これにより、二本の骨格部は、背骨に沿って配置させることができ、立った状態等の背中や骨盤にかかる負担を低減するよう補助することとなる。しかも、腰骨の形状に合わせてのびている凸状の下端の両端部によって、腰部部材が骨盤を覆って補助し、確実に腰部を支えることができる。
【0013】
第4の発明は、第1の発明の構成において、前記ベルト部材は、前記ベルト部材固定部が形成された領域が最も広い幅となるよう構成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、ベルト部材固定部が形成されたベルト部材の領域が、他の領域よりも幅広とされている。
これにより、支え帯部材や腰部部材が取り付けられ、ベルト部材において最も保持する力が必要となる領域が、広い幅を有する保持面となり、腹部や腰部に対する保持力を高めることが可能とされると共に、支え帯部材や腰部部材が使用時にずれることが無く、確実に固定することができる。
【0014】
第5の発明は、第1の発明の構成において、前記ベルト部材の略中央領域に前記ベルト部材固定部が形成されており、前記ベルト部材の一方の端部に端部固定部が形成され、前記ベルト部材の他方の端部領域を前記端部固定部で固定するよう、前記ベルト部材の長さ調整手段が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、ベルト部材固定部がベルト部材の略中央領域に形成されている。さらに、長さ調整手段は、一方の端部に端部固定部が形成されて、他方の端部領域を端部固定部で固定する。
これにより、ベルト部材の中央領域に支え帯部材または腰部部材を固定し、一方の端部に形成された端部固定部によって、他方の端部領域を一方の端部と固定することとなり、装着時にベルト部材の長さを調整することが可能とされて、容易に体形の変化に応じた位置でベルト部材を装着することができる。
【0015】
第6の発明は、第5の発明の構成において、前記ベルト部材の端部固定部は、一方の端部の外面に形成された外側固定面によって形成されて、他方の端部領域の内面に形成された内側固定面に着脱するよう構成されており、前記他方の端部領域における前記内側固定面よりも先端領域を、一方の端部領域の外面側に保持するための端部保持部が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、ベルト部材の一方の端部における外面に形成された外側固定面を、他方の端部領域の内面に形成された内側固定面に着脱することで、端部固定部が構成されている。
さらに、端部保持部によって、他方の端部領域側で内側固定面よりも先端側となる領域を、外側固定面が形成された一方の端部領域の外面側に保持することができる。
これにより、長さ調整手段である端部固定部は、外側固定面を内側固定面に固定するという簡単な操作によって着脱が可能とされて、長さの調整を行うことができる。
しかも、内側固定面が形成された他方の端部領域側で、内側固定面よりも先端側となる領域を、外側固定面が形成された一方の端部領域側の外面で保持することができるため、長さ調整を行って比較的長いベルト部材を短い状態で使用する場合でも、他方の端部領域における先端側が垂れ下がる等、取り扱いにおける問題が発生することがない。
【0016】
第7の発明は、第1の発明の構成において、前記ベルト部材に対して前記腰部部材を配置した際に、前記ベルト部材の内周側における前記腰部部材と対向する対向位置に配置可能な腹部圧迫部材であり、前記腹部圧迫部材の外面には前記腹部圧迫部材を前記ベルト部材の前記対向位置に固定するための腹部圧迫部材固定部を有する非伸縮性の前記腹部圧迫部材を有していることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、ベルト部材に対して腰部部材を配置した際に、ベルト部材の内周側における腰部部材と対向する対向位置に配置可能な腹部圧迫部材を用いる。この腹部圧迫部材の外面には、腹部圧迫部材をベルト部材の対向位置に固定するための腹部圧迫部材固定部を有している。この腹部圧迫部材は非伸縮性のものである。
これにより、ベルト部材だけでなく、腹部圧迫部材によっても、下腹部への圧迫を行うことができ、出産後の子宮の収縮を促して、下腹部の体型補正を行う機能を強化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0019】
第1の実施形態
図1〜図14は本発明の妊婦および経産婦用支持具の好ましい第1の実施形態を示している。
図1は、妊婦および経産婦用支持具10の各構成要素を示す斜視図である。図2および図3は、図1の妊婦および経産婦用支持具10を使用者の妊娠時において使用している例を示す図である。図4と図5は、図1に示す妊婦および経産婦用支持具10で出産後における腰部をサポートして腰痛を軽減している例である。
【0020】
図1を参照して、妊婦および経産婦用支持具10の構成要素について説明する。
妊婦および経産婦用支持具10は、支え帯部材20と、腰部部材30およびベルト部材40を有している。
図1に示す支え帯部材20は、図2と図3に示すように、少なくとも妊娠時に大きくなった腹部1の下腹部を支えるための部材である。支え帯部材20は、伸縮性を有さない、すなわち非伸縮性の部材である。
【0021】
図1に示す腰部部材30は、図4と図5に示すように妊娠時乃至出産後における腰部をサポートして腰痛を軽減するための部材である。この腰部部材30は、伸縮しない、すなわち非伸縮性の部材である。
図1に示すベルト部材40は、図1に示す支え帯部材20または腰部部材30を着脱可能に固定して、使用者Mに装着するための部材である。このベルト部材40は、少なくともベルト部材40が伸びる方向に対する伸縮性を有する部材である。図1のベルト部材40は、第1の実施形態では第1ベルト41と第2ベルト42を有する。
【0022】
まず図1に示す支え帯部材20の構造について詳しく説明する。
支え帯部材20は、図6乃至図8により詳しく具体的に図示している。
図6と図7に示す支え帯部材20は、略矩形状の部材であり、非伸縮性を有している。支え帯部材20は、図6に示すように上端縁20a、下端縁20b、右端縁20eおよび左端縁20dを有している。支え帯部材20は、支え帯パーツとも呼んでいる。
【0023】
支え帯部材20は、図2と図3に示すように、妊娠中の使用者Mの腹部1の下方位置に配置可能である。支え帯部材20は、その外面に支え帯部材固定部(支え帯部材固定面とも呼ぶ)21を有している。
第1の実施形態では、この支え帯部材固定部21は、支え帯部材20の外面20gの略全面にわたって形成されている。支え帯部材固定部21は、たとえば面ファスナーの雌部材を使用することができる。
【0024】
図6に示すように、支え帯部材20の外面20gは、縫合線(ダーツとも呼ぶ)22を有している。この縫合線22は、下端縁20bから上端縁20a側へ上方に向けて形成されている。縫合線22の一端部は下端縁20b近くまで達しているが、縫合線22の他端部は、上端縁20aと下端縁20bの略中間位置に達している。縫合線22は、右端縁20eと左端縁20dと略平行である。
この縫合線22を形成することにより、図6と図7に示すように、支え帯部材20は、大きくなった腹部の曲面状の外周面形状に合わせて図6の突出方向Jに沿って突出するように立体的に成形されている。
【0025】
図7に示すように、上端縁20aは、好ましくは上方Kに向けて僅かに湾曲している。下端縁20bは、好ましくはやはり上方Kに向けて僅かに湾曲している。このことから、上端縁20aと下端縁20bは略平行になっている。下端縁が上方に湾曲した凹形状になっていることから、下端縁20bが図2に示すような使用状態において下腹部の下側に食い込むことを防ぐことができる。
また上端縁20aは凸形状になっているので、上端縁20aと下端縁20bは略平行であり、図2の使用例で示すように、支え帯部材20は、腹部1の下腹部をバランスよく支えることができる。
図6と図7に示す支え帯部材20は、その全面にわたって通気性をよくするために無数の穴20Pを形成するのが望ましい。
【0026】
図12は、図6に示す支え帯部材20のB−B線における断面構造例を示している。
図12に示す支え帯部材20の断面構造例としては、たとえば外面層24、中間層25および内面層26を有している。外面層24の表面には、上述した支え帯部材固定部21が形成されている。外面層24としては、たとえばナイロン等により作られている。そして、外面層24はその外面が微細なループ状とされた面ファスナーの雌部材となるよう構成されている。中間層25は、たとえばブタジエン樹脂の発泡体や、ポリウレタンフォーム等である。そして、中間層25は支え帯部材20における非伸縮性を確保できるよう伸縮性がない一定の強度を有しており、確実にJ方向への立体を維持することができるだけでなく、中間層25によって、支え帯部材20は腹部を保護し、保温することができる素材とされている。内面層26は、直接腹部に接する面なので吸湿性や通気性をよくするためにたとえば綿等を使用している。なお、通気孔となる無数の穴Pは、特に通気性に劣る中間層25のみに形成しても良い。
図6と図7に示すように、図12に示す支え帯部材20の積層構造の周囲部分は、バインダ27を用いて縫い合わせにより固定されている。
【0027】
図8(A)に示す支え帯部材20は、図示を簡単化していて、上端縁20a、下端縁20b、右端縁20eおよび左端縁20dを示している。支え帯部材20は、たとえば台形状の原反29に対して三角形状の切欠き部28を形成したものから作られている。この切欠き部28を、縫合することにより縫合部22を形成する。
これによって、図6と図8(A)に示すように支え帯部材20は図6のJ方向に突出した立体形状に簡単かつ確実に形成することができる。このような立体形状に支え帯部材20を形成することにより、支え帯部材20は大きく、丸くなった下腹部の外形形状に合わせて確実にフィットするようになる。この場合には、右端縁20eと左端縁20dは略平行である。
【0028】
しかし、これに代えて図8(B)に示すように、右端縁20eと左端縁20dが、平行ではなく、上端縁20aよりも下端縁20b側の幅が広く形成された略台形形状にしても勿論構わない。このように右端縁20eと左端縁20dを平行でないようにすることにより、後で説明する第1ベルト41と第2ベルト42により、R方向に沿って支え帯部材20を持ち上げるようにして支え帯部材20を固定することができる。これによって、支え帯部材20は、下腹部をさらに確実にR方向に持ち上げるようにして支えることができるのである。
【0029】
次に、図1に示す腰部部材30の構造について説明する。
腰部部材30は、非伸縮性の部材であり、図4と図5に示すように、妊娠時から出産後における使用者Mの腰部2をサポートすることで、腰痛を軽減するために用いる。
腰部部材30の具体的な形状は、図9に示している。図9(A)は、腰部部材30の外面側を示しており、図9(B)は、腰部部材30の内面側を示している。
腰部部材30は、図9に示すように上端縁30aと下端縁30b、右端縁30eおよび左端縁30dを有している。
【0030】
上端縁30aは、S方向に向けて凹形状になっている。下端縁30bは、T方向に向けて凹形状になっている。右端縁30eは、U方向に向けて凹形状になっている。左端縁30dは、V方向に向けて凹形状になっている。つまり、上端縁30aと下端縁30b、右端縁30eおよび左端縁30dはそれぞれ略中間領域において内側に窪んだ凹状とされている。このことから、上端縁30aの両側には、凸状部分31,31が形成されている。同様にして下端縁30bの両側にも、凸状部分32,32が形成されている。
下端縁30bの両端の凸状部分32,32が形成されていて、しかも上端縁30aの両端側にも凸状部分31,31が形成されていることにより、腰骨の形状に合わせて確実に腰部を支えることができる。このようにして腰部部材30は、図4と図5に示すように、使用者Mの腰部2を覆って、腰部2を保護し、骨盤を支える補助を行うことができる。
【0031】
図9に示すように、腰部部材30は、下方向であるS方向に沿って、2本の骨格部34が内蔵されている。この骨格部34は、ボーンとも呼んでいる。ここでは骨格部34,34は、背骨に沿って縦方向に平行になるように間隔をあけて配列されている。このように骨格部34,34が設けられていることにより、骨格部34,34は背骨に沿って配置することができ、立った状態等における背骨にかかる縦方向の負担を、両側から支えるように補助し、凸状部分32,32とともに、腰部を確実に支えることができる。
図9(A)に示すように、腰部部材30の外面30g側には、腰部部材固定部35が好ましくは外面30gの全面にわたって設けられている。この腰部部材固定部35は、たとえば面ファスナーの雌部材である。
【0032】
図13は、図9(A)に示す腰部部材におけるC−Cにおける断面構造例を示している。
図13においては、腰部部材30は外面層36、中間層37A,37B、内面層38および骨格部34,34を有している。
外面層36は、たとえばナイロン等を使用している。そして、外面層36はその外面が微細なループ状とされた面ファスナーの雌部材となるよう構成されている。中間層37A,37Bは、たとえばブタジエン樹脂の発泡体や、ポリウレタンフォーム等を使用している。そして、中間層37A,37Bは腰部部材30における非伸縮性を確保できるよう伸縮性がない一定の強度を有しており、確実に腰部部材30の形状を維持することができるだけでなく、中間層37A,37Bによって、腰部部材30は腰部を保護し、保温することができる素材とされている。しかも骨格部34と内面層38の間に配置された中間層37Bは、比較的硬い骨格部34が身体に当たった感触を与えないためのクッション層としても機能する。内面層38は、腰部2に直接接触するのでたとえば吸湿性や通気性に優れた綿等を使用している。
骨格部34は、中間層37A,37Bの間に配置されている。たとえば骨格部34は弾性変形能力に優れたプラスチックまたは他の材質を使用することができ、平板状の部材である。
【0033】
図9に示す腰部部材30には、通気性をよくするために、好ましくは無数の穴が形成されていることが好ましいが、特に通気性に劣る中間層37A,37Bのみに形成されていても良い。
図13に示す外面層36には、腰部部材固定部35が形成されている。図13に示す腰部部材固定部35と図12に示す支え帯部材固定部21は、たとえば面ファスナーの雌部材を採用することができる。
【0034】
次に、図1に示すベルト部材40の第1ベルト41と第2ベルト42について説明する。
上述したようにベルト部材40は、第1の実施形態では二本の第1ベルト41と第2ベルト42を有している。第1ベルト41は、図10に示しており、第2ベルト42は図11に示している。
【0035】
図1、図10に示す第1ベルト41と、図11に示す第2ベルト42は、好ましくは左右同じ形状の部材である。
第1ベルト41は、図1と図10に示すように、一方の端部51と他方の端部52および中間部53を有している。図10(A)は、第1ベルト41の外面54側を示しており、図10(B)は第1ベルト41の内面55側を示している。
【0036】
一方の端部51は、たとえば略台形状を有している。中間部53および他方の端部52は帯状になっていて、一方の端部51に比べて幅が小さくなっている。一方の端部51の内面側には、支え帯部材20と腰部部材30を選択的に着脱可能なベルト部材固定部56が設けられており、ベルト部材固定部56が形成された部分の幅が最も広くなるよう構成されている。これに対して他方の端部52の内面側には、長さ調整手段としての別のベルト部材固定部57が設けられている。ベルト部材固定部56とベルト部材固定部57は、たとえば面ファスナーの雄部材を採用することができる。
図10(A)に示す第1ベルト41の外面54は、好ましくはその略全面にわたって外面固定部58を有している。この外面固定部58は、たとえば面ファスナーの雌部材である。外面固定部58は外面固定面とも呼んでいる。
【0037】
図11に示す第2ベルト42の構造は、図10に示す第1ベルト41の構造と同じである。したがって図11に示す第2ベルト42の各要素については、図10に示す第1ベルト41の各対応する要素と同じ用語および符号を用いており、その説明は省略する。第1ベルト41と第2ベルト42は、伸縮性を有する部材により作られている。
【0038】
図10と図11に示す第1ベルト41と第2ベルト42の外周囲は、バインダ400により縫合されている。同様にして図6に示す支え帯部材20の外周囲はバインダ27により縫合されている。さらに図9に示す腰部部材30の外周囲はバインダ39Aにより縫合されている。
図10と図11に示す第1ベルト41と第2ベルト42は、E方向、すなわち第1ベルト41と第2ベルト42の長手方向に沿って伸縮できるようになっている。
【0039】
図14は、図10(A)と図11(A)における第1ベルト41と第2ベルト42のA−A線における断面構造例を示している。
第1ベルト41と第2ベルト42の外面層60は、たとえばナイロン等により作られている。そして、外面層60はその外面が微細なループ状とされた面ファスナーの雌部材となるよう構成されている。中間層61は、伸縮性に優れるたとえばポリウレタン等により形成されている。内面層62は、使用者の腹部や腰部に直接接触する場合があるので、吸湿性や通気性に優れたたとえば綿等により作られている。
外面層60の外側には、外面固定部58が形成されている。外面固定部58は、たとえば面ファスナーの雌部材である。
なお、支え帯部材20や腰部部材30、ベルト部材40はいずれも適切に選択した積層状態を記載しているが、他の層を加えてもよく、各中間層25,37,61を除いてもよい。
【0040】
次に、上述した図1に示す妊婦および経産婦用支持具10の使用例について説明する。
使用者が妊娠中に腹部を支えるための使用例
図2と図3に示すように使用者Mが妊娠中に、大きくなった腹部1をサポートする際には、図1に示す支え帯部材20と第1ベルト41、第2ベルト42を用いて腹部1、特に下腹部を下側から斜め上方に支えるようサポートすることができる。
【0041】
第1ベルト41のベルト部材固定部56は、使用者Mにより支え帯部材20の支え帯部材固定部21に対して、着脱可能にあらかじめ固定してある。同様にしてあらかじめ第2ベルト42のベルト部材固定部56は、使用者Mにより支え帯部材20の支え帯部材固定部21に対して、着脱可能に固定してある。使用者Mはこの支え帯部材20の内面側を、大きくなった腹部1の下腹部に当てて配置する。
【0042】
そして、使用者Mは、第1ベルト41の他方の端部52を腹部1から腰部2側に回す。これによって第1ベルト41の長さ調整手段である他方の端部52のベルト部材固定部57を、第2ベルト42の外面固定部58に対してやや引っ張りながら、第2ベルト42のE方向に位置を調整しながら着脱可能に固定する。ベルト部材固定部57はたとえば面ファスナーの雄部材であり、外面固定部58は面ファスナーの雌部材であるので、ベルト部材固定部57は簡単に着脱可能にT方向の位置を調整しながら固定することができる。
【0043】
同様にして、第2ベルト42の他方の端部52は、腹部1から腰部2を回して反対側に位置させる。もう一つの長さ調整手段である他方の端部52のベルト部材固定部57は、第1ベルト41の外面固定部58に対してやや引っ張りながら、第1ベルト41のE方向に位置を調整しながら着脱自在に固定する。
このようにすることで、使用者Mは、第1ベルト41と第2ベルト42をそれぞれ反対側に回して位置を調整しながら他方のベルトにおける外面固定部58に対して密着させるだけで、簡単に支え帯部材20を腹部1の下部を支えるようにして固定することができる。
【0044】
妊娠時から出産後における腰部をサポートする場合
この場合には、図4と図5に示すように、使用者Mは、あらかじめ腰部部材30の腰部部材固定部35に対して、第1ベルト41のベルト部材固定部56を着脱可能に固定するとともに、第2ベルト42のベルト部材固定部56も着脱可能に固定する。
そして腰部部材30は、使用者Mの腰部2に当てるとともに、使用者Mは第1ベルト41と第2ベルト42を互いに反対方向に沿って腹部側を通じて回す。
これによって、第1ベルト41の長さ調整手段である他方の端部52のベルト部材固定部57は、第2ベルト42の一方の端部51側の外面固定部58に対してE方向に位置を調整するようにして引っ張りながら着脱可能に固定することができる。
同様にして第2ベルト42の長さ調整手段である他方の端部52のベルト部材固定部57は、第1ベルト41の一方の端部51側の外面固定部58に対してE方向に位置を調整しながら着脱可能に固定することができる。
このようにして、腰部部材30は、第1ベルト41と第2ベルト42を用いて、背骨に沿って確実に位置決めしながら固定することができる。
腰部部材30は、出産後において、腰部を覆って保護すると共に、骨格部34と協同して腰や背骨を支えることにより、使用者の腰痛の緩和を図ることができる。
しかも、図5に示されるように、ベルト部材40によって下腹部を覆う構成とされているため、子宮の収縮を促すと共に、下腹部の妊娠肥満を予防することができる。
【0045】
図2と図3における妊娠時における少なくとも下腹部のサポートをする使用例と、図4と図5における腰部をサポートする使用例のいずれにおいても、第1ベルト41と第2ベルト42はそれぞれ伸縮性を有しているので、支え帯部材20もしくは腰部部材30を適切な力を加えながら使用者の身体に装着することができる。
しかも、各ベルト部材固定部56が設けられた部位は、ベルト部材40において最も広幅とされているため、確実に支え帯部材20や腰部部材30を固定すると共に、下腹部の重みを支えたり、腰部への保持を行うことができる。
図2乃至図5のいずれの使用例においても、ベルト部材40は、複数のベルト、すなわち第1ベルト41と第2ベルト42から構成されているので、使用者Mは、左右対称のベルト部材を用いて、左右バランスよく方向性をなくしながら確実に支え帯部材20または腰部部材30を装着することができるのである。
また、腹部の膨らみが小さい妊婦等、体形の違いがあった場合においても、支え帯部材固定部21や腰部部材固定部35も面ファスナーの雌部材とされているため、面ファスナーの雄部材よりなるベルト部材固定部57を支え帯部材固定部21や腰部部材固定部35に固定することもできる。つまり、第1ベルト41と第2ベルト42、支え帯部材20、腰部部材固定部35の外面における全てがベルト部材固定部57に対して固定可能とされている。
なお、図2乃至図5における使用例において取り外す場合には、使用者は、第1ベルト41と第2ベルト42のそれぞれの他方の端部52のベルト部材固定部57を、第2ベルト42と第1ベルト41の外面固定部58から剥がすだけで、簡単に支え帯部材20または腰部部材30の装着状態を解消することができる。
【0046】
第2の実施形態
図15乃至図17は、本発明の妊婦および経産婦用支持具の第2の実施形態を示している。
図15に示す妊婦および経産婦用支持具100は、一本のベルト部材140、支え帯部材20および腰部部材30を有している。
図15に示す妊婦および経産婦用支持具100が、図1に示す妊婦および経産婦用支持具10と大きく異なるのは、ベルト部材40の構造である。図1に示すベルト部材40は、既に述べたように第1ベルト41と第2ベルト42から構成されている。これに対して、図15では、ベルト部材140は一本のベルトである。これにより、部品点数を減らすことができる。
【0047】
図15に示す支え帯部材20と腰部部材30は、図1に示す支え帯部材20と腰部部材30と同様なものを使用することができる。
ベルト部材140は、E方向、すなわち長手方向に伸縮性を有する部材である。ベルト部材140の断面構造は、図1に示す第1ベルト41と第2ベルト42の構造と同様のものを採用できるが、図1に示す第1ベルト41と第2ベルト42よりも伸縮力が強くなるよう構成されていることが好ましい。ベルト部材140は、一方の端部151と他方の端部152および中間部153を有している。
一方の端部151の内面には、ベルト部材固定部156が設けられている。他方の端部152の内面には、長さ調整手段であるベルト部材固定部157が設けられている。ベルト部材固定部156とベルト部材固定部157は、ともにたとえば面ファスナーの雄部材を採用することができる。
図16は、妊婦および経産婦用支持具100の妊娠時における使用例を示しており、図17は、出産後における腰部サポート例を示している。
【0048】
図16に示すように、妊娠時には、少なくとも支え帯部材20は腹部1の下腹部に当てる。支え帯部材固定部21に対してベルト部材140において最も幅広とされた一方の端部151のベルト部材固定部156は、あらかじめ着脱可能に固定してある。
そして使用者Mは、ベルト部材140を腰部2から後ろに回して、ベルト部材140の他方の端部152のベルト部材固定部157を支え帯部材固定部21に対して着脱可能にE方向に位置を調整しながら固定する。
これによって、支え帯部材20は、一本のベルト部材140を用いて、下腹部に対して密着しながら確実に下腹部を支持することができる。
【0049】
図17に示すように、出産後において腰部をサポートする場合には、使用者は、腰部2に対して腰部部材30を当てた状態で、一本のベルト部材140により腰部部材30を支持することができる。この場合に、ベルト部材140の一方の端部151のベルト部材固定部156が図15に示す腰部部材固定部35に対してあらかじめ着脱可能に固定されている。またベルト部材140の他方の端部152のベルト部材固定部157が、図15の腰部部材固定部35に対してE方向に位置を調整しながら着脱可能に固定される。
この時、ベルト部材140の伸縮力が優れているため、胎児によって腹部が膨らみ腹囲が大きい妊娠時に対し、出産が行われ腹囲が小さくなった出産後でも共通して使用する事ができる。
【0050】
第3の実施形態
図18乃至図21は、本発明の妊婦および経産婦用支持具200の第3の実施形態を示している。
図18は、妊婦および経産婦用支持具200が妊娠時において使用される場合の構成要素例を示していて、図19は、妊婦および経産婦用支持具200が産後の初期乃至後期において使用する場合の構成要素例を示している。
図18の妊娠時における使用例では、妊婦および経産婦用支持具200は、ベルト部材240と、支え帯部材220を有している。これに対して、図19に示す産後の初期乃至後期における使用例では、妊婦および経産婦用支持具200は、ベルト部材240、腰部部材330および腹部圧迫部材300を備えている。
【0051】
まず図18を参照する。妊娠時、すなわち産前においては、図18に示すように一本のベルト部材240と1つの支え帯部材220を使用する。ベルト部材240は、帯状の部材であり、伸縮性を有しているが、上述した各実施の形態よりも比較的弱い伸縮力でも機能することができる。
ベルト部材240は端部保持手段であるベルト受け244を備えている。ベルト部材240の一方の端部251の外面には、長さ調整手段として、端部固定部であって外側固定面として機能する外面固定部253が設けられている。この外面固定部253は、たとえば面ファスナーの雄部材である。この外面固定部253は、ベルト部材240の一方の端部251側であって外面254側に設けられている。ベルト部材240の内面255は、少なくとも他方の端部領域である259の内面、好ましくはその全面にわたって内側固定面として機能する内面固定部256が形成されている。この内面固定部256は、たとえば面ファスナーの雌部材である。内面固定部256は、外面固定部253に対して着脱可能に固定するようになっている。
【0052】
支え帯部材220は、たとえばほぼ矩形状の部材であり、縫合線222を有している。支え帯部材220の外面227側には、支え帯部材固定部230が設けられている。
この支え帯部材固定部230は、ベルト部材240の長手方向であるE方向に平行になるようなたとえば帯状の部材であり、たとえば面ファスナーの雄部材を採用することができる。このために、支え帯部材固定部230は、ベルト部材240の内面固定部256の任意の位置に対して着脱可能に固定することができる。つまり、少なくともベルト部材240における略中間領域に形成された内面固定部256は、ベルト部材固定部としても機能するよう構成されている。図18に示す妊娠時における使用例について、具体的に図20を参照しながら説明する。
【0053】
図20に示すように、支え帯部材220が、少なくとも腹部1の下腹部に対して配置される。この支え帯部材220の支え帯部材固定部230は、ベルト部材240の内面側のベルト部材固定部である内面固定部256に対して着脱可能に固定される。そしてベルト部材240は、使用者Mが腰部2に対して回すことにより、図18に示すベルト部材240の外面固定部253は、内面固定部256の適切な位置に対してその長さを調整して確実に着脱可能に固定することができる。
この場合に、一方の端部251に対するE方向に関するベルト部材240の他方の端部259の位置を調整することにより、図20における支え帯部材220が、下腹部を支える力を調整することができる。しかも、固定された内側固定部256よりも先端側となり、余った部分であるベルト部材240の他方の端部259は、ベルト受け244に通すことにより確実に保持することができる。
【0054】
次に、図19に示す産後の初期乃至後期における使用例について説明する。
この場合には、上述したベルト部材240と、既に述べた腰部部材330と腹部圧迫部材300を用いる。
ベルト部材240は、図18に示すベルト部材240をそのまま使用することができる。腰部部材330は、図1に示す腰部部材30と同様の構造のものであるが、その外面331には、E方向に長くなるように帯状の腰部部材固定部335が形成されている。この腰部部材固定部335は、たとえば面ファスナーの雄部材である。腰部部材固定部335は、ベルト部材240のベルト部材固定部として機能する内面固定部256に対して着脱可能に固定することができる。
【0055】
腹部圧迫部材300は、図21に示すように腰部部材330と同時に使用して腹部を圧迫するための部材である。これによって、産後における下腹部の圧迫を行い、腰痛の軽減とともに子宮の収縮を促し、産後の体型を矯正する機能を強化することができる。
腹部圧迫部材300は、腹部圧迫部材固定部301を有している。この腹部圧迫部材固定部301は、腹部圧迫部材300の外面303においてE方向に長くなるように帯状に形成されている。腹部圧迫部材固定部301は、ベルト部材240のE方向に沿った、たとえば長方形状の部材である。腹部圧迫部材固定部301は、たとえば面ファスナーの雄部材である。
なお、腹部圧迫部材300は、支え帯部材220とは異なり、立体的な形状とはされておらず、比較的剛性を有する一枚のシート状とされている。
これによって、腹部圧迫部材固定部301は、ベルト部材240の内面固定部256に対して腰部部材330と対向する位置となるよう、E方向の任意の位置に対して着脱可能に固定することができる。
【0056】
図21は、特に産後の初期となる産後3ヶ月程度までにおける具体的な使用例を示している。この例では、腰部部材330の腰部部材固定部335が、ベルト部材240のベルト部材固定部となる内面固定部256に対して着脱可能に固定される。この腰部部材330は、ベルト部材240の略中央位置においてしかもベルト部材240の内面側に固定される。
これに対して腹部圧迫部材300は、腰部部材330に対して対向する対向位置になるようにベルト部材240の内面側に固定する。すなわち、腹部圧迫部材300の腹部圧迫部材固定部301は、ベルト部材240の内面固定部256に対して固定される。
【0057】
このようにして、腰部部材330は、腰部2に対応するポジションP1に位置されるとともに、腹部圧迫部材300は、腰部部材330と対向するポジションP2に配置される。これらの腰部部材330と腹部圧迫部材300は、一本のベルト部材240の内面固定部256を用いて確実に固定することができる。
そして、ベルト部材240の端部固定部の外面固定部253は、内面固定部256の適切な位置に対して長さを調整して着脱可能に固定することで、腹部圧迫部材300は腹部1を支持するとともに、腰部部材330は腰部2の所定の位置を支持することができる。ベルト部材240の余分な他方の端部259は、端部保持手段であるベルト受け244に差し込んでおく。
【0058】
以上のようにして、本発明の第3の実施形態では、図20に示すように、使用者Mが妊娠中においては、少なくとも腹部1の下腹部を確実に支持できるばかりでなく、図21に示すように、特に産後の初期においては、腹部の圧迫によって子宮の収縮を促すと共に、腹部の形状の矯正および腰部の支持による腰痛の緩和を確実に行うことができる。
しかも、ベルト部材240が一本で構成され、支え帯部材320や腰部部材330の着脱や、長さ調整手段の調整を容易に行うことができる。
なお、長さ調整手段は外面固定部253や内面固定部256による構成ではなく、一般的な無段階調整ベルトやバックルによって形成されていてもよい。
【0059】
図22〜図24は、本発明のさらに別の実施形態を示している。
図22〜図24に示す妊婦および経産婦用支持具500は、1本のベルト部材540と支え帯部材20および腰部部材30を有している。この例では、1本形式のベルト部材540を用いることで、妊婦および経産婦用支持具500の取り扱いをより容易とすると共に、コンパクト化と部品点数の削減が図れる。
【0060】
図24に示すように、1本のベルト部材540は、中央に幅広部分550を有している。幅広部分550の他方の端部には第1ベルト部分541が、一方の端部には第2ベルト部分542が一体的に接続されている。幅広部分550の裏面(肌当接面)側にはベルト部材固定部となる固定部601が設けられている。この固定部601はたとえば、面ファスナーの雄部材であり、この固定部には、支え帯部材20または腰部部材30の外面に形成された各固定部21,35が着脱自在に固定できる。
【0061】
第1ベルト部分541は後述するように外側から第2ベルト部分542を覆うように配置される部分であって、裏面(肌当接面)側には固定部602,603が設けられている。他方の端部領域となる第1ベルト部分541における端部保持手段の一部として機能する固定部602は面ファスナーの雄部材であり、長さ調整手段として機能する際の内側固定面である固定部603は面ファスナーの雌部材である。
第2ベルト部分542は、第1ベルト部分541の内側に配置される部分であって、表面(非肌当接面)側には、固定部621,622が設けられている。一方の端部に配置されたベルト部材固定部の外側固定面として機能する固定部621は面ファスナーの雄部材であり、一方の端部領域となる第2ベルト部材542における端部保持手段の一部として機能する固定部622は面ファスナーの雌部材である。なお、固定部622は表面における固定部621を除く全面に形成されていてもよい。
【0062】
図22と図23は、1本のベルト部材540を用いて、支え帯部材20が使用者Mの腹部1を支持している例を示している。
図24(A)の第2ベルト部分542の固定部621が、長さ調整を行いながら、外側から覆っている第1ベルト部分541の固定部603に対して着脱自在に固定され、その後、端部の処理をするために第1ベルト部分541の固定部602が第2ベルト部分542の固定部622に対して着脱自在に固定されることで、図24(D)に示すようにベルト長さをベルトの長手方向に沿って調整しながら、余った第1ベルト部分541の端部領域の固定を行い、支え帯部材20が装着できる。
また、図24(E)に示すように、腰部部材30を装着する場合でも、ベルト部材540の幅広部分550が背中側にくるだけで、装着の要領は同じである。
この時、裏面に設けられた端部保持手段の一部である雄部材よりなる固定部602に対応して、表面に設けられた端部保持手段の一部である雌部材よりなる固定部622が、雄部材よりなる固定部621を除く表面全面に形成されていると、長さ調整によって余った端部である第1ベルト部分541の端部を必要に応じた位置で保持できるため好ましい。
なお、図24(B),(C)に示されるように、ベルト部材540の上下が略対称とされていると、利き手に応じた向きに支え帯部材20と腰部部材30を装着して使用することができる。
【0063】
本発明によれば、非伸縮性の支え帯部材は、少なくとも妊娠中の使用者の腹部の下方位置に配置可能である。この支え帯部材は、支え帯部材を固定するための支え帯部材固定部を有している。
非伸縮性の腰部部材は、使用者の腰部に配置可能である。この腰部部材は、その外面に腰部部材を固定するための腰部部材固定部を有している。
ベルト部材は、長さ調整手段が設けられ、伸縮性を有している。ベルト部材は、その内面には支え帯部材の支え帯部材固定部と、腰部部材の腰部部材固定部を選択的に着脱自在に固定するためのベルト部材固定部を有している。
ベルト部材は、支え帯部材または腰部部材を選択的に着脱自在に固定できるようになっている。
【0064】
これにより、妊娠中では、使用者はベルト部材に対して支え帯部材を着脱可能に固定することにより、支え帯部材は、少なくとも妊娠中の使用者の腹部の下方位置に配置して、大きくなった腹部を確実に支持することができる。
また産後では、腰部部材をベルト部材に対して着脱可能に固定することにより、腰部部材は使用者の腰部に配置されて、使用者である経産婦の腰痛の軽減を図ることができると共に、ベルト部材によって腹部を圧迫する。
このようにして、本発明の妊婦および経産婦用支持具は、妊娠中の使用者の腹部を支えることができるとともに、妊娠中もしくは出産後において女性の体に発生する腰痛の軽減が図れ、妊娠から出産後における女性の体の変化に応じて腹部や腰部を確実に支持することができる。
【0065】
本発明によれば、支え帯部材の上端縁が上方に向けて湾曲している。支え帯部材の下端縁の略中央部には上方にのびる縫合線が配置されているとともに、上方に湾曲するようにして上端縁と下端縁が略平行になっている。
これにより、上端縁と下端縁が略平行になっていることから、上端縁が凸状に湾曲していることから、下端縁は凹状になっている。このために下端縁が凹状になっているので下端縁が下腹部に食い込むことを防ぐ。上端縁が凸状になっているので、上端縁と下端縁が略平行に形成されているので、支え帯部材は腹部をバランスよく支えることができ、使用時の快適性が向上する。
【0066】
本発明によれば、腰部部材は、縦方向に沿って二本の骨格部を有している。腰部部材の下端部の両端部が凸状に形成されている。
これにより、二本の骨格部は、背骨に沿って配置させることができ、腰骨の形状に合わせてのびている凸状の下端の両端部は、確実に腰部を支えることができる。
【0067】
本発明によれば、ベルト部材は、ベルト部材固定部が形成された領域が最も広い幅となるよう構成されている。
これにより、支え帯部材や腰部部材が取り付けられ、ベルト部材において最も保持する力が必要となる領域が、広い幅を有する保持面となり、腹部や腰部に対する保持力を高めることが可能とされると共に、支え帯部材や腰部部材が使用時にずれることが無く、確実に固定することができる。
【0068】
本発明によれば、ベルト部材の略中央領域にベルト部材固定部が形成されており、ベルト部材の一方の端部に端部固定部が形成され、ベルト部材の他方の端部領域を端部固定部で固定するよう、ベルト部材の長さ調整手段が形成されている。
これにより、ベルト部材の中央領域に支え帯部材または腰部部材を固定し、一方の端部に形成された端部固定部によって、他方の端部領域を一方の端部と固定することとなり、装着時にベルト部材の長さを調整することが可能とされて、容易に体形の変化に応じた位置でベルト部材を装着することができる。
【0069】
本発明によれば、ベルト部材の端部固定部は、一方の端部の外面に形成された外側固定面によって形成されて、他方の端部領域の内面に形成された内側固定面に着脱するよう構成されており、他方の端部領域における内側固定面よりも先端領域を、一方の端部領域の外面側に保持するための端部保持部が形成されている。
これにより、長さ調整手段である端部固定部は、外側固定面を内側固定面に固定するという簡単な操作によって着脱が可能とされて、長さの調整を行うことができる。
しかも、内側固定面が形成された他方の端部領域側で、内側固定面よりも先端側となる領域を、外側固定面が形成された一方の端部領域側の外面で保持することができるため、長さ調整を行って比較的長いベルト部材を短い状態で使用する場合でも、他方の端部領域における先端側が垂れ下がる等、取り扱いにおける問題が発生することがない。
【0070】
本発明によれば、ベルト部材に対して腰部部材を配置した際に、ベルト部材の内周側における腰部部材と対向する対向位置に配置可能な腹部圧迫部材を用いる。この腹部圧迫部材の外面には、腹部圧迫部材をベルト部材の対向位置に固定するための腹部圧迫部材固定部を有している。この腹部圧迫部材は非伸縮性のものである。
これにより、腹部圧迫部材は、腰痛を軽減するとともに、出産後の子宮の収縮を促して、下腹部の体型補正を行う機能を強化することができる。
【0071】
ところで上述した本発明の実施形態では、ベルト部材と支え帯部材の相互の固定と、ベルト部材と腰部部材の相互の固定と、ベルト部材同士の固定は、着脱可能な手段として面ファスナーを用いている。しかしこれに限らず、支え帯部材とベルト部材の固定と、腰部部材とベルト部材の固定およびベルト部材同士の固定と、腹部圧迫部材とベルト部材の固定は、着脱可能で固定できれば、特に固定構造はたとえば雄型のフックと雌型のフックの組み合わせを用いても勿論構わない。
【0072】
また、たとえば図1に例示するように支え帯部材固定部は支え帯部材の外面の全面に形成してあっても外面の一部分に形成してあってもよい。腰部部材固定部は、腰部部材の外面の全面に形成されていても外面の一部分に形成してあってもよい。支え帯部材固定部と腰部部材固定部そして腹部圧迫部材固定部は、それぞれ支え帯部材固定面、腰部部材固定面、腹部圧迫部材固定面と呼ぶこともできる。
各固定部における雌部材と雄部材は、入れ替えて使用してもよい。
各要素の材質は、図示例に限定されることはなく、各種のものを採用することができる。
腰部部材の骨格部は、プラスチックに限らずたとえば他の種類の硬質材料、たとえばセラミックスなどを用いても勿論構わない。
ベルト部材の形状は、帯状の部材に限らず、他の形状のものを採用することも可能である。
【0073】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用者が妊娠している時から出産した後において、大きくなった腹部を支えることができるとともに、腰痛の発生を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の妊婦および経産婦用支持具の好ましい第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の支持具により妊娠時に下腹部を支持している使用例を示す斜視図。
【図3】図2に示す使用例の正面図。
【図4】妊娠時乃至出産後において腰部をサポートしている例を示す背面図。
【図5】図4の腰部のサポート例を示す斜視図。
【図6】支え帯部材の好ましい実施形態を示す斜視図。
【図7】支え帯部材の外面側と内面側を示す図。
【図8】支え帯部材の形状例を示す図。
【図9】腰部部材の外面側と内面側を示す図。
【図10】ベルト部材の第1ベルトの外面側と内面側を示す図。
【図11】第2ベルトの外面側と内面側を示す図。
【図12】図6における支え帯部材のB−Bにおける断面構造例を示す図。
【図13】図9に示す腰部部材のC−Cにおける断面構造例を示す図。
【図14】図10(A)と図11(A)における第1ベルトと第2ベルトのA−Aにおける断面構造例を示す図。
【図15】本発明の妊婦および経産婦用支持具の別の実施形態を示す斜視図。
【図16】図15の支持具が妊娠時において使用されている例を示す斜視図。
【図17】図15の支持具が妊娠時乃至出産後において腰部をサポートしている例を示す斜視図。
【図18】本発明の妊婦および経産婦用支持具の第3の実施形態を示す斜視図。
【図19】図18の支持具の別の使用形態であり、産後の初期乃至後期における使用例を示す斜視図。
【図20】図18の支持具が妊娠中に使用されている例を示す斜視図。
【図21】図19の支持具が産後の初期乃至後期において使用されている例を示す斜視図。
【図22】本発明の妊婦および経産婦用支持具のさらに別の実施形態を装着している前側から見た斜視図。
【図23】図22の装着している後側から見た斜視図。
【図24】図22と図23の実施形態の形状例を示す図。
【符号の説明】
1・・・腹部、2・・・腰部、10・・・妊婦および経産婦用支持具、20・・・支え帯部材、21・・・支え帯部材固定部、22・・・縫合線、30・・・腰部部材、35・・・腰部部材固定部、40・・・ベルト部材、41・・第1ベルト、42・・・第2ベルト、56,57・・・ベルト部材固定部、58・・・ベルト部材の外面固定部、M・・・使用者

Claims (7)

  1. 少なくとも妊娠中の使用者の腹部の下方位置に配置可能である支え帯部材であり、前記支え帯部材を固定するための支え帯部材固定部を有する非伸縮性の前記支え帯部材と、
    前記使用者の腰部に配置可能な腰部部材であり、前記腰部部材の外面に前記腰部部材を固定するための腰部部材固定部を有する非伸縮性の前記腰部部材と、
    長さ調整手段が設けられ、伸縮性を有するベルト部材であり、前記ベルト部材の内面には、前記支え帯部材の前記支え帯部材固定部と前記腰部部材の前記腰部部材固定部を選択的に着脱自在に固定するためのベルト部材固定部を有する前記ベルト部材と、を備え、
    前記ベルト部材は、前記支え帯部材または前記腰部部材が選択的に着脱自在に固定されることを特徴とする妊婦および経産婦用支持具。
  2. 前記支え帯部材の上端縁が上方に向けて湾曲しており、前記支え帯部材の下端縁の略中央部には上方にのびる縫合線が配置されるとともに、前記下端縁が上方に湾曲するようにして前記上端縁と前記下端縁が略平行とされていることを特徴とする請求項1に記載の妊婦および経産婦用支持具。
  3. 前記腰部部材は、縦方向に沿って二本の骨格部を有し、前記腰部部材の下端の両端部が凸状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の妊婦および経産婦用支持具。
  4. 前記ベルト部材は、前記ベルト部材固定部が形成された領域が最も広い幅となるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の妊婦および経産婦用支持具。
  5. 前記ベルト部材の略中央領域に前記ベルト部材固定部が形成されており、
    前記ベルト部材の一方の端部に端部固定部が形成され、
    前記ベルト部材の他方の端部領域を前記端部固定部で固定するよう、前記ベルト部材の長さ調整手段が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の妊婦および経産婦用支持具。
  6. 前記ベルト部材の端部固定部は、一方の端部の外面に形成された外側固定面によって形成されて、他方の端部領域の内面に形成された内側固定面に着脱するよう構成されており、
    前記他方の端部領域における前記内側固定面よりも先端領域を、一方の端部領域の外面側に保持するための端部保持手段が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の妊婦および経産婦用支持具。
  7. 前記ベルト部材に対して前記腰部部材を配置した際に、前記ベルト部材の内周側における前記腰部部材と対向する対向位置に配置可能な腹部圧迫部材であり、前記腹部圧迫部材の外面には前記腹部圧迫部材を前記ベルト部材の前記対向位置に固定するための腹部圧迫部材固定部を有する非伸縮性の前記腹部圧迫部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の妊婦および経産婦用支持具。
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