JP4316722B2 - アンテナ付きicカード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アンテナ付きICカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばノート型パーソナルコンピュータや電子手帳などに代表される携帯情報機器とデスクトップ型パーソナルコンピュータ等とのデータ交換は、一般に、専用ケーブルや赤外線を用いて行われる。
しかしながら、専用のケーブルを用いる場合に、ケーブルを両機器に接続する手間が煩雑である。また、赤外線を用いたデータ通信では通信可能な距離が限られるため、赤外線送受信器同士を近づけなければならないから、ケーブル接続ほど煩雑でないとしても、必ずしも利用の容易なデータ交換手段とは言えない。
【0003】
そこで、情報機器間を無線接続する方式が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この無線によるデータ通信のために、無線機能を有するICカードが提案されている。すなわち、このようなICカードを情報機器のICカードスロットに装着することで、ケーブル接続のような煩雑さがなく、しかも、通信距離に対する制限も大幅に緩和された無線データ伝送が実現される。
【0005】
このようなICカードには、無線通信用のアンテナが備えられる。この場合、アンテナは、カードスロットから露出されることになるICカードの一端面に設けられることが好ましい。そのためには、アンテナの形状は、小型で長尺な薄板状のものであることが好ましい。
一方、良好に通信を行うためには、この小型で長尺な薄板状アンテナは、厳密な寸法精度が要求される。したがって、取付け時や取付け後にアンテナの変形が生じないように、アンテナの取付け構造を工夫することが好ましい。
【0006】
また、ICカードの端面に取り付けられるアンテナは、ICカードの内部空間に収容されている基板と直接電気的に接続されている必要があるが、ICカード内の限られた空間でこのような接続を達成するためには、アンテナと基板との接続構造が可能な限り簡単であることが好ましい。
そこで、この発明の目的は、上述の課題を解決し、アンテナの変形を防止することにより、良好な通信を実現できるアンテナ付きICカードを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための請求項1記載の発明は、基板を収容する内部空間を区画するとともに、アンテナ取付け端面を有するフレームと、上記アンテナ取付け端面付近に設けられ、上記アンテナ取付け端面から上記内部空間に向かって形成された複数のアンテナ取付け溝を有するアンテナ取付け部と、上記アンテナ取付け端面に配置されるアンテナ本体と、このアンテナ本体から突出して形成され、上記複数のアンテナ取付け溝にそれぞれ係合する抜止め片と、上記アンテナ本体から突出して形成され、上記基板に電気的接続される接続片とを有するアンテナと、上記抜止め片が係合されたアンテナ取付け溝を覆って上記アンテナ取付け部に接合されたアンテナ固定片とを含むことを特徴とするアンテナ付きICカードである。
【0008】
ICカードは、一般に、ICが実装された基板と、基板を収容する内部空間を区画するフレームと、基板の上下面をそれぞれ覆う一対のパネルと、情報機器との接続のための接続手段とを有する。この場合、接続手段は、有接点接続により情報機器と電気信号を交換するコネクタであってもよいし、磁気結合により情報機器と信号を授受する無接点型のものであってもよい。
【0009】
アンテナ本体は、アンテナ取付け端面に沿って延びる長尺なものであってよい。この場合、上記複数のアンテナ取付け溝は、アンテナ取付け端面の長手方向に沿って間隔をあけて形成されていることが好ましい。
また、アンテナ本体は、アンテナ取付け端面の一端から他端まで延びるものであってもよいし、また、アンテナ取付け端面の全長の1/3〜1/2程度の長さのものであってもよい。その他、アンテナ本体の形状や大きさは、必要な通信条件に応じて変えることができ、たとえばアンテナ取付け端面の長手方向に沿って延びる一対の平行な線状体であってもよい。
【0010】
アンテナの抜止め片とアンテナ取付け溝とは互いに係合するので、互いに整合した形状を有することになる。抜止め片は、アンテナ本体が長尺なものの場合には、少なくともアンテナ本体の両端付近に設けられることが好ましく、アンテナ本体の両端および中央に設けられることがさらに好ましい。
この発明によれば、アンテナの抜止め片がアンテナ取付け溝に係合し、このような係合がアンテナ取付け端面の複数箇所で行われることにより、フレームに対するアンテナの取付けが達成されている。そのため、アンテナ本体が薄板状のものや長尺な形状のものであっても、このようなアンテナ本体に変形が生じることがない。
【0011】
しかも、アンテナ取付け溝をフレームとは別体のアンテナ固定片により覆う構成であるので、アンテナの取付け時には、開放状態のアンテナ取付け溝にアンテナの抜止め片を嵌め込み、その後にアンテナ固定片をフレームに接合することによって、アンテナ本体に大きなストレスを与えることなくアンテナの取付けを達成できる。そのため、取付け時におけるアンテナ(特にアンテナ本体)の変形も防止できる。
【0012】
たとえば、アンテナ取付け溝を、ICカードの主面に対してほぼ垂直な方向(アンテナ取付け端面に沿う方向)からアクセスできるように形成しておけば、抜止め片を任意の形状に形成することができるので、抜止めおよびアンテナ変形防止の各機能を効果的に発揮させることができる。
このように、取付け時および取付け後におけるアンテナの変形を防止できるので、良好な通信状態を達成できる。
【0013】
一方、アンテナ本体からは、基板に電気接続される接続片が突出しているのであるが、フレームに別体のアンテナ固定片を固定することによってアンテナの取付けを達成する構成であるので、接続片は任意の形状を有することができる。これにより、接続片自体に基板上の導体への圧接機能を持たせることなどが可能になり、アンテナと基板との接続構造の簡素化を図ることができる。
【0014】
たとえば上記接続片は、基板に接する圧接片であれば好ましく、特に、弾性変形により圧接力を得るものであれば好ましい。このようにすれば、基板とアンテナとの確実な電気的接続を極めて簡単な構成で達成できる。さらに、この発明の構成では、アンテナの取付け後には、フレーム、アンテナおよびアンテナ固定片の組立体を一部品として取り扱うことができるから、実質的な部品点数が少なく、ICカードを組み立てる際の組立工程を簡単にすることができる。
【0015】
フレームおよびアンテナ固定片は、それぞれ樹脂によって構成されていることが好ましく、この場合には、フレームとアンテナ固定片との接合は、超音波溶着によって行われることが好ましい。むろん、フレームとアンテナ固定片との接合は、接着などの他の手段によって行われていてもよい。
請求項2記載のアンテナ付きICカードは、請求項1の発明において、上記抜止め片は、上記アンテナ取付け端面に垂直な方向に対して所定の角度をなす方向に延びて形成された延長部を有することを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、アンテナ取付け端面に垂直な方向に対して所定の角度をなす延長部の働きにより、アンテナがより強固にアンテナ取付け部に係合する。これにより、アンテナの脱落はもちろん、その変形を確実に防止できる。
上記所定の角度は、約90度とされることが好ましい。これにより、アンテナの脱落および変形をより確実に阻止できる。
【0017】
また、上記複数の抜止め片のうちの少なくとも一対の抜止め片(隣接するものでもよく、隣接していない一対の抜け止め片であってもよい。)に形成された延長部は、異なる方向に向かって形成されていることが好ましい。これにより、アンテナの取付けをより強固にできる。
より具体的には、抜止め片は、アンテナ本体からICカードの内部空間に向かって延びた基端部をさらに有していて、この基端部の先端に上記延長部が屈曲して形成されたものであってもよい。
【0018】
請求項3記載のアンテナ付きICカードは、請求項1または2記載の発明において、上記抜止め片は、上記溝に圧入されていることを特徴とするものである。この発明によれば、抜止め片がアンテナ取付け溝に圧入されるので、抜止め片とアンテナ取付け溝とはがたのない状態で係合する。したがって、アンテナ本体がアンテナ取付け端面上でスライドしたりすることもなく、また、アンテナ本体の変形もより確実に防止できる。
【0019】
請求項4記載のアンテナ付きICカードは、請求項1ないし3のいずれかの発明において、上記フレームに取り付けられ、上記基板の上下面をそれぞれ覆う一対のパネルをさらに備え、上記一対のパネルのうちの一方は、同時成形により上記フレームと一体化され、上記フレームの内壁から上記内部空間に向かって突出した第1ロック片を有しており、上記一対のパネルのうちの他方は、上記第1ロック片に上記フレームの内方で係合する第2ロック片を有していることを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、アンテナが組み込まれたフレームと第1パネルとは、一部品として取り扱える。このため、部品点数をさらに減らすことができ、これによって、アンテナ付きICカードの組立てが簡単に行える。
また、第1パネルが同時成形によってフレームと一体化されているため、第1パネルの第1ロック片のフレームの内壁からの突出量を精度良く規定でき、かつ、第1および第2のロック片の係合時における第1パネルの弾性変形量はわずかであり、したがって、第1ロック片の変位も少ない。よって、第1および第2ロック片の係合時の位置合わせが容易であり、また、第1ロック片と第2ロック片との係合を容易にかつ確実に行える。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。この実施形態では、この発明をCFカードに適用した場合について説明するが、この発明は、PCカード、スモールPCカードなどの他の規格に従うICカードにも適用することができる。
【0022】
図1は、この発明の一実施形態にかかるアンテナ付きCFカード1の構成を示す分解斜視図である。図1を参照して、アンテナ付きCFカード1は、プリント基板2と、プリント基板2の前端に取り付けられて基板組立体5を構成するコネクタ3と、アンテナ付きCFカード1の内部空間を区画し、基板組立体5を保持するフレーム4と、基板組立体5の上面を覆うための第1パネル6と、基板組立体5の下面を覆うための第2パネル7とを備えている。第1パネル6は、アンテナ付きCFカード1の通常の使用状態において上側に位置するものであり、フレーム4と同時成形により一体化されてフレームパネルアセンブリ8が構成されている。また、フレーム4の後端面12d(アンテナ取付け端面)には、長尺なアンテナ10が設けられている。このアンテナ付きCFカード1は、たとえば携帯情報機器のCFカード用スロットに挿入されて、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、他の携帯情報機器およびプリンタ等との無線データ通信を行うものである。
【0023】
コネクタ3は、CFカード用スロット(図示しない)とプリント基板2との電気接続に用いられるものであり、側部に一対の第1の突起9,9を備えている。以下では、CFカード用スロットに接続されるコネクタ3側を前方として説明する。
コネクタ3には、後方に突出する複数の接触子(図示しない)が配置されており、これらは、プリント基板2の底面に半田付けされている。コネクタ3のプリント基板2への取付けは、この半田付けにより達成される。
【0024】
図2は、フレームパネルアセンブリ8の底面図である。フレームパネルアセンブリ8は、上述のように、略矩形の導電性プレートからなる第1パネル6を、同時成形によりフレーム4と一体化したものであり、たとえば、第1パネル6上でフレーム4が射出成形されて設けられたものである。
フレーム4は、略コの字状を有していて、その内方にアンテナ付きCFカード1の内部空間を区画している。このフレーム4は、対向する一対の側杆11,11と、各側杆11の後端同士を連結する後端杆12(図3参照)とを備えている。
【0025】
各側杆11の先端には、内方に向かって突出する係合突起13が形成されている。この一対の係合突起13,13は、基板組立体5をフレームパネルアセンブリ8内に収容する際に、コネクタ3の第1の突起9,9と係合してコネクタ3を保持するものである。
各側杆11の中央よりやや前方寄りの位置には、内方に向かって突出する第2の突起14が設けられている。また、各側杆11の中央部よりやや後方寄りの位置には、第3の突起15が設けられている。各側杆11の後端には、第4の突起16が設けられている。この第2〜第4の突起14,15,16の上面には、プリント基板2を保持するための係止部14a,15a,16aが形成されている。各側杆11の後端近傍には、第1導通部17が設けられている。この第1導通部17は、第1パネル6から下方に延びる金属片を側杆11に巻き付けたものである。
【0026】
また、各フレーム4の側杆11には、間隔をあけて二箇所に、第1ロック片22が設けられている。
フレーム4の後端杆12にはアンテナ10が取り付けられており、この後端杆12は、下方からアンテナ固定片52によって覆われている。
図3は、フレームパネルアセンブリ8の分解底面図である。図2および図3を参照して、フレーム4の後端杆12の下面12a(アンテナ取付け部)は、一端12bから他端12cまでの全域にわたり、側杆11の下面11aよりも低い段部をなしている。この後端杆12の下面12aには、アンテナ本体収容溝62および複数のアンテナ取付け溝63が設けられており、また、位置決め孔65および位置決め溝66がそれぞれ複数設けられている。
【0027】
アンテナ本体収容溝62は、後端面12dに沿って、一端12b付近から他端12c付近まで延びて形成されている。そして、アンテナ取付け溝63は、アンテナ本体収容溝62から内方へと向かって形成されており、アンテナ本体収容溝62の長手方向に沿って間隔を開けて配置されている。より具体的には、アンテナ取付け溝63は、アンテナ本体収容溝62の両端付近および中央付近にそれぞれ一対ずつ設けられている。
【0028】
アンテナ10は、長尺なアンテナ本体55と、アンテナ本体55から突出して形成された複数(この実施形態ではたとえば6個)の抜止め片56と、アンテナ本体55から突出して形成された接続片57とを備えている。接続片57は、前方へ延びる弾性片であり、接続片57の先端部には、下方に凸に湾曲する圧接部60が設けられている。複数の抜止め片56は、アンテナ本体55の長手方向に沿って間隔を開けて形成されている。すなわち、アンテナ本体55の両端付近および中央付近にそれぞれ一対ずつ設けられている。
【0029】
図4は、アンテナ10を後端杆12に取り付けた状態を示す拡大底面図である。抜止め片56は、アンテナ本体55の一部を前方へ切り起して設けたものである。抜止め片56は、アンテナ本体55からアンテナ付きCFカード1の内部空間に向かって延びた基端部58と、この基端部58の先端58aから屈曲して形成された延長部59とを有している。この延長部59は、基端部58に対してほぼ90°屈曲している。隣接する一対の抜止め片56の各延長部59は、交互に反対方向を向いており、一対の抜止め片56は「ハ」字形をなしている。上記アンテナ取付け溝63は、抜止め片56と整合する形状にされている。この抜止め片56は、アンテナ付きCFカード1の主面にほぼ垂直な方向からアンテナ取付け溝63に圧入されている。
【0030】
図5(a)は、アンテナ固定片52を後方から見た図であり、図5(b)は、図5(a)の切断線A−Aでとった断面図である。
アンテナ固定片52は、断面が略矩形の長尺部材であり、樹脂によって構成されている。アンテナ固定片52の上面52aには、第1位置決め突起81および第2位置決め突起82がそれぞれ複数設けられている。この第1の位置決め突起81の先端は、円錐形状にされており、第2の位置決め突起82は断面三角形状の突条をなしている。
【0031】
また、アンテナ固定片52の前面52bには、回動係合片用溝20が設けられており、上面52aの後端には、アンテナ本体55の下縁を受けいれる段部83が形成されている。
アンテナ固定片52は、フレーム4にアンテナ10が取り付けられた後に、上記アンテナ取付け溝63を覆うように被せられる。この際に、第1の位置決め突起81および第2の位置決め突起82は、それぞれ上記位置決め孔65および上記位置決め溝66に嵌められて、アンテナ固定片52のフレーム4に対する位置決めが行われる。その後、超音波溶着によってアンテナ固定片52をフレーム4に接合させる。これによって、アンテナ10が組み込まれたフレーム4が得られる。こうして、アンテナ10が組み込まれたフレーム4は、一部品として取り扱うことができる。
【0032】
図6は、図2の切断線B−Bでとった断面図である。アンテナ10がフレーム4に取り付けられ、アンテナ固定片52が後端杆12に接合された状態では、接続片57は、後端杆12とアンテナ固定片52との間を通ってフレーム4の内方へと導かれており、その先端部に設けられた圧接部60がプリント基板2の取付け位置まで延びることになる。
【0033】
次に、第2パネル7について説明する。
図7(a)は、第2パネル7の構成を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印R方向から見た第2パネル7の側面図である。
第2パネル7は、導電性プレートからなっている略矩形の板状体である。第2パネル7は、後端辺7bに、一対の回動係合片32,32を備えている。一対の回動係合片32,32は、後端辺7bに沿ってそれぞれ所定幅を有しており、フレーム4に形成された回動係合片用溝20とそれぞれ整合する形状にされている。
【0034】
また、各側辺7aには、二箇所において、第2ロック片34,34が形成されている。また、各側辺7aの後端近傍には、上方に向かって延びる第2導通部35が設けられている。
図8は、図2の切断線C−Cでとった断面図である。
第1パネル6の第1ロック片22は、第1パネル6の側縁から、アンテナ付きCFカード1の内方に向かって垂下し、側杆11の内部に入り込んだ垂下部23と、垂下部23の先端縁23aから内方に向けて折り曲げられて構成されたロック爪24とを備えている。このようにして、第1ロック片22は、上記フレーム4の側杆11内に植設されており、ロック爪24の先端部24aが、側杆11の内壁11bからほぼ垂直にアンテナ付きCFカード1の内部空間に突出している。第1パネル6とフレーム4とは同時成形により一体化されているので、ロック爪24の内壁11bからの突出量は、精度良く規定されている。
【0035】
フレームパネルアセンブリ8および第2パネル7が結合されたときには、第1ロック片22は、第2パネル7に設けられた第2ロック片34と、フレーム4の内側で係合し、これによって、両パネル6,7が結合される。
一方、第2パネル7の第2ロック片34は、第2パネル7の側辺7aからフレーム4の側杆11の内壁11bに沿って上方(アンテナ付きCFカード1の内方に向かう方向)に屈曲成形されて構成された立上部41と、立上部41の先端41aからフレーム4の内方に向けて斜めに延び、上記ロック爪24を案内するための案内部42と、立上部41に形成された係合孔43とを備えており、全体として弾性部材をなしている。
【0036】
次に、アンテナ付きCFカード1の組立て手順について説明する。
図9を参照して、まず、フレームパネルアセンブリ8が裏返しにされた状態で、第2,第3および第4の突起14,15,16の係止部14a,15a,16aに、プリント基板2が嵌め合わされて、基板組立体5がフレーム4に保持される。
【0037】
その後、フレームパネルアセンブリ8を一方の手に持ち、他方の手で第2パネル7を斜方よりフレームパネルアセンブリ8にあてがって、第2パネル7の一対の回動係合片32,32を、フレーム4の後端杆12に形成された回動係合片用溝20に係合させる。
そして、作業者は、第1および第2パネル6,7を両手の手指で挟みつけるようにして、第2パネル7をフレーム4に向けて押し付ける。これにより、第1ロック片22と第2ロック片34とがフレーム4の内方でスナップ結合して、第1および第2パネル6,7が結合される。
【0038】
第2パネルと第1パネル6との結合が達成される際には、図6に示すように、プリント基板2が、第2パネル7と当接して内方に押圧される。上述のように圧接部60がプリント基板2の取付け位置まで延びているので、プリント基板2が、接続片57の圧接部60を上方へと弾性的に押圧するようになる。このため、圧接部60はプリント基板2と接触しつつ上方へと弾性変形し、この弾性力によって圧接部60はプリント基板2に圧接するようになる。これによって、プリント基板2とアンテナ10とのより確実な電気接続が得られる。
【0039】
再び、図8を参照して、第1パネル6と第2パネル7とを互いに圧接させると、案内部42が対応するロック爪24を係合孔43に案内する。このとき、第2パネル7の立上部41の近傍の部位および案内部42は、フレーム4の内方に弾性変形する。一方、上記側杆11に植設されている第1ロック片22はほとんど変形することがない。このため、第1および第2ロック片22,34を高精度で位置合わせできる。その後、内方へ延びるロック爪24が係合孔43に収容されると、内方へ弾性変形していた第2パネル7の立上部41および案内部42が、元の形状に復元することになる。
【0040】
第1および第2ロック片22,34の位置合わせが精度良く行われており、また第1ロック片22はほとんど変形しないので、両者の係合は容易にかつ確実に行える。
また、第1および第2パネル6,7およびフレーム4が結合された状態では、第2パネル7に形成された第2導通部35が、対向する第1パネル7の第1導通部17と当接し、両パネル6,7間の安定した電気導通が得られる。
【0041】
以上のように、この実施形態では、アンテナ取付け溝63に抜止め片56を圧入して係合し、このような係合をアンテナ本体55の長手方向に沿って複数箇所において行うことにより、アンテナ10が後端杆12に取り付けられている。そのため、アンテナ本体55は、がたつくことも、変形することもないから、良好な通信状態を達成できる。
【0042】
しかも、アンテナ付きCFカード1の主面に垂直な方向から抜止め片56をアンテナ取付け溝63に圧入する構成であるので、抜止め片56および接続片57の形状に対する制限が少なく、これらはほぼ理想的な形状を有することができる。すなわち、この実施形態では、複数の抜止め片56は、隣接するもの同士が互いに反対方向に向けられた延長部59を有していて、確実な抜止めを図ることができる形状を有している。また、接続片57は、弾性変形してプリント基板2に圧接する圧接部60を有する形状とされていて、アンテナ10とプリント基板2との電気接続を極めて簡単な構成で達成している。
【0043】
また、アンテナ取付け溝63に抜止め片56を圧入したうえでンテナ固定片52をフレーム4に接合する構成であるので、アンテナ10の取付け時にアンテナ本体55に大きなストレスがかかることがなく、このアンテナ本体55の変形が生じにくい。したがって、アンテナ10の取付け時および取付け後のいずれにおいてもアンテナ本体55の変形が生じにくいため、良好な通信状態を確実に達成できる。
【0044】
さらに、アンテナ10が組み込まれたフレーム4を実質的に一部品として取り扱うことができるので、アンテナ10とフレーム4を別品とする場合と比較して、部品点数を減らすことができる。これによって、アンテナ付きCFカード1の組立てがより簡単になる。
特にこの実施形態のように、第1パネル6とフレーム4とが同時成形により一体化されていれば、第1パネル6とフレーム4とが一部品として取り扱えるので、アンテナ付きCFカード1を組み立てる際には、プリント基板2、フレームパネルアセンブリ8、および第2パネル7との三部品として扱うことができる。このように、部品点数を減らすことができ、これによって、アンテナ付きICカード1の組立てを簡単に行うことができる。
【0045】
以上、この発明の一の実施形態について説明したが、この発明は他の形態でも実施することができ、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるアンテナ付きCFカードの分解斜視図である。
【図2】フレームパネルアセンブリの底面図である。
【図3】フレームパネルアセンブリの分解底面図である。
【図4】アンテナを後端杆に取り付けた状態を示す拡大底面図である。
【図5】アンテナ固定片を説明するための図である。
【図6】図2の切断線B−Bでとった断面図である。
【図7】第2パネルの構成を説明するための図である。
【図8】図2の切断線C−Cでとった断面図である。
【図9】アンテナ付きCFカードの組立てを説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 アンテナ付きCFカード(アンテナ付きICカード)
2 プリント基板(基板)
3 コネクタ
4 フレーム
6 第1パネル
7 第2パネル
10 アンテナ
12a 下面(アンテナ取付け部)
12d 後端面(アンテナ取付け端面)
22 第1ロック片
34 第2ロック片
52 アンテナ固定片
55 アンテナ本体
56 抜止め片
57 接続片
59 延長部
63 アンテナ取付け溝

Claims (4)

  1. 基板を収容する内部空間を区画するとともに、アンテナ取付け端面を有するフレームと、
    上記アンテナ取付け端面付近に設けられ、上記アンテナ取付け端面から上記内部空間に向かって形成された複数のアンテナ取付け溝を有するアンテナ取付け部と、
    上記アンテナ取付け端面に配置されるアンテナ本体と、このアンテナ本体から突出して形成され、上記複数のアンテナ取付け溝にそれぞれ係合する抜止め片と、上記アンテナ本体から突出して形成され、上記基板に電気的接続される接続片とを有するアンテナと、
    上記抜止め片が係合されたアンテナ取付け溝を覆って上記アンテナ取付け部に接合されたアンテナ固定片とを含むことを特徴とするアンテナ付きICカード。
  2. 上記抜止め片は、上記アンテナ取付け端面に垂直な方向に対して所定の角度をなす方向に延びて形成された延長部を有することを特徴とする請求項1記載のアンテナ付きICカード。
  3. 上記抜止め片は、上記アンテナ取付け溝に圧入されていることを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ付きICカード。
  4. 上記フレームに取り付けられ、上記基板の上下面をそれぞれ覆う一対のパネルをさらに備え、上記一対のパネルのうちの一方は、同時成形により上記フレームと一体化され、上記フレームの内壁から上記内部空間に向かって突出した第1ロック片を有しており、上記一対のパネルのうちの他方は、上記第1ロック片に上記フレームの内方で係合する第2ロック片を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアンテナ付きICカード。
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