JP4316196B2 - 差動制限装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の、デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置は、格別な制御手段を設けずとも、機械的な機構のみで容易に差動制限力を得ることができることから広く採用されている。図に示したものは、特公昭46−8207号公報に開示された差動制限装置で、デフケース110(左右のデフケース111、112からなる)の回転駆動力を、デフケース110の回転軸に直交して固定されたピニオン軸113に軸支されたピニオンギヤ114と、これの左右両側から傘歯噛合する左右のサイドギヤ115、116から構成される差動歯車によって、前記左右のサイドギヤ115、116にトルク配分して伝達するものであり、前記ピニオンギヤ114と左右のサイドギヤ115、116との間の噛合反力によって互いに離反するサイドギヤ115、116がその背面に介設されたプレッシャプレート117、118およびテーパリング119、120(それぞれデフケース111、112と回転を共にする)に圧接して差動制限力を得るように構成されるとともに、前記テーパリング119、120間に介設されたばね121によって牽引されて差動制限のためのイニシャルトルクを発生するように構成されたものである。
【0003】
このような構成の差動制限装置によって、通常の直進走行時にはエンジンからの駆動力によりデフケース110からの所定の駆動力を受けてピニオンギヤ114と噛合する左右の各サイドギヤ115、116に均等にその駆動力が伝達される。その際、左右の駆動輪の走行抵抗がほぼ同じであり、ピニオンギヤ114は静止状態にて噛合反力にて各サイドギヤ115、116を離反させ、プレッシャプレート117、118およびテーパリング119、120を介してデフケース110との間を一体化させて、強固な駆動力が得られる。また、走行中の軽度のスリップ時には、ばね121によって発生したイニシャルトルクにより適度の差動制限力が得られ、さらに、車両が泥濘地等の悪路に遭遇して片輪空転等により過剰な差動作用が発生しようとした場合にも、ばね121による予圧がピニオンギヤ114とサイドギヤ115、116との間に噛合反力を効果的に生じさせて、サイドギヤ115と116とを離反させてデフケース111、112それぞれとの内壁面との間に差動制限力を発生させて、低速車輪側にも駆動力が伝達され、悪路での脱出性能を向上させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の差動制限装置においては、差動制限部材である比較的大径の部品であるプレッシャプレート117、118およびテーパリング119、120等をデフケース110内に組み付ける必要があることから、デフケース110を軸方向で左右に2分割して左デフケース111と右デフケース112とし、差動歯車や差動制限部材を組み付け収容した後に、左右のデフケース111、112を締結ボルト122によって締結一体化していた。そのため、左右のデフケース111、112における接合フランジ面に高い加工精度が要求される上に締結ボルト等の余分な部品が必要とされ、さらには、デフケース110左右のベアリング取付面やデフケース駆動ギヤ取付面の精度を確保するため、デフケース111、112を仮組みした上での該部加工が必要である等、コストアップや作業効率の低下を招いていた。
【0005】
そこで本発明では、前記従来の差動制限装置の諸課題を解決して、比較的小さな孔にて差動制限部材の組付けを可能にして、一体型のデフケースの採用を容易にした、低コストな差動制限装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケースを周面に孔を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔を、前記ピニオンギヤおよび差動制限部材が通過可能な形状に構成し、前記差動制限部材はギヤ部の背面に形成された円錐面を備えた前記一対のサイドギヤであり、前記少なくとも一方のサイドギヤにおける円錐面は前記デフケースへの組付け状態において前記孔に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ投影面に対応して前記ギヤ部の歯底より浅い位置に留めて形成された切欠きを備えていることを特徴とする。また本発明は、デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケースを周面に孔を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔を、前記ピニオンギヤおよび差動制限部材が通過可能な形状に構成し、前記差動制限部材が、サイドギヤとデフケースとの間の円錐面に介設されるとともに、前記差動制限部材として、デフケースと一体に回転するテーパリングを配設し、該少なくとも一方のテーパリングにおける円錐面は、前記デフケースへの組付け状態において前記孔に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ投影面に対応して切り欠いた切欠きが設けられていることを特徴とする。また本発明は、前記サイドギヤにおける円錐面に備えられた切欠きを、ピニオンギヤの少なくとも最小歯数の歯形に対応して切り欠いて形成したことを特徴とするもので、2分割型デフケースの諸欠点を解消した上で、比較的小さい孔を通じて差動制限部材を組み付けることが可能で、低コストである。
【0007】
【実施の形態】
以下、本発明の差動制限装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1〜図3(A)(B)は本発明の差動制限装置の第1実施の形態を示し、図1は差動制限部材を組み付けるための孔の部分を含む1層テーパリング型の差動制限装置の外面図、図2は同、全体断面図、図3(A)(B)は差動制限部材であるテーパリングの斜視図および側断面図である。本発明の差動制限装置は、図1に示すように、デフケース1の回転軸Lに直交して配設されるピニオン軸2(図2参照)と該ピニオン軸2に軸支されたピニオンギヤ3と該ピニオンギヤ3の両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤ4、5とを備える差動装置の前記デフケース1とサイドギヤ4、5との間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケース1を周面に孔8を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔8を、前記ピニオンギヤ3および差動制限部材7(サイドギヤ4、5も差動制限部材を構成する。)が通過可能な形状に構成し前記差動制限部材7はギヤ部の背面に形成された円錐面を備えた前記一対のサイドギヤ4、5であり、前記少なくとも一方のサイドギヤにおける円錐面は前記デフケース1への組付け状態において前記孔8に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ3投影面に対応して前記ギヤ部の歯底より浅い位置に留めて形成された切欠き5Cを備えていることを特徴とする。好適には、図示の例のように、ピニオンギヤ3が通過可能な短辺8Sと差動制限部材7が通過可能な長辺8Lとで孔8が構成される。
【0008】
以下に詳述すると、本実施の形態のものは、低コストの1層テーパリング型の差動制限装置に適用された例で、図2に示すように、一体構造のデフケース1と該デフケース1の内部に収容される差動歯車からなる差動装置および差動制限部材から構成される。前記デフケース1の回転軸Lに直交してピニオン軸2が配設され、該ピニオン軸2に軸支されたピニオンギヤ3と、該ピニオンギヤ3の両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤ4、5とから差動装置が構成される。そして、デフケース1の外周面の前記ピニオン軸2の配設位置を回避した位置に図1に示したような孔8が穿設される。該孔8は一体構造のデフケース1でも、サイドギヤ4、5等を含む差動制限部材(本実施の形態ではテーパリング6、7)を外部から挿入して組み付けることを可能にするために穿設され、デフケース1が軸支されるキャリヤ内での潤滑油の循環や、冷却機能を有し、さらには軽量化にも寄与するものである。
【0009】
本実施の形態における差動制限部材は、図3(A)(B)に示す(右サイドギヤ5側についてのみ例示するが、左サイドギヤ4側も同様である)ように、サイドギヤ5とデフケース1との間の円錐面に介設されるお碗形状のテーパリング7から構成される。テーパリング7のディスク状部に形成された円周上複数の係止片7Bが、前記デフケース1の内側面の対応部位に形成された係止溝1Bに係止されてデフケース1と回転を共にする。テーパリング7の円錐面7Aが前記サイドギヤ5とデフケース1との間に位置して、ピニオンギヤ3とサイドギヤ5、6との間の噛合反力に基づいてサイドギヤ5、6の軸方向の離反によって、サイドギヤ5の背面との間に差動制限力を発生するように構成されている。
【0010】
デフケース1の周面に穿設された前記孔8は、図1に例示するように、少なくともピニオンギヤ3が通過可能な短辺8S(ピニオンギヤ3の外径より僅か大きい)と差動制限部材であるテーパリング7が通過可能な長辺8L(テーパリング7の外径より僅か大きい)とから構成される。そして、少なくとも一方のテーパリング7の円錐面7Aを、少なくともピニオンギヤ3投影面に対応して切り欠いて(円弧状の)切欠き7Cを設けた(図示の例では直径対向位置に一対を設けた)。さらに、同様に、前記少なくとも一方のサイドギヤ5における円錐面を、少なくともピニオンギヤ投影面に対応して切り欠いて(円弧状の)切欠き5Cを設けた(図示の例では直径対向位置に一対を設けた)ものである。サイドギヤやテーパリングの摺動面が犠牲になって(小さくなる)もよければ、これらの円弧状の切欠きに代えて、全周を切り欠いてもよい。この場合は、サイドギヤ5およびテーパリング7の切欠き縁は、前記図1における孔8の長辺に沿う縁部と重なる。そしてこの場合は、ピニオンギヤ3のサイドギヤ5およびテーパリング7への噛合組付け時の位置合せが不要となる。
【0011】
一対のテーパリング6、7およびサイドギヤ4、5の一方のみに切欠きが設けられた場合は、ピニオンギヤ3をやや傾斜させて、切欠きが設けられていない他方側に組み付けてから、切欠きが設けられた一方側の切欠きに整合させることでピニオンギヤ3を一対のテーパリング6、7およびサイドギヤ4、5に組み付けることができる。これらの組付形態は後述する内側テーパリング9、10へのピニオンギヤ3の組付けについても同様である。なお、他の部品との関係でデフケース1の外径寸法が規制される場合に、ピニオン軸孔部の周囲のデフケース1の内周側に補強のための肉盛り補強部が形成されるが、テーパリング6および7を軸方向に組み付ける際に、円弧状の切欠き(後述の図3(A)(B)に切欠き7Cの例が明示)の存在によって、前記肉盛り補強部と干渉せずにクリアすることができる。
【0012】
以上のように構成したので、デフケース1の周面におけるピニオン軸2の配設位置を回避した位置に穿設された前記孔8を通じて、差動制限部材であるテーパリング6、7および左右のサイドギヤ4、5を挿入の後、軸方向へ組み付ける。次いで、前記サイドギヤ4、5およびテーパリング6、7における円弧状の各切欠き4C、5Cおよび6C、7Cを揃えて図1の状態にして形成されたピニオンギヤ投影面に対応する部分にピニオンギヤ3を噛合挿入する。その後、ピニオンギヤ3を噛合させたままでサイドギヤ6、7を円周方向に回動させ、孔8を回避したピニオン軸2の正規の配設位置までピニオンギヤ3を移動させた後、ピニオン軸2をデフケース1の外側から挿入して組付けを完了する。ピニオン軸2には抜止めピン15が回転軸方向に挿入係止される。
【0014】
図4は本発明の差動制限装置の第2実施の形態を示す平面および要部断面図である。本実施の形態のものは、図4(A)に示すように、前記少なくとも一方のサイドギヤ5における円錐面を、ピニオンギヤ3の少なくとも最小歯数(1個)の歯形に対応して切り欠いた(5C)ことを特徴とする。図示の例では左右一対のサイドギヤの両方に切欠きが設けられる。図4(B)の例では、歯数2個の歯形に対応して切欠き(サイドギヤ5について切欠き5C、5Cが形成)が設けられる。なお、拡大図である図4(C)および断面図である図4(D)に明示するように、サイドギヤ5の円錐面に形成される切欠き5Cは、サイドギヤ5における歯底5Dよりは浅い位置に留められ、円錐面の強度および該円錐面をバックとした歯間ひいては歯自体の強度を確保できるように構成される。
【0015】
図5は本発明の差動制限装置の第3実施の形態を示す全体断面図で、前記第1実施の形態のものに、差動制限部材として、サイドギヤ4、5と一体に回転する内側テーパリング9、10を配設し、これら内側テーパリング9、10における少なくとも一方(図示の例では両方)の内側テーパリングの円錐面を、前記第1実施の形態のものと同様に、少なくともピニオンギヤ3の投影面に対応して切り欠いたことを特徴とする。これらの内側テーパリング9、10における各ディスク状部には、前記図3(A)(B)に示したものと同様に、円周上複数の係止片9B、10Bが形成され、前記サイドギヤ4、5の対応部位に形成された係止溝に係止されてサイドギヤ4、5と回転を共にする。したがって、デフケース1と回転を共にする前記テーパリング6、7の円錐面の内側と、内側テーパリング9、10の円錐面の外側との間が摺動回転して、差動制限力が生じるように構成される。このような構成によって、テーパリング6、7および内側テーパリング9、10のみを耐磨耗性の素材等にて構成することで、サイドギヤ4、5およびデフケース1は低磨耗性材質で済み、素材の選択の自由度が向上する。
【0018】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、一体型デフケースの形状、形式、ピニオン軸の形状、配置、本数、デフケースへの挿入形態、サイドギヤの形状、形式、テーパリングの形状およびそのデフケースへの係止形態、内側テーパリングの形状およびそのサイドギヤへの係止形態、多板クラッチの形状、形式およびそのデフケースおよびサイドギヤへの配設形態、プレッシャリングの形状、形式およびそのサイドギヤおよびデフケースへの配設形態ならびにピニオン軸との間のカム形状、孔の形状(短辺側の形状をピニオンギヤ外形と略一致させてもよい。)、サイドギヤおよびテーパリング(内側テーパリングも)における切欠きの形状(図4の歯形に対応した切欠き形状はテーパリングにも採用できる)、数(組付効率上はピニオンギヤの数に対応した数の対を形成することを好適とするが、少なくとも最小数の切欠きとして該切欠きを利用して、1つのピニオンギヤの組付け後に、サイドギヤとピニオンギヤを相対回転させて前記組み付けたピニオンギヤを奥側に移動させた上で、前面に戻った切欠き部を利用して次のピニオンギヤを組み付けることも可能である。さらには、切欠きの数を多数としたり、全周にわたり切欠きが形成されることも本発明の範疇である)等については適宜採用できる。
【0019】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケースを周面に孔を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔を、前記ピニオンギヤおよび差動制限部材が通過可能な形状に構成し、前記差動制限部材はギヤ部の背面に形成された円錐面を備えた前記一対のサイドギヤであり、前記少なくとも一方のサイドギヤにおける円錐面は前記デフケースへの組付け状態において前記孔に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ投影面に対応して前記ギヤ部の歯底より浅い位置に留めて形成された切欠きを備えていることにより、必要最小限の大きさの孔の穿設によってデフケースの強度を確保しつつ、差動制限部材の組付けを可能にした一体型デフケースを採用することが可能になって、従来の分割型デフケースのような接合フランジ面の加工や精度に煩わされることもなく、部品が削減でき、キャリヤ等への軸組み時の仮組み精度も向上させることができる。しかも比較的小径のサイドギヤをクリアできればよい孔の大きさを小さくでき、孔の大きさの設定の自由度すなわち設計の自由度が向上する。さらに、左右のサイドギヤ間の距離を小さくしてコンパクトでありながら比較的大きなサイズのピニオンギヤの噛合組付けを可能としながら、差動制限部材とサイドギヤとの間の円錐摩擦面の面積を可及的に大きく採ることができる。
【0020】
また、デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケースを周面に孔を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔を、前記ピニオンギヤおよび差動制限部材が通過可能な形状に構成し、前記差動制限部材が、サイドギヤとデフケースとの間の円錐面に介設されるとともに、前記差動制限部材として、デフケースと一体に回転するテーパリングを配設し、該少なくとも一方のテーパリングにおける円錐面は、前記デフケースへの組付け状態において前記孔に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ投影面に対応して切り欠いた切欠きが設けられていることにより、必要最小限の大きさの孔の穿設によってデフケースの強度を確保しつつ、差動制限部材の組付けを可能にした一体型デフケースを採用することが可能になって、従来の分割型デフケースのような接合フランジ面の加工や精度に煩わされることもなく、部品が削減でき、キャリヤ等への軸組み時の仮組み精度も向上させることができる。しかも、比較的小径のサイドギヤをクリアできればよい孔の大きさを小さくでき、孔の大きさの設定の自由度すなわち設計の自由度が向上する。さらに、デフケースの材質を選ぶことなく材質の選定の自由度が向上する上に、左右のサイドギヤ間の距離を小さくしてコンパクトでありながら比較的大きなサイズのピニオンギヤの噛合組付けを可能としながら、差動制限部材とサイドギヤとの間の円錐摩擦面の面積を可及的に大きく採ることができる。
【0021】
また、前記サイドギヤにおける円錐面に備えられた切欠きを、ピニオンギヤの少なくとも最小歯数の歯形に対応して切り欠いて形成した場合は、円錐面における切欠き面積を必要最小限として強度低下を防止し、歯自体の耐久性を低下させることも抑止できる。
かくして、本発明によれば、比較的小さな孔にて差動制限部材の組付けを可能にして、一体型のデフケースの採用を容易にした、低コストな差動制限装置が提供される。
【0022】
さらに、前記差動制限部材として、サイドギヤと一体に回転する内側テーパリングを配設し、該少なくとも一方のテーパリングにおける円錐面を、少なくともピニオンギヤ投影面に対応して切り欠いた場合は、前述同様に、ピニオンギヤ投影面に対応して切り欠いたサイドギヤおよびテーパリングと組み合わせて、左右のサイドギヤ間の距離を小さくしてコンパクトでありながら比較的大きなサイズのピニオンギヤの噛合組付けを可能としながら、差動制限部材とサイドギヤとの間の円錐摩擦面の面積を可及的に大きく採ることができる他、テーパリングおよび内側テーパリングのみを耐磨耗性の素材等にて構成することで、サイドギヤおよびデフケースは低磨耗性材質で済み、素材の選択の自由度がさらに向上する。
さらにまた、前記差動制限部材として、サイドギヤ背面とデフケース内側面との間に多板クラッチを配設して構成した場合は、円錐面加工が不要な単純な構成の平板状のクラッチ部材の配設により構成された差動制限装置にも一体型デフケースが採用できる。
【0023】
また、前記差動制限部材として、前記ピニオン軸との周方向相対移動にて軸動する一対のプレッシャリングを介して前記多板クラッチが配設された場合は、前述同様に、円錐面加工が不要な単純な構成の平板状のクラッチ部材の配設により構成された差動制限装置にも一体型デフケースが採用できる上に、ピニオンギヤとサイドギヤとの間の噛合反力に加えて、プレッシャリングとピニオン軸との間のカム作用によるスラスト力により大きな差動制限力を発生させることができる。
さらに、前記差動制限部材を、周方向に分割して組み付けることを可能に構成した場合は、孔における長辺の長さをさらに小さくできて、孔の大きさの設定自由度が向上する。
かくして、本発明によれば、比較的小さな孔にて差動制限部材の組付けを可能にして、一体型のデフケースの採用を容易にした、低コストな差動制限装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の差動制限装置の第1実施の形態を示し、差動制限部材を組み付けるための孔の部分を含む1層テーパリング型の差動制限装置の外面図である。
【図2】同、全体断面図である。
【図3】同、図3(A)(B)は差動制限部材であるテーパリングの斜視図および側断面図である。
【図4】本発明の差動制限装置の第2実施の形態を示す平面および要部断面図である。
【図5】本発明の差動制限装置の第3実施の形態を示す全体断面図である。
【図6】従来の差動制限装置の全体断面図である。
【符号の説明】
1 デフケース
1A ラグ溝
1B 係止溝
2 ピニオン軸
3 ピニオンギヤ
4 左サイドギヤ
4C 切欠き
5 右サイドギヤ
5C 切欠き
6 左テーパリング(差動制限部材)
6C 切欠き
7 右テーパリング(差動制限部材)
7A 円錐面
7B 係止片
7C 切欠き
8 孔
8S 短辺
8L 長辺
9 左内側テーパリング(差動制限部材)
10 右内側テーパリング(差動制限部材)
11 左多板クラッチ(差動制限部材)
12 右多板クラッチ(差動制限部材)
13 左プレッシャリング(差動制限部材)
14 右プレッシャリング(差動制限部材)
L デフケース回転軸

Claims (3)

  1. デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケースを周面に孔を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔を、前記ピニオンギヤおよび差動制限部材が通過可能な形状に構成し、前記差動制限部材はギヤ部の背面に形成された円錐面を備えた前記一対のサイドギヤであり、前記少なくとも一方のサイドギヤにおける円錐面は前記デフケースへの組付け状態において前記孔に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ投影面に対応して前記ギヤ部の歯底より浅い位置に留めて形成された切欠きを備えていることを特徴とする差動制限装置。
  2. デフケースの回転軸に直交して配設されるピニオン軸と該ピニオン軸に軸支されたピニオンギヤと該ピニオンギヤの両側に傘歯噛合して差動配分された駆動力を取り出す左右一対のサイドギヤとを備える差動装置の前記デフケースとサイドギヤとの間にて差動制限力を発生させるように構成された差動制限装置において、前記デフケースを周面に孔を穿設した一体構造に構成するとともに、前記孔を、前記ピニオンギヤおよび差動制限部材が通過可能な形状に構成し、前記差動制限部材が、サイドギヤとデフケースとの間の円錐面に介設されるとともに、前記差動制限部材として、デフケースと一体に回転するテーパリングを配設し、該少なくとも一方のテーパリングにおける円錐面は、前記デフケースへの組付け状態において前記孔に対向して露出して配置されるとともに、前記ピニオンギヤ投影面に対応して切り欠いた切欠きが設けられていることを特徴とする差動制限装置。
  3. 記サイドギヤにおける円錐面に備えられた切欠きを、ピニオンギヤの少なくとも最小歯数の歯形に対応して切り欠いて形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の差動制限装置。
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