JP4316104B2 - ディスク装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクおよび光磁気ディスクなどのディスクの再生または記録のいずれか少なくとも一方を行うためのディスク装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
デジタルバーサタイルディスク（ＤＶＤ）の多層ディスクは、厚み方向片側に複数層の記録層が形成され、各記録層に、データが記録されて構成される。各記録層のデータを読取って再生するためには、各記録層毎に、光ピックアップと、その光ピックアップに接続されて制御およびデータ処理を行う電気回路とを、最適に調整する必要がある。
【０００３】
先行技術では、ＤＶＤの多層ディスクの各記録層を再生するために、各記録層毎に、各記録層に共通の初期値から自動調整動作を、それぞれ行う。したがって複数の各記録層の再生開始のために比較的長い起動時間を必要とし、ユーザの待ち時間が増大する結果となる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ＤＶＤなどの光ディスクおよび光磁気ディスクなどの複数層の記録層を有するディスクの各記録層の再生または記録の少なくともいずれか一方を行うディスク装置において、短時間に再生または記録を行うことができるようにしたディスク装置を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ディスクから情報を読み出し、または情報の書き込みを行う光ピックアップと、
前記光ピックアップに接続される電気回路と、
前記電気回路内に設けられ、再生または記録が行うディスクの記録層毎に前記電気回路の特性が調整される調整部分と、
前記ディスクの第１の記録層に対する前記調整部分の調整結果の値に基づいて、前記ディスクの第２の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値を定める調整制御手段とを備えるディスク装置であって、
前記調整制御手段は、前記第２の記録層に対する前記調整部分の調整が完了しない場合、前記第１の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記第２の記録層に対する調整部分の調整を行うことを特徴とするディスク装置である。
【０００６】
本発明に従えば、ＤＶＤの多層ディスクなどのようなディスクの各記録層を、それぞれ再生または記録するために光ピックアップが設けられ、さらに光ピックアップに接続される電気回路が設けられる。この電気回路は、光ピックアップからの出力に応答してフォーカス、トラッキングなどの動作を行い、また光ピックアップからの出力を復号化してデータ処理する構成であってもよく、これらの光ピックアップには、１または複数の調整部分が存在し、また電気回路にも１または複数の調整部分が存在し、またはこれらの光ピックアップと電気回路とのいずれか一方に１または複数の調整部分が存在してもよい。調整制御手段は、第１の、すなわち或る１つの記録層に対する調整部分を調整することによって、その調整結果を得る。その後、第２の、すなわち他の記録層の再生または記録のために、前記調整結果に基づいて、前記他の記録層に対する、同一の調整部分の調整を行う。したがって前記他の記録層の再生または記録のために、各記録層に共通の初期値から調整を開始する動作に比べて、本発明に従って前記調整結果に基づいて調整を開始する方が、前記他の記録層の再生または記録の開始までの起動時間を短くすることができるようになる。
また、前記第２の、すなわち他の記録層に対する調整部分の調整を、前記第１の、すなわち或る記録層に対する調整部分の調整結果に基づいて行い、その結果、この調整が完了しなければ、前記或る記録層に対する調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記他の記録層に対する調整部分の調整を行う。こうして前記他の記録層に対する調整部分の調整を、確実に行うことができるようになる。調整部分の調整が完了しないというのは、たとえばディスクの出力データが、データ処理手段によって正しく読出すことができないとき、フォーカスサーボ系によるフォーカスサーチ動作が、再生移行中に、サーボ外れが生じてしまうとき、または再生に失敗して、繰返しリトライしても調整が完了せず、そのようなリトライ動作が予め定める時間以上長くかかるとき、またはリトライ回数が予め定める値以上になるときなどが挙げられる。再生動作の完了は、ディスクのたとえばリードイン領域におけるＴＯＣ（Table of Contents）情報の読取りが実現されたときである。
【０００７】
また本発明のディスク装置は、周囲温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記調整制御手段は、前記調整結果、及び前記温度検出手段の検出結果に基づいて、前記第２の記録層に対する前記調整部分の調整を行うことを特徴とする。
【０００８】
本発明に従えば、第２の、すなわち他の記録層に対する調整部分の調整は、各調整部分毎に、第１の、すなわち或る１つの記録層に対する調整部分の調整結果と、前記温度検出手段の検出結果とに基づいて行われる。こうして本件ディスク装置の周囲温度に依存して、前記他の記録層に対する調整部分の調整を行うことによって、前記他の記録層の再生または記録のための調整を、もっと短時間に達成することができるようになる。
【００１２】
また本発明のディスク装置は、前記調整部分を複数備えるディスク装置であって、前記調整部分は、複数の調整部分を備え、
前記調整制御手段は、前記複数の調整部分のうち、前記特性が前記記録層に依存しない調整部分を除く残余の調整部分のみ、前記ディスクの第１の記録層に対する前記調整部分の調整結果の値に基づいて、前記ディスクの第２の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値を定めることを特徴とする。
【００１３】
本発明に従えば、複数の記録層が異なっていても、前記特性が、そのような記録層に影響されない、すなわち依存しないほぼ一定の値である調整部分では、いずれかの記録層に対する調整部分の調整が実行されたのちには、その調整結果を保ち、その後の調整動作を禁止し、残余の調整部分のみを、記録層が異なるたびに、前述と同様に調整する。こうして調整制御手段による無駄な動作が省かれる。
【００１４】
また本発明のディスク装置は、各記録層には、記録層を識別するための情報が記録されており、
前記調整部分の特性の調整が完了した記録層の前記情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記調整制御手段は、ディスクから読み出された前記情報と前記記憶手段に記憶された情報とに基づいて、
前記調整部分の調整が行われていない記録層に対する前記調整部分の調整を行うことを特徴とする。
【００１５】
本発明に従えば、複数の各記録層には記録層を識別するための情報が記録されており、調整済みの記録層の情報は、記憶手段に記憶される。記録層に対する調整部分の調整中に、ディスクから読出した情報が、記憶手段に記憶されている調整済みの記録層を表すときには、その記録層に対する調整部分の調整をさらに行う必要はないので、他の記録層に対する調整部分の調整動作が行われる。ディスクから読出した情報が、記憶手段に記憶されている調整済みの記録層とは異なっていれば、引き続き、その異なっている記録層に対する調整部分の調整を行う。このような各調整動作は、前述のように、第１の、すなわち或る記録層の調整結果に基づいて行われる。これによって複数の記録層の調整のための時間を短縮することができる。
また本発明は、ディスクから情報を読み出し、または情報の書き込みを行う光ピックアップに接続される電気回路内に設けられ、かつ再生または記録が行われるディスクの記録層毎に前記電気回路の特性が調整される調整部分に対して、前記ディスクの第１の記録層に対する前記調整部分の調整結果の値に基づいて、前記ディスクの第２の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値を定める調整制御装置であって、
前記第２の記録層に対する前記調整部分の調整が完了しない場合、前記第１の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記第２の記録層に対する調整部分の調整を行うことを特徴とする調整制御装置である。
本発明に従えば、調整制御装置は、第１の、すなわち或る１つの記録層に対する調整部分を調整することによって得た調整結果に基づいた、第２の、すなわち他の記録層に対する特性の調整指示を出力する。したがって前記他の記録層の再生または記録のために、各記録層に共通の初期値から調整を開始する動作に比べて、本発明に従って前記調整結果に基づいて、前記他の記録層に対する調整部分の調整を開始することができるので、前記他の記録層の再生または記録の開始までの起動時間を短くすることができるようになる。また、前記第２の、すなわち他の記録層に対する調整部分の調整を、前記第１の、すなわち或る記録層に対する調整部分の調整結果に基づいて行い、その結果、この調整が完了しなければ、前記或る記録層に対する調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記他の記録層に対する調整部分の調整を行う。こうして前記他の記録層に対する調整部分の調整を、確実に行うことができるようになる。調整部分の調整が完了しないというのは、たとえばディスクの出力データが、データ処理手段によって正しく読出すことができないとき、フォーカスサーボ系によるフォーカスサーチ動作が、再生移行中に、サーボ外れが生じてしまうとき、または再生に失敗して、繰返しリトライしても調整が完了せず、そのようなリトライ動作が予め定める時間以上長くかかるとき、またはリトライ回数が予め定める値以上になるときなどが挙げられる。再生動作の完了は、ディスクのたとえばリードイン領域におけるＴＯＣ（Table of Contents）情報の読取りが実現されたときである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
図１は、本発明の実施の一形態のディスク再生装置の全体の構成を簡略化して示すブロック図である。デジタルバーサタイルディスク（ＤＶＤ）であるディスク１に記録されている情報は、光ピックアップ２によって読取られる。このＤＶＤは、２層ディスクであって、厚み方向片側に２層の記録層が形成された構成を有し、本発明の実施の他の形態では、さらに多くの記録層が形成された構成であってもよい。各記録層毎に、情報が光ピックアップ２によって読取られる。各記録層には、その記録層を識別するアドレスが記録されており、このアドレスを読出すことによって、合焦状態にある記録層を識別することができる。
【００１７】
本件ディスク再生装置内の周囲温度を検出するために温度検出素子５７が備えられる。この温度検出素子５７は、図１に示される多くの構成要素が収納されたケーシング内などに配置され、温度に依存して電気的特性が変化する構成要素の付近の温度を検出する。温度検出素子５７の出力は、処理回路５３に与えられる。光ピックアップ２内の受光素子３は、読取手段である４つの受光部分Ａ〜Ｄに分割されており、各受光部分Ａ〜Ｄの出力信号は、それぞれ増幅器４〜７に与えられる。光ピックアップ２は、レーザ光を発生するレーザ源と、そのレーザ光をディスク１の各記録層に照射して導く対物レンズと、各記録層からの反射光を受光する前述の受光素子３とを含み、さらに対物レンズをフォーカシングおよびトラッキングの各制御のために駆動する調整部分である駆動手段を有する。増幅器４，６からの出力信号ａ，ｃは、加算器８に与えられて加算され、出力信号（ａ＋ｃ）として導出される。同様に増幅器５，７の出力信号ｂ，ｄは、加算器９に与えられて加算され、出力信号（ｂ＋ｄ）として導出される。
【００１８】
加算器８，９からの出力信号（ａ＋ｃ），（ｂ＋ｄ）は、加算器１０に与えられて出力信号（ａ＋ｂ＋ｃ＋ｄ）として、ゲインが可変である増幅器１６に与えられ、等化器１７から、マイクロコンピュータなどによって実現されるデータ処理回路１８に入力される。これによってライン１１からは、ディスク１に出力されているデジタル信号が復号化され、音響信号などのアナログ信号として導出される。
【００１９】
増幅器４〜７からの出力信号ａ〜ｄはまた、フォーカシングエラー検出回路２０に与えられる。増幅器５，６の出力信号ｂ，ｃは加算器２１に与えられ、増幅器４，７の出力信号ａ，ｄは加算器２２に与えられる。加算器２１，２２からの出力信号は、ゲインがそれぞれ可変である増幅器２３，２４に与えられる。これらの増幅器２３，２４の出力は、減算器２５に与えられる。
【００２０】
減算器２５からの出力信号は光ピックアップ２の合焦点からのずれ量に対応した値であり、この出力信号はゲインが可変である増幅器２６を介して、等化器２９に与えられる。この等化器２９の出力は、駆動回路２７に与えられる。これによってアクチュエータコイル２８が駆動されて、光ピックアップ２内の対物レンズがディスク１の記録面に対して垂直方向に移動され、光ピックアップ２が合焦状態とされ、こうしてフォーカシングサーボが実現される。
【００２１】
加算器８，９の出力信号（ａ＋ｃ），（ｂ＋ｄ）はまた、トラッキングエラー検出回路３０のゲインが可変である増幅器３２，３３に与えられる。これらの増幅器３２，３３の出力は減算器３４に与えられる。
【００２２】
減算器３４の出力は、ゲインが可変である増幅器３５に与えられ、さらに等化器３６に与えられる。増幅器３５の出力によって、信号（ａ＋ｃ），（ｂ＋ｄ）の相対的な位相を有する出力が与えられ、この位相差が、等化器３６に与えられ、この位相差は、トラッキングエラーに対応している。等化器３６の出力は駆動回路４２に与えられる。これによってアクチュエータコイル４３が駆動されて、光ピックアップ２がディスク１とは平行に、かつ後述するトラック７０とは垂直な方向に変位され、こうしてトラッキングサーボが実現される。サーボ制御回路３１において、増幅器２６と等化器２９は、フォーカシングサーボ系を構成し、増幅器３５と等化器３６とはトラッキングサーボ系を構成する。
【００２３】
サーボ制御回路３１は、マイクロコンピュータなどによって実現される処理回路１２を備え、これによって増幅器２６，３５のサーボ制御が行われるとともに、等化器２９，３６の制御が行われる。 ディスク１のトラック７０が、矢符７１方向に走行すると、この走行方向７１上流側に配置された受光部分Ａ，Ｄによって、先ずトラック７０の反射光が検出される。このときトラック７０が受光部分Ｃ，Ｄ側にずれていると、反射率の低いピット７２が受光部分Ａ，Ｄにさしかかったとき、受光部分Ｄの受光量よりも受光部分Ａの受光量の方が大きく、またピット７２が受光部分Ａ，Ｄを通過して受光部分Ｂ，Ｃにさしかかったときには、受光部分Ｃの受光量よりも受光部分Ｂの受光量が大きくなる。このようなトラック７０のずれ量に対応して、光ピックアップ２のトラッキングサーボ動作を行うことができる。こうしてフォーカシングサーボが実現された後、トラッキングサーボが実現され、ディスク１のデータの再生が行われる。
【００２４】
光ピックアップ２は、駆動手段１５によってディスク１の半径方向に往復移動される。ディスク１は、その軸線まわりに回転駆動手段１３によって回転駆動される。
【００２５】
マイクロコンピュータなどによって実現される処理回路５３は、増幅器４〜７の出力に応答し、フォーカシングエラー検出回路２０およびトラッキングエラー検出回路３０にそれぞれ備えられている増幅器２３，２４；３２，３３のゲインを個別的に変化調整するとともに、サーボ制御回路３１に備えられているフォーカシングサーボ系の増幅器２６およびトラッキングサーボ系の増幅器３５のゲインをそれぞれ変化して調整することができる。このサーボ制御回路３１に備えられている処理回路１２は、処理回路５３の出力と各回路２０，３０の出力とに応答し、増幅器２３，２４のゲインのバランスを制御するとともに、増幅器３２，３３のゲインのバランスを制御する。
【００２６】
処理回路５３には、メモリ手段５５が備えられる。メモリ手段５５は、個別的なメモリＭ１〜Ｍ３を備える。各回路２０，３０，３１の増幅器２３，２４；３２，３３；２６，３５および増幅器１６は、前述のようにそれらのゲインが可変調整可能であり、本発明の調整部分を構成する。温度検出素子５７は、ディスク再生装置の周囲温度を検出する。この温度検出素子５７によって、前記調整部分付近の温度が検出される。温度変化によって、ディスク再生装置を構成する各種の構成要素の電気的特性が変化する。本発明では、温度検出素子５７による温度検出によって、このような温度に依存する特性の変化にかかわらず、ディスク１の再生を確実に行うようにするための自動調整動作が行われる。
【００２７】
図２は、処理回路５３の動作を説明するためのフローチャートである。ステップｋ１からステップｋ２に移り、メモリ手段５５のメモリＭ１にストアされている各増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５；１６毎の第１初期値Ｌ０１を読出す。
【００２８】
【表１】

【００２９】
表１の初期値Ｌ０１１は、フォーカシングエラー検出回路２０に備えられている増幅器２３，２４のバランス調整のためのゲインを表し、初期値Ｌ０１２は、フォーカシングサーボ系の増幅器２６のゲインを表す。初期値Ｌ０１３は、トラッキングエラー検出回路３０に備えられる増幅器３２，３３のバランス調整のためのゲインを表し、初期値Ｌ０１４は、トラッキングサーボの調整のための増幅器３５のゲインを表す。さらに初期値Ｌ０１５は、データ処理のための増幅器１６のゲインを表す。これらの初期値Ｌ０１１〜Ｌ０１５を総括的に参照符Ｌ０１で表す。
【００３０】
ディスク１の２つの第１および第２記録層のうち、第１記録層の再生のために、調整部分である増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５；１６用の第１初期値Ｌ０１を設定する。この第１初期値Ｌ０１の表すゲインは、調整のための最小値であり、予め定める値ΔＧ１ずつ、順次的に大きく変化されて、第１記録層に対応した特性が最適に変化調整される。光ピックアップ２のたとえば対物レンズを駆動する駆動手段のための第１初期値がさらに設定されていてもよい。こうして第１記録層の調整結果の値が、ステップｋ３において得られ、各増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５；１６の調整結果の各値Ｌ０２は、メモリＭ２に、第１記録層に対応してストアされる。
【００３１】
その後、ステップｋ４に移り、ディスク１の第２記録層の再生のために、第２初期値Ｌ１１が、温度検出素子５７の検出温度Ｔに対応して、調整結果の値Ｌ０２を用いて演算して、式１のとおりに定められる。
Ｌ１１ ＝ Ｌ０２＋β …（１）
【００３２】
βは、次に述べる表２の検出温度Ｔの範囲たとえばｉｉにおける補正値β１１〜β１５を総括的に示す。
【００３３】
【表２】

【００３４】
表２におけるフォーカシングバランスおよびフォーカシングサーボ、トラッキングバランスおよびトラッキングサーボならびにデータ処理は、表１と同様に、増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５；１６の補正値に対応する。
【００３５】
検出温度Ｔの他の範囲ｉ，ｉｉｉであるとき、式１のβの代わりに、表２の補正値α１１〜α１５を総括的に示す参照符αおよびγ１１〜γ１５を総括的に表す参照符γが設定される。たとえば一例として、フォーカシングエラー検出回路２０に含まれている増幅器２３の第１初期値はＬ０１１であり、自動調整によって得られた調整結果の値をＬ０２１と表し、検出温度Ｔの範囲が、表２のｉｉであるとき、補正値はβ１１が選ばれ、これによって、第２記録層のバランス調整のための増幅器２３の第２初期値Ｌ１１１は、式２のとおりに演算して求められる。
Ｌ１１１ ＝ Ｌ０２１＋β１１ …（２）
【００３６】
このような第２初期値Ｌ１１の演算は、残余の増幅器２４；２６；３２，３３；３５；１６に関しても同様である。表２に示されるこれらの増幅器のための補正値は、表１と同様であって、メモリＭ１にストアされる。温度検出素子５７による検出温度Ｔの各範囲ｉ，ｉｉ，ｉｉｉは、０℃および５０℃で変化して設定される。
【００３７】
ステップｋ５では、再生される第１および第２記録層に依存しない調整部分であるデータ処理のための増幅器１６の第２初期値Ｌ１１は、前述の式１に従って演算して設定されることなく、第１記録層に関する増幅器１６の調整による調整結果の値Ｌ０２のままとし、増幅器１６のゲインの調整動作を禁止する処理を、自動的に行う。または本発明の実施の他の形態では、ステップｋ５は省略されてもよく、増幅器１６のゲインが第２記録層に関して、他の増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５と同様にして演算して次のステップｋ６において求められてもよい。
【００３８】
このステップｋ６では、第２記録層に関する増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５の自動調整動作が、式１で示される第２初期値Ｌ１１から順次的に予め定める値ずつ変化して実行される。
【００３９】
ステップｋ７において、自動調整時間Ｗ１が、ステップｋ６の実行開始から計測される。この計測される調整時間Ｗ１は、ステップｋ８において予め定める値Ｗ０と比較され、Ｗ１＞Ｗ０となって調整タイムアウトとなれば、ステップｋ９に移る。このステップｋ９では、第２記録層に関する自動調整のための第２初期値Ｌ１１は、前述の表１に示される第１初期値Ｌ０１に設定される。こうして第２記録層の自動調整が、ステップｋ６で行われる。
【００４０】
このような自動調整が完了せず、ステップｋ８において調整タイムアウトと判断されるときというのは、ディスク１の第２記録層の出力データが、データ処理手段１８によって正しく読出すことができないとき、フォーカスサーボ系によるフォーカスサーチ動作が、再生移行中に、サーボ外れが生じてしまうとき、または再生に失敗して、繰返しリトライしても調整が完了せず、そのようなリトライ動作が予め定める時間以上長くかかるとき、またはリトライ回数が予め定める値以上になるときなどが挙げられる。再生動作の完了は、ディスク１の各記録層のリードイン領域におけるＴＯＣ（Table of Content）情報の読取りが実現されたときである。こうしてステップｋ１０では、ＴＯＣ情報の読取りによる再生の準備のための起動動作が行われ、その後、ステップｋ１１で第１または第２記録層の再生を行うことができる。
【００４１】
メモリＭ２には、各調整部分である増幅器２３，２４；２６；３２，３３；３５；１６の第１記録層に関する調整結果の値Ｌ０２および第２記録層の調整結果の値Ｌ０３が、個別的にストアされる。こうして再生すべき第１または第２記録層が選択されたとき、メモリＭ２から、選択された第１または第２記録層に関する調整結果の値Ｌ０２，Ｌ０３が読出され、これによって自動調整動作が再度行われることなく、再生されることになる。
【００４２】
図３は、本発明の実施の一形態の処理回路５３の一部の動作を説明するためのフローチャートである。ディスク１の２つの第１および第２の各記録層には、その各記録層を識別するアドレスが記録されている。たとえば第１記録層のフォーカスサーチ動作を行って合焦状態が達成されてフォーカスオンとなったときには、その第１記録層のアドレスが光ピックアップ２によって読出される。その読出されたアドレスは、処理回路５３の働きによって、メモリＭ３にストアされる。このメモリＭ３には、読出されたアドレスを有する記録層に関して、自動調整動作が行われて調整済みであるかどうかの情報もまた、ストアされる。
【００４３】
ディスク１の再生起動時に、第１記録層に関して前述の自動調整動作が行われ、その第１の記録層に関する自動調整の動作が調整済みであり、その後、第２記録層に関する自動調整動作を行っている途中で、その第２記録層に関して、フォーカシングエラー検出回路２０ならびにサーボ制御回路３１の増幅器２６および等化器２９を含むフォーカシングサーボ系のサーボ外れ状態が生じたとき、図３の動作が、処理回路５３によって実行される。ステップｐ１からステップｐ２に移り、光ピックアップ２の対物レンズを駆動手段によって変化し、フォーカスサーチ動作を行うとともに、そのフォーカスサーチ動作中に合焦状態が達成されたとき、その合焦状態が達成された第１または第２記録層に記録されているアドレスを読出す。
【００４４】
ステップｐ３では、前述のステップｐ２で読出されたアドレスを表す記録層に関して、前述の自動調整動作が完了して調整結果の値Ｌ０２が得られて調整済みであるかどうかが判断される。現在層に関して調整済みであることがステップｐ３で、メモリＭ３のストア内容を読出して判断し、調整済みでなければ、ステップｐ４に移り、現在層に関して、前述の自動調整動作を行い、すなわち第２初期値Ｌ１１から変化する自動調整動作を行う。
【００４５】
ステップｐ３で、合焦状態が達成されている記録層のアドレスを読出し、その読出したアドレスが表す記録層に関して、メモリＭ３にストアされている内容に基づき、既に自動調整が行われており、調整済みであることが判断されると、ステップｐ５に移る。たとえばステップｐ３において、合焦状態が達成された記録層が、第１記録層であれば、この第１記録層に関しては前述の自動調整動作による調整済みであるので、ステップｐ３からステップｐ５に移ることになる。
【００４６】
このステップｐ５では、処理回路５３は光ピックアップ２を駆動して、対物レンズを変位し、ステップｐ２で検出された現在層に、ディスク１の厚み方向に隣接する他の記録層（たとえばこの実施の形態では第２記録層）に関するフォーカスサーボ動作を行う。これによって第２記録層の合焦状態が達成されたときには、そのアドレスが読出され、その読出されたアドレスに対応する第２記録層に関して、メモリＭ３のストア内容に基づいて、自動調整動作が行われていなければ、自動調整動作が前述のように行われる。
【００４７】
このような図３の動作によれば、フォーカスサーボ外れが生じたとき、再びフォーカスサーボ動作を行って合焦状態であるフォーカスオンとし、そのフォーカスオンの記録層のアドレスを読出し、この読出したアドレスが表す現在層である記録層に関して、メモリＭ３のストア内容に基づいて、自動調整動作が行われて調整済みであるかどうかが判断され、調整済みであれば、前述のステップｐ３からステップｐ５に移り、他の記録層のフォーカスサーボ動作が行われて、その新たな他の記録層に関して自動調整済みかどうかが判断され、調整済みであればさらに他の記録層にフォーカスサーボ動作が継続して行われ、調整済みでなければ、自動調整動作が行われる。こうして複数の記録層の全体の自動調整に要する時間を、できるだけ短縮することができるようになる。
【００４８】
本発明は、ＤＶＤの多層ディスクに関して実施されるだけでなく、そのほかの厚み方向片側に複数層の記録層が形成されたディスクに関連して広範囲に実施することができる。本発明は、光ディスクだけでなく、光磁気ディスクに関連してもまた、実施することができる。さらに本発明は、ディスク１の再生だけでなく、記録を行うことができる装置に関連してもまた、実施することができる。
【００４９】
【発明の効果】
請求項１の本発明によれば、複数の記録層を有するディスクの再生または記録に先立つ起動のための時間を、大幅に短縮することができ、これによってユーザの待ち時間を短縮し、ディスク装置の快適な使用が可能になる。すなわち本発明では、第１の記録層に対する調整部分の調整結果に基づいて、次に行う第２の記録層に対する、同一の調整部分の調整を行う。これによって前記第２の記録層のための調整の時間を大幅に短縮することができる。また、第２の、すなわち他の記録層に対する調整部分の調整を、第１の、すなわち或る記録層に対する調整部分の調整結果に基づいて行おうとしたとき、この調整を完了することができなければ、前記或る記録層に対する調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記他の記録層に対する調整部分の調整を行う。これによって調整動作を確実に達成することができるようになる。
【００５０】
請求項２の本発明によれば、第２の、すなわち他の記録層に対する調整部分の調整は、各調整部分毎に、第１の、すなわち或る１つの記録層に対する調整部分の調整結果と、温度検出手段の検出結果とに基づいて行われる。これによって前記他の記録層のための調整の時間をさらに短縮することができるようになる。
【００５２】
請求項３の本発明によれば、複数の調整部分のうち、その特性が他の記録層に依存しない調整部分は、第１の、すなわち或る記録層に対する調整部分の調整によって得られた調整結果を保ち、その後の調整動作を禁止する。これによって制御動作の簡略化を図り、調整時間の短縮をさらに図ることが可能になる。
【００５３】
請求項４の本発明によれば、記録層に対する調整部分の調整中に、ディスクから読出した情報が、記憶手段に記憶されている調整済みの記録層を表すときには、他の記録層の調整動作を行い、またディスクから読出した情報が、記憶手段に記憶されている調整済みの記録層とは異なる記録層を表すときには、そのまま引き続き調整動作を続行する。このような各調整動作は、前述のように、第１の、すなわち或る記録層に対する調整部分の調整結果に基づいて行われる。こうして調整済みの記録層に対する調整部分に関して再度、調整動作をすることなく、複数の記録層に対する調整部分の調整動作の時間を短縮することができる。
請求項５の本発明によれば、調整制御装置は、第１の、すなわち或る１つの記録層に対する調整部分を調整することによって得た調整結果に基づいた、第２の、すなわち他の記録層に対する特性の調整指示を出力する。これにより、前記他の記録層のための調整の時間を大幅に短縮することができ、前記他の記録層の再生または記録の開始までの起動時間を短くすることができるようになる。また、第２の、すなわち他の記録層に対する調整部分の調整を、第１の、すなわち或る記録層に対する調整部分の調整結果に基づいて行おうとしたとき、この調整を完了することができなければ、前記或る記録層に対する調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記他の記録層に対する調整部分の調整を行う。これによって調整動作を確実に達成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の一形態のディスク再生装置の全体の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図２】処理回路５３の動作を説明するためのフローチャートである。
【図３】本発明の実施の一形態の処理回路５３の一部の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
１ ディスク
２ 光ピックアップ
３ 受光素子
２０ フォーカシングエラー検出回路
２３，２４；２６；３２，３３；３５，１６ 増幅器
３０ トラッキングエラー検出回路
５３ 処理回路
５５ メモリ手段
５７ 温度検出素子
Ｍ１〜Ｍ３ メモリ

Claims (5)

1. ディスクから情報を読み出し、または情報の書き込みを行う光ピックアップと、
   前記光ピックアップに接続される電気回路と、
   前記電気回路内に設けられ、再生または記録が行われるディスクの記録層毎に前記電気回路の特性が調整される調整部分と、
   前記ディスクの第１の記録層に対する前記調整部分の調整結果の値に基づいて、前記ディスクの第２の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値を定める調整制御手段とを備えるディスク装置であって、
   前記調整制御手段は、前記第２の記録層に対する前記調整部分の調整が完了しない場合、前記第１の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記第２の記録層に対する調整部分の調整を行うことを特徴とするディスク装置。
2. 周囲温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
   前記調整制御手段は、前記調整結果、及び前記温度検出手段の検出結果に基づいて、前記第２の記録層に対する前記調整部分の調整を行うことを特徴とする請求項１に記載のディスク装置。
3. 前記調整部分を複数備える請求項１または２に記載のディスク装置であって、
   前記調整制御手段は、前記複数の調整部分のうち、前記特性が前記記録層に依存しない調整部分を除く残余の調整部分のみ、前記ディスクの第１の記録層に対する前記調整部分の調整結果の値に基づいて、前記ディスクの第２の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値を定めることを特徴とするディスク装置。
4. 各記録層には、記録層を識別するための情報が記録されており、
   前記調整部分の特性の調整が完了した記録層の前記情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
   前記調整制御手段は、ディスクから読み出された前記情報と前記記憶手段に記憶された情報とに基づいて、
   前記調整部分の調整が行われていない記録層に対する前記調整部分の調整を行うことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載のディスク装置。
5. ディスクから情報を読み出し、または情報の書き込みを行う光ピックアップに接続される電気回路内に設けられ、かつ再生または記録が行われるディスクの記録層毎に前記電気回路の特性が調整される調整部分に対して、前記ディスクの第１の記録層に対する前記調整部分の調整結果の値に基づいて、前記ディスクの第２の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値を定める調整制御装置であって、
   前記第２の記録層に対する前記調整部分の調整が完了しない場合、前記第１の記録層に対する前記調整部分の調整開始初期値に基づいて、前記第２の記録層に対する調整部分の調整を行うことを特徴とする調整制御装置。

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