JP4316069B2 - 穴かがり縫いミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穴かがり縫いミシンに係り、特に、縫製終了時において、迅速に上糸及び下糸の切断から布押えの上昇までの動作を行うことができる穴かがり縫いミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に穴かがり縫いミシンは、挟持することにより被縫製物を保持する布押え及び布送り台と、これら布押え及び布送り台を布送り方向に移動させる布送り機構と、布押えを上下動させる布押え昇降機構と、上下動及び左右への揺動により穴かがり縫いを行う針と、縫製終了時に上糸を切断する上糸切断機構と、同じく縫製終了時に下糸を切断する下糸切断機構等とを有するものである。
そして、穴かがり縫いミシンは、布押え昇降機構により布押えを下降させて、布押え及び布送り台によって被縫製物を保持して、上糸を上下動する針によって誘導して、この上糸と被縫製物の下側の下糸とにより、被縫製物に所望の穴かがり縫いをすることができる。
また、穴かがり縫いミシンは、被縫製物に所望の穴かがり縫いが終了した後に上糸切断機構によって上糸を切断するとともに、下糸切断機構によって下糸を切断して、被縫製物から自動的に上糸及び下糸を切り離すようになっている。そして、上糸及び下糸の切断後に、布押え昇降機構は布押えを上昇させて、被縫製物の保持を解除するようになっている。また、一般的に従来の穴かがり縫いミシンは、上糸切断、下糸切断及び布押えの昇降を、上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構とを機械的に連動させることによって行っていた。
【0003】
ところで、穴かがり縫いミシンの下糸切断機構は、固定された固定刃と、可動可能な可動刃と、下糸をさばく下糸さばきとを有しており、まず、下糸さばきによってボビンケースから下糸を所定の量繰り出して、次に、可動刃が固定刃に向かって動き、下糸を固定刃と可動刃により切断する。
【0004】
そして、このような下糸切断機構においては、該下糸切断機構を高速で動作させると、下糸を切断をする前の下糸さばきを時に、下糸が急激に引っ張られて所定の切断位置ではない位置で下糸を切断させる可能性が高いため、下糸さばき時に下糸を切断しないように下糸切断機構を低速で動作させていた。しかし、上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構を機械的に連動させて動作させていたため、下糸切断機構による下糸切断工程を遅くしてしまうと、上糸切断工程及び布押えの上昇工程も遅くなってしまい、作業効率が低くなるという問題があった。
【0005】
特開平11−156073号公報には、上糸切断機構、下糸切断機構、及び、布押えを昇降させる布押え昇降機構を連動的に駆動する穴かがり縫いミシンが開示されている。この穴かがり縫いミシンでは、該上糸切断機構、該下糸切断機構、及び、該布押え昇降機構を連動的に駆動する一つの駆動手段を備え、被縫製物の縫製終了後、該駆動手段によって上記上糸切断機構を駆動させ、次に、上記下糸切断機構を駆動させ、最後に、上記布押え昇降機構を駆動させていた。
そして、上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構を連動して駆動する一つの駆動手段を制御装置によって制御するとともに、下糸切断時の駆動手段による駆動速度を遅くし、かつ、上糸切断時及び布押え上昇時の駆動手段の駆動速度を速くすることにより、下糸さばきの際の下糸の切断を防止し、かつ、各機構の作業工程全体としての作業時間の短縮を図っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上糸切断時と布押え上昇時との駆動速度を速くしても、上糸及び下糸の切断から布押えの上昇までの作業時間の短縮には限界があり、必ずしも、十分な作業時間の短縮を図ることができなかった。
また、特開平11−156073号公報の場合においても、上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構を連動させて駆動するので、布押え昇降手段、上糸切断機構及び下糸切断機構を連動させて駆動する機構が複雑な構造となっていた。
【0007】
また、上糸の切断、下糸の切断、布押えの上昇の順で作業を行った際に、駆動手段は、上糸の切断動作開始時に駆動を開始するとともに駆動速度を迅速に上昇させて上糸切断動作が迅速に行われるようにし、次いで、下糸切断時に駆動速度が低速となるように下げ、布押え上昇時に再び、駆動速度を上昇させる必要がある。従って、短時間の間に複数回の駆動速度の変更を行う必要があり、時間的に高精度で複雑な制御を行う必要がある。即ち、駆動手段の制御に際して、例えば、低速から順次高速に駆動速度を変化させるものとすれば、効率的に駆動速度の変更を行うことができるが、上述の制御では、駆動手段を駆動開始時にすぐに高速に作動させ、次いで、駆動速度を低速に落とした後に、再び、駆動速度を高速とすることになり、必ずしも効率的とはいえないものとなっている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成及び制御で上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構を動作させるとともに、それらの動作サイクルをさらに早めることができる穴かがり縫いミシンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、
被縫製物の上方において上糸を切断するための上糸切断機構と、上記被縫製物の下方において下糸を切断するための下糸切断機構と、布押えを昇降するための布押え昇降機構とを備え、
上記上糸切断機構による上糸の切断と上記下糸切断機構による下糸の切断とが終了した後に布押え昇降機構による布押えの上昇を行う穴かがり縫いミシンにおいて、
上記上糸切断機構を駆動する上糸切断用駆動手段と、
上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構とを上記上糸切断機構と独立して駆動する駆動手段と、
上記上糸切断機構による上糸切断動作と上記下糸切断機構による下糸切断動作とが時間的にほぼ重なるように、上記上糸切断用駆動手段と上記駆動手段とのうちの少なくとも一方を制御する制御手段とを備え、
上記上糸切断機構が、
上糸を切断する上糸切りはさみと、
上記上糸切りはさみを、上記上糸切りはさみを閉じて切断する切断位置と、該切断位置から離れた開放位置との間で移動自在に支持する上糸切り腕と、
上記上糸切り腕に設けられた作動腕と、
上記作動腕と係合することにより上記上糸切りはさみを開放位置に保持する案内板と、を備え、
上記上糸切り腕により上記上糸切りはさみが上記切断位置から上記開放位置へ移動するのに伴って上記作動腕が上記案内板に係合して、上記上糸切りはさみを上記開放位置に保持することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記上糸切りはさみの上記切断位置と上記開放位置との間の移動に伴って上記作動腕が移動可能とされ、
上記案内板が上記上糸切りはさみの上記切断位置と上記開放位置との間の移動に伴う上記作動腕の軌道上において固定され、
上記作動腕と上記案内板が接触した場合の互いの接触面がカム面とされ、
上記上糸切断機構が、上記上糸切り腕を上記開放位置側から上記切断位置側に向かって付勢する第一ばねを備え、
上記作動腕が前記第一ばねの付勢向きに沿う軸の回りに回動可能となって上記上糸切り腕に取り付けられ、
上記上糸切断機構が、上記作動腕を回動させて上記案内板に係合させる方向に上記作動腕を付勢する第二ばねと、上記上糸切りはさみを上記開放位置側へ押すはさみ移動カムと、を備え、
上記上糸切断用駆動手段によって上記上糸切り腕を介して上記上糸切りはさみが上記第一ばねに抗して上記切断位置から上記開放位置へ移動することにより上記作動腕と上記案内腕が接触し、上記はさみ移動カムによって上記上糸切りはさみが上記開放位置側へ押されることによって上記作動腕が上記カム面により上記第二ばねに抗して回動し、上記作動腕が上記案内板を乗り越えて上記作動腕が上記第二ばねにより回動して上記作動腕が上記第一ばねの付勢力により上記案内板に係合することを特徴とする。
【0010】
ここで、上記上糸切断用駆動手段及び上記駆動手段としては、ソレノイドアクチュエータやエアシリンダやパルスモータやステッピングモータ等が挙げられる。
【0011】
以上のように、請求項1、2に記載の発明によると、上糸切断機構と下糸切断機構とをそれぞれ独立して駆動し、かつ、制御手段が上糸切断動作と下糸切断動作とを時間的にほぼ重なるように、即ち、同時にこれら動作が行われるように上記上糸切断用駆動手段及び上記駆動手段を制御しているため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作にかかる時間を短縮することができる。即ち、上糸切断動作が下糸切断動作とほぼ同時に行われるので、従来、上糸切断にかかる時間と下糸切断にかかる時間と布押え上昇のかかる時間とが一連の動作に必要であったのに対して、本発明は、上糸切断が下糸切断と同時に行われることにより、上述のように下糸切断が低速で行われるものとした場合には、上糸切断にかかる時間を無視することができる。従って、上述の一連の動作の作業時間を下糸の切断にかかる時間と布押えの上昇に係る時間との和とすることができるので、実質的に被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
【0012】
また、上記下糸切断機構を駆動する上記駆動手段と独立した駆動手段である上記上糸切断用駆動手段により上記上糸切断機構を駆動しているため、上述の従来例のように上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構の3つの機構を連動して駆動するより簡単な構造で、これら3つの機構を駆動することができる。
また、上記上糸切断機構と上記下糸切断機構とをそれぞれ独立して駆動しているため、上述のように、上糸切断及び下糸切断を同時に行うことができる。
また、上記上糸切断機構と上記下糸切断機構とを独立した駆動手段で駆動しているため、上糸を切断するための駆動速度と下糸を切断するため駆動速度とを異なる速度で容易に駆動することができる。例えば、下糸切断機構を高速で駆動すると、下糸さばきの際に下糸を切断してしまうおそれがあったが、下糸さばきの際に下糸が切断されないような速度で下糸切断機構を駆動することができるとともに、上糸切断機構は下糸切断機構よりも高速で駆動することができる。
【0013】
また、上述のように上糸切断にかかる作業時間を無視できるので、例えば、上糸切断機構、下糸切断機構及び布押さえ昇降機構の作動速度を特に変えなくても、一連の動作にかかる時間の短縮を図ることができるので、制御を容易なものとすることができる。例えば、上糸切断用駆動手段は、独立して作動するので、予め決められた駆動速度で動作するようにすれば良い。また、下糸切断機構と布押え昇降機構とを駆動する駆動手段は、該駆動手段が別々の場合には、それぞれ予め決められた駆動速度で動作するようにすれば良い。また、下糸切断機構と布押え昇降機構とが一つの駆動手段で駆動される場合には、途中で一度速度を変更するだけでよい。従って、制御手段による駆動速度の制御が極めて容易なものとなる。
また、作動腕と案内板との接触面であるカム面に案内されて、切断位置にある上糸切りはさみを開放位置に移動することができ、上糸切りはさみが開放位置に移動すると作動腕と案内板とが係合することによって、上糸切りはさみを開放位置に保持することができる。上糸切りはさみが開放位置にある際に、穴かがり縫いミシンは被縫製物に所望の穴かがり縫いを行い、被縫製物の縫製が完了した後に、上糸切断用駆動手段が支持腕の上糸切り腕を動作させて、上糸切り腕に設けられた作動腕と案内板との係合を解除することにより、上糸を切断することができる。
従って、上記カム面に沿って案内された状態で作動腕が案内板に係合するので、確実に作動腕と案内版とを係合させることができる。これにより、縫製時に上糸切りはさみを縫製の邪魔にならない開放位置に確実に保持させることができる。
【0014】
なお、上述のように上糸切断機構を駆動する上糸切断用駆動手段は、下糸切断機構及び布押え昇降機構を駆動する駆動手段に対して独立して設けられるが、下糸切断機構と布押え昇降機構とを駆動する駆動手段は、それぞれ別の駆動手段であっても良いし、下糸切断機構と布押え昇降機構とを機械的に連動するものとして、これらを一つの駆動手段で駆動するものとしても良い。
また、制御手段は、上糸切断機構を駆動する上糸切断用駆動手段と、下糸切断機構及び布押え昇降機構を駆動する駆動手段とのすべてを制御するようにしても良いし、例えば、下糸切断機構及び布押え昇降機構を駆動する駆動手段を制御手段で制御し、上糸切断用駆動手段を制御しないものとしても良い。
この場合には、予め、上糸切断用駆動手段を縫製終了時に、例えば機械的もしくは電気的に駆動を開始する構成としておき、制御装置は、縫製終了もしくは上糸切断用駆動手段の作動を検知して、下糸切断機構を駆動する駆動手段の駆動を開始させるものとすれば良い。
また、上糸切断機構を駆動する上糸切断用駆動手段と、下糸切断機構及び布押え昇降機構を駆動する駆動手段とがそれぞれ別々の制御手段により制御されるものとしても良い。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記下糸切断機構による下糸切断動作のうちの少なくとも下糸を切断する前に下糸を繰り出す下糸さばきの際の上記下糸切断機構を駆動する駆動手段の駆動速度と、上記布押え昇降手段による布押え上昇の際の上記布押え昇降機構を駆動する駆動手段の駆動速度とをそれぞれ独立して設定する設定手段を備え
上記制御手段が、上記設定手段で設定された駆動速度に基づいて上記下糸切断機構及び上記布押え昇降機構を駆動する上記駆動手段を制御することを特徴としている。
【0016】
以上のように、請求項3に記載の発明によると、設定手段により下糸切断機構の駆動速度と布押え昇降機構の駆動速度とをそれぞれ独立して設定でき、上記設定手段で設定されたそれぞれの速度に基づいて制御手段が上記駆動手段を制御しているため、例えば、下糸さばきの際に下糸が切断されないような低い速度で下糸切断することができるとともに、布押え昇降機構を下糸切断機構の駆動速度より速い駆動速度で駆動することができる。即ち、下糸さばき時に下糸を切断しないように低い速度で下糸切断機構を駆動しても、布押え昇降機構をそれより高い速度で駆動することができるため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作をさらに短縮することができる。即ち、被縫製物の縫製終了から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
【0017】
なお、上述のように下糸切断機構と布押え昇降機構との駆動手段は、それぞれ別のものとしても、一緒のものとしても良い。一緒のものとした場合には、一つの駆動手段に対して、下糸切断時の駆動速度と、布押え上昇時の駆動速度とが設定されることなるが、上述のように下糸切断時には、駆動速度が低速で、布押え上昇時には、駆動速度が高速であることが好ましいので、上記駆動手段は、駆動開始時に駆動速度が低速とされ、次いで、駆動速度が高速とされるので、従来に比べて効率的に、駆動手段が制御されることになる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一つに記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記制御手段は、上記下糸切断機構による下糸切断動作のうちの少なくとも下糸を切断する前に下糸を繰り出す下糸さばきの際に、上記下糸切断機構を駆動する駆動手段の駆動速度よりも、上記布押えが上昇する際に、上記布押え昇降機構を駆動する駆動手段の駆動速度の方が速くなるように上記駆動手段を制御することを特徴としている。
【0019】
以上のように請求項4に記載の発明によると、布押え昇降機構を下糸切断機構の駆動速度より速い駆動速度で駆動しているため、下糸さばき時に下糸を切断しないように低い速度で下糸切断機構を駆動しても、布押え昇降機構をそれより高い速度で駆動することができるため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作を短縮することができる。即ち、被縫製物の縫製終了から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
なお、上述のように下糸切断機構と布押え昇降機構との駆動手段は、それぞれ別のものとしても、一緒のものとしても良い。一緒のものとした場合には、一つの駆動手段に対して、駆動速度を変更する制御を行うことになるが、上記駆動手段は、駆動開始時に駆動速度が低速とされ、次いで、駆動速度が高速とされるので、従来に比べて効率的に制御されることになる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記下糸切断機構による下糸の切断が終了した後に上記布押え昇降機構による布押えの上昇が行われるように上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構とが機械的に連結され、
かつ、上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構との両方が、上記駆動手段のうちの一つであるとともに上記上糸切断用駆動手段に対して独立して作動する連動駆動手段により駆動されるようになっていることを特徴としている。
【0025】
以上のように請求項5に記載の発明によると、下糸切断機構及び布押え昇降機構を駆動する連動駆動手段と別の駆動手段である上糸切断用駆動手段によって上糸切断機構を駆動しているため、上述の従来例のように上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構の3つの機構を連動して駆動する構成より簡単な構造で、3つの機構を駆動することができる。
また、上述のように、上記上糸切断機構と上記下糸切断機構とをそれぞれ独立して駆動しているため、上糸切断及び下糸切断を同時に行うことができる。これにより被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
また、同時に行うことが可能な上糸切断と下糸切断との駆動手段をそれぞれ別とすることにより簡単な構成で上述のように動作時間の短縮を図るとともに、同時に行うことができない下糸切断と布押えの上昇とを一つの駆動手段で行うものとすることにより、下糸切断機構と布押え上昇機構とは、ほぼ従来と同様の構造のものを使うことが可能となり、僅かな構造の変更により動作時間の短縮を図ることができる。従って、低コストで動作時間の短縮を図ることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記連動駆動手段が、ステッピングモータであることを特徴としている。
【0027】
以上のように請求項6に記載の発明によると、ステッピングモータは安価なものであるため、穴かがり縫いミシンの制作コストを削減することができる。さらに、ステッピングモータを用いることにより、布押えを上昇する布押え上昇動作中のステッピングモータの駆動速度と、下糸を切断する際の下糸切断動作中のステッピングモーの駆動速度とを、それぞれ独立して速度を設定することができる。即ち、下糸さばき時に下糸を切断しないような低い速度でステッピングモータを動作させたものとしても、布押え上昇動作中には下糸切断時より高い速度でステッピングモータを動作することができるため、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作が短縮することができ、これにより、穴かがり縫いミシンの作業効率を上げることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記連動駆動手段の駆動出力を機械的に連結された上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構とに伝達するカム機構を備えていることを特徴としている。
【0029】
以上のように請求項7に記載の発明によると、上記カム機構により、上記連動駆動手段の駆動出力を上記下糸切断機構及び上記布押え昇降機構に伝達することができる。簡単な構造のカム機構を設けることにより、下糸切断の際の下糸さばき時に下糸を切断することなく、被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項5または6に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記連動駆動手段の駆動出力を機械的に連結された上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構に伝達するギヤ機構を備えていることを特徴としている。
【0031】
以上のように請求項8に記載の発明によると、上記ギア機構により、上記連動駆動手段の駆動出力を上記下糸切断機構及び上記布押え昇降機構に伝達することができる。簡単な構造のギア機構を設けることにより、下糸切断の際の下糸さばき時に下糸を切断することなく、被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る穴かがり縫いミシンの実施の各形態例を図面に基づいて説明する。まず、各種機構の構成を順次説明してから、制御装置について説明する。
【0035】
<第一の実施の形態例>
図1は、本発明に係る穴かがり縫いミシン1の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す穴かがり縫いミシン1が備える連動駆動手段2及び布押え昇降機構3を主に示す図面であり、図3は、穴かがり縫いミシン1が備える下糸切断機構5を示す斜視図、図4は、穴かがり縫いミシン1が備える上糸切断機構4を示す分解斜視図である。
【0036】
図面において、符号6はミシンフレーム、7はベッド部、8は縦胴部、9はミシンアーム部、10は布送り台、11は針、12は布押え、13は布切りメス、15は上糸切りはさみである。
【0037】
図示のように、穴かがり縫いミシン1は、上面に水平なベッド面を有するベッド部7と、このベッド部7上の後方部に起立する縦胴部8と、この縦胴部8の上部からベッド部7とほぼ平行に沿って前方に伸びるミシンアーム部9とから構成される、側面視して略コ字状のミシンフレーム6を有する。
【0038】
以上のミシンフレーム6において、主にミシンアーム部9内に周知の針上下動機構及び針左右振り機構が設けられ、針11が該針上下動機構及び該針左右振り機構に連結されており、針11はミシンアーム部9の前端部の下方に突出するように設けられている。また、同様に主にミシンアーム部9内に周知のメス駆動機構が設けられ、布切りメス13が該メス駆動機構に連結されており、布切りメス13はミシンアーム部9の前端部の下方に突出するように設けられている。そして、針11は上記針上下動機構によって上下動して上糸を上下に誘導するとともに、上記針左右振り機構によって左右に振られて上糸を左右に誘導することによって、被縫製物に所望の穴かがり縫いを行うことができる。また、布切りメス13は上記メス駆動機構によって駆動して被縫製物に所望の穴を形成するものである。
【0039】
また、ベッド部7上に布送り台10が移動可能に嵌挿され、該布送り台10の上方に布押え12が配設され、布押え12の上方に針11、布切りメス13及び上糸切りはさみ15が配設され、布送り台10の下方のベッド部7内に下切断機構5が配設されている。また、布押え12は、縦胴部8側の一端部がほぼ水平軸を中心に回転可能に周知の布送り機構に連結されている押え腕14の前端部に取り付けられており、布送り台10も該布送り機構に連結されている。そして、上記布送り機構は、主に縦胴部8及びベッド部7の内部に配設されており、布押え12及び布送り台10は上記布送り機構によって前後に移動することができる。また、布押え12及び布送り台10は、被縫製物を保持する布保持手段としても機能して、布押え12と布送り台10とにより被縫製物を挟持することにより保持する。
【0040】
そして、穴かがり縫いミシン1は、被縫製物の上方において上糸を切断する上糸切断機構4と、被縫製物の下方において下糸を切断する下糸切断機構5と、布押え12を上下動させる布押え昇降機構3と、下糸切断機構5と布押え昇降機構3とを機械的に連動させて駆動する連動駆動手段2と、上糸切断機構4を駆動する上糸切断用駆動手段96(図9に図示)等とを有する。
【0041】
図2に示すように、連動駆動手段2はステッピングモータ18であり、ステッピングモータ18の駆動出力を機械的に連結して下糸切断機構5及び布押え昇降機構3に伝達する連動機構17に接続されている。そして、連動機構17及びステッピングモータ18は、主にミシンフレーム6の内部に配設されている。また、下糸切断機構5及び布押え昇降機構3を駆動するステッピングモータ18の駆動速度と上糸切断機構4を駆動する上糸切断用駆動手段96の駆動速度とは後述する制御装置によって設定される。なお、後述するように、被縫製物に所望の穴かがり縫いが終了した後に、下糸切断動作と布押え上昇動作とが連動駆動手段2(ステッピングモータ18)の駆動力によって行われるが、連動駆動手段2によって下糸切断動作が終了してから、布押え上昇動作が行われる。また、後述するように、被縫製物に所望の穴かがり縫いが終了した後に、上糸切断用駆動手段96の駆動力によって上糸切断動作が行われるが、上糸切断動作と下糸切断動作とがほぼ同時に行われ、上糸切断動作と下糸切断動作とが時間的にほぼ重なるように、連動駆動手段2が下糸切断機構5を駆動して、上記上糸切断用駆動手段96が上糸切断機構4を駆動する。
【0042】
そして、連動機構17は、図2に示すように、レバー23、円板カム24等から構成されるカム機構25と、リンク部材19と、第一のL型リンク片20と、ワイヤ21と、第二のL型リンク片22等とから構成されている。即ち、ミシンフレーム6に固定されたステッピングモータ18の出力軸18aに円板カム24が偏心して固着されており、左右に延在するレバー23がこの円板カム24に接触しつつ係合している。そして、このレバー23は上下に延在するリンク部材19のほぼ中央部に接合されている。このリンク部材19の上端には第一のL型リンク片20の後端部がピン結合されており、リンク部材19の下端には作動レバー26を介して後述する下糸切断機構5(図2には一部だけを図示)が連結されている。そして、第一のL型リンク片20の上端部にワイヤ21が接続されており、ワイヤ21を介して第二のL型リンク片22が連結されており、この第二のL型リンク片22の前端部に後述する布押え昇降機構3が連結されている。なお、第一のL型リンク片20及び第二のL型リンク片22は屈曲部を支点として回転自在となっている。
【0043】
即ち、ステッピングモータ18の出力軸18aが回転すると、円板カム24が偏心して固着されいるため、円板カム24に接触するように係合しているレバー23が上下動するとともに、レバー23の上下動に伴いリンク部材19が上下動する。これにより、下糸切断機構5と布押え昇降機構3とが連動する。
【0044】
また、布押え昇降機構3は、図2に示すように、押え上げリンク16、ガイド部材27、押え棒28、押え棒抱き29、押えローラ30、係合部材31、コイルバネ32等から構成されている。即ち、第二のリンク片22の前端部に押え上げリンク16の上端部がピン結合されている。そして、この押え上げリンク16の下端部に、ガイド部材27に昇降自在にガイドされた押え棒抱き29が接続されている。押え棒抱き29には上下に延在する押え棒28が挿通状に固定されている。そして、押え棒抱き29の上側の押え棒28には、押え棒抱き29を下方へ付勢するコイルバネ32が外装されている。そして、押え棒28の下端部には押えローラ30が回転自在に取り付けられており、この押えローラ30は、押え腕14の前端部上面に前後に延在する溝14aに前後に転動可能に係合している。そして、溝14aの前後に対応する位置の上部に係合部材31が押え腕14の上部に固定されており、押えローラ30が係合部材31に係合している。
【0045】
即ち、上記ステッピングモータ18の駆動出力によってレバー23が上下動し、リンク部材19が上下動する。リンク部材19が上限位置に位置した状態では、コイルばね32の付勢力により、押え棒抱き29と押え棒28と押えローラ30と押え腕14とを介して、布押え12が下方に付勢され、布押え12と布送り台10との間に被縫製物が挟持される。
【0046】
そして、この状態からステッピングモータ18の駆動出力によってレバー23が押し下げられ、第一のL型リンク片20が回動して、ワイヤ21が後方に引かれ、ワイヤ21に連結された第二のL型リンク片22が回動する。第二のL型リンク片22が回動し始めた後、しばらくしてから、第二のL型リンク片22が押え上げリンク16に上昇駆動力が伝達され、布押え12が上昇する。即ち、第二のL型リンク片22が回動し始めてから実際に布押え12が上昇するまでは、十分な遊びがあり、その間に、後述する下糸切断機構5により下糸が切断されるようになっているが、この布押え昇降機構は、周知のものであるため詳細な説明を省略する。
【0047】
また、下糸切断機構5は、周知のものであり、詳細な説明は省略するが、図3に示すように、軸部材33、カムレバー34、コロ35、カム板36、下糸切断作動レバー38、下糸切断可動刃39、下糸さばき40、下糸切断固定刃41等から構成されている。即ち、作動レバー26は一端においてリンク部材19にピン結合されており、他端において水平軸方向に延在する軸部材33が固定されている。そして、この軸部材33は一端がミシンフレーム6に軸支されていて、一端にコロ35を備えたカムレバー34が他端部で軸部材33に挿通状に固着している。コロ35はカム板36の溝カム37に係合されており、カム板36は支点36aを中心として回動自在にミシンフレーム6に取り付けられている。このカム板36に一端部がピン結合された下糸切断リンク43が他端部で下糸切断作動レバー38とピン結合されており、下糸切断作動レバー38は段ねじ42により回動可能に枢支されている。そして、下糸切断作動レバー38の先端部に可動刃39及び下糸さばき40が固定されている。
【0048】
即ち、上記ステッピングモータ18の駆動出力が上記連動機構17によって、下糸切断機構5に伝達されると、軸部材33は回転し、カムレバー34は軸部材33を支点として揺動する。これにより、コロ35が追従して、コロ35が係合しているカム板36が回動して、下糸切断リンク43が追従し、段ねじ42を支点として下糸切断作動レバー38とともに下糸さばき40及び下糸切断可動刃39が下糸切断固定刃41に向かって回動する。下糸さばき40及び下糸可動刃39が下糸固定刃41に向かって回動すると、先ず、下糸さばき40により下糸が所定量繰り出され、その後、下糸切断可動刃39と下糸切断固定刃41とで下糸を挟むことによって下糸を切断するようになっている。
【0049】
上述の下糸切断機構5は、被縫製物に1個の穴かがり縫いが終了して、布押え12が上昇して被縫製物の保持を解除する直前に、上述のような下糸切断動作を行う。
【0050】
また、上糸切断機構4は、図4に示すように、上糸を切断する上糸切りはさみ15と、この上糸切りはさみ15を前後左右に移動させる移動機構44等とから構成されている。縦胴部8の内部に上糸切断機構4を駆動する上糸切断用駆動手段96(図9のブロック図に図示)が設けられており、上糸切断用駆動手段96の駆動出力に移動機構44が連結されている。そして、移動機構44は縦胴部8から前方に延出しており、移動機構44の先端部に上糸切りはさみ15が設けられ、上糸切りはさみ15は布押え12の上方に配置されている。なお、図5及び図6は、上糸切断機構4の動作を説明するものであり、図5は上糸切りはさみ15が上糸を切断した直後で被縫製物の縫製開始前の状態を示すものであり、図6は上糸切りはさみ15が上糸を切断する直前で被縫製物の縫製中の状態を示すものである。
【0051】
まず、上糸切りはさみ15について説明する。上糸切りはさみ15は、図4に示すように、上糸切断固定刃45、上糸切断可動刃46、上糸保持ばね47等から構成されている。上糸切断可動刃46及び上糸保持ばね47は、ピン48を中心に回動可能な状態で上糸切断固定刃45に固定されている。この上糸切断可動刃46は、上糸切断可動刃の同一部材上に突出したカム当接部46aを備えている。そして、このカム当接部46aがはさみ開きカム49やはさみ閉じカム50に当接して上糸切断可動刃46が所定方向に所定量押されることで、上糸切断可動刃46が上糸切断固定刃45に対して動作するようになっている。
【0052】
上記はさみ開きカム49やはさみ閉じカム50は、押え腕14に対して固定的に取り付けられ、押え腕14の前後方向への相対移動によって、上糸切りはさみ15との相対配置を変化させる。
被縫製物の縫製終了時には、後述する作動腕56と案内板57とが係合しており、図8(c)に示すような状態となっている。その後、上糸切断用駆動手段96により上糸切断機構4は図6の下方へ駆動され、作動腕56と案内板57との係合が解除され、上糸切断機構4は後述する左右支点軸53を中心に反時計回りに回動して上糸切りはさみ15は図6に示す右方に移動する。この際に上糸切りはさみ15は開いた状態であり、上糸切断固定刃45と上糸切断可動刃46との間に間隔があり、回動時にこの間隔に針11から伸びる上糸が入る。そして、上糸切断可動刃46のカム当接部46aが閉じカム50に当接して、さらに上糸切断機構4が反時計回りに回動することにより上糸切断可動刃46が閉じて、上糸が切断される。
【0053】
上糸保持ばね47は、切断後の上糸を上糸切断可動刃46との間に挟んで保持する板ばねであり、この上糸の保持により、複数個の穴かがりを行う縫製処理において、1個の穴かがりの縫製終了後に、そのままの状態で次の穴かがりに移行することが可能となる。上糸保持ばね47に保持された上糸は、次の穴かがりの際に、例えば、穴かがり縫いの途中まで保持され、該穴かがり縫いの中に巻き込まれる。
そして、穴かがりの所定のタイミングで、はさみ開きカム49がカム当接部46aに当接して上糸切断可動刃46が開きかけることで上糸保持ばね47に保持されていた上糸が開放される。ここでのはさみ開きカム49とカム当接部46aとの当接は、穴かがり縫いでの押え腕14の前進により、はさみ開きカム49も同様に前進することで実行される。
【0054】
上述の上糸切りはさみ15は、被縫製物に1個の穴かがり縫いが終了して、布押え12が上昇して被縫製物の保持を解除する直前に、前後左右に移動して上述のような上糸切断動作を行う。
【0055】
次に、上述の上糸切りはさみ15を前後左右に移動させる移動機構44について説明する。なお、図7及び図8は、移動機構44の動作を説明するものであり、図7は移動機構44が動作する際の作動腕56及び案内板57の位置関係を示す正面図であり、図8は移動機構44が動作する際の作動腕56及び案内板57の位置関係を示す平面図である。
図4に示すように、移動機構44は、上糸切断用駆動手段96からの駆動出力を伝達する起動リンク51、上糸切断作動リンク52、上糸切りはさみ15の左右動の軸である左右支点軸53、上糸切断腕54aとはさみ取付部54bとから構成され、上糸切りはさみ15を移動自在に支持する支持手段54、上糸切断腕54aに設けられた作動腕56、この作動腕56に係合する案内板57等から構成されている。
【0056】
起動リンク51は縦胴部8側から前方に延出しており、縦胴部8側の一端部は、上糸切断機構4を駆動するソレノイド、エアシリンダ、モータ等の上記上糸切断用駆動手段96に連結されているとともに、前方の他端部はピン69によって上糸切断作動リンク52の上端部にピン結合されている。上糸切断作動リンク52は、上下に延在しており、そのほぼ中央部がほぼ水平軸方向の段ねじ63により枢支されており、下端部に左右支点軸53を軸支するための取付部52aを有する。左右支点軸53はほぼ鉛直軸方向に軸支されており、取付部52a及び取付部52aにねじ68によって取り付けられたカバー67に軸支されている。そして、前後に延在する上糸切断腕54aが、上糸切断腕54aのほぼ中央部において上下支点軸60によって上下に回動自在に左右支点軸53に取り付けられている。上糸切断腕54aの前端部には前方に延出するようにはさみ取付部54bがねじ61によって固定されており、上糸切断腕54aの後端部には作動腕56が段ねじ59を支点として上糸切断腕54aに対して回動自在に支持されている。そして、はさみ取付部54bはばね66により前端部が右方に付勢されており(ばね66により作動腕56は左方に付勢されている)、はさみ取付部54bの前端部に右方に突出するように上糸切りはさみ15がねじ70によって固定されている。また、作動腕56はねじりばね58により作動腕56が回動するように付勢されているが、作動腕56に備えられた突出部56aが上糸切断腕54aと係合して作動腕56の回動を規制している。
【0057】
また、作動腕56はミシンフレーム6に固定された案内板57(図7及び図8に図示)に対して当接するカム部56b(図7及び図8に図示)を有しており、移動機構44はカム部56bによって所定の動作をするようになっている。また、押え腕14に対して固定的に取り付けられたはさみ移動カム71に上糸切断固定刃45が当接して押され、移動機構44は所定の動作をするようになっている。
【0058】
詳細には、図7(a)及び図8(a)に示すように、初期状態では上述のように上糸を切断した直後で上糸切りはさみ15は切断位置に位置しており、上糸切りはさみ15は閉じた状態であり、かつ、作動腕56のカム部56bは案内板57に近接して前上方に位置している。そして、上記駆動手段により起動リンク51が前方に動くと、上糸切断作動リンク52が段ねじ63を支点として回動して、上糸切りはさみ15とともに支持手段54が後方に動いて、図7(b)及び図8(b)に示すように、案内板57とカム部56bが上下に重複する。なお、この状態では、図5に示すように、上述の上糸切りはさみ15は閉じた状態であり、カム部56b及び案内板57の配置が図7(b)及び図8(b)に示すような位置にある際には、上糸切りはさみ15は図5に示すような状態にある。
【0059】
次に、押え腕14が前進することで、上述のように上糸切りはさみ15が開き、はさみ移動カム71が上糸切断固定刃45に当接して上糸切りはさみ15(はさみ取付部54bの前端部)が左方に押されるようにして、左右支点軸53を中心に回動する。この際に、上糸切断腕54aの後端部が右方に回動するように動くが、カム部56bが上端が傾斜した案内板57に乗り上げるようにして、案内板57の右側に移動して、作動腕56がねじりばね58によって下方に付勢され、かつ、作動腕56がばね66によって右方に付勢されているため、図7(c)及び図8(c)に示すように、作動腕56が案内板57の右側部に当接して抑止される。なお、この状態では、図6に示すように、上述の上糸切りはさみ15は開いた状態であり、カム部56b及び案内板57の配置が図7(c)及び図8(c)に示すような位置にある際には、上糸切りはさみ15は図6に示すような状態にある。即ち、上糸切りはさみ15が開放された状態であるとき、作動腕56と案内板57とが係合することにより、上糸切りはさみ15を開放位置に保持する。
【0060】
そして、被縫製物に所望の穴かがり縫いが終了すると、上糸切断用駆動手段96によって起動リンク51が後方に動くと、上糸切断腕54aは前方に動き、これに伴って、作動腕56が案内板57に対して前方に動き、案内板57と作動腕56との係合が解除される。そして、ばね66の付勢力によって、作動腕56が左方に動くとともに、上糸切りはさみ15が右方に動いて、カム当接部46aとはさみ閉じカム50が当接することによって上糸切りはさみ15が閉じて、針11から伸びる上糸が切断される(図5、図7(a)及び図8(a)の状態に戻る)。即ち、上糸切りはさみ15は、ばね66の付勢力により瞬時にはさみを閉じた切断位置に移動することになる。
【0061】
次に、上述のように機械的に構成された穴かがり縫いミシンの制御装置について説明する。この制御装置は、連動駆動手段2であるステッピングモータ18及び上糸切断用駆動手段96を制御する制御手段を含むものである。
【0062】
図9には、穴かがり縫いミシン1の回路構成のブロック図を示す。
穴かがり縫いミシン1の制御装置は、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit)92と、CPU92にデータバス等のバスを介して接続されたRAM(Randam Access Memory)93及びROM(Read Only Memory)94と、I/Oインターフェース88、I/Oインターフェース88に接続されI/Oインターフェース88に制御信号を入力する起動・停止スイッチ81、操作パネル82、モード切換スイッチ83、速度設定スイッチ84、押え位置検知スイッチ85及びはさみ位置検知スイッチ86と、I/Oインターフェース88から制御信号を出力する上糸切断機構駆動回路89、連動機構駆動回路90及びモータ駆動回路91等とから構成されている。
【0063】
CPU92は、RAM93の所定領域を作業領域としてROM94に記憶されている制御プログラムに従い、操作パネル82からのデータや、接続された各種センサから検出信号を入力したり、各種駆動部の制御を行ったりする。
ROM94には、操作パネル82からの入力処理や、操作パネル82を介して各種入力されたデータに基づいて縫製を行う縫製処理、各種入力されたデータに基づいて上糸の切断を行う上糸切断処理、各種入力されたデータに基づいて下糸の切断を行う下糸切断処理、各種入力されたデータに基づいて布押えの上昇を行う布押え上昇処理等が含まれる制御プログラムが格納されている。
【0064】
モータ駆動回路91は、CPU92、RAM93及びROM94により演算された縫製処理に基づいてミシンモータ95を駆動制御するものである。また、連動駆動回路90は、演算された下糸切断処理及び布押え上昇処理に基づいてステッピングモータ18を駆動制御するものである。また、上糸切断駆動回路は演算された上糸切断処理に基づいて上糸切断用駆動手段96を駆動制御するものである。
【0065】
次に上述の制御装置により実行される制御を図10のフローチャートに基づいて説明する。
ユーザは、穴かがり縫いミシン1を駆動すると、予めデフォルトの設定データや、前回入力した設定データが記憶されており、初期設定(ステップS1)が行われる。次に、ステップS2に移るが、ミシンモータ95、ステッピングモータ18及び上糸切断用駆動手段96の駆動手段の駆動速度が設定されていないと、モード切換スイッチ83により速度設定モードであるステップ3に移る(ステップS2;No)。ステップS3では、ミシンモータ95、ステッピングモータ18及び上糸切断用駆動手段96の速度がデフォルトの設定速度であればステップS2に移り(ステップS3;No)、それぞれの速度を設定するのであればステップS4に移る(ステップS3;Yes)。ステップS4では、速度設定キー84を操作してミシンモータ95の速度V0を設定することができる。ステップS4でミシンモータ95の速度V0が設定される(ステップS4;Yes)と、ステップS5で速度V0がRAM93に格納され、次に、上糸切断時の上糸切断用駆動手段96の速度設定が行えるステップS6に移る。ステップS6で速度設定キー84を操作して上糸切断用駆動手段96の速度V1が設定されると(ステップS6;Yes)、速度V1がRAM93に格納され(ステップS7)、次に、下糸切断時のステッピングモータ18の速度の速度設定が行えるステップS8に移る。ステップS8で速度設定キー84を操作してステッピングモータ18の下糸切断の際の速度V2が設定されると(ステップS8;Yes)、速度V2がRAM93に格納され(ステップS9)、次に、布押えの上昇時のステッピングモータ18の速度の速度設定が行えるステップS10に移る。ステップ10で速度設定キー84を操作して布押え上昇時のステッピングモータ18の布押え上昇の際の速度V3が設定されると(ステップS10;Yes)、速度V3がRAM93に格納される(ステップS11)。なお、上記各種速度V0〜V3の設定データは、各項目に対応して入力可能なデータ値の範囲を示す設定範囲データが予め記憶されており、この設定範囲データを外れたデータが入力された場合にエラー判定が行われ、各項目の設定入力にリターンする(ステップS4、S6、S8、S10;No)。
【0066】
各種速度V0〜V3が記憶されると、ステップS12に移り、縫製処理、上糸切断処理、下糸切断処理及び布押え上昇処理の演算がCPU92等によって行われる。ステップ12で各種処理の演算が終了すると、ステップS2にリターンする。その後、モード切換スイッチ83によってモードを切り換え、縫製モードとなると(ステップS2;Yes)、起動スイッチをOn/Offするステップ13に移る。そして、ステップS13において起動スイッチがOnになると(ステップS13;Yes)、ステップS14において演算されたデータに基づき縫製処理が行われる。次に、ステップS15に移り、押え位置検知スイッチ85、はさみ位置検知スイッチ86等の各種検知スイッチで正常に縫製が行われているか検知しており、正常に縫製が終了していないとエラーになり、ステップS14にリターンしたり(ステップS15;No)、穴かがり縫いミシン1の動作が終了したりする。
【0067】
また、被縫製物に所望の穴かがり縫いが終了すると(ステップS15;Yes)、上糸を切断するための上糸切断処理を行うステップS16及び下糸を切断するための下糸切断処理を行うステップS17に移る。ステップS16とステップS17はほぼ同時に開始して、上糸切断動作と下糸切断動作が時間的にほぼ重なって行われる。ステップS16では速度V1で上糸切断用駆動手段96が動作して、ステップS17では速度V2でステッピングモータ18が動作する。そして、上糸が切断され、かつ、下糸が切断されると、布押えを上昇するための布押え上昇処理を行うステップS18に移る。ステップS18では、速度V3でステッピングモータ18が動作して、被縫製物の保持を解除する。以上の一連の動作が終了すると、次の穴かがり縫いを行うため、スタートにリターンする。
【0068】
以上のように構成された穴かがり縫いミシンの作用効果について、図11及び図12を参照して説明する。なお、図11及び図12において、縦軸は上糸切断用駆動手段96及びステッピングモータ18の駆動速度であり、横軸は時間である。
【0069】
図11は、ステッピングモータ18の駆動速度を一律にして、下糸切断の際のステッピングモータ18の駆動速度と、布押え上昇の際のステッピングモータ18の駆動速度とを同じにする場合の動作時間を示すものである。なお、連動駆動手段2をステッピングモータとしてなくても、図11に示すような動作になる。被縫製物を布押え12及び送り台10により挟持して保持した後に、針11の上下動により所望の穴かがり縫いを行うとともに、布切りメス13によって所望のボタン穴を形成する。一個の穴かがり縫いが完了したら、上糸切断用駆動手段96が上糸切断機構4を駆動するとともに、連動駆動手段2が(連動機構17をステッピングモータ18が連動機構17を介して)下糸切断機構5を駆動する。この際に、ステッピングモータ18及び上糸切断用駆動手段96がほぼ同時に下糸切断機構5及び上糸切断機構4の駆動を開始し、この駆動開始時間を0とする。
【0070】
そして、時間0〜時間T1の間で上糸切断用駆動手段96が速度V1で上糸切断機構4を駆動して、上述のように上糸切断機構4によって上糸の切断が行われる。そして、時間0〜時間T2(ただし、T1<T2)の間でステッピングモータ18が速度V1より低い速度V2で下糸切断機構5を駆動して、上述のように下糸切断機構5によって下糸の切断が行われる。ここで、速度V2は、下糸切断機構5の下糸さばき40によって下糸をさばく際に、下糸を切断することのない速度のうちのなるべく速い速度に設定されている。
【0071】
下糸切断機構5による下糸切断に引き続いて、時間T2〜T3の間でステッピングモータ18が速度V3(ただし、速度V2=速度V3)で布押え昇降機構3を駆動して、布押え12を上昇させて、これにより、被縫製物の保持を解除する。
【0072】
以上のように、上述のような穴かがり縫いミシン1では、下糸切断機構5を駆動するステッピングモータ18とは別の駆動手段で上糸切断機構4を駆動している。そのため、時間0〜時間T2の間で下糸を切断が行われている間に、上糸の切断を行うことができる。即ち、被縫製物の穴かがり縫いの終了から、布押え12による保持の解除までの時間を短縮することができる。ここで、図11に示す破線は、上述の従来例における作業工程を示すものである。従来例では、上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構を一つのステッピングモータで連動させて駆動しているため、布押え上昇時のステッピングモータの駆動速度をV3より高くしたものとしても、被縫製物の穴かがり縫いの終了から布押えの保持の解除までにかかる時間Tcは、上記実施の形態例において縫製物の穴かがり縫いの終了から布押えの保持の解除までにかかる時間T3より大きくなる。即ち、上記実施の形態例では、上記実施の形態例よりTc−T3だけ短い時間で、一連の作業ができることになる。
【0073】
図12は、速度設定キー84よって入力する際に、布押え上昇時のステッピングモータ18の駆動速度を、下糸切断の際の下糸さばき時の駆動速度より大きくした場合の動作時間を示すものである。図11の場合と同様に被縫製物の縫製完了後、上糸切断機構4及び下糸切断機構5の駆動を開始し、この駆動開始時間を0とする。
【0074】
そして、時間0〜時間T4の間で上糸切断用駆動手段96が速度V1で上糸切断機構4を駆動して、上述のように上糸切断機構4によって上糸の切断が行われる。そして、時間0〜時間T5(ただし、T4<T5)の間でステッピングモータ18が速度V1より低い速度V2で下糸切断機構5を駆動して、上述のように下糸切断機構5によって下糸の切断が行われる。ここで、速度V2は、下糸切断機構5の下糸さばき40によって下糸をさばく際に、下糸を切断することのない最大の速度に設定されている。
【0075】
下糸切断機構5による下糸切断に引き続いて、制御装置によって時間T5〜T6(ただし、T5<T6)の間でステッピングモータ18を速度V2より高い速度V3で駆動制御して、ステッピングモータ18が布押え昇降機構3を駆動して、布押え12を上昇させて、これにより、被縫製物の保持を解除する。
【0076】
以上のように、制御装置によって、布押え12を上昇する際のステッピングモータ18の駆動速度を、下糸切断の際の下糸さばき時のステッピングモータ18の駆動速度より大きくしているため、図11に示すような動作例より短い時間で、被縫製物の穴かがり縫いの終了から、布押え12による保持の解除までの一連の動作を終了することができる。即ち、布押えの上昇にかかる時間が短くなっており、この短くなった時間分だけ、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作にかかる時間を短縮することができる。即ち、上記実施の形態例では、図12の破線に示すような従来例より、TcーT6だけ短い時間で一連の作業ができることになる。
【0077】
このように、上記実施の形態例において、上糸切断機構4と下糸切断機構5とをそれぞれ独立して駆動しているため、下糸切断の際の下糸さばき時のステッピングモータ18の駆動速度より、上糸切断の際の上糸切断用駆動手段96の駆動速度を大きくすることができる。即ち、下糸さばき時に下糸が切断されないような低い駆動速度で下糸切断機構5を駆動することができ、更に、上糸切断機構4はこの下糸切断機構5のより高い駆動速度で駆動することができ、これにより、下糸さばき時に下糸を切断しないようにして上糸切断動作にかかる時間を短縮することができる。
【0078】
更に、制御装置が上述のような上糸切断動作と上述のような下糸切断動作をほぼ重なるようにして上糸切断用駆動手段96とステッピングモータ18とを制御しているため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作にかかる時間を短縮することができる。
【0079】
更に、図12に示す動作のように、布押え12を上昇する際のステッピングモータ18の駆動速度を、下糸切断の際の下糸さばき時のステッピングモータ18の駆動速度(下糸さばき時に下糸が切断されないような駆動速度)より大きくするように、制御装置によってステッピングモータ18を駆動制御しているため、布押え上昇動作にかかる時間を短縮することができる。
【0080】
以上のように、下糸切断の際の下糸さばき時に下糸を切断されないようにして、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作にかかる時間を短縮することができ、作業効率を高めることができる。
【0081】
また、下糸切断機構5を駆動するステッピングモータ18と独立した上糸切断用駆動手段である上糸切断用駆動手段96によって上糸切断機構4を駆動しているため、上述の従来例のように上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構の3つの機構を連動して駆動するより簡単な構造で、これら3つの機構を駆動することができる。簡単な構造となったことで、穴かがり縫いミシンの制作コストを削減することができる。
【0082】
また、ステッピングモータ18は安価であるため、かつ、簡単な構造であるカム機構25を設けることによりステッピングモータ18の駆動出力を下糸切断機構5及び布押え昇降機構3に伝達するため、下糸さばきの際に下糸を切断しないような穴かがり縫いミシンの制作コストを削減することができる。
【0083】
<第二の実施の形態例>
図13は、ステッピングモータ18の駆動出力を伝達する連動機構17の第二の実施の形態例を示すものである。この例における連動機構17は、第一の実施例における連動機構17のカム機構25をギア機構100としたものである。なお、この例の穴かがり縫いミシンは、カム機構25をギア機構100に代えた以外は、第一の実施の形態例の穴かがり縫いミシンと同様の構成を有するものである。
そして、この例においては、ステッピングモータ18の出力軸18aに駆動ギア101が固着されるとともに、第一のL型リンク片20にセクターギア102が固着され、かつ、上記駆動ギア101とセクターギア102とがかみ合うことにより、ステッピングモータ18の回転駆動を直接第一のL型リンク20に伝動できるようになっている。そして、第一のL型リンク片20の回転は、第一の実施の形態例と同様に図2に示されるワイヤ21により第二のL型リンク片22に伝達されて布押え昇降機構3を駆動するようになっている。また、第一のL型リンク片20の回転は、リンク部材19を介して作動レバー26に伝達されて第一の実施の形態例と同様に下糸切断機構5を駆動するようになっている。
【0084】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明によると、上糸切断機構と下糸切断機構とをそれぞれ独立して駆動し、かつ、制御手段が上糸切断動作と下糸切断動作を時間的にほぼ重なるように、即ち、同時にこれら動作が行われるように上記上糸切断用駆動手段及び上記駆動手段を制御しているため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作にかかる時間を短縮することができる。即ち、上糸切断動作が下糸切断動作とほぼ同時に行われるので、従来、上糸切断にかかる時間と下糸切断にかかる時間と布押え上昇のかかる時間とが一連の動作に必要であったのに対して、本発明は、上糸切断が下糸切断と同時に行われることにより、上述のように下糸切断が低速で行われるものとした場合には、上糸切断にかかる時間を無視することができる。従って、上述の一連の動作の作業時間を下糸の切断にかかる時間と布押えの上昇に係る時間との和とすることができるので、実質的に被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
【0085】
また、上記下糸切断機構を駆動する駆動手段と独立した駆動手段である上糸切断用駆動手段により上記上糸切断機構を駆動しているため、上述の従来例のように下糸切断機構、上糸切断機構及び布押え昇降機構の3つの機構を連動して駆動するより簡単な構造で、これら3つの機構を駆動することができる。
また、作動腕と案内板との接触面であるカム面に案内されて、切断位置にある上糸切りはさみを開放位置に移動することができ、上糸切りはさみが開放位置に移動すると作動腕と案内板とが係合することによって、上糸切りはさみを開放位置に保持することができる。上糸切りはさみが開放位置にある際に、穴かがり縫いミシンは被縫製物に所望の穴かがり縫いを行い、被縫製物の縫製が完了した後に、上糸切断用駆動手段が支持腕の上糸切り腕を動作させて、上糸切り腕に設けられた作動腕と案内板との係合を解除することにより、上糸を切断することができる。
従って、上記カム面に沿って案内された状態で作動腕が案内板に係合するので、確実に作動腕と案内版とを係合させることができる。これにより、縫製時に上糸切りはさみを縫製の邪魔にならない開放位置に確実に保持させることができる。
【0086】
請求項3に記載の発明によると、設定手段により下糸切断機構の駆動速度と布押え昇降機構の駆動速度とをそれぞれ独立して設定でき、上記設定手段で設定されたそれぞれの速度に基づいて制御手段が上記駆動手段を制御しているため、例えば、下糸さばきの際に下糸が切断されないような低い速度で下糸切断することができるとともに、布押え昇降機構を下糸切断機構の駆動速度より速い駆動速度で駆動することができる。即ち、下糸さばき時に下糸を切断しないように低い速度で下糸切断機構を駆動しても、布押え昇降機構をそれより高い速度で駆動することができるため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作をさらに短縮することができる。即ち、被縫製物の縫製終了から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
【0087】
請求項4に記載の発明によると、布押え昇降機構を下糸切断機構の駆動速度より速い駆動速度で駆動しているため、下糸さばき時に下糸を切断しないように低い速度で下糸切断機構を駆動しても、布押え昇降機構をそれより高い速度で駆動することができるため、上糸切断動作、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作を短縮することができる。即ち、被縫製物の縫製終了から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
【0090】
請求項5に記載の発明によると、下糸切断機構及び布押え昇降機構を駆動する連動駆動手段と別の駆動手段である上糸切断用駆動手段によって上糸切断機構を駆動しているため、上述の従来例のように上糸切断機構、下糸切断機構及び布押え昇降機構の3つの機構を連動して駆動する構成より簡単な構造で、3つの機構を駆動することができる。
また、上述のように、上記上糸切断機構と上記下糸切断機構とをそれぞれ独立して駆動しているため、上糸切断及び下糸切断を同時に行うことができる。これにより被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができ、作業効率を上げることができる。
また、同時に行うことが可能な上糸切断と下糸切断との駆動手段をそれぞれ別とすることにより簡単な構成で上述のように動作時間の短縮を図るとともに、同時に行うことができない下糸切断と布押えの上昇とを一つの駆動手段で行うものとすることにより、下糸切断機構と布押え上昇機構とは、ほぼ従来と同様の構造のものを使うことが可能となり、僅かな構造の変更により動作時間の短縮を図ることができる。従って、低コストで動作時間の短縮を図ることができる。
【0091】
請求項6に記載の発明によると、ステッピングモータは安価なものであるため、穴かがり縫いミシンの制作コストを削減することができる。さらに、ステッピングモータを用いることにより、布押えを上昇する布押え上昇動作中のステッピングモータの駆動速度と、下糸を切断する際の下糸切断動作中のステッピングモーの駆動速度とを、それぞれ独立して速度を設定することができる。即ち、下糸さばき時に下糸を切断しないような低い速度でステッピングモータを動作させたものとしても、布押え上昇動作中には下糸切断時より高い速度でステッピングモータを動作することができるため、下糸切断動作及び布押え上昇動作の一連の動作が短縮することができ、これにより、穴かがり縫いミシンの作業効率を上げることができる。
【0092】
請求項7に記載の発明によると、上記カム機構により、上記連動駆動手段の駆動出力を上記下糸切断機構及び上記布押え昇降機構に伝達することができる。簡単な構造のカム機構を設けることにより、下糸切断の際の下糸さばき時に下糸を切断することなく、被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができる。
【0093】
請求項8に記載の発明によると、上記ギア機構により、上記連動駆動手段の駆動出力を上記下糸切断機構及び上記布押え昇降機構に伝達することができる。簡単な構造のギア機構を設けることにより、下糸切断の際の下糸さばき時に下糸を切断することなく、被縫製物の縫製終了後から布押えの保持の解除までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例の第一例の穴かがり縫いミシンの外観を示す斜視図である。
【図2】上記例の穴かがり縫いミシンの布押え昇降機構及び下糸切断機構の要部を示す斜視図である。
【図3】上記例の上記下糸切断機構の要部を示す斜視図である。
【図4】上記例の穴かがり縫いミシン上糸切断機構を示す分解斜視図である。
【図5】上記例の上糸切断機構を示す平面図である。
【図6】上記例の上糸切断機構を示す平面図である。
【図7】上記例の上糸切断機構においける作動腕と案内板との関係を説明するための図面である。
【図8】上記例の上糸切断機構においける作動腕と案内板との関係を説明するための図面である。
【図9】上記例の穴かがり縫いミシンの制御を説明するためのブロック図である。
【図10】上記例の穴かがり縫いミシンの制御を説明するためのフローチャートである。
【図11】上記例の穴かがり縫いミシンにおける上糸及び下糸の切断から布押え上げまでの駆動手段の駆動速度を示すタイムチャートである。
【図12】上記例の穴かがり縫いミシンにおける上糸及び下糸の切断から布押え上げまでの駆動手段の駆動速度を示すタイムチャートである。
【図13】本発明の実施の形態例の第二例の穴かがり縫いミシンにおける下糸切断機構及び布押え昇降機構への連動駆動手段からの伝動部分の要部を説明するための側面図である。
【符号の説明】
1 穴かがり縫いミシン
2 連動駆動手段
3 布押え昇降機構
4 上糸切断機構
5 下糸切断機構
18 ステッピングモータ(駆動手段)
23 レバー(カム機構)
24 円板カム(カム機構)
44 移動機構(はさみ移動手段)
54 支持手段
54a 上糸切断腕(上糸切り腕)
56 作動腕(保持手段)
57 案内板(保持手段)
84 速度設定キー(設定手段)
92 CPU(制御手段)
96 上糸切断用駆動手段
100 ギア機構
Claims (8)
- 被縫製物の上方において上糸を切断するための上糸切断機構と、上記被縫製物の下方において下糸を切断するための下糸切断機構と、布押えを昇降するための布押え昇降機構とを備え、
上記上糸切断機構による上糸の切断と上記下糸切断機構による下糸の切断とが終了した後に布押え昇降機構による布押えの上昇を行う穴かがり縫いミシンにおいて、
上記上糸切断機構を駆動する上糸切断用駆動手段と、
上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構とを上記上糸切断機構と独立して駆動する駆動手段と、
上記上糸切断機構による上糸切断動作と上記下糸切断機構による下糸切断動作とが時間的にほぼ重なるように、上記上糸切断用駆動手段と上記駆動手段とのうちの少なくとも一方を制御する制御手段とを備え、
上記上糸切断機構が、
上糸を切断する上糸切りはさみと、
上記上糸切りはさみを、上記上糸切りはさみを閉じて切断する切断位置と、該切断位置から離れた開放位置との間で移動自在に支持する上糸切り腕と、
上記上糸切り腕に設けられた作動腕と、
上記作動腕と係合することにより上記上糸切りはさみを開放位置に保持する案内板と、を備え、
上記上糸切り腕により上記上糸切りはさみが上記切断位置から上記開放位置へ移動するのに伴って上記作動腕が上記案内板に係合して、上記上糸切りはさみを上記開放位置に保持することを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項1に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記上糸切りはさみの上記切断位置と上記開放位置との間の移動に伴って上記作動腕が移動可能とされ、
上記案内板が上記上糸切りはさみの上記切断位置と上記開放位置との間の移動に伴う上記作動腕の軌道上において固定され、
上記作動腕と上記案内板が接触した場合の互いの接触面がカム面とされ、
上記上糸切断機構が、上記上糸切り腕を上記開放位置側から上記切断位置側に向かって付勢する第一ばねを備え、
上記作動腕が前記第一ばねの付勢向きに沿う軸の回りに回動可能となって上記上糸切り腕に取り付けられ、
上記上糸切断機構が、上記作動腕を回動させて上記案内板に係合させる方向に上記作動腕を付勢する第二ばねと、上記上糸切りはさみを上記開放位置側へ押すはさみ移動カムと、を備え、
上記上糸切断用駆動手段によって上記上糸切り腕を介して上記上糸切りはさみが上記第一ばねに抗して上記切断位置から上記開放位置へ移動することにより上記作動腕と上記案内腕が接触し、上記はさみ移動カムによって上記上糸切りはさみが上記開放位置側へ押されることによって上記作動腕が上記カム面により上記第二ばねに抗して回動し、上記作動腕が上記案内板を乗り越えて上記作動腕が上記第二ばねにより回動して上記作動腕が上記第一ばねの付勢力により上記案内板に係合することを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項1又は2に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記下糸切断機構による下糸切断動作のうちの少なくとも下糸を切断する前に下糸を繰り出す下糸さばきの際の上記下糸切断機構を駆動する駆動手段の駆動速度と、上記布押え昇降手段による布押え上昇の際の上記布押え昇降機構を駆動する駆動手段の駆動速度とをそれぞれ独立して設定する設定手段を備え、
上記制御手段が、上記設定手段で設定された駆動速度に基づいて上記下糸切断機構及び上記布押え昇降機構を駆動する上記駆動手段を制御することを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項1〜3の何れか一つに記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記制御手段は、上記下糸切断機構による下糸切断動作のうちの少なくとも下糸を切断する前に下糸を繰り出す下糸さばきの際に、上記下糸切断機構を駆動する駆動手段の駆動速度よりも、上記布押えが上昇する際に、上記布押え昇降機構を駆動する駆動手段の駆動速度の方が速くなるように上記駆動手段を制御することを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項1〜4のいずれか一つに記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記下糸切断機構による下糸の切断が終了した後に上記布押え昇降機構による布押えの上昇が行われるように上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構とが機械的に連結され、
かつ、上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構との両方が、上記駆動手段のうちの一つであるとともに上記上糸切断用駆動手段に対して独立して作動する連動駆動手段により駆動されるようになっていることを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項5に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記連動駆動手段が、ステッピングモータであることを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項5または6に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記連動駆動手段の駆動出力を機械的に連結された上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構とに伝達するカム機構を備えていることを特徴とする穴かがり縫いミシン。 - 請求項5または6に記載の穴かがり縫いミシンにおいて、
上記連動駆動手段の駆動出力を機械的に連結された上記下糸切断機構と上記布押え昇降機構に伝達するギヤ機構を備えていることを特徴とする穴かがり縫いミシン。
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