JP4219651B2 - ミシンの糸保持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製用の糸を保持し、また保持した糸を解除するためのミシンの糸保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
布に対してボタン穴を形成するとともにその周囲にかがり縫いを施すボタン穴かがり縫いミシンが知られている。ボタン穴かがり縫いミシンでは、布押え等によって保持した布を布送り機構により所定の方向に送りながら、針に通された上糸と、釜内のボビンに巻かれた下糸とを絡めて、縫い目を形成するようになっている。前記ミシンは、針から導出された上糸の端部を保持する上糸保持機構と、釜から供給された下糸の端部を保持する下糸保持機構と、を備える。例えば、特許文献1に記載されているミシンでは、縫製終了後に上糸切りハサミが閉じることで上糸を切断するとともに上糸切りハサミが閉じた状態を保つことで上糸の端部を保持し、下糸切りハサミが閉じることで下糸を切断するとともに下糸切りハサミが閉じた状態を保つことで下糸の端部を保持する。そして、次サイクルの縫い始めに上糸切りハサミで上糸の端部を保持するとともに下糸切りハサミで下糸の端部を保持することによって、縫い始めに針から上糸が抜けたり、縫い始めに上糸が下糸に絡まないことによる縫製不良が発生したりすることを防止することができる。特に、次サイクルの縫製中に上糸の端部及び下糸の端部を保持することで、上糸及び下糸が布から端部までの間において縫い目に縫い込まれる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−282568号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のミシンでは、上糸の端部及び下糸の端部を保持した状態で縫製を行っているため、上糸及び下糸が布から端部までの間で張った状態である。そのため、縫い込まれた上糸及び下糸によって縫い目が盛り上がった状態となる。特許文献1で開示されたミシンでは、縫製開始後に所定タイミングで上糸切りハサミ及び下糸切りハサミが開放して、縫製中にそれぞれ上糸と下糸を放すが、縫製開始から所定タイミングまでの間において上糸及び下糸が張っているから、その部分で縫い目が盛り上がった状態になる。縫い目の盛り上がりを回避するために、上糸切りハサミ及び下糸切りハサミを早く開放するという方法があるが、上糸・下糸の保持解除が早すぎると、上糸と下糸が絡まず、縫い目を形成できない。更に、上糸・下糸の保持解除が早すぎると、縫い始めの下糸が縫い目に縫い込まれずに長く残ることで、下糸が上糸とともに布の上側に引き出され、布の上側に引き出された下糸は縫い目からはみ出した状態で、縫い目の見た目を悪くすることがある。
そこで、本発明は、縫い始めの糸で縫い目が盛り上がったり、縫い始めの下糸が上側にはみ出したりすることなく、縫い目を綺麗に仕上げることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、針を上下に駆動する針駆動手段と、開閉動作によって縫製用の糸を保持又は解除するための糸保持手段として糸切りハサミと、前記糸保持手段を開閉動作させる糸保持駆動手段としてのパルスモータと、を備えたミシンの糸保持装置において、前記糸保持手段及び糸保持駆動手段を上糸と下糸のそれぞれについて備え、前記針駆動手段により縫製を開始した後に、縫い始めの糸で縫い目が盛り上がることがないように、前記糸保持手段としての糸切りハサミが、閉じた状態から開いた状態へ徐々に開くように作動させ、次に、縫製の進行に伴い糸が引き抜かれるように、前記糸保持手段としての糸切りハサミを半開状態で停止させ、その後、前記糸保持手段としての糸切りハサミを半開状態から開いた状態に開くように、前記糸保持駆動手段としてのパルスモータを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記針駆動手段を作動させない場合にも、前記各糸保持駆動手段としてのパルスモータを個別に制御して糸切りハサミによる前記開き動作を行う(ステップS20〜ステップS21又はステップS36〜ステップS42)ことを可能とすることを特徴とする。
【0006】
ここで、縫製用の糸とは、針から導出される上糸であるか、又は、針の下方に配された釜から供給される下糸である。上糸の端部と下糸の端部の両方を保持するためには二つの糸保持手段を設け、一方の糸保持手段で上糸の端部を保持し、他方の糸保持手段で下糸の端部を保持する。この場合、糸駆動手段も二つ設け、一方の糸保持手段を一方の糸駆動手段で駆動し、他方の糸保持手段を他方の糸保持駆動手段で駆動する。なお、ミシンが、下糸を用いないで上糸のみで縫製を行う場合には、縫製用の糸とは単に上糸のみを指す。
【0007】
請求項1に記載の発明では、針駆動手段が作動した後に、糸保持駆動手段が制御されることで、糸保持手段が閉じた状態から開いた状態へ徐々に開く。縫製用の糸が縫い目に縫い込まれていくことによって糸の張力が大きくなるが、糸保持手段が徐々に開くため、糸が挟まれる力が縫製の進行に伴って徐々に弱くなり、糸が糸保持手段から引き抜かれていく。そのため、縫製用の糸が縫い目に縫い込まれても、縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。また、糸保持手段が徐々に開くため、縫い始めの糸をできる限り長く保持することができるから、縫い始めの下糸が布の上側に引き出されることがなくなる。
【0009】
また、請求項1に記載の発明では、針駆動手段が作動した後に、糸保持駆動手段が制御されることで、縫製の進行に伴って糸保持手段が閉じた状態から半開状態を経て開いた状態へ徐々に開いていく。糸保持手段の開放動作が縫製の進行に伴っているため、縫製が進行すると糸が挟まれる力が弱くなっていき、縫製用の糸が縫い目に縫い込まれても、縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。
【0011】
さらに、請求項1に記載の発明では、針駆動手段が作動した後に、糸保持駆動手段が制御されることで、糸保持手段が開いて半開状態となった状態で停止する。糸保持手段が半開状態となることによって縫製用の糸が弱い力で挟まれ、縫製が進行すると糸が糸保持手段から引き抜かれていく。そのため、縫製用の糸が縫い目に縫い込まれても、縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。
さらに、請求項1に記載の発明では、針駆動手段を作動させないため、作業者にとって糸保持手段の動作を確認しやすい。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のミシンの糸保持装置において、前記制御装置が、前記糸保持手段が開く開放速度を入力する入力処理(ステップS4:Yes又はステップS7:Yes)を行い、前記入力処理において入力された開放速度で前記糸保持手段が半開状態へ開くように前記制御装置が前記糸保持駆動手段を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明では、制御装置の入力処理によって作業者にとって糸保持手段の開放速度を入力することが可能となり、入力した開放速度に応じたタイミングで糸保持手段が開く。そのため、縫製の種類、糸の種類、糸の太さ等といった様々な条件に応じて、糸保持手段の開放速度を設定することができ、どのような条件でも縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載のミシンの糸保持装置において、縫製中の前記針駆動手段の縫製速度に関する項目と、前記糸保持手段が開く開放速度に関する項目とが対応づけられてなる縫製速度−開放速度情報が記憶手段(EEPROM128)に記憶され、前記制御装置が、前記針駆動手段の縫製速度に対応する開放速度を前記記憶手段に記憶された縫製速度−開放速度情報から求める速度算出処理(ステップS5又はステップS8)を行い、前記速度算出処理で求められた開放速度で前記糸保持手段が半開状態へ開くように前記制御装置が前記糸保持駆動手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明では、記憶手段に縫製速度−開放速度情報が記憶されており、針駆動手段の縫製速度に対応する開放速度を縫製速度−開放速度情報から求め、求めた開放速度で糸保持手段が開く。そのため、様々な縫製速度に最適な開放速度が対応づけられて記憶手段に記憶されていれば、針駆動手段の縫製速度が変化しても、最適な開放速度で糸保持手段が開き、どのような縫製速度でも縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミシンの糸保持装置において、前記記憶手段がミシン本体に設けられており、前記制御装置が前記ミシン本体に対して組み付け可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明では、ミシン本体に記憶手段が設けられているため、本発明における制御装置と同じであって別の制御装置にミシン本体が組み付けられた場合でも、その別の制御装置が記憶手段に記憶された縫製速度−開放速度情報に基づき制御を行うから、縫い目の風合いを一様にすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載のミシンの糸保持装置において、前記糸保持手段は、開放した後に閉じることによって前記縫製用の糸を切断し、前記糸保持手段が閉じた状態で切断した糸を保持するハサミであることを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明では、ハサミである糸保持手段が糸を切断するため、別途切断用の機構をミシンに設けなくても済み、ミシンの構成が簡略になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様について説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
図1に示すように、本発明に係る糸保持装置が適用されたミシン100は、被縫製物である布に対してボタン穴を形成するとともにそのボタン穴の周囲にかがり縫いを施すボタン穴かがり縫いミシン本体1と、起立した脚部150,150を有するとともに脚部150,150上に取り付けられた天板160を有するミシンテーブル170と、ミシン本体1全体を制御するとともにミシン本体1に組み付け可能な制御装置110(図8に図示)を内蔵する電装ボックス180と、作業者に操作されることによって操作信号を制御装置110へ出力する操作パネル190と、を備える。
【0027】
図2に示すように、ミシン本体1はミシンフレームを備え、ミシンフレームは、ベッド部2と、ベッド部2の後端部に立設された縦胴部3と、縦胴部3の上部からベッド部2と略平行になるように延出するアーム部4とからなり、側面視してコ字状を呈する。該ミシン本体1は、昇降動作と左右への針振り動作を行う針9、布を押さえる布押え15、下側で布を保持すると共に前後動する布送り板14、布押え15の上側で上糸を切断するとともに切断された上糸の保持及び解除するための上糸切断装置70(図4に図示。)、針板55(図7に図示)の下で下糸を切断する切断された下糸を保持及び解除するための下糸切断装置50(図6に図示)、布を切断してボタン穴を形成する布切りメス16等を備えている。上糸切断装置70及び下糸切断装置50は、本発明に係る糸保持装置である。
【0028】
布押え15及び布送り板14は、両者で布を挟んで保持する。図2及び図3に示すように、布押え15は、布送り部材23に連結された連結アーム24に固定される一方、布送り板14は布送り部材23に直接連結されている。この布送り部材23は、ラック22aを有する送り軸22に固定されており、Y送りパルスモータ20が回転するとピニオン20aを介して駆動されて、布押え15及び布送り板14を前後動させる。
なお、図5に示すように、連結アーム24の先端部24aの左面には、閉じ板25が先端部24aの下面から下方へ突出するように固定されており、布押え15と先端部24aの間に閉じ板25が固定されている。布押え15は、押え上げソレノイド127(図8に図示。)がONになると上昇し布地を開放する状態になり、該ソレノイド127がOFFになると下降し布地を挟持する。ソレノイド127によって駆動される布押え15の構成については周知であるので詳細は省略する。
【0029】
針9を昇降させる昇降機構は、図3に示すように、上軸6、ミシンモータ5、クランクカム7等から構成され、ミシンモータ5の回転運動をクランクカム7により昇降運動に変換して針棒8に伝動することで、針9を昇降運動させる。つまり、ミシンモータ5は、本発明における針駆動手段に相当する。また、上軸6は、傘車10a,10bを上下端に配した伝達軸10を介して下軸11と連結しており、該下軸11に連結した釜12と連動するようになっている。この釜12内には下糸が巻回されており、縫製の際には釜12から下糸が供給される。
【0030】
針9を左右に振る針振り機構は、針棒8を上下動自在に支持するとともにアーム部4の前端部において支点18aを中心にして左右に揺動自在な針棒揺動台18と、ミシンモータ5の動力を針棒揺動台18に伝達する伝達軸48と、針振り送りパルスモータ41(図8に図示。)と、基線送りパルスモータ40(図8に図示。)と、を備え、ミシンモータ5の動力によって支点18aを中心にして針棒揺動台18を回転させることによって或る基線を中心に針9を左右方向に振るようになっている。針振り機構では、針9が一回目に降りるタイミングで針棒8を基線上に位置させ、2回目に降りるタイミングで針棒8を基線から所定の振り幅の位置に位置させるようになっている。また、針振り機構は、針振り送りパルスモータ41の回転で支点18aを中心にした針棒揺動台18の揺動角度を変更することによって、針9の振り幅を変更する。更に、針振り機構は、基線送りパルスモータ40の回転で針棒揺動台18の揺動の際の中心を変更することによって、針9の針振りの基線位置を変更する。針振り機構の構成については周知であるので詳細な説明を省略する。
【0031】
次に、図4及び図5に基づいて上糸切断装置70の構成について説明する。上糸切断装置70は、アーム部4及びその近傍に設けられている。上糸切断装置70は、針9の近傍に配置された開閉自在な上糸切りハサミ80を備え、該ハサミ80を動作させて上糸の切断、保持、開放を行うものである。
【0032】
図4及び図5に示すように、更に、上糸切断装置200は、パルスモータ201を駆動源として上糸切りハサミ80を開閉するとともに上糸切りハサミ80を移動させる上糸切りハサミ駆動機構202を備える。
【0033】
上糸切りハサミ駆動機構202は、パルスモータ201と、レバー77と、カム機構204と、上糸切り腕205と、カム部材207,210と、ラッチカム部材208,211と、引張バネ209,212等とを備え、これらは以下のように構成されている。
【0034】
すなわち、アーム部4に板状の基材203が固定されており、基材203にパルスモータ201が取り付けられている。パルスモータ201の駆動軸201aは、基材203から図5の左方に向けて突出しており、基材203に対して回転自在となっている。基材203の下側後端部には、回転軸部材206が上下方向の軸心回りに回転自在となるように設けられている。回転軸部材206には、上糸切り腕205の後端部が前後に摺動自在となるように取り付けられており、前後に延在した上糸切り腕205が回転軸部材206を中心にして左右に回転自在となっている。また、上糸切り腕205の前部の左面には、レバー77がその中間部において左右方向の軸回りに回転自在となるように取り付けられている。
【0035】
パルスモータ201の駆動軸201aには、カム機構204が連結されている。カム機構204は、駆動軸201aに取り付けられた駆動カム部材213と、駆動カム部材213に取り付けられた前後カム腕214及びハサミカム腕215等からなる。駆動カム部材213は、基材203の図5の左側に配置された略円盤状の部材であり、その中央部が駆動軸201aに固定され、駆動軸201aとともに回転する。駆動カム部材213の直径方向対称位置には、第一カム孔213b及び第二カム孔213cが形成されている。
【0036】
前後カム腕214は、上下に延在しており、その中間部において左右方向の軸回りに回転自在となって基材203に取り付けられている。前後カム腕214の上部には、第二カム孔213cに摺動自在に係合するカムフォロア214aが設けられており、前後カム腕214の下部には、ピン216が設けられている。ピン216は、上糸切り腕205に形成された細長い貫通孔205aに摺動自在に係合する。ハサミカム腕215は、上下に延在しており、その中間部において左右方向の軸回りに回転自在となって基材203に取り付けられている。ハサミカム腕215の上部には、第一カム孔213bに摺動自在に係合するカムフォロア215aが設けられており、ハサミカム腕215の下部には、レバー77の一端部に近接するようにピン217が設けられている。レバー77の一端部には引張バネ78の一端部が連結し、引張バネ78の他端部はアーム部4に連結し、引張バネ78がレバー77の一端部を後方に付勢することで、レバー77の一端部がピン217に当接している。
【0037】
駆動カム部材213がパルスモータ201に駆動されて所定の方向に回転することによって、第一カム孔213bと第二カム孔213cにはめ込まれたカムフォロア215a、214aは、駆動カム部材213の中心に対して一定の距離を保ったり、あるいは離れたり近づいたりする。この離れたり近づいたりするときに、カムフォロア215a、214aを介してハサミカム腕215、前後カム腕214が所定方向に回転するようになっている。前後カム腕214の回転により、ピン216を介して上糸切り腕205が前後に移動するようになっている。また、ハサミカム腕215の回転によってピン217がレバー77の一端部に対して接離したり、レバー77の一端部を押したりし、これによりレバー77が回転動作するようになっている。
【0038】
駆動カム部材213外周面には、外側に突出する検出部213aが形成されており、この検出部213aのエッジ213dをセンサ218が検出する。センサ218は、エッジ213dを検出することによって、駆動カム部材213の回転角度が初期状態であることを検出するものである。
【0039】
基材203の右面にはカム部材207が固定されており、カム部材207の前端部にはカム面207aが形成されている。一方、上糸切り腕205の左面には、カム面210aを有したカム部材210が固定されており、カム面210aが上糸切り腕205の前後動に伴ってカム面207aに対して接離するようになっている。
【0040】
更に、基材203の右面には、鉤型に形成されたラッチカム部材208の後端部が回転可能に接続されている。ラッチカム部材208には引張バネ209の一端部が連結しており、引張バネ209の他端部が基材203に連結しおり、ラッチカム部材208は、図5の左から見て、引張バネ209によって後端部を中心にして反時計回り方向に付勢されている。ラッチカム部材208の前端部の下面は、カム面208aを呈している。
【0041】
また、上糸切り腕205の右面には、ラッチカム部材211が固定されており、ラッチカム部材211の上端部に形成されたカム面211aが上糸切り腕205から上方へ突出している。ラッチカム部材208の回転により、カム面208aはカム面211aに対して接離自在となっている。
【0042】
上糸切り腕205の前後中間部には、上糸切り腕205を左方に付勢する引張バネ212が連結し、上糸切り腕205がこの引張バネ212によって回転軸部材206を中心にして左方へ回転する方向に付勢される。
【0043】
上糸切り腕205の前端部には、布押え15側に向かうように上糸切りハサミ80が取り付けられている。
上糸切りハサミ80は、押圧板85aが取り付けられている固定刃85と、固定刃85に対してピン86bを中心に回転自在となって取り付けられた可動刃86とからなり、可動刃86には、その上面から突出するようにカム当接部86aが設けられている。
カム当接部86aは、レバー77の他端部近傍に配されている。レバー77の他端部には、左方に向けて延出する開きカム部77aが形成されており、開きカム部77aは、カム当接部86aの右方に配置されている。開きカム部77aの左端部には、カム当接部86aと当接し得る第一カム面77b及び第二カム面77cが形成されている。カム当接部86aの左方には、閉じ板25が配置されており、カム当接部86aが閉じ板25と開きカム部77aとの間に配される。
上糸切りハサミ80は、閉じ板25によって可動刃86が固定刃85に対して回転されることで閉じ、開きカム部77aによって可動刃86が固定刃85に対して逆方向に回転されることで開くようになっている。この上糸切りハサミ80は、閉じることで上糸を切断し、閉じた状態を維持することで切断した上糸を保持する。つまり、上糸切りハサミ80は、本発明における糸保持手段又は上糸保持手段である。そして、本発明における糸保持駆動手段又は上糸保持駆動手段は、パルスモータ201に相当する。
【0044】
次に、図6及び図7に基づいて下糸切断装置50の構成について説明する。下糸切断装置50は、ベッド部2内に設けられており、針9の下方に配置された開閉自在な下糸切りハサミ52を備え、該ハサミ52を動作させて下糸の切断、保持、開放を行うものである。下糸切断装置50は、針板台51と、パルスモータ231を駆動源とする駆動機構233と、駆動機構233の動力を下糸切りハサミ52に伝動することで開いた状態の下糸切りハサミ52を閉じた状態にする下糸切りハサミ閉じ手段240と、駆動機構233の動力を下糸切りハサミ52に伝動することで閉じた状態の下糸切りハサミ52を開いた状態にする下糸切りハサミ開放手段240と、を備える。
【0045】
針板台51は、ベッド部2内に固定された板状の部材であり、その上面には針板55が固定されている。針板55には、針9を挿通するための挿通孔が形成されており、針板台51の下方に前記釜12が配されている。
【0046】
下糸切りハサミ52は、上メス56と、下メス57と、板バネ58とを備える。上メス56は下メス57の下に設けられているが、底面図である図6に基づいて便宜的に下側を上メス56とする。下メス57は、その基端部57aにおいて上下方向の軸回りに回転可能となるように、針板台51の下面前方に取り付けられる。上メス56は、下メス57に対して回転可能となるように取り付けられ、板バネ58は、下メス57に固定されている。上メス56には、ピン56aが下方に突出するように設けられている。上メス56の前部には、前方に向けて延出する延出部56bが形成されている。延出部56bは、上メス56及び下メス57の移動に伴い、針板台51の開口部51aを画成する縁部51bに対して接離自在となっている。この下糸切りハサミ52は、上メス56が下メス57に対して回転することで開閉し、閉じることで下糸を切断し、閉じた状態を維持することで切断した上糸を保持する。つまり、下糸切りハサミ52は、本発明における糸保持手段又は下糸保持手段である。
【0047】
下糸切りハサミ閉じ手段240は、下糸手繰腕63と、リンク部材64と、リンク部材65と、下糸切りリンク242と、リンク部材241と、を備える。下糸切りリンク242は、L字状を呈しており、その曲折部近傍で上下方向の軸回りに回転自在となって針板台51の下面後端部に取り付けられている。下糸切りリンク242の一端部が、上下方向の軸回りに回転自在となって、前後方向に延在するリンク部材241の前端部に連結する。下糸切りリンク242の他端部が、上下方向の軸回りに回転自在であるように下糸手繰腕63の中間部に連結し、下糸手繰腕63の中間部が、上下方向の軸回りに回転自在であるようにリンク部材64の一端部に連結する。リンク部材64の他端部は、上下方向の軸回りに回転自在となって下メス57に連結する。下糸手繰腕63の後端部は、上下方向の軸回りに回転自在となるようにリンク部材65の一端部に連結する。リンク部材65の他端部は、上下方向の軸回りに回転自在となるように針板台51に連結する。
【0048】
下糸切りハサミ開放手段245は、リンク部材67と、作動部材68と、を備える。作動部材68は、L字状の形状をしており、その曲折部において上下方向の軸回りに回転自在となるように針板台51の下面に取り付けられている。作動部材68の先端部68aは、上メス56のピン56a近傍に配され、ピン56aに対して接離自在となっている。作動部材68の他端部は、上下方向の軸回りに回転自在となるようにリンク部材67の前端部に連結する。
【0049】
駆動機構233は、パルスモータ231、第二駆動カム部材234、第一L型リンク部材235、第二L型リンク部材236を備える。
パルスモータ231は、ベッド部2内部に固定された基材232(図6において図示略。)の下面に固定されており、パルスモータ231の駆動軸231aは、基材232から上方に向かって突出しており、基材232に対して回転自在となっている。このパルスモータ231は、本発明における糸保持駆動手段又は下糸保持駆動手段に相当する。
第二駆動カム部材234は、略円盤状の部材であり、基材232の上方に配置され、その中央部が駆動軸231aに固定され、駆動軸231aとともに回転する。第二駆動カム部材234の外周部には、検出部234aが形成されており、この検出部234aのエッジ234dをセンサ237が検出する。センサ237は、エッジ234dを検出することで第二駆動カム部材234の回転角度が初期状態であることを検出するものである。
【0050】
第二駆動カム部材234の直径方向対称位置には、第一カム孔234b及び第二カム孔234cが形成されている。第一L型リンク部材235は、その曲折部において上下方向の軸回りに回転自在となってベッド部2に取り付けられている。第一L型リンク部材235の一端部には、第一カム孔234bに摺動自在に係合するカムフォロア235aが設けられている。第一L型リンク部材235の他端部は、リンク部材241の後端部に回転自在となって連結する。第二L型リンク部材236は、その曲折部において上下方向の軸回りに回転自在となってベッド部2に取り付けられており、第二L型リンク部材236の一端部にカムフォロア236aが設けられており、カムフォロア236aは、第二カム孔234cに摺動自在に係合している。第二L型リンク部材236の他端部は、リンク部材67の後端部に回転自在に連結する。
【0051】
第二駆動カム部材234がパルスモータ231に駆動されて所定の方向に回転することによって、第一カム孔234bと第二カム孔234cにはめ込まれたカムフォロア235a、236aは、第二駆動カム部材243の中心に対して一定の距離を保ったり、あるいは離れたり近づいたりする。この離れたり近づいたりするときに、カムフォロア235a、236aを介して、第一L型リンク部材235、第二L型リンク部材236が所定方向に回転するようになっている。
そして、第一L型リンク部材235の回転により下糸切りハサミ52が閉じるようになっているとともに、第二L型リンク部材236の回転により下糸切りハサミ52が開くようになっている。
【0052】
次に、図8に基づいて、制御装置110について説明する。
制御装置110は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、各パルスモータの駆動を行うY送りパルスモータドライバ114、基線送りパルスモータドライバ115、針振り送りパルスモータドライバ116、上糸切りハサミパルスモータドライバ117及び下糸切りハサミパルスモータドライバ118と、ミシンモータ5の駆動制御を行うミシンモータドライバ119と、押え上げソレノイド127の駆動制御を行う押え上げソレノイドドライバ126と、布切りメス16を下降させる布切りメス下降シリンダ19を駆動するシリンダドライバ120等とから構成される。制御装置110は、本発明に係る糸保持装置である上糸切断装置70及び下糸切断装置50の制御装置も兼ねている。
【0053】
ミシンモータドライバ119には、ミシンモータ5の他、ミシンモータ5の回転量を上軸6の回転角度としてコード化するミシンモータエンコーダ121、針9が上方位置にあることを検出する針上位置センサ122、上軸6の回転速度を検出するTG(タコジェネレーター)発生器123等が接続されている。
CPU111には、操作パネル190や布押え15の上昇・下降を指示する押えスイッチ124、並びに、ミシンモータ5の駆動スタートを指示するスタートスイッチ125などが接続されている。更に、CPU111には、CPU111にとった読み込み可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)128が接続されているが、このEEPROM128は電装ボックス180内に設けられていなのではなく、ミシン本体1に設けられており、ミシン本体1がミシンテーブル170に組み付けられるときにEEPROM128とCPU111が電気的に接続される。図5や図7に示されたセンサ218,237もそれぞれA/D変換器を介してCPU111に接続されており、それぞれのセンサ218,237からCPU111へ検出信号が入力される。
【0054】
操作パネル190は、作業者によって操作されることで操作信号をCPU111へ出力するものである。作業者にとって操作パネル190から入力可能なデータとしては、ボタン穴かがり縫いに関するデータがあり、ボタン穴かがり縫いに関するデータとしては、ボタン穴の長さ、2針間の縦方向の距離、ジグザグ縫いの幅、糸張力等といった項目がある。
【0055】
また、操作パネル190から入力可能なものとしては、上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52のそれぞれの開放を徐々に開いていく無段階開放モードにするか、上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52のそれぞれの開放を半開状態で一旦停止した後に再び開く一旦停止モードにするかの選択がある。一旦停止モード及び無段階開放モードの詳細については後述する。また、半開状態とは、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52それぞれが完全に開ききった状態と完全に閉じた状態との間の状態であって、更に閉じることができるととも更に開くことができる状態である。
【0056】
また、操作パネル190から入力可能なものとしては、上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52のそれぞれの開放速度を自動的に設定する自動設定モードとするか、上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52のそれぞれの開放速度を作業者によって設定するユーザ設定モードとするかの選択がある。また、操作パネルから入力可能なものとしては、上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52のそれぞれの開放速度がある。また、操作パネル190から入力可能なものとしては、上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52の開閉だけを行う調整モードにするか、他の機構に連動させて上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52の開閉を行う縫製モードにするかの選択がある。縫製モード及び調整モードの詳細については後述する。
【0057】
また、操作パネル190から入力可能なものとしては、入力したデータやモードを変更して再設定するか否かの選択がある。なお、操作パネル190の代わりに、キーボード、マウス、タッチパネル、その他の入力装置で以上のデータやモードの入力を行っても良い。
【0058】
ROM112には、操作パネル190からの入力処理、操作パネル190からの操作信号に従った各種入力データに基づいてボタン穴かがり縫いのための縫製データ(縫い始めから縫い終わりまでの全ての針落ち位置、ミシンモータ5の回転速度、Y送りパルスモータ20の回転速度、基線送りパルスモータ40による基線位置、針振り送りパルスモータ41による振り幅等)を演算する演算処理、演算された縫製データに従って縫製を行う縫製処理等といった各種処理をCPU111に行わせるための制御プログラムが記憶されている。
【0059】
CPU111は、RAM113の所定領域を作業領域として、ROM112に記憶されている制御プログラムに従った処理を行い、該処理によって操作パネル190からの操作信号を入力したり、接続された各種センサからの検出信号を入力したり、各ドライバを介して各駆動部に制御信号を出力したりする。CPU111が制御プログラムを実行して制御プログラムに従った処理を行うことによって、制御装置110が各駆動部を所定タイミングで作動させたり、各駆動部を停止させたり、各駆動部の動作速度を変更したりする。
【0060】
EEPROM128には、制御プログラムに従ったCPU111の処理に用いられるデータが予め記憶されており、EEPROM128に記憶されたデータはCPU111にとって読み込み可能である。図9(a)のように、EEPROM128は、ミシン本体1の縫製速度に関する項目に対して上糸切りハサミ80の開放速度に関する項目が対応づけられてなるデータテーブル(縫製速度−上糸切りハサミ開放速度情報)を予め記憶している。図9(a)において、ミシン本体1の縫製速度は、ミシンモータ5の回転速度に換算されており、上糸切りハサミ80の開放速度は、パルスモータ201の回転速度に換算されている。
【0061】
図9(a)に示すようなデータテーブルは、ミシン本体個別に準備されている。つまり、図9(a)のデータテーブル中の数値は、ミシン本体1専用のものであり、完成したミシン本体1に対して予め実験などにより求められた最適なものである。従って、ミシン本体1と同一構成のミシン本体であって別のミシン本体には、数値の異なるデータテーブルがEEPROMに記憶されている。これは、上糸切断装置、針、針棒、針を昇降させる昇降機構等といった各種部材や機構の取り付け具合がミシン本体の固体ごとに異なることに依る。
【0062】
更に、図9(b)のように、EEPROM128は、ミシン本体1の縫製速度に関する項目に対して下糸切りハサミ52の開放速度に関する項目が対応づけられてなるデータテーブル(縫製速度−下糸切りハサミ開放速度情報)を予め記憶している。図9(b)において、ミシン本体1の縫製速度は、ミシンモータ5の回転速度に換算されており、下糸切りハサミ52の開放速度は、パルスモータ231の回転速度に換算されている。また、図9(b)のデータテーブル中の数値は、ミシン本体1専用のものであり、完成したミシン本体1に対して予め実験などにより求められた最適なものである。ミシン本体1にEEPROM128が設けられているため、制御装置110と同じであって別の制御装置にミシン本体1が組み付けられた場合でも、その別の制御装置がEEPROM128に記憶されたデータテーブルに基づき制御を行うから、縫い目の風合いを一様にすることができる。なお、図9に示される数値は一例であり、図9の数値に限定される必要はない。また、データテーブルの代わりに、上糸切りハサミ80の開放速度を縫製速度で表した関数や、下糸切りハサミ52の開放速度を縫製速度で表した関数をEEPROM128に予め記憶しても良い。
【0063】
次に、ミシン本体1の縫製動作について説明する。
ミシン本体1は、ミシンモータ5で釜12の上方において針9を上下動するとともに左右に振りながら、布押え15と布送り板14によって布を挟持した状態でY送りパルスモータ20で布を送るとともに所定のタイミングでY送りパルスモータ20によって送り方向を前後に変え、所定のタイミングで基線送りパルスモータ40によって針9の基線の位置を変更し、更に、所定のタイミングで針振り送りパルスモータ41で針9の振り幅を変更する。これにより、ミシン本体1は、ボタン穴の周囲にジグザグ縫いによるボタン穴かがり縫いを施す。また、ミシン本体1は、かがり縫いを行う前又は後に布切りメス下降シリンダ19で布切りメス16を下降させて、布にボタン穴を形成する。
【0064】
図10(a)のタイミングチャートを用いて上糸切断装置70の切断動作について説明する。
縫製終了時点では、上糸切断装置70が以下の初期状態である。
1.エッジ213dはセンサ218によって検知され、パルスモータ201及び駆動カム部材213は初期状態の回転位置にある。カムフォロア214a、カムフォロア215aそれぞれは第二カム孔213c、第一カム孔213bのほぼ中央に位置する。
2.レバー77の他端部は、引張バネ78の付勢力によって後方に位置している。また、上糸切りハサミ80は図11に示されるように所定の待機位置で開いている。
3.ラッチカム部材211の左面とラッチカム部材208の右面とが当接した状態である。これによって、引張バネ212による上糸切り腕205の左方への回転が抑止されている。
4.カム部材210のカム面210aは、カム部材207のカム面207aから離れており、カム面207aに当接していない。
【0065】
そして、縫製終了後にパルスモータ201が正転し、それに伴い駆動カム部材213が反時計回り(図5の矢印k方向)に回転し、カムフォロア215aは第一カム孔213bに沿って摺動するが、第一カム孔213bの形状によってカムフォロア215aと駆動カム部材213の中心との距離は一定であり、ハサミカム腕215は回転しない。
一方、駆動カム部材213の正転により、第二カム孔213cの形状にしたがって駆動カム部材213の中心とカムフォロア214aとの距離が大きくなっていく。従って、カムフォロア214aが後方に移動し、前後カム腕214は時計回り(図5の矢印h)に回転する。
これによって、ピン216が前方に向かって移動し、上糸切り腕205が前方に移動する。上糸切り腕205の前方への移動に伴って、カム面207aからカム面210aまでの距離も大きくなり、ラッチカム部材211が前方に移動し、ついにはラッチカム部材211の左面とラッチカム部材208の右面との当接が解除される(図10(a)のラッチはずれ位置)。ラッチカム部材211の左面とラッチカム部材208の右面との当接が解除されると、引張バネ212の付勢力によって上糸切り腕205の前端部が回転軸部材206を中心にして左方に回転する。
上糸切り腕205の左方への回転に伴って、上糸切りハサミ80が図11の糸切断位置へと移動する。上糸切りハサミ80が糸切断位置に向かって移動し始めると、カム当接部86aが閉じ板25に当接し、カム当接部86aが閉じ板25によって相対的に押される。これにより、可動刃86が固定刃85に対して上から見て反時計回りに回転する。上糸切りハサミ80は、可動刃86の回転に伴って閉じて上糸を切断し、閉じた状態で針9に連なる上糸を保持する。
【0066】
切断後、さらに駆動カム部材213は反時計回りに回転するが、カムフォロア214aと駆動カム部材213の中心との距離は一定である。従って、前後カム腕214は回転しなくなるとともに上糸切り腕205の前方への移動も停止する。
その後、パルスモータ201は逆転し、パルスモータ201の駆動軸201aが初期状態に戻ったら停止する。この逆転により、駆動カム部材213が時計回り(図5の矢印j方向)に回転し、第一カム孔213bの形状によりハサミカム腕215は回転しないが、第二カム孔213cの形状により前後カム腕214は反時計回りに回転し、上糸切り腕205が後方に移動する。上糸切り腕205とともにカム部材210が後方に移動するとカム面210aがカム面207aに当接し、カム部材210が更に後方に移動するとカム部材210とカム部材207との当接によって上糸切り腕205の前端部が引張バネ212の付勢力に抗して右方に回転する。上糸切り腕205の右方の回転によってカム当接部86aが閉じ板25から離れ、上糸切りハサミ80が閉じた状態で図11の糸保持位置へ移動し、上糸は上糸切りハサミ80に保持されている。
【0067】
そして、ミシン本体1による次サイクルの縫製が開始した後、パルスモータ201は更に逆転し、それに伴い駆動カム部材213が時計回り(図5のj方向)に回転する。この回転の際には第二カム孔213cの形状によってカムフォロア214aと駆動カム部材213の回転中心との距離が一定であるため、前後カム腕214は回転せず、上糸切り腕205も移動しない。一方、第二カム孔213cの形状に従って、カムフォロア215aと駆動カム部材213の回転中心との距離が小さくなるから、カムフォロア215aが後方に向かって移動する。これによって、ハサミカム腕215は図5において時計回りに回転し、ピン217が前方に向かって移動する。これに伴い、レバー77の他端部がピン217によって前方に押され、レバー77が引張バネ78に抗して反時計回り(図5の矢印方向)に回転し、レバー77の回転に伴って開きカム部77aがカム当接部86aを押す。これにより、可動刃86が固定刃85に対して上から見て時計回りに回転し、上糸切りハサミ80が、閉じた状態から図11の半開状態を経て図11の開いた状態へ開き、上糸を放す。
【0068】
上糸開放後、更に、駆動カム部材213が時計回りに回転するが、第一カム孔213bの形状によってカムフォロア215aと駆動カム部材213の回転中心との距離は一定であるため、ハサミカム腕215は回転せず、ハサミカム腕215はレバー77を前方に押した状態で停止している。このとき、第二カム孔213cの形状によって駆動カム部材213の回転中心とカムフォロア214aとの距離は小さくなる。これによって、前後カム腕214が反時計回りに回転し、ピン216が後方に向かって回転する。ゆえに、上糸切り腕205が後方に向かって移動し、カム部材210のカム面210aがカム部材207のカム面207aを摺動する。これにより、上糸切り腕205が引張バネ212の付勢力に抗して右方に回転する。
【0069】
上糸切り腕205が右方に回転すると、ラッチカム部材211のカム面211aがラッチカム部材208のカム面208aに当接し、更に上糸切り腕205が右方に回転すると、カム面211aがカム面208aを押し、ラッチカム部材208がその後端部を中心にして上方に回転する。ついには、ラッチカム部材211がラッチカム部材208の右方に移動し、カム面211aとカム面208aとの当接が解除される。その後、ラッチカム部材208は、引張バネ209の付勢力によって、その後端部を中心にして下方に回転する。
【0070】
次いで、パルスモータ201が正転すると、駆動カム部材213は反時計回りに回転する。このとき、カムフォロア215aを介してハサミカム腕215は回転しない。従って、ハサミカム腕215はレバー77を前方に押した状態で停止している。一方、カムフォロア214aを介して、前後カム腕214が時計回りに回転し、ピン216が前方に向かって回転する。ゆえに、上糸切り腕205とともにカム部材210が前方に向かって移動し、カム部材210がカム部材207から離れ、引張バネ212の付勢力によって上糸切り腕205が左方へ回転する。ここで、ラッチカム部材208の右面とラッチカム部材211の左面が当接する(図10(a)のラッチかみ合い位置)ことによって、引張バネ212による上糸切り腕205の左方への回転は停止し、上糸切り腕205の左右位置は、初期状態と同じになる。そして、駆動カム部材213の更なる反時計回りの回転によって、上糸切り腕205の前後位置は初期状態と同じになり、上糸切りハサミ80は待機位置に位置する。
【0071】
更に、駆動カム部材213が反時計回りに回転するが、カムフォロア214aと駆動カム部材213の回転中心との距離が一定であるため、前後カム腕214は回転しない。従って、上糸切り腕205は初期状態のままで移動せず、上糸切りハサミ80も待機位置から移動しない。一方、このとき、カムフォロア215aを介して、ハサミカム腕215は反時計回りに回転し、ピン217が後方に向かって回転する。これにより、レバー77が引張バネ78の付勢力により時計回りに回転し、開きカム部77aがカム当接部86aから離れる。
なお、以上のパルスモータ201の動作タイミングは、制御装置110の動作によって制御される。制御装置110の動作については後述する。
【0072】
図10(b)のタイミングチャートを用いて下糸切断装置50の切断動作について説明する。
縫製終了時点では、下糸切断装置50が以下の初期状態である。
1.エッジ234dはセンサ237に検知され、パルスモータ231及び第二駆動カム部材234は初期状態の回転位置にある。
2.カムフォロア235a、カムフォロア236aは、それぞれ、第一カム孔234b、第二カム孔234cのほぼ中央(図6のS点、R点)に位置する。
3.上メス56の延出部56bは針板台51の縁部51bにから離れており、下糸切りハサミ52は図11に示すように所定の待機位置にあって開いている。
【0073】
そして、縫製終了後、パルスモータ231が正転すると、第二駆動カム部材234が底面視して時計回り(図6のn方向)に回転する。これにより、カムフォロア236aは第二カム孔234cに沿って摺動するが、第二カム孔234cの形状によってカムフォロア236aと第二駆動カム部材234の中心との距離が一定であるため、第二L型リンク136は回転しない。一方、このとき、カムフォロア235aは第一カム孔234bに沿って摺動し、第一カム孔234bの形状にしたがって第二駆動カム部材234の中心とカムフォロア235aとの距離が小さくなる。従って、カムフォロア235aが左方に移動し、第一L型リンク部材235は底面視して反時計回りに回転する。第一L型リンク部材235の回転に伴い、下糸手繰腕63が反時計回りに回転するとともに、下メス57がその基端部を中心に底面視して時計回りに回転する。このとき、下糸手繰腕63が回転しながら、下糸を下メス57側へと手繰り、下メス57が回転している時に、下メス57とともに上メス56が前方に移動し、上メス56の延出部56bが縁部51bに当接し、上メス56の回転は止まり、一方下メス57は回転し続ける。下メス57の更なる回転によって上メス56の先端と下メス57の先端が合致し、下糸切りハサミ52が図11のような糸切断位置に向かって移動して閉じて、下糸手繰腕63によって手繰られた下糸を切断する。ここで、下糸切りハサミ52は閉じた状態で板バネ58及び上メス56により下糸を保持する。
下糸切断後、さらに第二駆動カム部材234は時計回りに回転するが、このときはカムフォロア235aと第二駆動カム部材234の回転中心との距離が一定であり、第一L型リンク部材235は回転しない。よって下糸切りハサミ52も回転せず、閉じた状態で切断位置に位置する。
【0074】
その後、パルスモータ231は逆転し、パルスモータ231の駆動軸231aが初期状態に戻ったら、停止する。パルスモータ231が逆転すると、第二駆動カム部材234が反時計回りに回転することにより、第二カム孔234cの形状によって第二L型リンク部材236は回転しないが、第一カム孔234bの形状によって第一L型リンク部材235は時計回りに回転する。第一L型リンク部材235の回転に伴い、下糸切りハサミ52は閉じた状態で図11の糸保持位置に戻る。下糸切りハサミ52の場合、糸保持位置と待機位置は同じである。
【0075】
ミシン本体1による次サイクルの縫製が開始した後、パルスモータ231が逆転すると、第二駆動カム部材234は反時計回り(図6のm方向)に回転する。
この回転の際に、第一カム孔234bの形状によってカムフォロア235aと第二駆動カム部材234の回転中心との距離が一定であるため、第一L型リンク部材235が回転せず、下糸切りハサミ52も移動しない。
一方、第二カム孔234bの形状によって第二駆動カム部材234の回転中心とカムフォロア236aとの距離は小さくなり、これによって、第二L型リンク部材236は底面視して時計回りに回転する。第二L型リンク部材236の回転に伴い、作動部材68が底面視して反時計回りに回転する。これにより作動部材68の先端部68aがピン56aを押し、上メス56が下メス57に対して回転し、下糸切りハサミ52が図11の半開状態を経て開いた状態へ開いて下糸を放す。
更に、第二駆動カム部材234が反時計回りに回転すると、第二カム孔234cの形状によってカムフォロア236aと第二駆動カム部材234の回転中心との距離が一定であるので、第二L型リンク部材236は回転しない。従って、下糸切りハサミ52は開いた状態を維持する。
【0076】
次いで、パルスモータ231が正転すると、第二駆動カム部材234は時計回りに回転する。この回転により、第一カム孔234bの形状によって第一L型リンク部材235は回転せず、下糸切りハサミ52も移動しない。このとき、第二L型リンク部材236は底面視して反時計回りに回転する。第二L型リンク部材236の回転に伴い、作動部材68が底面視して時計回りに回転し、作動部材68の先端部68aとピン56aとの当接が解除される。以上のようにして、下糸切断装置230は初期状態に戻る。
なお、以上のパルスモータ231の動作タイミングは、制御装置110の動作によって制御される。制御装置110の動作については後述する。
【0077】
次に、制御プログラムに従ったCPU111の処理による制御装置110の動作、並びに、制御装置110の動作に伴う縫製装置100の動作について図12〜図16を参照して説明する。
まず、制御装置110はボタン穴かがり縫いに関するデータが入力されたか否かを判断し(ステップS1)、作業者が操作パネル190を通じてボタン穴かがり縫いに関するデータを入力したときに制御装置110がそのデータを操作パネル190から入力する(ステップS1:Yes)。
【0078】
次いで、制御装置110は、ステップS1における入力データに基づいて、針ボタン穴かがり縫いのための縫製データ(縫い始めから縫い終わりまでの全ての針落ち位置、ミシンモータ5の回転速度、Y送りパルスモータ20の回転速度、基線送りパルスモータ40による基線位置、針振り送りパルスモータ41による振り幅等)を算出する(ステップS2)。
【0079】
次いで、制御装置110が上糸切りハサミ80の開放速度を自動設定にするか否かを判断し(ステップS3)、作業者が操作パネル190を通じて自動設定の旨を入力した場合には制御装置110の処理がステップS5に移行し、作業者が操作パネル190を通じて自動設定しない旨を入力した場合には制御装置110の処理がステップS4に移行する。
【0080】
ステップS5において、制御装置110は、ステップS2で算出したミシンモータ5の回転速度に対応する上糸切りハサミ80の開放速度を図9(a)に示されたデータテーブルから検索して求める。ステップS4において、制御装置110が上糸切りハサミ80の開放速度が入力されたか否かを判断し、作業者が操作パネル190を通じて上糸切りハサミ80の開放速度を入力した場合に制御装置110はそのデータを操作パネル190から入力する(ステップS4:Yes)。
【0081】
次いで、制御装置110が下糸切りハサミ52の開放速度を自動設定にするか否かを判断し(ステップS6)、作業者が操作パネル190を通じて自動設定の旨を入力したときには制御装置110の処理がステップS8に移行し、作業者が操作パネル190を通じて自動設定しない旨を入力したときには制御装置110の処理がステップS7に移行する。
【0082】
ステップS8において、制御装置110は、ステップS2で算出したミシンモータ5の回転速度に対応する下糸切りハサミ52の開放速度を図9(b)に示されたデータテーブルから検索して求める。ステップS7において制御装置110が下糸切りハサミ52の開放速度が入力されたか否かを判断し、作業者が操作パネル190を通じて下糸切りハサミ52の開放速度を入力したときに制御装置110はそのデータを操作パネル190から入力する(ステップS7:Yes)。
【0083】
次いで、制御装置110は、無段階開放モードにする旨が入力されたか否かを判断する(ステップS9)とともに、一旦停止モードにする旨が入力された否かを判断する(ステップS10)。そして、作業者が無段階開放モードを選択した場合には、制御装置110がその旨を操作パネル190から入力し(ステップS9:Yse)、制御装置110の処理がステップS11に移行する。一方、作業者が一旦停止モードを選択した場合には、制御装置110がその旨を操作パネル190から入力し(ステップS10:Yes)、制御装置110の処理がステップS27に移行する。
【0084】
ステップS11〜S26における無段階開放モードについて説明する。
制御装置110は、調整モードにする旨が入力されたか否かを判断する(ステップS11)とともに、縫製モードにする旨が入力された否かを判断する(ステップS12)。そして、作業者が調整モードを選択した場合には、制御装置110がその旨を操作パネル190から入力し(ステップS11:Yse)、制御装置110の処理がステップS19に移行する。一方、作業者が縫製モードを選択した場合には、制御装置110がその旨を操作パネル190から入力し(ステップS12:Yes)、制御装置110の処理がステップS13に移行する。
【0085】
ステップS13において、制御装置110は、スタートスイッチ125が押下されたか否かを判断する。そして、作業者が布をベッド部2上にセッティングしスタートスイッチ125を押下した場合に、制御装置110の処理はステップS14へ移行する。
【0086】
ステップS14において、制御装置110は、ミシンモータ5を作動させ、ミシンモータ5の作動中にY送りパルスモータ20を所定タイミングで正転・逆転・停止させ、ミシンモータ5の作動中に所定タイミングで針振り送りパルスモータ41を正転・逆転・停止させ、ミシンモータ5の作動中に所定タイミングで基線送りパルスモータ40を正転・逆転・停止させる。これにより、ミシン本体1が縫製動作を行ってボタン穴かがり縫いを布に施し、縫製終了時点ではモータ5,20,40,41が停止する。ステップS14において、制御装置110は、パルスモータ201を作動させることで上糸切りハサミ80を開き、パルスモータ231を作動させることで下糸切りハサミ52を開く。このとき、上糸切断装置70及び下糸切断装置50は上述の初期状態に戻る。ステップS14において制御装置110がパルスモータ201及びパルスモータ231を制御する処理については後述する。
【0087】
縫製終了後、制御装置110が初期の回転角度のパルスモータ201を正転するように作動させることで、上述したように上糸切りハサミ80が図11の待機位置から切断位置へ移動するとともに閉じて、針9から布まで導かれた上糸が上糸切りハサミ80の閉じる動作によって切断される(ステップS15)。切断された上糸の端部は閉じた状態の上糸切りハサミ80によって保持される。次いで、制御装置110が初期の回転角度のパルスモータ231を正転するように作動させることで、上述したように下糸切りハサミ52が図11の待機位置から切断位置へ移動するとともに閉じて、釜12から布まで導かれた下糸が下糸切りハサミ52の閉じる動作によって切断される(ステップS16)。切断された下糸の端部は閉じた状態の下糸切りハサミ52によって保持される。また、ステップS15において、制御装置110は、図10(a)に示すようにパルスモータ201を正転させた後に逆転させ、パルスモータ201の回転角度が初期状態となった時に、パルスモータ201を停止させる。これにより、上糸切りハサミ80が図11の糸保持位置で閉じた状態で停止する。同様に、ステップS16において、制御装置110は、図10(b)に示すようにパルスモータ231を正転させた後に逆転させパルスモータ231の回転角度が初期状態となった時に、パルスモータ231を停止させる。これにより、下糸切りハサミ52が図11の糸保持位置で閉じた状態で停止する。また、ステップS15とステップS16の処理が制御装置110によって並行して行われても良い。
【0088】
次いで、制御装置110は、入力したデータやモードを変更して再設定するか否かを判断する(ステップS17)。作業者が再設定する旨を操作パネル190で入力した場合には、制御装置110はその旨を操作パネル190から入力し(ステップS17:Yes)、制御装置110の処理がステップS1に移行する。一方、作業者が再設定する旨を入力しない場合には、制御装置110の処理がステップS18に移行する。ステップS18において、制御装置110は、スタートスイッチ125が押下されたか否かを判断する。そして、作業者が布をベッド部2上に再セッティングしスタートスイッチ125を押下した場合に、制御装置110の処理がステップS14へ移行し、ミシン本体1が再び縫製を行う。
【0089】
ステップS14の縫製処理について詳細に説明する。
まず、制御装置110がミシンモータ5を作動させるとともにY送りパルスモータ20を作動させ、これによりミシン本体1が針9の上下動によるボタン穴かがり縫いを始める(ステップS23)。次いで、制御装置110が、パルスモータ201を作動させる(ステップS24)とともに、パルスモータ231を作動させる(ステップS25)。これにより、パルスモータ201が初期状態の回転角度から逆転しだすとともに、パルスモータ231が初期状態の回転角度から逆転しだす。
【0090】
パルスモータ201の作動中においては、制御装置110が、ステップS5において算出された開放速度又はステップS4において入力された開放速度でパルスモータ201が動作するようにパルスモータ201を制御する。これにより、上糸切りハサミ80が縫製の進行に伴って図11の糸保持位置の閉じた状態から半開状態を経て開いた状態へ徐々に開いていく。同様に、パルスモータ231の作動中において、制御装置110が、ステップS8で算出された開放速度又はステップS7において入力された開放速度でパルスモータ231が動作するようにパルスモータ231を制御する。これにより、下糸切りハサミ52が縫製の進行に伴って図11の糸保持位置の閉じた状態から半開状態を経て開いた状態へ徐々に開いていく。
【0091】
そして、制御装置110は、図10(a)に示すようにパルスモータ201が逆転して上糸切りハサミ80が完全に開いた後に、パルスモータ201の回転角度を初期状態へ正転させ、パルスモータ201を停止させる。また、制御装置110は、図10(b)に示すようにパルスモータ231が逆転して下糸切りハサミ52が完全に開いた後に、パルスモータ231の回転角度を初期状態へ正転させ、パルスモータ231を停止させる。これにより、上糸切断装置70及び下糸切断装置50は上述の初期状態に戻る。
【0092】
そして、縫製が終了したら、制御装置110がミシンモータ5を停止させるとともにY送りパルスモータ20を停止させる。
【0093】
ボタン穴かがり縫いでは、布から上糸切りハサミ80まで導かれた上糸及び布から下糸切りハサミ52まで導かれた下糸が、縫い目に縫い込まれる。つまり、針9は、布から上糸切りハサミ80まで導かれた上糸及び布から下糸切りハサミ52まで導かれた下糸を跨ぐようにして左右に振られる。そして、上糸及び下糸が縫い目に縫い込まれていく際には、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が閉じた状態から半開状態を経て開いた状態へ徐々に開いていくから、上糸の端部及び下糸の端部を挟む力が徐々に減少していくとともに上糸及び下糸が縫い目へ引っ張られていく。そのため、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が完全に開く前に、上糸の端部が上糸切りハサミ80から引き抜かれるとともに下糸の端部が下糸切りハサミ52から引き抜かれる。上糸の端部及び下糸の端部が引き抜かれることによって、縫い目から端部までの間において上糸及び下糸に張力が作用していないため、縫い目が上糸及び下糸によって盛り上がることがなくなり、美観性の良い縫い目が形成される。また、縫製開始時点では、上糸の端部及び下糸の端部がそれぞれ上糸切りハサミ80、下糸切りハサミ52によって保持されているから、縫製開始時において上糸が針9から抜けてしまったり、上糸と下糸が絡まずに縫製不良となったりすることが防止される。縫製中に上糸の端部及び下糸の端部を開放したものとしても縫い目が形成されているから、上糸が針9から抜けてしまったり縫製不良となったりすることはない。
【0094】
ステップS19〜ステップS22の調整モードについて説明する。
ステップS19において、制御装置110は、スタートスイッチ125が押下されたか否かを判断する。そして、作業者がスタートスイッチ125を押下した場合に、制御装置110が、パルスモータ201を作動させる(ステップS20)とともに、パルスモータ231を作動させる(ステップS21)。ステップS20のパルスモータ201の作動中においては、制御装置110が、ステップS5において算出された開放速度又はステップS4において入力された開放速度でパルスモータ201が動作するようにパルスモータ201を制御する。これにより、上糸切りハサミ80が閉じた状態から開いた状態へ徐々に開いていく。同様に、ステップS22のパルスモータ231の作動中において、制御装置110が、ステップS8で算出された開放速度又はステップS7において入力された開放速度でパルスモータ231が動作するようにパルスモータ231を制御する。これにより、下糸切りハサミ52が閉じた状態から半開状態を経て開いた状態へ徐々に開いていく。その後、制御装置110がパルスモータ201を制御して上述したように上糸切りハサミ80を閉じるとともに、パルスモータ231を制御して下糸切りハサミ52を閉じることによって、上糸切断装置70及び下糸切断装置50は上述の初期状態に戻る。
【0095】
つまり、制御装置110は、ミシンモータ5及びY送りパルスモータ20を作動させずに、ステップS20では前記ステップS24と同様にパルスモータ201を制御し、ステップS21では前記ステップS25と同様にパルスモータ231を制御する。このため、針9、釜12及び布送り板14等が動いていない状態で上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が開くから、上糸切りハサミ80の開放速度及び下糸切りハサミ52の開放速度が適切であるかどうかを作業者にとって確認しやすい。
【0096】
次いで、制御装置110は、入力したデータやモードを変更して再設定するか否かを判断する(ステップS22)。作業者が再設定の旨を操作パネル190で入力した場合には、制御装置110の処理がステップS1に移行する。
【0097】
ステップS27〜S51における一旦停止モードについて説明する。
制御装置110は、調整モードにする旨が入力されたか否かを判断する(ステップS27)とともに、縫製モードにする旨が入力された否かを判断する(ステップS28)。そして、作業者が調整モードを選択した場合には、制御装置110がその旨を操作パネル190から入力し(ステップS27:Yse)、制御装置110の処理がステップS35に移行する。一方、作業者が縫製モードを選択した場合には、制御装置110がその旨を操作パネル190から入力し(ステップS28:Yes)、制御装置110の処理がステップS29に移行する。
【0098】
ステップS29において、制御装置110は、スタートスイッチ125が押下されたか否かを判断する。そして、作業者が布をベッド部2上にセッティングしスタートスイッチ125を押下した場合に、制御装置110の処理はステップS30へ移行する。
【0099】
ステップS30において、制御装置110が上記ステップS14と同様にミシンモータ5、Y送りパルスモータ20、針振り送りパルスモータ41及び基線送りパルスモータ40を制御することによって、ミシン本体1がボタン穴かがり縫いを布に施す。制御装置110が、パルスモータ201を作動させることで上糸切りハサミ80を開くとともに、パルスモータ231を作動させることで下糸切りハサミ52を開き、上糸切断装置70及び下糸切断装置50は上述の初期状態に戻る。ステップS30において制御装置110がパルスモータ201及びパルスモータ231を制御する処理については後述する。
【0100】
縫製終了後、上記ステップS15と同様に制御装置110がパルスモータ201を作動させることで、針9から布まで導かれた上糸が上糸切りハサミ80の閉じる動作によって切断される(ステップS31)。切断された上糸の端部は閉じた状態の上糸切りハサミ80によって保持される。次いで、上記ステップS16と同様に制御装置110がパルスモータ231を作動させることで、釜12から布まで導かれた下糸が下糸切りハサミ52の閉じる動作によって切断される(ステップS32)。切断された下糸の端部は閉じた状態の下糸切りハサミ52によって保持される。
【0101】
次いで、制御装置110は、入力したデータやモードを変更して再設定するか否かを判断する(ステップS33)。作業者が再設定する旨を操作パネル190で入力した場合には、制御装置110はその旨を操作パネル190から入力し(ステップS33:Yes)、制御装置110の処理がステップS1に移行する。一方、作業者が再設定する旨を入力しない場合には、制御装置110は、スタートスイッチ125が押下されたか否かを判断する(ステップS34)。そして、作業者が布をベッド部2上に再セッティングしスタートスイッチ125を押下した場合に、制御装置110の処理がステップS30へ移行し、ミシン本体1が再び縫製を行う。
【0102】
ステップS30の縫製処理について詳細に説明する。
まず、制御装置110がミシンモータ5を作動させるとともにY送りパルスモータ20を作動させ、これによりミシン本体1が針9の上下動によるボタン穴かがり縫いを始める(ステップS44)。次いで、制御装置110が、パルスモータ201を作動させる(ステップS45)とともに、パルスモータ231を作動させる(ステップS46)。これにより、パルスモータ201が初期状態の回転角度から逆転しだすとともに、パルスモータ231が初期状態の回転角度から逆転しだす。
【0103】
パルスモータ201の作動中においては、制御装置110が、ステップS5において算出された開放速度又はステップS4において入力された開放速度でパルスモータ201が動作するようにパルスモータ201を制御する。これにより、上糸切りハサミ80が縫製の進行に伴って図11の糸保持位置の閉じた状態から半開状態へ徐々に開いていく。同様に、パルスモータ231の作動中において、制御装置110が、ステップS8で算出された開放速度又はステップS7において入力された開放速度でパルスモータ231が動作するようにパルスモータ231を制御する。これにより、下糸切りハサミ52が縫製の進行に伴って図11の糸保持位置の閉じた状態から半開状態へ徐々に開いていく。
【0104】
その後、上糸切りハサミ80が完全に開く前に、制御装置110は、縫製の最中にパルスモータ201を一旦停止させる(ステップS47)。例えば、制御装置110は、図10(a)のA点においてパルスモータ201を停止させる。同様に、下糸切りハサミ52が完全に開く前に、制御装置110は、縫製の最中にパルスモータ231を一旦停止させる(ステップS48)。例えば、制御装置110は、図10(b)のB点においてパルスモータ231を停止させる。従って、針9が上下動して縫製が行われていても、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52の開放が図11の半開状態で停止する。上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が半開状態であるため、上糸及び下糸が縫い目に縫い込まれていく際には、上糸の端部及び下糸の端部を挟む力が弱く上糸及び下糸が縫い目へ引っ張られていき、上糸の端部が上糸切りハサミ80から引き抜かれるとともに下糸の端部が下糸切りハサミ52から引き抜かれる。上糸の端部及び下糸の端部が引き抜かれることによって、縫い目から端部までの間において上糸及び下糸に張力が作用していないため、縫い目が上糸及び下糸によって盛り上がることがなくなり、美観性の良い縫い目が形成される。また、縫製開始時点では、上糸の端部及び下糸の端部がそれぞれ上糸切りハサミ80と下糸切りハサミ52によって保持されているから、縫製開始時において上糸が針9から抜けてしまったり、上糸と下糸が絡まずに縫製不良となったりすることが防止される。縫製中に上糸の端部及び下糸の端部を開放したものとしても縫い目が形成されているから、上糸が針9から抜けてしまったり縫製不良となったりすることはない。
【0105】
上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52の開放が半開状態で停止してから所定時間経過後に、制御装置110が、パルスモータ201を逆転方向へ再び作動させる(ステップS49)とともに、パルスモータ231を逆転方向へ作動させる(ステップS250)。これにより、パルスモータ201が、ステップS5において算出された開放速度又はステップS4において入力された開放速度で一旦停止した状態から逆転するとともに、パルスモータ231が、ステップS8で算出された開放速度又はステップS7において入力された開放速度で一旦停止した状態から逆転する。これにより、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が図11の半開状態から開いた状態へ開放する。
【0106】
そして、制御装置110は、図10(a)に示すようにパルスモータ201が逆転して上糸切りハサミ80が完全に開いた後に(図11の開いた状態)、パルスモータ201の回転角度を初期状態へ正転させ、パルスモータ201を停止させる。また、制御装置110は、図10(b)に示すようにパルスモータ231が逆転して下糸切りハサミ52が完全に開いた後に、パルスモータ231の回転角度を初期状態へ正転させ、パルスモータ231を停止させる。これにより、上糸切断装置70及び下糸切断装置50は上述の初期状態に戻る。
【0107】
そして、縫製が終了したら、制御装置110がミシンモータ5を停止させるとともにY送りパルスモータ20を停止させる(ステップS51)。なお、ステップS49及びステップS50の前にステップS51の処理が行われ、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が半開状態であるときに制御装置110がミシンモータ5を停止させても良い。
【0108】
ステップS35〜ステップS43の調整モードについて説明する。
ステップS35において、制御装置110は、スタートスイッチ125が押下されたか否かを判断する。そして、作業者がスタートスイッチ125を押下した場合に、制御装置110が、パルスモータ201を作動させる(ステップS36)が、ステップS36ではミシンモータ5及びY送りパルスモータ20を作動させない。ステップS36のパルスモータ201の作動中においては、制御装置110が、ステップS5において算出された開放速度又はステップS4において入力された開放速度でパルスモータ201が動作するようにパルスモータ201を制御する。これにより、上糸切りハサミ80が閉じた状態から開いた状態へ徐々に開いていく。次いで、上糸切りハサミ80が完全に開く前に、上記ステップS47と同様に制御装置110がパルスモータ201を一旦停止させる(ステップS37)と、上糸切りハサミ80が半開状態で停止する。上糸切りハサミ80の開放が半開状態で停止してから所定時間経過後に、上記ステップS49と同様に制御装置110がパルスモータ201を再び作動させる(ステップS38)と、上糸切りハサミ80が半開状態から開いた状態へ開放する。
【0109】
次いで、制御装置110が、パルスモータ231を作動させる(ステップS39)が、ステップS39ではミシンモータ5及びY送りパルスモータ20を作動させない。ステップS39のパルスモータ201の作動中においては、制御装置110が、ステップS8において算出された開放速度又はステップS7において入力された開放速度でパルスモータ231が動作するようにパルスモータ231を制御する。これにより、下糸切りハサミ52が閉じた状態から開いた状態へ徐々に開いていく。次いで、下糸切りハサミ52が完全に開く前に、上記ステップS48と同様に制御装置110がパルスモータ231を一旦停止させる(ステップS40)と、下糸切りハサミ52が半開状態で停止する。下糸切りハサミ52の開放が半開状態で停止してから所定時間経過後に、上記ステップS50と同様に制御装置110がパルスモータ231を再び作動させる(ステップS41)と、下糸切りハサミ52が半開状態から開いた状態へ開放する。なお、ステップS36〜ステップS38とステップS39〜ステップS41を並行して行っても良い。その後、制御装置110がパルスモータ201を制御して上述したように上糸切りハサミ80を閉じるとともに、パルスモータ231を制御して下糸切りハサミ52を閉じる(ステップS42)。
【0110】
上述のステップS36〜ステップS41では針9、釜12及び布送り板14等が動いていない状態で上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が開くから、上糸切りハサミ80の開放速度及び下糸切りハサミ52の開放速度が適切であるかどうかを作業者にとって確認しやすい。
【0111】
次いで、制御装置110は、入力したデータやモードを変更して再設定するか否かを判断する(ステップS43)。作業者が再設定する旨を操作パネル190で入力した場合には、制御装置110の処理がステップS1に移行する。
【0112】
以上のように本実施形態によれば、縫製の種類、糸の種類、糸の太さ等といった様々な条件に応じて、一旦停止モードと無段階停止モードの何れか一方に選択することができ(ステップS9、ステップS10)、一旦停止モードが選択されると、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が開いて半開状態となった状態で停止し、一方、無段階開放モードが選択されると、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が縫製の進行に依存して徐々に開いていく。従って、縫い目が盛り上がることをどのような条件でも防ぐことができる。
【0113】
また、ステップS4において上糸切りハサミ80の開放速度を縫製の種類、糸の種類、糸の太さ等といった様々な条件に応じて入力することができ、ステップS7において下糸切りハサミ52の開放速度を縫製の種類、糸の種類、糸の太さ等といった様々な条件に応じて入力することができ、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52はそれぞれの開放速度で開く。従って、縫い目が盛り上がることをどのような条件でも防ぐことができる。
【0114】
また、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52の開放速度を入力せずとも、EEPROM128に記憶されたデータテーブルからミシンモータ5の縫製速度に対応した開放速度が求められて(ステップS5、ステップS8)、その速度で上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が開放する。従って、縫製速度が変化したものとしても、最適な開放速度で上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が開き、どのような縫製速度でも縫い目が盛り上がることがなくなる。
【0115】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記実施形態では糸切りハサミ52,80それぞれを駆動するパルスモータ201,231の制御に本発明を適用したが、糸を切断せずに単に糸を保持する糸保持機構を駆動するモータといった駆動機構の制御に本発明を適用しても良い。この場合、糸保持機構は糸の端部を閉じた状態で保持し、開くことで糸の端部を放し、駆動機構が切断後に糸保持機構を閉じるように駆動し、縫製開始後に糸保持機構を開くように駆動する。
また、縫製時の縫製速度は、ステップS2おいてボタン穴かがり縫いに関するデータから制御装置110によって算出されたが、作業者が操作パネル190を通じて入力するものとしても良い。
【0116】
また、上記ステップS24,S25において、制御装置110が図17に示すようにパルス信号を出力することによってパルスモータ201,231を駆動し、糸切りハサミ52,80を開放しても良い。つまり、制御装置110は、ミシンモータ5を作動させてから所定の長さ(針数)を縫製した後または所定時間経過した後、パルスモータドライバ117,118それぞれを介してパルスモータ201,231に8パルス分だけ出力パルスを出力する。これにより、パルスモータ201,231がそれぞれ作動して、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が半開状態へ開く。その後、制御装置110は、前記所定時間より短い時間毎に(例えば、50msec毎に)3パルス分だけ出力パルスをパルスモータ201,231へ出力する。これにより、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が半開状態から開いた状態へ徐々に開いていく。上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が半開状態から徐々に開いていく時に、上糸、下糸がそれぞれ上糸切りハサミ80、下糸切りハサミ52から引き抜かれていく。図17においては、制御装置110が3パルス分の出力を4回行っている。そして、上糸、下糸が引き抜かれたら、残りのパルス分(図17では、5パルス分)だけ出力パルスをパルスモータ201,231へ出力することにより、上糸切りハサミ80及び下糸切りハサミ52が完全に開いた状態になる。図17に示すような制御でも、糸切りハサミ52,80が半開状態から徐々に開くから、縫製が進行すると糸が挟まれる力が弱くなり、下糸、上糸がそれぞれ糸切りハサミ52,80から引き抜かれていく。そのため、下糸、上糸が縫い目に縫い込まれても、縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。
【0117】
また、制御装置110がステップS20,S21においても図17に示すような制御を行っても良いが、この場合にはミシンモータ5を作動させないので、ミシンモータ5を作動させてから所定時間経過後にパルスモータ201,231へパルスを出力するのではなく、スタートスイッチ125が押されてから所定時間経過後にパルスモータ201,231へパルスを出力する。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、糸保持手段が徐々に開くから、縫製が進行すると糸が挟まれる力が弱くなり、糸が糸保持手段から引き抜かれていく。そのため、縫製用の糸が縫い目に縫い込まれても、縫い目が盛り上がることが全体的になくなる。また、糸保持手段が徐々に開くことによって縫い始めの糸をできる限り長く保持することができるから、縫い始めの下糸が布の上側に引き出されることがなくなる。そのため、美観性の良い縫い目が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたミシンの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のミシンに備わるボタン穴かがり縫いミシン本体の外観を示す斜視図である。
【図3】図1のボタン穴かがり縫いミシン本体に備わる布送り機構と針の昇降機構を主に示す透視図である。
【図4】図1のボタン穴かがりミシン本体に備わる上糸切断装置を示す平面図である。
【図5】図4の上糸切断装置を示す分解斜視図である。
【図6】図1のボタン穴かがりミシン本体に備わる下糸切断装置を示す底面図である。
【図7】図6の下糸切断装置を示す分解斜視図である。
【図8】図1のミシン本体に備わる制御装置を示すブロック図である。
【図9】EEPROMに記憶されたデータテーブルの一例を示した図面である。
【図10】上糸切断装置及び下糸切断装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】上糸切断装置及び下糸切断装置の動作の推移を説明するための図面である。
【図12】制御装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図13】制御装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図14】制御装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図15】制御装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図16】制御装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図17】制御装置により出力されるパルス信号の回数を示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 ボタン穴かがり縫いミシン本体(ミシン本体)
5 ミシンモータ(針駆動手段)
9 針
12 釜
50 下糸切断装置(ミシンの糸保持装置)
52 下糸切りハサミ(糸保持手段、下糸保持手段)
70 上糸切断装置(ミシンの糸保持装置)
80 上糸切りハサミ(糸保持手段、上糸保持手段)
100 ミシン
110 制御装置
201 パルスモータ(糸保持駆動手段、上糸保持駆動手段)
231 パルスモータ(糸保持駆動手段、下糸保持駆動手段)
128 EEPROM(記憶手段)

Claims (5)

  1. 針を上下に駆動する針駆動手段と、
    開閉動作によって縫製用の糸を保持又は解除するための糸保持手段として糸切りハサミと、
    前記糸保持手段を開閉動作させる糸保持駆動手段としてのパルスモータと、を備えたミシンの糸保持装置において、
    前記糸保持手段及び糸保持駆動手段を上糸と下糸のそれぞれについて備え、
    前記針駆動手段により縫製を開始した後に、
    縫い始めの糸で縫い目が盛り上がることがないように、前記糸保持手段としての糸切りハサミが、閉じた状態から開いた状態へ徐々に開くように作動させ、
    次に、縫製の進行に伴い糸が引き抜かれるように、前記糸保持手段としての糸切りハサミを半開状態で停止させ、
    その後、前記糸保持手段としての糸切りハサミを半開状態から開いた状態に開くように、前記糸保持駆動手段としてのパルスモータを制御する制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記針駆動手段を作動させない場合にも、前記各糸保持駆動手段としてのパルスモータを個別に制御して糸切りハサミによる前記開き動作を行うことを可能とすることを特徴とするミシンの糸保持装置。
  2. 前記制御装置が、前記糸保持手段が開く開放速度を入力する入力処理を行い、
    前記入力処理において入力された開放速度で前記糸保持手段が半開状態へ開くように前記制御装置が前記糸保持駆動手段を制御することを特徴とする請求項1記載のミシンの糸保持装置。
  3. 縫製中の前記針駆動手段の縫製速度に関する項目と、前記糸保持手段が開く開放速度に関する項目とが対応づけられてなる縫製速度−開放速度情報が記憶手段に記憶され、
    前記制御装置が、前記針駆動手段の縫製速度に対応する開放速度を前記記憶手段に記憶された縫製速度−開放速度情報から求める速度算出処理を行い、
    前記速度算出処理で求められた開放速度で前記糸保持手段が半開状態へ開くように前記制御装置が前記糸保持駆動手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの糸保持装置。
  4. 前記記憶手段がミシン本体に設けられており、
    前記制御装置が前記ミシン本体に対して組み付け可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のミシンの糸保持装置。
  5. 前記糸保持手段は、開放した後に閉じることによって前記縫製用の糸を切断し、前記糸保持手段が閉じた状態で切断した糸を保持するハサミであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のミシンの糸保持装置。
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