JP3780067B2 - ボタン穴かがりミシンの糸切り制御装置 - Google Patents

ボタン穴かがりミシンの糸切り制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボタン穴かがりミシンの糸切り制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボタン穴かがりミシンには、そのボタン穴かがり縫い目形成後に布と針とに連なる針糸を切断する針糸切断装置も備えられている(例えば、特開平6−343785号公報参照)。
【0003】
図32は上糸はさみ及びその駆動機構を示すもので、81はアーム、82は回転軸、83はローリングジョイント、84はレバー、85ははさみ取付板、86は固定刃、87は可動刃、88は段ねじ、89は糸切りばね(引張ばね)、90は糸保持ばねである。この糸切り機構自体は周知の構成である。このレバー84には、はさみ取付板85が一体的に備えられており、このはさみ取付板85の先端部に、上糸を切断して保持する上糸はさみを構成する固定刃86及び可動刃87及び糸保持ばね90が備えられている。
即ち、はさみ取付板85の先端部に固定刃86がねじ止めされていて、この固定刃86の上面に、可動刃87が段ねじ88により回動自在に組み付けられており、固定刃86上に設けた小突起86aが、可動刃87に形成した円弧状穴87aに臨んでいる。また、可動刃87の上面に糸保持ばね90が段ねじ88により組付けられており、前記小突起86aが糸保持ばね90に形成した円形状の穴90aに嵌合し、糸保持ばね90が回転不能になっている。
固定刃86は、先端部に刃部86bを有していて、可動刃87も、刃部86b上に重なり合う刃部87bを先端部に有している。また、可動刃87は、円弧状穴87aの一方の延長部側にカム係合部87cを有している。
なお、はさみ取付板85には、糸切りばね89が接続されている。
【0004】
この周知の糸切り構成では、ボタン穴かがり縫目形成完了時には上糸はさみが針の側方に位置している。押え上げ動作に連動して図示しないラッチ機構を解除し、糸切りばね89によりレバー84を垂直軸線を中心に回動させることにより上糸はさみが針の上下動経路に交差するよう移動し、これにより可動刃87のカム係合部87cがはさみ閉じ用カム91(図33参照)に当接され、固定刃86と可動刃87が閉じて糸切りが行われ、切断された上糸の針に連なる側の切断端は糸保持バネ90と可動刃87の間に挟持される。
その後、ミシン起動操作により図示しない遮断フレームの作動に連動して図示しないリンクでアーム81を反時計回り方向(図示矢印XCCW方向)に回動して、図33に示すように、糸切り手段である上糸はさみ(固定刃86及び可動刃87及び糸保持バネ90)を、前記送り機構21の前記布保持腕24側に設けたはさみ閉じ用カム91に沿って、寸法Y1だけ後退させ(図示仮想線参照)、次に、前記送り機構21の前記布保持腕24側に設けた糸保持解放作動手段としてのはさみ開き用カム92が布保持腕24とともに寸法Y2だけ進み、可動刃87のカム係合部87cに係合作用して、上糸はさみの可動刃87が開くものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の針糸切断装置では、このY2までの移動は送り機構によるため、ミシンが起動し送りが開始されてから上糸はさみが糸切断端を開放するまでに側縫い部の縫目が数針から10針近く形成されてしまう。この間の縫目形成は、この上糸端が側縫い部に縫い込まれるように形成されるが、糸端が挟持されたまま縫われるため、糸端が強く張られ、側縫い部の縫い品質が低下する。
即ち、切断後の針糸が把持されている為に張力が係りすぎるので、ボタン穴かがり縫い目における平行部の縫い始めの山立ちが良好に得られなくなってしまうこともある。
また、前記山立ちを良くするために上糸端を早く解放させると縫い始めの縫目形成ができなくなったり、或いは挟持した上糸端が側縫い部に縫い込まれなくなり、縫い品質が低下する等の欠点を生じた。
【0006】
本発明の目的は、ボタン穴かがりミシンにおいて、ボタン穴かがり縫い目における平行部の縫い始めの山立ちが良好に得られるようにした糸切り制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決すべく請求項1に記載の発明は、
布保持板との間に布を挟む枠状の布クランプ部材の前記枠内にボタン穴かがり縫い目を形成し、
そのボタン穴かがり縫い目形成後、糸切り手段が移動することによって、布と針とに連なる針糸を前記布クランプ部材の上方において切断し、当該切断した糸の針に連なる側の糸端を保持し、ボタン穴かがり縫い目形成開始時に糸切り手段が移動することによって、当該保持した糸を解放するボタン穴かがりミシンにおいて、
前記糸切り手段を移動するパルスモータと、
前記ボタン穴かがり縫い目形成開始時に、前記糸切り手段を前記パルスモータにより前記布クランプ部材に同期して移動すると共に、前記糸切り手段が保持した糸端を解放する位置を変更可能に前記パルスモータの駆動を制御する制御手段と、
を備えて糸切り制御装置を構成したこと、を特徴としている。
【0008】
ここで、糸切り手段としては、例えば、固定刃及び可動刃からなるものが挙げられるが、他の構成によるものでも良い。
移動手段としては、例えば、パルスモータ、アーム及び取付板によるものが挙げられるが、他の構成によるものでも良い。
作動手段としては、例えば、はさみ開き用カムによるものが挙げられるが、他の構成によるものでも良い。
【0009】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、ボタン穴かがり縫い目形成後、糸切り手段が移動することによって、布と針とに連なる針糸を布クランプ部材の上方において切断し、当該切断した糸の針に連なる側の糸端を保持し、ボタン穴かがり縫い目形成開始時に糸切り手段が移動することによって、当該保持した糸を解放するボタン穴かがりミシンにおいて、ボタン穴かがり縫い目形成開始時に、糸切り手段をパルスモータにより布クランプ部材に同期して移動すると共に、糸切り手段が保持した糸端を解放する位置を変更可能にパルスモータの駆動を制御する糸切り制御装置なので、布送りと同じ方向に糸切り手段を移動させて、その糸切り手段により挟んで針糸を保持した状態を継続できるとともに、針糸の張りを弱くし、弛ませられることから、ボタン穴かがり縫い目における平行部の縫い始め時に下糸が浮いてしまうことが無くなり、山立ちが良くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用したボタン穴かがりミシンの実施の各形態例を図1から図120に基づいて説明する。
始めに、装置の構成例について順次説明してから、制御方式について説明していく。
【0011】
<第1の実施の形態例>
先ず、図1は本発明を適用した一例としてのボタン穴かがりミシンの外観を示す斜視図である。また、図2は第1の実施の形態例を示すもので、内部機構の概略斜視図、図3は図2の反対側から見た状態の内部機構の斜視図である。
これらの図1から図3において、1はミシンフレーム、5はミシンモータ、6は上軸、7はクランク機構、8は針棒、9は針、10は立軸、11は下軸、12は釜、13はボビンケース、14は布保持板、15は布押え(枠状クランプ体)、16は布切りメス(上下動メス)、17は天秤、18は針棒揺動台、19は糸調子、20は送りモータ(電気的駆動手段:パルスモータ)、21は送り機構(連結手段)、30は布切りメス用エアーシリンダユニット、31はメス取付板、40は基線モータ、41は振り幅モータ、42は針振り機構、60はボイスコイルモータである。
図示のように、ミシンフレーム1は、上面に平坦なベッド面を有するベッド2と、このベッド2上の一端部側に起立する縦胴部3と、この縦胴部3上からベッド2とほぼ平行に沿って伸びるアーム4とから構成されて、側面視でほぼコ字状を成している。
【0012】
以上のミシンフレーム1において、その縦胴部3側の端部にミシンモータ5が備えられ、このミシンモータ5の駆動により回転する上軸6がアーム4内に配設され、この上軸6の先端部にはクランク機構7を介して針棒8が連結されており、この針棒8の下部に針9が取り付けられている。
また、縦胴部3内に立軸10が配設されて、ベッド2内に下軸11が配設されており、この下軸11の先端部の釜12にボビンケース13が装着されている。なお、立軸10は、その上端部が上軸6とベベルギヤ6a,10aを介して連結されて、下端部が下軸11とベベルギヤ10b,11aを介して連結されている。
さらに、ベッド2上には、移動可能な布保持板14が配設されて、この布保持板14の上方には、枠状クランプ体による布押え15が配設されるとともに、上下動メスである布切りメス16が配設されている。なお、前記クランク機構7には、アーム4の先端部側面から外部に突出する天秤17が組み込まれている。
また、針棒8は、針棒揺動台18に上下摺動自在に組み込まれている。この針棒揺動台18は、上端部を上軸6に平行な揺動支点軸18aを支点として揺動自在となっている。なお、アーム4の先端部側面の下部に糸調子19が備えられており、この糸調子19は、後述するように、ボイスコイルモータ60により糸張力が可変制御されるものとなっている。
【0013】
そして、縦胴部3内には、布保持板14及び布押え15用の電気的駆動手段である送りモータ20が配設されて、この送りモータ20は軸線を垂直方向としたパルスモータであって、その出力軸から布保持板14及び布押え15にかけて送り機構21が構成されている。
また、アーム4の先端部上には、メス動作用の電気的駆動手段としての布切りメス用エアーシリンダユニット30が設置されて、この布切りメス用エアーシリンダユニット30の駆動により昇降動作するメス取付板31が、アーム4内に垂直に配設されている。このアーム4から下方に突出するメス取付板31の下端部に、布切りメス16が止めねじ32によって取り付けられている。
なお、図13に示されるように、メス取付板31には、上昇復帰用のリターンスプリング33が接続されており、また、メス取付板31の側方には、メス取付板31の被検知部31aを検出する近接式の布切りメス上下位置検出センサ34a、34bが配設されている。
さらに、縦胴部3内には、針棒揺動台18の基線位置を決めるの基線モータ40及び振り幅を決める振り幅モータ41が配設されて、これら基線モータ40及び振り幅モータ41は何れも軸線を上軸6と平行で水平方向としたパルスモータであって、その各々の出力軸から針棒揺動台18にかけて針振り機構42が構成されている。
【0014】
先ず、送り機構21は、図2に示すように、軸線を水平方向とした送り軸22、布保持板14用のブラケット23、布押え15用の布保持腕24等から構成されている。こうして、送りモータ20から布保持腕24への連結手段が構成されている。
即ち、縦胴部3内において、送りモータ20上の出力軸に設けたピニオン20aに噛み合うラック22aを有する送り軸22を組み込んで、縦胴部3から突出してアーム4の下方に位置する送り軸22中間部分に、布保持板14を下端部に連結支持するブラケット23を上端部で固定している。このブラケット23の下部側面に、先端部に布押え15を連結支持する取付片25を備えた布保持腕24の基端部を、ピン24aを支点として上下揺動自在に結合している。
なお、図示しないが、布保持腕24を上昇動作するアクチュエータ(エアーシリンダユニットまたはソレノイド等)及び下降復帰させるリターンスプリング等が設けられている。ただし、布保持腕24の上下動はペダル操作によってもよい。
また、送り軸22の位置に基づいてメス先端位置に対応した原点位置を検出する近接式の送り原点検出センサ26が設けられている。
以上の送り機構21によって、布保持板14及び布押え15は、パルスモータによる送りモータ20の駆動でピニオン20a及びラック22aの噛み合いにより前進後退動作する送り軸22からブラケット23、布保持腕24を各々介して一体的に、ベッド2上を移動する。
以上が布送り用の電気的移動手段である。
【0015】
このように、ボタン穴かがりミシンにおいて、送り機構21を介して布保持腕24を駆動するパルスモータによる送りモータ20を、ミシンフレーム1の縦胴部3内に収納したことにより、縦胴部3内のスペースを有効に利用できるとともに、ミシンフレーム1に外付けする部品を少なくして、ミシンフレーム1の外観をスッキリしたものにできる。
しかも、布保持腕24の送りモータ20が縦胴部3内に収納状態にあるため、遮音効果が得られるとともに、布の取り扱い性の面で良好となり、ミシンフレームにモータが外付けされた場合のような布の汚れの問題も解消できる。
また、軸線が垂直方向のパルスモータ(送りモータ)20の出力軸のピニオン20aと軸線が水平方向の送り軸22のラック22aとを噛み合わせて、その送り軸22に布保持腕24を固定したため、垂直置きのパルスモータ(送りモータ)20の駆動によりラック20a、ピニオン22aを介し送り軸22を水平方向に直線的に移動させて、布保持腕24を縦胴部3に対し接離方向に移動させられる。
なお、パルスモータによる基線モータ40及び振り幅モータ41も、ともに軸線をベッド2の上面と平行にして縦胴部3内に収納したため、送りモータ20の場合と同様に、縦胴部3内のスペースを有効に利用できるとともに、ミシンフレーム1に外付けする部品を少なくして、ミシンフレーム1の外観をスッキリしたものにできる。
【0016】
次に、針振り機構42は、図3から図5に示すように、基線用アーム43、基線用レバー44、連結リンク45、針振りカムレバー46、針振りレバー47、連結軸48、針振り腕49、針振りカム54、振り幅用アーム55、振り幅用レバー56等から構成されている。
即ち、縦胴部3内において、水平に機枠に支持された支軸43aを中間部の支点とした基線用アーム43の下端部に設けたセクタギヤ43bを、基線モータ40の出力軸に設けたピニオン40aに噛み合わせ、基線用アーム43上部の二股部内に、同じく二股状の基線用レバー44の端部を水平ピン44aで揺動自在に連結している。この基線用レバー44の二股部内において、連結リンク45の一端部を水平ピン44bで揺動自在に連結し、この連結リンク45の他端部に水平ピン45aで針振りカムレバー46を揺動自在に連結している。
さらに、この針振りカムレバー46の下端部に水平ピン46aで針振りレバー47の先端部を揺動自在に連結している。この針振りレバー47の基端部は、アーム4内に上軸6に平行に配設した連結軸48の基端部に固定されている。この連結軸48の先端部には、針振り腕49の基端部が固定されており、この針振り腕49の先端部に針棒揺動台18が図示しない角ゴマ等を介して揺動自在に連結されている。
【0017】
ここで、針振りカムレバー46は、上部がコ字状に開放されたカム係合凹部46bとなっていて、このカム係合凹部46bに偏心カムによる針振りカム54が係合している。
即ち、この針振りカム54は、上軸6から減速ギヤ51,52を介して減速比1/2で回転が伝達される副軸53に備えられている。
さらに、縦胴部3内において、水平に機枠に支持された支軸55aを中間部の支点とした振り幅用アーム55の下端部に設けたセクタギヤ55bを、振り幅モータ41上の出力軸に設けたピニオン41aに噛み合わせ、振り幅用アーム55の上端部に、振り幅用レバー56の一端部を水平ピン56aで揺動自在に連結している。この振り幅用レバー56の他端部は、前記水平ピン44bを介して前記連結リンク45に揺動自在に連結されている。
なお、基線用アーム43のセクタギヤ43bの側方に、基線位置検出手段としての磁気センサによる基線原点検出センサ57が配設されており、セクタギヤ43bの一端部側に基線検出用の磁石43cが設けられている。同様に、振り幅用アーム55のセクタギヤ55bの近傍にも、針振り幅検出手段としての磁気センサによる振り幅原点検出センサ58が配設されており、セクタギヤ55bの一端部側に振り幅検出用の磁石55cが設けられている。
また、副軸53側の減速ギヤ52の一側面に、磁気センサによる針振り左右位置検出センサ59(基線側・針振り側検出手段)が配設されており、減速ギヤ52に左右位置検出用の磁石52aが設けられている。
ところで、前記減速ギヤ52は、主軸6上の減速ギヤ51の2回転に対して1回転、即ち、針9が2回上下動するのに対して1回転する。前記針振り左右位置検出センサ59は、針9が上停止位置に位置し、かつ、基線側に振られている回転位相において、磁石52aに対向している。
【0018】
以上の針振り機構42によって、針棒揺動台18は、駆動手段としてのパルスモータである基線モータ40及び振り幅モータ41の各々の駆動で、基線用アーム43から基線用レバー44を経て、または、振り幅用アーム55から振り幅用レバー56を経て、以降は連結リンク45、針振りカムレバー46、針振りレバー47、連結軸48、針振り腕49及び針振りカム54を介して揺動がそれぞれ伝達されることにより、上端部の揺動支点軸18aを支点として基線の変更と振り幅の変更が行われる。
即ち、図4にも示し、図5に模式的に示したように、基線については、パルスモータによる基線モータ40の駆動で基線用アーム43、基線用レバー44、連結リンク45、針振りカムレバー46、針振りレバー47、連結軸48、針振り腕49及び針振りカム54を介して揺動が伝達されて、上端部の揺動支点軸18aを支点として針棒揺動台18が揺動することによって、基線が変更される。これが基線変更機構である。
また、振り幅については、パルスモータによる振り幅モータ41の駆動で振り幅用アーム55、振り幅用レバー56、連結リンク45、針振りカムレバー46、針振りレバー47、連結軸48、針振り腕49及び針振りカム54を介して揺動が伝達されて、上端部の揺動支点軸18aを支点として針棒揺動台18が揺動することによって、振り幅が変更される。これが針振り幅変更機構である。
【0019】
ここで、針振り機構42は、基線位置を基準として振り幅を左側へ振る(増大する)もので、図6(a)に示すように、針振りカム54のカム頂部が基線側(図示右側)にある時が、基線用アーム43の位置により針落ちが決まるものとなっている。
また、図6(b)に示すように、針振りカム54のカム頂部がカム振り幅側(図示左側)にある時が、基線位置に対して振り幅量により針落ちが決まるものとなっている。
そして、基線位置の移動は、図7に示すように、基線用アーム43の回動により行われる。
また、振り幅の変更は、図8に示すように、振り幅用アーム55の回動により基線用レバー44を介して行われる。
そして、縫製の際は、ミシンモータ5の駆動により回転する上軸6から減速ギヤ51,52を介して回転が伝達される副軸53に備えた針振りカム54が減速比1/2で回転し、この針振りカム54がカム係合凹部46bに係合した針振りカムレバー46が往復揺動を行い、その針振りカムレバー46の往復運動が、針振りレバー47、連結軸48、針振り腕49及び針振りカム54を介して針棒揺動台18に伝達される。
この結果、前述した基線及び振り幅の変更に基づいて、上端部の揺動支点軸18aを支点として針棒揺動台18が往復揺動して、ボタン穴かがりの平行部(側縫い部)及び閂止め部(閂止め縫い部)の縫い目が形成される。
【0020】
そして、このような基線調節腕として機能する基線用アーム43の角度に対応して基線を移動させる機構においては、基線用アーム43が一軸を中心とした揺動運動をするため、基線モータ(パルスモータ)40の出力パルス数の発生に基づく基線用アーム43の角度に対応して、図10の実線に示されるような、基線移動量となってしまう。
また、同じく、パルスモータによる振り幅モータ41の出力パルス数の発生に基づいて振り幅調節腕として機能する振り幅用アーム55の角度に対応して、図11の実線に示されるような、針振り量となってしまう。
以上の針振り機構42において、図9に示される基線モータ40に対する出力パルス数k1,k2,…,kn-1,knは、理想線(図10の破線)に近づくように補正されたパルス数となり、同じく振り幅モータ41に対する出力パルス数h1,h2,…,hn-1,hnは、理想線(図10の破線)に近づくように補正されたパルス数となる。
【0021】
次に、図12(a)はボタン穴かがり縫い部分の名称を示したもので、図示のように、ボタン穴の左右が左平行部(左側縫い部)と右平行部(右側縫い部)であって、ボタン穴の前後が第1閂止め部(後閂止め縫い部)と第2閂止め部(前閂止め縫い部)である。
このようなボタン穴かがり縫いは、以上の構成によるボタン穴かがりミシンによって、図12(b)に示すように、第2閂止め部(前閂止め縫い部)の左側から縫い始めて左平行部(左側縫い部)、第1閂止め部(後閂止め縫い部)、右平行部(右側縫い部)及び第2閂止め部(前閂止め縫い部)に戻る右回り縫いと、図12(c)に示すように、第2閂止め部(前閂止め縫い部)の右側から縫い始めて右平行部(右側縫い部)、第1閂止め部(後閂止め縫い部)、左平行部(左側縫い部)及び第2閂止め部(前閂止め縫い部)に戻る左回り縫いとが選択的に可能である。
【0022】
また、この実施の形態例のボタン穴かがりミシンの場合、図13に示した布切りメス用エアーシリンダユニット30の駆動により布切りメス16を、ボタン穴かがり縫製中に複数回上下動させることによって、ボタン穴を形成するものとなっている。
即ち、例えば、図14(a)に示すように、布切りメス16の一回目の下降動作によって布に一旦切り込みを入れた後、図14(b)に示すように、矢印方向に布送りを行って、図14(c)に示すように、再び布切りメス16を下降動作させることで、所定長さのボタン穴を形成するものである。
ボタン穴かがり縫い目の側縫い部の長さよりも刃の長さが短い布切りメス16の複数回の上下動によって、側縫い部の長さに対応した長さのボタン穴を形成するため、1種類の布切りメス16で任意の長さのボタン穴の形成が行える。
従って、ボタン穴の長さの変更によっても布切りメスの交換の必要が無く、ボタン穴の長さに応じた種類分の布切りメスを用意する必要が無い。
【0023】
ところで、図15はボイスコイルモータ60により張力可変制御される糸調子19の構成を示すもので、組付状態の部分断面図である。
即ち、優れたリニア特性を発揮するボイスコイルモータ60のプランジャ61が、中間部のピン62aを支点とするレバー62の一端部に当接して、そのレバー62の他端部に当接する動作軸63上に、軸受ケース64及び中空軸65を組み付け、その中空軸65上に一対の糸調子皿66,67をスライド自在に組み付けて、糸調子19を構成している。
このような糸調子19の構成としたので、ボイスコイルモータ60のプランジャ61の押圧力(推力)に応じ、中間部のピン62aを支点とするレバー62を介して、動作軸63により中空軸65上の一対の糸調子皿66,67にかかる押圧力を可変として、上糸に付与する張力を可変とすることができる。
【0024】
詳細には、アーム4に備えられる糸調子19は、対をなす内皿66及び外皿67からなるもので、この実施の形態例では、中空軸65上に、その先端部のフランジ側に外皿による固定皿67を組み付けて、この固定皿67と対向する内皿である可動皿66をスライド自在に組み付けている。
そして、中空軸65の内部には、動作軸63がスライド自在に挿入されていて、この動作軸63の先端部により押される当接片66aが設けられており、この当接片66aは、可動皿66と一体のものである。
なお、この実施の形態例とは逆に、内皿66を固定皿として、外皿67を可動皿としてもよく、その場合には、当接片を可動皿となる外皿67と一体に設けて、その当接片に動作軸63の先端部を係合等により接続することで、動作軸63により当接片が引かれるようにしておく。
以上の糸調子19の中空軸65は、軸受ケース64に回転自在に軸受されており、軸受ケース64はアーム4組み込み穴に填め込んで固定されている。
【0025】
そして、糸調子19の中空軸65に内部に挿入される動作軸63は、低イナーシャモータであるリニア直流モータとしてのボイスコイルモータ60により駆動される。
このボイスコイルモータ60は、磁気回路を構成する円筒型ヨーク601、その端部内周に設けた永久磁石による外極602、前記円筒形ヨーク601の中心部に一体的に設けた鉄心による中央極603と、この中央極603と外極602との間に配設される円筒状の可動コイル604とからなるものである。
また、可動コイル604は、補償銅管605の外周にコイル606を設けたもので、その先端部のコイルヘッドの中央部にプランジャ61を一体的に備えている。
以上のボイスコイルモータ60は、磁気回路の中央極(鉄心)603の外周におかれた外極(永久磁石)602から可動コイル604に磁界が作用しており、この磁界中にある可動コイル(コイル606)604に制御電流供給回路(CC)から供給される制御電流によって、可動コイル604に推力(または吸引力)が生じ、コイルヘッドに備えたプランジャ61が前進(または後退)し、レバー62を介して動作軸63が中空軸65内を前進(または後退)する。
【0026】
以上のボイスコイルモータ60は、インダクタンスが小さくて応答が早いという特性、移動体が可動コイル604だけなので、慣性が小さくて応答が早いという特性を具備する他、可動コイル604の吸引力(推力)が距離に関係なく一定で、さらに、電流に比例した線形の吸引力(推力)が取り出せるといった特性を具備するものである。
このような特性を具備するボイスコイルモータ60なので、その可動コイル604と一体のプランジャ61からレバー62を介して行われる動作軸63による中空軸65内の前進(または後退)動作によって、当接片66aを介して可動皿66が軸線方向に押圧し、固定皿67との間にかかる押圧力を変えて、糸調子19を通す糸に対する把持力を変えることができる。即ち、上糸(針糸)に対するアクティブテンション機能を具備したものとなっている。
【0027】
このように、糸調子19はボイスコイルモータ60によるアクティブテンション機能を有しているため、例えば、図16(a)に示すように、縫い始めの1針目から数針目までは、ボイスコイルモータ60の制御で糸調子19により上糸に付与する張力を0に近くして、上糸と下糸の結節を確実なものとして、縫い始め部を上下糸のバランスのとれたウィップ縫いにし、縫目結節後に上糸が抜けてしまう花咲き現象を防止できる。
その後、糸調子19により上糸に付与する張力をボイスコイルモータ60の制御で適切に調整しながら、左平行部(左側縫い部)でパール縫い(山立て縫)、第1閂止め部(後閂止め縫い部)でウィップ縫い、右平行部(右側縫い部)でパール縫い、第2閂止め部(前閂止め縫い部)でウィップ縫いとする。
そして、図16(b)に示すように、第2閂止め部(前閂止め縫い部)に戻った止め縫い部では、ボイスコイルモータ60の制御で糸調子19により上糸に付与する張力を大にして、下糸が上糸側まで引上げられるようにすると共に、切断時には下糸をたぐることにより先に切断した上糸端部を布裏に引込み、針振り幅が小さくなった最終針で上側に糸残りが出ないようにできる。
【0028】
図32は上糸はさみ及びその駆動機構を示すもので、81はアーム、82は回転軸、83はローリングジョイント、84はレバー、85ははさみ取付板、86は固定刃、87は可動刃、88は段ねじ、89は糸切りばね(引張ばね)、90は糸保持ばねである。この糸切り機構自体は周知の構成である。このレバー84には、はさみ取付板85が一体的に備えられており、このはさみ取付板85の先端部に、上糸を切断して保持する上糸はさみを構成する固定刃86及び可動刃87及び糸保持ばね90が備えられている。
即ち、はさみ取付板85の先端部に固定刃86がねじ止めされていて、この固定刃86の上面に、可動刃87が段ねじ88により回動自在に組み付けられており、固定刃86上に設けた小突起86aが、可動刃87に形成した円弧状穴87aに臨んでいる。また、糸保持ばね90は段ねじ88と小突起86aとにより回転不能に支持されている。
固定刃86は、先端部に刃部86bを有していて、可動刃87も、刃部86b上に重なり合う刃部87bを先端部に有している。また、可動刃87は、円弧状穴87aの一方の延長部側にカム係合部87cを有している。
なお、はさみ取付板85には、糸切りばね89が接続されている。
【0029】
上記のような糸切り機構において、この実施例では、図32に示すように、糸切り手段の布送り方向移動手段として従来の遮断フレームに代えてパルスモータ80を設け、該パルスモータ80の出力軸80aに固定したアーム81の枠部81a内に、軸線が垂直方向の回転軸82を回転自在に組み付けて、この回転軸82に、水平軸線回りに回転自在なローリングジョイント83を介してレバー84を組み付けている。
【0030】
このように、上糸はさみ(固定刃86、可動刃87及び糸保持ばね90)にパルスモータ80を連結して、以上のように構成した駆動機構とし、以下のような動作を行う。
即ち、図119A、図120または図33に示したように、縫いサイクル完了による押え上げ・糸切り動作により上糸は固定刃86と可動刃87とにより切断され、糸保持ばね90と可動刃87とにより針に連なる切断端が挟持されている。この糸切り直後、パルスモータ80により上糸はさみは退避位置YXに移動し、待機する。なお、図120における戻り位置、離し位置、退避位置はY方向に対する位置を示す。
次のミシン起動時に、パルスモータ80の駆動により、布送りモータ(前記送り機構21参照)の動作に同期して、換言すると布送り速度とほぼ等しい速度で上糸はさみがY2移動するように、アーム81をXCW方向に所定角度だけ回転する。これにより、回転軸82及びローリングジョイント83を介してレバー84を揺動し上糸はさみを離し位置まで前進させる。パルスモータ80が停止した後、布送りモータにより引き続き布保持体は移動するので、従来と同様に、上糸はさみは上糸端を開放する。
【0031】
その後、上糸はさみは開放状態にラッチされたまま、所定時期にパルスモータが針上下動経路側方の戻り位置まで移動させる。また、縫い完了時には従来と同様に押え上げ、糸切り動作により、針糸経路に交差するよう移動して糸切り・糸保持を行う。
これによって、布送りモータと同期して、上糸はさみが追従して、移動する距離Y2(離し位置)を変えることにより、上糸はさみ(固定刃86及び可動刃87)が開くタイミングを変更でき、更に、布が送りによって移動しても、上糸はさみが追従して移動するため、縫い始め位置からはさみまでの糸の張りを弱くし、弛みを持たせることも可能となる。
従って、図34に示したように、布送りと同じ方向に上糸はさみを移動させて、可動刃87と糸保持ばね90との間に挟んで上糸を保持した状態を継続できるとともに、上糸の張りを弱くし、弛ませることができる。
この結果、ボタン穴かがりにおける平行部の縫い始めの山立ちが良くなるとともに縫い始めの縫目形成が確実となる。
なお、図119Bに示すように、パルスモータが後退位置に移動する時期をミシンの起動操作時とし、タイマーによる制御により離し位置への移動を制御してもよい。
【0032】
<第2の実施の形態例>
図17は送り機構の第2の実施の形態例を示すもので、図2と同様の内部機構の概略斜視図である。
この図17において、図2と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図2と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第2の実施の形態例は、図17に示すように、送り機構21において、軸線を水平方向とした送りモータ20の出力軸に同一軸線上の送り軸22を直結して、この送り軸22に送りねじ27を形成し、その送りねじ27にボールねじ方式によりブラケット23を噛み合わせたものである。
【0033】
このように、軸線が水平方向のパルスモータ(送りモータ)20の出力軸と同一軸線上の送り軸22とを直結して、その送り軸22に布保持腕24を送りねじ27及びボールによる送りボールねじ機構により噛み合わせたため、前述した第1の実施の形態例と同様に、送りモータ20を縦胴部3に内蔵したことによる効果が得られることは勿論のこと、水平置きのパルスモータ(送りモータ)20の駆動により直結の送り軸22を水平方向に直線的に移動させつつ送りねじ27及びボールによる送りボールねじ機構を介して、布保持腕24を縦胴部3に対し接離方向に移動させられる。
【0034】
<第3の実施の形態例>
図18は送り機構の第3の実施の形態例を示すもので、図2と同様の内部機構の概略斜視図である。
この図18において、図2と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図2と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第3の実施の形態例は、図18に示すように、送り機構21において、軸線を水平方向とした送りモータ20の出力軸に円柱状の溝カム28を固定して、この円柱状の溝カム28の外周のカム溝28aに、送り軸22の外周に突出して設けた係合ピン22bを係合したものである。
【0035】
このように、軸線が水平方向のパルスモータ(送りモータ)20の出力軸の円柱状溝カム28のカム溝28aと平行軸線上の送り軸22の係合ピン22bとを係合して、その送り軸22に布保持腕24を固定したため、前述した第1の実施の形態例と同様に、送りモータ20を縦胴部3に内蔵したことによる効果が得られることは勿論のこと、水平置きのパルスモータ(送りモータ)20の駆動により円周上溝カム28と係合ピン22bによる送りカム機構を介し送り軸22を水平方向に直線的に移動させて、布保持腕24を縦胴部3に対し接離方向に移動させられる。
【0036】
<第4の実施の形態例>
図19は送り機構の第4の実施の形態例を示すもので、図2と同様の内部機構の概略斜視図である。
この図19において、図2と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図2と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第4の実施の形態例は、図19に示すように、送り機構21において、パルスモータによる送りモータ20に代えて、軸線を水平方向とした出力軸を前進後退動作させるリニアステッピングモータによる送りモータ29を採用し、このリニアステッピングモータによる送りモータ29の出力軸に送り軸22を連結したものである。
【0037】
このように、軸線が水平方向のリニアステッピングモータ(送りモータ)29の前進後退動作する出力軸と同一軸線上の送り軸22とを直結して、その送り軸22に布保持腕24を固定したため、前述した第1の実施の形態例と同様に、送りモータ29を縦胴部3に内蔵したことによる効果が得られることは勿論のこと、水平置きのリニアステッピングモータ(送りモータ)29の駆動により直結の送り軸22を水平方向に直線的に移動させて、布保持腕24を縦胴部3に対し接離方向に移動させられる。
【0038】
<第5の実施の形態例>
図20は針振り機構の別の実施例としての第5の実施の形態例を示すもので、図3と同様の内部機構の概略斜視図である。
この図20において、図3と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図3と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第5の実施の形態例は、図20に示すように、針振り機構42において、軸線を上軸6と直交して水平方向とした基線モータ40及び振り幅モータ41を用い、これら基線モータ40及び振り幅モータ41の各出力軸にウォーム40b,41bをそれぞれ設け、基線モータ40のウォーム40bに、基線用アーム43の下端部に設けたセクタギヤ43dを噛み合わせ、振り幅モータ41のウォーム41bに、振り幅用アーム55の下端部に設けたセクタギヤ55dを噛み合わせたものである。
【0039】
このように、ボタン穴かがりミシンにおいて、パルスモータによる基線モータ40及び振り幅モータ41を、ともに軸線をベッド2の上面と平行にして縦胴部3内に収納したため、前述した第1の実施の形態例の場合と同様に、縦胴部3内のスペースを有効に利用できるとともに、ミシンフレーム1に外付けする部品を少なくして、ミシンフレーム1の外観をスッキリしたものにできる。
【0040】
<第6の実施の形態例>
図21は、針振り・基線変換機構の他の例である第6の実施の形態例を示すもので、図3と同様の内部機構の概略斜視図である。
この図21において、図3と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図3と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第6の実施の形態例は、図21に示すように、針振り機構42において、軸線を上軸6と直交して水平方向とした基線モータ40及び振り幅モータ41を用い、これら基線モータ40及び振り幅モータ41の各出力軸に円柱状の溝カム70,71をそれぞれ連結している。そして、基線モータ40の溝カム70の外周のカム溝70aに、基線用アーム43の下端部に設けた係合ピン43eを係合して、振り幅モータ41の溝カム71の外周のカム溝71aに、振り幅用アーム55の下端部に設けた係合ピン55eを係合したものである。
【0041】
このように、ボタン穴かがりミシンにおいて、パルスモータによる基線モータ40及び振り幅モータ41を、ともに軸線をベッド2の上面と平行にして縦胴部3内に収納したため、前述した第1の実施の形態例の場合と同様に、縦胴部3内のスペースを有効に利用できるとともに、ミシンフレーム1に外付けする部品を少なくして、ミシンフレーム1の外観をスッキリしたものにできる。
【0042】
<第7の実施の形態例>
図22は、布切りメス駆動機構の他例である第7の実施の形態例を示すもので、布切りメスを機械的な駆動機構により上下動させる例としての駆動系を示した斜視図であり、詳しくは特公平7−14438号公報に記載されているものを利用している。
この図22において、前述した図13と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図13と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第7の実施の形態例は、図22に示すように、軸35aに軸支される駆動レバー35の一端部に、布切りメス16を有するメス取付板31がリンク35bを介して連結され、駆動レバー35の他端部には、メス駆動アーム36に係合するメス駆動フック37が回転可能に支持されている。メス駆動アーム36は、前記上軸6に連動して矢印A方向に上下動する。メス駆動フック37は、上端部にメス駆動アーム36と係合する係合凹部37aを有し、常時はスプリング37bにより時計回り方向に回転付勢されている。
【0043】
そして、これらの下方に起動ロッド38及びプッシュロッド39が配設されている。起動ロッド38は、ミシンの図示しない起動フレームに連動して矢印B方向に移動する。プッシュロッド39は、前記ベッド2内において、前記上軸6に連動して回動する主カム72上のノッチ72aとの係合により上下動する。
さらに、起動ロッド38の上側に起動アーム73が配設されている。この起動アーム73は、起動時には起動ロッド38により矢印B方向に移動するもので、ミシンの駆動停止時には、反B方向に移動してメス駆動フック37のピン37cに係合してその回動を阻止する。
また、プッシュロッド39の上側に作動カム機構74が配設されている。この作動カム機構74は、プッシュロッド39の上下動に伴ってメス駆動フック37を、駆動レバー35との連結点である軸37eを中心に回動させるものである。
【0044】
以上の布切断装置は、ミシンが駆動すると、図示しない起動フレームに連動する起動ロッド38が矢印B方向に移動し、起動アーム73が軸73aを中心として反時計回り方向に回動し、メス駆動フック37のピン37cとの係合が解除される。すると、メス駆動フック37の突起部37dが作動カム機構74と係合して、この作動カム機構74の動作によってメス駆動フック37が回動可能状態になる。この状態でボタン穴かがり縫いが進行して、その過程において、プッシュロッド39が、前記上軸6に連動して回動する主カム72上のノッチ72aとの係合によって上下動する。
そして、前記作動カム機構74の作動により、メス駆動フック37は、スプリング37bの回転付勢力によって軸37eを中心に時計回り方向に回動し、係合凹部37aがメス駆動アーム36の上下動する先端に係合する。
従って、駆動レバー35が軸35aを中心に揺動する結果、所定の時期に布切りメス16が上下動して布地の所定部分を切断し、ボタン穴を形成し、ボタン穴かがりが終了する。
【0045】
<第8の実施の形態例>
図23は、布切りメス駆動機構の更に別の例である第8の実施の形態例を示すもので、布切りメスの駆動系を示した斜視図である。
この図23において、前述した図13と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、ここでは、図13と異なる部分の構成についてのみ説明する。
即ち、第8の実施の形態例は、図23に示すように、軸35aに軸支される駆動レバー35の一端部に、布切りメス16を有するメス取付板31が備えられ、駆動レバー35の他端部には、メス駆動アーム36に係合するメス駆動フック37が備えられている。メス駆動アーム36は、前記上軸6に連動して上下動する。メス駆動フック37は、中間部にメス駆動アーム36と係合する係合凹部37aを有し、駆動レバー35との連結点である軸37eを中心に回動するもので、常時はスプリング37bにより時計回り方向に回転付勢されている。
【0046】
そして、メス駆動フック37の上端部の側方にソレノイド75が配設されている。ソレノイド75は、そのプランジャ75aをメス駆動フック37の上端部に当接して、スプリング37bの回転付勢力に抗してメス駆動アーム36から係合凹部37aを離間させるものである。
従って、ソレノイド75のプランジャ75aを後退させると、メス駆動フック37は、スプリング37bの回転付勢力によって軸37eを中心に時計回り方向に回動し、係合凹部37aがメス駆動アーム36の上下動する先端に係合する。
なお、ソレノイド75に代えて、エアーシリンダユニットを用いても良い。
【0047】
<第9の実施の形態例>
図24は布切りメス取付構造の一般例を示した分解斜視図で、一般的には図示のように、前記メス取付板31の下端部にねじ止めされるメス取付片76の取付凹部76aに、布切りメス16がワッシャ32aを介装して止めねじ32により取り付けられる。
第9の実施の形態例では、専用メスとはサイズが異なるメスの取り付けを防ぐため、選別手段として機能する判別部を設ける。
即ち、図25に示すように、メス取付片76の取付凹部76aに判別用の小突起76bを設けて、専用の布切りメス16には、小突起76bと対応する位置に判別用の小穴16aを形成する。
または、図26に示すように、メス取付片76の取付凹部76aのコーナー部に判別用の傾斜部76cを設けて、専用の布切りメス16には、傾斜部76cと対応するコーナー部に判別用の切欠部16bを形成する。
【0048】
<第10の実施の形態例>
図27は布切りメスの形状例を示すものである。通常の布切りメス16(図27(a))に代えて、図27(b)に示すように、スイッチ逃げ穴16cを有する専用の布切りメス16を用いたり、図27(c)に示すように、コーナー部に切欠部16dを形成した専用の布切りメス16を用いたりする。
そして、図27(b)に示したように、スイッチ逃げ穴16cを有する専用の布切りメス16を用いる場合は、図28(a)及び(b)に示すように、メス取付片76の裏面に判別スイッチ77を取り付けて、そのプッシュスイッチ部77aを、取付凹部76aの前記スイッチ逃げ穴16cと対応する位置に露出させる。
また、図27(c)に示したように、切欠部16dを有する専用の布切りメス16を用いる場合は、図29(a)及び(b)に示すように、メス取付片76の裏面に取り付けた判別スイッチ77のプッシュスイッチ部77bを、取付凹部76aの前記切欠部16dと対応する位置に露出させる。
以上のような判別部及び判別スイッチ77も選別手段として機能する。
【0049】
<第11の実施の形態例>
図30は布押えと布切りメスとの関係の一例を示すもので、図示のように、例えば、布切りメス16のサイズに対して小さなサイズの布押え15をセットした場合、布押え15に布切りメス16が当たってしまう。
そこで、第11の実施の形態例は、布押え15の判別部を設ける。
図31に示すように、前記送り機構21の布保持腕24の先端部に、布押え15を支持する二股状の取付片25が段ねじ78a及び支持ばね(コイルばね)78bにより矢印C方向に揺動可能に支持されるようになっている。
このように布押え15の取付片25が取り付けられる布保持腕24の先端部側において、図示のように、例えば、光学式の複数(図示例では3個)の判別センサ79a,79b,79cを横に並べて埋設している。
【0050】
従って、図示のように、例えば、スモールサイズの布押え15を取り付けた状態で、その取付片25により判別センサ79cが覆われて、スモールサイズの布押え15が装着されていることが判別される。
また、図示しないが、ミディアムサイズの布押えを取り付けた状態では、その取付片により2個の判別センサ79b,79cがともに覆われて、ミディアムサイズの布押えが装着されていることが判別される。さらに、ラージサイズの布押えを取り付けた状態では、その取付片により3個の判別センサ79a,79b,79cが全て覆われて、ラージサイズの布押えが装着されていることが判別される。
なお、布押え15の判別部としては、光学式の判別センサ79a,79b,79cに限らず、プッシュボタン式の判別スイッチでも良く、また、設ける数も必要に応じた数で良い。
この判別結果に基づいて、予め記憶したテーブル(図示しない)から布押えに応じた図39のNo.15に設定すべき数値を読み出し、設定する。
【0051】
次に、制御方式について説明する。
「制御方式」
以上のボタン穴かがりミシンは、図35に示した制御ブロック構成図に従って制御される。
即ち、図示のように、CPU100には、バスを介して、ROM101、RAM102、Y送りカウンタ103、基線送りカウンタ104、針振り送りカウンタ105、布切りメスカウンタ106、糸切り送りカウンタ107、割込みコントローラ108、I/Oインターフェイス109が接続されている。
なお、CPU100には、各種の制御部や演算手段、即ち、ミシン制御手段、ミシン駆動速度決定手段、基線及び針振り幅の変更量補正手段、縫い目形成順序指定手段、縫いデータ読み出し手段部、縫い開始指定手段、メス制御手段、メス下降時期決定手段を含むメス上下動時期決定手段、その上下動時期間隔判断手段、側縫い長さ変更手段、針落ち制御手段、パターン拡大・縮小基準点決定手段、各種駆動制御手段等が含まれている。
【0052】
ROM101には、制御のためのプログラム及びデフォルトが格納されており、例えば、縫いモードと釜合わせモード、糸通しモードを記憶する記憶部等が格納されている。
RAM102には、制御のための各種変数等が格納されており、例えば、縫いデータ、基線・針振りデータ等が格納されている。
Y送りカウンタ103、基線送りカウンタ104、針振り送りカウンタ105、布切りメスカウンタ106、糸切り送りカウンタ107は、各カウント値を書き込み、カウンタ起動コマンドを書き込むことで、カウント値に比例した時間経過後、1パルスのカウント信号を出力し、カウンタ停止コマンドを書き込むまでは、一定周期でカウンタ出力を繰り返すものである。割込みコントローラ108は、各割込み信号入力により各割込み信号に対応した割込み処理を自動的にCPU100が実行するためのものである。I/Oインターフェイス109は、CPU100が外部の入出力装置とのインターフェイスを取るものである。
また、Y送りカウンタ103、基線送りカウンタ104、針振り送りカウンタ105、布切りメスカウンタ106、糸切り送りカウンタ107の各カウント出力は、割込みコントローラ108に接続されており、各カウンタのカウント出力で、各カウンタに対応した割込み処理が実行される。
【0053】
そして、図35において、操作パネル110は、図36に示すように、表示部と各種キーにより構成され、オペレータが、縫製に必要な各種設定/操作を行うためのものである。
Y送りパルスモータドライバ111は、Y送りカウンタ103のY送りカウンタ出力信号とI/Oインターフェイス109からのY送り方向+/−信号とにより、1回のカウンタ出力で1パルス分、Y送り方向の+/−に従いY送りパルスモータ(前記送りモータ)20を回転させる。
基線送りパルスモータドライバ112は、基線送りカウンタ104の基線送りカウンタ出力信号とI/Oインターフェイス109からの基線送り方向+/−信号とにより、1回のカウンタ出力で1パルス分、基線送り方向の+/−に従い基線送りパルスモータ(前記基線モータ)40を回転させる。
針振り送りパルスモータドライバ113は、針振り送りカウンタ105の針振りカウンタ出力信号とI/Oインターフェイス109からの針振り送り方向+/−信号とにより、1回のカウンタ出力で1パルス分、針振り送り方向の+/−に従い針振り送りパルスモータ(前記振り幅モータ)41を回転させる。
【0054】
糸切り送りパルスモータドライバ114は、糸切り送りカウンタ107の糸切り送りカウンタ出力信号とI/Oインターフェイス109からの糸切り送り方向+/−信号とにより、1回のカウンタ出力で1パルス分、糸切り送り方向の+/−に従い糸切り送りパルスモータ(前記パルスモータ)80を回転させる。
また、糸切り送りパルスモータドライバ114は、糸切り送りカウンタ107からの信号を、割込みコントローラ108に糸切り送りカウンタ割り込みとして出力する。
ミシンモータドライバ115は、I/Oインターフェイス109からのミシン起動/停止信号とミシンスピード信号とにより、ミシン起動時には所定回転数でミシンモータ5を回転させ、ミシン停止時には針上位置センサ116の検出に基づいて周知の定位置停止手段によりミシンモータ5を停止させる。針上位置センサ116は、前記針棒8の上位置を検出するものである。また、前記針上位置センサ116の上位置検知出力は針数カウント入力として使用される。
そして、ミシンモータドライバ115は、ミシンが停止か回転中かの状態を、I/Oインターフェイス109にミシンステータス停止/回転中信号として出力し、また、針上位置センサ116からの信号を、割込みコントローラ108に針上位置割込み信号として出力する。
さらに、ミシンモータドライバ115は、送り基準位置センサ117、TG(タコ・ジェネレータ)発生器118からの信号を、割込みコントローラ108に送り基準割り込み、TG割り込みとしてそれぞれ出力する。送り基準位置センサ117は、Y送りモータ/基線送りモータ/針振り送りモータ等の送り制御に使用されるものである。TG発生器118は、ミシンモータ1回転中に24分割の方形波を発生させるものである。
なお、ミシンモータエンコーダ119からの信号がフィードバックされる。
【0055】
アクティブテンションドライバ120は、常にはI/Oインターフェイス109を介して入力したRAM102からのデータにより張力を付与するように上糸張力VCM(前記ボイスコイルモータ)60を制御し、ミシンモータドライバ115からのミシンステータス停止/回転中信号、送り基準信号、TG信号の発生時、即ち、ミシン回転中の所定時期に張力を変化するように上糸張力VCM60を制御する。
押え上昇ソレノイド駆動回路121は、I/Oインターフェイス109からの押え下降/上昇信号により、押え上昇ソレノイド122を駆動するものである。
布切りメス下降シリンダ駆動回路123は、I/Oインターフェイス109からの布切り上昇/下降信号により、布切りメス下降シリンダ(前記布切りメス用エアーシリンダユニット)30を駆動するものである。
Y送り原点センサは、Y送りパルスモータ20の原点位置を検出するためのもので、前記送り原点検出センサ26である。
基線送り原点センサは、基線送りパルスモータ40の原点位置を検出するためのもので、前記基線原点検出センサ57である。
針振り送り原点センサは、針振り送りパルスモータ41の原点位置を検出するためのもので、前記振り幅原点検出センサ58である。
押えスイッチ124は、オペレータが、ワークをセット時、前記布押え15を上昇/下降させるための操作スイッチで、ミシンペダルの踏み込み動作に関連するものである。
スタートスイッチ125は、オペレータが、ワークをセット時、縫製を開始させるための操作スイッチで、ミシンペダルの踏み込み動作に関連するものである。
糸切り送り原点センサ126は、前記上糸はさみの移動原点位置を検出するためのものである。即ち、前述した図32の上糸はさみ及びその駆動機構において、例えば、パルスモータ80の出力軸80aを支点に揺動するアーム81の原点位置を検出する近接式の糸切り送り原点センサ126を設けたもので、この糸切り送り原点センサ126による糸切り送り原点検出用の磁石126aがアーム81に設けられている。
【0056】
また、針振り左右検知スイッチは、前記針振り左右位置検出センサ59である。
布切りメス駆動要求スイッチ127は、前記布切りメス16を下降させて駆動させるためのものである。
メスサイズ認識手段は、適正サイズの布切りメス16が装着されているか否かを確認するためのもので、前記判別スイッチ77である。
押えサイズ認識手段は、適正サイズの前記布押え15が装着されているか否かを確認するためのもので、前記判別センサ79(79a,79b,79c)である。
メス上下検知スイッチは、前記布切りメス上下位置検出センサ34a,34bである。
【0057】
そして、操作パネル110は、図36に示すように、各種キー及び表示部を備えている。
即ち、縫製キー131と、この縫製キー131が押されて縫製モードであることを点灯により表示するLED表示部132と、選択キー133と、この選択キー133が押される度に順次点灯してパターンNo.、パラメータNo.、スピード、糸通し、釜合わせの各設定モードを表示するLED表示部134,135,136,137,138とを備えている。
さらに、2桁のLED7セグメントによるパターン表示部141及び4桁のLED7セグメントによるパラメータ表示部142による数値表示部140と、この数値表示部140の数値の±1ずつの増減を行うマイナスキー143及びプラスキー144と、数値表示部140の数値の所定単位毎の増減を行うダウンキー145及びアップキー146と、糸通しスイッチまたは釜合わせスイッチとしてのセットキー147とを備えている。さらに図示しないが、ボタン穴かがり縫いの前記右回りまたは左回り縫いを選択するためのスイッチが設けてある。
なお、以上のような各種キーを備えていることから操作パネル110は、ボタン穴・メス刃長さ設定手段、ボタン穴形成幅方向位置設定手段、閂止め縫い部とボタン穴端部との間隔設定手段、パターン拡大・縮小設定手段、針数・ピッチ一定選択手段等としての機能も具備している。
【0058】
次に、図35に示した制御ブロックに基づいて制御を行うゼネラルフローを示した図37に従って具体的な制御について説明する。
以下の制御は、前述したように、各種の制御部(ミシン制御手段、ミシン駆動速度決定手段、基線及び針振り幅の変更量補正手段、縫い目形成順序指定手段、縫いデータ読み出し手段、縫い開始位置を設定するための開始指定手段、メス制御手段、メス下降時期決定手段を含むメス上下動時期決定手段、その上下動時期間隔判断手段、側縫い長さ変更手段、針落ち制御手段、パターン拡大・縮小基準点決定手段、各種駆動制御手段等)や演算手段が含まれているCPU100と、例えば、縫いモードと釜合わせモード、糸通しモードを記憶する記憶部等を含む制御のためのプログラム及びデフォルトが格納されているROM101と、例えば、縫いデータ、基線・針振りデータ等を含む制御のための各種変数等が格納されているRAM102との信号の授受をもって行われる。また、CPU100は、前述したように、ボタン穴・メス刃長さ設定手段、ボタン穴形成幅方向位置設定手段、閂止め縫い部とボタン穴端部との間隔設定手段、パターン拡大・縮小設定手段、針数・ピッチ一定選択手段等としての機能も具備している操作パネル110からの信号入力によって所定の制御を行う。
【0059】
図37のゼネラルフローに示すように、電源オンにより最初は、ステップS1で、操作パネル設定処理を呼び出し、操作パネル110による各種の設定処理が行われる。この操作パネル110による各種の設定操作は、次のステップS2での縫製キー131のオンまで行われ、縫製キー131のオン後は、次のステップS3で、縫製データ作成処理を呼び出し、縫製データが作成される。なお、前記ステップS2において、縫製キー131がオンでなければ、前記ステップS1へ戻る。
縫製データ作成後は、次のステップS4で、布押え15の下降出力を行い、続いて、次のステップS5で、機械原点検索処理を呼び出し、Y送りパルスモータ20/基線送りパルスモータ40/針振り送りパルスモータ41の機械原点検索を行う。続いて、次のステップS6で、縫い始め移動を呼び出し、Y送りパルスモータ20/基線送りパルスモータ40/針振り送りパルスモータ41を縫い始め位置まで駆動した後、次のステップS7で、布押え15の上昇出力を行って、次のステップS8に進む。
【0060】
ステップS8では、縫製キー131のチェックを行い、縫製キー131のオン時は、前記ステップS1へ戻って、操作パネル設定処理が再度行われ、また、縫製キー131がオンでなければ、次のステップS9に進む。ステップS9では、押えスイッチ124のチェックを行い、押えスイッチ124のオン時は、次のステップS10に進み、また、押えスイッチ124がオンでなければ、前記ステップS8へ戻る。
ステップS10では、布押え15が上昇中であるか否かが判断され、上昇中であれば、次のステップS11で、布押え15の下降出力を行い、また、上昇中でなければ、ステップS12で、布押え15の上昇出力を行って、前記ステップS8へ戻る。
布押え下降出力後は、次のステップS13で、押えスイッチ124のチェックを行い、押えスイッチ124のオン時は、前記ステップS12で、布押え15の上昇出力を行って、前記ステップS8へ戻り、また、押えスイッチ124がオンでなければ、次のステップS14に進む。ステップS14では、スタートスイッチ125のチェックを行い、スタートスイッチ125のオン時は、次のステップS15に進み、また、スタートスイッチ125がオンでなければ、前記ステップS13へ戻る。
そして、ステップS15では、縫製処理を呼び出し、縫製が開始される。縫製終了後は、次のステップS16で、布押え15の上昇出力が行われ、前記ステップS8へ戻る。
【0061】
次に、以上のゼネラルフローにおける操作パネル設定処理(ステップS1)、縫製データ作成(ステップS3)、機械原点検索(ステップS5)、縫製(ステップS15)の各処理について順次詳細に説明する。
図38は操作パネル設定処理(ステップS1)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS101で、選択キー133のチェックを行い、選択キー133のオン時は、次のステップS102で、選択番号に1をインクリメントして、次のステップS103に進み、また、選択キー133がオンでなければ、そのままステップS105へ進む。
ステップS103では、選択番号のチェックを行い、選択番号が最大番号「4」を越える時は、次のステップS104で、選択番号に「0」をセットして戻してから、次のステップS105に進み、また、選択番号が最大番号「4」以下であれば、そのままステップS105に進む。
ステップS105では、選択番号が「0」であるか否かが判断され、「0」であれば、ステップS106に進んで、パターン変更処理を行った後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、「0」でなければ、ステップS107に進む。
【0062】
ステップS107では、選択番号が「1」であるか否かが判断され、「1」であれば、ステップS108に進んで、パラメータ変更処理を行った後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、「1」でなければ、ステップS109に進む。
ステップS109では、選択番号が「2」であるか否かが判断され、「2」であれば、ステップS110に進んで、スピード変更処理を行った後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、「2」でなければ、ステップS111に進む。
ステップS111では、選択番号が「3」であるか否かが判断され、「3」であれば、ステップS112に進んで、糸通しモードに設定した後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、「3」でなければ、ステップS113に進む。
ステップS113では、選択番号が「4」であるか否かが判断され、「4」であれば、ステップS114に進んで、釜合わせモードに設定した後に、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、「4」でなければ、そのまま前記ステップS2に進む。
【0063】
次に、以上の操作パネル設定処理(ステップS1)におけるパターン変更処理(ステップS106)、パラメータ変更処理(ステップS108)、スピード変更処理(ステップS110)、糸通しモード(ステップS112)、釜合わせモード(ステップS114)の各処理について順次詳細に説明する。
ここで、各処理の説明に先立って、図39に示した設定項目図表及び図40に示した諸元について説明する。
図39に示した設定項目図表は、予め諸パラメータが設定済みのパターン番号「1」〜「6」が設けられるとともに、必要に応じてパターンから変更設定するためのパラメータ番号「1」〜「19」に対応した設定項目「布切り長さ」「メス幅」「閂止め長さ」「閂止め幅」「平行部ピッチ」「閂止め部ピッチ」「布切りメス−第1閂止め間 スキマ長さ」「布切りメス−第2閂止め間 スキマ長さ」「メス落ち左右位置」「平行部張力」「閂止め部張力」「縫い始め張力」「縫い終わり張力」「布切りメスサイズ」「押えサイズ」「拡大・縮小率」「拡大・縮小時針数一定」「メス落ちタイミング補正針数」「メス駆動時スピード」が設けられ、前記RAM102に記憶されている。各パターン番号には、前記ROM101に記憶されたデフォルトが格納される。
そして、各パラメータ番号及び設定項目に対応して設定範囲とその単位が設けられている。
また、図40に示した諸元の通り、ボタン穴かがりに関しては、布切り長さa、メス幅b、閂止め長さc、閂止め幅d、平行部ピッチe、閂止め部ピッチf、メス−第1閂止めスキマg、メス−第2閂止めスキマhを設定して行う。
なお、前記RAM102には、各パラメータを設定してパターン番号を登録設定してあり、そのパターン番号に対応して、また、必要に応じてパラメータを変更して使用される。
【0064】
図41はパターン変更処理(ステップS106)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS1061で、プラスキー144のチェックを行い、プラスキー144のオン時は、次のステップS1062で、パターン番号に1をインクリメントして、次のステップS1063に進み、また、プラスキー144がオンでなければ、そのままステップS1065へ進む。
ステップS1063では、パターン番号のチェックを行い、パターン番号が最大番号「6」を越える時は、次のステップS1064で、パターン番号に「1」をセットしてから、次のステップS1065に進み、また、パターン番号が最大番号「6」以下であれば、そのままステップS1065に進む。
ステップS1065では、マイナスキー143のチェックを行い、マイナスキー143のオン時は、次のステップS1066で、パターン番号に1をデクリメントして、次のステップS1067に進み、また、マイナスキー143がオンでなければ、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
ステップS1067では、パターン番号のチェックを行い、パターン番号が最小番号「1」未満の時は、次のステップS1068で、パターン番号に最大番号「6」をセットしてから、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
【0065】
図42はパラメータ変更処理(ステップS108)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS1081で、プラスキー144のチェックを行い、プラスキー144のオン時は、次のステップS1082で、パラメータ番号に1をインクリメントして、次のステップS1083に進み、また、プラスキー144がオンでなければ、そのままステップS1085へ進む。
ステップS1083では、パターン番号のチェックを行い、パラメータ番号が最大番号「19」を越える時は、次のステップS1084で、パラメータ番号に「1」をセットしてから、次のステップS1085に進み、また、パラメータ番号が最大番号「19」以下であれば、そのままステップS1085に進む。
ステップS1085では、マイナスキー143のチェックを行い、マイナスキー143のオン時は、次のステップS1086で、パラメータ番号に1をデクリメントして、次のステップS1087に進み、また、マイナスキー143がオンでなければ、そのままステップS1089に進む。
ステップS1087では、パラメータ番号のチェックを行い、パラメータ番号が最小番号「1」未満の時は、次のステップS1088で、パラメータ番号に最大番号「19」をセットしてから、次のステップS1089に進み、また、パラメータ番号が最小番号「1」未満でなければ、そのままステップS1089に進む。
そして、ステップS1089において、パラメータ番号に対応する所望のデータ変更処理を、ダウンキー145またはアップキー146の操作により行ってから、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
【0066】
図43はスピード変更処理(ステップS110)のサブルーチンを示したもので、ここでは、ミシンスピードの変更処理を行う。なお、ミシンスピードについては、毎分の針数[spm,stitch/minute]として、「400」〜「4000」の設定範囲があり、その変更単位は「100」ずつである。
このスピード変更処理においては、図43に示すように、先ず、ステップS1101で、アップキー146のチェックを行い、アップキー146のオン時は、次のステップS1102で、スピードデータに100をインクリメントして、次のステップS1103に進み、また、アップキー146がオンでなければ、そのままステップS1105へ進む。
ステップS1103では、スピードデータのチェックを行い、スピードデータが最大値「4000」を越える時は、次のステップS1104で、スピードデータに「400」をセットしてから、次のステップS1105に進み、また、スピードデータが最大値「4000」以下であれば、そのままステップS1105に進む。
ステップS1105では、ダウンキー145のチェックを行い、ダウンキー145のオン時は、次のステップS1106で、スピードデータに100をデクリメントして、次のステップS1107に進み、また、ダウンキー145がオンでなければ、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
ステップS1107では、スピードデータのチェックを行い、スピードデータが最小値「400」未満の時は、次のステップS1108で、スピードデータに最大値「4000」をセットしてから、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、スピードデータが最小値「400」未満でなければ、そのまま前記ステップS2に進む。
【0067】
図44は糸通しモード(ステップS112)のサブルーチンを示したもので、ここでは、糸通しの際、図45(a)に示すように、針9とその後ろ側の布切りメス16の位置が接近しているため、図45(b)に示すように、垂直状態の布切りメス16に対し右側に針9を最大に振った状態にして、針穴9aへの糸通しを容易に行わせるために制御する。
この糸通しモードにおいては、図44に示すように、先ず、ステップS1121で、セットキー147のチェックを行い、セットキー147のオン時は、次のステップS1122に進み、また、セットキー147がオンでなければ、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
ステップS1122では、基線送りパルスモータ40の出力は右側最大値であるか否かを判断し、右側最大値でなければ、次のステップS1123で、右側最大となるように基線送りパルスモータドライバ112により基線送りパルスモータ40を駆動してからステップS1127に進み、また、右側最大値であれば、そのままステップS1127に進む。
【0068】
そして、ステップS1127において、振り幅パルスモータ(針振り送りパルスモータ)41の出力は0であるか、即ち、前記基線上に位置するか否かを判断し、0であれば、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、0でなければ、次のステップS1128で、0位置まで針振り送りパルスモータドライバ114により振り幅パルスモータ(針振り送りパルスモータ)41を駆動してからゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、0であれば、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
以上により、糸通しの際には、作業者がパネル上のセットキー147を操作することにより、図45(b)に示したように、垂直状態の布切りメス16に対し右側に針9を最大に振って針穴9aが布切りメス16よりも右にずらした状態にして、針穴9aへの糸通しを容易に行えるものとなり、また、図46に示したように、布切りメス16に対し左側に針落ちした最終針の場合にも、同様に布切りメス16に対し右側に針9を最大に振った状態にして、針穴9aへの糸通しを容易に行えるものとなる。
なお、上記のようにセットキー147の操作に関連して針を布切りメス16よりも右に針振りさせるものにかえて、ボタン穴かがり縫目の形成中におけるミシンの停止指令発生時に、後述するステップS1624と同様の処理により針上位置に定位置停止動作するとともに、前記したように右側最大の針振り位置にするように制御してもよい。
さらに、上記した縫製途中のミシン停止時における針振り制御について、選択スイッチ111及びセットキー147との操作により右側停止を指定記憶するように設定し、上記ミシン停止時に、その設定状態を判断して、右側停止設定されているときに、右側最大に針振りさせて停止するようにしてもよい。
【0069】
図47は前記釜12の剣先12aと前記針9の針心との位置を合わせるための釜合わせモード(ステップS114)のサブルーチンを示したもので、先ず、図48(a)及び(b)に示すように、布切りメス16の前方に位置する針9を布針板50の針穴50a中央(メス溝50bの延長線上)に移動して、図48(c)に示すように、針9が釜12の軸心に一致するような針振り位置にするために制御する。
そして、図48(c)から図48(d)に示すように、針棒8を停止位置より下降させ、最下点を通過し、若干上昇させた位置(釜合わせタイミング位置)に停止させる。この位置にて釜合わせを行う。
この釜合わせモードにおいては、図47に示すように、先ず、ステップS1141で、セットキー147のチェックを行い、セットキー147のオン時は、次のステップS1142に進み、また、セットキー147がオンでなければ、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
ステップS1142では、基線送りパルスモータ40の出力は0であるか否かを判断し、0でなければ、次のステップS1143で、0位置まで基線送りパルスモータドライバ112により基線送りパルスモータ40を駆動し、また、0であれば、そのままステップS1147に進む。
【0070】
そして、ステップS1147において、振り幅パルスモータ(針振り送りパルスモータ)41の出力は0であるか否かを判断し、0であれば、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、また、0でなければ、次のステップS1148で、針振り送りパルスモータドライバ114により振り幅パルスモータ(針振り送りパルスモータ)41を駆動してからゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進み、0であれば、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
以上により、釜合わせの際は、セットキー147の操作により針は釜12の軸心に対応する針振り位置(針振り範囲の中央)に針振りされ、その後、針心と釜剣先とを調整することにより、釜合わせが行える。
なお、後述する他の制御方式において説明するように、主軸の回転位相を検出してミシンの駆動モータの停止制御をすることにより、針振り制御に継続して針の上下動位置制御も自動的に行うことができる。
【0071】
図49は縫製データ作成(ステップS3)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS31で、拡大・縮小処理を行い、続いて、次のステップS32で、布押え15と布切りメス16のサイズチェックを行い、続いて、次のステップS33で、サイズエラーをチェックする。
そして、布押え15及び布切りメス16の関係がサイズエラーであれば、そのままステップS34に進んで、エラー表示を行ってから、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS4に進み、また、布押え15及び布切りメス16の関係がサイズエラーでなければ、次のステップS37において、前記右回りまたは左回り縫いを選択するために操作パネル114に設けられた前記スイッチ(図示しない)を判断し、ステップS35またはステップS38に進む。
ステップS35またはステップS38では、それぞれパターン演算を行い、続いて、ステップS36で、メス駆動タイミング演算を行ってから、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS4に進む。即ち、ステップS37において、縫製を右回りで行うと判断した場合は、ステップS33で右回りパターン演算を行う一方、縫製を右回りでは行わないと判断した場合には、ステップS38で、左回りパターン演算を行う。
【0072】
次に、以上の縫製データ作成(ステップS3)における拡大・縮小処理(ステップS31)、押え・メスサイズチェック(ステップS32)、右回りパターン演算(ステップS35)、メス駆動タイミング演算(ステップS36)、左回りパターン演算(ステップS38)の各処理について順次詳細に説明する。
図50は拡大・縮小処理(ステップS31)のサブルーチンを示したもので、ここでは、ボタン穴かがり縫製の拡大・縮小を行うため、図51(a)に示したように、その拡大・縮小の基準点Pを、布切りメス16の前端部として、図51(b)に示すように、平行部ピッチe及び閂止め部ピッチf、または/及び、布切り長さa、メス幅b、閂止め長さc及び閂止め幅dの各設定値を、拡大・縮小する制御を行う。
この縫製データ作成においては、図50に示すように、先ず、ステップS311で、αに拡大・縮小率をセットしてから、次のステップS312で、針数一定か否かを判断し、針数一定ならば、ステップS313に進み、また、針数一定でなければ、ステップS314に進む。
ステップS313では、「平行部ピッチe」、「閂止め部ピッチf」の設定値として、図39の図表における平行部ピッチ×α、閂止め部ピッチ×αをそれぞれセットしてから、次のステップS314に進む。
そして、ステップS314において、「布切り長さ」、「メス幅」、「閂止め長さ」、「閂止め幅」の各設定値として、図39の図表における布切り長さ×α、メス幅×α、閂止め長さ×α、閂止め幅×α、メス-第一閂止め長さg×α、メス−第二閂止め長さh×αをそれぞれセットした後、図49のフローの前記ステップS32に進む。
【0073】
図52は押え・メスサイズチェック(ステップS32)のサブルーチンを示したもので、先ず、パターン番号の各パラメータ設定値に応じて、ステップS321で、L0に布押え15のサイズをセットし、続いて、次のステップS322で、L1に布切りメス16のサイズをセットし、続いて、次のステップS323で、Lに全長(図51(b))を演算設定し、続いて、次のステップS324で、aに布切り長さをセットしてから、次のステップS325に進む。
ステップS325では、L>L0か否かを判断し、L>L0でなければ、次のステップS326に進み、また、L>L0であれば、ステップS327に進む。
ステップS326では、L1>aか否かを判断し、L1>aでなければ、サブルーチン(図49)の前記ステップS43に進み、また、L1>aであれば、ステップS327に進む。
そして、ステップS327において、L>L0、即ち全長よりも押えサイズが小さいとき、或いはL1>a、即ちメスサイズが布切り長さよりも大きいときは、押え・メスサイズエラーを出力した後、図49のフローの前記ステップS33に進む。
【0074】
図53はパターン演算(ステップS35)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS351で、縫い始め位置の演算を行い、続いて、次のステップS352で、左平行部の演算を行い、続いて、次のステップS353で、第1閂止め部の演算を行う。
そして、次のステップS354で、右平行部の演算を行い、続いて、次のステップS355で、第2閂止め部の演算を行って、次のステップS356で、縫い終わりの演算を行った後、図49のフローの前記ステップS36に進む。
【0075】
次に、以上のパターン演算(ステップS35)における縫い始め位置演算(ステップS351)、左平行部演算(ステップS352)、第1閂止め部演算(ステップS353)、右平行部演算(ステップS354)、第2閂止め部演算(ステップS355)、縫い終わり演算(ステップS356)の各処理について順次詳細に説明する。
ここで、各演算処理の説明に先立って、縫製順序及び各諸元について説明する。
図54は縫製順序を示したもので、図54▲1▼は機械原点から縫い始め位置への移動、図54▲2▼はそれに引き続く左平行部の縫製、図54▲3▼は第1閂止め部の縫製半ばまで、図54▲4▼は第1閂止め部の縫製終了、図54▲5▼は右平行部の縫製開始、図54▲6▼は右平行部の縫製、図54▲7▼は第2閂止め部の縫製開始、図54▲8▼は第2閂止め部の縫製半ばまで、図54▲9▼は縫い終わり(第2閂止め部の縫製終了)をそれぞれ示している。なお、機械原点への移動は、縫製モードに切り替わったときのみ行われる。
そして、図55は縫製データ演算結果を表した図表であり、後述する図56及び図63に示される演算により求められる。この図表において、Nは繰り返し回数(針数)、YはY送り、Kは基線、Hは振り幅、Tは糸張力値をそれぞれ示しており、それぞれの添え字は、図54に示した縫製順序(データポインタ)▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼、▲7▼、▲8▼、▲9▼に各々対応している。
なお、以下の演算においては、図40に示した諸元に基づく寸法(布切り長さa、メス幅b、閂止め長さc、閂止め幅d、平行部ピッチe、閂止め部ピッチf、メス−第1閂止めスキマg、メス−第2閂止めスキマh)が用いられる。
以上の縫製データ演算結果は前記RAM102に格納される。
【0076】
図56は縫い始め位置演算(ステップS351)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3511で、Y1=c/2を演算し、続いて、次のステップS3512で、K1=b/2を演算し、続いて、次のステップS3513で、H1=(d−b)/2を演算し、続いて、次のステップS3514で、T1=「縫い始め張力」をセットする。
そして、次のステップS3515で、「メス落ち左右位置」11のパネル設定値は0かを判断し、0であれば、図53のフローの前記ステップS352に進み、また、0でなければ、次のステップS3516で、K1=K1+「メス落ち左右位置」をセットした後、前記ステップS352に進む。
このような「メス落ち左右位置」の設定値に基づく縫い始め位置(K1)の設定により、「メス落ち位置」を中心としたメス幅位置調整機能を持たせて、図57に示されるように、縫目形状の左右方向中心位置がメス落ち位置となるようにする。
【0077】
図58は左平行部演算(ステップS352)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3521で、Y2=eをセットし、続いて、次のステップS3522で、N2={a+h+g+(c/2)}÷eを演算する。この演算式において、aを変えずにhとgとを変更することにより、閂止め縫い部とボタン穴端部のと間隔を補正できる。
そして、次のステップS3523で、K2=0をセットし、続いて、次のステップS3524で、H2=0をセットし、続いて、次のステップS3525で、T2=「平行部張力」をセットした後、図53のフローの前記ステップS353に進む。
【0078】
図59は第1閂止め部演算(ステップS353)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3531で、Y3=fをセットし、続いて、次のステップS3532で、N3=c÷fを演算し、続いて、次のステップS3533で、K3={(b+d)/2}÷N3を演算し、続いて、次のステップS3534で、H3={(d+b)/2}÷N3を演算する。
続いて、次のステップS3535で、T3=「閂止め部張力」をセットしてから、次のステップS3536で、Y4=fをセットし、続いて、次のステップS3537で、N4=c÷fを演算する。
そして、次のステップS3538で、K4=0をセットし、続いて、次のステップS3539で、H4=0をセットし、続いて、次のステップS3540で、T4=「閂止め部張力」をセットした後、図53のフローの前記ステップS354に進む。
【0079】
ところで、図60は図54▲3▼の第1閂止め部の縫製半ばまでの詳細を解析したものであり、この場合の針振り機構の動作原理について説明する。
先ず、前述したように、基線機構を含む前記針振り機構42により、前記針9は基線よりも左側に振られるように設定されている。従って、前記針9が左右2箇所に針落ちされる際、基線機構による設定された基線位置が右側の針落ち位置であり、基線を基準にして前記針振り機構42により設定された針振り量だけ左側に振られた位置が左側の針落ち位置である。
即ち、図54▲3▼の第1閂止め部の縫製半ばまでの詳細を示した図60において、右側の針落ち点n1は、基線上に位置し、次の左側の針落ち点n2は、基線が変化しない限り、前記針振り機構42により決定される針振り量H1だけ前記針落ち点n1よりも左側に位置することになる。しかし、もし基線が、針落ち点n2において、図示のように、K3だけ右に移動したとすると、針落ち点n2となるための針振り量は、H1+H3(K3)となる。
そして、左側の前記針落ち点n2から次の針落ち点n3になるときは、基線の設定により位置が決まる。即ち、前記針落ち点n2の基線よりもK3だけ右側に移動しているので、そのK3だけ移動した基線位置そのものが針落ち点n3となる。
同様に、右側の前記針落ち点n1から次の左側の針落ち点n4になるときは、基線(前記針落ち点n3の基線よりもK3だけ右側に移動)からの針振り量は、H1+H3+H3+H3となる。
さらに、左側の前記針落ち点n4から次の針落ち点n5になるときは、基線が移動している場合は、その移動した基線位置そのものが針落ち点となる。
【0080】
図61は右平行部演算(ステップS354)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3541で、N5=1をセットし、続いて、次のステップS3542で、Y5=0をセットし、続いて、次のステップS3543で、K5=0をセットする。続いて、次のステップS3544で、H5=(d+b)/2を演算し、続いて、次のステップS3545で、T5=「平行部張力」をセットする。
そして、次のステップS3546で、Y6=eをセットし、続いて、次のステップS3547で、N6=(a+h+g)÷eを演算する。続いて、次のステップS3548で、K6=0をセットし、続いて、次のステップS3549で、H6=0をセットし、続いて、次のステップS3550で、T6=「平行部張力」をセットした後、図53のフローの前記ステップS355に進む。
【0081】
図62は第2閂止め部演算(ステップS355)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3551で、N7=1をセットし、続いて、次のステップS3552で、Y7=0をセットし、続いて、次のステップS3553で、K7=0をセットする。続いて、次のステップS3554で、H7=(d+b)/2を演算し、続いて、次のステップS3555で、T7=「閂止め部張力」をセットする。
そして、次のステップS3556で、Y8=fをセットし、続いて、次のステップS3557で、N8=c÷fを演算する。続いて、次のステップS3558で、K8=0をセットし、続いて、次のステップS3559で、H8=0をセットし、続いて、次のステップS3560で、T8=「閂止め部張力」をセットした後、図53のフローの前記ステップS356に進む。
【0082】
図63は縫い終わり演算(ステップS356)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3561で、Y9=fをセットし、続いて、次のステップS3562で、N9=(c/2)÷fを演算し、続いて、次のステップS3563で、K9=(b+d)/2÷N9を演算する。
そして、次のステップS3564で、H9=(d+b)/2÷N9を演算し、続いて、次のステップS3565で、T9=「縫い終わり張力」をセットし、続いて、次のステップS3566で、総針数N=9Σn=2nを演算した後、図49のフローの前記ステップS36に進む。
【0083】
次に、図64はメス駆動タイミング演算(ステップS36)のサブルーチンを示したもので、この場合、図65の図表に示したように、メス駆動回数1〜nに応じたメス駆動の作動時期である針数M1〜Mnとなり、また、各諸元は図66に示した通りである。
このようなメス駆動回数1〜nに応じたメス駆動針数M1〜Mnは前記RAM102に格納される。
このメス駆動タイミング演算においては、図64に示すように、先ず、ステップS361で、右平行部開始位置までの針数M=5Σn=2nを演算し、続いて、次のステップS362で、Mn=((L1+g)÷e)+Mを演算し、続いて、次のステップS363で、前記したように、メスサイズは布切り長さ(側縫い部)よりも短く、布切り長さからメスサイズを減じた残り寸法x=a−L1を演算する。
そして、次のステップS364で、x=0か否かを判断し、0でなければ、次のステップS365で、nに1をインクリメントして、次のステップS366に進み、また、x=0であれば、そのままステップS370に進む。
ステップS366では、x>(L1−Lα)をチェックする。ここで、Lαは、メスのオーバーラップ量である。
【0084】
即ち、ステップS366において、x>(L1−α)であれば、次のステップS367で、Mn={(L1−Lα)÷e}+Mn-1を演算し、また、x>(L1−Lα)でなければ、ステップS368に進んで、Mn=x÷eを演算する。
さらに、Mn={(L1−Lα)÷e}+Mn-1の演算後、次のステップS369で、x=x−(L1−Lα)を演算してから、前記ステップS364へ戻る。
また、Mn=x÷eの演算後は、次のステップS370で、メス落ちタイミング補正針数は0か否かを判断し、0であれば、そのままゼネラルフロー(図37)の前記ステップS4に進み、また、0でなければ、次のステップS371で、MnにMn+「メス落ちタイミング補正針数」をセットした後、前記ステップS4に進む。
【0085】
なお、布切りメス16の2回上下動については、図68(a)に示すように、所定のボタン穴形成のための必要切断長さにおいて、布切りメス16の1回目の上下動により、その刃の長さ分の切断長さをもって布切りを行った後、図68(b)に示すように、布切りメス16の2回目の上下動によって、必要切断長さの残り分の布切りを行う。
このような布切りメス16の2回上下動において、図69(a)に示すように、必要切断長さで一回目のメス落ちと2回目のメス落ちとを重ねるが、その重ねる長さは、ボタン穴の長さによって、例えば、図69(b)に示すように、大きく重なるようにしても良い。
【0086】
そして、以上のような2回のメス落ちを含む複数回(n回)のメス落ちにおいては、図70に示すように、第1閂止め部(後閂止め縫い部)と1回目メス落ち位置とのスキマg、第2閂止め部(前閂止め縫い部)とn回目メス落ち位置とのスキマhとして、各々のメス落ちタイミング変更によりそれぞれのスキマを補正する。
即ち、図70に矢印で示したように、1回目のメス落ちタイミングを変更することにより、第1閂止め部(後閂止め縫い部)と1回目メス落ち位置とのスキマgを補正でき、また、n回目のメス落ちタイミングを変更することにより、第2閂止め部(前閂止め縫い部)とn回目メス落ち位置とのスキマhを補正できる。
また、前記ステップS370、371の結果として、図71に示すように、第1閂止め部(後閂止め縫い部)と1回目メス落ち位置とのスキマg、第2閂止め部(前閂止め縫い部)とn回目メス落ち位置とのスキマhとして、その前後スキマの総和を一定のままメス落ち位置全体の変更も可能である。
即ち、g+h=(任意一定)となるようにして、図71に矢印で示したように、メス落ち位置全体をY方向に移動できる。
【0087】
次に、図72は機械原点検索(ステップS5)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS51で、Y送りパルスモータ20を、Y送り原点センサ26をチェックしながら駆動して、Y送りパルスモータ20の原点位置の検索を行う。Y送りパルスモータ20の原点検索後、次のステップS52で、Y送り位置に0をセットする。
続いて、次のステップS53で、基線送りパルスモータ40を、基線送り原点センサ57をチェックしながら駆動して、基線送りパルスモータ40の原点位置の検索を行った後、次のステップS54で、基線送り位置に0をセットする。
そして、次のステップS55で、針振り送りパルスモータ41を、針振り原点センサ58をチェックしながら駆動して、針振り送りパルスモータ41の原点位置の検索を行ってから、次のステップS56で、針振り位置に0をセットした後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS6に進む。
【0088】
次に、図73は縫製(ステップS15)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS151で、残り針数として総針数がセットされ、続いて、次のステップS152で、針振り左右検知センサ59をチェックしながら現在の針振り位置は右側(基線側)か否かを判断し、右側であれば、次のステップS153で、ミシン起動出力を行ってから、次のステップS155に進む。
また、現在の針振り位置が右側でなければ、ステップS154に進んで、ミシン起動出力を行ってから、次のステップS156に進む。
ステップS155では、ミシンモータエンコーダ119からのパルスにより、ミシンステータスは回転中か否かを判断し、回転中であれば、次のステップS158に進み、また、回転中でなければ、ステップS155へ戻る。
また、ステップS156でも、ミシンモータエンコーダ119からのパルスにより、ミシンステータスは回転中か否かを判断し、回転中であれば、次のステップS157に進み、また、回転中でなければ、ステップS156へ戻る。続いて、ステップS157では、針上位置センサ116をチェックしながら割込みコントローラ108に針上位置割込要求有りか否かを判断し、有りであれば、次のステップS158に進み、また、針上位置割込要求がなければ、ステップS157へ戻る。
【0089】
そして、ステップS158において、ミシンモータエンコーダ119からのパルスにより、ミシンステータスは回転か否かを判断し、回転であれば、次のステップS159に進み、また、回転でなければ、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS16に進む。
ステップS159では、TG発生器118をチェックしながら割込みコントローラ108にTG割込要求有りか否かを判断し、有りであれば、ステップS160で、TG割込み処理を行ってから、次のステップS161に進み、また、TG割込要求がなければ、そのままステップS161に進む。
ステップS161では、割込みコントローラ108に針上位置割込要求有りか否かを判断し、有りであれば、ステップS162で針上位置割込み処理を行ってから、次のステップS163に進み、また、針上位置割込要求がなければ、そのままステップS163に進む。
ステップS163では、送り基準位置センサ117をチェックしながら割込みコントローラ108に送り基準割込要求有りか否かを判断し、有りであれば、ステップS164で、送り基準割込み処理を行ってから、次のステップS165に進み、また、送り基準割込要求がなければ、そのままステップS165に進む。
続いて、ステップS165において、布切りメスカウンタ割込み処理を行ってから、前記ステップS158へ戻る。
【0090】
次に、以上の縫製(ステップS15)におけるTG割込み処理(ステップS160)、針上位置割込み処理(ステップS162)、送り基準割込み処理(ステップS164)、布切りメスカウンタ割込み処理(ステップS165)の各処理について順次詳細に説明する。
図74はTG割込み処理(ステップS160)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS1601で、TGカウントに1をインクリメントして、次のステップS1602で、TGカウントがQであるか否かをチェックし、Qであれば、次のステップS1603に進み、また、Qでなければ、そのままステップS1612に進む。
ステップS1603では、Y送りカウンタ103によるY送りパルス数が0であるか否かをチェックし、0であれば、そのままステップS1606に進み、また、0でなければ、次のステップS1604に進む。ステップS1604では、Y送りカウンタ103に縫い時のY送り速度に対応するカウント値を出力し、続いて、次のステップS1605で、Y送りカウンタ103の起動を行った後、次のステップS1606に進む。
【0091】
ステップS1606においては、基線送りカウンタ104による基線パルス数が0であるか否かをチェックし、0であれば、そのままステップS1609に進み、また、0でなければ、次のステップS1607に進む。ステップS1607では、基線送りカウンタ104に縫い時の基線送り速度に対応するカウント値を出力し、続いて、次のステップS1608で、基線送りカウンタ104の起動を行った後、次のステップS1609に進む。
ステップS1609においては、針振り送りカウンタ105による針振り送りパルス数が0であるか否かをチェックし、0であれば、そのままステップS1612に進み、また、0でなければ、次のステップS1610に進む。ステップS1610では、針振り送りカウンタ105に縫い時の針振り送り速度に対応するカウント値を出力し、続いて、次のステップS1611で、針振り送りカウンタ105の起動を行った後、次のステップS1612に進む。
そして、ステップS1612において、TGカウントがSであるか否かをチェックし、Sであれば、次のステップS1613で、糸張力コードを糸張力に出力した後、図73のフローの前記ステップS161に進み、また、TGカウントがSでなければ、そのまま前記ステップS161に進む。
【0092】
次に、図75は針上位置割込み処理(ステップS162)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS1621で、残り針数から1をデクリメントし、続いて、次のステップS1622で、針数カウントに1をインクリメントしてから、次のステップS1623に進む。
ステップS1623では、残り針数が0が否かをチェックし、0であれば、次のステップS1624で、ミシン停止出力を行い、また、0でなければ、そのままステップS1625に進む。
そして、次のステップS1625で、メス駆動処理を行った後、図73のフローの前記ステップS163に進む。
【0093】
図76は針上位置割込み処理(ステップS162)におけるメス駆動処理(ステップS1625)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS16251で、針数カウントがMn-5であるか否かをチェックし、Mn−5であれば、次のステップS16252に進み、また、Mn−5でなければ、そのままステップS16261に進む。
ステップS16252では、Mn+1−Mn、即ち、先のメス下降針数Mnと次のメス下降針数Mn+1の差が1であるか否かをチェックし、1であれば、ステップS16253に進んで、ミシンスピードに400[spm]をセットしてから、ステップS16261に進み、また、Mn+1−Mnが1でなければ、次のステップS16254に進む。
ステップS16254では、Mn+1−Mnが2であるか否かをチェックし、2であれば、ステップS16255に進んで、ミシンスピードに1000[spm]をセットしてから、ステップS16261に進み、また、Mn+1−Mnが2でなければ、次のステップS16256に進む。
【0094】
ステップS16256では、Mn+1−Mnが3であるか否かをチェックし、3であれば、ステップS16257に進んで、ミシンスピードに2000[spm]をセットしてから、ステップS16261に進み、また、Mn+1−Mnが3でなければ、次のステップS16258に進む。
ステップS16258では、Mn+1−Mnが4であるか否かをチェックし、4であれば、ステップS16259に進んで、ミシンスピードに3000[spm]をセットしてから、ステップS16261に進み、また、Mn+1−Mnが4でなければ、次のステップS16260で、ミシンスピードに4000[spm]をセットしてから、次のステップS16261に進む。
このステップS16251乃至S16260の制御により、布切りメスの動作間隔(針数)に応じてミシン速度を制御できるので、1回目の布切りメスの下降後、次の下降時までに確実に布切りメスを上昇位置に復帰させることができる。
【0095】
そして、ステップS16261においては、針数カウントがMn−R以上であるか否かをチェックし、以上であれば、次のステップS16262で、ミシンスピードにメス駆動時スピードをセットしてから、次のステップS16263に進み、また、針数カウントがMn−R以上でなければ、そのままステップS16263に進む。メス駆動時スピードは、ミシンに調時する布押えの移動によって布が下降状態の布切りメスに引き裂かれたり布ずれが発生しないような速度(停止も含む)にする。
ステップS16263においては、針数カウントがMnであるか否かをチェックし、Mnであれば、次のステップS16264に進み、また、Mnでなければ、そのまま図73のフローの前記ステップS163に進む。
さらに、ステップS16264では、布切りメス下降を行ってから、次のステップS16265で、nに1をインクリメントした後、図73のフローの前記ステップS163に進む。
【0096】
図77はメス駆動処理(ステップS1625)における布切りメス下降(ステップS16264)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS162641で、所定の針数カウントに基づいて布切りメス下降シリンダ駆動回路123に布切りメス下降出力を出して、布切りメス下降シリンダ30の駆動により布切りメス16を下降動作させる。
続いて、次のステップS162642で、布切りメスカウンタ107に下降時間分のカウント値を出力してから、次のステップS162643で、布切りメスカウンタ106の起動を行う。
そして、次のステップS162644で、布切りメス下降フラグに1をセットした後、図76のフローの前記ステップS16265に進む。
【0097】
次に、図78は送り基準割込み処理(ステップS164)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS1641で、Y送りパルスモータ20の回転方向の設定を行ってから、次のステップS1642で、Y送りパルスモータ20のパルス数の設定を行う。
続いて、次のステップS1643で、基線送りパルスモータ40の回転方向の設定を行ってから、次のステップS1644で、基線送りパルスモータ40のパルス数の設定を行う。
続いて、次のステップS1645で、針振り送りパルスモータ41の回転方向の設定を行ってから、次のステップS1646で、針振り送りパルスモータ41のパルス数の設定を行う。
そして、次のステップS1647で、糸調子19の張力可変制御用のボイスコイルモータ(上糸張力VCM)60の電流設定値の格納を行ってから、次のステップS1648で、繰り返し回数から1をデクリメントする。
続いて、次のステップS1649で、繰り返し回数が0であるか否かをチェックし、0であれば、次のステップS1700で、データポインタに1をインクリメントしてから、次のステップS1701で、データポインタに対する繰り返し回数をセットした後、図73のフローの前記ステップS165に進む。
なお、前記ステップS1649において、繰り返し回数が0でなければ、そのまま前記ステップS165に進む。
【0098】
次に、図79は布切りメスカウンタ割込み(ステップS165)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS1651で、布切りメスカウンタ106のカウンタが0であるか否かをチェックし、0であれば、そのまま図73のフローの前記ステップS158へ戻り、また、0でなければ、次のステップS1652で、カウンタから1をデクリメントする。
続いて、次のステップS1653で、再びカウンタが0か否かをチェックし、0であれば、次のステップS1654で、メス駆動チェックを行い、また、0でなければ、そのまま前記ステップS158へ戻る。
メス駆動チェック後は、次のステップS1655で、布切りメス下降フラグが2であるか否かをチェックし、2であれば、ステップS1656に進み、また、2でなければ、ステップS1658に進む。
【0099】
即ち、ステップS1656では、布切りメスカウンタ106を停止してから、次のステップS1657で、布切りメス下降フラグに0をセットした後、図73のフローの前記ステップS158へ戻る。
また、ステップS1658においては、布切りメス下降シリンダ駆動回路123に布切りメス上昇出力を出して、布切りメス下降シリンダ30の駆動により布切りメス16を上昇動作させる。
続いて、次のステップS1659で、布切りメスカウンタ106を停止してから、次のステップS1660で、布切りメスカウンタ106に上昇時間分のカウント値を出力する。
そして、次のステップS1661で、布切りメスカウンタ106の起動を行ってから、次のステップS1662で、布切りメス下降フラグに2をセットした後、図73のフローの前記ステップS158へ戻る。
【0100】
次に、図80はメス駆動チェック(ステップS1654)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS16541で、布切りメス下降シリンダ駆動回路123への布切りメス下降信号が出力中か否かをチェックし、出力中であれば、次のステップS16542に進み、また、出力中でなければ、ステップS16543に進む。
ステップS16542では、メス下降検知スイッチ34bがonであるか否かをチェックし、onであれば、図79のフローの前記ステップS1675へ戻り、また、onでなければ、ステップS16544に進む。
また、ステップS16543においては、メス下降検知スイッチ34bがoffか否かをチェックし、offであれば、前記ステップS1675へ戻り、また、offでなければ、次のステップS16544に進む。
そして、ステップS16544で、メス駆動エラーを出しから、次のステップS16545で、ミシン停止出力を出した後、前記ステップS1675へ戻る。従って、メス駆動エラー発生時にはミシンは針上位置に停止する。
【0101】
以上のような制御方式を持つ本実施例のボタン穴かがりミシンにおいて、図54に示した縫製順序(データポインタ)▲1▼乃至▲9▼のボタン穴かがり縫いに基づいて説明すると、作業者が操作パネル110上での各数値設定を行った後、ステップS6による縫い始め移動により図54の縫い始め位置の点P1に位置して、布押え15を下降した状態で停止している。作業者によりスタートスイッチが操作されるとステップS15による「縫製」が始まる。
この縫製サブルーチンにより、データポインタ▲2▼に対応する左側縫い(左平行部)が開始され、TG割り込み処理S160によるタイミングで送り基準割り込み処理S164による各パルス設定に基づく各パルスモータの動作が行われ、同送り基準割り込み処理における繰り返し回数が0の判別(ステップS1649)が有ったとき、即ち針数(縫目数)が所定値に達したとき、データポインタを▲3▼とし(ステップS1700)、同様にTG割り込み処理、送り割り込み処理により縫目を形成する。以下同様にしてデータポインタ▲4▼、▲5▼を行い第1閂止縫いを形成する。
データポインタ▲6▼のとき、即ち右側縫い(右平行部縫い)中に、針上位置割り込み処理(ステップS161)のメス駆動処理ルーチンにおいて、針数カウント値に応じて、カウント値が演算設定値Mnとなったときに布切りメス下降サブルーチンの処理により布切りメス16が下降される。この時ステップS16261のRの設定値(予め設定されている)により布切りメス16が下降する数針前或いは下降するときにミシンスピードを前記メス駆動スピードに減速させる。そしてこの動作は、前記演算された数値nによる回数繰り返される(S16265)。またこの布切りメスの下降の繰り返し間隔が判別され、その判別結果に応じてミシンスピードが設定される(ステップS16251乃至S16260)。
データポインタ▲9▼における針上位置割込処理において、P9即ち縫い始め位置P1において残針数が0となると、即ちボタン穴かがり縫いが完了すると、ミシン停止出力が出されて従来周知の定位置停止手段によりミシンを針上位置に停止させる。
【0102】
図89は左回りパターン演算(ステップS38)のサブルーチンを示したもので、ステップS381で、縫い始め位置の演算を行い、続いて、次のステップS382で、右平行部の演算を行い、続いて、次のステップS383で、第1閂止め部の演算を行う。
そして、次のステップS384で、左平行部の演算を行い、続いて、次のステップS385で、第2閂止め部の演算を行って、次のステップS386で、縫い終わりの演算を行った後、図90のフローの前記ステップS36に進む。
【0103】
次に、以上の左回りパターン演算(ステップS38)における縫い始め位置演算(ステップS381)、右平行部演算(ステップS382)、第1閂止め部演算(ステップS383)、第2閂止め部演算(ステップS385)、縫い終わり演算(ステップS386)の各処理について順次詳細に説明する。
ここで、各演算処理の説明に先立って、縫製順序及び各諸元について説明する。
図90は縫製順序を示したもので、図90▲1▼は機械原点から縫い始め位置への移動、図90▲2▼はそれに引き続く右平行部の縫製、図90▲3▼は第1閂止め部の縫製半ばまで、図90▲4▼は第1閂止め部の縫製終了、図90▲5▼は左平行部の縫製開始、図90▲6▼は左平行部の縫製、図90▲7▼は第2閂止め部の縫製開始、図90▲8▼は第2閂止め部の縫製半ばまで、図90▲9▼は縫い終わり(第2閂止め部の縫製終了)をそれぞれ示している。なお、機械原点への移動は、縫製モードに切り替わったときのみ行われる。
【0104】
さらに左回りの別の実施例として、図92は、左回り時・右回り時の針振り機構42動作を説明するもので、図92(a)及び(b)に示すように、基線用アーム43は、針9の振りの基線がメス溝15b位置(針穴15a中央)にある原点位置(実線部)を基準として、図示左側に振られた場合(点線部43R)が基線右側へ移動となり、図示右側に振られた場合(点線部43L)が基線左側へ移動となる。
また、図93(a),(b),(c)に示すように、基線用レバー44は、針振り量零位置の原点位置を基準として、図示左側に振られた場合(点線部44R)、基線を基準に右側方向に針9の針振り量が増加し、図示右側に振られた場合(点線部44L)、基線を基準に左側方向に針9の針振り量が増加する。図55の図表に対して、基線K1,…,K9のデータと振り幅H1,…,H9のデータにそれぞれマイナスをかけて反転させると、その結果、図91に示す図表のようになり、これにより左回りとなる。図91において、Nは繰り返し回数(針数)、YはY送り、Kは基線、Hは振り幅、Tは糸張力値をそれぞれ示しており、それぞれの添え字は、図90に示した縫製順序▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼、▲7▼、▲8▼、▲9▼に各々対応する。
【0105】
<制御方式の変更例>
次に、前述した図37のゼネラルフローの一部を変更したゼネラルフローを示す図81について説明する。
この図81のゼネラルフローについては、ステップS1〜ステップS14までが前述した図37のゼネラルフローと同じであるため、以下では、前述したステップS15及びステップS16に代わる新たなステップS21〜ステップS24について説明する。
なお、図82はボタン穴かがりの諸元を示すもので、前述した図40に示したように、布切り長さa、メス幅b、閂止め長さc、閂止め幅d、平行部ピッチe、閂止め部ピッチf、メス−第1閂止めスキマg、メス−第2閂止めスキマhの他、この変更例では、メスサイズL1、縫い始め位置から第1回目のメス端位置までの布移動量(y送りモータパルス数)Zα、第1回目から第2回目のメス端位置までの布移動量(y送りモータパルス数)Zβを決定して行う。布切りメス15の下降タイミングは、このメスサイズL1、布切り長さa、布移動量Zαに対応したy送りモータのパルス数の加算値(絶対値)に応じて行われる。
ここで、中メスの場合は、図82において、右側縫い中にパルス数の加算値(絶対値)に基づいて行われ、また、先メス、後メスの場合には、図82において、縫い始め位置からのパルス数の加算値(絶対値)に基づいて行われる。但し、メスサイズL1に対応したパルス数の算出については、L1÷(1パルスの送り長さ)、即ち、L1を1パルスの送り長さで除することにより得られる。
【0106】
図81に示すように、前記ステップS14の後に続いて、次のステップS21では、縫い始め移動を呼び出し、Y送りパルスモータ20/基線送りパルスモータ40/針振り送りパルスモータ41を縫い始め位置まで駆動した後、次のステップS22で、縫製処理を呼び出し、縫製が開始される。
縫製終了後は、次のステップS23で、針位置右側移動を行った後、次のステップS24で、布押え15の上昇出力が行われ、前記ステップS8へ戻る。従って、この実施例では、所定のボタン穴かがり縫いが完了すると針が布切りメスよりも右側に振られて上位置停止され、次の縫い始め時に縫い始め位置に移動してから側縫いを縫い始める。
次に、前記ステップS22の縫製処理について説明する。
【0107】
図83は縫製処理(ステップS22)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS221で、先メスか否かをチェックし、先メスであれば、ステップS222で、縫製処理▲1▼を行った後、ゼネラルフロー(図81)の前記ステップS23に進み、また、先メスでなければ、次のステップS223に進む。
ステップS223では、中メスか否かをチェックし、中メスであれば、ステップS224で、縫製処理▲2▼を行った後、前記ステップS23に進み、また、中メスでなければ、次のステップS225で、縫製処理▲3▼を行った後、前記ステップS23に進む。
なお、以上の縫製処理に対応したメス駆動タイミング演算時において、先メス、後メスを選択時は、Y送りパルスモータ20の移動量を演算するものとし、また、中メス選択時は、針数を演算するものとする。
次に、先メスの場合における前記ステップS222の縫製処理▲1▼と、中メスの場合における前記ステップS224の縫製処理▲2▼と、後メスの場合における前記ステップS225の縫製処理▲3▼とについて、それぞれ説明する。
【0108】
ここで、穴かがり縫製中に布切りを行う中メスの場合における縫製処理▲2▼(ステップS224)については、前述した図37のゼネラルフローにおける縫製処理(ステップS15)、即ち、図73のフローで説明した内容と同じである。但し、中メスの場合は、前述したように、図82の右側縫い中にパルス数の加算値(絶対値)に基づいて行う。
従って、以下では、穴かがり縫製前に布切りを行う先メスの場合における縫製処理▲1▼(ステップS222)と、穴かがり縫製後に布切りを行う後メスの場合における縫製処理▲3▼(ステップS225)とについてだけ、それぞれ説明するものとする。
【0109】
図84は先メスの場合の縫製処理▲1▼(ステップS222)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS2221で、メス駆動位置までY送りパルスモータ20を駆動してから、次のステップS2222で、布切りメス15を下降駆動する。
そして、次のステップS2223で、縫い始め移動を呼び出し、Y送りパルスモータ20/基線送りパルスモータ40/針振り送りパルスモータ41を縫い始め位置まで駆動した後、次のステップS2224で、縫製処理を呼び出し、縫製を開始する。
即ち、縫製中のメス駆動は行わない。
なお、縫製終了後は、図81のフローの前記ステップS23に進む。
このように先メスの場合には、前述したように、図82の縫い始め位置からのパルス数の加算値(絶対値)に基づいて行う。
【0110】
図85は後メスの場合の縫製処理▲3▼(ステップS225)のサブルーチンを示したもので、ステップS2251で、縫製処理を呼び出し、縫製を開始する。
そして、縫製終了後は、次のステップS2252で、メス駆動位置までY送りパルスモータ20を駆動してから、次のステップS2253で、布切りメス15を下降駆動する。
さらに、次のステップS2254で、縫い始め移動を呼び出し、Y送りパルスモータ20/基線送りパルスモータ40/針振り送りパルスモータ41を縫い始め位置まで駆動した後、図81のフローの前記ステップS23に進む。
このように後メスの場合にも、図82の縫い始め位置からのパルス数の加算値(絶対値)に基づいて行う。
【0111】
ここで、図86は先メスと後メスと中メスの相違を示したもので、先ず、図86(a)に示すように、ボタン穴かがり縫い目の縫製前に予めボタン穴を明けておくためにメスを落とすのが先メスのことである。
また、図86(b)に示すように、ボタン穴かがり縫い目の縫製終了後にメスを落としてボタン穴を開けるのが後メスのことである。
そして、図86(c)に示すように、ボタン穴かがり縫い目の縫製中にメスを落としてボタン穴を開けるのが中メスのことである。
【0112】
次に、図87は先メスの場合のボタン穴かがり縫い目の状態を示したもので、先ず、図87(a)に示すように、例えば、上布と下布に先メスにより切断してボタン穴Hを明けた場合、図87(b)に示すように、縫製中は上糸を通した針9がボタン穴Hを通って下糸と上糸の結節による縁かがりを行う。
そして、このようなボタン穴Hを通した縁かがりによる縫製終了後は、図87(c)に示すように、ボタン穴Hに布地の地糸(織り糸)が残ることがない。
これに対して、図88は後メス・中メスの場合のボタン穴かがり縫い目の状態を示したものである。
ここで、後メス・中メスではボタン穴かがり縫い目の縫製後に布をメスで切断してボタン穴Hを形成する。その際、縫い目を切断してしまわないように、左右の側縫い部の縫い目の間に一定のスキマを確保しなくてはならない。
このため、図88に示したように、ボタン穴Hの左右には、各々の側縫い部の縫い目との間に布地が残る。
【0113】
さらにパターン演算サブルーチンの別の実施例として、以下の演算においては、図94に示した諸元に基づく寸法(布切り長さa、左メス幅b1、右メス幅b2、閂止め長さc、閂止め幅d、平行部ピッチe、閂止め部ピッチf、メス−第1閂止めスキマg、メス−第2閂止めスキマh)が用いられる。
また、図95に示した設定項目図表は、前述した図39の図表において、「メス幅」を「左メス幅b1」と「右メス幅b2」とに分けて、「メス落ち左右位置」を削除したものとなっている。
【0114】
図96は縫い始め位置演算(ステップS381)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3811で、Y1=c/2を演算し、続いて、次のステップS3812で、K1=b1をセットし、続いて、次のステップS3813で、H1={d−(b1+b2)}/2を演算し、続いて、次のステップS3814で、T1=「縫い始め張力」をセットした後、図89のフローの前記ステップS382に進む。また、前記b1とb2とを別途指定することにより、メス落ち点より左右両側縫い部までの間隔を別途に調整できる。
【0115】
図97は右平行部演算(ステップS382)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3821で、N5=1をセットし、続いて、次のステップS3822で、Y5=0をセットし、続いて、次のステップS3823で、K5=0をセットする。続いて、次のステップS3824で、H5=(d+b1+b2)/2を演算し、続いて、次のステップS3825で、T5=「平行部張力」をセットする。
そして、次のステップS3826で、Y6=eをセットし、続いて、次のステップS3827で、N6=(a+h+g)÷eを演算する。続いて、次のステップS3828で、K6=0をセットし、続いて、次のステップS3829で、H6=0をセットし、続いて、次のステップS3530で、T6=「平行部張力」をセットした後、図89のフローの前記ステップS383に進む。
【0116】
図98は第1閂止め部演算(ステップS383)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3831で、Y3=fをセットし、続いて、次のステップS3832で、N3=c÷fを演算し、続いて、次のステップS3833で、K3={(b1+b2+d)/2}÷N3を演算し、続いて、次のステップS3834で、H3={(d+b1+b2)/2}÷N3を演算する。
続いて、次のステップS3835で、T3=「閂止め部張力」をセットしてから、次のステップS3836で、Y4=fをセットし、続いて、次のステップS3837で、N4=c÷fを演算する。
そして、次のステップS3838で、K4=0をセットし、続いて、次のステップS3839で、H4=0をセットし、続いて、次のステップS3840で、T4=「閂止め部張力」をセットした後、図89のフローの前記ステップS384に進む。
【0117】
図99は第2閂止め部演算(ステップS385)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3851で、N7=1をセットし、続いて、次のステップS3852で、Y7=0をセットし、続いて、次のステップS3853で、K7=0をセットする。続いて、次のステップS3854で、H7=(d+b1+b2)/2を演算し、続いて、次のステップS3855で、T7=「閂止め部張力」をセットする。
そして、次のステップS3856で、Y8=fをセットし、続いて、次のステップS3857で、N8=c÷fを演算する。続いて、次のステップS3858で、K8=0をセットし、続いて、次のステップS3859で、H8=0をセットし、続いて、次のステップS3860で、T8=「閂止め部張力」をセットした後、図89のフローの前記ステップS386に進む。
【0118】
図100は縫い終わり演算(ステップS386)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS3861で、Y9=fをセットし、続いて、次のステップS3862で、N9=(c/2)÷fを演算し、続いて、次のステップS3863で、K9=(b1+b2+d)/2÷N9を演算する。
そして、次のステップS3864で、H9={d−(b1+b2)}/2÷N9を演算し、続いて、次のステップS3865で、T9=「縫い終わり張力」をセットし、続いて、次のステップS3866で、総針数N=9Σn=2Nnを演算した後、図49のフローの前記ステップS36に進む。
【0119】
次に、釜合わせモードの他の実施例として、図101は図47の釜合わせモード(ステップS114)のステップS1148の後に、ミシン主軸角度合わせ(ステップS1152)、リレーOFF指令(ステップS1153)、セットキーONか否かの判断(ステップS1154)、電源リレーON指令(ステップS1155)の処理を順に行うようにしたものである。
即ち、ステップS1148において、針振り送りパルスモータドライバ114により振り幅パルスモータ(針振り送りパルスモータ)41を駆動してから、次のステップS1152で、ミシン主軸角度合わせを行い、続くステップS1153で、電源リレーをオフし、この間に作業者は釜合わせ作業を行う。
その後、次のステップS1154で、セットキー147のチェックを行い、セットキー147のオン時は、次のステップS1155に進み、また、セットキー147がオンでなければ、再びステップS1154へ戻る。
ステップS1155では、電源リレーをオンにした後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
なお、図102の例に示したように、ステップS1148において、針振り送りパルスモータドライバ114により振り幅パルスモータ(針振り送りパルスモータ)41を駆動してから、次のステップS1152で、ミシン主軸角度合わせを行い、続くステップS1153で、電源リレーをオフにし、作業者が釜合わせ作業を行なう。
【0120】
図103はミシン主軸角度合わせ(ステップS1152)のサブルーチンを示したもので、先ず、ステップS11521で、ミシン起動を出力し、続くステップS11522で、針上位置検知をチェックし、針上位置検知はずれであれば、次のステップS11523に進み、また、針上位置検知はずれでない場合は、再びステップS11522へ戻る。
ステップS11523では、TGカウントに0をセットして、続くステップS11524で、TG割込要求有りかをチェックし、有りであれば、次のステップS11525で、TGカウントに1をインクリメントして、次のステップS11526に進み、また、TG割込要求無しであれば、再びステップS11524へ戻る。
ステップS11526では、TGカウントをチェックし、そのTGカウントがP2(釜合わせ主軸角度)でなければ、再びステップS11524へ戻り、また、TGカウントがP2(釜合わせ主軸角度)であれば、次のステップS11527に進んで、ミシン停止を出力した後、図101または図102のフローの前記ステップS1153に進む。
【0121】
なお、図104の例はミシン主軸に釜合わせ位置を検出するセンサ等を設けることで釜合わせ位置にミシンを停止させるようにしたもので、先ず、ステップS11521で、ミシン起動を出力し、続くステップS11528で、釜合わせ位置センサをチェックし、オンであれば、次のステップS11529に進み、また、オンでない場合は、再びステップS11528へ戻る。
ステップS11529では、ミシン停止を出力した後、図101または図102のフローの前記ステップS1153に進む。
ここで、ステップS11529でのミシン停止の出力は、主軸に設けた位置検出手段からの信号で停止するように、定位置停止動作により行われる。
【0122】
ところで、図105は電源遮断用のリレーの配置を示したもので、I/Oインターフェイス109に接続される電源基板171と、ミシンモータドライバ115にそれぞれ接続する電源ケーブル172に、電源スイッチ(電磁開閉器)173を設けて、この電源スイッチ(電磁開閉器)173にリレー174を接続し、このリレー174の他方の端子側のケーブル175をI/Oインターフェイス109に接続している。
前述した図101、図102で説明した電源リレーは、このような電源スイッチ(電磁開閉器)173に接続したリレー174である。
ここで、このような電源スイッチ(電磁開閉器)173に接続したリレー174を、図102で説明した電源リレーとした場合、リレー174をoffすることにより、装置全ての電源が切断されるため、CPU100からの電源再投入はできない。
【0123】
また、図106は電源遮断用のリレーの他の配置を示したもので、I/Oインターフェイス109に接続される電源基板171と、ミシンモータドライバ115に接続される駆動電源制御基板181とにそれぞれ接続される電源ケーブル172に電源スイッチ176を設ける一方、駆動電源制御基板181にゼロクロスリレー182を実装している。
このようなゼロクロスリレー182を、前述した図101、図102で説明した電源リレーとしても良い。
ここで、このようなゼロクロスリレー182を、図101で説明した電源リレーとした場合、モータ駆動電源をリレー182にて切断するCPU100周辺は電源が入っており、再度のSETキー174のONによりモータ駆動電源をONする。
【0124】
次に、糸通しモードの他の実施例として、図107は図44の糸通しモード(ステップS112)のステップS1128の後に、リレーOFF指令(ステップS1132)、セットキーONか否かの判断(ステップS1133)、電源リレーON指令(ステップS1134)の処理を順に行うようにしたものである。
即ち、ステップS1132で、電源リレーをオフにした後、続くステップS1133で、セットキー147のチェックを行い、セットキー147のオン時は、次のステップS1134に進み、また、セットキー147がオンでなければ、再びステップS1133へ戻る。
ステップS1134では、電源リレー(図106のゼロクロスリレー182)をオンにした後、ゼネラルフロー(図37)の前記ステップS2に進む。
なお、図108の例に示したように、ステップS1132で、電源リレー(図105のリレー174)をオフにしても良い。
【0125】
ここで、前述した釜合わせモードの場合と同様に、図106のゼロクロスリレー182を、図107で説明した電源リレーとした場合、モータ駆動電源をリレー182にて切断するCPU100周辺は電源が入っており、再度のSETキー174のONによりモータ駆動電源をONする。
また、図105のリレー174を、図108で説明した電源リレーとした場合、リレー174をoffすることにより、装置全ての電源が切断されるため、CPU100からの電源再投入はできない。
【0126】
次に、図109はメス駆動タイミング演算(ステップS36)の変更例を示したもので、前述した図64のサブルーチンにおける右平行部開始位置間での針数M=5Σn=2Nnの演算を行うステップS361と、Mn=((L1+g)÷e)+Mの演算を行うステップS362との間に、メス駆動回数のチェック(ステップS372)と、L1のセット(ステップS373)を設けたものである。
即ち、ステップS361で、M=5Σn=2Nnの演算を行ってから、次のステップS372で、メス駆動回数設定が一回か複数回かをチェックして、1回であれば、続くステップS373で、L1にaをセットした後、次のステップ362で、Mn=((L1+g)÷e)+Mの演算を行う。
また、ステップS372で、メス駆動回数が1回でなければ、そのままステップ362に進む。
この場合、布切り長さとメスサイズを同じにすることで、1回の駆動となる。
なお、「1回」のパネル設定により、L1にaが設定され、ステップS364で、x=0が常に「yes」となる。
【0127】
<鳩目ボタン穴かがり縫い目の形成例>
図110は鳩目ボタン穴かがり縫い目を例示するもので、例えば、針落ち点の(基線、振り幅、送り)のデータについて、前述した針振りカム54が針振り側にあるときの針落ち点A(a1,b1,y1)、針振りカム54が基線側にあるときの針落ち点B(a2,b2,y2)との関係において、以下の問題がある。
即ち、針落ち点A(a1,b1,y1)は、針振りカム54が基線側にあると、図示のような形状とはならず、図113のようになる。
鳩目ボタン穴かがり縫い目の形成に際しては、図111に示すように、基線を反転させて、針落ち点を順次設定する。この図は針落ち点1が基線側針落ちの時を示すもので、図示のように、針落ち点8、9はほぼ同心に針を落とすようになっており、図中、黒丸が基線側針落ちで、白丸が針振り側針落ちである。
以上の各針落ち点は、図112に示した図表により決定される。
【0128】
このような鳩目ボタン穴かがり縫い目を形成するために、前記針振り左右位置検知センサ59を設けている。
その理由は、図111において、針落ち点1は、基線位置であるのに対して、図113に示したように、針振り側針落ちの時は針落ち点1′にずれている。これにより鳩目穴のようにY送りがプラス・マイナスに振られるような場合には模様が乱れる。従って、針振り左右位置を検知する必要が生じる。
そして、以上のような鳩目ボタン穴かがり縫い目における鳩目部の縫い目形成に際しては、その鳩目部の右側または左側の一方の外側輪郭線上の針落ちを針振り量設定機構による針振り位置として内側輪郭線上の針落ちを基線設定機構による基線位置とするとともに、鳩目部の右側または左側の他方の外側輪郭線上の針落ちを基線設定機構による基線位置として内側輪郭線上の針落ちを針振り量設定機構による針振り位置とするように、鳩目部の左右中心部で切り換えて行う。
【0129】
また、図114は振り幅量を0として基線のみの移動にて鳩目ボタン穴かがり縫い目を形成する場合を示したもので、図中、黒丸が基線側針落ちで、白丸が針振り側針落ちで、二重丸が振り量0で基線の移動による針振り幅針落ちである。なお、針落ち点16については、その針落ち前に振り幅量を平行部幅とする。
以上の各針落ち点は、図115に示した図表により決定される。
また、図116は基線位置を0(針穴中央)として針振り量の増減により鳩目ボタン穴かがり縫い目を形成する場合を示したもので、図中、黒丸が基線側針落ちで、白丸が針振り側針落ちである。なお、針落ち点3,5,7,9,11,13,14は、針穴中央にほぼ同心の針落ちとなっている。
以上の各針落ち点は、図117に示した図表により決定される。
【0130】
<他の実施の形態例>
更に他の実施例として、図67はY送りから布切りメスの動作タイミングをとるために送りセンサ及びメス落ちスイッチを設けた構成を示すもので、先ず、送り機構21の送り軸22に固定のブラケット23上に、板面を側方に向けて検出板161を垂直に固定して、この検出板161のY方向移動位置に基づいて前進か後退かの送り方向を検出する縫い移動位置検出手段としての近接式の送りセンサ162を検出板161の移動方向に対向配設している。
そして、検出板161の一側面に、前後一対の突部163,163を形成して、この前後一対の突部163,163の何れかにより被検出部が押されるメス落ちスイッチ164を突部163,163の移動経路に対向配設している。即ち、図示例では、このメス落ちスイッチ164が前後2個の突部163,163に各々押される度に、布切りメス用エアーシリンダユニット30をそれぞれ駆動して、布切りメス16を2回上下動させるものとなっている。
この実施例では、メス落ちスイッチ164がメス下降開始時期設定手段である。
図118は針位置センサを設けた例を示すもので、図示のように、針棒揺動台18の下部前面側に近接式の磁気センサによる針位置センサ191を配置して、針棒揺動台18の下部前面には被検出用の磁石192を埋め込んでおく。
このように、基線原点検出センサ57、振り幅原点検出センサ58、針振り左右位置検出センサ59に加えて、針位置センサ191を設けても良い。
【0131】
なお、以上の実施の各形態例においては、ボタン穴かがりミシンとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の針振りミシンであっても良い。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
例えば、針上位置検知に代えて針下位置検知或いは他の位相検知でもよい。
さらに、本実施例のおいては、各パラメータを演算設定してメス駆動タイミング或いはボタン穴形状の各寸法等を設定するものを示したが、予めプログラム設定され記憶されたデータを選択的に読み出すものにおいて実施しても同様の効果が得られる。また、一旦演算設定されたものを記憶しておき、これを選択的に読み出すようにしてもよい。
さらに、ミシンの上下軸を別個のモータにより各別に回転制御させるようにしたものでもよい。
【0132】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明に係るボタン穴かがりミシンの糸切り制御装置によれば、ボタン穴かがり縫い目形成後、糸切り手段が移動することによって、布と針とに連なる針糸を布クランプ部材の上方において切断し、当該切断した糸の針に連なる側の糸端を保持し、ボタン穴かがり縫い目形成開始時に糸切り手段が移動することによって、当該保持した糸を解放するボタン穴かがりミシンにおいて、ボタン穴かがり縫い目形成開始時に、糸切り手段をパルスモータにより布クランプ部材に同期して移動すると共に、糸切り手段が保持した糸端を解放する位置を変更可能にパルスモータの駆動を制御するため、布送りと同じ方向に糸切り手段を移動させて、その糸切り手段により挟んで針糸を保持した状態を継続できるとともに、針糸の張りを弱くして弛ませられることによって、ボタン穴かがり縫い目における平行部の縫い始めの山立ちを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一例としてのボタン穴かがりミシンの外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態例を示すもので、内部機構の概略斜視図である。
【図3】図2と反対側から見た状態を示すもので内部機構の概略斜視図である。
【図4】図3の針振り機構を針側から見た正面図である。
【図5】図4の針振り機構の動作を説明する模式図である。
【図6】針振り機構の動作例を示すもので、(a)は針振りカムのカム頂部が基線側にある状態を示した図、(b)は針振りカムのカム頂部がカム振り幅側にある状態を示した図である。
【図7】針振り機構による基線位置の変更を示した図である。
【図8】針振り機構による振り幅位置の変更を示した図である。
【図9】基線用パルスモータ及び振り幅用パルスモータの出力パルス数を示した図表である。
【図10】パルス数−基線移動量を示す特性図である。
【図11】パルス数−針振り量を示す特性図である。
【図12】ボタン穴かがり部を示すもので、(a)はボタン穴かがり縫い部分の名称を示した図、(b)は右回りの場合を示した図、(c)は左回りの場合を示した図である。
【図13】メス駆動装置を示す斜視図である。
【図14】布切りメスの2回上下動を説明するもので、(a)は布切りメスの一回目の下降動作によって布に一旦切り込みを入れた状態の図、(b)は布送りの方向を示した図、(c)は布切りメスの二回目の下降動作を示す図である。
【図15】ボイスコイルモータにより張力可変制御される糸調子の構成を示した断面図である。
【図16】ボイスコイルモータによるアクティブテンション機能を有した糸調子による縫い目の作用を示すもので、(a)は1針目を含む縫い始め部を示した図、(b)は止め縫い部に入って最終針までを示した図である。
【図17】第2の実施の形態例を示すもので、図2と同様の内部機構の概略斜視図である。
【図18】第3の実施の形態例を示すもので、図2と同様の内部機構の概略斜視図である。
【図19】第4の実施の形態例を示すもので、図2と同様の内部機構の概略斜視図である。
【図20】針振り機構の別の実施例としての第5の実施の形態例を示すもので、図3と同様の内部機構の概略斜視図である。
【図21】第6の実施の形態例を示すもので、図3と同様の内部機構の概略斜視図である。
【図22】第7の実施の形態例を示すもので、布切りメスを機械的な駆動機構により上下動させる例としての駆動系を示した斜視図である。
【図23】第8の実施の形態例を示すもので、布切りメスの駆動系を示した斜視図である。
【図24】布切りメス取付構造の一般例を示した分解斜視図である。
【図25】第9の実施の形態例を示したもので、判別部の構成を示す分解斜視図である。
【図26】図25の一部を変更した判別部の構成を示す分解斜視図である。
【図27】布切りメスの形状例を示すもので、(a)は通常の布切りメスを示した図、(b)及び(c)は第10の実施の形態例を示したもので、(b)は逃げ穴を設けた布切りメスを示した図、(c)は切欠部を設けた布切りメスを示した図である。
【図28】逃げ穴と対応するプッシュスイッチ部を有する判別スイッチを取り付けたもので、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図29】切欠穴と対応するプッシュスイッチ部を有する判別スイッチを取り付けたもので、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図30】布押えと布切りメスの関係を例示した斜視図である。
【図31】第11の実施の形態例として布保持腕の先端部側に判別センサを設けた場合を示した斜視図である。
【図32】上糸はさみ及びその駆動機構を示した斜視図である。
【図33】上糸はさみとカムとの関係を示した平面図である。
【図34】上糸を保持して布送りと同じ方向に上糸はさみを移動させた状態を示す平面図である。
【図35】ボタン穴かがりミシンの制御ブロック構成図である。
【図36】操作パネルの正面図である。
【図37】図35の制御ブロックに基づいて制御が行なわれるゼネラルフローチャートである。
【図38】操作パネル設定処理(ステップS1)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図39】設定項目図表である。
【図40】ボタン穴かがり部の諸元を示した図である。
【図41】パターン変更処理(ステップS106)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図42】パラメータ変更処理(ステップS108)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図43】スピード変更処理(ステップS110)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図44】糸通しモード(ステップS112)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図45】糸通しの際の針とその後ろ側の布切りメスの位置関係を示すもので、(a)は側面図、(b)は布切りメスに対し右側に針を最大に振った状態を示した正面図である。
【図46】布切りメスに対し左側に針落ちした最終針の場合を示す図である。
【図47】釜合わせモード(ステップS114)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図48】釜合わせモードを説明するもので、(a)は布切りメスの右側に針が停止した状態を示す正面図、(b)は針を布押えの針穴中央に移動させる状態を示す平面図、(c)は針棒を下降させる状態を示す正面図、(d)は針棒を停止位置より下降させた状態の正面図である。
【図49】縫製データ作成(ステップS3)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図50】拡大・縮小処理(ステップS31)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図51】ボタン穴かがり縫製の拡大・縮小を説明するもので、(a)は拡大・縮小の基準点を示した図、(b)は各部の呼称を示す図である。
【図52】押え・メスサイズチェック(ステップS32)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図53】パターン演算(ステップS35)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図54】右回りの縫製順序を示した図である。
【図55】縫製データ演算結果を示す図表である。
【図56】縫い始め位置演算(ステップS351)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図57】メス落ち中心位置の決定を示す図である。
【図58】左平行部演算(ステップS352)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図59】第1閂止め部演算(ステップS353)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図60】第1閂止め部の縫製半ばまでの詳細を解析した図である。
【図61】右平行部演算(ステップS354)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図62】第2閂止め部演算(ステップS355)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図63】縫い終わり演算(ステップS356)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図64】メス駆動タイミング演算(ステップS36)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図65】メス駆動回数に応じたメス駆動の作動時期である針数を示した図表である。
【図66】ボタン穴かがり部分の諸元を示した図である。
【図67】Y送りから布切りメスの動作タイミングをとるために送りセンサ及びメス落ちスイッチを設けた構成例を示す斜視図である。
【図68】布切りメスの2回上下動を説明するもので、(a)は布切りメスの1回目の上下動による布切りを行った後を示した斜視図、(b)は布切りメスの2回目の上下動による残り分の布切りを行った状態を示した斜視図である。
【図69】布切りメスの2回上下動を説明するもので、(a)は一回目のメス落ちと2回目のメス落ちとを重ねることを示した図、(b)は大きく重なった場合を示した図である。
【図70】メス落ちタイミングの変更を示した図である。
【図71】メス落ち位置全体の移動を示した図である。
【図72】機械原点検索(ステップS5)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図73】縫製(ステップS15)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図74】TG割込み処理(ステップS160)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図75】針上位置割込み処理(ステップS162)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図76】メス駆動処理(ステップS1625)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図77】布切りメス下降(ステップS16264)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図78】送り基準割込み処理(ステップS164)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図79】布切りメスカウンタ割込み(ステップS165)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図80】メス駆動チェック(ステップS1654)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図81】制御方式の変更例を示すもので、図37のゼネラルフローの一部を変更したゼネラルフローチャートである。
【図82】ボタン穴かがりの諸元を示した図である。
【図83】縫製処理(ステップS22)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図84】縫製処理▲1▼(ステップS222)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図85】縫製処理▲3▼(ステップS225)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図86】先メスと後メスと中メスの相違を示したもので、(a)はボタン穴かがり縫い目縫製前の先メスを示す図、(b)はボタン穴かがり縫い目縫製終了後の後メスを示す図、(c)はボタン穴かがり縫い目縫製中の中メスを示す図である。
【図87】先メスの場合のボタン穴かがり縫い目の状態を示したもので、(a)は先メスによる上布と下布の切断を示した側面図、(b)は針がボタン穴を通って下糸と上糸の結節による縁かがりを示した側面図、(c)はボタン穴に布地の地糸(織り糸)が残らない状態を示した側面図である。
【図88】後メス・中メスの場合のボタン穴かがり縫い目の状態を示した側面図である。
【図89】左回りパターン演算(ステップS38)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図90】左回りの縫製順序を示した図である。
【図91】縫製データ演算結果を示した図表である。
【図92】針振り機構の左回り・右回りを説明するもので、(a)は基線の移動を示す正面図、(b)は同じく側面図である。
【図93】同じく針振り機構の左回り・右回りを説明するもので、(a)は針振り量の変化を示す正面図、(b)は同じく左側面図、(c)は同じく右側面図である。
【図94】ボタン穴かがり部分の諸元を示した図である。
【図95】設定項目図表である。
【図96】縫い始め位置演算(ステップS381)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図97】右平行部演算(ステップS382)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図98】第1閂止め部演算(ステップS383)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図99】第2閂止め部演算(ステップS385)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図100】縫い終わり演算(ステップS386)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図101】図47の釜合わせモード(ステップS114)のサブルーチンの処理追加例1を示したフローチャートである。
【図102】図101と同様に釜合わせモード(ステップS114)のサブルーチンの処理追加例2を示したフローチャートである。
【図103】ミシン主軸角度合わせ(ステップS1152)のサブルーチンを示したフローチャートである。
【図104】ミシン主軸角度合わせ(ステップS1152)の変更例としてのサブルーチンを示したフローチャートである。
【図105】電源遮断用のリレーの配置を示した回路構成図である。
【図106】電源遮断用のリレーの変更例としての配置を示した回路構成図である。
【図107】図44の糸通しモード(ステップS112)のサブルーチンの処理追加例1を示したフローチャートである。
【図108】図107と同様に糸通しモード(ステップS112)のサブルーチンの処理追加例2を示したフローチャートである。
【図109】メス駆動タイミング演算(ステップS36)のサブルーチンの処理追加例を示したフローチャートである。
【図110】鳩目ボタン穴かがり縫い目を例示する図である。
【図111】基線の反転により針落ち点を順次設定する例を示した図である。
【図112】図111の針落ち点の位置を数値的に表した図表である。
【図113】針振り側針落ちの時の針落ち点1のずれを示した図である。
【図114】振り幅量を0として基線のみの移動にて鳩目ボタン穴かがり縫い目を形成する場合を示した図である。
【図115】図114の針落ち点の位置を数値的に表した図表である。
【図116】基線位置を0(針穴中央)として針振り量の増減により鳩目ボタン穴かがり縫い目を形成する場合を示した図である。
【図117】図116の針落ち点の位置を数値的に表した図表である。
【図118】針位置センサを設けた例を示す斜視図である。
【図119】図119Aは、本願発明の糸切り機構の動作タイミングチャート、図119Bは、他の実施例の糸切り機構の動作タイミングチャートである。
【図120】本実施例における上糸はさみの移動位置を説明する図である。
【符号の説明】
1 ミシンフレーム
2 ベッド
3 縦胴部
4 アーム
5 ミシンモータ
6 上軸
8 針棒
9 針
11 下軸
12 釜
14 布保持板
15 布押え(枠状クランプ体:布クランプ部材)
16 布切りメス(上下動メス)
18 針棒揺動台
19 糸調子
20 パルスモータ(送りモータ:電気的駆動手段)
20a ピニオン
21 送り機構(連結手段)
22 送り軸
22a ラック
22b 係合ピン
24 布保持腕
27 送りねじ
28 溝カム
28a カム溝
29 パルスモータ(送りモータ:電気的駆動手段)
30 布切りメス用エアーシリンダユニット(メス動作用の電気的駆動手段)
31 メス取付板
34a、34b 布切りメス上下位置検出センサ(メス上下位置検出手段)
40 基線モータ(基線変更用駆動手段)
41 振り幅モータ(針振り幅変更用駆動手段)
42 針振り機構
43 基線用アーム
44 基線用レバー
45 連結リンク
46 針振りカムレバー
47 針振りレバー
48 連結軸
49 針振り腕
54 針振りカム
55 振り幅用アーム
56 振り幅用レバー
57 基線原点検出センサ(基線位置検出手段)
58 振り幅原点検出センサ(針振り幅検出手段)
59 針振り左右位置検出センサ(針振り左右位置検出手段)
60 ボイスコイルモータ
75 ソレノイド(メス動作用の電気的駆動手段)
77 判別スイッチ
80 糸切り手段のモータ
86 固定刃
87 可動刃
91,92 カム
162 送りセンサ(縫い移動位置検出手段)
164 メス落ちスイッチ(メス下降開始時期設定手段)
172 電源ケーブル
173,176 電源スイッチ
174,182 電源リレー
191 針位置センサ

Claims (1)

  1. 布保持板との間に布を挟む枠状の布クランプ部材の前記枠内にボタン穴かがり縫い目を形成し、
    そのボタン穴かがり縫い目形成後、糸切り手段が移動することによって、布と針とに連なる針糸を前記布クランプ部材の上方において切断し、当該切断した糸の針に連なる側の糸端を保持し、ボタン穴かがり縫い目形成開始時に糸切り手段が移動することによって、当該保持した糸を解放するボタン穴かがりミシンにおいて、
    前記糸切り手段を移動するパルスモータと、
    前記ボタン穴かがり縫い目形成開始時に、前記糸切り手段を前記パルスモータにより前記布クランプ部材に同期して移動すると共に、前記糸切り手段が保持した糸端を解放する位置を変更可能に前記パルスモータの駆動を制御する制御手段と、
    を備えたこと、を特徴とするボタン穴かがりミシンの糸切り制御装置。
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