JP4315361B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回収溶剤処理方法及びその方法を用いた溶液製膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアシレート、特に57.5〜62.5%の平均酢化度を有するセルローストリアセテートから形成されたフイルム(以下、TACフイルムと称する)は、その強靭性と難燃性とから写真感光材料の支持体などとして利用されている。また、TACフイルムは、光学的等方性に優れていることから、近年市場の拡大している液晶表示装置の偏光板の保護フイルムやカラーフィルタの用途に適している。
【0003】
TACフイルムは、一般的に溶液製膜方法により製造されている。溶液製膜方法は、メルトキャスト法などの他の製造方法と比較して、光学的性質や物性が優れたフイルムを製造することができる。溶液製膜方法は、ポリマーを溶剤(主に有機溶剤)に溶解してドープを調製した後に、このドープをバンドやドラムなどの支持体に流延して製膜するものである。なお、乾燥工程で揮発するドープ中の溶剤は、環境保全あるいは経済性の観点から回収されている。そして、この回収された溶剤の水分を除去して成分を調整した後に、この回収溶剤を再度ドープ調製溶剤として用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように回収溶剤をドープ調製溶剤として用いる場合に、フイルムの乾燥工程で揮発した溶剤ガスを回収して吸着処理した溶剤(主に有機溶剤が用いられている)には、溶液製膜工程で発生した酸成分が含まれている。この酸成分としては、乾燥工程で溶媒の熱分解により発生する酸、ガスの吸着回収工程での溶媒の加水分解により発生する酸などが挙げられる。また、酸成分を多量に含む溶剤をドープ調製溶剤に用いた場合、その酸により溶液製膜工程に用いられている製膜ラインを腐食させる場合もあり、ドープ調製溶剤に含まれる酸成分を調整することは極めて重要な問題である。
【0005】
本発明は、回収溶剤を再利用することができるようにした回収溶剤処理方法及びその方法を用いた溶液製膜方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、回収溶剤の酸成分について鋭意研究したところ、回収溶剤の蒸留処理前にアルカリを過剰に添加して、回収溶剤に含まれている酸成分を中和することで、フイルムを写真感光材料として用いた場合に、感光材料への悪影響を与えることなく回収溶剤の再利用が図れることを見出した。また、蒸留分離後の排水は酸を加えて中和することで廃棄が可能になる。
【0007】
本発明は、塩化メチレンを含む溶剤にポリマーが溶解した溶液を支持体に流延してフィルムとして支持体から剥がし、このフィルムをテンターで所定幅に引き延ばして乾燥した後に、複数のローラに巻きかけて搬送しながらさらに乾燥する溶液製膜方法において、前記流延から前記テンターの乾燥までの間に揮発した溶剤を、回収する第1回収工程と、テンターより下流で揮発した溶剤を、回収する第2回収工程と、を有し、前記第1回収工程は、前記支持体と前記テンターとを含む第1ゾーンの第1ガスを凝縮して第1凝縮液とする第1凝縮工程と、第1ガスに含まれていた溶剤を凝縮液から分離して第1精製溶剤とする分離工程と、を含み、前記第2回収工程は、前記複数のローラが配された第2ゾーンの第2ガスを吸着層に送り、第2ゾーンで揮発した溶剤を吸着層に吸着して脱着ガスで脱着する吸着脱着工程と、脱着された前記溶剤を凝縮して第2凝縮液とする第2凝縮工程と、第2凝縮液にアルカリ溶液を加えて中和する中和工程と、中和された前記第2凝縮液を蒸留して第2精製溶剤とする蒸留工程とを含み、前記中和工程では、前記第2精製溶剤における水素イオン指数が6.3以上6.9以下となるように、中和可能な量よりも多い前記アルカリ溶液を前記第2凝縮液に加えることを特徴として構成されている。
【0008】
中和工程を行う抽出塔に上方から第2凝縮液を送り込んで下降させることにより、抽出塔に下方から送り込まれる前記アルカリ溶液と接触させて前記中和を行うことが好ましい。
【0009】
第1精製溶剤と、第2精製溶剤とを混合して、新たなポリマーを溶解するための溶剤として再利用することが好ましい。
【0010】
前記溶液は、トリフェニルフォスフェートを含むことが好ましい。また、前記ポリマーがセルロースアシレートであることが好ましく、より好ましくはセルロースアセテートであり、最も好ましくはセルローストリアセテートである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る溶液製膜方法に用いる製膜ラインを図1に示し、フイルムの製造方法について説明する。さらに、本発明に係る回収溶剤処理方法に用いるラインを図2に示し、回収溶剤処理方法について説明する。
【0012】
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されない。しかしながら、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に、セルロースアセテートを使用することが好ましい。さらに、このセルロースアセテートの中では、その平均酢化度が57.5ないし62.5%のセルローストリアセテートを使用することが最も好ましい。酢化度とは、セルロース単位重量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。本発明では、セルロースアシレート粒子を使用し、使用する粒子の90重量%以上が0.1ないし4mmの粒子径、好ましくは1ないし4mmを有する。また、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上の粒子が0.1ないし4mmの粒子径を有する。さらに、使用する粒子の50重量%以上が2ないし3mmの粒子径を有することが好ましい。より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上の粒子が2ないし3mmの粒子径を有する。セルロースアシレートの粒子形状は、なるべく球に近い形状を有することが好ましい。
【0013】
[溶剤]
本発明に用いられる溶剤としては、ハロゲン化炭化水素、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類などがあるが、特に限定されない。溶剤は、市販品の純度であれば、特に制限される要因はない。溶剤は、単独(100重量%)で使用しても良いし、炭素数1ないし6のアルコール、ケトン、エステル、エーテルを混合して使用するものでもよい。使用できる溶剤の例には、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、メチルホルメート、エチルアセテート、アミルアセテート、ブチルアセテートなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなど)などが挙げられる。
【0014】
[添加剤]
本発明で用いられる添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤などがある。可塑剤としては、リン酸エステル系(例えば、トリフェニルホスフェート(以下、TPPと称する)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェートなど)、フタル酸エステル系(例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、グリコール酸エステル系(例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなど)及びその他の可塑剤を用いることができる。
【0015】
ドープには、紫外線吸収剤を添加することもできる。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物及びその他の紫外線吸収剤を用いることができる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。
【0016】
さらにドープには、必要に応じて種々の添加剤、例えば、離型剤、剥離促進剤、フッ素系界面活性剤などをドープの調製前から調製後のいずれかの段階で添加してもよい。
【0017】
[溶液製膜方法]
フイルム製膜装置10は、バンドゾーン11と乾燥ゾーン12とに分けられる。ドープ13が仕込まれている仕込みタンク14が、ポンプ15とフィルタ16とを介してフイルム製膜装置10に接続している。また、仕込みタンク14には、撹拌棒17が取り付けられ、ドープ13を均一にする。ドープ13は、前述したTAC粒子と溶剤とを混合し、TAC粒子を溶剤により膨潤させ作成する。また、ドープには、可塑剤及び紫外線吸収剤などの添加剤を混合することもできる。本発明において、ドープを調製する溶剤には、市販品の溶剤にフイルム製膜装置10から回収された溶剤を混合して使用することができる。溶剤の回収については、後述する。
【0018】
図1において、バンドゾーン11には、ローラ20、21に掛け渡された流延バンド22が設けられており、この流延バンド22は、図示しない駆動装置により回転する。流延バンド22の上には、流延ダイ23が設けられている。ドープ13は、仕込みタンク14からポンプ15により送液され、フィルタ16で不純物が除去された後に流延ダイ23に送られる。流延ダイ23は、ドープ13を流延バンド22上に流延する。ドープ13は流延バンド22で搬送されながら徐々に乾燥し、剥ぎ取りローラ24によって流延バンド22から剥ぎ取られフイルム25が形成される。さらに、フイルム25は、テンタ26により所定の幅に引き伸ばされ、搬送されながら乾燥される。
【0019】
バンドゾーン11内では、ドープ13中の溶剤は、揮発してガスとなって熱交換器40に送り出される。バンドゾーン11内では、乾燥初期であるため多量の溶剤が揮発する。多量の揮発した有機溶剤を含んだガスは凝縮器41で凝縮液化され、液体は、回収溶剤42として凝縮回収される。また、液化しなかったガスは、送風器43により熱交換器40に送られて、加熱器45で加熱されて再度バンドゾーン11に送られ、乾燥風として再利用される。
【0020】
回収溶剤42は、溶剤処理装置45に送られ水分が除去された精製溶剤46と廃液47とに分離される。廃液47は、廃棄処理がなされる。溶剤処理装置45における精製溶剤46と廃液47との分離は、溶剤の沸点の違いを利用した蒸留分離により水分を除去する方法により行なわれる。なお、蒸留分離の代表的な装置として、連続精留装置が挙げられるが、この装置に限定されるものではない。また、その装置を用いずに、例えばシリカゲルなどに水分を除去することによって精製溶剤46を得ることもできる。
【0021】
テンタ26から乾燥ゾーン12に送られたフイルム25は、乾燥ゾーン12内で、複数のローラ27に巻き掛けられて乾燥する。乾燥後のフイルム25は、巻き取り機28に巻き取られる。乾燥ゾーン12内の温度は、50〜150℃の範囲に制御されていることが、フイルムの均一な乾燥のために好ましい。
【0022】
乾燥ゾーン12内で揮発した溶剤を含み熱風であるガス(以下、熱風ガスとも称する)50は、熱交換器51に送り込まれた後に、送風器52により冷却器53に送風される。冷却器53により冷却されたガス50は、前処理活性炭54により添加剤除去工程で除去されなかった揮発した添加剤の一部が除かれる。次に、除湿器55によってガス50中に含まれる水分が除去される。さらに、ガス50は、送風器56により吸着層57、58、59のいずれかに切替バルブ(図示しない)により選択的に送られ、ガス50中に含まれていた揮発した有機溶剤が吸着層57、58、59によって吸着される。また、吸着処理後のガスは、温度調節器60により所定の温度に調節される。その後にガス(以下、冷風ガスとも称する)61は、送風器62により熱交換器51に送り込まれ、前述した熱風ガス50と熱交換がなされ加熱された後に、加熱器63によって所定の温度まで加熱され、再度、乾燥ゾーン12内に送り込まれ、乾燥風として再利用される。
【0023】
吸着層57、58、59に吸着された揮発有機溶剤成分は、脱着ガス64により脱着し、凝縮器65へ送り出される。脱着ガス64は凝縮器65で凝縮液化され、液体は回収溶剤66として吸着回収される。また、液化しないガス成分は、再度、送風器56に送り出され、吸着層57、58、59に送り込まれる。
【0024】
回収溶剤66は、回収溶剤処理装置67に送られ水分が除去された精製溶剤68と廃液69とに分離される。なお、この回収溶剤処理装置67による精製溶剤68と廃液69との分離方法については、後に図2を用いて詳細に説明する。精製溶剤46、68は、溶剤成分調整装置70に送られ、混合されるた後に、ドープ調製溶剤として再利用される。
【0025】
[回収溶剤処理方法]
図2に示すように回収溶剤処理装置67には、抽出塔80、蒸留塔81が備えられている。始めに、凝縮器65で吸着回収された回収溶剤66は、抽出塔80に送られて中和処理がなされる。なお、抽出塔80に回収溶剤66を送り込む際に、酸性の回収溶剤66の一部を抜き取り公知の中和滴定法により、その規定度Na1を測定する。
【0026】
抽出塔80には、アルカリ溶液タンク82がポンプ83を介して、抽出塔80の下方に接続している。アルカリ溶液タンク82には、回収溶剤66の酸成分を中和するためにアルカリ溶液84が注入されている。アルカリ溶液84の必要量(アルカリ溶液84の規定度Nb ×添加量)は、前述した回収溶剤66の酸(酸の規定度Na1×処理量)を中和処理するために過剰に添加することが好ましい。アルカリ溶液84を過剰に加えないと、回収溶剤66中の酸成分の中和が完了しない場合がある。また、アルカリ溶液84の溶質であるアルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることが好ましい。また、溶媒にはこれら溶質の溶解性及び工程における回収溶剤との分離の点から水を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0027】
回収溶剤66は、抽出塔80の上方から送り込まれ、下方へ沈降しながらアルカリ溶液84と接触して中和される。そして、中和済みの溶剤85として、抽出塔80の下方から抜き出される。また、アルカリ溶液84は、抽出塔80の上方からオーバーフローしてアルカリ廃液86として廃棄処理される。溶剤85は、次に蒸留塔81に送り込まれ、溶剤85に含まれている溶剤の中でドープ調製溶剤として用いる成分を蒸留することにより精製溶剤68が得られる。本発明において、蒸留法は特に限定されるものではないが、精製溶剤68の純度を考慮した場合に、精留を行なうことが好ましい。この精製溶剤68を公知の中和滴定を行なうことで、その規定度Na2を測定する。本発明において、この規定度Na2が6.0×10-7N以下であることが、ドープ調製溶剤として再利用するために好ましい。
【0028】
図2において、回収溶剤66を中和するために抽出塔80にアルカリ溶液84を送液して回収溶剤66を中和したが、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、回収溶剤66を仕込みタンク(図示しない)に注入し、アルカリ性物質を、中和による発熱に注意しながら仕込みタンクに固体のまま添加する方法などで行なうこともできる。
【0029】
また、図2では、中和済みの溶剤85からドープ調製溶剤を単離するために蒸留塔81を用いたが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、抽出法や吸収法により中和済み溶剤85からドープ調製溶剤のみを単離することもできる。
【0030】
蒸留塔81で蒸留されなかった溶剤85の成分は、缶出液87として蒸留塔81から適宜抜き出される。缶出液87は、缶出液処理用の受け器88に送り込まれる。受け器88には、酸89が注入されている酸用タンク90がポンプ91を介して接続している。缶出液87の一部を公知の中和滴定法により、その規定度Nc を測定する。この規定度Nc の値に基づいて、受け器88から送り出される廃液69のpHが6〜8になるように酸89の送液量をポンプ91により調整する。このように廃液69を弱酸性から中性にすることで、最終廃液処理装置(図示しない)による廃液69の処理を容易にする。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。また、説明において、実施例1で詳細に説明し、その他の実施例及び比較例については、実施例1と同じ点については説明を省略している。
【0032】
[実施例1]
溶剤には、塩化メチレン(92重量%)、メタノール(8重量%)の混合溶剤を用いた。なお、この混合溶剤は、製膜ラインから回収され処理された精製溶剤68を90重量%含むものを用いた。この溶剤に、セルローストリアセテート(酢化度61%)17重量%、TPP2.7重量%,ベンゾトリアゾール系UV吸収剤1.0重量%を加え、ドープを調製した。ドープを膨潤させた後に窒素雰囲気下で、オートクレープ内に導入して、160℃、0.98MPaで10分間溶解し、ドープを濾過した。その後に図1に示した製膜ラインを用いて、50℃で流延バンド22上に流延した。流延は、乾燥後のフイルムの厚みが80μmになるように行った。乾燥した後、流延バンド22からフイルム25を剥ぎ取り、テンタ26で10分間搬送しながら乾燥した。さらに乾燥ゾーン12でフイルム25を130℃,30分間乾燥して、サンプルを得た。
【0033】
図1に示した製膜ラインで吸着回収された回収溶剤66を図2に示した回収溶剤処理装置67により精製溶剤68とした。始めに、回収溶剤66の規定度Na1を中和滴定法により測定したところ、Na1=1.0×10-5(pH=5.0)であった。なお、中和滴定は、公知の方法により行なった。そして、この回収溶剤66を1500kg/hrの速度で抽出塔80に送液した。
【0034】
また、抽出塔80には、水酸化ナトリウム水溶液(重量百分率=10%、規定度Nb =2.8N)を抽出塔80に1kg/hrで送液して、回収溶剤66を中和した。また、中和された塩化メチレンを主に含む溶剤85をさらに蒸留塔81に送り込み、精留して精製溶剤68を得た。精製溶剤68の規定度Na2を中和滴定法により測定したところ、5.0×10-7N(pH=6.3)であった。また、精製溶剤68の組成をガスクロマトグラフィー(以下、GCと称する)により測定したところ、副生成物は見られずに、ドープ調製溶剤として再利用が可能であった(○)。
【0035】
[実施例2及び実施例3]
水酸化ナトリウム水溶液84の送液量をそれぞれ4kg/hr、10kg/hrとした以外は、実施例1と同じ条件で実験を行ない評価も行なった。実験結果については、後に表1にまとめて示す。
【0036】
[比較例]
水酸化ナトリウム水溶液84の送液量を0.6kg/hrとした以外は、実施例1と同じ条件で実験を行ない評価も行なった。精製溶剤68をGCにより成分比を測定したところ、副生成物であるアルデヒドが検出され、ドープ調製溶剤として再利用は不可能であった(×)。
【0037】
【表1】
Figure 0004315361
【0038】
表1から、水酸化ナトリウム水溶液の添加量を1kg/hr以上にした場合には、精製溶剤の酸の規定度が6.0×10-7以下となりドープ調製溶剤として再利用が可能であることが分かる。また、水酸化ナトリウム水溶液の送液量をさらに増やした場合には、当然精製溶剤の酸の規定度は小さくなるが、この場合には多量の水酸化ナトリウム水溶液が必要になり、そのアルカリ廃液の処理も困難になる。また、抽出塔も大きなものでなければ、中和処理が行なえなくなるために、コストの点から不利である。そこで、本発明では、前述した水酸化ナトリウム水溶液を中和剤として用いた場合には、本装置においては1〜10kg/hrの送液量が好ましいことが分かる。しかしながら、本発明においてアルカリ溶液の送液量は前述した範囲に限定されるものではない。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明の溶剤処理回収方法によれば、溶剤を含むガスを回収して、その溶剤を再利用する回収溶剤処理方法であって、前記溶剤を含むガスからその溶剤を回収する第1の工程と、前記回収溶剤を中和する第2の工程と、前記中和された回収溶剤を単離する第3の工程とを含むから、連続して酸性の溶剤の中和処理が可能になる。
【0040】
また、本発明の回収溶剤処理方法によれば、溶剤を含むガスを回収して、その溶剤を再利用する回収溶剤処理方法であって、前記溶剤を含むガスからその溶剤を回収する第1の工程と、記回収溶剤を中和する第2の工程と、前記中和された回収溶剤を単離する第3の工程とを含み、前記第1の工程で回収された溶剤が酸性である場合であって、前記第2の工程で、前記酸性溶剤とアルカリとを混合し、その酸性溶剤を中和する際に、前記酸性溶剤の酸を中和するのに必要なアルカリ量を過剰なアルカリ溶液を混合するから、回収溶剤の再利用が可能になる。
【0041】
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーを溶剤に溶解した溶液を流延して、フイルムを製膜する溶液製膜方法において、前記フイルムを乾燥する際に発生する溶剤を含むガスから、本発明に係る回収溶剤処理方法によりその溶剤を単離して、ポリマーを溶解する溶剤として再利用するから、連続してフイルムの製造ができ、溶剤を回収処理しながら使用するために溶剤使用量の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶液製膜方法に用いられる製膜ラインの概略図である。
【図2】本発明に係る回収溶剤処理方法に用いられる回収溶剤処理装置の概略図である。
【符号の説明】
10 フイルム製膜装置
13 ドープ
25 フイルム
65 凝縮器
66 回収溶剤
67 溶剤処理装置
68 精製溶剤
69 廃液
80 抽出塔
81 蒸留塔
82 アルカリ溶液
85 溶剤
89 酸

Claims (5)

  1. 塩化メチレンを含む溶剤にポリマーが溶解した溶液を支持体に流延してフィルムとして前記支持体から剥がし、このフィルムをテンターで所定幅に引き延ばして乾燥した後に、複数のローラに巻きかけて搬送しながらさらに乾燥する溶液製膜方法において、
    前記流延から前記テンターの乾燥までの間に揮発した前記溶剤を、回収する第1回収工程と、
    前記テンターより下流で揮発した前記溶剤を、回収する第2回収工程と
    を有し、
    前記第1回収工程は、前記支持体と前記テンターとを含む第1ゾーンの第1ガスを凝縮して第1凝縮液とする第1凝縮工程と、前記第1ガスに含まれていた前記溶剤を前記凝縮液から分離して第1精製溶剤とする分離工程と、を含み、
    前記第2回収工程は、前記複数のローラが配された第2ゾーンの第2ガスを吸着層に送り、前記第2ゾーンで揮発した前記溶剤を前記吸着層に吸着して脱着ガスで脱着する吸着脱着工程と、脱着された前記溶剤を凝縮して第2凝縮液とする第2凝縮工程と、前記第2凝縮液にアルカリ溶液を加えて中和する中和工程と、中和された前記第2凝縮液を蒸留して第2精製溶剤とする蒸留工程とを含み、
    前記中和工程では、前記第2精製溶剤における水素イオン指数が6.3以上6.9以下となるように、中和可能な量よりも多い前記アルカリ溶液を前記第2凝縮液に加えることを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記中和工程を行う抽出塔に上方から前記第2凝縮液を送り込んで下降させることにより、前記抽出塔に下方から送り込まれる前記アルカリ溶液と接触させて前記中和を行うことを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記第1精製溶剤と、前記第2精製溶剤とを混合して、新たなポリマーを溶解するための溶剤として再利用することを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記溶液は、トリフェニルフォスフェートを含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の溶液製膜方法。
  5. 前記ポリマーがセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の溶液製膜方法。
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