JP4315270B2 - コインホッパ - Google Patents

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【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、投入されたバラ積み状態のコインを一個ずつ強制的に送り出すためのコインホッパに関する。
特に、本発明はゲーム機に使用されるメダルやトークンを一個ずつ送り出すことができるコインホッパに関する。
更に具体的には、大量のメダルやトークンを使用するゲーム機に好適な、限られたスペース内のコイン収納量が多いコインホッパに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の説明において、コイン、メダル、トークン等を総称して「コイン」という。
この種のコインホッパとしては、米国特許明細書第5190495号に開示された技術が知られている。
【0003】
従来技術を図10に基づいて説明する。
1はコインホッパであって、2は斜めに固定された基板、3は基板2に隣接して設けられた公知の回転ディスクであり、その軸線4は傾斜している。
回転ディスク3は、基板2を貫通する減速機17の出力軸6に固定されている。
減速機17は、モータ5により駆動される。
回転ディスク3には、1つのコインが通過できる整列孔7が等間隔で複数設けてある。
前記整列孔7を通過したコインは、回転ディスク3下面のポケット8に保持され、所定位置で一個ずつ払い出される。
9は、回転ディスク3と同心状に基板2に固定した円筒状の保持体である。
【0004】
円筒状のシリンダ10が、前記保持体9に隣接して回転可能に設けてある。シリンダ10は、前記軸線4が内部に位置するよう傾斜している。シリンダ10の内周面は、掻き混ぜ片11A、11Bが突設してある。シリンダ10は、外周面に形成した歯車12がモータ13の出力軸に固定した歯車14と噛み合っており、適宜回転される。15は、シリンダ10に隣接して固定配置したコインボウルである。コインボウル15に投入されたコインは、量が多いときはシリンダ10の中空部を通過して保持体9に到達する。その後、回転ディスク3の回転により整列孔7を通過したコインが一個ずつ払い出される。コインの量が少なくなると、シリンダ10の回転により掻き混ぜ片11A、11Bなどにより掻き上げられたコインが、シリンダ10が傾いていることにより保持9に落下する。その後、前述のように回転ディスク3の回転により1個ずつ払い出される。
【0005】
前記装置によれば、以下のメリットがある。
第1に、コインがブリッジを形成したために回転ディスク3がコインを払い出せなくなった場合、モータ13を回転させることによりシリンダ10を回転動させると、コインのバランスが崩れてブリッジを解消できる。
第2に、シリンダ10の底面を回転ディスク3よりも下方に配置できるから、コインの収納量を増加することができる。
【0006】
しかし、この装置は次のデメリットがある。すなわち、コインボウル15に投入されたバラ積み状態のコインは、全てシリンダ10を通って、保持9、次いで回転ディスク3に順次移動する。このため、コインボウル15が満杯状態のときにはシリンダ10内も満杯である。この状態でシリンダ10を回転させようとすると、シリンダ10にはその内部のコインの重量の他、コインボウル15内のコインの重量も加わっているため各部の回転抵抗が大きく、トルクの大きなモータを使わねばならない。これにより、コインが満杯の高負荷状態で作動可能なモータを選定せねばならず、ランニングコストが高くなるとともに、イニシャルコストも高くつく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、コインボウルの容量を大幅に増加してもコインブリッジが発生しないコインホッパを提供することである。
第2の目的は、ランニングコスト及びイニシャルコストを低く抑えることができるコインホッパを提供することである。
第3の目的は、無端帯状コイン搬送装置からコイン送り出し装置へのコインの受け渡しを確実に行うことである。
【0008】
コイン送り出し用の回転ディスクと、
この回転ディスクが内底部に傾斜設置され、かつ前記回転ディスクの上面の前方に位置してコインが前記回転ディスク側へ自重で滑落するよう傾斜する底壁上にコイン保留部を構成する主ボウルと、
前記主ボウルに隣接すると共に前記底壁の下側にも位置する補助コイン保留部を構成する補助コイン保留体と、
前記補助コイン保留部から前記回転ディスク側に循環移動され、かつ、前記補助コイン保留体の下方部に形成された補助コイン供給口を介してコインを無端帯状の内面で受け取り保持して前記回転ディスクより上方の位置に設置した受渡装置に送る無端帯状コイン搬送装置と、
前記無端帯状コイン搬送装置が回転案内されるように設けられている案内溝と、
前記無端帯状コイン搬送装置から受け取ったコインを前記コイン保留部へ送る前記受渡装置とを含み、
前記受渡装置は、前記主ボウル、前記補助コイン保留体などを収容するハウジングの壁面から突設した円筒状の軸受に回転自在に外嵌めした円形の筒体であって、その外周部には複数の区割形成された保持空間を有し、かつ前記無端帯状コイン搬送装置がその垂立側部から上部に巻回されて前記無端帯状コイン搬送装置と共に回転することによって前記保持空間にコインを保持して移送する檻型構造の回転かごと、
前記軸受の上部周面を窪ませて形成したシュートとより構成され、
前記回転かごと前記無端帯状コイン搬送装置の共同回転によりコインが前記保持空間に保持されて前記上部周面の窪みの位置に来たときに、当該コインを前記保持空間から前記シュートに落下可能となるようにすると共に、前記シュートの底面を当該落下コインが滑落し前記コイン保留部へと導入し得るように傾斜して形設し、
前記回転かごと前記無端帯状コイン搬送装置と共同して前記補助コイン保留部から前記シュートへコインを搬送し、前記コイン保留部に循環供給することを特徴とするコインホッパとしたものである。
【0009】
このコインホッパにおいて、コイン送り出し用の回転ディスク上に載せるコインは、無端帯状コイン搬送装置によって補助コイン保留部からコイン保留部へ送られる。
すなわち、無端帯状コイン搬送装置の作動を制御することにより回転ディスクに供給するコイン量を調整できる。
【0010】
よって、回転ディスク上にブリッジが発生しない程度のコイン量が存在するように制御することにより、コインブリッジは発生することがない。
また、無端帯状コイン搬送装置は、補助コイン保留部から供給される一部のコインのみを搬送すればよいので、駆動力が少なくて良く、イニシャルコスト、ランニングコストを低減できる。
【0011】
さらにまた、前述のように回転ディスク上に全てのコインが存在することが無いので、大容量のモータを採用せずとも良い。
したがって、大容量のモータを使用しないので装置のイニシャルコスト及びランニングコストが減少する。
また、コイン保留部に隣接する補助コイン保留部にコインを保留することができるので、コインホッパ全体としての保留部の容量を増加できる。
特に、コイン保留部の下方のスペースを使用する場合、大幅に容量を増加できる。
【0012】
また、受渡装置は保持空間を備えた回転かごを有し、前記無端帯状コイン搬送装置と共同してコインを搬送するので、コインは保持空間に保持されつつ搬送される。
これにより、コインの受け渡しを確実に行うことができる。
【0013】
また、無端帯状コイン搬送装置は、内面に所定間隔でコインを載置する突条を有することが好ましい。
この構成によれば、無端帯状コイン搬送装置の突条にコインを引っかけて搬送するので、コインを確実に搬送することができる。
したがって、コイン保留部のコイン量の不足を生じることなく、連続してコインを送り出すことが出来る。
【0014】
また、無端帯状コイン搬送装置は、クローラであることが好ましい。
この構成によれば、同一構造のクローラ片を所定個数連鎖することにより無端帯状コイン搬送装置を構成できるので、安価に製造することができる。
【0015】
また、受渡装置は、回転かごの保持空間の下方に、コイン保留部側へ下降する傾斜面を有するシュートであることが好ましい。この構成によれば、シュートに落下したコインは自重で滑落してコイン保留部へ達する。したがって、傾斜面を配置するだけで良いので安価に製造することができ、かつ、ランニングコストも不要である。
【0016】
さらに、コイン保留部のコイン量検知装置を備え、前記検知装置のコイン供給信号に基づいて無端帯状コイン搬送装置を作動する制御装置を有することが好ましい。
この構成によれば、コイン保留部のコイン量が所定量以下になったことをコイン量検知装置によって検知して無端帯状コイン搬送装置を作動する。
したがって、回転ディスク上のコインが無い状態でホッパが作動することがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は実施例全体を斜め上方から見た斜視図。図2は実施例の平面図。図3は図2のX−X線断面図図4は実施例の無端帯状コイン搬送装置と回転かごを分離した状態の斜視図。図5は図2のY−Y線断面図。図6は実施例の受渡装置部の拡大断面図。図7は実施例のハウジングを分離した状態の斜視図。図8は実施例のクローラの拡大図図9は実施例の制御装置である。
【0018】
20はコインホッパであり、ゲーム機等に内蔵される。
21は基板である。
基板21の上面には、一対の直角三角状板22(図3及び図7)を所定の間隔を開けて固定してある。
これら直角三角状板22の斜面にあてがって支持基板24を固定してある。
したがって、支持基板24は傾斜した状態で取り付けられている。
【0019】
回転軸25は、支持基板24の裏面側に固定した減速機26の出力軸である。前記減速機26は、後述のモータ27により駆動される。
回転軸25は、支持基板24に対し軸線が直交するよう配置してある。
回転軸25の上端部に回転ディスクAが固定されている。
【0020】
次に回転ディスクAの構成を説明する。
回転ディスクAは、等間隔で複数形成された整列孔30を有する傾斜状態に配置された傾斜回転ディスク31である。
傾斜回転ディスク31の整列孔30の背面(裏面)にはコインを受け入れ、かつ、所定位置で送り出すためのポケット(図示せず)が形成してある。
この傾斜回転ディスク31は、公知の構造である。
【0021】
支持基板24にバケツ状の主ボウル40を固定してある。
すなわち、主ボウル40の円形開口41内に傾斜回転ディスク31が位置する状態で主ボウル40を支持基板24に取り付けてある。
主ボウル40の上側側壁にコインを供給する開口42が形成してある。
主ボウル40内がコイン保留部Dである。
主ボウル40の底壁43は、コインが傾斜回転ディスク31側へ自重で滑落するよう傾斜している。
【0022】
次にコイン量検知装置44を説明する。
第1電極44Mは、主ボウル40の底壁43の傾斜回転ディスク31の近傍に固定してある。
第2電極44Pは、第1電極44Mの上方の主ボウル40の側壁に固定してある。
矩形漏斗状の増量ボウル45の下端部45Lは、主ボウル40の開口42内に挿入し、スクリュウ46等で固定してある。
【0023】
この増量ボウル45は、図3に図示するように傾斜回転ディスク31の上方へ伸びており、傾斜回転ディスク31上方のデッドスペースをコインの保留に活用している。
この増量ボウル45の底壁45Bは、コインが自重で自然滑落するよう傾斜している。
傾斜回転ディスク31に相対した主ボウル40及び増量ボウル45に隣接して補助コイン保留体51を配置してある。
補助コイン保留体51は、上面が開口している四角筒状である。
上面の開口がコイン投入口52であり、内部が補助コイン保留部53である。
【0024】
補助コイン保留体51の側壁51Fの開口54に主ボウル40の先端部が臨んでいる。
補助コイン保留体51の底壁51Bの端部は、主ボウル40の底壁43に当接してコインが漏れ出ないようにしてある。
したがって、補助コイン保留部53は、補助コイン保留体51と主ボウル40及び増量ボウル45とで画定されている。
この構成により、主ボウル40に隣接する下方もコイン保留部として活用するので、限られたスペースに多くのコインを保留することができる。
【0025】
補助コイン保留体51の無端帯状コイン搬送装置C側の壁面には、補助コイン供給口51Vが開口している。
補助コイン保留体51の底壁51Bは、この補助コイン供給口51Vに向かってコインが自然に滑落するよう傾斜している。
増量ボウル45の補助コイン保留体51側の開口45Vの反対側に、増量ボウル45の側壁の開口45Vと補助コイン保留体51の開口51Hを貫通する樋状のオーバーフローシュート47を配置してある。
【0026】
このオーバーフローシュート47は、板状体をチャンネル状に折り曲げて形成してあり、上端部を増量ボウル45の側壁に固定してある。
オーバーフローシュート47の傾斜底板47Bは、増量ボウル45側から補助コイン保留体51側に向かって下降している。
傾斜底板47Bの下端部47Lは、補助コイン保留部53に位置している。
【0027】
オーバーフローシュート47の上端部47Uは、増量ボウル45内に位置している。
したがって、オーバーフローシュート47の上端部47Uよりも上位に堆積したコインの一部は、傾斜底板47Bに滑落する。
傾斜底板47B上に落下したコインは、傾斜底板47B上を滑落して補助コイン保留部53に落下する。
【0028】
次に無端帯状コイン搬送装置Cの構造を図5、図6を参照して説明する。
無端帯状コイン搬送装置Cは、矩形鍋型のハウジング60と、これに填り合う同形状鍋型の蓋61により構成されるケース63内に配置されている。
【0029】
ハウジング60は、傾斜回転ディスク31の側方において、増量ボウル45の開口45Vにあてがった状態で補助コイン保留体51、直角三角形板22等に固定してある。したがって、増量ボウル45の増量保留部45Aは、増量ボウル45とハウジング60とにより画定されている。
【0030】
ハウジング60の内壁面に、補助コイン供給口51Vに相対する補助コイン供給口60Vと、前記無端帯状コイン搬送装置としてのクローラ70の第1案内溝60Aが形成してある。
第1案内溝60Aは図6に図示するように、断面矩形状であり、その幅は後述の第1ガイドピン78Aが容易に進行できる大きさである。
【0031】
第1案内溝60Aは、補助コイン供給口60Vの下方位置の下方水平部70Aと、傾斜回転ディスク31とほぼ平行な傾斜部70Bと、後述の受渡装置E上方の上方水平部70Cと、上方水平部70Cと下方水平部70Aとをつなぐ垂直部70Dとよりなっている。
【0032】
前記各部70A、70B、70C、70Dは、弧状部70E、70F、70G、70Hでそれぞれ結ばれている。
弧状部70Gは、他の溝部よりも幅を大きくしてある。
この理由は、後述のクローラ70の長さにばらつきが発生しても全てのガイドピン70Aが第1案内溝60A内に位置するよう、第1案内溝60Aに所定範囲の周長を持たせるためである。
【0033】
図6に図示するように、蓋61の内面に前記第1案内溝60Aと相対した形状の第2案内溝60Bが形成してある。
蓋61は、ハウジング60の外側に填め合わせ、適宜位置でハウジング60に固定してある。
【0034】
次にクローラ70の構造を、図8を参照して説明する。
クローラ70は、同一形状のクローラ片71を連鎖することにより無端帯状に構成してある。
クローラ片71は、外面中央にラック歯72Aが4個形成してある。
【0035】
クローラ片71の下端部のラック歯72Aを挟んだ両端から第1支持片73Aと第2支持片73Bが突出している。
これにより、下端部のラック歯72Aの両側に、第1凹部74Aと第2凹部74Bが形成されている。
【0036】
第1支持片73Aとラック歯72Aの先端部間、すなわち、第1凹部74Aに丸棒状の第1係合棒75Aが位置している。
第2支持片73Bとラック歯72Aの先端部間、すなわち、第2凹部74Bに丸棒状の第2係合棒75Bが位置している。
【0037】
クローラ片71の上方端部のラック歯72Aの両側から第1係止片76Aと、第2係止片76Bが突出している。
第1係止片76Aの先端部には、外向きに開口するU字状の第1係止溝77Aが形成されている。
【0038】
第2係止片76Bの先端部には、外向きに開口するU字状の第2係止溝77Bが形成されている。
第1支持片73Aと第2支持片73Bから、第1ガイドピン78Aと第2ガイドピン78Bが、それぞれ第1係合棒75A、第2係合棒75Bの延長上にあるよう突出している。
【0039】
突条79が、クローラ片71の下端部からクローラ70の内方に向かって突出している。
突条79は、ラック歯72Aの列方向に対して直交する方向にクローラ片71の幅一杯に形成されている。
【0040】
また、突条79の突出量は、使用が想定されるコインの最小厚みよりも小さい。
傾斜部70Bにおいて、突条79は上向きのコイン載置面を形成する。
すなわち、前記傾斜部70Bにおいて突条79に1枚のコインのみが係止されるよう設定してある。
クローラ片71は、例えば樹脂により射出成形する。
樹脂で成形することにより、安価に製造できる。
【0041】
クローラ片71を連鎖して所定周長のクローラ70を構成する。
すなわち、第1係止片76Aの第1係止溝77Aに第1係合棒75Aを、第2係止片76Bの第2係止溝77Bに第2係合棒75Bを填め込む。
【0042】
これにより、クローラ片71の連鎖体が構成できる。
このクローラ片71の連鎖を連続して所定周長のクローラ70を構成する。
また、ラック歯72Aは、外周面に連続してラック72を構成する。
【0043】
クローラ70は、全ての第1ガイドピン78Aをハウジング60の第1案内溝60Aに挿入する。
次に、蓋61の第2案内溝60Bに全ての第2ガイドピン78Bを挿入した状態で蓋61をハウジング60に填め合わせて後、蓋61をスクリュウ等でハウジング60に固定する。
【0044】
次にクローラ70の駆動装置を図7を参照して説明する。
駆動体80はハウジング60の傾斜回転ディスク31側の側壁に固定してある。駆動体80は、モータ80Mと減速機80Rとより構成してある。
減速機80Rの駆動軸80Sは、ハウジング60の壁を貫通してハウジング60内に突出している。
【0045】
駆動軸80Sには駆動ギヤ81が固定されている。
ハウジング60に固定した軸82に回転自在に支持したギヤ83は、前記駆動ギヤ81と噛み合っている。
ギヤ83は、前記駆動ギヤ81及び前記クローラ70背面のラック72と噛み合っている。
ギヤ83の時計回り方向の回転により、ラック72を介してクローラ70は反時計回り方向に循環する。
【0046】
次に受渡装置Eを図4、図5、図6を参照して説明する。受渡装置Eは、増量ボウル45の底壁45Bの側方に位置するクローラ70の弧状部70F部に配置した回転かご90と樋状のシュート91を含んでいる。回転かご90は、リング状の第1支持枠92Aと第2支持枠92B間に所定の間隔で仕切板93を固定することにより、それらで囲んだ保持空間94を複数有する円筒檻型に構成してある。第1支持枠92Aと第2支持枠92Bの間隔及び仕切板93の間隔は、使用が想定される最大コインの直径よりも僅かに大きく設定してある。
【0047】
すなわち、使用が想定される最大コイン1個が、この保持空間94内に収まる大きさに設定してある。95は、ハウジング60の壁面から横向きに突出する円筒状の軸受である。回転かご90は、軸受95に回転自在に嵌合してある。詳述すれば、第1支持枠92Aと第2支持枠92Bの内孔が軸受95に回転自在に嵌合されている。ここで、後述するように軸受95の上部周面の上方水平部70Cに相対する部分は窪ませられている。また軸受95に嵌合した回転かご90において、弧状部70F部分での保持空間94の内面側は、前述の窪んだ部分以外の軸受95の外周面で覆われ、外周面はクローラ片71によって覆われるようになる。したがって保持空間94に保持されたコインは、前述の窪んでいる部分以外の軸受95の周面として存在する部分においては、その軸受周面に案内されて保持空間94と共に移動される。この間隔は、クローラ70の第1ガイドピン78A(第2ガイドピン78B)の間隔と同一である。
【0048】
また、凹部92Cは、第1ガイドピン78A又は第2ガイドピン78Bが緩く進入できる大きさである。
弧状部70Fにおいて、クローラ70の複数の第1ガイドピン78Aは第1支持板92Aの凹部92Cに進入し、複数の第2ガイドピン78Bは第2支持板92Bの凹部92Cに進入している。(図4においては4本)
したがって、回転かご90は、クローラ70の循環移動によって軸受95の周囲を反時計回り方向に回転される。
【0049】
シュート91は、図4、図5、図6などに図示するように軸受95の上方の上方水平部70Cに面する部位を円筒の中心部に向かって矩形状に窪ませることにより樋状に形成してある。換言すれば、シュート91が形成された軸受95の周面部分は保持空間94から離れて位置するシュート91の傾斜底面91Bを構成する。これにより、軸受95の上端部において、保持空間94に保持されたコインは、軸受95の上部周面を窪ませて形成してあるシュート91の箇所に来た時、ここでコインを支えていた軸受95の外周面が無くなるので、自重で保持空間94からシュート91に落下可能になる。シュート91の傾斜底面91Bは、増量ボウル45の底壁45B側に下降し、かつ、補助コイン保留体51側へ下降する傾斜を有する。シュート91の増量ボウル45側端部は、底壁45B上方の増量保留部45Aに位置しているハウジング60の開口96である。したがって、保持空間94から落下したコインはシュート91の傾斜底面91B上を滑落し、開口96から増量ボウル45の底壁45B上に落下する。
【0050】
次にモータ80Mの制御回路を、図9を参照して説明する。
前記第1電極44Mと第2電極44Pは、判別回路97に接続されている。
この判別回路97は、第1電極44Mと第2電極44P間に電流が流れている場合、正常信号を出力し、電流が流れていない場合不足信号を出力する。
【0051】
モータ駆動回路98は、判別回路97から不足信号を受信している間、モータ80Mを駆動する。
なお、直角三角板22と補助コイン保留体51は、基板21上に固定して一体化してある。
基板21は、コインホッパ20をゲーム機のフレーム等に固定するためベースである。
また、ゲーム機のコイン投入口に投入されたコインが、ダクト等により増量ボウル45の上面の開口に導かれるようにしてある。
【0052】
次に実施例の作用を説明する。
稼働に先立ち、増量ボウル45の上側の開口からコインを投入し、主ボウル40のコイン保留部D及び増量ボウル45の増量保留部45Aに所定量のコインを供給する。
ゲームが始まると、投入されたコインが増量ボウル45に供給される。
【0053】
投入コイン量が傾斜回転ディスク31による送り出し量よりも多い場合、投入コインは増量ボウル45に山状に堆積する。
そのコインの山からオーバーフローシュート47の傾斜底板47Bに滑り落ちたコインは、その傾斜底板47B上を滑落して下端部47Lから補助コイン保留部53に滑落する。
これにより、増量ボウル45からコインが溢れ出るのを防止する。
【0054】
コイン保留部Dのコインは、傾斜回転ディスク31の回転により攪拌され、整列孔30を通って傾斜回転ディスク31裏面側のポケットに達する。
ポケットのコインは、傾斜回転ディスク31の回転に伴って支持基板24上面を滑らされてコイン出口(図示せず)から1個ずつ送り出される。
このコインの送り出しに伴って、主ボウル40内のコインは、底壁43の傾斜によって傾斜回転ディスク31側へ自然滑落する。
【0055】
コインの送り出しによって主ボウル40内のコイン量が減少した場合、第1電極44Mと第2電極44P間にコインを介して電流が流れなくなる。
判別回路97はこれを検知して不足信号を出力する。
不足信号を受けたモータ駆動回路98はモータ80Mを回転する。
モータ80Mの回転により、駆動軸80Sが回転されるので駆動ギヤ81を介してギヤ83は時計回り方向に回転される。
【0056】
回転するギヤ83は、クローラ70のラック72を上方へ連続的に移動させる。これにより、クローラ70は、第1ガイドピン78A、第2ガイドピン78Bがそれぞれ第1案内溝60A、第2案内溝60Bにガイドされつつ循環移動する。
【0057】
クローラ70の循環移動により、第1ガイドピン78Aと第2ガイドピン78Bは回転かご90の凹部92Cに順次嵌合するので、回転かご90は軸受95の回りを反時計回り方向に回転される。
補助コイン保留部53内のコインは、保留部底壁51Bの傾斜により滑落して補助コイン供給口51V、60Vを通って下方水平部70Aのクローラ70内面上に堆積する。
【0058】
クローラ70の内面上に載ったコインは、突条79により周面を引っかけられて傾斜部70Bを押し上げられる。
コインが傾斜部70Bを通過している場合、その傾斜によってコインはクローラ70側に凭れてクローラ70から落下することがない。
すなわち、コインの面がクローラ片71の内面に接触した状態で搬送される。
クローラ70の第1ガイドピン78Aと第2ガイドピン78Bは、傾斜部70Bの上端部において相対する第1支持板92Aと第2支持板92Bの凹部92Cにそれぞれ進入する。
【0059】
したがって、弧状部70Fにおいて、保持空間94の一面は軸受95の周面により覆われ、相対する面はクローラ片71により覆われる。
すなわち、クローラ片71の突条79により押し上げられたコインは、第1支持枠92A、第2支持枠92B、仕切板93、軸受95、クローラ片71により6方を囲まれた保持空間94に保持される。
このコインの保持空間94への保持は、弧状部70Fにおいて、クローラ片71が第1係止棒75A、第2係止棒75Bを支点に折れ曲がってほぼ弧状を呈することにより、軸受95のほぼ4分の1周に亘って継続する。
【0060】
これにより、コインは保持空間94内に保持されて回転かご90及びクローラ70の移動と共に軸受95の周囲を移動する。コインが軸受95の上部周面を窪ませて形成してあるシュート91の位置に達した場合、ここで軸受95の周面が無くなるので、軸受95の周面で支えられなくなったコインは自重により保持空間94からシュート91上に落下する。落下したコインは、傾斜底面91B上を滑落して、開口96から増量ボウル45の底壁45B上に落下する。
【0061】
コインは、傾斜底面91Bに落下した反動でジャンプすることがあるが、周囲の壁面に阻止されて開口96へ案内される。
この作用が連続的に行われ、補助コイン保留部53のコインが、無端帯状コイン搬送装置Cにより増量ボウル45に連続的に供給される。
増量ボウル45に供給されたコインは、底壁45Bを滑って主ボウル40に落下するので主ボウル40内のコイン量が増加し、第1電極44Mと第2電極44Pとがコインにより導通する。
【0062】
この導通を検出した判別回路97は、正常信号を出力するので、モータ駆動回路98はモータ80Mの回転を停止する。
これにより、無端帯状コイン搬送装置Cの作動は中止される。
本実施例の回転かご90とシュート91とを含む受渡手段Eを備える場合、回転ディスク上のコイン量を少量の最適な量に設定し、不足したときに補給することができるので、コインブリッジが発生することがない。
【0063】
また、回転かご90と、軸受95と、クローラ70とで構成した保持空間94にコインを保持しつつ搬送してシュート91へ受け渡すので、6方を囲まれた保持空間94からコインが落下することがないので、コインの受け渡しが確実に出来る利点がある。
【0064】
本発明は、本技術思想の範囲内で各種の変更が可能である。
例えば、無端帯状体は、実施例のクローラに代えて平ベルトを用いることができる。
また、実施例の孔付き回転ディスクに代えてピン付き回転ディスクを用いてもよい。
【0065】
無端帯状コイン搬送装置C及び受渡装置Eは、回転ディスクAの両側に配置しても良い。
また、回転ディスクと無端帯状コイン搬送装置の駆動モーターを共用にしても良い。
また、回転かごを回転する駆動手段を設け、回転かごによって無端帯状コイン搬送装置を循環移動させてもよい。
なお、主ボウルにコイン量のセンサを設けずに、クローラを常時低速で循環させても良い。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例全体を斜め上方から見た斜視図
【図2】図2は実施例の平面図
【図3】図3は図2のX−X線断面図
【図4】図4は実施例の無端帯状コイン搬送装置と回転かごを分離した状態の斜視図。
【図5】図5は図2のY−Y線断面図。
【図6】図6は実施例の無端帯状コイン搬送装置部の拡大図。
【図7】図7は実施例のハウジングを分離した状態の斜視図。
【図8】図8は実施例のクローラの拡大図
【図9】図9は実施例の制御回路
【図10】図10は従来装置説明用の断面図
【0068】
【符号の説明】
回転ディスク A
無端帯状コイン搬送装置 C
コイン保留部 D
受渡装置 E
コイン量検知装置 44
補助コイン保留部 53
クローラ 70
突条 79
回転かご 90
シュート 91
傾斜面 91B
保持空間 94

Claims (4)

  1. コイン送り出し用の回転ディスク(A)と、
    この回転ディスクが内底部に傾斜設置され、かつ前記回転ディスクの上面の前方に位置してコインが前記回転ディスク側へ自重で滑落するよう傾斜する底壁(43)上にコイン保留部(D)を構成する主ボウル(40)と、
    前記主ボウルに隣接すると共に前記底壁の下側にも位置する補助コイン保留部(53)を構成する補助コイン保留体(51)と、
    前記補助コイン保留部(53)から前記回転ディスク(A)側に循環移動され、かつ、前記補助コイン保留体(51)の下方部に形成された補助コイン供給口(51V、60V)を介してコインを無端帯状の内面で受け取り保持して前記回転ディスク(A)より上方の位置に設置した受渡装置(E)に送る無端帯状コイン搬送装置(C)と、
    前記無端帯状コイン搬送装置(C)が回転案内されるように設けられている案内溝(60A、60B)と、
    前記無端帯状コイン搬送装置(C)から受け取ったコインを前記コイン保留部(D)へ送る前記受渡装置(E)とを含み、
    前記受渡装置(E)は、前記主ボウル(40)、前記補助コイン保留体(51)などを収容するハウジング(60)の壁面から突設した円筒状の軸受(95)に回転自在に外嵌めした円形の筒体であって、その外周部には複数の区割形成された保持空間(94)を有し、かつ前記無端帯状コイン搬送装置(C)がその垂立側部から上部に巻回されて前記無端帯状コイン搬送装置と共に回転することによって前記保持空間にコインを保持して移送する檻型構造の回転かご(90)と、
    前記軸受(95)の上部周面を窪ませて形成したシュート(91)とより構成され、
    前記回転かごと前記無端帯状コイン搬送装置の共同回転によりコインが前記保持空間に保持されて前記上部周面の窪みの位置に来たときに、当該コインを前記保持空間(94)から前記シュート(91)に落下可能となるようにすると共に、前記シュート(91)の底面(91B)を当該落下コインが滑落し前記コイン保留部(D)へと導入し得るように傾斜して形設し、
    前記回転かごと前記無端帯状コイン搬送装置と共同して前記補助コイン保留部から前記シュートへコインを搬送し、前記コイン保留部に循環供給することを特徴とするコインホッパ。
  2. 前記無端帯状コイン搬送装置(C)は、内面に所定間隔でコインを引っかける突条(79)を有している請求項1のコインホッパ。
  3. 前記無端帯状コイン搬送装置(C)は、クローラ(70)である請求項2のコインホッパ。
  4. 前記コイン保留部(D)のコイン量検知装置(44)を備え、前記コイン量検知装置(44)のコイン供給信号に基づいて前記無端帯状コイン搬送装置(C)を作動する制御装置を有する請求項1のコインホッパ。
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