JP3766130B2 - 硬貨払出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ホッパー内に投入された複数枚のコイン、メダル、トークン等を一枚ずつホッパー内から払い出す硬貨払出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、券売機、自動販売機の釣銭払出機、両替機、銀行等で使用されている硬貨計数機等には、コイン、メダル、トークン等(以下、硬貨という)を一枚ずつ払い出す硬貨払出装置が使用されている。この硬貨払出装置は、投入された複数枚の硬貨を一時貯留する円筒型の筐体からなるホッパーと、このホッパー底部に回動自在に支承され、払い出す硬貨の最大径よりも若干大きい硬貨払出孔が形成された硬貨払出用の円板とから構成されている。そして、この硬貨払出用円板をモータ及びその駆動を制御する制御部からなる駆動部により一方向に回転させると、ホッパー内に投入され一時貯留された硬貨が硬貨払出用円板の硬貨払出孔内に嵌挿し、さらにこの円板の遠心力により、ホッパーの底部に形成された排出孔から一枚ずつ排出される。
【0003】
なお、硬貨払出用円板の硬貨払出孔内に嵌挿した硬貨をホッパーの外側へ排出するため、ホッパー底部には搬送される硬貨と衝突し、その進行方向をホッパーの外側へ変更させる硬貨ブロック手段が配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の硬貨払出装置では、硬貨を貯留するホッパーを単純な円筒型筐体のみにより成形する構造であるため、硬貨を一時貯留すべくこのホッパー内に硬貨を投入すると、投入された硬貨は整然とした姿勢でホッパー内に積載収容されるのではなく、姿勢が入り乱れ散乱した状態でホッパ内に収容され、このためホッパーそのものの容積に比較してその内部に貯留される硬貨の枚数が少なく、その硬貨収容能力が劣る難点があった。
【0005】
また不自然な姿勢でホッパー内に収容された硬貨が、硬貨払出用円板の硬貨払出孔内に入り込んだ場合、例えば円板の硬貨払出孔内に傾斜した姿勢で入り込んだ場合や、硬貨払出孔内に複数の硬貨が立ち姿勢で入り込んだ場合には、これらの硬貨が硬貨払出孔の内周面と硬貨ブロック手段の外周面との間に挟み込まれて、円板の回転がロックする、いわゆる噛み込み現象を発生する要因となっていた。 このような噛み込み現象が発生すると、硬貨払出用円板の回転がロックされて、以後の硬貨の払い出しが出来なくなるばかりでなく、そのままの状態にしておくと駆動部のモータに過大な電流が流れ、モータが焼けてしまう等の損傷を受ける虞もあり、このため、常時オペレータが付き添って硬貨払出孔内に詰まったコインを取り出す等の作業を行わなければならず、硬貨払出装置の運転管理が極めて煩雑となる難点もあった。
【0006】
この発明は、ホッパー内の硬貨収容枚数を増大させるとともに、硬貨の噛み込みが発生した場合でも、装置の運転を止めることなく噛み込みを解消し、また硬貨を迅速に払い出すことができる硬貨払出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、この発明の硬貨払出装置では、下部に硬貨を排出する開口部が形成され、上部に硬貨投入口が形成された円筒形のホッパーと、該ホッパーの底部に回動自在に配設され、硬貨を嵌挿する硬貨払出孔と、底面に該硬貨払出孔内に嵌挿した硬貨を円周方向へ向け搬送する突起部とが形成された硬貨払出用円板と、前記硬貨払出用円板上に固着され該硬貨払出用円板とともに回動するとともに、下端が前記硬貨払出用円板の前記硬貨払出孔に連通し、かつ前記硬貨投入口を介し投入された硬貨を上端から受入れるとともに、前記ホッパーの内周面に最も接近する位置に、軸方向に沿ってスリットが形成されたコインチューブと、前記硬貨払出用円板を正逆方向に回転駆動する駆動部と、前記硬貨払出用円板の下方に配設され、該硬貨払出用円板が一方向に回転した際に、前記突起部により円周方向に向け搬送された硬貨と衝突し、該硬貨の進行方向をホッパーの外側へ変更させるとともに、前記硬貨払出用円板が他方向へ回転した際に、前記突起部により円周方向に向け搬送された硬貨の進行方向を変化させることなく当該硬貨を一時昇降させる傾斜片からなる硬貨ブロック手段とを具えている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる硬貨払出装置の一実施例を詳述する。
【0009】
図1は、この発明に係わる硬貨払出装置を備えた硬貨処理装置10の概念斜視図である。
【0010】
この硬貨処理装置10は全体的に見て、その高さHが極めて低く形成され、しかも投入硬貨を受け入れる硬貨投入口20と、硬貨が払い出される硬貨払出し口30とが筐体40の前方40aの位置にわずかな高低差を持って隣接するように配設されている。
【0011】
図2はこの硬貨処理装置10の内部構造を示す概念斜視図である。
【0012】
この硬貨処理装置10は大別すると、投入された複数金種の硬貨を受入れ一時保留する硬貨入金部80と、この硬貨入金部80に投入された複数金種の硬貨を一枚づつ搬送する硬貨搬送部90と、この硬貨搬送部90の入口部90aに配設され、搬送される硬貨の正偽と正貨の金種とを判別する硬貨判別部100と、前記硬貨搬送部90の下部に配設され、この硬貨搬送部90により搬送される複数金種の硬貨を硬貨通路のそれぞれ異なった位置で下方に落下させて選別する硬貨選別部110と、この硬貨選別部110により選別され、落下した硬貨を金種毎に収納するとともに、収納された硬貨を一枚ずつ払い出す本願の硬貨払出装置に相当する硬貨払出部120と、この硬貨払出部120を駆動する硬貨払出し駆動部140と、この硬貨払出し駆動部140の駆動力を伝達する動力伝達手段150と、前記硬貨払出部120により払い出された硬貨を水平方向へ搬送する硬貨水平搬送部160とから構成されている。
【0013】
このうち硬貨入金部80は、上面に硬貨投入口71が形成された硬貨受入保留ホッパー81と、このホッパー81内から硬貨を取り出す硬貨取出し部82から構成されている。この硬貨取出し部82は、その背面に配設された駆動モータ83と、この駆動モータ83により駆動される図示せぬドライブスプロケットから構成されている。この図示せぬドライブスプロケットと硬貨搬送部90の他端に配設された図示せぬドリブンスプロケットの間には、硬貨搬送チェーン85が巻回し、前記駆動モータ83の作動により硬貨搬送チェーン85は反時計回りに回転する。なお、図示せぬドリブンスプロケットを支承する軸には図示せぬタコメータが取り付けられており、このドリブンスプロケットに巻回された硬貨搬送チェーン85の動作と連動してタイミングパルスを発生する。
【0014】
一方、硬貨搬送チェーン85には、ホッパー81内に投入された複数種類の硬貨と係合し、これにより該硬貨を一枚づつピックアップして、硬貨搬送チェーン85の張設方向に沿って反時計回りに搬送する断面矩形状の硬貨取出し搬送用爪86(以下、爪86という)が所定のピッチで複数個取り付けられている。
【0015】
また、硬貨搬送チェーン85の爪86を案内し、かつ搬送される硬貨の背面を支承すべく形成された硬貨通路91を構成する背面部材96は、その上端が垂直面から角度θ′(θ′は略60度)だけ傾斜して取り付けられ、その中央部には爪86を案内する楕円形状の案内溝97が形成されている。
【0016】
一方、硬貨取出し部82に隣接した硬貨通路91には、硬貨搬送チェーン85の爪86により搬送される硬貨の正偽と正貨の金種とを判別する硬貨判別部100が配設されている。
【0017】
この硬貨判別部100は背面部材96に配設され、硬貨が一枚通過し得る程度の間隔を設けて配設された図示せぬ発振および受信コイルとから構成されている。この発振および受信コイル間を硬貨が通過すると、受信コイルによる受信電圧が変化するので、その受信電圧の変化により通過する硬貨の正偽と正貨の金種とが判別される。
【0018】
また、巻回された硬貨搬送チェーン85の爪86の直下には、通過する硬貨を金種毎に異なった位置で下方に落下させて各硬貨を選別する硬貨選別部110が配設されている。
【0019】
この硬貨選別部110は、背面部材96の表面から出没自在となるように配設された硬貨選別リブ111、112、113、114、115、116により構成されている。
【0020】
なお、硬貨選別部110は現行の6種類の発行硬貨(1円、5円、10円、50円、100円、500円)と偽貨とみなされる硬貨とを選別するもので、各硬貨選別リブ111、112、113、114、115、116は背面部材96の背面に配設された図示せぬソレノイドプランジャ等の駆動部材により各硬貨選別リブ毎に独立して出没駆動される。
【0021】
一方、上述した各硬貨選別リブのうち、硬貨選別リブ112、113、114、115、116、および硬貨通路91の折り返し点91aの下方には、落下した硬貨を金種毎に収納するとともに、収納された硬貨を一枚ずつ払い出す本願発明の硬貨払出装置に対応する硬貨払出部120が配設されている。
【0022】
この硬貨払出部120は、各硬貨選別リブ111、112、113、114、115、116、および硬貨通路91の折り返し点91aに対応するよう、その下方に配設された6個の硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126(6種類の発行硬貨に対応する)から構成されており、各硬貨収納ホッパーは、その上端を垂直方向から前記硬貨搬送部90側へ向けて所定の角度θ′(θ′は略45度)だけ傾斜させて配設されている。この硬貨払出部120によると、硬貨払出部120として円筒形の硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126を使用し、かつ、これら各硬貨収納ホッパーの上端を垂直方向から前記硬貨搬送部90側へ向けて所定の角度θ′だけ傾斜させて配置するようにしたため、硬貨収納枚数の増大を図りつつ、その設置高さh′を極めて低く設定することが可能となる。
【0023】
次に、硬貨払出部120を構成する各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の構造を、硬貨収納ホッパー121を代表して説明する。
【0024】
図3は硬貨払出部120のうち、硬貨収納ホッパー121を示す要部拡大断面図である。
【0025】
この硬貨収納ホッパー121は、円筒形の筐体からなるホッパー本体200と、、このホッパー本体200の下部200bに回動自在に支承された硬貨払出用円板202と、この硬貨払出用円板202に固着されたコインチューブ203とから構成されている。
【0026】
このうち、ホッパー本体200の上部200aは、その上面図で示す図4のように、蓋204で覆われており、この蓋204には硬貨投入口205が形成されている。
【0027】
この硬貨投入口205は投入硬貨をホッパー本体内200内に案内する硬貨案内孔204aと、投入硬貨をこの硬貨案内孔204a内へ案内する傾斜面204bとからなり、この傾斜面204bには落下する硬貨をスムーズに硬貨案内孔204a内へ案内する一対のリブ204cが硬貨落下方向に沿って突出形成されている。また図3で示すようにホッパー本体200の下部200bには硬貨払出用円板202により払い出される硬貨を排出する硬貨排出孔200cが形成されている。
【0028】
一方、ホッパー本体200内に配設されたコインチューブ203は、図3および図3のBB断面で示す図5のように、3本の独立した円筒形のチューブ210、211、212から構成されている。この3本のチューブ210、211、212は、それぞれ硬貨払出用円板202に形成された3つの硬貨払出孔220、221、222にそれぞれ対向する位置に立設されており、その下端はそれぞれ対応する硬貨払出孔に連通している。
【0029】
また、この上述した3本のチューブ210、211、212は図3および図5で示すように、その上下面を一対のフランジ部213、214により支持されており、これら3本の独立したチューブ210、211、212と一対のフランジ部213、214はそれぞれプラスチック等の合成樹脂により一体形成されている。なお、図5に示すように上述した各チューブ210、211、212にはその軸方向に沿ってそれぞれ一本のスリット210a、211a、212aが形成されており、これら一本のスリット210a、211a、212aはホッパー本体200の内周面側に最も接近した位置にそれぞれ形成されている。
【0030】
一方、図3で示すように上述したコインチューブ203の下端は、ネジ215等の締結手段によりフランジ214を介し、硬貨払出用円板202上に固着されている。またコインチューブ203の上端にはフランジ213の中心に軸216が埋設され、その軸216の上端は蓋204の中心に配設された軸受217に嵌挿している。したがって上述したコインチューブ203全体はホッパー本体200内で回動自在に支承され、硬貨払出用円板202の回動に従動して回転することとなる。
【0031】
一方、図3のCC概念断面で示す図6のように、硬貨払出用円板202には前述したように、3個の硬貨払出孔220、221、222が等間隔で形成されており、この硬貨払出孔220、221、222上には、それぞれ前述したチューブ210、211、212(図5)の下端が臨んでいる。
【0032】
また、図3のDD断面図で示す図7のように、硬貨払出用円板202の下面には硬貨払出孔220、221、222の周縁に隣接して当該硬貨払出孔220、221、222内に嵌挿した硬貨を円周方向へ向け搬送する突起部230が3か所突出形成されている。
【0033】
この各突起部230は、硬貨払出用円板202の中心から所定距離を隔て、かつ同心状に突出形成された3本の円弧形状のリブ231、232、233により構成されている。
【0034】
一方、図3で示すホッパー本体200の下部200bを覆う板状の取付け部材151には、図7のEE断面図て示す図8、および図7のFF断面図で示す図9のように、円周方向に向け搬送された硬貨と衝突し、当該硬貨の進行方向をホッパー本体200の外側へ変更させる硬貨ブロック手段300が配設されている。この硬貨ブロック手段300は、図7で示すように、取付け部材151に嵌着支承された平面扇形形状のブロックベース301からなり、このブロックベース301の一側面には図9で示すように硬貨と当接する段部301aが形成され、またその上面から他側面へ向けてはなだらかな傾斜面301bが形成されている。 また上述したブロックベース301の上面には、図7および図8で示すように前記硬貨払出用円板202の底面に形成された円弧形状のリブ231、232、233が嵌挿して通過することの出来る溝部301c、301dが形成されている。
【0035】
したがって、硬貨払出用円板202がいずれの方向へ回転しても、その下面に形成された円弧形状のリブ231、232、233はブロックベース301に当接し、その回転を停止することはなく、その回転を維持することとなる。
【0036】
一方、上述した硬貨収納ホッパー121の硬貨払出用円板202には図3に示すように、その中心に軸131が固着され、硬貨払出用円板202はこの軸131を回転させる後述の硬貨払出し駆動部140により正方向(以下、時計方向という)または逆方向(以下、反時計方向という)へ回動される。
【0037】
なお、硬貨払出部120を構成する他の各硬貨収納ホッパー122、123、124、125、126(図2)の構造は、収納する硬貨の径に対応した径の硬貨払出孔220、221、222が硬貨払出用円板202に形成される以外は同一構成なので、その説明を省略する。
【0038】
次に、上述した硬貨払出部120を駆動する硬貨払出し駆動部140を説明する。
【0039】
図2で示すように、上述した硬貨払出部120の各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の底部に配設された硬貨払出し駆動部140は、当該各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の底部から所定の距離離間されて配設された6個の駆動モータ141、142、143、144、145、146により構成されている。
【0040】
またこの各駆動モータ141、142、143、144、145、146と、各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の底部との間には、各駆動モータ141、142、143、144、145、146の各駆動力を対応する各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の各硬貨払出用円板へ伝達する動力伝達手段150が介在されている。
【0041】
次に、この各動力伝達手段150を、駆動モータ141と硬貨収納ホッパー121の底部との間に介在された動力伝達手段150を代表して詳述する。
【0042】
図10で示すように、硬貨払出し駆動部140の駆動モータ141は、硬貨払出部120の底部を構成するよう、所定の間隔を設けて配設された板状の一対の取付け部材151、152の左端に配設され、硬貨収納ホッパー121と同様に、その上端を垂直方向から前記硬貨搬送部90(図2)側へ向けて所定の角度θ´(θ´は略45度)だけ傾斜して配置されている。
【0043】
この駆動モータ141と硬貨収納ホッパー121との間に配設された動力伝達手段150は、駆動モータ141の駆動軸141aに固着されたドライブプーリ147と、硬貨払出用円板202を支承する軸131の下方に固着されたドリブンプーリ148と、このドライブプーリ147とドリブンプーリ148との間に巻回されたドライブベルト149とから構成されている。
【0044】
このような動力伝達手段150では、駆動モータ141が駆動されると、その動力はドライブプーリ147、ドライブベルト149、及びドリブンプーリ148、および軸131を介し硬貨払出用円板202に伝達され、当該硬貨払出用円板202を回転させて硬貨収納ホッパー121内に収納された硬貨Aを、硬貨排出ガイド136を介し、その下方に配設された硬貨水平搬送部160の硬貨搬送ベルト163上に排出する。
【0045】
一方、上述した硬貨払出部120を構成する各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126と、この各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126を駆動する硬貨払出し駆動部140、およびこの硬貨払出し駆動部140の駆動力を伝達する動力伝達手段150の取り付け構造によると、図10で示すように、硬貨払出部120の上端部を垂直方向から硬貨搬送部90側へ向けて所定の角度θ´(θ´は略45度)だけ傾斜させて配設し、かつ硬貨払出し駆動部140を硬貨収納部の底部から所定の距離離間させて配設するとともに、この硬貨払出し駆動部140と硬貨払出部120との間をドライブベルト149からなる動力伝達手段150を介し連結するようにしているので、硬貨払出部120と硬貨払出し駆動部140との間に大きなスペースSを形成することが可能となり、そのスペースS内に落下した硬貨をそれぞれ水平方向へ搬送する硬貨水平搬送部160を配設することが可能となる。
【0046】
次に、この硬貨水平搬送部160について説明する。
【0047】
図2で示すように、硬貨払出部120と硬貨払出し駆動部140との間に形成された大きなスペースSには、落下した硬貨を水平方向へ搬送する硬貨水平搬送部160が配設されている。
【0048】
この硬貨水平搬送部160は一定の間隔を設けて配設されドライブローラ161およびドリブンローラ162と、この各ローラ161、162間に巻回された無端の硬貨搬送ベルト163と、この硬貨搬送ベルト163を時計方向へ回転させるドライブローラ161に取り付けられた駆動モータ164とにより構成されている。
【0049】
なお、図2では図示していないが、この硬貨搬送ベルト163の周囲は、図10で示すように落下する硬貨が硬貨搬送ベルト163の外部へ漏れないよう板材からなるガード部材165により覆われている。また、このガード部材165の両側面には硬貨搬送ベルト163の長手方向に沿って所定のピッチで平面略三角形状の突起166が配設されている。なお、この突起166は、硬貨搬送ベルト163上に落下した硬貨が、硬貨搬送ベルト163上で立ち回りし、それにより硬貨の払い出しスピードが低下することを阻止するものである。
【0050】
なお、図2に示すように、上述した硬貨水平搬送部160の先端部、即ち硬貨搬送ベルト163の先端部163a側には、当該硬貨搬送ベルト163により払い出された硬貨を全て収容する硬貨収容カップ171が配設されている。
【0051】
従って、上述した硬貨水平搬送部160によると、駆動モータ164が時計方向へ回転し、同時に硬貨搬送ベルト163を時計方向へ回転させると、各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126により下方へ払い出された各硬貨は硬貨搬送ベルト163により硬貨搬送ベルト163の先端部163a側に水平搬送され、その先端部163aから硬貨収容カップ171内に全て収納されることとなる。
【0052】
次に、上述した硬貨払出部120の作用を硬貨収納ホッパー121を代表して説明する。
【0053】
まず落下する選別硬貨を硬貨収納ホッパー121内に収納する場合について説明する。
【0054】
図3に示すように、コインチューブ203内に選別された硬貨Aが落下すると、その硬貨Aは矢印の如く傾斜面204bおよび硬貨案内孔204aを介してホッパー本体200内に収容された3本の独立したチューブ210、211、212(図5)内にそれぞれ積載収容される。したがって、従来のごとく散乱した状態でホッパー本体内に硬貨が収納される場合に比較して硬貨の収容枚数を大きく確保することができる。
【0055】
なお、チューブ210、211、212内に硬貨を収容する場合は、図3で示すように硬貨が傾斜した状態でチューブ210内壁に寄り掛かつたままの姿勢を維持する、いわゆる「コイン立ち」を誘発し、これによりコイン詰まりを発生させる虞があるが、上述した硬貨収納ホッパー121では、ホッパー本体200が所定の角度θ´(θ´は略45度)だけ傾斜して取り付けられているから、コインチューブ203が180度回転すると、その「コイン立ち」した硬貨に加わる加重方向が変化して、その姿勢を崩すことができ、また各チューブ210、211、212には、軸方向に沿ってそれぞれ一本のスリット210a、211a、212a(図5)が形成されているから、各チューブ210、211、212内の硬貨の一部は常時ホッパー本体200の内周面に摺接することとなり、このため摺接時に硬貨に作用する力により「コイン立ち」した硬貨の姿勢が崩れ、コイン詰まりの発生が可及的に除去される。
【0056】
次に、硬貨収納ホッパー121内に収納された硬貨の払出作用を詳述する。
【0057】
まず、通常の払い出し時には、図11で示すように硬貨払出用円板202を矢印で示すように時計方向へ回転させる。すると、例えば硬貨払出孔221内に嵌挿した硬貨Aは突起230により押されながら円周方向へ搬送される。
【0058】
そして、図12で示すように硬貨Aの一部がブロックベース301の段部301aに衝突する。
【0059】
このように、硬貨Aの一部が段部301aに衝突すると、硬貨Aはブロックベース301により円周方向への移動が規制され、さらに突起部230により円周方向へ押されると、硬貨Aは外周面の一部がブロックベース301に当接したまま、その進行方向が円周方向からホッパー本体200の外側方向へ変更されることになる。
【0060】
そして、硬貨Aがさらに突起部230により押されると、当該硬貨Aは最後には図13で示すように硬貨排出孔200cへ搬送され、この硬貨排出孔200cを介して硬貨排出ガイド136(図10)内に案内される。その後、図10で示すように硬貨Aは硬貨排出ガイド136に沿って当該硬貨収納ホッパー121の外側に導かれ、前述した硬貨水平搬送部160の硬貨搬送ベルト163上に排出されることになる。
【0061】
次ぎに、硬貨収納ホッパー121内の硬貨払出用円板202が反時計方向へ回転した場合を説明する。
【0062】
図14で示すように硬貨払出用円板202を矢印で示す反時計方向に回転させると、例えば硬貨払出孔221内に嵌挿した硬貨Aは突起230に押されながら円周方向へ搬送され、硬貨Aの一部がブロックベース301に接近する。
【0063】
即ち、硬貨払出用円板202およびブロックベース301の要部断面図で示す図15のように、硬貨払出孔221内に嵌挿した硬貨Aは突起230に押されながら反時計方向へ搬送され、硬貨Aの一部がブロックベース301に接近するが、その際、当該ブロックベース301は、硬貨と当接する段部301aではなく、なだらかな傾斜面301bを硬貨A側に向けるので、当該硬貨Aは、図16、17で示すようにスムーズにその傾斜面301bを乗り越え反時計方向側への回転を維持する。
【0064】
なお、硬貨Aが傾斜面301bを乗り越える際に、チューブ211内に積載収容されたすべての硬貨Aに上下方向への振動を与えるから、当該チューブ211内に積載収容された硬貨Aのうち、図16に示す「コイン立ち」した硬貨A´は、その姿勢が崩れて図17で示すように正規の積載収容された姿勢に復帰することとなる。
【0065】
したがって、上述した硬貨払出部120によると、硬貨払出用円板202を反時計方向に回転させることによって、チューブ内に収容された硬貨の「コイン立ち」を除去し、チューブ内における硬貨の詰まりを解消することができる。
【0066】
即ち、上述した硬貨払出部120によると、硬貨払出用円板202の硬貨払出孔221内に「コイン立ち」した硬貨A´が入りこみ、これにより噛み込み現象が発生して硬貨払出用円板202がロックした場合でも、硬貨払出用円板202を反時計方向へ回転させることにより硬貨の噛み込みを解消して、スムーズな硬貨の払出を続行させることができる。
【0067】
なお、硬貨の噛み込みが発生したかどうかは、例えば後述する駆動モータの負荷電流を検出し、この値が所定値を越えたときは硬貨払出用円板の回転がロックしたものと判断するようにしてもよい。また、払い出し動作時の硬貨払出用円板の回転をセンサで検出し、このセンサからの出力がなくなった場合には噛み込みが発生したものと判断するようにしてもよい。さらに、噛み込み現象が発生したときには、自動的に噛み込みの発生した硬貨払出用円板に対応する駆動モータを逆回転させるようにすればよい。
【0068】
次に、前述した硬貨処理装置10全体の動作を図2に基づいて簡単に説明する。 硬貨搬送部90を作動させる図示せぬスイッチをONすると、駆動モータ83が反時計方向に回転し、硬貨入金部80に投入された硬貨を一枚ずつピックアップして硬貨通路91に沿って案内する。なお、硬貨入金部80において硬貨の詰りが発生した場合は、駆動モータ83が逆回転し、その詰りを解消するように構成されている。
【0069】
なお、硬貨入金部80により一枚ずつピックアップされた硬貨は、最初に硬貨判別部100を通過し、ここで硬貨の正偽と、正貨の金種とが判別される。
【0070】
一方、硬貨判別部100から硬貨選別部110を構成する各硬貨選別リブ111、112、113、114、115、116までの距離と、図示せぬタコメータの出力パルス数は各々定められたパルス数の関係になっている。
【0071】
このため、硬貨判別部100である硬貨が正貨であり、例えばその金種が硬貨Bであると判定された場合は、図2で示すように、硬貨Bが硬貨選別リブ113の距離に対応する定められたパルス数に達したときに、硬貨選別リブ113を作動させる図示せぬソレノイドが作動し、その硬貨Bを下方に落下させて硬貨収納ホッパ122内に収納する。
【0072】
即ち図2で示す場合は、硬貨判別部100で硬貨が正貨であり、例えばその金種が硬貨Bであると判定されると、その硬貨Bは収納する硬貨収納ホッパー122の上面に形成された硬貨投入口を介して当該硬貨収納ホッパー122内にスムーズに落下収容され、この結果、図示せぬ制御装置の硬貨収納ホッパー122に関する枚数カウンターが一枚分カウントアップされる。
【0073】
なお、同様に各硬貨収納ホッパー121、123、124、125、126内に選別された硬貨が一枚収納されると、図示せぬ制御装置の各硬貨収納ホッパー121、123、124、125、126に関するそれぞれ専用の枚数カウンターが一枚分カウントアップされる。
【0074】
また、硬貨判別部100により設定金種以外の硬貨、即ち偽貨Gとみなされた硬貨を判別した場合や、各金種毎に設けられた各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126内に収納された硬貨が予め設定された満杯枚数に達すると、その偽貨Gあるいは、満杯に達した硬貨は、シュート117を介してリジェクトボックス170内に選別収容される。
【0075】
次に、硬貨処理装置10の硬貨払い出し動作を簡単に説明する。
【0076】
払い出す硬貨の金種とその払い出し枚数が確定した後、図示せぬ払い出しスイッチをONすると、図3で示す硬貨水平搬送部160の駆動モータ164が回転し硬貨搬送ベルト163を時計方向へ回転させる。
【0077】
次に、払い出す硬貨の金種に対応する駆動モータ141、142、143、144、145、146が一方向へ回転し動力伝達手段150を介し、払い出すべき金種の硬貨を収納した各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126を作動させる。
【0078】
このように、払い出すべき金種の硬貨を収納した硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126が作動すると、各硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の硬貨払出用円板202が回転し、その払い出すべき金種の硬貨を一枚ずつ、硬貨排出ガイド136を介し、その下方に配設された硬貨水平搬送部160の硬貨搬送ベルト161上に排出する。その際、硬貨排出ガイド136に設けられた図示せぬ硬貨検出センサにより払い出し硬貨の枚数を検出し、所定の払い出し枚数に達すると、対応する駆動モータ141、142、143、144、145、146の作動を停止させる。
【0079】
なお、硬貨払出し部120の硬貨払出用円板202は正逆転可能に構成されているため、払い出し硬貨が硬貨収納ホッパー内のコインチューブ内に硬貨が不自然な姿勢で入り込み、噛み込みが発生した場合は、対応する駆動モータにより硬貨払出用円板202を逆回転させて硬貨の詰りを解消する。
【0080】
このようにして、所定の金種の払い出し枚数が全て終了すると、その硬貨は全て硬貨水平搬送部160の硬貨搬送ベルト163により硬貨収容カップ171内に払い出される。
【0081】
このように、払い出し硬貨が全て硬貨収容カップ171内に払い出されると、硬貨水平搬送部160の作動は停止し、次の硬貨の払い出し待機状態に復帰することとなる。
【0082】
なお、図1に示すように、この硬貨処理装置10は全体から見て、その高さHが極めて低く形成され、しかも投入硬貨を受け入れる硬貨投入口20と硬貨払出し口30から払い出された硬貨を収容する硬貨収容カップ171とが筐体40の前方40aの位置にわずかな高低差を持って隣接するように配設されているため、筐体40の前方40aに位置するオペレータにとって、硬貨の投入と、払い出し硬貨の取り出しが極めて簡単となる。
【0083】
なお、上述した実施例では、処理装置10全体の高さを低く設定するための一例として、硬貨収納ホッパー121、122、123、124、125、126の上端を垂直方向から硬貨搬送部90側へ向けて所定の角度だけ傾斜させて配置するようにしたが、処理装置10の高さを低くする必要がなければ、硬貨収納ホッパーを垂直に配置するようにしても良いことはいうまでもない。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係わる硬貨払出装置では、硬貨払出用円板に、内部に硬貨を積載収容するコインチューブを固着するようにしたから、投入された硬貨は整然とした姿勢でコインチューブ内に収容され、このためホッパー内に収容される硬貨の収容枚数を増大させて、その硬貨収容能力を著しく向上させることができるとともに、また整然と配列された硬貨を硬貨払出用円板により払い出すため、硬貨払出動作も安定して硬貨払出作業の高速化を図ることもできる。また硬貨払出用円板の下面に、当該硬貨払出用円板が一方向に回転した際に硬貨を払出し、硬貨払出用円板が他方向へ回転した際に、コインチューブ内に収容された硬貨を一時昇降させて振動を与える硬貨ブロック手段を配設するようにしたから、コインチューブ内における硬貨の「コイン立ち」を排除することが可能となるとともに、硬貨の噛み込み現象の発生を可及的に阻止することも可能となり、このため硬貨払出動作が安定して、硬貨払出装置の運転管理が極めて簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は硬貨処理装置の概念斜視図。
【図2】図2は硬貨処理装置の内部構造を示す概念斜視図。
【図3】図3は硬貨払出部の内部構造を示す概念断面図。
【図4】図4は硬貨払出部の上面図。
【図5】図5は図3のBB断面図。
【図6】図6は図3のCC断面図。
【図7】図7は図3のDD断面図。
【図8】図8は図7のEE断面図。
【図9】図9は図7のFF断面図。
【図10】図10は硬貨払出し駆動部の概念断面図。
【図11】図11は硬貨払出部の作用を示す要部断面図。
【図12】図12は硬貨払出部の作用を示す要部断面図。
【図13】図13は硬貨払出部の作用を示す要部断面図。
【図14】図14は硬貨払出部の作用を示す要部断面図。
【図15】図15はブロック手段の作用を示す要部断面図。
【図16】図16はブロック手段の作用を示す要部断面図。
【図17】図17はブロック手段の作用を示す要部断面図。
【符号の説明】
120…硬貨払出装置
140…駆動部
200…ホッパー
200c…開口部
202…硬貨払出用円板
205…硬貨投入口
203…コインチューブと、
210a、211a、212a…スリット
220、221、222…硬貨払出孔
230…突起部
300…硬貨ブロック手段
310c、310d…溝部
Claims (3)
- 下部に硬貨を排出する開口部が形成され、上部に硬貨投入口が形成された円筒形のホッパーと、
該ホッパーの底部に回動自在に配設され、硬貨を嵌挿する硬貨払出孔と、
底面に該硬貨払出孔内に嵌挿した硬貨を円周方向へ向け搬送する突起部とが形成された硬貨払出用円板と、
前記硬貨払出用円板上に固着され該硬貨払出用円板とともに回動するとともに、下端が前記硬貨払出用円板の前記硬貨払出孔に連通し、かつ前記硬貨投入口を介し投入された硬貨を上端から受入れるとともに、前記ホッパーの内周面に最も接近する位置に、軸方向に沿ってスリットが形成されたコインチューブと、
前記硬貨払出用円板を正逆方向に回転駆動する駆動部と、
前記硬貨払出用円板の下方に配設され、該硬貨払出用円板が一方向に回転した際に、前記突起部により円周方向に向け搬送された硬貨と衝突し、該硬貨の進行方向をホッパーの外側へ変更させるとともに、前記硬貨払出用円板が他方向へ回転した際に、前記突起部により円周方向に向け搬送された硬貨の進行方向を変化させることなく当該硬貨を一時昇降させる傾斜片からなる硬貨ブロック手段と、
を具えたことを特徴とする硬貨払出装置。 - 前記硬貨ブロック手段には、前記硬貨払出用円板の突起部と当接することなく通過させる溝部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の硬貨払出装置。
- 前記駆動部は、前記ホッパーと所定の距離離間されて配設させた駆動モータと、該駆動モータと前記硬貨払出用円板との間に巻回されたベルトからなり、前記駆動モータの回転駆動を前記ベルトを介し前記硬貨払出用円板へ伝達することを特徴とする請求項1記載の硬貨払出装置。
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