JP4314557B2 - 成膜方法、光学素子、半導体素子および電子機器、電気光学装置の製造方法、カラーフィルターの製造方法 - Google Patents
成膜方法、光学素子、半導体素子および電子機器、電気光学装置の製造方法、カラーフィルターの製造方法 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、液状材料を塗布する工程を有する成膜方法、光学素子、半導体素子および電子機器、電気光学装置の製造方法、カラーフィルターの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、所望のパターンに成膜する方法としては、基板の被処理面に隔壁(バンク)を形成し、その隔壁で囲まれた領域(パターン領域)に液状材料を充填し、その液状材料を乾燥又は焼成することで成膜するという方法があった。液状材料の充填方法には、インクジェットノズルなどからその液状材料をパターン領域に吐出する液滴吐出方式がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−291583号公報
【特許文献2】
特開2002−122727号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の成膜方法では、インクジェットノズルなどから所望のパターン領域内に液状材料を吐出して成膜する場合、その吐出時における微妙なインクジェットノズルの位置ずれなどにより、滴下された液状材料がパターン領域全体に濡れ広がらない事態が発生する。この事態は、基板のパターン領域の表面が液状材料に対して親液性(濡れ広がり性)が高くない場合に生じ易い。
【0005】
また、その液状材料が濡れ広がらなくなる事態は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置などの電気光学素子の製造プロセス及び半導体製造プロセスなど各種のプロセスで生じている。そして、上記液状材料が濡れ広がらなくなる事態が発生した基板では、その膜が絶縁膜であればショート不良となり、その膜が発光膜であれば点欠陥又は全面が発光しないなどの不具合が生じる。
【0006】
一方、液状材料の吐出時におけるインクジェットノズルの位置など各種吐出条件を高精度に制御することで、パターン領域全体に液状材料を濡れ広げようとする場合は、その吐出条件を制御するために膨大な工数が必要となり、製造時間が長期化してしまう。また、かかる吐出条件を維持することは困難であり、周囲環境の変化など些細なことで、パターン領域全体に液状材料が濡れ広がらないという事態が発生する。
【0007】
また、インクジェットノズルにおける吐出特性を高精度にして上記問題点を解決しようとすると、インクジェットノズルの製造規格が厳しくなりすぎ、インクジェットノズルの歩留まりが低下し、製造コストが上昇してしまうという問題点が生じる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、所望のパターン領域全体に液状材料を塗布して成膜しようするときに、製造コストの低減化及び製造時間の短縮化を可能とする成膜方法、光学素子、半導体素子および電子機器、電気光学装置の製造方法、カラーフィルターの製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の成膜方法は、基板の被処理面上に親液領域と撥液領域とを形成する工程と、前記親液領域上に所定の溶媒からなる皮膜を形成する工程と、前記皮膜上に液状材料を充填する工程とを有し、前記液状材料中の成分を少なくとも含む所定の膜を前記親液領域上に形成することを特徴とする。
本発明によれば、基板の被処理面上に親液領域と撥液領域とを作り分けた後、親液領域上に所定の溶媒を充填して皮膜を形成し、その後に、形成された皮膜の上に液状材料を充填するので、形成された皮膜が「呼び水」として作用し、容易に、親液領域全体に液状材料を濡れ広げることができる。そこで、本発明によれば、液状材料によって所望の領域に所望の膜を成膜して光学素子、半導体素子および電子機器などを製造するときに、不良品の発生率を抑えながら製造コストの低減化及び製造時間の短縮化が可能となる。
【0010】
前記親液領域と撥液領域とを形成する工程において、前記基板の被処理面上に撥液膜を形成し、前記撥液膜に対して局所的に露光を施すことによって前記露光を施した部分の前記撥液膜を除去し、前記撥液膜を除去した部分を前記親液領域とし、前記撥液膜が残存した部分を前記撥液領域とすることが望ましい。
液相法による成膜に先立って基板上に親液領域と撥液領域とを作り分ける場合には様々な方法が考えられるが、上記の方法は本出願人が既に出願済みの方法である。この方法によれば、撥液膜を成膜した後、フォトマスク等を用いて撥液膜に対して局所的に露光を施すだけで撥液膜のパターニングが行えるので、通常のフォトリソグラフィー工程における現像、エッチング等が不要になり、簡便なプロセスとすることができる。
【0011】
また、本発明の他の成膜方法は、基板の被処理面に隔壁を形成することでパターニング領域を仕切る工程と、前記隔壁の内側領域に所定の溶媒からなる皮膜を形成する工程と、前記隔壁の内側領域の前記皮膜上に液状材料を充填する工程とを有し、所望の膜を前記パターニング領域に設けることを特徴とする。
本発明によれば、パターニング領域である隔壁(バンク)の内側領域に溶媒を充填して皮膜を形成しておき、その後に、かかる皮膜の形成された隔壁の内側領域に液状材料を充填するので、隔壁の内側領域に形成された皮膜が「呼び水」として作用し、容易に、隔壁の内側領域全体に液状材料を濡れ広げることができる。そこで、本発明によれば、液状材料によって所望領域に成膜して光学素子、半導体素子および電子機器などを製造するときに、不具合品の発生率を抑えながら製造コストの低減化及び製造時間の短縮化を可能とする。
【0012】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成が、一旦、前記基板の被処理面全体に前記溶媒を塗布し、その後に、前記隔壁に塗布された該溶媒が該隔壁から自然に除去される作用を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、隔壁がなす基板上の凸部に塗布された溶媒は、時間の経過とともに基板上の凹部であるパターニング領域に流れ落ちるか又は揮発するので、簡易に、パターニング領域に皮膜を形成することができる。
【0013】
また、本発明の成膜方法は、前記隔壁によって複数のパターニング領域に仕切り、該複数のパターニング領域において複数種類の膜を成膜する場合に、第1膜を成膜してから該第1膜を乾燥し、その後、第2膜を成膜してから該第2膜を乾燥する工程を繰り返すことが好ましい。
本発明によれば、製造過程において、例えば、第1膜をなす第1液状材料と第2膜をなす第2液状材料とが混ざり合うことを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の成膜方法は、前記隔壁によって複数のパターニング領域に仕切り、該複数のパターニング領域において複数種類の膜を成膜する場合に、該複数種類の膜を成膜し、その後、該複数種類の膜を同時に乾燥させることが好ましい。
本発明によれば、一度に複数種類の液体材料からなる複数種類の膜を成膜するので、簡易かつ迅速に複数種類の膜を設けることができる。
【0015】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜を形成する前に、前記隔壁に撥液処理を施しておくことが好ましい。
本発明によれば、パターニング領域以外の領域にある隔壁に塗布された溶媒が迅速にパターニング領域にはじき出されるとともに、隔壁に塗布された液状材料も迅速にパターニング領域にはじき出されるので、さらに製造時間の短縮化、不具合品の発生率の低減化を実現することができる。
【0016】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜を形成する前に、前記パターニング領域に親液処理を施しておくことが好ましい。
本発明によれば、パターニング領域全体に容易に皮膜を形成することができるので、さらに容易にパターニング領域全体に液状材料を充填することができる。
【0017】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜が前記液状材料の充填時に液状となっていることが好ましい。
本発明によれば、隔壁の内側領域(パターニング領域)に形成された皮膜が液状となっているときに、その皮膜に液状材料を充填するので、液状材料に対する皮膜の「呼び水」作用が大きくなり、さらに容易に、隔壁の内側領域全体に液状材料を濡れ広げることができる。
【0018】
また、本発明の成膜方法は、前記液状材料の充填が液滴吐出方式を用いて行われることが好ましい。
本発明によれば、液滴吐出方式での液状材料の充填において、液滴吐出ノズル(インクジェットノズル)の位置など各種吐出条件を高精度に制御することなく、簡易な制御条件で所望のパターニング領域全体に液状材料を充填することができ、不具合品の発生率を抑えながら製造コストの低減化及び製造時間の短縮化を可能とする。
【0019】
また、本発明の成膜方法は、前記溶媒が前記液状材料の溶媒であることが好ましい。
本発明によれば、液状材料の溶媒からなる皮膜を、親液領域もしくは隔壁の内側領域(パターニング領域)に形成し、その後に、かかる皮膜に液状材料を充填するので、液状材料に対する皮膜の「呼び水」作用がさらに大きくなり、さらに容易に、隔壁の内側領域全体に液状材料を濡れ広げることができる。
【0020】
また、本発明の成膜方法は、前記溶媒が、前記液状材料と混合しても該液状材料の機能に悪影響を与えない液状体であることが好ましい。
本発明によれば、皮膜をなす溶媒に液状材料を充填することで、かかる溶媒と液状材料が混合しても、液状材料が本来持つ機能を阻害するのを防止することができる。
なお、前記溶媒が、前記液状材料の機能に悪影響を与えず、かつ後工程で取り除くことが可能な液状体である場合には、前記液状材料と混合しないものであってもかまわない。
【0021】
また、本発明の成膜方法は、前記溶媒が前記液状材料に対して親和性の高い液状体であることが好ましい。
本発明によれば、皮膜の上記「呼び水」作用(親液性作用)がさらに高まるので、さらに容易に、隔壁の内側領域全体に液状材料を充填することができる。
【0022】
また、本発明の成膜方法においては、前記溶媒として、前記親液領域に対する接触角が30°以下のものを用いることが好ましい。さらに、前記溶媒として、前記親液領域に対する接触角が10°以下のものを用いることがより好ましい。
この構成によれば、後述する液滴吐出方式、ディップコート方式等を用いた皮膜形成において、親液領域に対して溶媒が濡れ広がりやすくなる。
【0023】
また、本発明の成膜方法においては、前記溶媒として、前記液状材料に対して後退接触角が小さいものを用いることが好ましい。
この構成によれば、後述するスリットコート方式等を用いた皮膜形成において、親液領域に対して溶媒が濡れ広がりやすくなる。
【0024】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、前記溶媒がなす雰囲気であって飽和蒸気圧に近い状態の雰囲気に前記基板の被処理面を曝すことで行うことが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望の膜厚の皮膜を形成することができ、上記「呼び水」作用の大きさを簡易に制御することができる。
【0025】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成において、前記溶媒を塗布した後から、前記液状材料を充填する時までの該溶媒を気化又は乾燥させる量又は時間を制御することで、該充填時における該溶媒がなす皮膜の厚さを制御することが好ましい。
本発明によれば、液状材料の充填時における皮膜の厚さを、簡易に制御することができるので、上記「呼び水」作用の大きさを簡易に制御することができる。
【0026】
また、本発明の成膜方法は、前記溶媒の気化又は乾燥を、前記基板を容器内に入れて密閉し、該容器内を略均一な雰囲気にしながら、徐々に行うことが好ましい。
本発明によれば、基板の被処理面全体について皮膜の厚さを均一にすることができるので、基板全体について製造品質を向上させることが可能となる。
【0027】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、スリット状の開口部から前記溶媒を吐出するスリットコート方式を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、例えば、被処理面が比較的大きく、その被処理面全体にパターニング領域が分散している場合であっても、スリットコート方式によりその全てのパターニング領域について一定量の溶媒を高速に充填することができる。
また、スリットコート方式において、毛細管現象を利用した方式を採用した場合は、被吐出材料である液体材料の使用効率を容易に95%以上にすることができるため、製造コストの低減が可能になる。
【0028】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、スプレー成膜方式を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望の膜厚の皮膜を形成することができ、上記「呼び水」作用の大きさを簡易に制御することができる。
【0029】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、スピンコート方式を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、簡易に、基板の被処理面全体について皮膜の厚さを均一にすることが可能となる。
【0030】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、ベーパー成膜方式を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望の膜厚の皮膜を形成することができ、上記「呼び水」作用の大きさを簡易に制御することができる。
【0031】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、液滴吐出方式を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望の膜厚の皮膜を形成することができ、上記「呼び水」作用の大きさを簡易に制御することができる。
【0032】
また、本発明の成膜方法は、前記皮膜の形成を、ディップコート方式を用いて行うことが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望の膜厚の皮膜を形成することができ、上記「呼び水」作用の大きさを簡易に制御することができる。
【0033】
また、本発明の成膜方法は、前記液状材料を充填した後に、該液状材料を乾燥させない状態のままで所定時間経過させることが好ましい。
本発明によれば、液状材料を皮膜に充填した後に、その液状材料と溶媒とが十分に混合し、液状材料の濃度分布のバラツキを抑えることができる。
【0034】
また、本発明の光学素子は、前記成膜方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、不具合が生じる確率が従来よりも低く、低コストで且つ短時間で製造することができるカラーフィルタ、液晶表示素子及び有機EL素子などの光学素子を提供することができる。
【0035】
また、本発明の半導体素子は、前記成膜方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、不具合が生じる確率が従来よりも低く、従来のものより微細化することができ、低コストで且つ短時間で製造することができる半導体素子を提供することができる。
【0036】
また、本発明の電子機器は、前記光学素子を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、表示画素における点欠陥又は表示画面の不具合などを発生を抑制することができる高品質な光学素子を備えた電子機器であって、低コストで且つ短時間で製造することができる電子機器を提供することができる。
【0037】
また、本発明の電子機器は、前記半導体素子を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、ショート不良などの不具合が発生することを抑制することができ、高密度に半導体素子を配置することできる電子機器であって、低コストで且つ短時間で製造することができる電子機器を提供することができる。
【0038】
本発明の電気光学装置の製造方法は、透明導電膜からなる電極を備えた電気光学装置の製造方法であって、前記本発明の成膜方法を用いて前記透明導電膜を形成することを特徴とする。
本発明においては、前記本発明の成膜方法を用いることによってパターン欠陥等の少ない透明導電膜からなる電極を形成することができるので、歩留まりが高く、高品質の電気光学装置を提供することができる。
【0039】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、複数の異なる色の色材層を備えたカラーフィルターの製造方法であって、前記本発明の成膜方法を用いて前記色材層を形成することを特徴とする。
本発明においては、前記本発明の成膜方法を用いることによってパターン欠陥等の少ない色材層を形成することができるので、歩留まりが高く、高品質のカラーフィルターを提供することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る成膜方法について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の主要工程における基板の模式断面図である。図2は図1に示す基板の主要部の平面図である。
【0041】
基板10は、例えば透明な基板である。基板10の上面には、凸形状の隔壁(バンク)11が設けられる。隔壁11で囲まれた複数の凹部は、例えばそれぞれ画素となる部位であって、液状材料(図示せず)を充填して所望の薄膜をパターニングする領域である。
【0042】
先ず、基板10に隔壁11を設け、次いで、隔壁11についてプラズマ処理などをすることで撥液処理を施す。その後、隔壁11で囲まれた複数の凹部に溶媒を充填することで皮膜12を形成する。この皮膜12を形成する前に、隔壁11で囲まれた複数の凹部(パターニング領域)に親液処理を施しておいてもよい。親液処理の方法としては、紫外線(UV)、オゾン又は酸素プラズマなどを用いる方法あるいは当該方法の組み合わせなどが挙げられる。
【0043】
ここで、皮膜12を形成する溶媒は、液状材料の溶媒とすることが好ましい。また、皮膜12を形成する溶媒としては、液状材料と混合してもその液状材料の機能に悪影響を与えない液状体であることが好ましい。また、皮膜12を形成する溶媒としては、液状材料に対して親和性の高い液状体であることが好ましい。また、皮膜12を形成する溶媒としては、界面活性剤であってもよい。また、皮膜12を形成する溶媒としては、揮発性が高く蒸発するとすべてなくなるもの、又は、複数種類の液状材料をパターニングする場合は各液状材料の全てに含まれている液状体とする。具体的には、皮膜12を形成する溶媒として、アルコール、ジエチレングリコール、イソプロピルビフェニルなどを用いる。
【0044】
皮膜12を形成する方法としては、例えば、スリットコート方式を用いる。図3はスリットコート方式を示す模式断面図である。スリットコート方式には、大きく分けて、図3(a)に示す方式と図3(b)に示す方式の2種類の方式がある。
【0045】
図3(a)に示す方式は、被吐出材料である溶媒22を下向きに吐出する通常の方式である。この通常のスリットコート方式では、スリット状の開口部を持つスリット部23を基板10の上方に配置する。ここで、基板10の上面が被処理面となっている。そして、スリット部23から溶媒22を吐出しながら基板10又はスリット部23をスライドする。これにより、基板10の被処理面全体のパターニング領域に一定量の溶媒22を高速に充填することができる。
【0046】
図3(b)に示す方式は、毛細管現象を利用したスリットコート方式である。このスリットコート方式では、毛細管を備えるスリット部24を基板10の下方に配置する。ここで、基板10の下面が被処理面となっている。そして、スリット部24の開口と基板10の被処理面との間隔を所望の小さい間隔に保ちながら、基板10又はスリット部24をスライドさせる。これにより、毛細管現象によって溶媒22が基板10の被処理面に吸引され、基板10の被処理面全体のパターニング領域に一定量の溶媒22を高速に充填することができる。また、毛細管現象を利用したスリットコート方式では、被吐出材料である液体材料の使用効率を容易に95%以上にすることができるため、製造コストの低減が可能になる。
【0047】
上記塗布の前に、基板10の被処理面においてパターニング領域に親液処理を施し、他の領域(隔壁11の領域)に撥液処理を施しておくことで、パターン領域にのみ液状材料を充填することができる。
【0048】
また、皮膜12の形成方法としては、スリットコート方式に限定されるものではなく、スプレー成膜方式、スピンコート方式、ベーパー(Vapor)成膜方式又は溶媒がなす雰囲気に基板10を曝すなどの方法を用いてもよい。溶媒がなす雰囲気に基板10を曝す方法では、溶媒がなす雰囲気であって飽和蒸気圧に近い状態の雰囲気に基板10の被処理面を曝すことで、皮膜12を形成する。
【0049】
ここで、上記のように隔壁11に撥液処理を施し、隔壁11で囲まれたパターニング領域に親液処理を施しておくことで、上記皮膜12の形成方法で基板10の処理面全体に一旦溶媒を塗布し、その後、撥液処理された隔壁11に塗布された溶媒がはじかれ、その溶媒が親液処理されているパターニング領域に移動するセルフパターニング方法を用いることができる。
【0050】
上記のようにして皮膜12を形成した後、乾燥チャンバ内に基板10を入れ、皮膜12をなす溶媒をある程度蒸発又は気化させることで、皮膜12の厚さ(容積)を所望の値まで減少させることが好ましい。このとき、基板10の中央部における蒸発又は気化を促進させて、基板10の被処理面全体について皮膜12の厚さを均一化することが好ましい。基板10の中央部における蒸発又は気化を促進させる方法としては、例えば、乾燥チャンバ内において、基板10の被処理面に対向させて所望の板を配置し、その板は中央付近に比較的大きい孔が複数開けられており周辺付近に比較的小さい孔が複数開けられており、その板の複数の孔を介して基板10表面の対流量を中心から放射状に小さくするようにする。
【0051】
上記の処理により、皮膜12の厚さ(容積)を所望の値まで減少させた後は、その皮膜12が形成されているパターニング領域に液状材料を充填する。この液状材料が所望の薄膜を基板10上に形成するための材料である。そして、液状材料の充填は、インクジェットノズルから液状材料を吐出する液滴吐出方式を用いる。
【0052】
ここで、液状材料を充填する時には、皮膜12を形成する溶媒がまだ液状体となっている。そこで、皮膜12は充填されてくる液状材料に対して「呼び水」的に作用し、パターニング領域(隔壁11で囲まれた複数の凹部)の全面すみずみに液状材料が濡れ広がる。
【0053】
次いで、飽和蒸気圧の雰囲気に基板10を入れるなどして、パターニング領域に充填した液状材料が乾燥しないように所定時間維持する。このようにして所定時間維持することで、皮膜12をなす溶媒と液状材料とが十分に混合し、液状材料の濃度分布が十分に均一化される。
次いで、基板10をベーク炉などに入れて乾燥又は焼成するベーキング処理をすることで、パターニング領域に所望の薄膜が形成される。
【0054】
これらにより、本実施形態の成膜方法によれば、液滴吐出方式による液状材料の充填時に、皮膜12が「呼び水」として作用するので、隔壁11で囲まれたパターニング領域の全面すみずみに液状材料が濡れ広がることとなる。したがって本実施形態の成膜方法によれば、成膜工程においてパターニング領域に液状材料が充填されない部分が生ずるという不具合が発生する確率を大幅に低減することができるので、成膜についての歩留まりを向上させることができる。
【0055】
例えば、液状材料によって形成した膜が絶縁膜である場合は、本実施形態の成膜方法を用いることにより、ショート不良を大幅に低減することができる。また液状材料によって形成した膜が発光膜である場合は、本実施形態の成膜方法を用いることにより、点欠陥及び全面が発光しないなどの不具合を大幅に低減することができる。
【0056】
また、本実施形態の成膜方法によれば、液滴吐出方式による液状材料の充填時に、皮膜12が「呼び水」として作用するので、インクジェットノズルの位置制御及びインクジェットノズルからの液状材料の吐出量など液滴吐出方式のプロセス条件を緩和することができる。例えば、本実施形態の成膜方法によれば、インクジェットノズルから吐出される液状材料の着弾位置の精度を緩和することができ、また、インクジェットノズルを含む液滴吐出装置の製造規格を緩和することができる。
【0057】
したがって、本実施形態の成膜方法によれば、液状材料を用いて成膜するときの製造コストの低減化、必要工数の低減化及び生産性の向上を実現することができる。
また、本実施形態の成膜方法によれば、液滴吐出方式による液状材料の充填時に、皮膜12をなす溶媒が揮発し、インクジェットノズルを溶媒が揮発した雰囲気で包むことができるので、インクジェットノズルのノズルプレートなどで液状材料が乾燥してそのノズルが詰まることを回避することができ、インクジェットノズルの吐出安定性を向上させることができる。
【0058】
次に、上記実施形態の成膜方法を用いた有機EL素子の製造方法について、図4から図8を参照して説明する。図4、図5は有機EL素子を備えたELディスプレイの一例の概略構成を説明するための図であり、これらの図において符号70はELディスプレイである。
このELディスプレイ70は、回路図である図4に示すように透明基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の共通給電線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素(画素領域素)71が設けられて構成されたものである。
【0059】
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路72が設けられている。
一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路73が設けられている。また、画素領域71の各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング薄膜トランジスタ142と、このスイッチング薄膜トランジスタ142を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給されるカレント薄膜トランジスタ143と、このカレント薄膜トランジスタ143を介して共通給電線133に電気的に接続したときに共通給電線133から駆動電流が流れ込む画素電極141と、この画素電極141と反射電極154との間に挟み込まれる発光部140と、が設けられている。
【0060】
このような構成のもとに、走査線131が駆動されてスイッチング薄膜トランジスタ142がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、カレント薄膜トランジスタ143のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスタ143のチャネルを介して共通給電線133から画素電極141に電流が流れ、さらに発光部140を通じて反射電極154に電流が流れることにより、発光部140は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
ここで、各画素71の平面構造は、反射電極や有機EL素子を取り除いた状態での拡大平面図である図5に示すように、平面形状が長方形の画素電極141の四辺が、信号線132、共通給電線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
【0061】
次に、このようなELディスプレイ70に備えられる有機EL素子の製造方法について、図6〜図8を用いて説明する。なお、図6〜図8では、説明を簡略化するべく、単一の画素71についてのみ図示する。
まず、基板を用意する。ここで、有機EL素子では後述する発光層による発光光を基板側から取り出すことも可能であり、また基板と反対側から取り出す構成とすることも可能である。発光光を基板側から取り出す構成とする場合、基板材料としてはガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明なものが用いられるが、特に安価なガラスが好適に用いられる。
【0062】
また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を配置して、発光色を制御するようにしてもよい。
また、基板と反対側から発光光を取り出す構成の場合、基板は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミックス、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
本例では、基板として図6(a)に示すようにガラス等からなる透明基板121を用意する。そして、これに対し、必要に応じてTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成する。
【0063】
次に、透明基板121の温度を約350℃に設定して、下地保護膜の表面にプラズマCVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体膜200を形成する。次いで、この半導体膜200に対してレーザアニールまたは固相成長法などの結晶化工程を行い、半導体膜200をポリシリコン膜に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0064】
次いで、図6(b)に示すように、半導体膜(ポリシリコン膜)200をパターニングして島状の半導体膜210とし、その表面に対して、TEOSや酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜または窒化膜からなるゲート絶縁膜220を形成する。なお、半導体膜210は、図5に示したカレント薄膜トランジスタ143のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においてはスイッチング薄膜トランジスタ142のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、図6〜図8に示す製造工程では二種類のトランジスタ142、143が同時に作られるのであるが、同じ手順で作られるため、以下の説明ではトランジスタに関しては、カレント薄膜トランジスタ143についてのみ説明し、スイッチング薄膜トランジスタ142についてはその説明を省略する。
【0065】
次いで、図6(c)に示すように、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属膜からなる導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極143Aを形成する。
次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、半導体膜210に、ゲート電極143Aに対して自己整合的にソース・ドレイン領域143a、143bを形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域143cとなる。
【0066】
次いで、図6(d)に示すように、層間絶縁膜230を形成した後、コンタクトホール232、234を形成し、これらコンタクトホール232、234内に中継電極236、238を埋め込む。
次いで、図6(e)に示すように、層間絶縁膜230上に、信号線132、共通給電線133及び走査線(図6に示さず)を形成する。ここで、中継電極238と各配線とは、同一工程で形成されていてもよい。このとき、中継電極236は、後述するITO膜により形成されることになる。
【0067】
そして、各配線の上面をも覆うように層間絶縁膜240を形成し、中継電極236に対応する位置にコンタクトホール(図示せず)を形成し、そのコンタクトホール内にも埋め込まれるようにITO膜を形成し、さらにそのITO膜をパターニングして、信号線132、共通給電線133及び走査線(図示せず)に囲まれた所定位置に、ソース・ドレイン領域143aに電気的に接続する画素電極141を形成する。ここで、信号線132及び共通給電線133、さらには走査線(図示せず)に挟まれた部分が、後述するように正孔注入層や発光層の形成場所となっている。
【0068】
次いで、図7(a)に示すように、前記の形成場所を囲むように隔壁150を形成する。この隔壁150は仕切部材として機能するものであり、例えばポリイミド等の絶縁性有機材料で形成するのが好ましい。隔壁150の膜厚については、例えば1〜2μmの高さとなるように形成する。また、隔壁150は、液滴吐出ヘッド部34から吐出される液状体に対して非親和性(撥液性)を示すものが好ましい。隔壁150に非親和性を発現させるためには、例えば隔壁150の表面をフッ素系化合物などで表面処理するといった方法が採用される。フッ素化合物としては、例えばCF4 、SF5 、CHF3 などがあり、表面処理としては、例えばプラズマ処理、UV照射処理などが挙げられる。
そして、このような構成のもとに、正孔注入層や発光層の形成場所、すなわちこれらの形成材料の塗布位置とその周囲の隔壁150との間には、十分な高さの段差111が形成されているのである。
【0069】
次いで、隔壁150に囲まれた薄膜(正孔注入層)の形成場所に、正孔注入層の形成材料の溶媒を充填して図1及び図2に示すところの皮膜12を形成する。
【0070】
次いで、図7(b)に示すように、基板121の上面を上に向けた状態で、正孔注入層の形成材料(液状材料)を液滴吐出ヘッド部34より、皮膜(図示せず)が形成された隔壁150に囲まれた塗布位置、すなわち隔壁150内に選択的に塗布する。
これにより、皮膜が「呼び水」的な作用を発揮して、隔壁150内全体にくまなく正孔注入層の形成材料が濡れ広がる。
【0071】
なお、正孔注入層の形成材料としては、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられる。
このとき、液状の形成材料114Aは、皮膜によって流動性が高められて水平方向に広がろうとするが、塗布された位置を囲んで隔壁150が形成されているので、形成材料114Aは隔壁150を越えてその外側に広がることが防止されている。
【0072】
次いで、図7(c)に示すように加熱あるいは光照射により液状の前駆体114Aの溶媒を蒸発させて、画素電極141上に、固形の正孔注入層140Aを形成する。
次いで、図8(a)に示すように、基板121の上面を上に向けた状態で、隔壁150に囲まれた正孔注入層140Aの上に、発光層の形成材料の溶媒からなる皮膜(図示せず)を形成しておき、その皮膜上に、液滴吐出ヘッド部34よりインクとして発光層の形成材料(発光材料)114Bを選択的に塗布する。
これにより、皮膜が「呼び水」的な作用を発揮して、隔壁150内の正孔注入層140Aの上面全体にくまなく発光材料114Bが濡れ広がる。
【0073】
発光層の形成材料としては、例えば共役系高分子有機化合物の前駆体と、得られる発光層の発光特性を変化させるための蛍光色素とを含んでなるものが好適に用いられる。
共役系高分子有機化合物の前駆体は、蛍光色素等とともに液滴吐出ヘッド部34から吐出されて薄膜に成形された後、加熱硬化されることによって共役系高分子有機EL層となる発光層を生成し得るものをいい、例えば前駆体のスルホニウム塩の場合、加熱処理されることによりスルホニウム基が脱離し、共役系高分子有機化合物となるもの等である。
【0074】
このような共役系高分子有機化合物は固体で強い蛍光を持ち、均質な固体超薄膜を形成することができる。しかも形成能に富みITO電極との密着性も高い。さらに、このような化合物の前駆体は、硬化した後は強固な共役系高分子膜を形成することから、加熱硬化前においては前駆体溶液を後述するインクジェットパターニングに適用可能な所望の粘度に調整することができ、簡便かつ短時間で最適条件の膜形成を行うことができる。
【0075】
このような前駆体としては、例えばPPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))またはその誘導体の前駆体が好ましい。PPVまたはその誘導体の前駆体は、水あるいは有機溶媒に可溶であり、また、ポリマー化が可能であるため光学的にも高品質の薄膜を得ることができる。さらに、PPVは強い蛍光を持ち、また二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化している導電性高分子でもあるため、高性能の有機EL素子を得ることができる。
【0076】
このようなPPVまたはPPV誘導体の前駆体として、例えば、PPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))前駆体、MO−PPV(ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレンビニレン))前駆体、CN−PPV(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)))前駆体、MEH−PPV(ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)]−パラ−フェニレンビニレン)前駆体等が挙げられる。
【0077】
PPVまたはPPV誘導体の前駆体は、前述したように水に可溶であり、製膜後の加熱により高分子化してPPV層を形成する。前記PPV前駆体に代表される前駆体の含有量は、組成物全体に対して0.01〜10.0wt%が好ましく、0.1〜5.0wt%がさらに好ましい。前駆体の添加量が少な過ぎると共役系高分子膜を形成するのに不十分であり、多過ぎると組成物の粘度が高くなり、インクジェット法による精度の高いパターニングに適さない場合がある。
【0078】
さらに、発光層の形成材料としては、少なくとも1種の蛍光色素を含むのが好ましい。これにより、発光層の発光特性を変化させることができ、例えば、発光層の発光効率の向上、または光吸収極大波長(発光色)を変えるための手段としても有効である。すなわち、蛍光色素は単に発光層材料としてではなく、発光機能そのものを担う色素材料として利用することができる。例えば、共役系高分子有機化合物分子上のキャリア再結合で生成したエキシトンのエネルギーをほとんど蛍光色素分子上に移すことができる。この場合、発光は蛍光量子効率が高い蛍光色素分子からのみ起こるため、発光層の電流量子効率も増加する。したがって、発光層の形成材料中に蛍光色素を加えることにより、同時に発光層の発光スペクトルも蛍光分子のものとなるので、発光色を変えるための手段としても有効となる。
【0079】
なお、ここでいう電流量子効率とは、発光機能に基づいて発光性能を考察するための尺度であって、下記式により定義される。
ηE =放出されるフォトンのエネルギー/入力電気エネルギー
そして、蛍光色素のドープによる光吸収極大波長の変換によって、例えば赤、青、緑の3原色を発光させることができ、その結果フルカラー表示体を得ることが可能となる。
さらに蛍光色素をドーピングすることにより、EL素子の発光効率を大幅に向上させることができる。
【0080】
蛍光色素としては、赤色の発色光を発光する発光層を形成する場合、赤色の発色光を有するローダミンまたはローダミン誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素は、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく、均一で安定した発光層の形成が容易である。このような蛍光色素として具体的には、ローダミンB、ローダミンBベース、ローダミン6G、ローダミン101過塩素酸塩等が挙げられ、これらを2種以上混合したものであってもよい。
【0081】
また、緑色の発色光を発光する発光層を形成する場合、緑色の発色光を有するキナクリドンおよびその誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素は前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
【0082】
さらに、青色の発色光を発光する発光層を形成する場合、青色の発色光を有するジスチリルビフェニルおよびその誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素は前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水・アルコール混合溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
【0083】
また、青色の発色光を有する他の蛍光色素としては、クマリンおよびその誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。このような蛍光色素として具体的には、クマリン、クマリン−1、クマリン−6、クマリン−7、クマリン120、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン337、クマリン343等が挙げられる。
【0084】
さらに、別の青色の発色光を有する蛍光色素としては、テトラフェニルブタジエン(TPB)またはTPB誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素等と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
以上の蛍光色素については、各色ともに1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0085】
これらの蛍光色素については、前記共役系高分子有機化合物の前駆体固型分に対し、0.5〜10wt%添加するのが好ましく、1.0〜5.0wt%添加するのがより好ましい。蛍光色素の添加量が多過ぎると発光層の耐候性および耐久性の維持が困難となり、一方、添加量が少な過ぎると、前述したような蛍光色素を加えることによる効果が十分に得られないからである。
【0086】
また、前記前駆体および蛍光色素については、極性溶媒に溶解または分散させてインクとし、このインクを液滴吐出ヘッド部34から吐出するのが好ましい。極性溶媒は、前記前駆体、蛍光色素等を容易に溶解または均一に分散させることができるため、液滴吐出ヘッド部34のノズル孔での発光層形成材料中の固型分が付着したり目詰りを起こすのを防止することができる。
【0087】
このような極性溶媒として具体的には、水、メタノール、エタノール等の水と相溶性のあるアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒または無機溶媒が挙げられ、これらの溶媒を2種以上適宜混合したものであってもよい。
【0088】
さらに、前記形成材料中に湿潤剤を添加しておくのが好ましい。これにより、形成材料が液滴吐出ヘッド部34のノズル孔で乾燥・凝固することを有効に防止することができる。かかる湿潤剤としては、例えばグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられ、これらを2種以上混合したものであってもよい。この湿潤剤の添加量としては、形成材料の全体量に対し、5〜20wt%程度とするのが好ましい。
なお、その他の添加剤、被膜安定化材料を添加してもよく、例えば、安定剤、粘度調整剤、老化防止剤、pH調整剤、防腐剤、樹脂エマルジョン、レベリング剤等を用いることができる。
【0089】
このような発光層の形成材料114Bを液滴吐出ヘッド部34のノズル孔から吐出すると、形成材料114Bは隔壁150内の正孔注入層140A上に塗布される。
ここで、形成材料114Bの吐出による発光層の形成は、赤色の発色光を発光する発光層の形成材料、緑色の発色光を発光する発光層の形成材料、青色の発色光を発光する発光層の形成材料を、それぞれ対応する画素71に吐出し塗布することによって行う。なお、各色に対応する画素71は、これらが規則的な配置となるように予め決められている。
【0090】
このようにして各色の発光層形成材料を吐出し塗布したら、発光層形成材料114B中の溶媒を蒸発させることにより、図8(b)に示すように正孔層注入層140A上に固形の発光層140Bを形成し、これにより正孔層注入層140Aと発光層140Bとからなる発光部140を得る。ここで、発光層形成材料114B中の溶媒の蒸発については、必要に応じて加熱あるいは減圧等の処理を行うが、発光層の形成材料は通常乾燥性が良好で速乾性であることから、特にこのような処理を行うことなく、したがって各色の発光層形成材料を順次吐出塗布することにより、その塗布順に各色の発光層140Bを形成することができる。
その後、図8(c)に示すように、透明基板121の表面全体に、あるいはストライプ状に反射電極154を形成し、有機EL素子を得る。
【0091】
このような有機EL素子の製造方法によれば、正孔注入層140Aや発光層140Bといった有機EL素子の構成要素となる薄膜を、図1及び図2などに示す上記実施形態の成膜方法によって設けているので、正孔注入層140A及び発光層140Bを高品質に形成することができ、点欠陥及び全面が発光しないなどの不具合が発生する確率を大幅に低減することができる。
【0092】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の成膜方法について図12,図13を用いて説明する。図12および図13は、本実施形態の成膜方法を順を追って示す工程図である。
第1実施形態では基板上にパターニングされた隔壁を形成し、その隔壁の内部領域に所定の膜を成膜する方法を例示した。これに対して、本実施形態では隔壁を形成することなく、基板上に親液領域と撥液領域とを作り分け、親液領域上に所定の膜を成膜する方法を例示する。形成する膜として、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等、電気光学装置の透明導電膜として多用されているITO膜の例を挙げる。第1実施形態の有機EL素子の製造方法の説明ではITO膜を成膜した後、パターニングを行っているが、本実施形態では液相法により最初から所望のパターンにITOを成膜する方法を示す。
【0093】
まず、図12(a)に示すように、基板40上に、例えばスリットコート法を用いて液体材料を塗布し、乾燥工程を経て液体材料に含まれる溶剤を除去し、撥液原料からなる撥液膜41を形成する。液体材料としては、例えば有機シラン、より具体的にはオプツールDSX(商品名、ダイキン工業社製)をフッ素系溶剤に0.1重量%に希釈した溶液を使用することができる。この場合、乾燥工程は、例えば100℃、10分程度の条件で良い。撥液原料としては、その他、撥液性レジスト、プラズマ重合膜等を用いることができる。液体材料の塗布方法は、スリットコート法の他、ディップコート法、スピンコート法、スプレー成膜法、ベーパー成膜法、インクジェット法等、種々の方法を用いることができる。なお、本実施の形態では、基板40上にITO膜を直接成膜するものとして説明するが、層間絶縁膜等の種々の膜の上に成膜する場合も全く同様に適用することができる。
【0094】
次に、図12(b)に示すように、撥液膜41上にフォトマスク42を密着させ、紫外線(UV)露光が施される。UV露光は、例えば波長が172nmのエキシマUV光が用いられ、照射時間は30分程度である。これにより、フォトマスク42のマスクパターン42Pに応じて露光部分の撥液膜41が分解、除去される。その結果、図12(c)に示すように、撥液膜41が除去された部分が親液領域Sとなり、撥液膜41が残存した部分が撥液領域Hとなる。
【0095】
次に、図13(d)に示すように、スリットコート法、インクジェット法、ディップコート法等を用いて基板40の全面にブタノール等の溶媒Yを塗布する。この際、基板40上に予め親液領域S、撥液領域Hが形成されているので、溶媒Yは親液領域Sにのみ皮膜43を形成し、この皮膜43が次工程の液体成膜時の呼び水作用を奏することになる。この際に使用する溶媒Yは、親液領域Sに対する濡れ性が30°(接触角)以下、より好ましくは10°以下となるものを使用する。また、本実施形態において呼び水作用を奏する溶媒Yの種類として次工程で用いる溶媒であるエタノール等も考えられるが、エタノールは乾燥が早く、次の液体成膜時に皮膜が液状を呈していないので、あまり好ましくない。その点では、次工程で用いる溶媒ではないが、エタノールよりも沸点の高いブタノールを使う方が好ましい。
【0096】
次に、図13(e)に示すように、スリットコート法、インクジェット法、ディップコート法、ベーパー成膜法等を用いてITO膜の原料を含む液体材料Eを塗布する。ここでは、液体材料の溶質としてインディウムアセチルアセトナート(In(C5H7O2)3)およびジ−n−ブチルチンジアセタート(CH3(CH2)3)2Sn(OOCCH3)2)を用い、エタノールの0.1mol/L溶液を作成する。この際も前工程と同様、基板40上に親液領域S、撥液領域Hが形成されているので、図13(f)に示すように、液体材料Eは親液領域Sにのみ成膜される。
【0097】
更に、400℃の雰囲気下において10分間の焼成を施すことによって、図13(g)に示すように、画素電極等の所定のパターンを持つ透明導電膜をなすITO膜44が成膜される。なお、本実施の形態の場合、400℃の焼成を行った際に撥液膜41は気化し、除去されている。300℃以上の加熱によって撥液膜41は除去されるが、支障がなければ撥液膜41を残したままであっても良い。
【0098】
本実施の形態の成膜方法においても、ITO膜44の原料となる液状材料Eの塗布時にその前に形成した皮膜43が「呼び水」として作用するので、撥液膜41で囲まれた親液領域Sの隅々にまで液状材料Eが濡れ広がることとなる。したがって、本実施形態の成膜方法によれば、成膜工程において所望の領域に液状材料が充填されない部分が生ずる確率を低減できる、という第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、特に本実施形態の場合、撥液膜41を成膜した後、フォトマスク42等を用いて撥液膜41に対して局所的に露光を施すだけで撥液膜41のパターニングが行えるので、通常のフォトリソグラフィー工程における現像、エッチング等が不要になり、簡便なプロセスとすることができ、生産性の向上、製造コストの削減を図ることができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、第2実施形態の成膜方法を用いたカラーフィルターの製造方法について図14,図15を用いて説明する。図14は本実施形態のカラーフィルターを示す斜視図、図15は同カラーフィルターの製造方法を順を追って示す工程断面図である。
【0100】
本実施形態のカラーフィルター51は、後述するように、インクジェット法を用いて色材層を構成する着色インクを基板上に塗布するものであるが、各色材層間を仕切る隔壁を持たないものである。すなわち、図14に示すように、透明基板52上に、赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる色の色材層53R,53G,53Bが形成されており、各色材層53R,53G,53B間にクロム等の遮光性の高い材料からなる遮光層54(ブラックマトリクス)が形成されている。色材層53R,53G,53Bの短辺方向(図14における横方向)の寸法は例えば60〜70μm程度、色材層53R,53G,53B間の間隔は例えば7μm程度とすることができる。なお、図14では、カラーフィルター51の色配列としてデルタ配列の例を示すが、その他、縦、横ストライプ、モザイク配列等を適宜採用しても良い。
【0101】
上記構成のカラーフィルター51を製造する際には、図15(a)に示すように、遮光層54を形成した基板52上に、例えばディップコート法を用いて液体材料を塗布し、乾燥工程を経て液体材料に含まれる溶媒を除去し、撥液原料からなる撥液膜55を形成する。液体材料としては、例えばフッ素系界面活性剤、より具体的にはユニダインTG656(商品名、ダイキン工業社製)をアセトンに0.5%に希釈した溶液を使用することができる。この場合、乾燥工程は、例えば200℃、10分程度の条件とする。
【0102】
次に、図15(b)に示すように、撥液膜55上にフォトマスク56を密着させ、紫外線(UV)露光が施される。UV露光は、例えば波長が172nmのエキシマUV光が用いられ、照射時間は5分程度である。これにより、フォトマスク56のマスクパターン56Pに応じて露光部分の撥液膜55が分解、除去される。この場合、マスクパターン56Pは遮光層54のパターンに略一致している。その結果、図15(c)に示すように、遮光層54上にのみ撥液膜55が残存し、撥液膜55が除去された部分(遮光層54の間の部分)が親液領域Sとなり、撥液膜55が残存した部分(遮光層54上の部分)が撥液領域Hとなる。
【0103】
次に、図15(d)に示すように、インクジェット法を用いて基板52の全面にシクロヘキサン等の溶媒Yを塗布する。この際、基板52上に予め親液領域S、撥液領域Hが形成されているので、溶媒Yは親液領域Sにのみシクロヘキサンからなる皮膜57を形成する。シクロヘキサンは次工程の着色インクの溶媒でもあり、液体成膜時の呼び水作用を奏する。
【0104】
次に、図15(e)に示すように、インクジェット法を用いて最後に色材層53R,53G,53Bとなる着色インクI(液体材料)を塗布する。この際も前工程と同様、基板52上に親液領域S、撥液領域Hが形成されているので、着色インクIは親液領域Sにのみ塗布される。
【0105】
そして、180℃の雰囲気下において10分間の焼成を施し、図15(f)に示すように、色材層53R,53G,53Bが形成される。色材層53R,53G,53Bの形成はR、G、Bの異なる色毎に順次繰り返し行うが、図15(d)に示した溶媒塗布工程までは一括して行い、その後の着色インク塗布工程から繰り返せばよい。その後、撥液膜55を除去することによって、カラーフィルターが完成する。撥液膜55の除去には、例えばUVを照射する方法が挙げられる。
【0106】
本実施の形態においても、カラーフィルター51の原料となる着色インクIの塗布時にその前に形成した皮膜57が「呼び水」として作用するので、撥液膜55(遮光層54)で囲まれた領域の隅々にまで着色インクIが濡れ広がることとなる。したがって、画素内に色材層53R,53G,53Bが形成されない部分が生ずる確率を低減でき、高品質のカラーフィルターを提供できる、という効果が得られる。特に本実施形態の方法であれば、隔壁(バンク)が不要となるため、隔壁形成工程が不要となり、製造装置やエネルギー削減、歩留り向上等の点から製造コストを削減することができる。また、カラーフィルターの平坦化が容易になる。
【0107】
なお、第2、第3実施形態では、撥液膜のパターニング時の露光工程としてフォトマスクを用いたエキシマUV露光を用いたが、露光方法はこれに限るものではない。例えばX線ビーム、電子線ビーム等を用いた直接描画法を用いることもできる。
【0108】
(電子機器)
上記実施形態の光学素子(有機EL素子又はカラーフィルターなど)であるデバイスを備えた電子機器の例について説明する。
図9は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図9において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の光学素子を用いた表示部を示している。
【0109】
図10は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記のカラーフィルタを用いた表示部を示している。
【0110】
図11は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記のカラーフィルタを用いた表示部を示している。
【0111】
図9から図11に示す電子機器は、上記実施形態の光学素子を備えているので良好に画像表示することができ、製造コストを低減することができるとともに、製造期間を短縮することができる。
【0112】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成、などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0113】
例えば、カラーフィルターをなす薄膜を製造するときのように、隔壁によって複数のパターニング領域に仕切り、その複数のパターニング領域において複数種類の膜を成膜する場合に、赤色膜(第1膜)を上記実施形態の成膜方法で成膜・乾燥し、次いで、緑色膜(第2膜)を上記実施形態の成膜方法で成膜・乾燥し、次いで、青色膜(第3膜)を上記実施形態の成膜方法で成膜・乾燥するということを繰り返してもよい。
【0114】
また、隔壁によって複数のパターニング領域に仕切り、その複数のパターニング領域において複数種類の膜を成膜する場合に、その複数種類の膜を上記実施形態の成膜方法を用いて一旦成膜し、次いで、一気に全ての膜を乾燥させるという方法を採ってもよい。このとき、乾燥した膜が溶解し易い場合は、近接のパターニング領域間で液状材料が混合しないように、スプレー成膜方式、ベーパー(Vapor)成膜方式又は溶媒の雰囲気に被処理面を曝すなどの方法をとることが好ましい。
【0115】
また、上記実施形態では、本発明に係る成膜方法を用いて光学素子(有機EL素子)を製造する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明に係る成膜方法を用いて半導体素子などを良好に製造することも可能である。
【0116】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、液状材料を充填する工程の前に、所望の充填領域(親液領域もしくはパターニング領域)に溶媒からなる皮膜を形成しておくので、その皮膜が液状材料に対して「呼び水」的な作用を発揮して、容易に、所望のパターニング領域全体に液状材料が濡れ広がり、製造コストの低減化及び製造時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る成膜方法の主要工程における基板の模式断面図である。
【図2】 同上の基板における主要部の平面図である。
【図3】 スリットコート方式の塗布方法を示す模式断面図である。
【図4】 有機EL素子を備えたELディスプレイの一例の回路図である。
【図5】 図4に示したELディスプレイにおける画素部の平面構造を示す拡大平面図である。
【図6】 (a)〜(e)は有機EL素子の製造方法を工程順に説明するための要部側断面図である。
【図7】 (a)〜(c)は図6に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図8】 (a)〜(c)は図7に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図9】 本実施形態の光学素子を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図10】本実施形態の光学素子を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図11】本実施形態の光学素子を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図12】 (a)〜(c)は本発明の第2実施形態に係る成膜方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図13】 (d)〜(g)は図12に続く工程を順に説明するための斜視図である。
【図14】 本発明のカラーフィルターの一例を示す斜視図である。
【図15】 同、カラーフィルターの製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
10,40,52…基板、11…隔壁、12,43,57…皮膜、22,Y…溶媒、23、24…スリット部、41,55…撥液膜、44…ITO膜、51…カラーフィルター、53R,53G,53B…色材層、S…親液領域、H…撥液領域
Claims (28)
- 基板の被処理面上に親液領域と撥液領域とを形成する工程と、前記親液領域上に所定の溶媒からなる皮膜を形成する工程と、前記皮膜上に液状材料を充填する工程とを有し、
前記皮膜の形成は、前記溶媒がなす雰囲気であって飽和蒸気圧に近い状態の雰囲気に前記基板の被処理面を曝すことで行い、
前記液状材料中の成分を少なくとも含む所定の膜を前記親液領域上に形成することを特徴とする成膜方法。 - 前記親液領域と撥液領域とを形成する工程において、前記基板の被処理面上に撥液膜を形成し、前記撥液膜に対して局所的に露光を施すことによって前記露光を施した部分の前記撥液膜を除去し、前記撥液膜を除去した部分を前記親液領域とし、前記撥液膜が残存した部分を前記撥液領域とすることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
- 基板の被処理面に隔壁を形成することでパターニング領域を仕切る工程と、前記隔壁の内側領域に所定の溶媒からなる皮膜を形成する工程と、前記隔壁の内側領域の前記皮膜上に液状材料を充填する工程とを有し、
前記皮膜の形成は、前記溶媒がなす雰囲気であって飽和蒸気圧に近い状態の雰囲気に前記基板の被処理面を曝すことで行い、
所望の膜を前記パターニング領域に設けることを特徴とする成膜方法。 - 前記隔壁によって複数のパターニング領域に仕切り、該複数のパターニング領域において複数種類の膜を成膜する場合に、第1膜を成膜してから該第1膜を乾燥し、その後、第2膜を成膜してから該第2膜を乾燥する工程を繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の成膜方法。
- 前記隔壁によって複数のパターニング領域に仕切り、該複数のパターニング領域において複数種類の膜を成膜する場合に、該複数種類の膜を成膜し、その後、該複数種類の膜を同時に乾燥させることを特徴とする請求項3または4に記載の成膜方法。
- 前記皮膜を形成する前に、前記隔壁に撥液処理を施しておくことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜を形成する前に、前記パターニング領域に親液処理を施しておくことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜は、前記液状材料の充填時に液状となっていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記液状材料の充填は、液滴吐出方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記溶媒は、前記液状材料の溶媒であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記溶媒は、前記液状材料と混合しても該液状材料の機能に悪影響を与えない液状体であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記溶媒は、前記液状材料に対して親和性の高い液状体であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記溶媒として、前記親液領域に対する接触角が30°以下のものを用いることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記溶媒として、前記親液領域に対する接触角が10°以下のものを用いることを特徴とする請求項13に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成において、前記溶媒を塗布した後から、前記液状材料を充填する時までの該溶媒を気化又は乾燥させる量又は時間を制御することで、該充填時における該溶媒がなす皮膜の厚さを制御することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成は、スリット状の開口部から前記溶媒を吐出するスリットコート方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成は、スプレー成膜方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成は、スピンコート方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成は、ベーパー成膜方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成は、液滴吐出方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記皮膜の形成は、ディップコート方式を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 前記液状材料を充填した後に、該液状材料を乾燥させない状態のままで所定時間経過させることを特徴とする請求項1ないし21のいずれか一項に記載の成膜方法。
- 請求項1ないし22のいずれか一項に記載の成膜方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする光学素子。
- 請求項1ないし22のいずれか一項に記載の成膜方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする半導体素子。
- 請求項23記載の光学素子を備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項24記載の半導体素子を備えたことを特徴とする電子機器。
- 透明導電膜からなる電極を備えた電気光学装置の製造方法であって、
請求項1ないし22のいずれか一項に記載の成膜方法を用いて前記透明導電膜を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 複数の異なる色の色材層を備えたカラーフィルターの製造方法であって、
請求項1ないし22のいずれか一項に記載の成膜方法を用いて前記色材層を形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
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