JP5056476B2 - 表示装置及び表示装置の製造方法 - Google Patents

表示装置及び表示装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5056476B2
JP5056476B2 JP2008047431A JP2008047431A JP5056476B2 JP 5056476 B2 JP5056476 B2 JP 5056476B2 JP 2008047431 A JP2008047431 A JP 2008047431A JP 2008047431 A JP2008047431 A JP 2008047431A JP 5056476 B2 JP5056476 B2 JP 5056476B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
display device
pixel
liquid repellent
pixel electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008047431A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009205945A (ja
Inventor
和紀 森本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP2008047431A priority Critical patent/JP5056476B2/ja
Publication of JP2009205945A publication Critical patent/JP2009205945A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5056476B2 publication Critical patent/JP5056476B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた表示装置の本格的な実用化、普及に向けた研究開発が盛んに行われている。
有機EL素子は、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、正孔注入層、発光層等の有機EL層とを備える。有機EL素子では、発光層において正孔注入層、電子注入層からそれぞれ供給された正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
このような有機EL素子において、多色発光する場合、互いに異なる色に発光する発光層となる材料を画素ごとに変えることによってなしている。発光層材料を含有させた液体を画素に塗布する湿式成膜では、発光層等を隣接する画素との間に混色を生じさせず、且つ画素内におけるこれらの層の膜厚を均一に形成するためには、画素電極間に形成する隔壁表面を選択的に撥液性とすることが有効である。このように隔壁表面を撥液性とすることにより、画素内に有機EL層を形成するために塗布した有機EL層含有液の隔壁側面への吸い上がりが抑制される。
画素電極間に形成する隔壁表面を選択的に撥液性とする方法としては、フッ素含有ガス下におけるプラズマ洗浄により隔壁の表面を撥液化する方法、フッ素を含有する隔壁材料を使用する方法、フッ素含有置換基を隔壁に選択的に吸着させる方法、有機ELパネル全面を一度撥液コーティングし、紫外線の照射にて選択的に親液処理を施す方法などが提案されている(特許文献1、2)。
特開2007−5056号公報 特開2003−257656号公報
ところで、上述した隔壁の撥液処理方法においては、プラズマ洗浄時に真空プロセスを必要とするため製造コストの増大を招いたり、隔壁のパターンニング不良により画素内に撥液効果を持たせてしまったり、あるいは照射する紫外線自体のムラにより隔壁の撥液性にムラを生じさせるなど問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、画素電極間に形成する隔壁表面を良好に撥液性とした表示装置及び表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る表示装置の製造方法は、画素電極と前記画素電極の周辺領域に形成された隔壁とが形成された基板上に、溶質として撥液性を有する化合物を含む撥液性溶液を塗布する撥液性溶液塗布工程と、前記撥液性溶液を乾燥させる乾燥工程と、前記画素電極上に溶媒を塗布し、前記画素電極上に堆積された前記撥液性を有する化合物を溶解させる溶媒塗布工程と、前記溶媒塗布工程における溶媒によって溶解された前記撥液性を有する化合物を含む溶液を乾燥させることによって、前記撥液性を有する化合物を前記隔壁に移動させる溶媒乾燥工程と、を含むことを特徴とする。
また、前記溶媒塗布工程と、前記溶媒乾燥工程とは、複数回繰り返されてもよい。
また、前記撥液性の溶液の溶媒と、前記溶媒塗布工程で用いる前記溶媒とは同一としてもよい。
また、前記撥液性を有する化合物は、フッ素含有化合物としてもよい。
また、本発明に係る表示装置は、上記の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る表示装置及び表示装置の製造方法について図を用いて説明する。
なお、本明細書中に「撥液性」という表現を用いるが、本明細書において撥液性とは、正孔注入層となる正孔注入材料を含有する有機化合物含有液、もしくはこれらの溶液に用いる有機溶媒を絶縁性基板上等に滴下して接触角を測定した場合に当該接触角が30°以上になる状態と規定する。また、撥液性とは対となる親液性とは、液になじむ性質を示し、接触角が30°未満となる状態と規定する。
本実施形態の製造方法によって表示装置10は、図1に示すように、有機EL素子(画素)を2次元配列した表示パネルと、表示パネルを外部から駆動する図示しない駆動回路とを有している。また、本実施の形態の表示パネルでは、図1に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素を一組として、この組が行方向(図1の左右方向)に繰り返し複数配列されるとともに、列方向(図1の上下方向)に同一色の画素が複数配列されている。
各画素30の構成例を示す等価回路を図2に示す。各画素30は有機EL素子OLEDと、有機EL素子OLEDをアクティブ動作する画素回路DSとを備えており、画素回路DSは、トランジスタ(選択トランジスタ)Tr11と、トランジスタ(発光駆動トランジスタ)Tr12と、キャパシタCsと、を備える。図2に示すトランジスタTr11及びトランジスタTr12は、いずれもnチャネル型アモルファスシリコン薄膜トランジスタであるが、これに限らず、少なくとも一方がpチャネル型でもよく、ポリシリコン薄膜トランジスタであってもよい。
表示パネルには、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSに接続された複数のアノードラインLaと、それぞれ所定列に配列された複数の画素回路DSに接続されたデータラインLdと、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSのトランジスタTr11を選択する複数の走査ラインLselと、が形成されている。
図2に示すように選択トランジスタTr11のゲート端子は走査ラインLsに、ドレイン端子が表示パネルの列方向に配設されたデータラインLdに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続される。また、発光駆動トランジスタTr12のゲート端子は接点N11に接続されており、ドレイン端子は供給電圧ラインLaに、ソース端子は接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくはこれらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子OLEDは、アノード端子(画素電極34)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極40)に基準電圧Vssが印加されている。なお、トランジスタTr11及びトランジスタTr12がpチャネル型の電界効果型トランジスタの場合は、それぞれソース端子及びドレイン端子が図2とは逆に接続される。
走査ラインLsは、表示パネルの周縁部に配置された走査ドライバ(図示せず)に接続されており、所定タイミングで表示パネルの行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)Sselが印加される。また、データラインLdは、表示パネルの周縁部に配置されたデータドライバ(図示せず)に接続され、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで表示データに応じたデータ電圧(階調信号)Vpixが印加される。走査ドライバ及びデータドライバは別個のICチップであってもよく、同一のICチップでもよい。
各行ごとに配列された複数のトランジスタTr12が、当該トランジスタTr12に接続された有機EL素子OLEDの画素電極(例えばアノード電極)に表示データに応じた発光駆動電流を流す状態に設定するように、複数のアノードラインLa(供給電圧ライン)は、いずれも所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子OLEDの対向電極40に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極40は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、絶縁性基板11上に2次元配列された全ての画素(有機EL素子)に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss,例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
すなわち、各画素において、直列に接続されたトランジスタTr12と有機EL素子OLEDの組の両端(トランジスタTr12のドレイン端子と有機EL素子OLEDのカソード端子)にそれぞれ、供給電圧Vddと基準電圧Vssを印加して有機EL素子OLEDに順バイアスを付与して有機EL素子OLEDが発光できる状態にし、更に階調信号Vpixに応じて流れる発光駆動電流の電流値を画素回路DSにより制御している。
次に、本実施形態の表示装置10の画素30に着目した平面図を図3に示す。また、図4は図3に示すIV−IV線断面図である。なお、図3では対向電極40の図示を省略している。また、本実施形態の表示装置10は、有機EL素子OLEDが設けられている基板側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型である。
画素基板31は、透光性を備える材料から形成され、例えばガラス基板である。また、画素基板31上にはゲート電極56a,56b及び絶縁膜32が形成される。
絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から構成され、ゲート電極56a,56bを覆うように画素基板31上に形成される。また、絶縁膜32はゲート電極56a,56bが形成された領域においてトランジスタTr11及びTr12のゲート絶縁膜として機能する。
トランジスタTr11及びTr12は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)である。トランジスタTr11及びTr12は、それぞれ画素基板31上に形成される。また、トランジスタTr11は半導体層51aと、ソース電極52sと、ドレイン電極53dと、オーミックコンタクト層54a,55aと、ゲート電極56aと、保護膜57aと、を備える。トランジスタTr12は、トランジスタTr11と同様に半導体層51bと、ドレイン電極52dと、ソース電極53sと、オーミックコンタクト層54b,55bと、ゲート電極56bと、保護膜57bと、を備える。また、Tr12のソース電極53sは画素電極34に接続される。
トランジスタTr11、Tr12において、ゲート電極56a,56bは、例えば、アルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)またはクロム(Cr)から形成される。また、ドレイン電極53d,52d、ソース電極52s,53sはそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCrから形成されている。また、それぞれのドレイン電極53d,52d及びソース電極52s,53sと半導体層51a,51bとの間には低抵抗性接触のため、オーミックコンタクト層54a,55a,54b,55bが形成される。
絶縁膜32上に形成される画素電極(アノード電極)34は、表示装置10がボトムエミッション型であれば、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成され、トップエミッション型であれば例えばAl等の光反射性の金属層及びその上に積層された上述のITO等の透明導電層の2層構造でもよい。画素電極34は、画素領域に塗布される有機化合物含有液に対して親液性を有するように、表面処理が施されている。また、各画素電極34は隣接する他の画素30の画素電極34と層間絶縁膜35によって絶縁されている。
層間絶縁膜35は、絶縁材料、例えばSiN等から形成される。層間絶縁膜35は、画素電極34間に形成され、隣接する画素電極34間を絶縁する。また、層間絶縁膜35は、発光領域に対応する領域に開口35aを備える。このように層間絶縁膜35の開口35aによって露出された画素電極34上に、後述する正孔注入層36、発光層37等の有機EL層が成膜される。
正孔注入層36は、画素電極34上に形成され、発光層37に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層36は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料から構成される。また、本実施形態では正孔注入層36を成膜する際に、正孔注入層36となる有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液として、導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いている。
発光層37は、正孔注入層36上に形成されている。発光層37は、アノード電極とカソード電極との間に所定の電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層37は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルコート法やインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
また、対向電極(カソード電極)40は、導電材料、例えばMg、Li、Ba、Ca等から形成される。本実施形態では、対向電極40は複数の画素30に跨って形成される単一の電極層から構成され、GNDに接続されている。
隔壁38は、樹脂、例えば感光性ポリイミドから構成され、層間絶縁膜35上に形成される。図3及び図4に示すように、隔壁38は横断面形状が方形に形成され、列方向に(図3に示す縦方向)延びるように、ストライプ状に形成される。隔壁38の厚みは、1〜5μm程度が好適である。
隔壁38の表面には、図4に模式的に示すように撥液性を備える撥液層45が形成される。撥液層45は、炭化水素基の水素部分を全てもしくはその一部をフッ素に置換したパーフルオロアルキル基を有する高分子化合物等所定の撥液性を有する化合物、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有化合物、から形成される。撥液層45によって、正孔注入層等の有機EL層を形成する際、これらの有機化合物を含有する溶液が隔壁側面に吸収されることを防ぎ、また隔壁側面へ吸い上がることを抑制することができ、溶液が隣接する画素に混ざることを防ぐことが出来る。また、隔壁側面への吸い上がりが抑制されることで、画素内に形成される有機EL層が隔壁側面近傍で厚くなるといった偏りが抑制され、全体的に均一な膜厚に形成することが可能である。
特に、詳細に後述するように撥液層45は、一旦、画素電極34、層間絶縁膜35、及び隔壁38上にフッ素含有化合物からなる膜を形成した後、隔壁38間に形成された溝38aに溶媒を塗布し、フッ素含有化合物を溶解させ、溶媒を乾燥させることにより、形成される。このような工程によることで画素電極34及び層間絶縁膜35上からフッ素含有化合物を除去し、隔壁38の側面のみに撥液層45を形成することができる。
次に、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法について図を用いて説明する。
まず、ガラス基板等からなる画素基板31を用意する。次にこの画素基板31上に、スパッタ法、真空蒸着法等により金属膜を形成し、これをゲート電極56a、56bの形状にパターニングする。
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極56a及び56b上に絶縁膜32を形成する。次に絶縁膜32上に、半導体層51a,51bを形成し、更に半導体層51a,51bの上面に保護膜57a,57b、アモルファスシリコンに不純物イオンが含まれたn+オーミックコンタクト層54a,54b,55a,55bを形成する。
次に、スパッタ法、蒸着等により、絶縁膜32上に画素電極34を形成する。
次に、スパッタ法、真空蒸着法等により、ドレイン電極53d,52d及びソース電極52s,53sを形成する。
続いて、トランジスタTr11,Tr12等を覆うように窒化シリコン等の層間絶縁膜35をCVD法等により形成する。次に、フォトリソグラフィ等により画素30の発光領域に対応する領域に開口35aを形成し、画素電極34を露出させる。
次に、層間絶縁膜35上に、樹脂、例えば感光性ポリイミド層を形成した上で、ポリイミド層に隔壁に対応する形状に形成されたフォトマスクを形成し、パターニングすることによって図5に示すように隔壁38を形成する。
このようにして、画素基板31上にはTFT回路、画素電極、層間絶縁膜、感光性ポリイミドで形成した隔壁が形成されている。
続いて、隔壁38が形成された表示装置10を純水で洗浄し、画素電極の親液化処理を行う。
次に、このように形成された表示装置10に、図5に示すように、表示装置10と対向する位置に配した吐出ノズル20から、フッ素含有化合物をキシレンで溶解した溶液45aを、表示装置10の一面に滴下する。この際、撥液層45を隔壁38上面にも形成するため、図に示すように溶液45aを画素電極34、層間絶縁膜35、及び隔壁38上の全面に塗布する。次に、滴下した溶液45aを乾燥して、図6に示すように、フッ素含有化合物からなる撥液層45を、画素電極34、層間絶縁膜35、及び隔壁38上に形成する。
次に、図7に示すように、吐出ノズル20から溝38aに、フッ素含有化合物を溶解させることが可能な溶媒15を滴下する。溶媒15としては、溶液45aの溶媒と同一のものを用いても良いし、違うものを用いても良い。溶媒15としてはキシレン、トルエン、メシチレン、テトラリンなどの有機溶剤を用いることができる。本実施形態では溶媒15として純溶媒であるキシレンを用いる。溶媒15は、隔壁38の側面に形成された撥液層45のみを溶解させるため、隔壁38を越えない程度に溝38aに充填させる。これにより、滴下された溶媒15と接する画素電極34、層間絶縁膜35、及び隔壁38上の撥液層45は再溶解される。そして、溶媒を乾燥させる。この塗布した溶媒15を乾燥する過程で、画素電極34及び層間絶縁層35上に形成していたフッ素含有化合物を、隔壁38側に移動させることができ、層間絶縁膜35及び画素電極34上の撥液層45を除去することが可能である。この現象は、以下に説明する「コーヒーステインの原理」と呼ばれる現象を利用したものである。
図10(a)に示すように、紙65上にコーヒーを滴下した場合、コーヒーの液滴60の端部の方が、中心と比べて乾燥速度が速い。そのため、膜化は液滴60の端部から始まる。これにより、液滴60の内部に濃度差(端部>中心)が発生する。この濃度差を緩和するため、溶媒は液滴60の中心から端部側に移動する。この移動に伴い溶質も液滴60の中心から端部側に移動する。そして、液滴60が乾燥すると、図10(b)、(c)に示すように、溶質は中心よりも端部により多く堆積することとなる。
この現象は、図7に示した隔壁38間に形成された溝38aに溶媒15を滴下させた場合にも同様に起こる。すなわち、溶媒15に撥液層45が溶け出した溶液を、コーヒーの液滴60(図10(a))と見立てることができる。上述したように溶媒15に撥液層45が溶け出した溶液の乾燥速度は、中央側より隔壁38側の方が速いため、隔壁38側から溶液の膜化が始まり、中央側の溶質(フッ素含有化合物)は、溶媒(キシレン)とともに隔壁38側へ移動する。その結果、溶液が乾燥すると、図8に示すように、画素電極34及び層間絶縁膜35に形成されていた撥液層45は薄くなり、隔壁38の側面に形成されていた撥液層45は厚みを増す。
特に本実施形態では、図8に示すように層間絶縁膜の厚みaは、例えば0.2μm程度であり、隔壁38の厚みbは、例えば3.5μm程度である。従って、隔壁38の厚みbに対して、層間絶縁膜の厚みaは極めて薄く、層間絶縁膜35と画素電極34との高さはほぼ同じとみなすことができる。このため、画素電極34上を形成していた溶質は、支障なく隔壁38側へ移動することができる。
そして、この溶媒15の充填、乾燥からなる工程を複数回繰り返すことにより、隔壁38の側面に凝集するフッ素含有化合物の量を増加することができ、画素電極34及び層間絶縁膜35に形成されていた撥液層45を除去することができる。これにより、隔壁38の表面を撥液性に、画素電極34及び層間絶縁膜35の表面には撥液層が残存しないパターンを、表示装置10に形成することができる。
次に、表示装置10の表面に親撥液性のパターンを形成した後、正孔注入材料(導電性高分子であるPEDOT及びドーパントとなるPSS)を分散した水を主成分とする含有液(以下、PEDOT含有液)を、複数の液滴を吐出するインクジェットや連続する液体を流すノズルコータ等の印刷方法で画素基板31上に塗布する。画素電極34及びその周辺の層間絶縁膜35は親液性であるため、塗布されたPEDOT含有液は隣接する隔壁38どうしの間に十分に広がるが、隔壁38表面は撥液層45が形成されており、撥液性であるため、塗布された含有液の吸い上げが抑制される。
PEDOTの塗布後、100℃以上の温度にて乾燥を行う。次に、赤・緑・青色の発光材料(ポリフルオレン系)をテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン等の有機溶剤に溶かした発光材料含有液を、インクジェットやノズルコータ等の印刷方法により、正孔注入層36上にそれぞれ成膜する。上述したように隔壁38の表面は撥液層45が形成されており、撥液性となっているため、隣接した画素との混色が防止され、赤・緑・青色の塗り分けが精度良く行える。
発光材料を成膜後、窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行う。
発光層37まで形成した画素基板31に、図9に示すように真空蒸着やスパッタリングで、Ca,Ba等の対向電極40を形成する。対向電極40は、表示装置10がボトムエミッション型であれば、Al等の光反射性導電層に設定され、トップエミッション型であれば、ITO等の光透過性導電層に設定される。最後にメタルキャップ(ボトムエミッション型のみ)やガラス等の封止基板に、UV硬化又は熱硬化接着剤を塗布したものと、画素基板とを貼り合わせした後、硬化させ、有機EL素子を完成させる。
本発明の実施の形態に係る表示装置及び表示装置の製造方法は、溶媒の滴下、乾燥を交互に繰り返す工程により、画素電極及び層間絶縁膜を成膜した撥液性物質を完全に除去して、隔壁の側面に付着させることができる。これにより、従来の表示パネルと比べ、所望の親撥液パターンが確実に形成され、発光層等を隣接する画素との間に混色を生じさせず、且つ画素内におけるこれらの層の膜厚を均一に形成した表示装置を提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係る表示装置の製造方法は、撥液処理が施された表示パネルに、溶媒の滴下、乾燥を交互に繰り返す工程だけで、所望の親撥液性のパターンニングを行なえる。そのため、従来行なわれている製造方法と比べ、大掛かりな製造装置や複雑な工程を必要としないため、表示パネルの製作コストの低減や、製作時間の削減に寄与する。
(実施例)
出願人は、上述した「コーヒーステインの原理」を利用した画素電極34及び層間絶縁膜35上に形成された撥液層45の除去効果を確認するため、ポリフルオレン系、またはポリフェニレンビニレン系の蛍光を示す発光材料を溶質としたキシレン溶液を用いて確認実験を行った。以下、詳細を記す。
図11(a)は、図5に示す表示装置と対応するように、基板上に画素電極を形成し、更に画素電極上に層間絶縁膜を形成し、更に層間絶縁膜上にストライプ状に隔壁を形成した表示装置の平面図である。なお、トランジスタ等については省略した。
先ず、撥液処理を施してない表示装置を用意する。そして隔壁間に、発光材料をキシレンに溶解させたキシレン溶液を塗布し、溶媒を乾燥させて、画素電極、層間絶縁膜、及び隔壁の側面に発光材料を付着させる。
次に、隔壁間にキシレンの滴下、乾燥を交互に繰り返す工程を異なる回数実施して、それぞれの実施回数における発光材料の付着状況を確認した。
図11(b)は発光材料を可視化したもので、条件1は表示装置に溶媒を1回塗布、乾燥させた場合、条件2は表示装置に溶媒を3回塗布、乾燥させた場合、条件3は表示装置に溶媒を塗布しなかった場合を示している。
条件1と条件3とを比較すると、条件1の方が、隔壁側面に発光材料が凝集していることがわかる。また、隔壁のラインが条件3の方がぼやけており、条件3では発光材料が画素電極、層間絶縁膜、及び隔壁の側面に満遍なく塗布されていることが分かる。
次に、条件1と条件2とを比較すると、溶媒の塗布回数を増やすと、発光材料が隔壁側面に凝集しており(条件2)、画素電極及び層間絶縁膜に付着していた発光材料が除去されていることが分かる。
このように、本実施例から、隔壁間に溶媒を複数回塗布、乾燥を繰り返すことにより、画素電極及び層間絶縁膜上に形成された撥液層を完全に除去できることを確認することができた。また、溶媒を塗布する回数は、あるレベルまでは多いほど凝集の効果を得ることが可能であるが、それを越えると大差は生じない。
本発明は上述した実施形態に限られず、様々な変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ノズルプリント法を用いて、フッ素を含有する化合物溶液のコーティング、及び溶媒の選択的な塗布を行なう場合について説明したが、ノズルプリント法と同様の処理ができる他の湿式印刷法を用いて処理を実施してもよい。例えば、インクジェットプリント法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
また、上記実施形態では、隔壁がストライプ状に形成された表示装置について説明したが、例えば隔壁が格子状に形成された表示装置についても、本発明を利用することができる。
また、上記実施形態では、実施する溶媒の滴下、乾燥を交互に繰り返す工程の回数は製造する表示装置や、使用する材料により適宜調節することが可能である。
本発明の実施形態に係る表示装置の平面図である。 表示装置の画素の等価回路図である。 画素の要部を示す平面図である。 図3に示すIV−IV線断面図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための断面図である。 コーヒーステインの原理を説明するための図で、(a)はコーヒーの液滴の断面図、(b)はコーヒーの液滴が乾燥して残った溶質の断面図、(c)は(b)に示すXc−Xc線断面図である。 表示装置に付着した蛍光材料の除去状況の確認実験を示す図で、(a)は表示装置の平面図、(b)は蛍光材料の付着状況を可視化した平面図である。
符号の説明
10 表示装置
15 溶媒
30 画素
31 画素基板
32 絶縁膜
34 画素電極
35 層間絶縁膜
36 正孔注入層
37 発光層
38 隔壁
40 対向電極
45 撥液層
45a 溶液(フッ素含有化合物溶液)
Cs キャパシタ
La アノードライン
Ld データライン
Lsel セレクトライン
Tr11,Tr12 トランジスタ

Claims (5)

  1. 画素電極と前記画素電極の周辺領域に形成された隔壁とが形成された基板上に、溶質として撥液性を有する化合物を含む撥液性溶液を塗布する撥液性溶液塗布工程と、
    前記撥液性溶液を乾燥させる乾燥工程と、
    前記画素電極上に溶媒を塗布し、前記画素電極上に堆積された前記撥液性を有する化合物を溶解させる溶媒塗布工程と、
    前記溶媒塗布工程における溶媒によって溶解された前記撥液性を有する化合物を含む溶液を乾燥させることによって、前記撥液性を有する化合物を前記隔壁に移動させる溶媒乾燥工程と、を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
  2. 前記溶媒塗布工程と、前記溶媒乾燥工程とは、複数回繰り返されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の製造方法。
  3. 前記撥液性の溶液の溶媒と、前記溶媒塗布工程で用いる前記溶媒とは同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
  4. 前記撥液性を有する化合物は、フッ素含有化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項の製造方法によって製造されたことを特徴とする表示装置。
JP2008047431A 2008-02-28 2008-02-28 表示装置及び表示装置の製造方法 Expired - Fee Related JP5056476B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008047431A JP5056476B2 (ja) 2008-02-28 2008-02-28 表示装置及び表示装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008047431A JP5056476B2 (ja) 2008-02-28 2008-02-28 表示装置及び表示装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009205945A JP2009205945A (ja) 2009-09-10
JP5056476B2 true JP5056476B2 (ja) 2012-10-24

Family

ID=41148010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008047431A Expired - Fee Related JP5056476B2 (ja) 2008-02-28 2008-02-28 表示装置及び表示装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5056476B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112864213B (zh) * 2021-01-28 2023-04-07 合肥京东方卓印科技有限公司 一种基板、oled显示屏及基板的制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4314557B2 (ja) * 2002-09-12 2009-08-19 セイコーエプソン株式会社 成膜方法、光学素子、半導体素子および電子機器、電気光学装置の製造方法、カラーフィルターの製造方法
JP3749950B2 (ja) * 2003-08-14 2006-03-01 国立大学法人名古屋大学 マイクロパターンの形成方法、マイクロパターン、マイクロパターン転写形成用モールドの作製方法、及びマイクロパターン転写形成用モールド
JP2005268202A (ja) * 2004-02-16 2005-09-29 Seiko Epson Corp 有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び電子機器
JP2006313652A (ja) * 2005-05-06 2006-11-16 Casio Comput Co Ltd 表示装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009205945A (ja) 2009-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4998710B2 (ja) 表示装置の製造方法
US7777411B2 (en) Light-emitting device, method of producing light-emitting device, exposure unit, and electronic device
JP4497185B2 (ja) 表示装置の製造方法
US8282436B2 (en) Light emitting device, electronic device, and method of manufacturing light emitting device
JP2010021138A (ja) 有機エレクトロルミネッセント装置およびその製造方法
US7932113B1 (en) Method of fabricating organic light emitting diode display
JP2009187957A (ja) 有機elディスプレイパネル
JP2011119212A (ja) 有機el装置の製造方法、有機el装置、及び電子機器
JP4811292B2 (ja) 表示装置の製造方法
JP2009070708A (ja) 表示装置及び表示装置の製造方法
JP2009071176A (ja) 表示装置及び表示装置の製造方法
JP5293322B2 (ja) 有機elパネル及びその製造方法
JP2006196298A (ja) 有機el表示装置の製造方法
JP2012109138A (ja) 有機el表示装置の製造方法、有機el表示装置、及び電子機器
JP2010287634A (ja) トランジスタを有するトランジスタ基板及びトランジスタを有するトランジスタ基板の製造方法
JP2009245644A (ja) 発光装置の製造装置及び製造方法
JP4760168B2 (ja) ディスプレイパネル及びその製造方法
JP5056476B2 (ja) 表示装置及び表示装置の製造方法
JP2010225780A (ja) 薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタの製造方法
JP5125686B2 (ja) 発光装置の製造方法
JP5109542B2 (ja) 表示装置の製造方法
JP4930303B2 (ja) 表示装置の製造方法
JP5240115B2 (ja) 発光装置の製造方法
JP5402481B2 (ja) 表示装置、電子機器及び表示装置の製造方法
JP5761392B2 (ja) 有機el装置の製造方法及び電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120703

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120716

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5056476

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees