JP4314113B2 - ヘパラン硫酸プロテオグリカンに対する標的化のための、ニューレグリンヘパリン結合ドメインとのハイブリッドタンパク質 - Google Patents

ヘパラン硫酸プロテオグリカンに対する標的化のための、ニューレグリンヘパリン結合ドメインとのハイブリッドタンパク質 Download PDF

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Description

(発明の背景)
(発明の分野)
生化学および神経科学の分野における本発明は、癌または様々な神経系疾患の治療のために、他のポリペプチドをヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が豊富な細胞表面および細胞外マトリックスに標的化する、ニューレグリンヘパリン結合ドメイン(N−HBD)の使用に基づく組成物および方法に関する。
(背景技術の説明)
その多様な生理学的機能を果たすために、細胞は、特定の方式でその環境の細胞および細胞外成分に接着しなければならない。神経系において接着が必要な機能は、神経突起の伸長、シナプス形成および軸索髄鞘形成を含む。複数の環境的信号(cue)を認識し、そして特定の接着反応を起こす能力は、そのような複雑な細胞機能に必要不可欠である。認識および接着は、細胞接着分子(「CAM」)によって媒介され、それは近辺の細胞に発現される、または細胞外マトリックス(「ECM」)中の高分子に結合する。
3D構造が公知である、接着分子に存在する3つのモチーフは:免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリードメイン、フィブロネクチンIII型(Fn−III)ドメイン、およびカドヘリンで見出されるドメインである。神経系において、Igスーパーファミリーメンバーが、Ca依存性同種親和性結合および異種親和性結合を媒介する。これらの分子の細胞外領域は、抗体、すなわちIgの可変(V)ドメインまたは定常(C)ドメインと配列類似性を有する1つまたはそれ以上のドメインを含む(Williams,AFら、Annu.Rev.Immunol.6:381−405(1988)、Yoshihara,Yら、Neurosci.Res.10:83−105(1991))。多くのIgスーパーファミリー分子は、複数のコピーの2番目の基礎単位ドメイン(例えばFn−IIIリピート)と連続して結合したタンデムIg様ドメインからなる。検出可能な配列類似性を共有する2つの分子は、同じフォールディング位相をとることが見出されたので、研究者は、神経CAMにおけるIgドメインの構造の「一次」モデルとして、免疫系の研究で発見された分子の構造を使用した。
これらの分子、特にIg様ドメインおよびその位相は、Vaughn DEら、Neuron 16:261−273(1998)(その全体が参考として援用される)において詳しく概説されている。IgVドメインは、CAMのV様ドメインの原型であり、そしてそのフォールディングの型は、抗体VおよびVドメインならびにT細胞レセプターαのN末端ドメインに見出され、Vaughnら、前出、V様ドメインは、T細胞表面分子CD4(最初および3番目のドメイン)およびCD8、「免疫系CAM」CD2、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)およびテロキン(telokin)のN−末端ドメイン、およびミオシン軽鎖キナーゼのC−末端ドメインに見出される。IgC1ドメインは、2つの逆平行シートに配置された7本のBストランドからなる。2つのシートは、ストランド「B」および「F」の間のジスルフィド結合によって結合される。抗体において、定常ドメインは、Fc領域およびFab IgフラグメントのC−末端ドメインに見出される。定常様ドメインまたはC1セットドメインはまた、MHC分子およびT細胞レセプターの膜近位ドメインに見出される。C2およびC1フォールディング位相は、1本のβストランドの「シートスイッチング(sheet switching)」、およびIg C2ドメインのβストランドはいくらか短く(約6 対 約9残基)そしてβバレルのN−末端において多くの保存された配列パターンを欠くという事実以外、同様である。Vaughnら、前出によると、C2ドメインは3つのIgスーパーファミリーメンバー:CD2、VCAM−1の2番目のドメイン、およびCD4の2番目および4番目のドメインに存在する。本発明の中心である、ニューレグリンのヘパリン結合ドメインは、Ig−C2ドメインである。
細胞間連絡の重要な手段は、1つの細胞からの成長因子および分化因子の放出、ならびにその付近の細胞上の膜レセプターへの結合および活性化であり、それは最終的に遺伝子発現の変化によってその性質を変化させる。一旦放出されると、多くのポリペプチド因子は、細胞間のECMに存在するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)とさらなる結合相互作用を有する。この2重の結合相互作用の機能的結果は完全に明らかではないが、これらの因子を、それらが必要とされる部位に濃縮するために、それらをタンパク質分解から保護するために、およびそのレセプターとのその相互作用を調節するために作用し得る(Schlessinger,J.ら、(1995)Cell 83、357−360)。これらの細胞外相互作用が、最終的に細胞の性質を変化させる細胞内事象をどのように調節するかは、さらにより明らかでない。
ニューレグリン(NRG)は、(a)神経系および心臓の成長および発達、および(2)癌(Fischbach,G.D.ら(1997)Annu Rev Neurosci 20、429−458)において複数の機能を有する、ヘパリン結合増殖因子および分化因子のファミリーである。NRGは、神経筋シナプスの運動神経末端から放出され、そしてシナプス後筋膜において、チロシンキナーゼレセプターの上皮増殖因子(EGF)ファミリーのメンバー、erbB2、erbB3およびerbB4を活性化する(Loeb,JAら、(1999)Development 126、781−791;Goodearl,ADら、(1995)J Cell Biol 130、1423−1434;Moscoso,LMら、(1995)Developmental Biology 172、158−169;Zhu,Xら、(1995)EMBO Journal 14、5842−5848)。このトランス−シナプス活性化は、適切なシナプス伝達を保証するために必要な、筋アセチルコリンレセプター(AChR)の劇的なアップレギュレーションを引き起こす。NRGはまた、α−AChRサブユニットへのスイッチ(Martinou,JCら、(1991)Proc.Natl Acad Sci USA 88、7669−7673)および電位依存性ナトリウムチャネルの発現(Corfas,Gら、(1993)Journal of Neuroscience 13、2118−2125)を誘導することによって、哺乳動物AChRの胎児から成人形態への移行を促進する。これらの効果は全て、標的筋線維の大きさが増大し、そして神経筋接合部が成熟するにつれて、シナプス伝達の効率を増加させることが予測される。一致して、I型NRG1対立遺伝子が相同的組換えによって分裂したマウスは、(1)シナプス後AChRの密度の50%の減少、および(2)低用量のクラーレでチャレンジした場合に神経筋伝達の安全率の減少を示す(Sandrock,AWら、(1997)Science 276、599−603)。
全てのNRGによって共有される共通の特徴は、上皮増殖因子様(EGF様)ドメインである。それ自身で発現した場合でも、このドメインは、レセプター結合およびシナプス後筋膜の神経筋シナプスにおいて高度に集中しているerbB2、erbB3、およびerbB4レセプターのホモダイマーおよびヘテロダイマーの活性化に十分である(Moscosoら、前出;Xuら、前出;Altiok,N.ら、v(1995)Embo J 14、4258−4266)。これらレセプターにおけるTyr残基の迅速な自己リン酸化が、最初の結合事象をAChR遺伝子の誘導へ翻訳するシグナル伝達カスケードを開始する(Corfas,G.ら、(1993)Proc.Natl Acad Sci USA 90、1624−1628)。このシグナル伝達カスケードは、マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼ(Si,J.ら、Luo,Z.、およびMei,L.(1996)J Biol Chem 271、19752−19759;Tansey,MGら、(1996)J.Cell Biol 134、465−476;Altiok,Nら、(1997)EMBO Journal 16、717−725)およびホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)経路(Siら、前出)をどちらも含む、多くのシグナル伝達経路を含む。
NRGのほとんどのスプライシングされた形態はまた、EGF様ドメインのN−末端に免疫グロブリン様(IG様)ドメインを有する(図1)。このドメインはヘパリン結合ドメイン(「HBD」)であるので、それは本明細書中でニューレグリンHBD(または「N−HBD」)と呼ばれる。用語「IG−様ドメイン」(NRGからの)および「N−HBD」は互換交換可能であることが意味される。
本発明者および他は、このドメインがHSPGと相互作用し、そして神経筋シナプスおよび中枢神経系内のECMにおけるNRGの沈着を引き起こし得ることを示した(Loebら、前出;Loeb,JAら、(1995)J Cell Biol 130、127−135;Meier,T.ら、(1998)J Cell Biol 141、715−726)。アグリンを含むHSPGは、神経筋接合部の形成に重要な役割を果たすことが同定された(Sanes,JRら、(1999)Annu Rev Neurosci 22、389−442)。
HSPGは、N−HBDを含むNRG形態の、発達の重要な段階における、発達している神経筋シナプスの基底層へ、および発達している神経系の他の位置への蓄積を「指示する」よう作用し得る(Loebら、1999、前出)。しかし、AChR発現に対するNRG−HSPG相互作用の機能的結果は未知である。
他のヘパリン結合リガンドからNRGを区別する1つの特徴は、それが、糖鎖付加されたスペーサー領域によってお互いに分離された、ヘパラン硫酸結合およびレセプター結合のために別々のドメインを有することである。この事実の認識が、本発明者を、他のヘパリン結合リガンドでは容易に可能ではない、レセプター活性化および遺伝子活性化に対するHSPG結合の直接的影響を決定するよう導いた。
Rio,Cら、Neuron 19:39−50(1997)は、HBDに対応するヒヨコNRGの27アミノ酸ペプチドを記載した。このペプチドは、ウサギで抗血清を産生するための免疫原として使用するためだけに作製された。
Loeb,JAら、1995、前出は、ECMへのNRGの固定化は、HSPGに結合するそのIg様ドメインにより得ることを推測した。これは、ヘパリンが、組換えNRGによって引き起こされた結合後レセプターチロシンリン酸化を阻害したという観察から間接的に得られた。
NRGはヘパリンに結合するので(Falls,DLら、1993、Cell 72:801−815)、Meier Tら、J Cell Biol、1998、141:715−726は、ヒトcDNAライブラリーからクローニングされた組換えHRG(=NRG)が、Loebら、前出によって提唱されたように、負に帯電したグリコサミノグリカン(GAG)側鎖によって、組換えヒヨコアグリン(HSPG)に直接結合するかどうかを調査した。NRGのIg様ドメインがこれらのGAG鎖に対する結合を媒介することが見出された。NRGのシナプスECMの成分との相互作用が、Ig様ドメインによって媒介され得るかどうかを試験するために、研究者は、Ig様ドメインを含む短縮HRGタンパク質、HRG△BbsIを発現させ、そしてIg様ドメインはアグリンに結合するが、EGF様ドメインは結合しないことを発見した。
様々な目的のために、他のタンパク質と融合したIg−C領域またはIg分子の様々な部分の多くの開示が存在したが、これらは主に真のIg分子由来であった。本発明のN−HBDは、これらの真のIgドメインと40%以下の相同性または配列類似性を有し、先行技術のものと構造的および機能的に異なる。そのような開示の例としては、以下が挙げられる。
米国特許第5,116,964および5,428,130号(Caponら)は、1つ以上のポリペプチド鎖を含み、そのうち1つはC末端カルボキシルまたはN末端アミノ基によってIg C領域と融合し得る、リガンド結合パートナータンパク質を含むポリペプチド融合物をコードする核酸を開示する。これらの文書で記載されるレクチンドメインは、本発明のNRG−HBDニューレグリンIGドメインと完全に別のものであり、活性ペプチドを細胞表面へ標的化すると言われる。さらに、そのような標的化は、細胞表面のヘパラン硫酸に向けられておらず、またそれに特異的でもない。米国特許第5,565,335号(Caponら)は、接着性(adheson)可変(V)領域を構成するポリペプチドが、そのC末端で、Ig C領域を含むポリペプチドのN末端と融合した融合タンパク質を含む「免疫接着(immunoadheson)」を記載する。
米国特許第6,018,026号、および米国特許第5,155,027号(Sledziewskiら)は、生物学的に活性なポリペプチド(およびそのコードするDNA)、および具体的には、非Igポリペプチドと比較して異種由来起源の二量体化タンパク質に結合した、それぞれが非Igポリペプチドを含み、そして生物学的活性のために二量体化を必要とする、1番目および2番目のポリペプチド鎖を含む二量体化融合産物を記載する。少なくとも1つのIg H鎖C領域ドメイン(C1、C2、C3、またはC4)と結合した、非Igポリペプチド二量体のポリペプチド鎖もまた記載される。発現した、二量体化融合ポリペプチドは、非Igポリペプチド二量体に特徴的な生物学的活性を示す。
米国特許第5,541,087号(Loら)は、少なくともC1ドメインを欠くIg Fc領域および標的タンパク質配列をコードするポリヌクレオチドを含む融合タンパク質をコードするDNAを記載する。米国特許第5,869,046号(Prestaら)は、Fabまたは(Fab’)フラグメントであり、そのIgドメイン(またはIg様ドメイン)は、C1またはC領域のうちの少なくとも一方を含む、改変体「目的のポリペプチド」を調製する方法を開示する。米国特許第6,121,022号(Prestaら)は、Ig CドメインまたはIg様Cドメイン、およびIgドメインまたはIg様Cドメイン内のサルベージレセプターに結合するエピトープを有する修飾ポリペプチドを開示する。非修飾ポリペプチドにはないこのエピトープは、Ig Fc領域のC2ドメインの2つのループから取られる。これらの文書で記載されるIg様ドメインは、本発明のN−HBDと明らかに別のものである。
米国特許第6,121,415号は、集合的にニューレグリン(NRG1)と呼ばれるポリペプチドのファミリーを記載し、それはOrr−Urtregerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:1867−1871によって、ヒト第8染色体短腕に位置決定された単一遺伝子のオルタネイティブスプライシングから生ずるようである。NRG3(マウスおよびヒト)は、長さがそれぞれ約713および720アミノ酸であるとして、そしてEGF様ドメイン、N末端疎水性部分、セリン/スレオニンリッチ部分、予測される膜貫通ドメイン、および予測される細胞内ドメインを含むことが開示された。
Holmesらによる3つの文書(Scinece 256:1205−1210(1992);WO92/20798;および米国特許第5,367,060号)は、HER2レセプターに対するポリペプチドアクチベーターファミリーの単離およびクローニングを記載し、彼らはそれらをヘレグリン−α(HRG−α)、ヘレグリン−β1(HRG−β1)、ヘレグリン−β2(HRG−β2)、ヘレグリン−β2様(HRG−β2様)、およびヘレグリン−β3(HRG−β3)と呼んだ。これらの文書は、(1)精製HRG(=NRG)ポリペプチドの、MCF7胸部腫瘍細胞におけるHER2レセプターのチロシンリン酸化を活性化する能力、および(2)高レベルのHER2レセプターを発現する腫瘍細胞に対するHRGポリペプチドの分裂促進活性を記載する。他のEGFファミリー増殖因子と同様、可溶性HRGポリペプチドは、タンパク質分解処理されて45kDaの可溶性形態を放出する、膜結合前駆体(プロ−HRG)から得られるようである。最初の213アミノ酸残基において本質的に同一であるが、そのC末端領域において異なる2つの改変体EGF様ドメインに基づいて、HRGは2つの主要な型、αおよびβに分類される。アミノ酸配列比較に基づいて、Holmesら、前出は、EGF様ドメインの最初および6番目のシステイン間で、HRGが、ヘパリン結合EGF様増殖因子(HB−EGF)と45%類似性であり、アンフィレグリン(amphiregulin)と35%同一であり、TGF−αと32%同一であり、そしてEGFと27%同一であることを見出した。
Fallsら(1993)Cell 72:801−815は、「アセチルコリンレセプター誘導活性」(ARIA)ポリペプチドと名付けられた、別のヘレグリンファミリーメンバーを記載した。そのニワトリ由来のポリペプチドは、筋AChRの合成を刺激した。WO94/08007もまた参照のこと。ARIAは、β型のHRGであり、そしてHRGα、およびHRGβ1−β3のIg様ドメインおよびEGF様ドメイン間の、糖鎖付加部位が豊富なスペーサー領域全体を欠く。
Marchionniら(1993)Nature 362:312−318は、グリア増殖因子(GGF)と名付けられたいくつかのウシ由来タンパク質を同定し、それらは上で記載した他のNRG/HRGタンパク質とIg様ドメインおよびEGF様ドメインを共有するが、アミノ末端クリングルドメインも有する。WO92/18627;WO94/00140;WO94/04560;WO94/26298;およびWO95/32724も参照のこと。
Hoら(1995)J.Biol.Chem.270:14523−14532は、感覚および運動ニューロン由来因子(SMDF)と呼ばれるHRGファミリーの別のメンバーを記載し、それは全ての他のHRGポリペプチドに特徴的なEGF様ドメインを有するが、異なるN−末端ドメインを有する。SMDFと他のHRGポリペプチドとの間の主な構造的相違は、全ての他のHRGポリペプチドに特徴的なIg様ドメインおよび「グリコ」スペーサーを欠くことである。
Carawayら(1994)J.Biol.Chem.269:14303−14306は続いて、ErbB3がHRGのレセプターであり、そして内因性チロシン残基のリン酸化、および両方のレセプターを発現する細胞においてErbB2レセプターのリン酸化を媒介することを示した。HRGは、いくつかのレセプターと相互作用し得る、唯一の公知のEGF様ファミリーメンバーであった(Carrawayら(1994)Cell 78:5−8)。
NRG/HRGタンパク質の多くの生物学的活性が記載された:
(1)シナプス後筋において神経伝達物質レセプターの合成および濃縮に作用することによる、筋管の分化(Fallsら、前出);
(2)ヒヨコ筋におけるナトリウムチャネル数の増加(Corfasら(1993)J.Neuroscience 13:2118−2125);
(3)より多くの筋管を産生する、サブコンフルエントな(subconfluent)休止ヒト筋芽細胞の分裂促進刺激およびその分化(Sklarら(1994)J.Cell Biochem.Abstr.W462、18D、540;およびWO94/26298、1994年11月24日);ならびに
(4)心内膜に発現するNRG1は、心筋ErbB2およびErbB4レセプターの活性化に必要な、重要なリガンドである(Ford,BDら、Dev.Biol.(1999)214:139−150;Carraway,KLら、Bioessays(1996)18:263−266)。
(発明の要旨)
本明細書中で使用される省略のいくつかとしては、以下が挙げられる:NRG、ニューレグリン;HRG、ヘレグリン;HBD、ヘパリン結合ドメイン;N−HBD、ニューレグリンヘパリン結合ドメイン;AChR、アセチルコリンレセプター;HSPG、ヘパラン硫酸プロテオグリカン;EGF、上皮増殖因子;IGまたはIg、免疫グロブリン;MAPK、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ;PI3−K、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ;BSA、ウシ血清アルブミン;MEM、最少必須培地;CEE、ヒヨコ胚抽出物;α−BTX、α−ブンガロトキシン;FGF、線維芽細胞増殖因子;ECM、細胞外マトリックス;TGF−β、トランスホーミング増殖因子−β;CREB、cAMP応答配列結合タンパク質。
本発明者は、N−HBD(ニューレグリンIG様ドメインとも呼ばれる)が、erbBレセプター付近で、AChR遺伝子発現のようなレセプター結合から下流の事象を誘導するために必要な十分に長い時間、EGF様ドメインを十分に高い濃度に保つために機能することを発見した。本発明者は、一次ヒヨコ筋管培養において、NRG−HSPG相互作用がどのようにNRG−erbBレセプター結合、erbBレセプター自己リン酸化、および下流のAChR遺伝子の活性化および新規合成されたタンパク質に影響するか調査した。HBDを有するまたは有さない組換えNRG β1アイソフォームを使用して、本明細書中でN−HBDは、内因性HSPGと相互作用することによって、レセプターリン酸化に対するEGF様ドメインの作用を増強したことを示す。これらのHSPG相互作用を通して、N−HBDは、例えばAChR mRNAおよびタンパク質発現を開始するのに必要な、8時間を超えるNRG−erbBレセプターリン酸化の維持を誘導する。これらの結果は、神経筋シナプスのECMにおけるNRGの高濃度に関する分子的原理を提供する。
N−HBDは、最初のCysから13残基の所に位置するTrpを有する、55アミノ酸離れた2つのCys残基を有する。これは、Ig遺伝子スーパーファミリーのIg C2サブファミリーに特徴的である。例えば、ネイティブのヒトN−HBD配列は、CD4で見出されるより「伝統的な」Ig C2 Igドメインと32%の同一性しか有さない。本発明のN−HBD、ホモログまたは機能的誘導体は、好ましくは上記の配列特徴を有し、そして同じ動物種由来のIg HまたはL鎖のIg C2ドメインと約40%より低い同一性を有する。
本発明は特に、少なくとも2つのドメインまたはペプチド構造:(1)その役割は融合ポリペプチドを標的化することである最初の「標的化」ポリペプチドドメイン、および(2)本明細書中で「標的化された」ポリペプチドまたは「Ptrg」と呼ばれる融合パートナーを含む、新規ハイブリッドまたは融合ポリペプチドに関する。標的化ドメインは、好ましくは動物N−HBD、より好ましくは哺乳動物N−HBD、最も好ましくはヒトN−HBDである。下記の実施例のいくつかは、配列同一性または配列類似性を含む、ヒトN−HBDと共通の特徴を有する、ニワトリN−HBDを用いて得られた結果を示す。
1つの実施形態において、N−HBD、またはその生物学的に活性なフラグメントに対応するアミノ酸配列をコードするDNAを、例えばPCRによって、PtrgをコードするDNAに結合させ、N−HBD/Ptrg融合タンパク質として発現される構築物を形成する。
従って本発明は、動物N−HBDポリペプチドまたはそのポリペプチドの機能的誘導体をコードする約100ヌクレオチドのみの単離核酸分子に関し、そのポリペプチドまたは機能的誘導体は、以下のようであると特徴付けられる:それは、
(a)免疫グロブリンスーパーファミリーのC2サブファミリーのメンバーであるが、同じ動物種由来のIgHまたはL鎖のC2ドメインと約40%より低い配列同一性を有する;および
(b)伝統的なヘパリン結合アッセイまたはヘパラン硫酸結合アッセイで測定した場合に、約10−5Mまたはより低いKでヘパリンまたはヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合する。
上記の核酸分子において、N−HBDポリペプチドは、好ましくは以下のものからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む:
(a)ヒトNRG由来の、GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPQNIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLG(配列番号1);
(b)ラットNRG由来の、GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPENIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLG(配列番号2);
(c)鳥類NRG由来の、GQKLVLRCET TSEYPALRKW LKNGKEITKK NRPENVKIPK KQKKYSELHI YRATLADAGE YACRVSSKLG(配列番号3);および
(d)(a)、(b)、または(c)の機能的誘導体またはホモログ。
上記の核酸分子は、配列番号4、配列番号5、または(配列番号6)からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み得る。
別の実施形態において、本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で上記の核酸分子のいずれかにハイブリダイズする、約100ヌクレオチドのみの単離核酸分子である。
本発明は、N−HBD融合ポリペプチドをコードするハイブリッド核酸分子に関し、その分子は以下のものを含む:
(a)1番目の核酸配列として、上記の核酸分子のいずれか;
(b)必要に応じて、1番目の核酸配列とフレームで融合した、リンカーペプチドをコードするリンカー核酸配列;および
(c)(i)1番目の核酸配列またはリンカー核酸配列にフレームで結合し、そして(ii)2番目のポリペプチドPtrgをコードする、2番目の核酸配列。
好ましくは、上記のハイブリッド核酸において、2番目のポリペプチドPtrgは以下のものである:
(a)融合ポリペプチドの一部として、レセプターのリガンドに結合し、それによってレセプターのリガンド活性化のためのアンタゴニストとして作用し得る、細胞表面レセプターの可溶性形態;または
(b)融合ポリペプチドの一部として、レセプターに結合し、それによって親和性および濃度に部分的に依存してレセプターのアゴニストまたはアンタゴニストいずれかとして作用し得る、細胞表面レセプターのリガンド。
そのレセプターは、好ましくはチロシンキナーゼレセプター、Gタンパク質結合レセプターまたは抗体、最も好ましくはチロシンキナーゼレセプターである。好ましいレセプターはEGFレセプターである。そのリガンドは、サイトカインまたは増殖因子、好ましくは上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、神経栄養因子、血管内皮増殖因子、トランスホーミング増殖因子、ネトリンまたはエフリンであり得る。
(a)プロモーターおよび(b)必要に応じて、真核細胞において核酸の発現を調節するさらなる調節配列に、作動可能に連結した上記の核酸分子を含む発現ベクターも提供され、そのベクターをインビトロまたはインビボで細胞へ伝達した後、細胞で発現し得る。好ましいベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターである。
関連する実施形態は、以下の物を含むベクター組成物である:
(a)N−HBDポリペプチドまたはその生物学的に活性なフラグメント、ホモログもしくは他の機能的誘導体をコードする1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列をその核酸に組み込まれた、1番目の組換え発現ベクター;および
(b)(i)融合ポリペプチドの一部として、レセプターのリガンドに結合し、それによってレセプターのリガンド活性化のためのアンタゴニストとして作用し得る、細胞表面レセプターの可溶性形態;または(ii)融合ポリペプチドの一部として、レセプターに結合し、そしてそれによってレセプターのアゴニストまたはアンタゴニストいずれかとして作用し得る、細胞表面レセプターのリガンドである、ポリペプチドPtrgをコードするヌクレオチド配列をその核酸に組み込まれた、2番目の組換え発現ベクター。
ここで発現ベクターは宿主細胞に同時感染または同時トランスフェクトし、PtrgおよびN−HBDポリペプチド、フラグメント、ホモログまたは誘導体の同時発現を引き起こし得る。
ベクター組成物において、1番目のベクターは、好ましくは配列番号4、配列番号5、または配列番号6を含む。
本発明は、上記の核酸分子またはベクターのいずれかで形質転換された、またはトランスフェクトされた細胞、好ましくは哺乳動物細胞、最も好ましくはヒト細胞を提供する。1つの実施形態は、哺乳動物N−HBDポリペプチドまたはその生物学的に活性なフラグメント、ホモログもしくは他の機能的誘導体をコードする外来性核酸分子でトランスフェクトし、そのポリペプチド、フラグメント、ホモログ、または誘導体が細胞によって発現される、単離哺乳動物細胞であり、そのポリペプチドまたは機能的誘導体は、
(a)免疫グロブリンスーパーファミリーのC2サブファミリーのメンバーであるが、同じ動物種由来のIg HまたはL鎖のC2ドメインと約40%より低い配列同一性を有する;および
(b)伝統的なヘパリン結合アッセイまたはヘパラン硫酸結合アッセイで測定した場合に、約10−5Mまたはより低いKでヘパリンまたはヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合する。
上記の細胞において、外来性核酸分子は、好ましくは配列番号4、配列番号5、または配列番号6、またはそのホモログ、フラグメントもしくは機能的誘導体を含む。
本発明はまた、以下の物を含む融合ポリペプチドに関する:
(a)融合ポリペプチドが細胞または組織に接触することが可能な場合にヘパラン硫酸に結合し、それによって融合ポリペプチドをヘパラン硫酸リッチな細胞または組織表面に局在化させる、1番目の標的化ポリペプチド;ここでその融合タンパク質は、伝統的なヘパリン結合アッセイまたはヘパラン硫酸結合アッセイにおいて測定した場合に10−5Mまたはより低いKでヘパリンまたはヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合する;および
(b)ヘパラン硫酸リッチな細胞または組織表面に標的化および局在化される2番目の標的化されるポリペプチドPtrg
ここで融合ポリペプチドは、Ptrgの作用を通じて、ネイティブのPtrgまたは標的化ポリペプチドと融合していないPtrgと比較して、標的レセプターの刺激または阻害において増強した生物学的活性を有する。
上記の融合ポリペプチドにおいて、1番目の標的化ポリペプチドは、好ましくはN−HBDの全てまたは一部あるいはそのホモログまたは機能的誘導体を含み、それは(i)2番目の標的化されるポリペプチドと直接融合する、または(ii)必要に応じて、2番目の標的化されるポリペプチドと融合したリンカーペプチド配列と融合する。標的化ポリペプチド配列は、好ましくは上記で記載されたような核酸分子によって、またはその核酸分子のフラグメント、ホモログもしくは等価物によってコードされる。
上記の融合ポリペプチドまたはそのポリペプチドの生物学的に活性なフラグメント、ホモログ、もしくは他の機能的誘導体は、好ましくは上記の発現ベクターまたはベクター組成物の組換え発現によって産生される。
上記の融合ポリペプチドにおいて、標的化ポリペプチドは、好ましくは配列番号1、配列番号2、または配列番号3、あるいはそのヘパリン結合機能的誘導体またはホモログのアミノ酸配列を有する。好ましい機能的誘導体は、配列KWFKNGNELNRKNKPQNIKIQKKPGK(配列番号7)、KWFKNGNELNRKNKPENIKIQKKPGK(配列番号8)、またはKWLKNGKEITKKNRPENVKIPKKQKK(配列番号9)を有するフラグメントである。
別の実施形態において、機能的誘導体は、配列K−x−x−K−x−x−x−x−x−x−R−K−x−K−x−x−x−K−x−x−K−K−x−x−K(配列番号10)を有するポリペプチドであり、ここでxはあらゆるアミノ酸、または少なくとも4つ、好ましくは少なくとも6つのLysもしくはArg残基を有するそのフラグメントである。そのフラグメントは、あらゆるコンセンサスヘパリン結合配列、例えばZ−x−Z−Z(ここで、Zは塩基性アミノ酸である)を有し得る。
好ましくは、上記の融合ポリペプチドは、約10−5Mより低いKで特徴付けられる親和性でヘパラン硫酸に結合し、そして天然Ptrgまたは標的化ポリペプチドと融合していないPtrgと比較して、標的レセプターの刺激またはブロックにおいて増強された生物学的活性を有する。
上記の融合ポリペプチドにおいて、もし存在するなら、リンカーは、VPRGSD(配列番号11)またはDDKDWH(配列番号12)のような、プロテアーゼによって切断可能なものであり得る。
その融合ポリペプチドは、(i)直接に、または(ii)単量体リピートの間に存在するリンカー配列で、端と端をあわせて結合した、1番目の標的化ポリペプチドの単量体の、2つまたはそれ以上のリピートの直線状多量体であり得る。1つの例は、2番目の標的化されるポリペプチドに融合した、1番目の標的化ポリペプチドのタンデムに結合した2量体または3量体を含む。2番目の「標的化される」ポリペプチドPtrgは、好ましくは
(a)融合ポリペプチドの一部として、レセプターのリガンドに結合し、それによってレセプターのリガンド活性化のアンタゴニストとして作用し得る、細胞表面レセプターの可溶性形態;
(b)融合ポリペプチドの一部として、レセプターに結合し、そしてそれによってレセプターのアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして作用し得る、細胞表面レセプターのリガンドである。
上記で示したように、そのレセプターは、チロシンキナーゼレセプター、Gタンパク質結合レセプターまたは抗体、好ましくはEGFレセプターであり得る。そのリガンドはサイトカインまたは増殖因子、好ましくは上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、神経栄養因子、血管内皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、ネトリンまたはエフリンである。好ましい神経栄養因子は、脳由来神経栄養因子、グリア由来神経栄養因子、ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4、または神経成長因子である。
本発明はまた、標的化されるポリペプチドを細胞または組織表面に送達し、そして標的化されるポリペプチドの生物学的活性を増強するのに有用な薬学的組成物を提供し、該薬学的組成物は、以下を含有する:(a)上記の融合ポリペプチド;および(b)薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリア。
上記の融合ポリペプチドをその表面に発現するか、または分泌する哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞も提供される。
組換え細胞の表面に発現されるか、または組換え細胞によって分泌される形態である標的化されるポリペプチドを送達するのに有用な別の薬学的組成物は、(a)上記のような細胞、および(b)薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアを含む。
本発明はさらに、標的化されるポリペプチドを、ヘパラン硫酸が豊富な細胞または組織表面に局在化し、そしてそれによって表面におけるその生物学的活性を増強する方法に関し、この方法は、請求項28−46のいずれかの融合ポリペプチドを表面に提供する工程を包含し、それによって融合ポリペプチドのPtrgが表面に局在化され、その結果、Ptrgの生物学的活性が、天然Ptrgまたは標的化ポリペプチドと融合していないPtrgの活性と比較して増加する。この提供する工程は、好ましくはインビボである。
trgの作用によって治療可能な被験体における疾患または状態を治療する方法も含まれ、この方法は被験体に有効な量の上記薬学的組成物を投与することを含み、それによって融合ポリペプチドのPtrgの生物学的活性が、天然Ptrgまたは標的化ポリペプチドと融合していないPtrgの活性と比較して増加し、その結果、疾患または状態を治療する。
trgの作用によって治療可能な被験体における疾患または状態を治療する方法は、被験体に有効な量の上記の細胞薬学的組成物を投与することを含み得、それによってPtrgを有するかまたは分泌する細胞が細胞または組織表面で利用可能になり、そしてそこで、Ptrgの生物学的活性が、天然Ptrgまたは標的化ポリペプチドと融合していないPtrgの活性と比較して増加し、それによって疾患または状態を治療する。
上記の方法において、疾患または状態は、腫瘍または癌であり得る。
別の実施形態において、疾患または状態は、神経学的障害、例えば神経変性性疾患、多発性硬化症、脳卒中、てんかん、または外傷性脳、脊髄、または末梢神経損傷である。この方法によって治療可能な神経変性性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、および筋萎縮性側索硬化症を含む。
(好ましい実施形態の説明)
ニューレグリン(NRG)は、チロシンキナーゼのEGFレセプターファミリーメンバーに結合し、そしてこれらを活性化し、それによってシグナル伝達カスケードを開始する。標的が神経筋シナプスのシナプス後膜である場合、この活性化の1つの結果はAChR合成の誘導である。レセプター結合およびチロシン自己リン酸化の原因であり、そしてそれに十分なEGF様ドメインに加えて、NRGの多くのスプライシングされた形態は、HSPGに結合し、そしてシナプスでNRGの高濃度を維持するIG様ドメイン(=N−HBD)も有する。
本発明者は、N−HBDは、モデルシステムとして一次ヒヨコ筋管において、AChR遺伝子発現の誘導を可能にするために、EGF様ドメインを十分高濃度に十分長い間隔をおいて維持するために機能することを発見した。N−HBDありまたはなしの組換えNRGを用いて、内因性HSPGへのN−HBDの結合は、レセプターリン酸化の4倍増加を引き起こすことが発見され、その効果は可溶性ヘパリンによって、または酵素ヘパリチナーゼによる筋細胞の前処理によってブロックされた。少なくとも12−24時間のNRG曝露が、実質的なAchR遺伝子発現を開始させるために必要であり、そしてerbBレセプターがこの時間リン酸化され続けていることが重要であることが見出された。持続するerbBレセプター活性の必要性が、なぜNRGがシナプスのECMでそんなに高度に集中しているのかを説明する。
これらの観察に基づいて、本発明者は、現在公知であるか、または後に発見されるかにかかわらず、そのドメインが融合しているあらゆるタンパク質またはポリペプチドを、そのドメインのあらゆる結合パートナーが豊富な部位へ標的化する、NRGのN−HBDのより広い有用性を考えた。主にそのような部位は、HSPGが発現される細胞表面およびECMであることが公知である。
(一般的な参考文献)
他に示さない限り、本発明の多くの局面の実施は、分子生物学、組換えDNA技術および免疫学の従来の技術を採用し、それは当該分野の技術の範囲内である。そのような技術は、科学的文献、例えばSambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY、1989;Ausubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley−Interscience、New York、最新巻;Albers,B.ら、Molecular Biology of the Cell、第2版、Garland Publishing,Inc.、New York、NY(1989);Lewin,BM、Genes IV、Oxford University Press、Oxford(1990);Watson,J.D.ら、Recombinant DNA、第2版、Scientific American Books、New York、1992;Darnell,JEら、Molecular Cell Biology、Scientific American Books,Inc.、New York、NY(1986);Old,R.W.ら、Principles of Gene Manipulation:An Introduction to Genetic Engineering、第2版、University of California Press、Berkeley、CA(1981);DNA Cloning:A Practical Approach、第I&II巻(D.Glover編);Oligonucleotides Synthesis(N.Gait編、最新版);Nucleic Acid Hybridization(B.Hames&S.Higgins編、最新版);Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins編、最新版);Methods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techniques(BergerおよびKimmel編、1987);Hartlow,E.ら、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1988);Coligan,JEら編、Current Protocols in Immunology、Wiley−Interscience、New York、1991においてより詳細に記載されている。タンパク質構造および機能が、Schulz,GEら、Principles of Protein Structure、Springer−Verlag、New York、1978およびCreighton,TE、Proteins:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&Co.、San Francisco、1983において議論されている。
1つの実施形態において、ヒトまたは他の哺乳動物由来のN−HBDに対応するアミノ酸配列をコードするDNAが使用される。好ましいDNA配列は、以下のものである:
Figure 0004314113
好ましくは、これは、PCRを用いて、(細胞表面またはECMへ)標的化されるポリペプチドまたはペプチド(「Ptrg」)のアミノ酸配列をコードするDNAに結合しており、N−HBD−Ptrg融合タンパク質として発現される構築物を形成する。オリゴヌクレオチドの合成、PCR、細胞の形質転換、ベクターの構築、発現システム等の、N−HBD融合タンパク質をコードするDNAの組み立ておよび発現のための技術は、当該分野でよく確立されている。当業者は、標準的な資源材料、特定の条件および手順を熟知している。
(発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明は、少なくとも1つの調節配列と作動可能に連結した、IGドメイン融合ポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクターを含む。「作動可能に連結した」は、コード配列が、コード配列の発現を可能にする方式で調節配列に結合していることを意味する。公知の調節配列が、適切な宿主細胞における所望のタンパク質の発現を指示するために選択される。従って、「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントを含む。そのような調節配列は、例えばGoeddel、Gene Expression Technology.Methods in Enzymology、185巻、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)において記載されている。
当業者は、本発明の発現ベクターの特定の設計は、トランスフェクトされる宿主細胞および/または発現されるタンパク質の型のような考慮すべき事柄に依存することを理解する。
本発明の発現ベクターは、融合タンパク質に含まれる場合に、N−HBDの様々な実施形態をコードする核酸分子の全範囲:全長ドメイン、およびポリペプチドフラグメント、変異体等を含むその機能的誘導体(本明細書中で定義される)を含む。従って、1つの実施形態において、発現ベクターは少なくとも単独または別のポリペプチドに融合したN−HBDの一部をコードする核酸を含む。
そのような発現ベクターを使用して、DNAの発現および融合タンパク質またはペプチドを含むコードされたタンパク質の産生のために、宿主細胞をトランスフェクトする。N−HBDポリペプチドを発現する遺伝的に修飾された細胞は、細胞がその述べられた目的のために有用であるために十分な時間、外来性DNAを一時的に発現し得ることが理解される。従って、もしその細胞がインビボで融合ポリペプチドの産生供給源または送達媒体として作用するなら、発現が必要な、または細胞が生存したままである時間の長さは、細胞がその産生/送達機能を発揮するのに必要な時間である。例えば、N−HBD融合ポリペプチドの発現は、6時間の短さ、好ましくは24時間、より好ましくは少なくとも2−4日間であり得る。もちろん、発現はまた安定であり得る(すなわち、細胞の寿命の間)。下記で議論される適切な発現ベクターおよび調節エレメント(例えば誘導的または構成的プロモーター)は、発現の望ましいまたは必要な安定性に従って選択される。
本発明は、N−HBDポリペプチドおよび誘導体を産生する方法を提供する。例えば、少なくともN−HBDポリペプチドの一部を含む融合タンパク質をコードする核酸ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を、適切な条件下で培養して、融合ポリペプチドの発現を可能にする。
宿主細胞をまた、宿主細胞が両方の部分を含む融合ポリペプチドを産生するように、少なくともN−HBDタンパク質の一部をコードするDNAおよび少なくとも2番目のタンパク質(Ptrg)の一部をコードするDNAを、単独でまたは組み合せて含む、1つまたはそれ以上の発現ベクターでトランスフェクトし得る。
組換え発現ベクターが、N−HBDの一部をコードするDNAおよびPtrgをコードするDNAを含む場合、できた融合タンパク質は、変化した可溶性、結合親和性および/または結合価を有し得る。N−HBD融合タンパク質は、好ましくは培養物中のトランスフェクトされた宿主細胞によって分泌され、そしてそのために培養培地から単離される。あるいは、タンパク質が細胞質に保持されるなら、細胞を回収および溶解し、そしてタンパク質をこの溶解物から単離する。
培養は、典型的には宿主細胞、適切な増殖培地、および他の副産物を含む。適切な培養培地は、当該分野で周知である。N−HBDタンパク質を、硫酸アンモニウム沈殿、分画カラムクロマトグラフィー(例えばイオン交換、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー等)および/または電気泳動を含む、タンパク質およびペプチドを精製する従来の技術を用いて、培地または細胞溶解物から単離し得る(一般的に、「酵素の精製および関連する技術」、Methods in Enzymology、22:233−577(1971)を参照のこと)。一旦部分的にまたは均一にまで精製されたら、本発明の組換えN−HBD融合ポリペプチドを、本明細書中でより詳細に記載されるように、薬学的組成物において利用し得る。
N−HBDまたはその機能的誘導体、好ましくは融合ポリペプチドを発現するように形質転換またはトランスフェクトされた原核または真核宿主細胞は、本発明の範囲内である。例えば、N−HBDを、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス)、酵母、またはチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはヒト細胞のような哺乳動物細胞で発現し得る。他の適切な宿主細胞を、Goeddel(1990)前出において見出し得る、またはそうでなければ当業者に公知である。
真核細胞における発現は、組換えタンパク質の部分的または完全な糖鎖付加および/または関連する鎖間または鎖内ジスルフィド結合の形成を引き起こす。
酵母S.cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例は、pYepSec1(Baldariら(1987)EMBO J.6:229−234)、pMFa(Kurjanら(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene 54:113−123)、およびpYES2(Invitrogen Corporation、San Diego、Calif.)を含む。培養昆虫細胞(SF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターは、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell Biol.3:2156−2165)、およびpVLシリーズ(Lucklow,V.A.およびSummers,M.D.(1989)Virology 170:31−39)を含む。一般的に、COS細胞(Gluzman,Y.(1981)Cell 23:175−182)を、pCDM8(Aruffo A.およびSeed,B.、前出)のようなベクターと組み合せて、哺乳動物細胞における一時的な増幅/発現のために使用し、一方CHO(dhfr−陰性CHO)細胞を、pMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187−195)のようなベクターと共に、哺乳動物細胞における安定な増幅/発現のために使用する。NS0骨髄腫細胞系統(グルタミンシンセターゼ発現系)が、Celltech Ltd.から入手可能である。
しばしば、融合発現ベクターにおいて、融合タンパク質の精製に続いて、リポーターグループから標的タンパク質の分離を可能にするために、タンパク質分解切断部位を、リポーターグループおよび標的タンパク質の結合部に導入する。そのような切断のためのタンパク質分解酵素およびそれらの認識配列は、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。これらは下記でより議論される。
典型的な融合発現ベクターは、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを、標的組換えタンパク質に融合する、pGEX(Amrad Corp.、Melbourne、Australia)、pMAL(New England Biolabs、Beverly、Mass.)およびpRIT5(Pharmacia、Piscataway、NJ)を含む。
誘導的非融合発現ベクターは、pTrc(Amannら(1988)Gene 69:301−315)およびpET11d(Studierら、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)60−89)を含む。pTrcにおいて、標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存するが、pET11dに挿入された標的遺伝子の発現は、同時発現するウイルスRNAポリメラーゼ(T7gn1)によって媒介される、T7gn10−lacO融合プロモーターからの転写に依存する。このウイルスポリメラーゼは、宿主系統BL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって、lacUV5プロモーターの転写調節下でT7gn1を有する常在性λプロファージから供給される。
本発明の1つの実施形態は、新規N−HBD融合ポリペプチドをデノボで発現する、トランスフェクトされた細胞である。N−HBDを既に発現している細胞の場合、本発明は、増加した量のN−HBDポリペプチドまたは機能的誘導体(下記で定義する)を発現する、トランスフェクトされた細胞を提供する。本発明の核酸構築物を、パラクリン放出および発現細胞自身へのまたは標的化される他の付近の細胞に結合する目的のために、細胞または腫瘍で発現し得る。例えば、肉腫、黒色腫、白血病、リンパ腫、癌腫または神経芽腫のような腫瘍細胞を、腫瘍細胞表面でN−HBDまたは融合ポリペプチドの発現を指示する発現ベクターでトランスフェクトする。そのようなトランスフェクトされた腫瘍細胞を、HSPGが豊富な部位へ向け得る。さらに、その表面にN−HBDおよび免疫刺激性サイトカイン(例えばIL−2、IL−4、GM−CSF等)を同時発現する細胞は、腫瘍部位でのサイトカインの作用を増強し得る。
腫瘍細胞は、その転移可能性と関連する、異なる量のHSPGを発現することが知られている。HSPG発現とHSPGを分解する酵素との間のバランスが、その増殖および転移に大きく影響を与え得る。例えば、MCF−7細胞のへパラナ−ゼによる前処理は、FGF誘導細胞増殖をブロックし、一方、通常2倍量の細胞表面HSPGを産生するMDA−MB−231細胞の塩素酸塩処理は、FGFに対するその反応性を促進する(Delehedde,Mら、1996、Exp Cell Res 229:398−406)。FGFはヘパリンに結合し、そしてHSPGによって密接に調節されることが知られているので、これは、FGF反応性とHSPG発現レベルとの間に密接な関連を示唆する。さらに、最近腫瘍細胞の転移可能性を、内因性へパラナ−ゼの発現によって大きく増強し得ること(Vlodavsky,I.ら、1999、Nat Med 5:793−802)、転移腫瘍において顕著なHSPG,シンデカン−1のレベルが抑制されること(Stanley,MJら、1999、Am J Clin Pathol 112:377−383)、および低分子量ヘパリン化合物が実際内因性へパラナ−ゼをブロックすることによって黒色腫細胞の転移可能性を抑制し得ること(Miao,HQら、1999、Int J Cancer 83:424−431)が示された。前述のことを考慮して、本発明を、ペプチドまたはポリペプチドをHSPGに差次的に標的化するため、標的化N−HBDに融合したPtrgによってHSPGレベルを調節するため、内因性へパラナ−ゼをブロックするため、シンデカン−1レベルを上昇させるため等に使用する。
(ベクター構築物)
所望のコード配列および調節配列を含む適切なベクターの構築は、当該分野でよく理解される標準的な連結および制限技術を採用する。単離プラスミド、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドを望ましい形態に切断、調整、および再連結する。
ベクターを形成するDNA配列は、多くの供給源から入手可能である。土台のベクターおよび調節システムは、一般的に構築物中の配列の大部分に使用される、利用可能な「宿主」ベクターに見出される。適切なコード配列のために、最初の構築は、cDNAまたはゲノムDNAライブラリーから適切な配列を回収する問題であり得、そして通常そうである。しかし、配列が一旦開示されると、個々のヌクレオチド誘導体から始めて、インビボで遺伝子配列全体を合成することが可能である。かなり長い、例えば500−1000bpの遺伝子の遺伝子配列全体を、個々の重複する相補的オリゴヌクレオチドを合成し、そしてデオキシリボヌクレオチド3リン酸の存在下でDNAポリメラーゼを用いて一本鎖の重複していない部分を埋めることによって調製し得る。このアプローチを、公知の配列のいくつかの遺伝子の構築にうまく使用した。例えば、Edge,M.D.、Nature(1981)292:756;Nambair,K.P.ら、Science(1984)223:1299;およびJay,E.、J Biol Chem(1984)259:6311を参照のこと。
合成オリゴヌクレオチドを、上記で引用した参考文献によって記載されたようなホスホトリエステル法、またはBeaucage,S.L.およびCaruthers,MH、Tetrahed.Lett.(1981)22:1859;およびMatteucci,M.D.およびCaruthers,M.H.、J Am Chem Soc(1981)103:3185によって記載されたようなホスホルアミダイド法のいずれかによって調製し、そして市販で入手可能な自動化オリゴヌクレオチド合成機を用いて調製し得る。アニーリング前または標識化のための、一本鎖のキナーゼ処理を、過剰なポリヌクレオチドキナーゼを用いて達成する。
望ましいベクターの構成成分が一旦このように利用可能になれば、それらを標準的な制限および連結手順を用いて切除および連結し得る。部位特異的DNA切断を、当該分野で一般的に理解される条件下で適当な制限酵素(または複数の酵素)で処理することによって行ない、その詳細は、これらの市販で入手可能な制限酵素の製造会社によって明細に述べられる。例えばNew England Biolabs、Product Catalogを参照のこと。一般的に、約1mgのプラスミドまたはDNA配列を、約20mlの緩衝溶液中1ユニットの酵素によって切断する;本明細書中の実施例において、典型的には、過剰の制限酵素を用いて、DNA基質の完全な消化を保証する。約37℃で約1時間から2時間のインキュベーション時間が実行可能であるが、変動を許容し得る。各インキュベーションの後に、フェノール/クロロホルムによる抽出によってタンパク質を除去し、そして次にエーテル抽出を行い得、そして核酸をエタノールによる沈殿によって水性画分から回収する。望ましいなら、切断フラグメントのサイズ分離を、標準的な技術を用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動またはアガロースゲル電気泳動によって行い得る。サイズ分離の一般的な記載は、Methods in Enzymology(1980)65:499−560において見出し得る。
制限切断フラグメントは、公知のインキュベーション時間ならびにdNTP、塩および緩衝液の濃度を用いて、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の存在下で、E.coli DNAポリメラーゼIの大きなフラグメント(クレノウ)で処理することによって、平滑末端であり得る。クレノウフラグメントは、5’一本鎖突出部を埋めるが、4つのdNTPが存在していても、突き出た3’一本鎖を削る(chews back)。もし望ましいなら、突出部の性質によって規定される制限内で、1つだけの、または選択されたdNTPを供給することによって、選択的な修復を行ない得る。クレノウによる処理の後,混合物を抽出およびエタノール沈殿する。S1ヌクレアーゼまたはBAL−31による適当な条件下での処理は、あらゆる一本鎖部分の加水分解を引き起こす。
連結を、典型的には15−50mlの容量で、標準的な条件および温度下で行なう。分子間「付着末端」連結を、通常33−100μg/mlの全DNA濃度(5−100nMの全最終濃度)で行なう。分子間平滑末端連結を、1mMの全最終濃度で行なう。
「ベクターフラグメント」を採用するベクター構築において、5’リン酸を除去し、そして自己連結を防ぐために、フラグメントを通常細菌アルカリホスファターゼまたは子牛腸アルカリホスファターゼで処理する。消化をpH8で行い、そして調製物をフェノール/クロロホルムで抽出およびエタノール沈殿する。あるいは、再連結を、さらなる制限酵素によって二重消化され、望ましくないフラグメントを分離したベクターにおいて防ぎ得る。
多くの方法のいずれかを使用して、コード配列に変異を導入し、本発明の望ましいアミノ酸配列変異体を産生する。これらの変異は、単純な欠失または挿入、合成的欠失、塩基の集団の挿入または置換、あるいは単一塩基の置換を含む。
例えば、N−HBD DNA配列(cDNAまたはゲノムDNA)の修飾を、部位特異的突然変異生成、プロトコールおよび試薬が市販で入手可能である、周知の技術によって作成する(Zoller,MJら、Nucleic Acids Res(1982)10:6487−6500およびAdelman,JPら、DNA(1983)2:183−193))。プラスミド構築のために正しい連結を、例えば最初にE.coli株MC1061(Casadaban,M.ら、J Mol Biol(1980)138:179−207)または他の適当な宿主を連結混合物で形質転換することによって確認する。従来の方法を用いて、プラスミド構築の方法に依存して、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、または他の抗生物質耐性遺伝子(または他の選択可能なマーカー)の存在に基づいて形質転換体を選択する。次いで任意のクロラムフェニコール増幅、必要に応じて、続いてのクロラムフェニコール増幅を用いて、プラスミドを形質転換体から調製する(Clewell,DBら、Proc Natl Acad Sci USA(1969)62:1159;Clewell,D.B.、J Bacteriol(1972)110:667)。いくつかのミニDNAプレップが通常使用される。例えばHolmes,DSら、Anal Biochem(1981)114:193−197;Birnboim、HCら、Nucleic Acids Res(1979)7:1513−1523を参照のこと。単離DNAを、制限によって分析し、そして/またはMessingら、Nucleic Acids Res(1981)9:309によってさらに記載されたように、Sanger(Proc Natl Acad Sci USA(1977)74:5463)のジデオキシヌクレオチド法によってか、またはMaxamら、Methods in Enzymology(1980)65:499の方法によって配列決定する。
ベクターDNAを、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈法、DEAE−デキストランによるトランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションのような従来の技術によって、哺乳動物細胞に導入し得る。宿主細胞を形質転換する適当な方法を、Sambrookら、前出および他の標準的な教科書において見出し得る。
多くの場合、融合発現ベクターにおいて、融合タンパク質の精製に続いて標的タンパク質のリポーターグループからの分離を可能にするために、タンパク質分解切断部位を、リポーターグループおよび標的タンパク質の結合部に導入する。そのような切断のためのタンパク質分解酵素およびその認識配列は、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。
典型的な融合発現ベクターは、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的組換えタンパク質に融合する、pGEX(Amrad Corp.、Melbourne、Australia)、pMAL(New England Biolabs、Beverly、Mass.)およびpRIT5(Pharmacia、Piscataway、NJ)を含む。
(プロモーターおよびエンハンサー)
DNAまたはRNA分子のプロモーター領域は、RNAポリメラーゼを結合し、そして「作動可能に連結した」核酸配列の転写を促進する。本明細書中で使用される「プロモーター配列」は、RNAポリメラーゼによって転写されるDNAまたはRNAのその鎖に見出されるプロモーターのヌクレオチド配列である。プロモーターおよびコード配列のような、核酸分子の2つの配列は、それらが、両方の配列が同じRNA転写物に転写されることを可能にする、または1つの配列から始まったRNA転写物が2番目の配列に延長されることを可能にする方式でお互いに連結している場合に、「作動可能に連結」している。従って、DNAまたはRNAのプロモーター配列およびコード配列のような2つの配列は、プロモーター配列における転写開始が、作動可能に連結したコード配列のRNA転写物を産生するなら、作動可能に連結している。「作動可能に連結」しているために、2つの配列が直線状の配列でお互いにすぐに隣接している必要はない。
本発明の好ましいプロモーター配列は、哺乳動物細胞で作動可能でなければならず、そして真核細胞またはウイルスプロモーターのいずれかであり得る。適当なプロモーターは、誘導的、抑制的または構成的であり得る。構成的プロモーターの例は、ウイルスプロモーターMSV−LTRであり、それは様々な細胞型で有効および活性であり、そしてほとんどの他のプロモーターと対照的に、休止細胞および増殖細胞で同じ増強活性を有する。他の好ましいウイルスプロモーターは、CMV−LTR(サイトメガロウイルス由来)(Bashart,M.ら、Cell 41:521(1985))、またはRSV−LTR(ラウス肉腫ウイルス由来)(Gorman,C.M.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777(1982))に存在するものを含む。マウスメタロチオネインI遺伝子のプロモーター(Hamer,D.ら、J.Mol.Appl.Gen.1:273−288(1982));ヘルペスウイルスのTKプロモーター(McKnight,S.、Cell 31:355−365(1982));SV40初期プロモーター(Benoist,C.ら、Nature 290:304−310(1981));および酵母gal4遺伝子プロモーター(Johnston,S.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:6971−6975(1982);Silver,P.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81:5951−5955(1984))も有用である。転写因子のプロモーター領域との関連および転写因子の分離した活性化およびDNA結合の、他の実例となる記載は、Keeganら、Nature(1986)231:699;Fieldsら、Nature(1989)340:245;Jones、Cell(1990)61:9;Lewin、Cell(1990)61:1161;Ptashneら、Nature(1990)346:329;Adamsら、Cell(1993)72:306を含む。これら上記で列挙した参考文献の全ての関連する開示は、本明細書中に参考として援用される。
プロモーター領域は、特定の組織において見出されるあるタンパク質と相互作用することによって、組織特異的エンハンサーとしても機能し得る8量体領域をさらに含み得る。本発明のDNA構築物のエンハンサードメインは、トランスフェクトされる標的細胞に特異的なものであるか、またはそのような標的細胞の細胞因子によって高度に活性化される。ベクター(プラスミドまたはレトロウイルス)の例は、Roy−Burmanら、米国特許第5,112,767号において開示される。エンハンサーおよびその転写における作用の一般的な議論に関しては、Lewin,BM、Genes IV、Oxford University Press、Oxford(1990)、552−576頁を参照のこと。レトロウイルスエンハンサー(例えばウイルスLTR)が特に有用である。エンハンサーは、好ましくは、それが相互作用して遺伝子発現を刺激するプロモーターから上流に位置する。レトロウイルスベクターと使用するために、内因性ウイルスLTRを、エンハンサーなしにして、そして組織特異性または本発明のDNA分子に対する転写効率のような他の望ましい性質を与える他の望ましいエンハンサー配列で置換し得る。
本発明の核酸配列をまた、標準的な技術を用いて化学的に合成し得る。ペプチド合成のように、市販で入手可能なDNA合成機で完全に自動化された、固相合成を含む、ポリデオキシヌクレオチドを化学的に合成する様々な方法が公知である(例えば本明細書中で参考として援用される、Itakuraら、米国特許第4,598,049号;Caruthersら、米国特許第4,458,066号;およびItakura、米国特許第4,401,796および4,373,071号を参照のこと)。
ハイブリダイゼーションを、好ましくは「ストリンジェントな条件」下で行い、それは(1)洗浄のために低いイオン強度および高い温度、例えば50℃で0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを採用すること、または(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミドのような変性剤、例えば42℃で0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のFicoll/0.1%のポリビニルピロリドン/750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを含む、pH6.5の50nMのリン酸ナトリウム緩衝液を含む、50%(vol/vol)のホルムアミドを採用することを意味する。別の例は、42℃で0.2×SSCおよび0.1%のSDS中の洗浄を伴う、42℃で50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6/8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×Denhardt溶液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%のSDS、および10%の硫酸デキストランの使用である。さらに別の例は、55℃で10%の硫酸デキストラン、2×SSCおよび50%のホルムアミドの緩衝液を用いたハイブリダイゼーション、続いて55℃でEDTAを含む0.1×SSCからなる高ストリンジェントな洗浄である。
(タンパク質およびポリペプチド)
本発明は、配列
Figure 0004314113
を有するヒトNRG由来の「単離」N−HBDポリペプチド、または好ましくはその融合ポリペプチドを含む。
上記配列の好ましいフラグメントは、塩基性アミノ酸が豊富なフラグメント:KWFKNGNELNRKNKPQNIKIQKKPGK(配列番号7)であり、それは配列が標的化されるよう意図される、塩基性ヘパラン硫酸に対して比較的高い親和性を有する。
ラットNRG中のラットN−HBDホモログのアミノ酸配列は、
Figure 0004314113
である。
上記配列の好ましいフラグメントは、塩基性アミノ酸が豊富なフラグメント:KWFKNGNELNRKNKPENIKIQKKPGK(配列番号8)であり、それは配列が標的化されるよう意図される、塩基性ヘパラン硫酸に対して比較的高い親和性を有する。
相同的ニワトリ配列が、本明細書中の実施例において本発明者によって使用された。ニワトリNRGのN−HBDは、
Figure 0004314113
である。
ヒトおよびラット配列と同様に、上記配列の好ましいフラグメントは、塩基性アミノ酸が豊富なフラグメント:KWLKNGKEITKKNRPENVKIPKKQKK(配列番号9)である。
別の好ましい機能的誘導体は、配列K−x−x−K−x−x−x−x−x−x−R−K−x−K−x−x−x−K−x−x−K−K−x−x−K(配列番号10)を有するポリペプチドであり、ここでxはあらゆるアミノ酸であるか、または少なくとも4つ、好ましくは少なくとも6つのLysおよび/またはArg残基を含む配列番号10のフラグメントである。
本開示は、タンパク質およびDNAレベルにおける、全長ニワトリNRGのフラグメント、すなわちN−HBDおよびEGF様ドメインの使用を例示するが、ニワトリ配列のヒトホモログ(例えば配列番号1および7、および他の哺乳動物種由来のN−HBDおよび本明細書中で開示される特徴を有するその変異体)は、本発明の範囲内であると意図されることが理解される。
N−HBDの「機能的誘導体」も含まれ、それはN−HBDのアミノ酸置換改変体(=変異体)、「フラグメント」または「化学的誘導体」を意味し、その用語は下記で定義される。機能的誘導体は、測定可能なN−HBD活性、好ましくは溶液中のヘパリン、ヘパラン硫酸またはヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)、あるいは細胞表面上のHSPGに結合する活性を保持し、それは本発明による有用性を可能にする。
「機能的誘導体」は、その用語が本明細書中で接合的にまたは代替的に使用されるかどうかに関わらず、変異体、「改変体」および「フラグメント」を含む。
機能的ホモログは、上記の生化学的および生物学的活性を有していなければならない。この機能的特徴付けを考慮して、まだ発見されていないポリペプチドを含む、他の種由来の相同的N−HBDポリペプチドを使用することは、これらのポリペプチドが配列類似性ならびに列挙した生化学的活性および生物学的活性を有するなら、本発明の範囲内に含まれる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列を最適な比較目的のために整列させる(例えば、最適な整列のために、1番目および2番目のアミノ酸または核酸配列の1つまたは両方にギャップを導入し得、そして非相同的配列を比較目的のために無視し得る)。整列の好ましい方法において、Cys残基を整列させる。
好ましい実施形態において、比較する配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、そしてさらにより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%である。例えば、276アミノ酸残基を有するヒトN−HBDアミノ酸配列(配列番号2)に対して2番目の配列を整列させる場合、少なくとも83、好ましくは少なくとも110、より好ましくは少なくとも138、さらにより好ましくは少なくとも166、そしてさらにより好ましくは少なくとも193、221、または248アミノ酸残基を整列させる。次いで対応するアミノ酸位置(またはヌクレオチド位置)のアミノ酸残基(またはヌクレオチド)を比較する。1番目の配列における位置が、2番目の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基(またはヌクレオチド)によって占められている場合、その分子はその位置において同一である(本明細書中で使用されるアミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と同等である)。2つの配列間の同一性パーセントは、その2つの配列の最適な整列のために導入する必要のある、ギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入れて、その配列によって共有される同一な位置の数の関数である。
配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定を、数学的アルゴリズムを用いて達成し得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、Blossom62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ加重、および1、2、3、4、5、または6の長さ加重を用いて、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)のGAPプログラムに組み込まれた、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))のアルゴリズムを用いて決定する。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントを、NWSgapdna.CMPマトリックスおよび40、50、60、70、または80のギャップ加重および1、2、3、4、5、または6の長さ加重を用いて、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)のGAPプログラムを用いて決定する。別の実施形態において、2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントを、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた、E.MeyersおよびW.Miller(CABIOS、4:11−17(1989))のアルゴリズムを用いて決定する。
本発明のヌクレオチドおよびアミノ酸配列をさらに、「質問配列」として使用して、例えば他のファミリーメンバーまたは関連する配列を同定するために、公共のデータベースに対して検索を行ない得る。そのような検索を、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行ない得る。例えばヒトまたはニワトリH−NBD核酸分子に対して相同的なヌクレオチド配列を得るために、BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行ない得る。本発明のヒトまたはマウスN−HBDタンパク質分子に相同的なアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行ない得る。比較目的のためにギャップを導入した整列を得るために、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402で記載されたように、Gapped BLASTを利用し得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用し得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。
このように、上記で記載したN−HBDタンパク質のホモログは、(a)参照N−HBDポリペプチドの機能的活性、および(b)上記で決定された場合に、少なくとも約30%(アミノ酸レベルで)、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約90%の、参照N−HBDポリペプチド(例えば、配列番号?または配列番号?)に対する配列類似性を有するとして特徴付けられる。
N−HBDの開示された配列および隣接のヌクレオチド配列を含む公開されたNRGの全長配列に基づくDNAプローブを用いて、そのようなポリペプチドを得るおよび発現することは、当該分野の技術の範囲内である。次いで、そのポリペプチドの生化学的活性および生物学的活性を、本明細書中で記載されたもののような、本分野で認識された方法、例えば細胞表面およびECMに結合しているHSPGのヘパラン硫酸成分の認識による細胞またはECMへの結合を用いて、容易に試験し得る。そのような結合は、そのホモログが「機能的」ホモログとして適格であるために必要な活性を有するかどうかを示す。
好ましいアッセイは、合成リガンドヘパリンへの結合によって「模擬」され得る、またはその「天然」リガンドヘパラン硫酸への結合を測定することによって評価される、N−HBDの機能的特徴を測定する。本明細書中で例示されるように、N−HBD(またはその融合タンパク質)の、例えば筋細胞上におけるその天然リガンドへの結合は、結合しているポリペプチド、すなわちNRGのEGF様ドメインが、チロシンキナーゼレセプター(erbB4)によってシグナルを伝達することを可能にする。あらゆる関連する下流のできごとを、生化学的手法(例えばリン酸化)によって、または細胞アッセイによって、あるいは生理学的アッセイまたは薬理学的アッセイのいずれかによって測定し得る。上記で述べたように、そのような筋細胞への結合は、α−AChRサブユニットへのスイッチおよび電位依存性ナトリウムチャネルの発現を誘導することによって、AChRの胎児形態から成人形態への変化を促進する。本明細書中で例示されるように、1つのそのようなできごとは、新規AChRの膜への挿入率の増加である。さらに、N−HBDまたは機能的誘導体を含む本発明の遺伝子操作した融合タンパク質に関して、融合パートナー(本明細書中で定義されるPtrg)の作用を測定するために適当なあらゆるアッセイを使用し得る。
本明細書中で記載された、全てのポリペプチド、融合ポリペプチド、またはペプチド模倣物および多量体ペプチドを含む他の機能的誘導体および化学的誘導体は、好ましくはインビトロアッセイで天然N−HBDの少なくとも約20%の活性を有する。あるいは、またはそれに加えて、これらの誘導体は、細胞全体、細胞画分、単離HSPGまたはヘパリンを用いた結合アッセイで試験した場合に、リガンドまたは結合パートナー、好ましくはヘパリンまたはHSPGへの結合に関して、標識N−HBDポリペプチドと競合するべきである(IC50≦10μM、より好ましくは≦1μMで)。
N−HBDの変異体または「改変体」は、全タンパク質またはそのフラグメントのいずれかに対して本質的に同一の分子を指し、それにおいて1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が置換されている(置換改変体)またはそれは1つまたはいくつかの残基が欠失(欠失改変体)または付加している(付加改変体)。N−HBDの「フラグメント」は、分子のあらゆるサブセット、好ましくはECDを含むもの、すなわち全長タンパク質のより短いポリペプチドを指す。
多くの処理を使用して、単離DNA配列のフラグメント、変異体および改変体を産生し得る。例えば1−30塩基の長さの、N−HBDタンパク質をコードする核酸の小さなサブ領域またはフラグメントを、標準的な化学的合成によって調製し得る。より大きな合成フラグメントの産生において使用するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびプライマー。
(融合ポリペプチドおよびリンカー)
上記で述べたように、好ましい機能的誘導体は、融合タンパク質、Ptrgに融合または結合したN−HBDの機能的フラグメントを含むポリペプチドである。
N−HBDまたは誘導体を、当該分野で公知のあらゆる型のリンカー分子、例えば一連のGly残基、様々なアミノ酸を含むペプチドリンカー、または化学的架橋分子によって、Ptrgに結合し得る。好ましいリンカーは、Ptrgが標的化される細胞表面またはECMの付近、例えば腫瘍部位において存在および活性な酵素によって切断可能なものである。その酵素が融合ポリペプチドに作用した場合、治療的PtrgからN−HBDが放出される。好ましい酵素は、マトリックスメタロプロテアーゼ、ウロキナーゼ、カテプシン、プラスミン、またはトロンビンであり、それらは腫瘍環境において作用してインビボ(またはインサイチュ)でPtrgを放出し得る。この型の好ましいリンカーは、配列VPRGSD(配列番号11)またはDDKDWH(配列番号12)を有するペプチドである。
(マルチドメインおよび多量体ペプチド融合タンパク質)
本発明はまた、N−HBDまたはその改変体の配列から得られた「ユニット」ペプチド配列が、介在するスペーサーまたはリンカーありまたはなしで、約2から約100回反復する、より長いポリペプチドを含む。
この項でHBDと記号的に呼ばれるペプチドの多量体を、以下の公式によって示す
(HBD−X−HBD ここでm=0または1、n=1−100。Xは1−20のグリシン残基からなるスペーサーグループであり、上記で記載されたようなペプチドリンカー、または化学的架橋分子である。
そのような多量体の好ましいHBDユニットは、KWFKNGNELNRKNKPQNIKIQKKPGK 配列番号7、またはその機能的フラグメントである。
別の好ましい機能的誘導体は、配列K−x−x−K−x−x−x−x−x−x−R−K−x−K−x−x−x−K−x−x−K−K−x−x−K(配列番号10)を有するポリペプチドであり、ここでxはあらゆるアミノ酸であり、または少なくとも6つのLysまたはArg残基を含む配列番号10のフラグメントである。上記のポリペプチドのより一般的なバージョンにおいて、あらゆる塩基性アミノ酸残基が、配列番号10のLysまたはArgによって占められる位置で置換し得る。
多量体の基礎のサブユニットが比較的低いヘパリン結合親和性を有するとしても、その多量体は、標的構造に対して増加した親和性および/または親和力を有し、それによって本発明によるその多量体の使用を可能にすることが理解される。
そのような多量体を、本明細書中で定義されるあらゆるペプチド変異体から作成し得ることも理解される。さらに、ペプチド多量体は、同一ではないペプチド単量体およびその開示された置換改変体の異なる組み合わせを含み得る。そのようなオリゴマーまたは多量体ペプチドを、化学的合成によって、または組換えDNA技術によって、本明細書中で議論されたように作成し得る。化学的に産生される場合、オリゴマーは、好ましくは単量体配列の2−8リピートを有する。組換え的に産生される場合、多量体は、発現システムが許す限り多くの反復、例えば2から約100反復を有し得る。
N−HBDペプチドまたはポリペプチドのタンデムの多量体、好ましくは2量体および3量体において、ペプチドユニットが「端と端を接して」よりも「並んで」いるように、鎖間ジスルフィド結合または他の鎖間「人工的」共有結合によって、鎖が結合している。
多量体はまた、1つを超えるPtrg、またはPtrgのものと同様の生物学的および薬理学的活性を有するその機能的誘導体の反復を含み得る。1つを超える型のPtrgを、単一の融合ポリペプチド中で組み合せ得る。これに関して、抗体(Ab)分子の抗原結合ドメインを、N−HBDおよび別のPtrgと融合させて、Ab:N−HBD:Ptrg融合産物を生じ得る。そのようなポリペプチドは、N−HBDによって媒介される送達およびPtrgによって提供される望ましい生物学的活性に、Abの選択性を加える。従って、例えば、Abは腫瘍細胞表面抗原に特異的であり得(癌治療で使用されるHer2/NeumAbの場合のように)、一旦融合構築物がN−HBDによってECMに濃縮されると、その環境中の腫瘍細胞に活性が集中し得る。Abドメインは、好ましくはAb Fabフラグメント、Fvフラグメント(Hochman,J.ら(1973)Biochemistry 12:1130−1135;Sharon,Jら(1976)Biochemistry 15:1591−1594)、「一本鎖抗体」(scFv;「scAb」とも呼ばれる)をコードする核酸の使用によって、DNAレベルで融合構築物に導入される。後者は、IgVドメインおよびIgVドメインが、scFvが、もとの抗体(これからVおよびVドメインを得る)が特異的であった抗原(またはエピトープ)に関する特異性および結合能力を保持するコンフォメーションを取ることを可能にする、短いペプチドリンカーによって人工的に結合された、一本鎖ポリペプチド分子である。例えば、Skerra,A.ら(1988)Science 240:1038−1041;Pluckthun,A.ら(1989)Methods Enzymol.178:497−515;Winter,G.ら(1991)Nature 349:293−299;Birdら(1988)Science 242:423;Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879;米国特許第4,704,692号、同第4,853,871号、同第4,946,778号、同第5,260,203号、同第5,455,030号を参照のこと。
「可溶性N−HBD」は、産生細胞から流される(shed)、分泌される、または他の方法で抽出され得る、N−HBDの細胞を含まない形態である。可溶性N−HBDは、好ましくは可溶性融合タンパク質を含み、ここでN−HBDは、Ptrgのような生物学的に活性な分子に遺伝的に融合または化学的に結合している。
N−HBD改変体の好ましいグループは、少なくとも1つのアミノ酸残基、および好ましくは1つのみが、異なる残基で置換されたものである。タンパク質化学および構造の詳細な説明に関しては、本明細書中に参考として援用される、Schulz,GEら、Principles of Protein Structure、Springer−Verlag、New York、1978およびCreighton,T.E.、Proteins: Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&Co.、San Francisco、1983を参照のこと。タンパク質分子内で行なわれ得る置換の型は、Schulzら(前出)の表1〜2およびCreighton(前出)の図3〜9で示されるような、異なる種の相同的タンパク質間のアミノ酸変化の頻度分析に基づき得る。そのような分析に基づいて、本明細書中において保存的置換は、以下の5つのグループの1つ内での交換として定義される:
Figure 0004314113
上記のカッコ内の3つのアミノ酸残基は、タンパク質の構造において特別の役割を有する。Glyは、側鎖を欠く唯一の残基であり、そして従って鎖に柔軟性を与える。Proは、その異常なジオメトリーのために、鎖をきつく束縛する。Cysは、タンパク質のフォールディングに重要なジスルフィド結合形成に関与し得る。
上記5グループ内ではなくその間のような、より保存的でない置換を選択することによって、生化学的、機能的(または免疫学的)な性質により本質的な変化を産生する。そのような変化は、(a)置換の領域におけるペプチドバックボーンの、例えばシートまたはヘリックスコンフォメーションとしての構造、(b)標的部位における分子の荷電または疎水性、または(c)側鎖の大きさの維持に対するその影響において、より有意に異なる。そのような置換の例は、(i)Glyおよび/またはProの別のアミノ酸による置換またはGlyまたはProの欠失または挿入;(ii)親水性残基、例えばSerまたはThrの、疎水性残基、例えばLeu、Ile、Phe、ValまたはAlaの(またはそれによる)置換;(iii)Cys残基の、あらゆる他の残基の(またはそれによる)置換;(iv)陽性側鎖を有する残基、例えばLys、Arg、またはHisの、陰性荷電を有する残基、例えばGluまたはAspの(またはそれによる)置換;または(v)大きな側鎖を有する残基、例えばPheの、そのような側鎖を有さない残基、例えばGlyの(またはそれによる)置換である。
本発明による最も好ましい欠失、挿入、および置換は、N−HBDタンパク質の特徴に過激な変化を引き起こさず、そのT細胞同時刺激活性を維持するものである。しかし、置換、欠失、または挿入の正確な影響を、行なう前に予測することが難しい場合、当業者は、過度の実験を必要とせず、本明細書中で記載されたもののような日常的なスクリーニングアッセイによって、その影響を評価し得ることを認識する。
より短い鎖の変異体を、化学的合成によって作製し得るのに対して、本発明に関して、好ましいより長い鎖の変異体を、典型的にはN−HBDポリペプチドをコードする核酸の部位特異的突然変異生成、細胞培養における変異体核酸の発現、および任意で、例えばカラムに固定化した特異的抗体を用いた(少なくとも1つのエピトープに対する結合によって変異体を吸着するために)、イムノアフィニティークロマトグラフィーによる細胞培養物からのポリペプチドの精製によって作製する。
(N−HBDの化学的誘導体)
N−HBDの「化学的誘導体」は、通常そのタンパク質の一部ではない、さらなる化学的分子を含む。ポリペプチドの共有結合的改変が、本発明の範囲内に含まれる。そのような誘導体化部分は、可溶性、吸収、生物学的半減期等を改善し得る。そのような効果を媒介し得る部分は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Mack Publishing Co.、Easton、PA(1980)に開示されている。
ポリペプチドの標的アミノ酸残基を、選択された側鎖または末端残基と反応し得る有機誘導体化剤と反応させることによって、そのような改変を分子に導入し得る。別の改変は、タンパク質の環状化である。
ポリペプチドの化学的誘導体の例を、下記で提供する。リシニル(lysinyl)およびアミノ末端残基を、コハク酸、または他のカルボン酸無水物で誘導体化する。環状カルボキシル無水物による誘導体化は、リシニル残基の荷電を逆転させる効果を有する。アミノ基を含む残基を誘導体化する、他の適当な試薬は、メチルピコリンイミデート(picolinimidate);リン酸ピリドキサル;ピリドキサル;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソウレア;2,4ペンタンジオン;およびグリオキシル酸によるトランスアミナーゼ触媒反応のような、イミドエステルを含む。
カルボキシル側鎖グループ、アスパルチルまたはグルタミルを、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホロニル−(4−エチル))カルボジイミド、または1−エチル−3−(4−アゾニア(azonia)−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドのような、カルボジイミド(R−N=C=N−R’)による反応によって選択的に改変し得る。さらに、アスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基を、アンモニアによる反応によって、アスパラギン残基およびグルタミン残基に変換し得る。
他の改変は、プロリンおよびリシンの水酸化、セリン残基またはスレオニン残基の水酸基のリン酸化、リシンのアミノ基のメチル化(Creighton、前出、79−86頁)、N−末端アミンのアセチル化、およびC−末端カルボキシル基のアミド化を含む。
1つまたはそれ以上のD−アミノ酸が、1つまたはそれ以上のL−アミノ酸を置換したペプチドもまた含まれる。
(ペプチド模倣物)
これに関して有用な化合物の別の種類は、N−HBDポリペプチドの活性を模倣する、低分子量ペプチド模倣物化合物である。そのようなペプチド模倣物の構造は、フリーのN−HBDまたはそのリガンド(例えばヘパラン硫酸)に結合するN−HBDいずれかの構造から得ることができる。
N−HBDのペプチド模倣物は、N−HBDペプチドの生物学的効果を模倣し、そしてN−HBDペプチドの立体化学的特徴を有し、そのペプチドの結合活性または生物学的活性を有するような、非天然ペプチドまたは非ペプチド薬剤であり得る。従って、本発明は、ペプチド模倣物化合物が、別のペプチドに結合した化合物を含む。
ペプチド模倣物薬剤は、N−HBDの結合エレメントの立体空間的な(stereospatial)性質を再現し、それがN−HBDの結合活性または生物学的活性を有するような、非天然ペプチドまたは非ペプチド薬剤であり得る。N−HBDに対応する直線状ペプチドと同様に、ペプチド模倣物は結合面(これはヘパラン硫酸と相互作用する)および非結合面を有する。再び、N−HBDの直線状ペプチドと同様に、ペプチド模倣物の非結合面は、ペプチド模倣物の結合面を改変することなく、様々な治療的分子によって改変し得る官能基を含む。ペプチド模倣物の好ましい実施形態は、分子の非結合面にアニリンを含む。アニリンのNH−基は、pKa約4.5を有し、そして従って、ペプチド模倣物の結合面のどのNH官能基も改変することなく、あらゆるNH選択的試薬によって改変され得る。他のペプチド模倣物は、その結合面にいかなるNH官能基も有さないかもしれず、そして従ってpKaに関わらず、あらゆるNHを、結合体化部位として非結合体化面に表示し得る。それに加えて、−SHおよび−COOHのような他の改変可能な官能基を、結合部位としてペプチド模倣物の非結合面に取り込まれ得る。治療的分子も、ペプチド模倣物の合成の間に直接取り込んで、そして優先的に分子の非結合面に表示し得る。
本発明はまた、部分的なペプチド特徴を維持する化合物を含む。例えば、分子の旧シはそのペプチド特徴を維持しながら、本発明のペプチド内のあらゆるタンパク質分解に不安定な結合を、等配電子体(N−メチル化;特定の部位におけるD−アミノ酸)のような非ペプチドエレメント、または還元ペプチド結合によって選択的に置換し得る。
アゴニスト、基質または阻害剤いずれかの、ペプチド模倣化合物が、オピオイドペプチド、VIP、トロンビン、HIVプロテアーゼ等のような、多くの生物活性ペプチドに関して記載された。ペプチド模倣化合物の設計および調製方法は、当該分野で公知である(Hruby,VJ、Biopolymers 33:1073−1082(1993);Wiley,R.A.ら、Med.Res.Rev.13:327−384(1993);Mooreら、Adv.in Pharmacol 33:91−141(1995);Giannisら、Adv.in Drug Res.29:1−78(1997)、その参考文献はその全体が参考として援用される)。これらの方法を使用して、少なくともN−HBDペプチドの結合能力および特異性を有する、そして好ましくは生物学的活性も有するペプチド模倣物を作製する。当業者に利用可能なペプチド化学および一般的な有機化学の知識が、本開示を考慮して、そのような化合物の設計および合成のために十分である。
例えば、そのようなペプチド模倣物を、フリーまたは複合体に結合したいずれかの、本発明のペプチドの結晶学的に得られた3次元構造の観察によって同定し得る。あるいは、そのリガンドに結合する本発明のペプチドの構造を、核磁気共鳴分光学を用いることによって得ることができる。ペプチドとそのリガンドの相互作用の立体化学的なよりよい知識が、そのようなペプチド模倣薬剤の合理的な設計に寄与する。
(改善した特異性および親和性を有するポリペプチドの操作)
ポリペプチド、融合ポリペプチド、多量体等の形態のいずれにせよ、標的HSPGまたは他の糖に対して増加した結合活性を有する(特異性、親和性または両方の増加として定義される)変異体または改変体HBD配列を、本明細書中で記載される方法および当該分野で公知の他の方法を用いて産生および試験し得る。従って、候補改変体または変異体HBDの、オリゴサッカライドアレイに対する結合特異性または親和性をスクリーニングして、そのHBDに結合する最適な糖構造を決定する。その情報を持って、HBDのペプチドライブラリーをスクリーニングし得るか、または指向性の方式で、HBDの選択された残基を変異し得、そしてこれらの変異体を、例えば組織アレイに対する結合に関してスクリーニングし得る。これは、特定の組織または細胞に発現される特定のサッカライド分子に対して結合すると特徴付けられるHBDモジュールを産生する。この方法において、特定の標的(例えば腫瘍)に対して改善した結合活性を有する改変体HBDを同定し得、そしてその特定の標的に関してはHBD含有融合ポリペプチドのような、よりよいアンタゴニストを操作するために使用し得る。組織アレイの調製および使用の方法は、Richter Jら、2000、Am J Pathol 157:787−794;Fernandez PLら、Virchows Arch 438:591−594;およびSimon Rら、2001、Cancer Res 61:4514−4519によって記載される。ヘパリン結合タンパク質の組織結合研究(Allen BLら、2001、J Cell Biol 155:845−858;Friedl Aら、2001、Methods Mol Biol 171:535−546;Rapraeger AC、2002、Meth Cell Biol 69:83−109のヘパリン結合タンパク質)を、上記の図に示す。従って、本発明は、最適な組織特異性を有するHBDを同定する、および選択された生物学的機能のアンタゴニストであり得る組織特異的標的化ベクターを作製する方法を含む。適当な組織培養システムまたは動物モデルにおける試験を、操作したHBDの標的化の効率、毒性および生物学的機能のために行なう。
(治療的組成物およびその投与)
N−HBD融合ポリペプチドまたはこのポリペプチドを発現する細胞を、哺乳動物被験体、好ましくはヒトに投与する。本明細書中で記載されたようなN−HBDの活性を有する組成物を、薬学的に受容可能なキャリア中で、生物学的に有効な、または治療的に有効な量で投与する。N−HBD融合ポリペプチド(またはそのポリペプチドを発現する細胞)を、単独で、または別のタンパク質、ペプチド、または他の薬剤と組み合せて与え得る。
本発明の薬学的組成物で採用され得るN−HBD融合ポリペプチドは、上記で記載されたそれらの化合物全て、およびこれら化合物の薬学的に受容可能な塩を含む。塩基性基を含む本発明の化合物の薬学的に受容可能な酸付加塩が、当該分野で公知の方法によって、適当な場合に強力なまたは中程度に強力な、非毒性、有機酸または無機酸で形成される。本発明に含まれる酸付加塩の例は、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩である。
酸性基を含む本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩基付加塩は、有機塩基および無機塩基から公知の方法によって調製され、そして例えば水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、カ水酸化リウムおよび水酸化アンモニウムのような非毒性アルカリ金属およびアルカリ土類塩基;およびトリエチルアミン、ブチルアミン、ピペラジン、およびトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミンのような非毒性有機塩基を含む。
本発明の組成物は、それ自体が活性であり得るか、またはインビボで活性な形態に変換される「プロドラッグ」として作用し得る。
本発明の範囲内の組成物は、N−HBD融合ポリペプチド、機能的誘導体等が、下記で定義されるように、その意図される目的を達成するために有効な量で含まれる、全ての組成物を含む。以下の用量および量はまた、被験体に投与される場合に、本発明の抗体にも適している。治療的に有効な量は、有効な時間与えられた場合、望ましい薬理学的または臨床的効果を達成する用量である。
N−HBD活性を有するポリペプチドの治療的に活性な量は、疾患の状態、個体の年齢、性別、および体重、およびそのポリペプチドのその個体において望ましい反応を誘発する能力のような因子によって変化し得る。用量レジメを、最適な治療反応を提供するために調整し得る。例えば、いくつかの分離した用量を毎日投与し得るか、または用量を治療的状況の緊急性によって示されるように比例して減少し得る。細胞に結合した形態での、タンパク質の治療的に有効な量は、タンパク質または細胞等価物に関して述べ得る。
従って、有効な量は、レシピエントの体重1kgあたり約1ngと約1gの間、より好ましくは約1μgと100mg/kgの間、より好ましくは約100μgと約100mg/kgの間である。内科的投与に適切な用量形態は、好ましくはユニットあたり約0.1mgから500mgの活性成分を含む(後者の用量範囲に関して)。活性成分は、組成物の全重量に基づいて、重量で0.5%から95%まで変化し得る。あるいは、形質導入細胞のような、N−HBDを発現する細胞の有効な用量は、好ましくは分割用量で、被験体あたり約10と10細胞との間、より好ましくは約10と10細胞との間である。関連する治療の当業者は、過度の実験なしにこれらの用量を調整し得る。
活性化合物(例えばN−HBD融合ポリペプチドまたはN−HBD DNAで形質導入した細胞)を、簡便な様式で、例えば注射または注入で、簡便および有効な経路で投与し得る。好ましい経路は、皮下経路、皮内経路、静脈内経路、および筋肉内経路を含む。他の可能な経路は、経口投与、脳室内、クモ膜下腔内、吸入、経皮適用、または直腸投与を含む。完全に切除されなかった腫瘍の治療のために、直接腫瘍内注入もまた意図される。
投与経路に依存して、活性化合物を不活性化し得る酵素、酸、および他の自然条件の作用から化合物を保護する物質で活性化合物をコートし得る。従って、経腸経路によってN−HBD活性を有するポリペプチドまたはペプチドを投与するために、その不活性化を防ぐ物質で組成物をコートする、または組成物と同時投与する必要があり得る。例えば、ペプチドを個体に、適切なキャリア、希釈剤またはアジュバント中で投与し得、酵素阻害剤(例えば膵トリプシン阻害剤、フルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)およびトラジロール)と同時投与し得、またはリポソーム(水中油中水型エマルションおよび伝統的なリポソームを含む(Strejanら(1984)J.Neuroimmunol 7:27))のような適切なキャリア中で投与し得る。
本明細書中で使用される「薬学的に受容可能なキャリア」としては、あらゆるおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に活性な物質のための、そのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。あらゆる伝統的な媒体または薬剤が活性化合物と不適合である限り以外は、治療的組成物におけるそれらの使用が企図される。補足の活性化合物もまた、組成物に取り込まれ得る。
好ましい薬学的に受容可能な希釈剤としては、生理的食塩水および水性緩衝溶液が挙げられる。注射に対して適切な薬学的組成物は、滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散剤および滅菌注射溶液または分散剤の即時調製のための滅菌粉末を含む。等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのような多価アルコール、塩化ナトリウムを、薬学的組成物に含み得る。全ての場合において、組成物は滅菌および流動性である。それは製造および保存の条件下で安定であり、そして細菌および真菌のような微生物の混入を防ぐために保存剤を含まなければならない。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物中で、および油中で、分散剤もまた調製し得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐ保存剤を含み得る。
キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。例えばレシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適当な流動性を維持し得る。
微生物の作用の予防を、様々な抗菌および抗真菌剤(例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等)によって達成し得る。
注射組成物の延長した吸収を、吸収を遅らせる薬剤(例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含むことによって達成し得る。
非経口組成物は、好ましくは投与の容易さおよび用量の均一性のために、投薬量単位形態に処方される。投薬量単位形態は、哺乳動物被験体のための単位投薬量として適当な、物理的に分離したユニットを指す;各ユニットは、必要な薬学的キャリアと結合して望ましい治療効果を産生するよう計算された、予め決定した量の活性化合物を含む。本発明の投薬量単位形態の詳細は、(a)活性化合物の独特な特徴および達成される特定の治療効果、および(b)個体における感受性の治療のために、そのような活性化合物を混合する分野に内在する制限によって指向され、そして直接依存する。
肺滴下のために、エアロゾル化溶液を使用する。スプレー可能なエアロゾル調製物において、活性タンパク質を、固体または液体不活性キャリア物質と組み合せ得る。これをまた、スクイーズボトル(squeeze bottle)に、または加圧した揮発性物質、通常ガス性噴霧剤との混合物中で、パッケージングし得る。エアロゾル調製物は、本発明のタンパク質に加えて、溶媒、緩衝液、界面活性剤、および抗酸化剤を含み得る。
局所適用のために、本発明のタンパク質を、皮膚への沈静効果および活性成分を影響された領域へ直接投与する手段の両方を有する、膏薬または軟膏のような、局所に適用されるビヒクルに取り込まれ得る。
活性成分のキャリアは、スプレー可能なまたはスプレー可能でない形態であり得る。スプレー可能でない形態は、局所適用に固有のキャリアを含む、そして好ましくは水のものより大きな動的な粘性を有する、半固体形態または固体形態であり得る。適当な処方は、溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、軟膏、粉末、リニメント剤、膏薬等が挙げられるがこれに限らない。望ましいなら、これらを滅菌し得るか、またはアジュバント(例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、緩衝液、または浸透圧に影響を与える塩等)と混合し得る。スプレー可能でない局所調製物に好ましいビヒクルの例としては、軟膏基材(例えばポリエチレングリコール−1000(PEG−1000);HEBクリームのような伝統的なクリーム;ゲル;およびワセリン等)が挙げられる。
本発明によるN−HBD融合ポリペプチドの、他の薬学的に受容可能なキャリアは、リポソーム、活性タンパク質が脂質層に付着する水性同心層からなる微粒子に、分散される、または様々に存在するかの、いずれかで含まれる薬学的組成物である。活性タンパク質は、好ましくは水性層および脂質層、内側または外側、またはとにかくリポソーム懸濁液として一般的に知られる非均一性のシステムに存在する。疎水性層、または脂質層は、一般的に、レシチンおよびスフィンゴミエリンのようなリン脂質、コレステロールのようなステロイド、ジアセチルホスフェート(dicetylphosphate)、ステアリルアミン、またはホスファチジン酸のような多少イオン性の界面活性物質、および/または疎水性性質の他の物質を含むが、独占的にそうではない。
(N−HBD融合ポリペプチドをコードするDNAの伝達)
例えば一般的に「遺伝子治療」として知られるものを実施するために動物に対する、またはエキソビボで細胞に対するDNA伝達は、細胞への、そして最終的には生きた動物への、「外来性」DNAの導入を含む。本明細書中で使用される「遺伝子治療」という用語は、インビボにおいて欠損遺伝子の補正または置換に制限することを意図せず、むしろ本発明のDNA分子(「遺伝子」である必要はない)の、発現およびそれによって記載されたような有用性を可能にする方式での伝達である。遺伝子治療のいくつかの一般的なストラテジーが研究され、そして広範囲に概説された(Yang,N−S、Crit.Rev.Biotechnol.12:335−356(1992);Anderson,W.F.、Science 256:808−813(1992);Miller,AS、Nature 357:455−460(1992);Crystal,RG、Amer.J.Med.92(suppl 6A):44S−52S(1992);Zwiebel,JAら、Ann.N.Y.Acad.Sci.618:394−404(1991);McLachlin,JRら、Prog.Nucl.Acid Res.Molec.Biol.38:91−135(1990);Kohn,DBら、Cancer Invest.7:179−192(1989)、これらの参考文献は、本明細書中でそのが参考として援用される)。1つのアプローチは、培養中の一次細胞への核酸転移、続いて全身性または特定の臓器または組織に対するいずれかの、エキソビボで形質転換した細胞の宿主への自己移植を含む。
本発明の目的を達成するために、機能的に活性なDNAを、哺乳動物の身体組織または臓器にインビボで直接転移させることによって、核酸治療を達成する。DNA転移を、下記で記載する多くのアプローチを用いて達成し得る。これらのシステムを、選択可能なマーカー(例えばG418抵抗性)の使用によって、インビトロで成功した発現に関して試験し、そのDNAを発現するトランスフェクトされたクローンを選択し得、続いて適切なイムノアッセイにおいてその産物に対する抗体を用いて、N−HBD発現産物の存在を検出する(誘導性システムの場合には誘導剤による処理後)。DNAの取り込み、プラスミドの組み込み、および組み込まれたプラスミドの安定性を含む、手順の効率を、公知の方法を用いてプラスミドDNAを直線状にすること、および「キャリア」として高分子量哺乳動物DNAを用いたコトランスフェクションによって改善し得る。
当該分野で報告された、成功した「遺伝子転移」の例は、以下のものを含む:(a)マウス筋組織に対するプラスミドDNAの直接注入、それは無期限のマーカー遺伝子の発現を引き起こした(Wolff,JAら、Science 247:1465(1990);Acsadi,Gら、The New Biologist 3:71(1991));(b)レトロウイルスベクターが、血管組織のインビボおよびインサイチュ感染に有効である;(c)肝臓に対するレトロウイルス調製物の門脈注射および直接注射が、インビボで遺伝子転移および発現を実施した(Horzaglou,M.ら、J.Biol.Chem.265:17285(1990);Koleko,M.ら、Human Gene Therapy 2:27(1991);Ferry,N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8387(1991));(d)肺組織に対する組換えアデノウイルスの気管内注入が、インビボ転移および肺呼吸上皮における外来性遺伝子の延長した発現に有効であった(Rosenfeld,MAら、Science 252:431(1991);(e)ヘルペス単純ウイルスベクターが、脳組織に対するインビボ遺伝子転移を達成した(Ahmad,F.ら編、Miami Short Reports−Advances in Gene Technology; The Molecular Biology of Human Genetic Disease、第1巻、Boehringer Mannheim Biochemicals、USA、1991)。
レトロウイルス媒介ヒト治療は、広宿主性の複製欠損レトロウイルスシステムを利用する(Temin,HM、Human Gene Therapy 1:111(1990);Teminら、米国特許第4,980,289号;Teminら、米国特許第4,650,764号;Teminら、米国特許第5,124,263号;Wills,JW、米国特許第5,175,099号;Miller,AD、米国特許第4,861,719号)。機能的DNAをヒト細胞または組織へ(例えばアデノシンデアミナーゼ遺伝子をリンパ球へ、NPT−II遺伝子および腫瘍壊死因子の遺伝子を腫瘍浸透リンパ球へ)導入するために、そのようなベクターが使用された。レトロウイルス媒介遺伝子伝達は、一般的に、遺伝子転移のために標的細胞の増殖を必要とする(Miller,DGら、Mol.Cell.Biol.10:4239(1990))。この条件は、本発明DNA分子が導入される特定の好ましい標的細胞、すなわち活発に増殖している腫瘍細胞によって満たされる。多くの方法のいずれかを使用するプラスミドによる、またはレトロウイルスベクターによるトランスフェクションを用いたのう胞性線維症の遺伝子治療が、Collinsら、米国特許第5,240,846号によって記載された。
N−HBD配列をコードするDNA分子を、当該分野で周知なように、複製欠損レトロウイルスを産生する、パッケージング細胞系統を用いてレトロウイルスベクターにパッケージングし得る(例えば、Cone,R.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6349−6353(1984);Mann,RFら、Cell 33:153−159(1983);Miller,ADら、Molec.Cell.Biol.5:431−437(1985);Sorge,J.ら、Molec.Cell.Biol.4:1730−1737(1984);Hock,RAら、Nature 320:257(1986);Miller,ADら、Molec.Cell.Biol.6:2895−2902(1986)を参照のこと¥)。遺伝子転移に有効および安全である、より新しいパッケージング細胞系統もまた記載された(Bankら、米国特許第5,278,056号)。
このアプローチを部位特異的な方式で利用して、レトロウイルスベクターを選択した組織または臓器に伝達し得る。従って、例えばカテーテル伝達システムを使用し得る(Nabel,EGら、Science 244:1342(1989))。レトロウイルスベクターまたはリポソームベクターのいずれかを使用するそのような方法は、発現される核酸を血管壁へ、または腫瘍の血液循環中に伝達するのに特に有用である。
組換えアデノウイルス(Horowitz,M.S.、Virology、Fields,BNら編、Raven Press、New York、1990、1679頁;Berkner,KL、Biotechniques 6:616−919(1988);Strauss,SE、The Adenoviruses、Ginsberg,HS編、Plenum Press、New York、1984、第11章)、ニューロン特異的伝達および残存のための、ヘルペス単純ウイルス(HSV)を含む、他のウイルスベクターもまた使用し得る。ヒト遺伝子治療のためのアデノウイルスベクターの利点は、組換えが稀であり、そのようなウイルスに関連するヒト悪性腫瘍が未知であり、アデノウイルスゲノムは大きさが7.5kbまでの外来性遺伝子を受け入れるよう操作し得る二本鎖DNAであり、そして生きたアデノウイルスは安全なヒトワクチン微生物であるという事実を含む。アデノ随伴ウイルスも、本発明によるヒト治療に有用である(Samulski,RJら、EMBO J.10:3941(1991))。
本発明のDNA分子を発現し得、そして特にヒトにおける本治療的設定で有用な、別のベクターは、非複製にし得るワクシニアウイルスである(米国特許第5,225,336号;同第5,204,243号;同第5,155,020号;同第4,769,330号;Sutter,G.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10847−10851;Fuerst,TRら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:2549−2553;Falkner,FGら、Nucl.Acids Res.(1987)15:7192;Chakrabarti,Sら、Molec.Cell.Biol.(1985)5:3403−3409)。組換えワクシニアウイルスおよび異種のDNAを含む他のウイルス、および免疫化およびDNA治療におけるそれらの使用の記載は、以下で概説される:Moss,B、Curr.Opin.Genet.Dev.(1993)3:86−90;Moss,B.、Biotechnology(1992)20:345−362;Moss,B.、Curr.Top Microbiol Immunol(1992)158:25−38;Moss,B.、Science(1991)252:1662−1667;Piccini,Aら、Adv.Virus Res.(1988)34:43−64;Moss,B.ら、Gene Amplif Anal(1983)3:201−213。
裸のDNAまたはRNA、またはウイルスベクターに加えて、遺伝子操作した細菌をベクターとして使用し得る。Salmonella、BCGおよびListeria monocytogenes(LM)を含む多くの細菌系統(Hoisethら、Nature 291、238−239(1981);Poirier,TPら、J.Exp.Med.168、25−32(1988);Sadoff,JCら、Science 240、336−338(1988);Stover,CKら、Nature 351、456−460(1991);Aldovini,A.ら、Nature 351、479−482(1991);Schafer,R.ら、J.Immumol.149、53−59(1992);Ikonomidis,G.ら、J.Exp.Med.180、2209−2218(1994))。これらの微生物は、ワクチンベクターとして使用するために2つの有望な特徴を示す:(1)経口ワクチン伝達の可能性を提供する、腸の感染経路;および(2)単球/マクロファージの感染、それによって抗原を専門の(professional)APCに標的化する。
インビボのウイルス媒介遺伝子転移に加えて、プラスミドDNAの投与(Wolffら、1990、前出)および微粒子銃媒介遺伝子転移(Yang,N−S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9568(1990);Williams,RSら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2726(1991);Zelenin,AVら、FEBS Lett.280:94(1991);Zelenin,AVら、FEBS Lett.244:65(1989);Johnston,SAら、In Vitro Cell.Dev.Biol.27:11(1991))を含む、当該分野で周知の物理的手段を、DNAの直接転移に使用し得る。さらに、インビトロで遺伝子を細胞へ転移させる周知の手段である、エレクトロポレーションを使用して、本発明によるDNA分子をインビボで組織に転移し得る(Titomirov,AVら、Biochim.Biophys.Acta 1088:131(1991))。
「キャリア媒介」遺伝子転移(またはDNA伝達)も記載された(Wu,CHら、J.Biol.Chem.264:16985(1989);Wu,GYら、J.Biol.Chem.263:14621(1988);Soriano,Pら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:7128(1983);Wang,C−Yら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851(1982);Wilson,JMら、J.Biol.Chem.267:963(1992))。好ましいキャリアは、アシル化mAbを脂質二重層に含み得るイムノリポソーム(Wangら、前出)のような標的化されたリポソーム(Nicolau,C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1068(1983);Sorianoら、前出)である。アシアログリコプロテイン/ポリリシン(Wuら、1989、前出)のようなポリカチオンを使用し得、ここで結合体は標的組織を認識する分子(例えば肝臓に関してはアシアロオロソムコイド)およびトランスフェクトされるDNAに結合するDNA結合化合物を含む。ポリリシンは、DNAを損傷することなくそれに結合するDNA結合分子の例である。次いでこの結合体を、転移のために本発明によるプラスミドDNAと複合体化する。
トランスフェクションまたはマイクロインジェクションのために使用するプラスミドDNAを、当該分野で周知の方法を用いて、例えばQuiagen処置(Quiagen)、続いて本明細書中で例示される方法のような公知の方法を用いたDNA精製によって、調製し得る。
再び、上記で記載されたように、本発明による形質導入されたN−HBD分子の有用性は、安定な発現を必要としない。むしろ、ポリペプチドの一過性の発現が、形質導入細胞がその産生または伝達機能を実施するために十分であり得る。
(他の治療的組成物)
別の実施形態において、本発明のN−HBDポリペプチドまたは融合ポリペプチド化合物を、「治療的に結合体化させ」、そして治療薬を、化合物が目指しそして結合する部位、すなわち腫瘍部位、腫瘍転移、または感染/炎症の中心のような、ヘパラン硫酸が豊富な組織または領域へ伝達するために使用する。「治療的に結合体化した」という用語は、修飾N−HBDポリペプチドが、根底にある原因、または腫瘍の侵入、血管新生または炎症の「成分」のいずれかに向けられる別の治療薬と結合体化していることを意味する。
本明細書中で有用な治療的放射性同位体の例は、125I、131I、90Y、67Cu、217Bi、211At、212Pb、47Sc、および109Pdを含む。これらの原子を、N−HBDポリペプチド化合物に直接的に、キレートの一部として間接的に、またはヨウ素の場合はヨウ素化ボルトン−ハンターグループの一部として間接的に結合し得る。放射性ヨウ素を、このグループをポリペプチドに結合させる前または後のいずれかに導入し得る。
放射性核種結合体の好ましい用量は、標的部位に伝達される特定の放射活性の関数であり、それは、腫瘍の場合、腫瘍の型、腫瘍の位置および血管新生、N−HBDポリペプチドキャリアの動態および体内分布、その核種による放射活性放出のエネルギー等によって変化する。放射線療法の当業者は、過度の実験なしに、望ましい治療的有用性を実施するために、特定の核種の用量と共にポリペプチドの用量を容易に調整し得る。例えば、131I−N−HBDポリペプチドの有効な用量は、頭蓋外の腫瘍に関して、腫瘍1グラムあたり約1〜1000μCiの間である。
本明細書中に含まれる別の治療的アプローチは、ホウ素中性子捕獲治療の使用であり、ここでホウ素化ポリペプチドを、腫瘍、最も好ましくは頭蓋内の腫瘍のような、望ましい標的部位へ伝達する(Barth,RF、Cancer Invest.14:534−550(1996);Mishima,Y.(編)、Cancer Neutron Capture Therapy、New York:Plenum Publishing Corp.、1996;Soloway,AHら(編)、J.Neuro−Oncol.33:1−188(1997))。安定な同位体10Bを、低エネルギー(<0.025eV)の熱中性子で照射し、そして起こる中性子捕獲は、高い一次エネルギー転移およびそれぞれ約9および5μmの路程(path lengths)を有する、α粒子およびLi原子核を生ずる。この方法は、血液、内皮細胞および正常組織(例えば脳)における低レベルである、腫瘍における10Bの蓄積に基づく。そのような伝達を、上皮増殖因子を用いて達成した(Yang,W.ら、Cancer Res 57:4333−4339(1997))。
本発明の方法によるN−HBDポリペプチドと結合し得る他の治療的薬剤は、薬剤、プロドラッグ、プロドラッグを活性化する酵素、光感作薬剤、遺伝子治療薬、アンチセンスベクター、ウイルスベクター、レクチンおよび他の毒素である。
本発明の組成物は、神経系、筋肉組織、および上皮に影響する広い範囲の疾患および異常を治療するのに有用である。それに加えて、これらの組成物を癌の治療において使用し得る。本明細書中で使用される「治療」は、存在する疾患または状態の治療、および疾患または状態の検出または発現より前の予防的投与を含む。
よって、本発明は、様々な疾患または異常のいずれかを治療するのに有用なN−HBD融合ポリペプチドを含む薬学的組成物を提供する。1つの実施形態において、薬学的N−HBD融合ポリペプチド組成物を、哺乳動物を治療するために採用する。特に、その組成物はヒト、農場の動物(例えばウシおよびヒツジ)、動物園の動物、スポーツにおいて使用される動物(例えばウマ)、およびペット(例えばイヌおよびネコ)を治療するのに有用である。好ましい実施形態において、その組成物は、ヒトを治療するために使用される。
本発明によるN−HBD融合ポリペプチドは、インビボでニューロンの発達、維持、および/または再生を促進するのに有用であり得る。
NRGまたはそのアンタゴニストの影響の知見に基づいて、2つの種類の疾患または異常が、特に本発明の方法に影響されやすい。広く記載すると、これらは癌および神経系の疾患を含む。その化合物は、腫瘍細胞の侵入および転移を阻害するのに有用である。神経系疾患は、好ましくは神経変性性疾患(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS))、脳卒中、てんかん、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ハンティングトン舞踏病、ダウン症候群、感音難聴、およびメニエール病である。糖尿病におけるような末梢性ニューロパシー、脳または脊髄への外傷的損傷後の修復も含まれる。
本組成物を使用して、最も多くの場合に運動、感覚、感覚運動、または自律神経の機能不全の1つまたは組み合わせとして明らかになる、末梢神経系に影響を与える異常である、末梢性ニューロパシーを含むニューロパシーを治療する。例としては、減少した胃腸運動性または尿膀胱の無緊張のような、遠位感覚運動ニューロパシーおよび自律神経ニューロパシーが挙げられる。本組成物による治療に敏感に反応する末梢性ニューロパシーは、(a)遺伝性、(b)全身性疾患の結果、または(c)毒性薬剤によって誘導されるものであり得る。遺伝性ニューロパシーの例は、シャルコー−マリー−ツース病、レフサム病、無βリポタンパク血症、タンジアー病、クラッベ病、異染性白質萎縮症、ファブリー病、およびデジュリーヌ−Sottas症候群である。全身性疾患から生ずるニューロパシーの例は、ポリオ後(post−polio)症候群を含む。毒性ニューロパシーは、化学療法、例えば癌化学療法の副作用であるものを含む。
チロシンキナーゼレセプターアンタゴニストとして作用する本融合ポリペプチドの適用は広く、そして異常なまたは望ましくない血管新生または細胞遊走または侵入に関連する状態を含む。これらの制限しないリストは、原発性および転移固形腫瘍、良性の過形成、動脈硬化症、心筋血管新生、バルーン血管形成術後の血管再狭窄、血管外傷後の新生内膜形成、血管移植再狭窄、冠副側枝形成、深部静脈血栓症、虚血性四肢新脈管形成、毛細血管拡張症、化膿性肉芽種、角膜疾患、ルベオーシス、血管新生緑内障、糖尿病または他の網膜症、水晶体後線維増殖症、糖尿病性新生血管形成、黄斑変性症、子宮内膜症、関節炎、慢性炎症性状態に関連する線維症(乾癬および強皮症を含む)、肺線維症、化学療法誘発線維症、瘢痕および線維症を伴う創傷治癒、消化性潰瘍、骨折、ケロイド、および脈管形成、造血、排卵、月経、妊娠および胎盤形成の異常、または血管新生が病原性または望ましくない、あらゆる他の疾患または状況を含む。
NRGの活性なEGF様ドメイン(アゴニストとして)およびerbBレセプターの細胞外ドメイン(アンタゴニストとして)に加えて、他の活性な増殖因子および分化因子およびそのそれぞれのレセプターも、本融合ポリペプチドのPtrg成分であり得、そして従ってアゴニスト(Ptrgとして増殖/分化因子ドメイン)またはアンタゴニスト(PtrgとしてレセプターECD)として細胞表面に標的化され得る。これは、制限無しに、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ニューロトロフィン(例えば、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、神経成長因子(NGF)、NT4等)、VEGF、HB−EGF、およびトランスフォーミング増殖因子αおよびβ(TGFαおよびTGFβ)、ネトリン、エフリン(ephrin)を含むがこれに限らないサイトカインを含む。
特定の神経学的疾患において使用するために選択された神経成長因子(NGF)の非限定の例は、以下のとおりである。ALSにおいて、好ましいPtrgはBDNFまたはNT4であり、それはHSPGリッチな細胞表面へ伝達されて神経保護を提供する。アルツハイマー病において、好ましいPtrgは、ニューロン、例えば中枢コリン作動性ニューロンの生存または増殖を刺激する任意の神経栄養因子である。パーキンソン病に関しては、好ましいPtrgは、黒質線条体ドパミン作動性ニューロン(または同じ部位へ移植された他のドパミン作動性細胞)の生存または増殖を促進する任意の神経栄養因子である。重症筋無力症において、好ましいPtrgは、ニューレグリンまたはコリン作動性神経筋接合部に伝達される、シナプス後AChRの他の刺激剤である。糖尿病性ニューロパシーに関しては、好ましいPtrgは、網膜または腎臓のような、任意の適当な標的臓器に伝達されるNGFである。
ここで本発明を一般的に記載したので、説明のために提供され、そして明記されなければ本発明を制限することを意図しない、以下の実施例を参照することによって、本発明がより容易に理解される。
(実施例1)
(実験手順)
(試薬)
組換えヒトNRGポリペプチドは、AMGEN(Thousand Oaks、CA)によって提供された。アミノ酸177−246に対応する単離EGF様ドメイン、およびアミノ酸14−246に対応するIG−EGFドメインは、どちらもE.coliにおいて発現したヒトβ1形態であり(図1)、そして以前に使用された(Loebら、1995、前出)。ヘパリン(ブタ腸粘膜、約13,000Mr)およびウシ血清アルブミン(BSA、画分V)を、Sigma Chemical Co.(St.Louis、MO)から購入した。ヘパリチナーゼおよびコンドロイチナーゼABCを、Seikagaku Corp.(Japan)から購入した。チロシンキナーゼ阻害剤チロホスチンAG−1478を、CalBiochem(La Jolla、CA)から購入した。全ての他の組織培養試薬を、Invitrogen−Life Technologies(Carlsbad、CA)から購入した。
(ヒヨコ筋管培養)
胚11日目の胸筋由来のヒヨコ胚管培養物を、以前に記載されたように(18)、ラット尾由来の50μg/mlのI型コラーゲン(Collaborative Biomedical Products)上で培養した。2%のCEE培地を、MEM中2%のヒヨコ筋抽出物(CEE)、10%のウマ血清、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、1%のグルタミンおよび1%のピルビン酸から作成した。細胞を、300μlの培地中、48ウェル組織培養プレートあたり60,000細胞で、および35mmの組織培養皿に2mlの培地中、3×10細胞/プレートでプレートし、5%のCOインキュベーターに保持した。新しい2%のCEE培地を、プレート後4日目に交換し、そしてプレート後7日目に実験を行なった。
(p185レセプターリン酸化に関するウェスタンブロット)
他の試薬ありおよびなしで、NRGの各形態を、37℃で45分間、7日目のヒヨコ筋管に適用した。次いで培地を廃棄し、そして記載されたように細胞をSDS試料緩衝液中で可溶化し、そして5分間沸騰させた(Corfasら、前出)。erbBレセプターのリン酸化形態(p185)を、まず超過(overrun)5%還元SDS−ポリアクリルアミドゲルで分離した後、リン酸化チロシンモノクローナル抗体(「mAb」)PY20(Transduction laboratories)を用いたウェスタンブロット分析によって検出した。次いでフィルターを、ペルオキシダーゼ(Boehringer Mannheim Corp.)に結合したヤギ抗マウスIgGでプローブ化し、そして化学発光試薬(Dupont−NEN)で処理した後に、X−ブルーフィルム(Kodak)に感光させた(図4)。
125I−NRGの競合的結合アッセイ)
125I−IG−EGF NRGを、クロラミン−T法を用いて調製し、9,000Ci/nmolの比活性を生じた(Hunter,WMら(1964)Biochem J 91、43−56)。ヒヨコ筋管培養を、ヘパリチナーゼ(0.04U/ml、内因性のヘパラン硫酸を除去するために)、またはコンドロイチナーゼ(0.04U/ml、コンドロイチン硫酸を除去するために)のいずれかで、37℃で90分前処理した。125I−IG−EGF、0.1nMを、1μMのコールドリガンド(IG−EGF)または500μg/mlの可溶性ヘパリンなしまたはありで、氷上で2時間、4つの前もって冷却した筋管培養に適用した。0.1%のBSAを含むコールドMEMで3回洗浄した後、結合した全cpmを、ガンマカウンター(Packard Instruments)で測定し、そして100μlの1N NaOH、0.5mg/mlのデオキシコール酸で、室温で10分間可溶化した後、結合した全cpmを測定した。
(AChR挿入率およびノーザンブロット分析)
筋管膜において新規に挿入されたAChRタンパク質の測定は、以前に記載されたように(Falls,DLら(1993)Cell 72、801−815)、コールドα−ブンガロトキシンでAChR結合部位を阻害し、新規に合成されたAChRが原形質膜に現れることを可能にし、そして次いでこれらの新規AChRを[125I]α−ブンガロトキシン(Amersham)で測定することによって達成した。以前に記載されたように(Loeb,JAら(1997)J Neurosci 17、1416−1424)、Ultraspec(Biotecx labolatories,Inc.、Houston、TX)を用いて、35mmプレートまたは48ウェルプレートからプールしたウェルのいずれかから抽出したRNAに対して、ノーザンブロットを行なった。ベクターpBluescript中のAChRαサブユニットエキソン7および側面の配列は、SUNYのDr.Jakob Schmidtによって提供され、そして32P標識プローブを、Prime It IIキット(Stratagene、La Jolla、CA)を用いたランダムプライミングによって、この399bpのフラグメントから調製した。正規化の目的のために、膜を32P標識GAPDHプローブで再プローブした。
(定量的分析)
ホスホイメージャー(Molecular Dynamics)を用いて、またはPower Look(UMAX)平台スキャナーで透明アダプターを用いて走査した後、非飽和画像に対するX線フィルムの画像分析、そして次いでMetamorph Imaging システムバージョン4.0(Universal Imaging Corporation)で分析することによって、定量化を行なった。相対的mRNAレベルを、GADPHレベルに対して正規化した。
(実施例II)
(ニューレグリンHBDは、HSPG相互作用を通してEGF様ドメインの有効性を増加させる)
NRGのN−HBDのerbBレセプターリン酸化に対する寄与を評価するために、本発明者らは、一次ヒヨコ筋管培養において、N−HBDあり(IG−EGF)およびなし(EGF)の組換えNRG形態の有効性を比較した。本発明者らが以前に使用した、生物学的に活性な、組換えNRGI型β1アイソフォームが存在する(Loebら、1995、前出)(図1を参照のこと)。IG−EGF構築物において、N−HBDの他にいくつかさらなる配列が存在するが、ヘパリン結合部分は、N−HBDに局在化された(Meierら、前出)。NRGによる処理後、erbBレセプター複合体は、リン酸化チロシンウェスタンブロットにおいて、erbB2、erbB3、およびerbB4のリン酸化形態を含む、「p185」と呼ばれる約185kDaにおける拡散したバンドとして現れた。同じモル量を採用すると、IG−EGF形態は、45分のアッセイの間で、EGF形態単独よりも4倍強力であった(図2A、2B)。
本発明者は、IG−EGF形態の有効性のこの増加は、筋管表面におけるHSPG相互作用によるものであるという可能性を調査した。HSPG対erbBレセプターに結合するNRGの割合を、ヘパリチナーゼによって内因性HSPGを選択的に除去することによって比較した。125I−NRG(IG−EGF)の競合的結合アッセイは、NRGは、erbBレセプターおよび内因性HSPGの両方の間に、ほとんど均等に分布することを示した(図3A)。コールドIG−EGF NRGによる阻害によって評価される、特異的な結合は、全結合の約25%であった。同様に、内因性ヘパラン硫酸の除去は、全結合を25%抑制したが、erbBレセプターへの特異的結合は抑制しなかった。可溶性ヘパリンは、ヘパリチナーゼおよびコールドNRGの組み合せと同様、全結合を50%阻害した。これは、同様の割合の125I−NRGが、そのレセプターおよび内因性HSPGと結合することを示唆した。コンドロイチン硫酸を選択的に分解する酵素(コンドロイチナーゼ)による前処理は、erbBレセプターまたはHSPGのいずれに対する結合にも影響を与えず、NRGの内因性HSPGとの相互作用の特異性を示した。
次の研究は、レセプターリン酸化に対するIG−EGF形態の有効性のこの増加が、直接内因性HSPGとの相互作用によるものかどうかを試験した(図3B)。ヘパリチナーゼによる処理は、EGF様ドメイン誘発レセプターリン酸化に影響を与えなかったが、IG−EGF形態によって誘発されたerbBリン酸化を、EGF様ドメイン単独と同じレベルまで抑制した。この結果は、NRGのN−HBDおよび内因性HSPGの間の相互作用が、増加した有効性に直接責任があることを示唆した。この実験はまた、2つの組換えリガンドは、それらの活性はHSPGの非存在下で同じであるので、正しくフォールディングされたことを示唆した。
(実施例III)
(可溶性ヘパリンは、NRG誘導レセプターリン酸化およびAChRタンパク質の誘導に対して異なる影響を有する)
可溶性ヘパリンを加えることは、ヘパリン結合増殖因子を刺激および阻害どちらもする。図3Aは、高濃度の可溶性ヘパリンは、NRGのそのレセプターに結合する能力を有効に阻害したことを示す。NRGのerbBレセプターリン酸化を刺激する能力の調節、および培養筋管におけるAChRの合成の両方における、可溶性ヘパリンの影響を調査するために研究が実施された。ヘパリンは、EGF様ドメインによって誘導されたレセプターリン酸化に影響を与えなかったが、5μg/mlと少量のヘパリンが、N−HBDを含むNRG形態によるレセプターリン酸化(p185)をほとんど完全に阻害した。
ヘパリンは、1.0μg/mlより上の全ての濃度でレセプターリン酸化を阻害したが、AChRの誘導は、ヘパリンに二相性の方式で反応した。高濃度では、ヘパリンは阻害性であり、一方10μg/mlまでの低濃度では、筋膜へ新規に挿入されたAChRタンパク質の出現率を刺激した(図4B)。これら2つのアッセイの、相対的なタイムコースを考慮すれば、その結果は、低濃度のヘパリンの刺激効果は、このアッセイのより長いコースの結果として起こったことを示唆した。
(実施例IV)
(ニューレグリンHBDは、erbBレセプターリン酸化を維持することによって、AChR mRNAおよびタンパク質発現を増強する)
ここまで、これらの結果は、N−HBDはHSPG相互作用によってNRGを細胞表面にそって濃縮すること、およびこの濃縮が、レセプター結合およびリン酸化に関する増加したNRG有効性の原因であり得ることを示唆した。
この相互作用の別の可能性のある機能は、シグナル伝達の維持を提供することである。次の実験は、AChR mRNAおよびタンパク質発現を誘導するために必要なNRG曝露時間を調査した。同じ濃度のNRG(EGF vs.IG−EGF)によって、15分から24時間の異なる間隔で、筋管を処理し、続いてNRGを「洗浄除去」した後に、AChRの誘導を測定した。次いでAChR mRNAレベル(図5A、5B)および新規表面タンパク質(図5C)を開始から24時間後に測定した。AChRαサブユニットを、ノーザンブロット分析によって測定し、そしてデータを正規化するためにハウスキーピング遺伝子GAPDHと比較した。αサブユニットは、以前にヒヨコ筋管でNRGによる最も大きな誘導を有することが示されたので、このサブユニットが選択された(Altiokら、前出:Harris,D.A.ら(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85、1983−1987)。IG−EGFドメインによるAChR mRNA発現の最大の活性化は、15分の処理で達成されるが、EGF様ドメインが有意なAChR mRNA発現を誘導するのに24時間が必要であった。同様に、細胞表面における新規AChRタンパク質の挿入を促進するのに、8時間以上の有意な遅延が、EGF様ドメインがIG−EGF形態と同様の反応を喚起するのに必要であった(図5C)。前の結果より、IG様ドメインは内因性HSPGに結合し、その結果、このアッセイにおいてIG−EGF形態は実際「洗浄除去」されず、erbBレセプターを活性化する安定なリガンド供給源を提供すると推断される。予期しないことに、細胞表面における新規AChRタンパク質の出現は、mRNAの増加より先に起こり、AChR mRNAおよび細胞表面のタンパク質発現を増加させる機構は別であり得ることを示唆した。
次の実験は、NRG曝露の24時間の間に、erbBレセプターのリン酸化状態を調査した(図6A)。図2A、2Bにおける結果と一致して、最初のリン酸化反応は、最初の2時間、EGFよりもIG−EGFで大きかった。しかし、2時間後、両方の構築物は、同様の低レベルで24時間、erbBレセプターのリン酸化を維持した。24時間におけるリン酸化レベルは、ブランクのレーンで見られるような、NRG処理なしのバックグラウンドより有意に高かった。これら構築物の「洗浄除去」を処理の45分後に行い、そしてp185リン酸化を示した時点で測定した場合(図6B)、EGF様ドメインによって誘導された応答は迅速に減衰し、そして洗浄の1時間後に失われた。対照的に、IG−EGF構築物は、洗浄後8時間全体の間erbBレセプターリン酸化を維持した。これらの結果は、erbBレセプターの持続する活性化は、NRG−HSPG相互作用の結果であり、そしてAChR mRNAおよびタンパク質誘導に必要であり得ることを示唆した。
最後に、AChR誘導における持続するerbBレセプターリン酸化の重要性を示すために、特異的erbBチロシンキナーゼ阻害剤AG1478(Levitzki,Aら(1995)Science 267、1782−1788)を使用して、NRGを加えた後特定の時間にerbBレセプターリン酸化を阻害した(図7A−7C)。図7Aは、EGF構築物を用いたerbBレセプターリン酸化を完全に阻害するために必要な阻害剤の濃度は、1μMより上であったことを示す。図7Bおよび7Cに示す、10μMのAG1478を用いた研究において、12−24時間の持続するレセプターリン酸化が、EGF様ドメインがAChR mRNAレベルを増加させるために必要であることが観察され、持続するレセプターリン酸化の必要性を示唆した。NRGのIG−EGF構築物を用いて同様な結果を得たが、より高い濃度の阻害剤が必要であった。
(実施例II−IVの結果の検討)
上記に提示された研究は、N−HBDおよびECMのHSPG間の細胞外相互作用が、どのようにシナプス性AChRの発現を調節する細胞内シグナル伝達の発生を調節するかを調査した。これらの研究は、NRG−HSPG相互作用の短期および長期効果をどちらも示した。NRGのEGF様ドメインにIG様ドメインを加えることは、内因性HSPGとの相互作用を必要とする、erbBレセプターリン酸化の迅速なおよび一過性の増加を引き起こした。しかし、持続するNRG−erbBレセプター活性化が、AChR mRNAおよびタンパク質発現を開始するために必要であった。これらの結果は、AChR遺伝子発現の誘導に必要な十分な時間、erbBレセプターの付近に十分高濃度のEGF様ドメインを維持するために、IG様ドメインが必要であることを示した。
胚の発達の間に、HSPGおよびNRGは、神経筋接合部のシナプス基底膜に同時に蓄積され、そして成人の寿命の間そこに留まる(Loebら、1999)。持続するerbBレセプター活性化がAChRの発現を誘導するために必要であるという本発明者らの観察は、なぜそのように高濃度のNRGが、シナプス基底膜に維持されるのかという理由であり得る。
本結果は、8時間より長いレセプター活性化が、AChR mRNAおよびタンパク質発現を誘導するために必要であり、そしてこのレセプター活性化は連続するNRGの存在が必要であったことを示した。初期の研究は、5時間以上のNRGとの接触が、新規AChRの挿入率を増加させるために必要であったこと(Buc−Caron,M.H.ら(1983)Dev Biol 95、378−386)、および12時間までの接触が、ヒヨコ筋培養において電位依存性ナトリウムチャネルを増加させるために必要であったこと(Corfasら、前出)を示した。本結果は、NRGのEGF様ドメインの1分間と少ない接触が、C2C12細胞へ加えた24時間後にAChR mRNAを誘導するために必要であったという最近の報告とはかなり異なる(Si,J.ら(1999)J Neurosci 19、8498−8508)。その違いは、使用した異なる筋管培養システムによるものであり得るが、他の研究者はNRGを「洗浄除去」しなかった可能性もある。ここで報告したように、ヒヨコ筋管培養を、血清を含む培地の代わりにPBSで洗浄した場合、同様の結果が、短い(15分)接触のみの後、24時間後にEGFおよびIG−EGF誘導AChR mRNAの両方で得られた。
リガンドが8時間以上必要とされる理由は、AChR mRNAを増加させるために、この時間全体の間、erbBレセプターがリン酸化状態に維持される必要があるからであると、本明細書中で推断される。これは、NRGを加えた後異なる時間に加えた特異的チロシンキナーゼアンタゴニストを用いて証明された。なぜerbBレセプターの持続する活性化が必要であるかは明らかでない。しかし、MAPKおよびCREBのようなチロシンキナーゼシグナル伝達経路の、4時間以上の持続する活性化が、細胞分化、遊走、および特定の遺伝子の発現を誘導するために必要であるという、文献からの例が存在する(Liu,F.C.ら(1996)Neuron 17:1133−1144;Marshall,CJら(1995)Cell 80、179−185;McCawley,LJら(1999)J Biol Chem 274、4347−4353)。
他のキナーゼおよび/または転写因子をリクルートするために、持続するレセプター活性化が必要であり得、またはおそらく新規タンパク質合成を開始するために必要である。Siら、前出は、新規タンパク質合成が、AChR遺伝子転写を誘導するために必要であったことを示した。その報告において、新規に作成されたc−JUNおよび/またはc−FOS mRNAが、NRGによるAChR mRNAのアップレギュレーションを媒介するために必要であった。C2C12細胞のタンパク質合成阻害剤、シクロヘキシミドによる前処理は、NRG誘導AChR α−サブユニットmRNAを完全に阻害し、デノボタンパク質合成が必要であったことを示唆した。
NRG、酸性および塩基性FGF、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン3、インターフェロンγ、ネトリン、ヘパリン結合上皮増殖因子を含む、増加する数のECM HSPGに結合する増殖因子および分化因子が存在する(Schlessingerら、前出;Ruoslahti,E.ら(1991)Cell 64、867−869;Serafini,T.ら(1994)Cell 78、409−424)。ECM HSPGとの相互作用は、容易に入手できる因子の貯蔵を提供する、それらをタンパク質分解から保護する、およびいくつかの場合には、その機能において重要な調節的役割を果たすと考えられる。FGFは、ヘパリンまたはHSPG結合が、レセプターの二量体化および活性化に必要である、最もよく研究された増殖因子の1つである(Shlessingerら、前出;Schlessinger,J.(2000)Cell 103、211−225)。TGF−β、ヘパリン結合EGFおよびNRGのような他の増殖因子に関して、レセプターの二量体化は、可溶性ヘパリンまたは細胞表面HSPGの非存在下で達成され得るが、HSPGは、これらの増殖因子の生物学的活性を増強するために機能し得る(Higashiyama,S.ら(1993)J Cell Biol 122、933−940)。同様の割合のNRGが、そのレセプターおよび細胞表面の内因性HSPGと結合することが、上記で示された。この相互作用の結果として、erbBレセプターリン酸化のNRG誘導活性化は、4倍増加した。ヘパリチナーゼ処理によって内因性HSPGを除去することは、この有効性の増加をなくした。L6筋細胞系統に関して、同様な観察が記載された(HanおよびFischbach(2000)Soc.Neurosci.Abs.25:43)。
なぜHSPGがNRGの有効性を増加させるかに関して、多くの可能性のある説明が存在する。最も可能性が高いのは、細胞表面に存在する内因性HSPGが、NRGをerbBレセプター付近の微環境に濃縮し、従って局所のリガンド濃度を増加させるということである。それに加えて、HSPGは、NRG分子を、そのより高い親和性のerbBレセプターに提示し得る。最後に、ヘパラン硫酸は、いくつかのNRG単量体に同時に結合し、多量体のレセプター活性化をより効率的に刺激し得る、リガンドの多量体を産生し得る。同様の機構が、FGFに関して提案され、ここでHSPGおよびFGFレセプター間のさらなる相互作用が提案された(Schlessinger、2000、前出)。
実施例は、可溶性ヘパリンの、NRG誘導レセプターリン酸化およびAChR発現に対する影響を記載した。可溶性ヘパリンは、NRG結合およびNRG誘導erbBレセプターリン酸化を阻害したが、可溶性ヘパリンはAChRタンパク質発現に対して二相性の影響を有していたことが示された。具体的には、高濃度のヘパリンはAChRタンパク質発現を阻害し、一方低濃度は実際新規AChRタンパク質発現を刺激した。可溶性ヘパリンの同様の二相性効果が、FGFに関して記載された(Krufka,A.ら(1996)Biochemistry 35、11131−11141)。
本観察の可能性のある説明の1つは、低濃度の可溶性ヘパリンはNRGを内因性HSPG結合部位から放出し、従って高親和性erbBレセプターと相互作用するためにそれを自由にするということである。一方、高濃度のヘパリンは、NRGを内因性HSPGから自由にするだけでなく、それを細胞表面erbBレセプターから遠ざける。
ここでより驚くべき結果の1つは、AChR mRNAおよびタンパク質発現はどちらも延長したNRGとの接触を必要とするが、新規AChRタンパク質発現はAChR mRNAの上昇より先に起こるということである。この観察は、新規AChRの細胞表面への挿入を増加させる細胞シグナル伝達機構は、AChR mRNAを増加させる機構と異なることを示唆した。さらなる実験が、erbBレセプター活性化によって開始される、異なるシグナル伝達経路を含み得る、AChR mRNAおよびタンパク質発現の間の明らかな解離を解決する。タンパク質合成を必要としない初期のシグナル伝達発生のいくつかは、前から存在するAChRの細胞表面への移動を促進し得、一方新規AChR mRNAを作成するために、より延長したシグナル伝達が必要である(例えば、新規タンパク質合成の必要性(Siら、前出を参照のこと))。
(実施例V)
(他のタンパク質へのHBDの付加はその活性を増加させる)
図8Aで図解的に示した、erbB4(EGFのチロシンキナーゼレセプター)の細胞外ドメインと融合したN−HBDの融合タンパク質を、標準的な組換えDNA方法によって産生した。この産物は「HBDB4HA」と呼ばれ、そして市販で入手可能なエピトープタグ(血球凝集素、「HA」)を含む。この構築物を、erbB4のTyrのNRG誘導リン酸化を阻害するその能力に関して試験した。コントロールアンタゴニストは、erbB4の細胞外ドメインおよびHAタグの融合物であった。タグは、精製中の転換の簡便さのために含まれた。
これらのアンタゴニストを、2つのNRG形態:HBDを含むIG−EGF、およびそれを含まないEGFドメインによって誘導されたアゴニスト誘導チロシンリン酸化を阻害するその能力に関して試験した。アゴニストまたはアゴニストおよびアンタゴニストの混合物を、L6筋細胞と共に40分間インキュベートし、その後細胞を溶解し、そして、溶解物を5%のSDSゲルに流した。ゲルを市販の抗リン酸化Tyr抗体で染色した。これは実施例IおよびIIで記載される。実施例IIで述べたように、erbBレセプター複合体は、リン酸化チロシンウェスタンブロットで、erbB2、erbB3、およびerbB4のリン酸化形態を含む、「p185」と呼ばれる約185kDaの拡散したバンドとして現れた。そのウェスタンブロットを図8Cで示し、そしてリン酸化Tyrの相対量を、図8Bのグラフで示す。
その結果は、HBDの融合物は、HBDを欠く構築物(B4HA)と比較して、NRGにより誘導されるerbBレセプターのチロシンリン酸化の阻害において、erbB4タンパク質(HBDB4HAグループ)に、増加したアンタゴニスト活性を与えることを示す。これは、2つの形態のNRG:HBDを含むもの(「IG−EGF」)およびHBDを含まないもの(EGF)を用いて観察された。従って、N−HBDを他のタンパク質と組み合せることによって、そのタンパク質の結合活性および生物学的効果を増加させることが可能である。
上記で引用した参考文献は、明確に援用されるかどうかにかかわらず、本明細書中で全て参考として援用される。
ここで本発明の完全に記載したので、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、および過度の実験なしに、同じものを広い範囲内の等価なパラメーター、濃度、および条件で実施し得ることが、当業者によって認識される。
図1は、NRGドメイン構造および使用した構築物を示す。I型β1NRGを、C−末端細胞質ドメインおよび単一の膜貫通ドメインTMを有する、プロNRGと呼ばれる膜貫通前駆体として最初に合成する。それを膜貫通ドメインのすぐ外側で切断し、そしてIGおよびEGFドメインを含む可溶性ポリペプチドが放出される。ここで使用される単離EGF様ドメイン構築物は、ヒトβ1形態のアミノ酸177−246に対応し、およびIG−EGFドメイン構築物はヒトβ1形態のアミノ酸14−246に対応する。 図2Aおよび2Bは、IGドメインがレセプターリン酸化の強度を増加させることを示す一連のグラフである。図2Aで記載される結果は、増加する濃度のEGF構築物またはIG−EGF構築物のいずれかを、ヒヨコ筋管培養物に45分間適用した研究からのものである。レセプターリン酸化活性を、抗リン酸化チロシン抗体を用いたウェスタンブロット分析によって測定した。活性化NRGレセプター複合体は、p185と記された、約185kDaにおける拡散したバンドとして現れ、それはerbB2、erbB3、およびerbB4のリン酸化形態を含む。同じ濃度で、IG様ドメインを有するNRG構築物は、EGF様ドメイン単独よりも多くのレセプターリン酸化を誘導した。図2Bに示したのは、IG−EGF形態がEGFドメイン単独よりも4倍強力であったことを示す定量的測定結果である。結果は、100%に設定したIG−EGF形態による最大反応に対して正規化した。 図3Aおよび3Bは、増強したp185リン酸化が、NRG−HSPG相互作用に起因することを示すグラフのセットである。図3Aは、125I−NRGの競合的結合アッセイの結果を示す。125I−IG−EGF NRGを、コールドのリガンドIG−EGF(NRG)または可溶性ヘパリンなしかまたはコールドのリガンドIG−EGF(NRG)または可溶性ヘパリンと共に、氷上で2時間、ヒヨコ筋管培養物に適用した。結合した全cpmを、未処理の筋管およびヘパリチナーゼ(内因性ヘパラン硫酸を除去するために)、またはコンドロイチナーゼ(コンドロイチン硫酸を除去するために)で90分間前処理した筋管について測定した。非特異的結合は約50%であった。コールドNRGおよびヘパリチナーゼはどちらも、同様の割合で結合を抑制した(25%)。ヘパリンはこれら両方の合計で、または50%で結合をブロックした。コンドロイチナーゼによる処理は、NRG結合に影響を与えなかった。図2Bは、IG−EGF構築物によるレセプターリン酸化の増強は、ヘパリチナーゼによる処理後、EGF構築物によって誘導されるレベルまで減少されたことを示す。コンフルエントなヒヨコ筋管培養物を、0.1%のBSA/MEM中のヘパリチナーゼ(0.04U/ml)ありまたはなしで、2時間前処理した。次いで組換えNRG形態をこれらの培養物に45分間適用し、その後p185リン酸化活性をウェスタンブロットによって調査した。このゲルを、前のゲルよりさらに分離し、そして従ってp185を2つのバンドに分離した。ヘパリチナーゼによる処理は、EGF様ドメイン単独の活性には影響を与えなかったが、IG−EGFによって誘導されるリン酸化をEGF様ドメインと同じレベルに低下させた。柱状グラフの形態で示した定量化は、最大反応(IG−EGF)の100%に対して正規化した。 図4Aおよび図4Bは、レセプターリン酸化およびAChRタンパク質発現に対するヘパリンの影響を示す一連のウェスタンブロットおよびグラフである。図4Aの結果は、ヘパリンによる処理は、NRG構築物がIG様ドメインおよびEGF様ドメインをどちらも含んでいる場合にのみ、NRG誘導erbBレセプターリン酸化(p185)をブロックしたことを示す。組換えNRG形態(1nM)を、増加する濃度のヘパリンと混合して、そしてコンフルエントなヒヨコ筋管培養物に45分間加えた。p185リン酸化を、ウェスタンブロットによって分析した。ヘパリンは、EGF様ドメイン単独によるレセプターリン酸化には影響を与えなかったが、ヘパリン濃度が1μg/mlより高い場合に、IG−EGF構築物によるp185リン酸化をブロックした。図4Bを生じる研究において、ヒヨコ筋管培養物を、500pMのNRG(IG−EGF)および増加する濃度のヘパリンの組み合せで18時間処理し、そして新規AChRの膜への挿入率を測定した。コールドのα−ブンガロトキシンでAChR結合部位をブロックし、新規に合成されたAChRが原形質膜に現れるのを可能にし、そして次いでこれらの新規AChRを、125Iα−ブンガロトキシンの結合によって測定することによって、これを達成した。ヘパリンは、AChRの挿入率に対して二相性−低濃度で刺激性、および高濃度で阻害性の影響を有していた。ヘパリン単独は影響を与えなかった。エラーバーは、平均の標準偏差を示す。 図5A、5Bおよび5Cは、NRGのIGドメインは、リガンドの持続する供給源を提供することによって、AChR mRNAおよびタンパク質発現を増強することを示す、一連のブロットおよびグラフである。図5Aの実験において、1nMのEGF構築物またはIG−EGF構築物を、ヒヨコ筋管培養物に、示した時間適用し、そして次いで示した時間洗浄除去した。これらの培養物を、AChR mRNAレベルおよびタンパク質挿入率を測定する前に、24時間のインキュベーション時間を完了させた。RNAを抽出し、そしてAChR αサブユニットに特異的なプローブを用いたノーザンブロットを行なった。次いで膜を、ハウスキーピング遺伝子GAPDHで再プローブしてデータを正規化した。図5Bは、AChR/GAPDH比の定量的測定を示し、そして24時間後でも最大でなかったEGF様ドメインと比較して、IG−EGFによるAChR mRNA発現の最大活性化は15分以内に達成されたことを示す。図5Cは、同じ時点で測定されたAChRタンパク質挿入率を示す。EGF様ドメインに対する8時間以上の曝露が、IG−EGF構築物によって15分以内に引き起こされた程度の反応を引き起こすために必要であった。この結果は、IG様ドメインは、NRGを、AChR mRNAおよびタンパク質を増加させるために、十分高濃度に十分な時間維持することを示唆する。 図6Aおよび6Bは、NRGのIG様ドメインは、erbBレセプターを24時間リン酸化状態に維持することを示すブロットのセットである。図6Aは、レセプターリン酸化のタイムコースを示す。EGFまたはIG−EGF構築物を、ヒヨコ筋管培養物に増加する時間適用し、その後p185レセプターリン酸化(矢印)をウェスタンブロットによって測定した。特にIG−EGF構築物によるリン酸化は最初高かったが、NRGなしで見られるレセプターリン酸化レベル(Blnk)と比較して、両方の構築物は複数のerbBレセプターを24時間リン酸化状態に保った(図3Bにおけるように分析した)。図6Bは、ErbBレセプターリン酸化は、EGF構築物を洗浄除去した後1時間以内に弱まることを示す。ヒヨコ筋管培養物を、1nMの組換えNRG(EGFまたはIG−EGF)で45分間処理した。培養物を培地で2回洗浄した。続いてp185リン酸化(矢印)を、洗浄後、示された時点にて、ウェスタンブロットによって連続的に測定した。EGF様ドメイン単独によって誘導されたレセプターリン酸化は、洗浄の1時間以内に衰えた。対照的に、IG−EGF構築物は、洗浄の8時間後でもレセプターリン酸化を維持し、このことは、構築物が洗浄除去されなかったことを示唆している。 図7は、AChRサブユニットmRNAの誘導は、少なくとも8時間維持されたerbBレセプターリン酸化を必要としたことを示す一連のブロットおよびグラフである。erbBレセプターリン酸化をブロックする特異的チロシンキナーゼアンタゴニスト(AG1478)の濃度を決定するために、ヒヨコ筋管培養物を、AG1478の濃度を増加させながらと混合した1nMのEGF構築物に45分間曝露し、その後p185レセプターリン酸化をウェスタンブロットによって測定した(図7A)。≧1μMのAG1478が、erbBチロシンキナーゼ活性を完全にブロックするために十分であった。従って、10μMのAG1478が、さらなる使用のために選択された濃度であった。一次筋管を、AChR α−サブユニットmRNAレベルをノーザンブロットによって測定する前に、1nMのEGF構築物で、全部で24時間処理した(図7B)。NRG処理後異なる間隔で、AG1478(10μM)を培養物に加えてerbBレセプターリン酸化をブロックした。その結果は、12時間のレセプターリン酸化が、AChR mRNAレベルを増加させるために必要であったことを示した。図7Cは、AChR mRNAの最大活性化を100%に正規化し、そして平均±1標準偏差として表された、3つの別々の実験からの、AChR/GAPDH比の定量的測定値を示す。AChR mRNAレベルを増加させるために、12時間またはそれ以上の持続するレセプターリン酸化が必要であった。 図8A−8Cは、ErbB4(チロシンキナーゼレセプター)(ErbB4)および血球凝集素エピトープタグ(HA)に融合した、N−HBD(「HBV」)の2つの融合構築物を示す。これらを、L6筋細胞(NRG EGFドメインまたはEGFおよびIG様ドメインを含む二重ドメインNRGアゴニスト(IG−EGF)である)の細胞ErbB4のチロシンリン酸化に拮抗するアンタゴニストとして試験した。図8Bのグラフは、ウェスタンブロット(抗P−Tyr抗体によって検出された)における相対的チロシンリン酸化反応を示す。図8Cは、アゴニスト単独、またはアゴニストおよびアンタゴニストの組み合せについての、実際のゲルパターン(SDS−PAGE、5%)を示す。

Claims (36)

  1. 第二の標的化されたポリペプチド(Ptrg)に融合した、ヒトニューレグリンヘパリン結合ドメイン(N−HBD)ポリペプチドに対応する第一の標的化ポリペプチドを含むハイブリッド融合ポリペプチドをコードする組換えハイブリッド核酸分子であって、
    該ハイブリッド核酸分子は、第一の核酸配列、第二の核酸配列、および必要に応じて第三のリンカーヌクレオチド配列を含み、以下:
    (a)該第一の核酸配列は、
    (1)
    ggt tcc aaa cta gtc ctt cgg tgt gaa acc
    agt tct gaa tac tcc tct ctc aga ttc aag
    tgg ttc aag aat ggg aat gaa ttg aat cga
    aaa aac aaa cca caa aat atc aag ata caa
    aaa aag cca ggg aag tca gaa ctt cgc att
    aac aaa gca tca ctg gct gat tct gga gag
    tat atg tgc aaa gtg atc agc aaa tta gga
    であるか、あるいは、
    (2)配列GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPQNIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLGを有するN−HBDポリペプチド、または該配列に対して90%以上の同一性を有し、そしてヘパリンまたはヘパラン硫酸のプロテオグリカンへの結合活性を有するポリペプチドをコードし;
    (b)該第三のリンカーヌクレオチド配列は必要に応じて、該第一の核酸配列とインフレームで融合され;そして
    (c)該第二の核酸配列は、該Ptrgをコードし、そして該第一の核酸配列または該第三のリンカーヌクレオチド配列のいずれかにインフレームで連結され、ここで、該第一の標的化ポリペプチドは、該Ptrgをヘパラン硫酸のプロテオグリカンに富んだ細胞表面および細胞外マトリックスに標的化する、ハイブリッド核酸分子。
  2. 前記第一の核酸配列が、以下の配列:
    GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPQNIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLG
    を含む第一のポリペプチドをコードする、請求項1に記載のハイブリッド核酸分子。
  3. 前記第一の核酸(a)が、以下の配列:
    (a)ggt tcc aaa cta gtc ctt cgg tgt gaa
    acc agt tct gaa tac tcc tct ctc aga ttc
    aag tgg ttc aag aat ggg aat gaa ttg aat
    cga aaa aac aaa cca caa aat atc aag ata
    caa aaa aag cca ggg aag tca gaa ctt cgc
    att aac aaa gca tca ctg gct gat tct gga
    gag tat atg tgc aaa gtg atc agc aaa tta
    gga;
    を含む、請求項1に記載のハイブリッド核酸分子。
  4. 前記第一の核酸が、以下:
    ggt tcc aaa cta gtc ctt cgg tgt gaa acc
    agt tct gaa tac tcc tct ctc aga ttc aag
    tgg ttc aag aat ggg aat gaa ttg aat cga
    aaa aac aaa cca caa aat atc aag ata caa
    aaa aag cca ggg aag tca gaa ctt cgc att
    aac aaa gca tca ctg gct gat tct gga gag
    tat atg tgc aaa gtg atc agc aaa tta gga
    からなる、請求項3に記載のハイブリッド核酸分子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸分子であって、前記第二のポリペプチドPtrgは、
    (a)可溶性形態の細胞表面レセプターであって、該細胞表面レセプターが、前記融合ポリペプチドの一部として、該レセプターに対するリガンドに結合することにより、該レセプターのリガンド活性化に対するアンタゴニストとして作用する能力を有する、細胞表面レセプター;または
    (b)細胞表面レセプターに対するリガンドであって、該リガンドが、該融合ポリペプチドの一部として、該レセプターに結合することより、該レセプターでのアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして作用する能力を有する、リガンド、
    である、核酸分子。
  6. 前記レセプターが、チロシンキナーゼレセプター、Gタンパク質共役レセプターまたは抗体である、請求項5に記載の核酸分子。
  7. 前記レセプターがチロシンキナーゼレセプターである、請求項6に記載の核酸分子。
  8. 前記チロシンキナーゼレセプターが、上皮増殖因子レセプターである、請求項7に記載の核酸分子。
  9. 前記リガンドが、サイトカインまたは増殖因子である、請求項5に記載の核酸分子。
  10. 前記リガンドが、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、神経栄養因子、血管内皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、ネトリン(netrin)またはエフリン(ephrin)である、請求項9に記載の核酸分子。
  11. 前記リガンドが上皮増殖因子である、請求項10に記載の核酸分子。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の核酸を含む発現ベクターであって、該核酸が、以下:
    (a)プロモーター、および
    (b)必要に応じて、真核生物細胞における該核酸の発現を調節する、さらなる調節配列、
    に作動可能に連結されており、該ベクターが、細胞へのインビトロまたはインビボでの送達の後に、該細胞中で発現され得る、発現ベクター。
  13. プラスミドである、請求項12に記載の発現ベクター。
  14. ウイルスベクターである、請求項12に記載の発現ベクター。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の核酸分子で形質転換またはトランスフェクトされた細胞。
  16. 請求項13〜14のいずれかに記載の発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞。
  17. 哺乳動物細胞である、請求項15または16に記載の細胞。
  18. ヒト細胞である、請求項17に記載の細胞。
  19. 単離された哺乳動物細胞であって、該単離された哺乳動物細胞は、別のポリペプチドに融合された、哺乳動物ニューレグリンヘパリン結合ドメインポリペプチド(N−HBD)を含むハイブリッド融合ポリペプチドが該細胞により発現されるように、該ハイブリッド融合ポリペプチドをコードする外因性の核酸分子でトランスフェクトされており、該ハイブリッド融合ポリペプチドのN−HBDポリペプチドは、配列:
    GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPQNIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLG
    を含むポリペプチドであるか、または、該配列に対して90%以上の同一性を有し、そしてヘパリンまたはヘパラン硫酸のプロテオグリカンへの結合活性を有するポリペプチドである
    細胞。
  20. 前記外因性核酸分子が、以下:
    ggt tcc aaa cta gtc ctt cgg tgt gaa acc
    agt tct gaa tac tcc tct ctc aga ttc aag
    tgg ttc aag aat ggg aat gaa ttg aat cga
    aaa aac aaa cca caa aat atc aag ata caa
    aaa aag cca ggg aag tca gaa ctt cgc att
    aac aaa gca tca ctg gct gat tct gga gag
    tat atg tgc aaa gtg atc agc aaa tta gga
    を含む、請求項19に記載の細胞。
  21. 請求項1〜11のいずれかに記載の核酸分子によりコードされるハイブリッド融合ポリペプチド。
  22. 請求項21に記載の、別のポリペプチドに融合した第一のヘパリン結合ドメインポリペプチドを含むハイブリッド融合ポリペプチドであって、ここで、前記第一のポリペプチドのアミノ酸配列が、以下の配列
    GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPQNIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLG;
    を含むか、または、該配列に対して90%以上の同一性を有し、ヘパリンまたはヘパラン硫酸のプロテオグリカンへの結合活性を有する該ポリペプチドの変異体を含む、ハイブリッド融合ポリペプチド。
  23. 前記第一のポリペプチドのアミノ酸配列が、以下:
    GSKLVLRCET SSEYSSLRFK WFKNGNELNR KNKPQNIKIQ KKPGKSELRI NKASLADSGE YMCKVISKLG
    である、請求項22に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  24. 前記リンカーを含み、該リンカーが、プロテアーゼにより切断可能である、請求項22〜23のいずれかに記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  25. 前記リンカーが、配列VPRGSDまたは配列DDKDWHを含むペプチドである、請求項24に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  26. 直線状多量体であって、前記第一の標的化ポリペプチドの2つ以上の単量体リピートを含み、該第一の標的化ポリペプチドは、(i)直接、または(ii)該単量体リピートの間に存在するリンカー配列によって端と端をあわせて結合している、請求項22〜23のいずれかに記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  27. 請求項22〜25のいずれかに記載のハイブリッド融合ポリペプチドの、タンデムに連結された二量体または三量体。
  28. 請求項22〜27のいずれかに記載のハイブリッド融合ポリペプチドであって、ここで、前記第二のポリペプチドPtrgは:
    (a)可溶性形態の細胞表面レセプターであって、該融合ポリペプチドの一部として、前記レセプターに対するリガンドに結合し、それにより該レセプターのリガンド活性化に対するアンタゴニストとして作用する能力を有する、レセプター;または
    (b)細胞表面レセプターに対するリガンドであって、該融合ポリペプチドの一部として、該レセプターに結合し、それにより、該レセプターでのアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして作用する能力を有する、リガンド、である、ハイブリッド融合ポリペプチド。
  29. 前記レセプターが、チロシンキナーゼレセプター、Gタンパク質共役レセプターまたは抗体である、請求項28に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  30. 前記チロシンキナーゼレセプターが、上皮増殖因子レセプターである、請求項29に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  31. 前記リガンドが、サイトカインまたは増殖因子である、請求項28または請求項29に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  32. 前記リガンドが、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、神経栄養因子、血管内皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、ネトリンまたはエフリンである、請求項31に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  33. 前記神経栄養因子が、脳由来の神経栄養因子、神経膠由来の神経栄養因子、ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4、および神経増殖因子からなる群より選択される、請求項32に記載のハイブリッド融合ポリペプチド。
  34. 哺乳動物細胞であって、請求項22〜33のいずれかに記載のハイブリッド融合ポリペプチドをその表面上で発現するかまたは分泌する、哺乳動物細胞。
  35. ヒト細胞である、請求項3に記載の哺乳動物細胞。
  36. ヘパラン硫酸に富んだ細胞または組織の表面に、標的化されたポリペプチドを局在化し、それにより該表面でのその生物学的活性を増強するためのインビトロの方法であって、該方法は、請求項22〜33のいずれかに記載のハイブリッド融合ポリペプチドを該表面に提供する工程を包含し、それにより該融合ポリペプチドのPtrgは、該表面に局在化され、その結果、該Ptrgの生物学的活性が、ネイティブのPtrgまたは該標的化ポリペプチドに融合されていないPtrgの活性と比較して増加する、方法。
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