JP4312949B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の排気管等に装着されると共に、先端側が被測定ガスに向けられる検出素子を備えることにより、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被測定ガス(混合ガス)から特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサとして、酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサ等種々のものが知られている。
【0003】
この種のガスセンサは、軸線方向に延びる筒状ないし板状に形成された固体電解質部材の第1面および第2面にそれぞれ電極(測定電極、基準電極)が形成されると共に、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出する検出素子を、主体金具とその主体金具と接続される外筒の内側に配置した構造のものが知られている。そして、ガスセンサでは、例えば、検出素子の測定電極が形成された第1面を被測定ガス中に晒すと共に、基準電極が形成された第2面に基準ガスとしての大気を導入し、第1面と第2面との間にて生ずる特定ガス成分の濃度差に応じた起電力を電気信号として、検出素子と電気的に接続される端子金具、さらにはリード線を介して外筒の外部に出力し、特定ガス成分の濃度を検出している。
【0004】
このため、ガスセンサでは、検出素子を被測定ガスに触れさせると共に、基準ガスとしての大気に触れさせることができるように構成されている。具体的にこの種のガスセンサでは、軸状の検出素子を内側に配する外筒の後端に形成された嵌合用開口部の内側にシール部材を嵌入し、外筒内部への防水を図っており、そのシール部材に、外筒の内側と外部との間における気体流路となる通気孔を形成したものが提案されている。そして、このような通気孔を有するシール部材においては、通気性および撥水性を有するシート状のフィルタにより通気孔を閉塞することで、外筒の内側に水などの異物が侵入するのを防ぎつつ、基準ガスとしての大気を検出素子の基準電極が形成された第2面に触れさせるように内側に導入するよう構成されている。
【0005】
フィルタによりシール部材に形成された通気孔を閉塞するには、例えば、図4(a)に示すような筒状挿入部材64を用いており、この筒状挿入部材64は、軸方向両端が開口するとともに通気孔に嵌挿可能な円筒形状に形成されている。そして、例えば、シール部材17の径方向中央に形成された通気孔58を撥水性フィルタ62(以下、「フィルタ62」ともいう)によって閉塞する場合には、筒状挿入部材64の後端開口部64cが撥水性フィルタ62で閉塞される状態で、筒状挿入部材64の外周面64dと通気孔58の内周面58bとの間で撥水性フィルタ62を挟持する。この結果、通気孔58は撥水性フィルタ62によって閉塞されるのである。
【0006】
このように構成されたガスセンサにおいては、基準ガスとしての大気が、撥水性フィルタ62を通過したあと、筒状挿入部材64の内部64aを通過して外筒の内部、すなわち、検出素子(図示省略)の基準電極が形成された第2面に導入される。
【0007】
なお、シール部材17は、後述する図1に示すガスセンサ(酸素センサ1)の外筒16の嵌合用開口部47の内側に設けられるものであり、外筒の内外間で気体を換気させるための通気孔58のほかに、検出素子2の第1面と第2面との間にて生ずる起電力を電気信号として外筒16の外部に出力する等のリード線20,21を夫々通過させる複数の挿通孔60を備えている。
【0008】
また、筒状挿入部材64の両開口端のうち、後端開口部64cとは軸方向反対側の開口端(図4(a)における下方)の外周には、鍔部64bが形成されている。そして、筒状挿入部材64が後端開口部64c側から通気孔58に挿入されると、鍔部64bは通気孔58の先端側の開口縁部58a(図4(b)参照)にて係止されることになり、その結果、通気孔58の内部における筒状挿入部材64および撥水性フィルタ62の位置決めがなされる。
【0009】
そして、図4(b)に、撥水性フィルタ62の内側が筒状挿入部材64により支持されることで通気孔58が閉塞された状態のシール部材17の断面図を示す。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように軸方向両端が開口した筒状挿入部材64を用いて撥水性フィルタ62の内側を支持した状態で、この筒状挿入部材64をシール部材17に形成された通気孔58に配置する構成のガスセンサにおいては、撥水性フィルタ62を通過した水蒸気がガスセンサ(外筒)の内部で結露し、この結露により発生した水滴がガスセンサに悪影響を及ぼす虞がある。例えば、水滴によって、外筒の内部に備えられる端子金具間の絶縁性を低下させてしまうこと等である。
【0011】
つまり、検出素子から出力される電気信号を取り出すための信号経路は、1種類の信号を出力するためには、少なくとも2本(一対)必要となり、また、ヒータを備える検出素子については、さらにヒータへの通電用の電流経路が必要となるため、ガスセンサ(外筒)の内部には複数の端子金具が備えられる。これら複数の端子金具間の絶縁性が、撥水性フィルタ62を通過した水蒸気の結露により発生する水滴によって低下してしまうと、ガスセンサとして正常な信号を出力することが不可能となってしまう。
【0012】
また、端子金具は、導電性を有する金属製材料で形成されることが通常であることから、水滴により腐食される虞もある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、外筒(筒状カバー)の嵌合用開口部の内側に嵌入されるシール部材に形成された通気孔を閉塞するフィルタを、筒状挿入部材により固定(支持)するガスセンサにおいて、通気性を維持しつつ、ガスセンサ内部での結露で発生した水滴が原因となる端子金具間の絶縁性の低下や端子金具の腐食などが発生し難いガスセンサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、前方側が測定対象となるガスに向けられる軸状の検出素子と、内側に検出素子を配置し、少なくとも後端に開口した嵌合用開口部を有する筒状カバーと、筒状カバーの嵌合用開口部に嵌入されるとともに、筒状カバーの内側と外部との間における気体の流通経路となる通気孔が形成されるシール部材と、通気性および撥水性を有し、通気孔を塞ぐためのフィルタと、軸方向両端に開口部を有するとともにシール部材の通気孔に嵌挿可能な筒形状に形成され、後端側に位置する後端開口部が前記ルタで閉塞される筒状挿入部材と、を備えたガスセンサであって、一方の端部に開口した導入用開口部を有し、この導入用開口部の軸方向反対側の端部に閉塞する底部を有すると共に、底部と底部に連結する側壁部とにより緩衝用空間を形成し、この緩衝用空間に外部からの気体を導入可能に形成された緩衝用空間形成部材が、筒状挿入部材の後端開口部を閉塞するフィルタより前方側に位置し、かつ筒状部材と接続する形で設けられており、緩衝用空間形成部材の側壁部には、緩衝用空間と筒状カバーの内側との間における気体の流通経路となる内部通気孔が形成されていることを特徴とする。
【0014】
そして、このガスセンサは、緩衝用空間形成部材を筒状挿入部材の後端開口部を閉塞するフィルタよりも前方側に位置し、かつ、筒状挿入部材に接続する形で設けてなる。
このガスセンサにおいては、シール部材に形成された通気孔を塞ぐフィルタを通過した気体は、筒状カバーの内部に直接導入されるのではなく、フィルタより前方側に位置する緩衝用空間形成部材の底部と側壁部とにより形成される緩衝用空間を経由し、その緩衝用空間形成部材に形成される内部通気孔を通過して筒状カバーの内部に導入される。そのため、気体の透過は許容し、水滴などの水を主体とする液体の透過は阻止する性質のフィルタにてシール部材の通気孔を塞ぐガスセンサでは、水蒸気がフィルタを通過し、ガスセンサ(筒状カバー)の内側に導入されることがあるが、フィルタを通過した水蒸気は、まずは緩衝用空間形成部材に形成される緩衝用空間に導入されることになり、よって、この水蒸気が結露することで発生する水滴は、緩衝用空間に蓄積される。これにより、シール部材の通気孔を塞ぐフィルタを通過した水蒸気が結露して発生する水滴は、筒状カバーの内側に侵入し難くなり、この筒状カバーの内側に配置された端子金具等に水滴が付着することが起こり難くなる。
【0015】
また、通常の気体は、フィルタを通過して緩衝用空間形成部材にて形成される緩衝用空間に導入された後、緩衝用空間形成部材に設けられた内部通気孔を通じて筒状カバーの内側に導入されることから、通気孔を通じてのガスセンサの通気性は維持される。
【0016】
よって、本発明(請求項1)のガスセンサによれば、水蒸気がシール部材の通気孔を通過し、その水蒸気がガスセンサの内部で結露により水滴となった場合にも、緩衝用空間形成部材による緩衝用空間が筒状カバー内への侵入を阻止し、水滴が原因となる端子金具等への水滴の付着が発生し難いため、複数の端子金具間の絶縁性の低下や端子金具の腐食などの発生を抑制することができる。また、この緩衝用空間形成部材は、底部とともに緩衝用空間を形成する側壁部に設けられる内部通気孔を通じての通気性を、水滴の侵入を阻止しつつ良好に維持することができるため、基準ガスとしての大気をガスセンサ(筒状カバー)の内部に導入する機能を維持することができる。
【0017】
なお、緩衝用空間と筒状カバーの内側との間における気体の流通経路として緩衝用空間形成部材に設けられる内部通気孔は、より多くの水滴を緩衝用空間に蓄積可能とするためには、緩衝用空間を形成する底部と側壁部において、側壁部のうち、より底部から離れた位置に設けることが望ましい。また、緩衝用空間に蓄積された水滴は、例えば、検出素子を活性化状態に維持するためのヒータが発する熱により再び水蒸気に状態変化して外部に蒸発する。
【0018】
そして、緩衝用空間形成部材としては種々の形状が考えられるが、例えば、請求項2に記載のように、緩衝用空間形成部材は、側壁部から外側に向けて延設された鍔部が形成され、この鍔部が筒状挿入部材と接続するように構成するとよい。
【0019】
このように、緩衝用空間形成部材に、側壁部から延設された鍔部を設けて、この鍔部を筒状挿入部材の開口端のいずれかに当接させることにより、緩衝用空間形成部材と筒状挿入部材とを接続することができる。そして、鍔部と筒状挿入部材の開口端とを、接着、ロウ付けあるいは溶接などにより固着することで、緩衝用空間形成部材を、気体の流通経路となる通気孔に配置することが出来る。
【0020】
また、筒状挿入部材の前方側の開口部に鍔部を当接させる場合には、緩衝用空間のうち、筒状カバーの内側に配置される部分の体積を小さくすることが望ましい。つまり、緩衝用空間のうち、筒状カバーの内側に配置される部分の体積が小さくなるように鍔部を形成することで、筒状カバーの内側の空間を有効に利用することができ、ガスセンサの小型化を図ることが可能となる。
【0021】
よって、本発明(請求項2)のガスセンサによれば、緩衝用空間形成部材に鍔部を設けることで、筒状挿入部材と緩衝用空間形成部材との接続を容易に行うことができるとともに、容易に緩衝用空間を通気孔に配置することができる。これにより、筒状カバーの内側に水滴などが侵入し難くなり、端子金具等への水滴の付着が発生し難くなるため、複数の端子金具間の絶縁性の低下や端子金具の腐食などの発生を抑制することができる。
【0022】
また、上述のガスセンサにおいては、請求項3に記載のように、筒状挿入部材と緩衝用空間形成部材とが、一体に連結して形成されているとよい。
このように緩衝用空間形成部材と筒状挿入部材とを一体に連結して形成することで、緩衝用空間形成部材が筒状挿入部材の所定の接続位置から位置ズレを起こすことを確実に防止することができ、緩衝用空間形成部材および筒状挿入部材をフィルタで覆う際の作業の煩雑さを解消でき、また、緩衝用空間形成部材および筒状挿入部材の通気孔への挿入時等に、不適切な位置に配置された緩衝用空間形成部材によってフィルタが破損してしまうのを防ぐことができる。
【0023】
さらに、緩衝用空間形成部材と筒状挿入部材とを一体に形成することで、緩衝用空間形成部材と筒状挿入部材とを積層、接合あるいは嵌合する作業を省略できるため、ガスセンサの製造工程を簡略化することができ、ガスセンサの製造コストを抑制することができる。
【0024】
そして、上述(請求項1から請求項3のいずれか)のガスセンサにおいて、筒状挿入部材の後端開口部を閉塞するフィルタを設けるにあたっては、例えば、筒状挿入部材の後端開口部上に緩衝用空間形成部材を配置した後、筒状挿入部材の後端開口部の周囲開口端における外径寸法と略同寸の板状のフィルタを準備し、適当な接着剤や溶着などによってフィルタを筒状挿入部材の上記周囲開口端に接合して設けても良い。そして、その他に筒状挿入部材の後端開口部を閉塞するフィルタを設けるにあたっては、請求項4に記載のように、フィルタは、筒状挿入部材の外周面とシール部材の内周面との間にて挟持されることにより、筒状挿入部材の後端開口部を閉塞するよう筒状挿入部材に支持されるようにするとよい。
【0025】
かかる構成によれば、シール部材の内周面と筒状挿入部材の外周面との間にてフィルタが挟持されつつ、筒状挿入部材の後端開口部が閉塞される状態となるので、フィルタの固定が確実なものとなり、また筒状挿入部材等への接合作業等を簡略化することができる。また、シール部材の内周面と筒状挿入部材の外周面との間にてフィルタが挟持されることで、シール部材の内周面と筒状挿入部材の外周面との間のシール性が良好に確保され、防水性を高めることが出来る。
【0026】
さらに、かかる構成では、例えば、フィルタを予め緩衝用空間形成部材が形成された筒状挿入部材に支持(固定)させた後に、その組立体をシール部材の通気孔に挿入するという手順により、通気孔へのフィルタの配設を行うことが出来る。このため、例えば、フィルタで筒状挿入部材の後端開口部を確実に閉塞した状態になっているか否かを、組立の早い段階で確認することができるため、不良品の発生頻度を低減することができ、製造コストの抑制を図ることが出来る。
【0027】
そして、上述(請求項1から請求項4のいずれか)のガスセンサは、請求項5に記載のように、検出素子が、酸素イオン伝導性固体電解質体の第1面および第2面に電極が形成され、この第1面および第2面が接するそれぞれの空間中の酸素濃度の差に応じた電気信号を電極間に発生する酸素検出素子であり、この酸素検出素子が、第1面が被測定ガスに晒され、第2面が基準ガスに晒される状態で前記筒状カバーの内側に配置され、外部から通気孔、緩衝用空間形成部材に形成される内部通気孔を通じて筒状カバーの内側に基準ガスを導入して、酸素検出素子の第2面に対して基準ガスを供給するように、構成されていると良い。
【0028】
つまり、ガスセンサには多くの種類があるが、そのうち、酸素イオン伝導性固体電解質体からなる酸素検出素子を備えたガスセンサである酸素センサは、酸素検出素子を基準ガスと被測定ガスに接触させることで、特定ガスである酸素を検出している。このようなガスセンサは、内部に基準ガスを導入する必要があり、基準ガスを導入するための通気孔を備えている。そして、一般に、通気孔には、外部から水などの異物が侵入するのを防ぐために、通気性および撥水性を有するフィルタが備えられる。しかし、前述したように、フィルタを透過した水蒸気が結露してガスセンサの内部に水滴が発生することがあり、この水滴によって酸素検出素子に接続される端子金具が腐食したり、端子金具間の絶縁性が低下することがある。
【0029】
そして、このように酸素検出素子を備えたガスセンサは、自動車などに搭載される内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出するために利用されることが多く、自動車の排気管に装着される場合、雨天時の雨水や洗車時の水などの影響によって、比較的湿度の高い外気がガスセンサの内部に導入される傾向がある。
【0030】
そのため、請求項5に記載のように、酸素検出素子を備えたガスセンサが、上述(請求項1から請求項4のいずれか)のガスセンサと同様に緩衝用空間形成部材を備えて構成されることにより、内部での結露による水滴の発生を効果的に抑制することができる。
【0031】
したがって、請求項5に記載のガスセンサによれば、湿度の高い外気が導入され易いガスセンサにおいて、端子金具等への水滴の付着が発生し難くなるため、複数の端子金具間の絶縁性の低下や端子金具の腐食などの発生を抑制することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用した実施例であるガスセンサを図面と共に説明する。なお、本実施例では、ガスセンサの一種であり、内燃機関の排気管等に装着される酸素センサについて説明する。図1は、本実施例の酸素センサ1の全体構成を示す断面図である。
【0033】
図1に示すように、酸素センサ1は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする酸素イオン伝導性固体電解質体により先端部が閉じた中空軸状に形成された検出素子2、検出素子2の内部に配置された軸状のセラミックヒータ3、検出素子2を収容するケーシング10などから構成されている。なお、以下の説明において、検出素子2の軸方向先端部に向かう側(閉じている側)を「先端側(前方側)」と称し、これと反対側に向かう側を「後端側(後方側)」と称する。
【0034】
この検出素子2は、その軸方向における中央部付近の外周にて、絶縁性セラミックで形成されたセラミックホルダ6,7と、タルクから形成されたセラミック粉末8とを介して、電気的に絶縁された状態で金属製のケーシング10の内部に保持されている。検出素子2の内面(第2面)及び外面(第1面)には、そのほぼ全面を覆うように、白金(Pt)からなる一対の多孔質電極層(内側電極2a(基準電極2a)、外側電極2b(測定電極2b))が設けられている。
【0035】
また、ケーシング10は、酸素センサ1を排気管等の取付部に固定すると共に、セラミックホルダ6,7及びセラミック粉末8を内部に収容し、検出素子2の閉じた先端部を排気管等の内部に突出させる主体金具9と、検出素子2を内側に配する形態で主体金具9の後方側(図1における上方)に接続され、後端にて開口する嵌合用開口部47から検出素子2の内面に大気を導入する外筒16と、から構成されている。
【0036】
そして、主体金具9は、取り付け用のネジ部9bが外周に形成されると共に、先端部(図1における下方端部)が縮径して形成されており、この縮径した先端部の内面で、セラミックホルダ6,7およびセラミック粉末8を下方から支持している。また、主体金具9の先端部の外周には、検出素子2の先端側を一定の空間を隔てて覆うようにプロテクタ11が取り付けられ、プロテクタ11には、その内部に排ガスを導入するための複数のガス透過口12が形成されている。
【0037】
さらに、主体金具9は、その後端部9a(図1における上方端部)の内側にリング5が配置された状態で、後端部9aを内側方向に加締めることにより、後端部9aがリング5を介してセラミックホルダ6,7およびセラミック粉末8を上方から固定している。そして、主体金具9の後方側の外周には、外筒16が検出素子2の周囲を取り巻くような形態で、外筒16の先端開口部(図1における下方端部)が嵌合、レーザー溶接などにより固定されている。
【0038】
次に、外筒16のうち、嵌合用開口部47の内側には、フッ素ゴムやシリコンゴムといった弾性体で構成された円柱形状のシール部材17が嵌入されている。なお、シール部材17は、外筒16のうち外側から内側に加締められ、固定されている。
【0039】
また、外筒16の内部のうち、シール部材17の前方側に隣接する部分には、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ18が内挿されている。このセパレータ18は、後端部(図1における上方端部)の周方向に対して断続的に外向きに突出する鍔部18aが設けられており、外筒16のうち外側から内側に向けて突出する形態で形成されたセパレータ支持部16aに、鍔部18aの先端面が係止される態様で、外筒16の内部に保持されている。なお、セパレータ18は、シール部材17よりも先に、外筒16の内部に挿入される。
【0040】
そして、このシール部材17およびセパレータ18を貫通するように、検出素子2の電極に夫々接続されるリード線20,21と、セラミックヒータ3に接続される一対のリード線(図1では図示省略)とが配置されている。
このうちリード線20は、コネクタ部24、引出し線部25および内部電極接続部26で構成される端子金具23を介して、検出素子2の内側電極2aと電気的に接続されている。他方のリード線21は、コネクタ部34、引出し線部35および外部電極接続部36で構成される端子金具33を介して、検出素子2の外側電極2bと電気的に接続されている。
【0041】
また、セラミックヒータ3に通電するための一対のヒータ端子部40が、セラミックヒータ3の先端面から開口する有底状の収容穴内に配置され、このヒータ端子部40を介して、セラミックヒータ3の内部に埋設された図示しない発熱用抵抗回路に通電が行われる。なお、セラミックヒータ3は、端子金具23の内部電極接続部26の内側に配置される形態で、検出素子2の中空部内に臨んでいる。
【0042】
次に、酸素センサ1における外筒16の内部空間の換気は、シール部材17の径方向略中央に設けられた通気孔58を介して行われており、通気孔58には通気性および撥水性を有する撥水性フィルタ62が配置されている。そして、通気孔58を閉塞する形態で配置された撥水性フィルタ62を介して導入された基準ガスとなる大気は、セパレータ18の後端面に設けられた溝に沿って左右に分流し、その各々がセパレータ18に設けられた上記リード線20,21用の挿通孔を通り、外筒16の内部に配置された検出素子2の内面(つまり、内側電極2a)に送り込まれる。
【0043】
以下、通気孔58に対する撥水性フィルタ62の取付構造について、図2を用いて説明する。なお、図2(a)は、シール部材17,撥水性フィルタ62,緩衝用空間形成部材66および筒状挿入部材64の分解斜視図であり、図2(b)は、撥水性フィルタ62,緩衝用空間形成部材66および筒状挿入部材64が通気孔58の内部に配置された状態のシール部材17の断面図である。
【0044】
図2(a)に示すように、シール部材17は、外観が円柱形状に形成されており、円形断面の中心部分をシール部材17の軸方向に貫通する通気孔58と、通気孔58を中心とする同心円上に等間隔に配置されたシール部材17を貫通する4個の挿通孔60が、設けられている。このうち、通気孔58は、外部から酸素センサ1の内部に気体を導入するために備えられており、また、挿通孔60は、酸素センサ1の内部から外部に引き出すべきリード線(即ち、検出素子2用のリード線20,21およびセラミックヒータ3用のリード線)を夫々挿通するために備えられている。また、通気孔58の内部には、撥水性フィルタ62、筒状挿入部材64および緩衝用空間形成部材66が配置される。
【0045】
そして、筒状挿入部材64は、軸方向両端が開口するとともに、通気孔58の内部に嵌挿可能な外径寸法を有する筒状に形成されており、また、先端部の全周にわたり外向きに突出する鍔部64bが設けられている。
また、緩衝用空間形成部材66は、一方の端部に開口した導入用開口部66dを有し、導入用開口部66dの軸方向反対側の端部に閉塞する底部66eを有しており、底部66eとその底部66eに連結する側壁部66fとにより緩衝用空間66aを形成する有底円筒形状に形成されており、導入用開口部66dの周囲開口端部には外側に向けて延設された大径鍔部66bが備えられ、側壁部66fには緩衝用空間66aと外筒16の内側との間における気体の流通経路となる内部通気孔66cが形成されている。
【0046】
このうち、大径鍔部66bは、その外径が筒状挿入部材64の後端開口部64cの内径よりも大きく形成されると共に、筒状挿入部材64の後端開口部64cの周囲開口端部の外径寸法と略同寸に形成されており、大径鍔部66bは、後端開口部64cの周囲開口端部上に積層可能に形成されている。また、内部通気孔66cは、緩衝用空間形成部材66の側壁部66fのうち、底部66eから離れた導入用開口部66dよりの位置に設けられている。さらに、緩衝用空間形成部材66の側壁部66fの最大外径は、筒状挿入部材64の内部64aの最小内径よりも小さく形成されている。
【0047】
また、撥水性フィルタ62は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の未焼成成形体を、PTFEの融点よりも低い加熱温度で一軸方向に延伸することにより得られる多孔質繊維構造体により、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ気体(空気、水蒸気等)の透過は許容する撥水性フィルタとして構成されている。なお、撥水性フィルタ62としては、さらに撥油コートした多孔質繊維構造体を用いることもでき、これを用いることにより、付着した油分が気化して内部に侵入する危険性を低下させることができる。
【0048】
そして、撥水性フィルタ62は、次のようにして、シール部材17の通気孔58を閉塞する形態で配置される。
まず、底部66eと側壁部66fとにより形成される緩衝用空間66aが筒状挿入部材64の内部64aに配置され、かつ大径鍔部66bが筒状挿入部材64の後端開口部64cの周囲開口端部上と当接するように、緩衝用空間形成部材66を筒状挿入部材64に組み付ける。そのあと、撥水性フィルタ62を緩衝用空間形成部材66の導入用開口部66d(換言すれば、筒状挿入部材64の後端開口部64c)を閉塞するように組み付け、撥水性フィルタ62、筒状挿入部材64および緩衝用空間形成部材66を、大径鍔部66bの側からシール部材17の通気孔58に挿入する。このようにして、撥水性フィルタ62は、筒状挿入部材64の外周面64dと通気孔58の内周面58bとの間に挟まれ、筒状挿入部材64の後端開口部を閉塞すると共に、通気孔58を閉塞する状態で固定される。
【0049】
なお、筒状挿入部材64を通気孔58に挿入する際には、鍔部64bが通気孔58の先端側の開口縁部58aにて係止されることとなり、その結果、通気孔58の内部における筒状挿入部材64、緩衝用空間形成部材66および撥水性フィルタ62の位置決めがなされる。
【0050】
そして、図2(b)に、撥水性フィルタ62,緩衝用空間形成部材66および筒状挿入部材64が通気孔58の内部に配置された状態のシール部材17の断面図を示す。
図2(b)に示すように、撥水性フィルタ62を透過した気体は、まずは、撥水性フィルタ62より前方側に位置する緩衝用空間形成部材66により形成される緩衝用空間66aに導入されることになる。そして、撥水性フィルタ62を透過した気体が水蒸気であり、この水蒸気が緩衝用空間66aの内部で結露して水滴が発生した場合には、この水滴は緩衝用空間66aの内部に蓄積される。
【0051】
また、結露で発生した水滴以外の気体については、緩衝用空間形成部材66の側壁部66fに設けられた内部通気孔66cを通じて、筒状挿入部材64の内部64aに移動し、さらに外筒16の内部に移動して、外筒16の内部に配置された検出素子2の内面(内側電極2a(図1参照))に送り込まれる。
【0052】
なお、酸素センサ1は、検出素子2を固体電解質体の活性化温度に維持するためのセラミックヒータ3が備えられているため、酸素センサ1の内部温度は高温となり、熱伝導により緩衝用空間形成部材66も高温となるため、緩衝用空間66aに蓄積された水滴は、水蒸気に状態変化する。
【0053】
また、内部通気孔66cは、側壁部66fのうち底部66eから離れた導入用開口部66dよりの位置に設けられており、緩衝用空間形成部材66の緩衝用空間66aのうち、水滴を蓄積することができる部分の体積は、水蒸気が結露することで発生する水滴を蓄積可能な体積に適宜調整されている。
【0054】
以上のように構成された酸素センサ1は、図1に示すように、外筒16が排気管の管外側に配置され、プロテクタ11が管内側に配置されるように、主体金具9の外側に形成されたネジ部9bにより、被測定ガスの流路を形成する排気管の取付孔に取り付けられる。なお、図1においては、排気管の管壁面(断面)を二点鎖線で図示している。
【0055】
このように酸素センサ1が排気管に取り付けられることで、検出素子2は、その先端部の外面が被測定ガスに晒されると共に、内面が通気孔58、緩衝用空間66aを通じて外筒16の内部に導入された基準ガスとしての大気に接触することとなる。
【0056】
そして、本実施例の酸素センサ1においては、上述したように、シール部材17に形成された通気孔58を塞ぐ撥水性フィルタ62を透過した気体は、端子金具23および端子金具33が配置される外筒16の内部空間に直接導入されるのではなく、撥水性フィルタ62よりも前方側に位置する緩衝用空間形成部材66の底部66eと側壁部66fとにより形成される緩衝用空間66aを経由し、その緩衝用空間形成部材66に形成される内部通気孔66cを通過して外筒16の内部空間に導入される。つまり、撥水性フィルタ62を通過して酸素センサ1の内部に導入される水蒸気は、まずは緩衝用空間66aに導入されることになり、この水蒸気が結露することで発生する水滴は、緩衝用空間66aに蓄積される。これにより、酸素センサの内部で水蒸気が結露して発生する水滴は、外筒16の内部空間に侵入し難くなり、外筒16の内部空間に配置された端子金具23,端子金具33およびヒータ端子部40などに水滴が付着することが起こり難くなる。
【0057】
また、通常の気体は、撥水性フィルタ62を通過して緩衝用空間66aに導入された後、緩衝用空間形成部材66に設けられた内部通気孔66cを通じて、外筒16の内部空間に導入されることから、通気孔58を通じての酸素センサの通気性は維持される。
【0058】
なお、上記実施例においては、外筒16が特許請求の範囲に記載の筒状カバーに相当し、撥水性フィルタ62がフィルタに相当し、検出素子2の外面が第1面に相当し、検出素子2の内面が第2面に相当し、大径鍔部66bが鍔部に相当する。
【0059】
次に、筒状挿入部材と緩衝用空間形成部材とが一体に連結して形成された第2筒状挿入部材166を用いたガスセンサを第2実施例として説明する。
なお、第2実施例のガスセンサは、上記実施例(以下、第1実施例という)の酸素センサ1と比べて、筒状挿入部材64および緩衝用空間形成部材66に相当する部分の構成が異なっており、その他の部分については同様に構成されている。そのため、第2実施例においては、ガスセンサの全体構成についての図示は省略し、シール部材17,撥水性フィルタ62,第2筒状挿入部材166を図示した図3を用いて、第2実施例のガスセンサについて説明する。
【0060】
そして、図3(a)は、シール部材17,撥水性フィルタ62および第2筒状挿入部材166の分解斜視図であり、図3(b)は、撥水性フィルタ62および第2筒状挿入部材166が通気孔58の内部に配置された状態のシール部材17の断面図である。
【0061】
図3(a)に示すように、シール部材17は、第1実施例と同様に、外観が円柱形状に形成されており、円形断面の中心部分をシール部材17の軸方向に貫通する通気孔58と、通気孔58を中心とする周囲に等間隔に配置されたシール部材17を貫通する4個の挿通孔60が、設けられている。また、撥水性フィルタ62は、第1実施例と同様に、多孔質繊維構造体により、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ気体(空気、水蒸気等)の透過は許容する撥水性フィルタとして構成されている。
【0062】
そして、第2筒状挿入部材166は、軸方向両端が開口した略筒状形状であるとともに、先端部の周囲には、全周にわたり外向きに突出する鍔部166bが形成されており、内部空間が、緩衝用空間形成部166dで仕切られて、筒状挿入部内部空間166aと緩衝用空間166eとが形成されている。なお、緩衝用空間形成部166dは、一方の端部に開口した導入用開口部166iを有し、導入用開口部166iの軸方向反対側の端部に閉塞する底部166fを有しており、底部166fとその底部166fに連結する側壁部166gとにより緩衝用空間166eを形成している。また、緩衝用空間形成部166dの側壁部166gには、内部通気孔166cが形成されており、この内部通気孔166cは、筒状挿入部内部空間166aと緩衝用空間166eとの間での気体の流通経路として機能する。
【0063】
なお、緩衝用空間形成部166dは、一端が閉塞した状態の第2筒状挿入部材166における閉塞した端部を、円筒形状の内部方向に曲げ加工することにより形成される。このとき、内部通気孔166cは、曲げ加工により緩衝用空間形成部166dを形成した後ではなく、曲げ加工する前の段階の閉塞した端部に内部通気孔166cを形成しておくことで、内部通気孔166cの作製作業を容易に実行することができる。
【0064】
そして、撥水性フィルタ62は、次のようにして、シール部材17の通気孔58を閉塞する形態で配置される。つまり、撥水性フィルタ62が第2筒状挿入部材166の緩衝用空間166eが形成される側の端部(すなわち、導入用開口部166i)を覆う状態で、この端部の側から、撥水性フィルタ62および第2筒状挿入部材166を、シール部材17の通気孔58に挿入する。このようにして、撥水性フィルタ62は、第2筒状挿入部材166の外周面166hと通気孔58の内周面58bとの間に挟まれ、通気孔58を閉塞した状態で固定される。
【0065】
なお、第2筒状挿入部材166が通気孔58に挿入されると、鍔部166bが通気孔58の先端側の開口縁部58aにて係止されることとなり、その結果、通気孔58の内部における第2筒状挿入部材166および撥水性フィルタ62の位置決めがなされる。
【0066】
そして、図3(b)に、撥水性フィルタ62,第2筒状挿入部材166が通気孔58の内部に配置された状態のシール部材17の断面図を示す。
図3(b)に示すように、撥水性フィルタ62を透過した気体は、まずは、撥水性フィルタ62により前方側に位置する緩衝用空間形成部166dにより形成される緩衝用空間166eに導入されることになる。そして、撥水性フィルタ62を透過した気体が水蒸気であり、この水蒸気が緩衝用空間166eの内部で結露して水滴が発生した場合には、この水滴は緩衝用空間166eの内部に蓄積される。
【0067】
また、結露で発生した水滴以外の気体については、緩衝用空間形成部166dの側壁部166gに設けられた内部通気孔166cを通じて、筒状挿入部内部空間166aに移動して、さらに外筒16の内部に移動することで、外筒16の内部に配置された検出素子2の内面(内側電極2a(図1参照))に送り込まれる。
【0068】
なお、第2実施例のガスセンサは、検出素子2を固体電解質体の活性化温度に維持するためのセラミックヒータ3が備えられているため、ガスセンサの内部温度は高温となり、熱伝導により緩衝用空間形成部166dも高温となるため、緩衝用空間166eに蓄積された水滴は、水蒸気に状態変化する。
【0069】
また、内部通気孔166cは、側壁部166gのうち底部166fから離れた導入用開口部166iよりの位置に設けられており、緩衝用空間形成部166dの緩衝用空間166eのうち、水滴を蓄積することができる部分の体積は、水蒸気が結露することで発生する水滴を蓄積可能な体積に適宜調整されている。
【0070】
そして、上述したように、本第2実施例のガスセンサにおいては、シール部材17に形成された通気孔58を塞ぐ撥水性フィルタ62を透過した気体は、端子金具23および端子金具33が配置される外筒16の内部空間に直接導入されるのではなく、撥水性フィルタ62よりも前方側に位置する緩衝用空間形成部166dの底部166fと側壁部166gとにより形成される緩衝用空間166eを経由し、その緩衝用空間形成部166dに形成される内部通気孔166cを通過して外筒16の内部空間に導入される。つまり、撥水性フィルタ62を通過してガスセンサの内部に導入される水蒸気は、まずは緩衝用空間166eに導入されることになり、この水蒸気が結露することで発生する水滴は、緩衝用空間166eに蓄積される。これにより、ガスセンサの内部で水蒸気が結露して発生する水滴は、外筒16の内部空間に侵入し難くなり、外筒16の内部空間に配置された端子金具23,端子金具33およびヒータ端子部40などに水滴が付着することが起こり難くなる。
【0071】
また、通常の気体は、撥水性フィルタ62を通過して緩衝用空間166eに導入された後、緩衝用空間形成部166dに設けられた内部通気孔166cを通じて、外筒16の内部空間に導入されることから、通気孔58を通じてのガスセンサの通気性は維持される。
【0072】
さらに、第2実施例のガスセンサでは、筒状挿入部材と緩衝用空間形成部材とを連結して一体に形成した第2筒状挿入部材166を用いているため、筒状挿入部材と緩衝用空間形成部材とを組み付ける作業を省略することができ、ガスセンサの製造工程を簡略化することができる。このため、ガスセンサの製造コストを低く抑えることができる。
【0073】
なお、第2実施例のガスセンサにおいては、緩衝用空間形成部166dが特許請求の範囲に記載の緩衝用空間形成部材に相当する。
以上、本発明の2つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0074】
例えば、第1実施例において説明したガスセンサにおいては、緩衝用空間形成部材66を筒状挿入部材64の後端開口部64cの周囲開口端部に対して、接着、ロウ付けあるいは溶接などにより固着し、両者を一体に構成しても良い。これにより、緩衝用空間形成部材66と筒状挿入部材64との相対位置がずれるのを防ぐことができ、適切な状態でシール部材17の通気孔58に配置することができる。
【0075】
また、撥水性フィルタ62については、第1、第2実施例のような形状に限定されず、例えば、筒状挿入部材64の後端開口部64cの周囲開口端部上に緩衝用空間形成部材66を配置した後、筒状挿入部材64の後端開口部64cの周囲開口端部における外径寸法と略同寸の板状のフィルタを準備し、適当な接着剤や溶着などにより、フィルタを筒状挿入部材64(緩衝用空間形成部材66)に接合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の酸素センサの全体構成を示す断面図である。
【図2】 (a)は、シール部材,撥水性フィルタ,緩衝用空間形成部材および筒状挿入部材の分解斜視図であり、(b)は、撥水性フィルタ,緩衝用空間形成部材および筒状挿入部材が通気孔の内部に配置された状態のシール部材の断面図である。
【図3】 (a)は、シール部材,撥水性フィルタおよび第2筒状挿入部材の分解斜視図であり、(b)は、撥水性フィルタおよび第2筒状挿入部材が通気孔の内部に配置された状態のシール部材の断面図である。
【図4】 (a)は、従来のガスセンサにおけるシール部材,撥水性フィルタおよび筒状挿入部材の分解斜視図であり、(b)は、撥水性フィルタ,筒状挿入部材が通気孔の内部に配置された状態のシール部材の断面図である。
【符号の説明】
1…酸素センサ、2…検出素子、2a…内側電極(基準電極)、2b…外側電極(測定電極)、9…主体金具、16…外筒、17…シール部材、23,33…端子金具、40…ヒータ端子部、58…通気孔、62…撥水性フィルタ、64…筒状挿入部材、66…緩衝用空間形成部材、66a…緩衝用空間、66b…大径鍔部、66c…内部通気孔、166…第2筒状挿入部材、166a…筒状挿入部内部空間、166b…鍔部、166c…内部通気孔、166d…緩衝用空間形成部、166e…緩衝用空間。
Claims (5)
- 前方側が測定対象となるガスに向けられる軸状の検出素子と、
内側に前記検出素子を配置し、少なくとも後端に開口した嵌合用開口部を有する筒状カバーと、
前記筒状カバーの前記嵌合用開口部に嵌入されるとともに、該筒状カバーの内側と外部との間における気体の流通経路となる通気孔が形成されるシール部材と、
通気性および撥水性を有し、前記通気孔を塞ぐためのフィルタと、
軸方向両端に開口部を有するとともに前記シール部材の前記通気孔に嵌挿可能な筒形状に形成され、後端側に位置する後端開口部が前記フィルタで閉塞される筒状挿入部材と、を備えたガスセンサであって、
一方の端部に開口した導入用開口部を有し、該導入用開口部の軸方向反対側の端部に閉塞する底部を有すると共に、該底部と当該底部に連結する側壁部とにより緩衝用空間を形成し、該緩衝用空間に外部からの気体を導入可能に形成された緩衝用空間形成部材が、前記筒状挿入部材の前記後端開口部を閉塞するフィルタより前方側に位置し、かつ該筒状部材と接続する形で設けられており、
前記緩衝用空間形成部材の前記側壁部には、前記緩衝用空間と前記筒状カバーの内側との間における気体の流通経路となる内部通気孔が形成されていること、
を特徴とするガスセンサ。 - 前記緩衝用空間形成部材は、前記側壁部から外側に向けて延設された鍔部が形成され、該鍔部が前記筒状挿入部材と接続すること、
を特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。 - 前記筒状挿入部材と前記緩衝用空間形成部材とが、一体に連結して形成されていること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスセンサ。 - 前記フィルタは、前記筒状挿入部材の外周面と前記シール部材の内周面との間にて挟持されることにより、該筒状挿入部材の後端開口部を閉塞するよう該筒状挿入部材に支持されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のガスセンサ。 - 前記検出素子が、酸素イオン伝導性固体電解質体の第1面および第2面に電極が形成され、該第1面および該第2面が接するそれぞれの空間中の酸素濃度の差に応じた電気信号を前記電極間に発生する酸素検出素子であり、
該酸素検出素子が、前記第1面が被測定ガスに晒され、前記第2面が基準ガスに晒される状態で前記筒状カバーの内側に配置され、
外部から前記通気孔、前記緩衝用空間形成部材に形成される前記内部通気孔を通じて前記筒状カバーの内側に前記基準ガスを導入して、前記酸素検出素子の前記第2面に対して前記基準ガスを供給すること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のガスセンサ。
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