JP4312202B2 - 超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理方法 - Google Patents

超音波診断装置および超音波診断装置のデータ処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体組織に対して超音波を送受波して生体内部の断層像を得る超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置に関する。
従来、超音波振動子から生体組織に対して超音波を送受信して生体組織の断層像を得る超音波診断装置が種々実用化されている。
さらに、この種の超音波診断装置においては、超音波を用いて生体組織における血流の有無を感度良く表示する方法の1つにパワードプラ処理が知られている。このパワードプラ処理を行う超音波診断装置の一例としては、受信した反射エコー信号に直交検波を施し、この検波信号をMTI(Moving Target Indicator)フィルタに通してからI信号とQ信号の2乗和をとることで血流のパワーを求め、2次元画像として表示するものが知られている(例えば、特開昭61−257631公報(第2−4頁、第1−5図))
上記MTIフィルタは、MTI(Moving Target Indicator)レーダーの原理を用いるもので、主として低い次数(order)の無限衝撃応答(IIR)が使われている。
本発明は、血流可視化を行うとともにノイズの抑制効果を向上することができる超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置を提供することを目的とする。
簡略に本発明の超音波診断装置のデータ処理方法は、所定間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得、得られた所定の同一の深さに対応するデータをフィルタリングして体内の運動部位からのエコーデータを抽出し、このエコーデータを第1所定時間遅延させた場合の第1自己相関の振幅値を得ると共に、同エコーデータを第2所定時間遅延させた場合の第2自己相関の振幅値を得て、さらに、上記第1、第2の自己相関の振幅値を掛け合わせて得られた乗算値を所定色相の輝度に対応させる。
図1:本発明の第1実施形態の超音波診断装置の全体構成を示す説明図。
図2:第1実施形態の超音波診断装置のデータ処理方法を示すフローチャート。
図3:第1実施形態の超音波診断装置における第1の自己相関演算部の動作を示すタイミングチャート。
図4:第1実施形態の超音波診断装置における第2の自己相関演算部の動作を示すタイミングチャート。
図5:第1実施形態の超音波診断装置における自己相関振幅値とホワイトノイズの関係を示す説明図。
図6:第1実施形態の超音波診断装置における超音波診断装置のデータ処理方法を更に具体的に示すフローチャート。
図7:第1実施形態の超音波診断装置における上記図6のステップS15を詳細に示すフローチャート。
図8:第1実施形態の超音波診断装置における上記図6のステップS16を詳細に示すフローチャート。
図9:本発明の第2実施形態の超音波診断装置の全体構成を示す説明図。
図10:第2実施形態の超音波診断装置のデータ処理方法を示すフローチャート。
図11:第2実施形態の超音波診断装置のデータ処理方法を更に具体的に示すフローチャート。
図12:本発明の第3実施形態の超音波診断装置の全体構成を示す説明図。
図13:第3実施形態の超音波診断装置のデータ処理方法を具体的に示すフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1〜図8は本発明の第1実施形態の超音波診断装置を示したものである。
図1に示すように、超音波診断装置1は、超音波探触子11と、超音波送受信部12と、アナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器と呼ぶ)13と、直交変換器14と、遅延器15と、MTIフィルタ16,17と、第1及び第2の自己相関演算部18,19と、乗算器20と、Bモード像演算部21と、デジタルスキャンコンバータ(以下、DSCと呼ぶ)22と、モニタ23とを含んで構成されている。
超音波探触子11は、超音波送受信部12に接続され、超音波の送信及び受信を行う。
ここで、超音波探触子11は、電気的な走査を行うアレイ振動子、または機械的な走査を行う単板あるいはアレイ振動子のいずれでも良い。
超音波送受信部12は、超音波探触子11にパルス信号を供給するようになっている。超音波探触子11は超音波送受信部12からパルス信号を供給されると超音波パルスの送信を行い、生体から戻ってくる反射エコーを受信する。
ここで、超音波探触子11にアレイ振動子を用いた場合、超音波送受信部12は、ビームフォーミング処理を行い、音線データを生成する。
超音波送受信部12は、血流情報を取得する場合に、同一の音線に対して所定の時間間隔で複数回送受信を行うように動作する。本第1実施形態の場合、同一の音線に対する送受信の回数は6回程度である。各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。
超音波送受信部12で生成された音線データは、A/D変換器13に入力され、所定のサンプリング周波数にてデジタルデータ化される。なお、超音波送受信部12とA/D変換器13の間には図示しないアンチエリアジングフィルタを備えており、A/D変換時にエリアジングを防ぐ役割を果たす。
ここで、エリアジングとは、アナログ信号をA/D変換する際に、本来の信号の周波数とは違う偽物の信号が発生してしまう現象のことである。エリアジングが発生するのは、A/D変換器のサンプリング周波数の1/2を越える周波数の信号がA/D変換器に入力された場合である。例えば、4MHzのA/D変換器であれば2MHz以上の信号を入力するとエリアジングが発生する。このため、本第1実施形態では、サンプリング周波数の1/2を超える周波数成分をカットするアンチエリアジングフィルタ(ローパスフィルタ)をA/D変換器13の前に設けている。
A/D変換器13には直交変換器14が接続されている。該直交変換器14は直交変換を行う部分であってヒルベルト変換フィルタで構成されており、入力された信号の位相を90度遅らせる働きを持つ。ビルベルト変換フィルタは所定のフィルタ係数を持つデジタルFIRフィルタで実現することができる。
遅延器15は、直交変換器14にて発生するデータ遅延量と等価な遅延を与える働きを持つ。直交変換器14及び遅延器15の出力データは互いに90度の位相差を持つペア信号となる。
MTIフィルタ16,17は、それぞれ直交変換器14及び遅延器15からのデータに対して、血流以外の組織からのゆっくりとしたドプラ信号を除去するためのハイパスフィルタであり、デジタルIIRフィルタで構成する。フィルタ係数は、図示しない外部入力部から任意に設定可能とする。
第1及び第2の自己相関演算部18,19は、本発明の特徴であるデータ処理を行う部分であり、MTIフィルタ16,17の出力に対してそれぞれ異なる遅延時間の自己相関の振幅値を得ことで、血流情報データを演算する演算処理を行い、乗算器20に出力する。
乗算器20は、第1及び第2の自己相関演算部18,19がそれぞれ出力する第1の血流情報データと第2の血流情報データを乗算して乗算血流情報データを出力する。
Bモード像演算部21は、直交変換器14及び遅延器15の出力データを基にBモード画像データを生成する部分である。直交変換器14及び遅延器15の出力データは互いに直交する関係にあり、両者の2乗和の平方根を計算することで、反射エコーの振幅情報を得ることができる。得られた振幅情報は、対数圧縮、ゲイン調整、コントラスト調整などの処理を行いBモード画像データとなる。
DSC22は、乗算器20で演算された乗算血流情報データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に超音波探触子11のスキャン形状にあった形に座標変換及び補間処理し、乗算血流情報データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成する。
ここで、例えば、超音波探触子11として曲率6mmで画角180度のコンベツクス探触子を用いた場合は、放射状の半円の2次元音線データが得られる。2次元音線データは、円の中心からの距離と音線の角度によって決まる極座標(r,θ)形式のデータである。この場合、DSC22は、座標変換の処理として、極座標のデータをモニター表示に適した直交座標(x,y座標)に変換する。具体的には、以下の関係式(1)、(2)を利用して極座標(r,0)と直交座標(x,y)の変換を行う。
x=r×cosθ … (1)
y=r×sinθ … (2)
その際、音腺データの密度が荒いとデータとデータの間に隙間ができてしまうため、DSC22は、周囲のデータから補間処理によってデータを作り出す。例えば、DSC22は、周囲の4点のデータを利用して補間する4点補間を行う。
モニタ23は、DSC22で生成された超音波画像データを映像表示する。
(作用)
以下、第1実施形態の超音波診断装置の作用を図2〜図5を参照して説明する。なお、この作用は当該超音波診断装置の観察動作として説明する。
まず、図2に示すステップS1において、超音波探触子11と超音波送受信部12は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る。これにより、各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。
次に、超音波送受信部12は、図2に示すステップS2において、ステップS1で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを抽出する。
このようなステップS1,S2の処理において、例えば、同一の音線に対して6回送受信を繰り返した場合は、所定の同一深さのデータが6個得られる。
次に、図2に示すステップS3において、超音波診断装置1は、MTIフィルタ16,17に、直交変換器14及び遅延器15を介したデータを出力する。これにより、MTIフィルタ16,17は、エコーデータを出力する。
以下、図2に示すステップS4における第1の自己相関演算部18及び図2に示すステップS5における第2の自己相関演算部19内部での演算について説明する。
前述したように、各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。例えば、同一の音線に対して6回送受信を繰り返した場合は、所定の同一深さのデータが図3Bに示す元データZ(i)のように6個得られている。データa〜データfは、MTIフィルタ16からのデータを虚数成分、MTIフイルタ17を実数成分として組み合わせた複素データである。一般に同一の音線に対してN回送受信を繰り返した場合の元データZ(i)は以下の式(3)で表現される。
Z(i)=X(i)+jY(i) …(3)
但し、i=1〜Nの整数である。
第1の自己相関演算部18では、前記元データZ(i)を図3Aに示すクロック信号CLKのMクロック分だけ遅延させ、この遅延させたデータを図3Cに示す遅延データZ(i)とする。Mは1からN−1までの任意の整数であるが、Mを大きくするとベクトル偏移データをとれるデータ数が減るのでM=1〜2程度が望ましい。
このとき、図3Dのように、各時刻においてベクトル偏移データR(i)を計算することができる。R(i)は一般的に式(4)で表現される。
(i)=Z(i)*×Z(i) …(4)
但し、*は共役複素数を表す。
図3Eにおいて、ゲートパルスはベクトル偏移データR(i)から有効データが出力される期間と等価な時間幅を持つパルスである。
ベクトル偏移データR(i)は、第1の自己相関演算部18内の図示しない積分器においてゲートパルスがHighの期間中だけ積分され、第1の自己相関値が演算される。
図3Eに示すゲートパルスは、図3Bに示す元データと図3Cに示す遅延データが重なり合う時間の間だけHighになるので、その期間中だけ図示しない積分器においてベクトル偏移データR(i)が積分される。次にゲートパノレスがHighになる前に積分値は0にリセットされる。
図3A〜図3Eに示すデータの例で考えると、図3Dに示す第1の自己相関データに対応する第1の自己相関値Rは以下の式(5)で表現される。
=ca*+db*+ec*+fd* …(5)
最終的には、複素数である第1の自己相関値Rの振幅値をとったものを第1の血流情報データとする。
同様に、第2の自己相関演算部19では、図4Bに示す元データZ(i)を図4Aに示すクロック信号CLKのKクロック分だけ遅延させ、この遅延させたデータを図4Cに示す遅延データZ(i)とする。Kは1からN−1までの任意の整数であり、Mと同じ値であっても良い。Kの値もK=1〜2が望ましい。
このとき、図4Dのように、ベクトル偏移データR(i)は一般的に式(6)で表現される。
(i)=Z(i)*×Z(i) …(6)
図4Eにおいて、ゲートパルスはベクトル偏移データR(i)から有効データが出力される期間と等価な時間幅を持つパルスである。
第2の自己相関演算部19でも第1の自己相関演算部18と同様に自己相関値が計算され、図4A〜図4Eに示すデータの例で考えると、第2の自己相関演算部19における図4Dに示す第2の自己相関データに対応する第2の自己相関値Rは式(7)で表現される。
=ba*+cb*+dc*+ed*+fe* …(7)
最終的には、複素数である第2の自己相関値Rの振幅値をとったものを第2の血流情報データとする。
第1の血流情報データと第2の血流情報データに共通して、ホワイトノイズは各ベクトル偏移データがランダムな位相を持つため、それらを加算した自己相関の振幅値は0に近づく。
一方、血流からのエコーは各ベクトル偏移データがほぼ同じ位相を持つため、それらを加算した自己相関の振幅値は特定の位相の向きに加算され、振幅はホワイトノイズの場合と比べて大きくなる。生体組織からのエコーは各ベクトル偏移データがほぼ同じ位相を持つうえに各ベクトル偏移データの振幅が大きいため、自己相関の振幅値も大きくなる。
従って、第1の血流情報データ、第2の血流情報データともに、図5に示すように値が小さい領域はホワイトノイズを表し、値が大きい領域は生体組織からのエコーを表し、その中間の値が血流からのエコーを表すことになる.
第1の血流情報データと第2の血流情報データは、図2に示すステップS6において、乗算器20で乗算され、乗算血流情報データが生成される。乗算器20で乗算を行うことで、乗算血流情報データのうち、ホワイトノイズがとる値はより小さくなり、生体組織からのエコーがとる値はより大きくなるため、結果として、ホワイトノイズ、血流からのエコー、生体組織からのエコーそれぞれの比がより大きくなる。従って、ホワイトノイズ、血流からのエコー、生体組織からのエコーそれぞれの弁別がより容易となる。
そのため、DSC22が特定の大きさの乗算血流情報データを抽出してモニタ23に画面表示することで、血流からのエコーのみを表示することが可能となる。例えば、ホワイトノイズと血流エコーとの境界を定める閾値B1、及び生体組織からのエコーと血流からのエコーの境界を定める閾値B2を設け、DSC22が閾値B1以上でかつ閾値B2以下の値を持つデータのみをモニタ23に画面表示することで、血流からのエコーのみを表示できる。
閾値B1,B2は、超音波送受信部12の送信電圧と超音波送受信部12内の受信回路の増幅率により一意的に決まる定数である。閾値B1,B2は、実際に使用する送信電圧と受信回路を決めてから、実験的に求めて、一番効果的な値に設定する。
DSC22は、乗算血流情報データに対して、振幅値を所定の色相の輝度に対応させて表示、もしくは振幅値を所定の色相に対応させてカラー表示を行う。
このような動作により、図2に示すステップS1は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得ステップとなっている。
図2に示すステップS2は、前記ステップS1で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出ステップとなっている。
図2に示すステップS3は、前記ステップS2で得られたで得られた所定の同一の深さに対応するデータを所定の特性を有するフィルタ手段に入力し、体内の運動部位からのエコーデータを抽出するフィルタリングステップとなっている。
図2に示すステップS4は、前記ステップS3で得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第1の所定時間遅延させた場合の第1の自己相関の振幅値を得る第1の振幅値取得ステップと、
図2に示すステップS5は、前記ステップS3で得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第2の所定時間遅延させた場合の第2の自己相関の振幅値を得る第2の振幅値取得ステップとなっている。
図2に示すステップS6は、前記第1及び第2の自己相関の振幅値を掛け合わせて得られた乗算値を所定の色相の輝度に対応させるカラー化ステップとなっている。
図2に示した超音波診断装置のデータ処理方法について、図6を用いて具体的な処理として説明する。
まず、図6に示すステップS11において、超音波探触子11と超音波送受信部12は、複数の超音波データを取得する。
次に、図6に示すステップS12において、直交変換器14により複数の超音波データの直交変換を行う。
次に、図6に示すステップS13において、超音波送受信部12は、図6に示すステップS11で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを抽出する。
このようなステップS11,S12,S13の処理により、所定の同一深さのデータが図3A〜図3E及び図4A〜図4Eに示すように6個得られる。
次に、図6に示すステップS14において、MTIフィルタ16,17は、直交変換器14及び遅延器15を介した所定の同一深さのデータに対してMTIフィルタ演算を行いエコーデータを出力する。
次に、図6に示すステップS15において、第1の自己相関演算部18は、MTIフィルタ16,17のエコーデータに対して第1の血流情報データ演算を行う。
次に、図6に示すステップS16において、第2の自己相関演算部19は、MTIフィルタ16,17のエコーデータに対して第2の血流情報データ演算を行う。
次に、図6に示すステップS17において、乗算器20は、ステップS15,S16で生成した第1の血流情報データと第2の血流情報データを乗算し、乗算血流情報データを生成する。
次に、図6に示すステップS18において、DSC22は、乗算器20からの乗算血流情報データに対して閾値B1以上でかつ閾値B2以下の値を持つ乗算血流情報データを抽出する。この後、図6に示すステップS19において、DSC22は、すべての計算対象データの演算が終了したかの判別を行い、演算が終了していない場合にはステップS13の処理に戻り、演算が終了した場合にはステップS20の処理に移行する。
図6に示すステップS20において、DSC22は、ステップS18で抽出された乗算血流情報データに色相と輝度の割り当てを行い、図6に示すステップS21において、DSC22は、Bモード像演算部21で演算されたBモード画像データと前記乗算血流情報データが合成された超音波画像データを生成して、モニタ23に表示する。この後、図6に示すステップS11の処理に戻る。
以下、図7を用いてステップS15の処理について説明する。
図7に示すステップS31〜S34は図6に示すステップS15を構成している。
まず、図7に示すステップS31において、第1の自己相関演算部18は、図3Bに示す元データZ(i)を図3Aに示すクロック信号CLKのMクロック分だけ遅延させ図3Cに示す遅延データZ(i)を生成する。
次に、図7に示すステップS32において、第1の自己相関演算部18は、前記式(4)に示した演算を行い、ベクトル偏移データR(i)を生成する。
次に、図7に示すステップS33において、第1の自己相関演算部18は、ベクトル偏移データR(i)の積分を行い第1の自己相関値Rを生成する。
次に、図7に示すステップS34において、第1の自己相関演算部18は、第1の自己相関値Rの振幅値を演算すること第1の血流情報データで生成する。
以下、図8を用いてステップS16の処理について説明する。
図8に示すステップS41〜S44は図6に示すステップS16を構成している。
まず、図8に示すステップS41において、第2の自己相関演算部19は、図4Bに示す元データZ(i)を図4Aに示すクロック信号CLKのKクロック分だけ遅延させ図4Cに示す遅延データZ(i)を生成する。
次に、図8に示すステップS42において、第2の自己相関演算部19は、前記式(6)に示した演算を行い、ベクトル偏移データR(i)を生成する。
次に、図8に示すステップS43において、第2の自己相関演算部19は、ベクトル偏移データR(i)の積分を行い第2の自己相関値Rを生成する。
次に、図8に示すステップS44において、第2の自己相関演算部19は、第2の自己相関値Rの振幅値を演算すること第2の血流情報データで生成する。
(効果)
血流情報データが単純なパワー値ではホワイトノイズもある程度の値を持つのに対して、乗算器20が出力する乗算血流情報データにおけるホワイトノイズの値は0に近づく。そのため、従来の血流のパワーを表示する方法と比べて第1実施形態における超音波診断装置のデータ処理方法では血流信号とホワイトノイズの比が大きくなる。すなわち、ホワイトノイズを抑制する効果に優れている。
これにより、第1実施形態の超音波診断装置は、血流可視化を行うとともにノイズの抑制効果を向上することができ、血流情報をより正確に検出できる。
(第2の実施形態)
図9〜図11は本発明の第2実施形態の超音波診断装置を示したものである。
なお、図9〜図11において、図1〜図8に示した上記第1実施形態の超音波診断装置と同様の構成要素には同じ符号を付するものとし、ここでの詳しい説明は省略する。
(構成)
図9に示すように、本発明の第2実施形態の超音波診断装置2では、上述した第1実施形態の超音波診断装置における乗算器20の代わりに平均処理器30を設けている。
この平均処理器30は第1及び第2の自己相関演算部18,19がそれぞれ出力する第1の血流情報データと第2の血流情報データを振幅値を平均して得られた平均血流情報データを出力する。
DSC22は、平均処理器30で演算された平均血流情報データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に超音波探触子11のスキャン形状にあった形に座標変換及び補間処理し、平均血流情報データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成する。
(作用)
図10に示すように、第2実施形態の超音波診断装置2では、第1実施形態におけるステップS6の処理の代わりに、ステップS56に示す前記第1及び第2の自己相関の振幅値を平均して得られた平均値を所定の色相の輝度に対応させるカラー化ステップを用いている。
また、図11に示すように、第2実施形態の超音波診断装置2では、第1実施形態におけるステップS17の処理の代わりに、ステップS67に示す処理を用いている。
ステップS67において、平均処理器30は、ステップS15,S16で生成した第1の血流情報データと第2の血流情報データの平均を演算することで平均血流情報データを出力する。
上記第1実施形態の超音波診断装置について説明したように、第1の自己相関演算部18が出力する第1の血流情報データ及び第2の自己相関演算部19が出力する第2の血流情報データにおいて、ホワイトノイズ、血流からのエコー、生体組織からのエコーのそれぞれは図5に示すような大きさの関係にある。
従って、第1の血流情報データ及び第2の血流情報データを平均処理器30で平均した平均血流情報データにおいても、血流からのエコー、生体組織からのエコーのそれぞれは図5とほぼ同じ大きさの関係にある。ただし、ホワイトノイズに関しては、平均をとることで突発的な大きな値を抑制する効果が得られるため、より低い値を安定してとるようになる。
従って、ステップS56(図11の場合ステップS67)において特定の大きさの平均血流情報データを抽出して表示することで、血流からのエコーのみを表示することが可能となる。例えば、ホワイトノイズと血流エコーとの境界を定める閾値B1、及び生体組織からのエコーと血流からのエコーの境界を定める閾値B2を設け、閾値B1以上でかつ閾値B2以下の値を持つデータのみを画面表示することで、血流からのエコーのみを表示できる。
DSC22は、平均血流情報データを、振幅値を所定の色相の輝度に対応させて表示、もしくは振幅値を所定の色相に対応させてカラー表示を行う。
(効果)
血流情報データが単純なパワー値ではホワイトノイズもある程度の値を持つのに対して、平均処理器30からの平均血流情報データにおけるホワイトノイズの値は0に近づく。これにより、第2実施形態の超音波診断装置は、第1実施形態の超音波診断装置と同様に、血流可視化を行うとともにノイズの抑制効果を向上することができ、血流情報をより正確に検出できる。
また、第2実施形態の超音波診断装置では、ホワイトノイズに関して突発的な大きな値を抑制する効果が得られるため、血流情報をより安定に検出できる。
(第3の実施形態)
図12〜図13は本発明の第3実施形態の超音波診断装置を示したものである。
なお、図12〜図13において、図1〜図8に示した上記第1実施形態および図9〜図11に示した第2実施形態の超音波診断装置と同様の構成要素には同じ符号を付するものとし、ここでの詳しい説明は省略する。
(構成)
図12に示すように、本発明の第3実施形態の超音波診断装置3は、上述した第2実施形態の超音波診断装置に対して、前記平均処理器30の後段にさらに血流像演算部40が配設されている。
この血流像演算部40は、第1の自己相関演算部18において演算された第1の自己相関値R、及び平均処理器30で演算された平均血流情報データを入力し、所定の演算を経て血流像データを出力する。
この血流像データは、図示しない操作パネルから操作者が選択した動作モードに応じて血流速度データ、もしくは処理された平均血流情報データの何れかとなる。
また、本実施形態において、デジタルスキャンコンバータ22は血流像演算部40で演算された血流像データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に超音波探触子11のスキャン形状にあった形に座標変換および補間処理を行い、血流像データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成する。
(作用)
図13に示すように、本第3実施形態の超音波診断装置3は、上記第2実施形態におけるステップS18の代わりにステップS101に示すしきい値処理ステップを有し、さらに、ステップS100に示す速度値の演算ステップを有する。
まず、ステップS100について説明する。
血流の速度vは血流像演算部40において以下の式により演算される。
v={c/(4πfTM)}tan−1(RMy/RMx
c:音速
:送受信した超音波パルスの中心周波数
T:同一の音線に送受信の繰り返しを行う際の時間周期
M:上記第1実施形態で述べた遅延を定める整数
Mx:自己相関値Rの実数成分
My:自己相関値Rの虚数成分
次にステップS101について説明する。
はじめに血流像演算部40は、以下のしきい値処理を行って血流速度データを演算する。すなわち、平均血流情報データをしきい値B1、B2と比較し、平均血流情報データがしきい値B1以上でかつしきい値B2以下の値を持つ場合は、血流からのエコーであると判断できるため、血流速度データは速度vの値そのものとする。
平均血流情報データがしきい値B1より小さい場合、もしくはしきい値B2より大きい場合には、血流からのエコーではないと判断し、血流速度データはゼロに置き換える。一般に、血流速度データがゼロの場合はカラー表示を行わないため、血流からのエコーの速度値のみをカラー表示することができる。
また、血流像演算部40は、処理された平均血流情報データを以下のように求める。
血流の速度vの絶対値を所定のしきい値vと比較し、血流の速度vの絶対値がしきい値vよりも大きい場合は、血流からのエコーであると判断し、処理された平均血流情報データは平均血流情報データそのものとする。血流の速度vの絶対値がしきい値vよりも小さい場合は、生体組織からのエコーであると判断し、処理された平均血流情報データとしてゼロを出力する。
一般に、処理された平均血流情報データがゼロの場合はカラー表示を行わないため、血流からのエコーの平均血流情報データのみをカラー表示することができる。
血流像演算部40は、図示しない操作パネルから操作者が選択した動作モードに応じて血流速度データもしくは処理された平均血流情報データの何れかを血流像データとして出力する。
なお、ステップS100における速度値の演算ステップは第1の自己相関演算部18において演算された第1の自己相関値Rを用いる場合について説明したが、第1の自己相関演算部18の代わりに第2の自己相関演算部19で演算された第2の自己相関値Rを用いてもよい。
また、上述した第1の実施形態および第2の実施形態における説明から、本第3の実施形態において平均処理器30の代わりに乗算器20を用いる構成でも良いことは明かである。
さらに、平均処理器30での処理は必ずしも単純な平均処理に限定されず、所定の重みを掛けた平均もしくは加算であっても良い。
さらに、本発明におけるMTIフィルタはデジタルIIRフィルタに限定されず、デジタルFIRで構成しても良い。
(効果)
血流像データをカラー表示する場合に、平均処理器30から出力される平均血流情報データ及び血流像演算部40で演算される速度値を用いたしきい値処理を行うことで、ホワイトノイズおよび生体組織からのエコーのカラー表示を抑制することができ、血流の速度情報をより正確に検出できる超音波診断装置を実現することができる。
なお、上述した各実施の形態等を部分的等で組み合わせる等して構成される実施の形態等も本発明に属する。
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
以上説明したように本発明によれば、血流可視化を行うとともにノイズの抑制効果を向上できるので、血流情報をより正確に検出できる超音波診断装置を実現できる。
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2003年5月29日に日本国に出願された特願2003−152958号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。

Claims (9)

  1. 超音波診断装置のデータ処理方法は以下を含む;
    所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波送受信手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出ステップ、
    前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応するデータを所定の特性を有するフィルタに入力し、体内の運動部位からのエコーデータを抽出するフィルタリングステップ、
    前記フィルタリングステップで得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第1の所定時間遅延させた場合の第1の自己相関の振幅値を得る第1の振幅値取得ステップ、
    前記フィルタリングステップで得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第2の所定時間遅延させた場合の第2の自己相関の振幅値を得る第2の振幅値取得ステップ、
    前記第1、第2の自己相関の振幅値を掛け合わせて得られた乗算値を所定の色相の輝度に対応させるカラー化ステップ。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置のデータ処理方法において、
    前記データ抽出ステップにおける超音波送受信は超音波探触子を用いて行う。
  3. 請求項1に記載の超音波診断装置のデータ処理方法において、
    前記所定のフィルタは、MTIフィルタである。
  4. 超音波診断装置のデータ処理方法は以下を含む;
    所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波送受信手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出ステップ、
    前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応するデータを所定の特性を有するフィルタに入力し、体内の運動部位からのエコーデータを抽出するフィルタリングステップ、
    前記フィルタリングステップで得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第1の所定時間遅延させた場合の第1の自己相関の振幅値を得る第1の振幅値取得ステップ、
    前記フィルタリングステップで得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第2の所定時間遅延させた場合の第2の自己相関の振幅値を得る第2の振幅値取得ステップ、
    前記第1、第2の自己相関の振幅値を平均して得られた平均値を所定の色相の輝度に対応させるカラー化ステップ。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置のデータ処理方法において、
    前記データ抽出ステップにおける超音波送受信は超音波探触子を用いて行う。
  6. 請求項4に記載の超音波診断装置のデータ処理方法において、
    前記所定のフィルタは、MTIフィルタである。
  7. 超音波診断装置は、以下を含む;
    超音波振動子により所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ収得手段、
    前記超音波データ取得手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出手段、
    所定のフィルタ特性を有し、前記データ抽出手段により得られた所定の同一の深さに対応するデータを入力し、体内の運動部位からのエコーデータを抽出するフィルタ、
    前記フィルタにより得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第1の所定時間遅延させた場合の第1の自己相関の振幅値を得る第1の振幅値取得手段、
    前記フィルタにより得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第2の所定時間遅延させた場合の第2の自己相関の振幅値を得る第2の振幅値取得手段、
    前記第1、第2の自己相関の振幅値を掛け合わせて得られた乗算値を所定の色相の輝度に対応させるカラー化手段。
  8. 請求項7に記載の超音波診断装置において、
    前記フィルタは、MTIフィルタである。
  9. 超音波診断装置のデータ処理方法は以下を含む;
    所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波送受信手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出ステップ、
    前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応するデータを所定の特性を有するフィルタに入力し、体内の運動部位からのエコーデータを抽出するフィルタリングステップ、
    前記フィルタリングステップで得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第1の所定時間遅延させた場合の第1の自己相関の振幅値を得る第1の振幅値取得ステップ、
    前記フィルタリングステップで得られた前記体内の運動部位からのエコーデータを、第2の所定時間遅延させた場合の第2の自己相関の振幅値を得る第2の振幅値取得ステップ、
    前記第1、第2の自己相関の実数および虚数部から速度値を得るステップ、
    前記第1、第2の自己相関の振幅値を掛け合わせて得られた平均値を用いて前記速度値をしきい値処理するしきい値処理ステップ、
    前記しきい値処理ステップでしきい値処理された前記速度値を所定の色相の輝度に対応させるカラー化ステップ。
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