JP4312075B2 - 咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法及びこれに用いるための高栄養ゼリー状食品キット - Google Patents
咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法及びこれに用いるための高栄養ゼリー状食品キット Download PDFInfo
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Description
特に、飲み込むときにむせてしまい、誤嚥を起こす心配がある場合には、食事を十分に楽しむことができないばかりか、摂食できる食事量が少なくなり、蛋白質・エネルギーの低栄養状態になりやすい問題がある。
そのような場合の食事としては、やわらかくて飲み込みやすいゼリー状の食事、詳しくは、口腔内に入れた時に、滑らかで、変形しやすく、適度な流動性と粘度を有し、付着性と曳糸性がないゼリー状の食事であること、また、少量の食事でも十分なカロリーと栄養素を摂食できる高栄養食であることが望まれる。
さらに、クオリティオブライフ(以下QOLと略)、つまり、生活の質を向上させる観点からは、食べる喜びが味わえるような、美味しくてバラエティーに富んだ食事であることが望まれる。
しかしながら、このようにして製した高栄養ゼリー状食品は、べたつきのある食感を有することに加えて、肉、魚介類、野菜等のペースト状物の配合量を増やすほど、よりざらつきのある物性となる傾向があり、依然として十分に飲み込みやすい食事とはいえないものであった。
さらに、このような、咀嚼・嚥下困難者用等に用いる嚥下しやすい食事を簡便に提供するための高栄養ゼリー状食品キットとして、前記高栄養ゼリー状食品が充填密封されてなる包装体と前記液状調味料が充填密封されてなる包装体とをセットとして少なくとも含む高栄養ゼリー状食品キットを見出し、遂に本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を含む高栄養ゼリー状食品を用いた咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法であって、前記高栄養ゼリー状食品の上に、キサンタンガムが配合され粘度が5×10−2Pa・s〜5×10 −1 Pa・sである液状調味料をかけて接触させる咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法、
(2) (1)記載の咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法に用いる高栄養ゼリー状食品キットであって、製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を含む高栄養ゼリー状食品が充填密封されてなる包装体と、キサンタンガムが配合され粘度が5×10−2Pa・s〜5×10 −1 Pa・sである液状調味料が充填密封されてなる包装体とをセットとして少なくとも含むことを特徴とする高栄養ゼリー状食品キット、
である。
さらに、本発明の高栄養ゼリー状食品キットにより、このような、咀嚼・嚥下困難者用等の食事を簡便に提供できる。
まず、本発明において、高栄養食品とは、製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上である食品をいう。少量の食事で十分な栄養を摂取する点からは、製品100g当たりカロリーが120kcal以上、並びに蛋白質が6g以上が好ましく、製品100g当たりカロリーが130kcal以上、並びに蛋白質が8g以上がより好ましい。
高栄養ゼリー状食品は、高栄養となるほどべたついた食感が増す傾向があるが、本発明によると、このようなべたついた食感の高栄養ゼリー状食品を用いた食事であっても、嚥下しやすい食事として提供できる。
なお、カロリー並びに蛋白質の測定方法は、栄養表示基準(平成8年5月20日厚生省告示第146号)別表第1の第3欄記載の方法、すなわち、カロリーは修正アトウォーター法、蛋白質は窒素定量換算法に準ずる。
また、本発明は、ざらついたりべたついたりしやすい高栄養ゼリー状食品であっても、嚥下しやすくなることに特徴を有するので、よりざらついた物性となりやすい、肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を含む高栄養ゼリー状食品において好適に実施できる。
さらに、本発明は、過度な熱がかかるため嚥下しやすい物性とすることが難しい100℃を超える温度で加熱殺菌されてなる高栄養ゼリー状食品であっても、嚥下しやすくなることに特徴を有するので、このような100℃を超える温度で加熱殺菌されてなる高栄養ゼリー状食品、特に、当該食品の中心部の品温を120℃で4分間相当加熱したもの又はこれと同等以上の効力を有する条件で加熱したいわゆるレトルト処理された高栄養ゼリー状食品においてより好適に実施できる。
このように、液状調味料と接触させた状態で咀嚼・嚥下困難者に食事を提供することにより、咀嚼・嚥下困難者は高栄養ゼリー状食品を前記特定の粘度の液状調味料とともに摂食することになるため、後述の実施例に示すように、ざらついたりべたついたりしやすい高栄養ゼリー状食品であっても、嚥下しやすい食事となる。
これに対して、高栄養ゼリー状食品をそのまま咀嚼・嚥下困難者用食事として提供すると、後述の比較例に示すように、咀嚼・嚥下困難者がこれを摂食する際に、口腔内でざらついたりべたついたりしてしまい、嚥下しにくい食事となる。
また、高栄養ゼリー状食品に粘度が5×10−2Pa・s未満である液状調味料を接触させて提供すると、後述の試験例に示すように、咀嚼・嚥下困難者がこれを摂食する際に、口腔内でざらついたりべたついたりしてしまい、嚥下しにくい食事となる。
これら高栄養ゼリー状食品キットは小口パック(例えば1食乃至3食分)とすれば、例えば小規模な高齢者福祉施設や病院、あるいは家庭用として、また、大口パック(例えば10食乃至50食分)とすれば、例えば、大規模な高齢者福祉施設や病院用として使用でき、簡便に当該食事を提供できる。
(1)高栄養ゼリー状食品の製造
原料として、鶏肉10部、タマネギ2部、サラダ油12部、醤油0.3部、食塩0.1部、カラギナン0.5部、粉末寒天0.1部、分離大豆蛋白(蛋白質含量90%)3.5部、デキストリン2部及び清水69.5部を用意した。
次に、攪拌機付きニーダーで鶏肉及びタマネギをサラダ油の配合の一部でソテーし、これに残りのサラダ油と清水に混合分散した醤油、食塩、カラギナン、粉末寒天、分離大豆蛋白及びデキストリンを加えて攪拌混合した後、コミトロール(アーシャル社製、モデルナンバー1700、200ブレード)でペースト化処理した。
続いて、前記ペースト化処理した原料をカップ型の耐熱性合成樹脂製容器(70ml容量)に60gずつ充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、熱水式レトルト中で120℃で20分間加熱殺菌した後、冷却して、容器入り高栄養ゼリー状食品を得た。
製した高栄養ゼリー状食品は、製品100g当たりカロリーが150kcal、並びに蛋白質が9gであり、その固さは、7×103N/m2であった。
(2)液状調味料の製造
醸造酢30部、ブドウ糖果糖液糖10部、食塩5部、キサンタンガム0.3部、香辛料0.1部及び清水54.6部をミキサーに投入して混合しpH4.0の液状調味料を得た。この液状調味料を合成樹脂製のフィルム包装に充填密封してパウチ入り液状調味料を得た。
この液状調味料の品温20℃における粘度は、2.0×10−1Pa・sであった。
(3)高栄養ゼリー状食品キットの製造
(1)で製した容器入り高栄養ゼリー状食品と(2)で製したパウチ入り液状調味料を 80mm×80mm×30mmの化粧箱に入れて、高栄養ゼリー状食品キットを製した。
(4)咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法
(3)で製した高栄養ゼリー状食品キットから、容器入り高栄養ゼリー状食品(内容量60g、品温20℃)を開封して取り出し、皿に盛り付けた。次に、パウチ入り液状調味料(内容量15g、品温20℃)を開封し、皿に盛り付けた高栄養ゼリー状食品の上からかけて、咀嚼・嚥下困難者に食事として提供した。
この咀嚼・嚥下困難者用食事を摂食し、その咀嚼のしやすさを評価したところ、口腔内でざらついたりべたついたりすることなく、嚥下しやすい食事であった。
実施例の(1)で製した容器入り高栄養ゼリー状食品(内容量60g、品温20℃)を開封して取り出し、皿に盛り付けた。これを、咀嚼・嚥下困難者に食事として提供した。
この咀嚼・嚥下困難者用食事を摂食し、その咀嚼のしやすさを評価したところ、口腔内でざらついたりべたついたりしてしまい、嚥下しにくい食事であった。
実施例(2)において、液状調味料のキサンタンガムの配合量を変え、その減少分又は増加分は清水の配合量で補正して、液状調味料の粘度がそれぞれ表1に示す粘度になるようにした以外は、実施例と同様な方法で咀嚼・嚥下困難者に食事を提供した。
これらの咀嚼・嚥下困難者用食事を摂食し、その咀嚼のしやすさを評価した。結果を表1に示す。
嚥下したときの口腔内の付着性の評価
◎:べたつかない
○:ほとんどべたつかない
△:ややべたつく
×:べたつく
嚥下したときの口腔内のざらつきの評価
◎:ざらつかない
○:ほとんどざらつかない
△:ややざらつく
×:ざらつく
嚥下のしやすさの総合評価
◎:口腔内の付着性の評価とざらつきの評価の両方が◎のもの、又は、口腔内の付着性の評価とざらつきの評価のいずれか一方が◎で他方が○のもの
○:口腔内の付着性の評価とざらつきの評価の両方が○のもの
△:総合評価が◎、○、×以外のもの。
×:口腔内の付着性の評価とざらつきの評価のいずれかひとつが×のもの。
特に、前記液状調味料として、5×10−2Pa・s〜5Pa・sの液状調味料を用いた咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法は、より嚥下しやすい食事であり好ましかった。
Claims (2)
- 製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を含む高栄養ゼリー状食品を用いた咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法であって、前記高栄養ゼリー状食品の上に、キサンタンガムが配合され粘度が5×10−2Pa・s〜5×10 −1 Pa・sである液状調味料をかけて接触させることを特徴とする咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法。
- 請求項1記載の咀嚼・嚥下困難者用食事の提供方法に用いる高栄養ゼリー状食品キットであって、製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を含む高栄養ゼリー状食品が充填密封されてなる包装体と、キサンタンガムが配合され粘度が5×10−2Pa・s〜5×10 −1 Pa・sである液状調味料が充填密封されてなる包装体とをセットとして少なくとも含むことを特徴とする高栄養ゼリー状食品キット。
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