JP2020146036A - ゼリー食品 - Google Patents

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Hiroko Sawada
弘子 澤田
峻 砂田
Shun Sunada
峻 砂田
川上 智美
Tomomi Kawakami
智美 川上
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Abstract

【課題】本技術は、口腔機能を向上させるための新たな手段を提供することを目的とする。特には、口腔機能のうち舌機能の向上に適した食品を提供することを目的とする。【解決手段】本技術は、第一のゼリーからなるゼリー相中に、前記第一のゼリーよりも硬い第二のゼリーからなるゼリー片を含むゼリー食品を提供する。前記第二のゼリーの硬さは、好ましくは前記第一のゼリーよりも1000N/m2以上高い。前記第一のゼリーの付着性は、好ましくは前記第二のゼリーよりも100J/m3以上低い。前記第二のゼリーの凝集性は、好ましくは前記第一のゼリーよりも0.05低い。前記ゼリー食品は、例えば口腔機能を維持又は向上させるために用いられてよい。【選択図】図2

Description

本技術は、ゼリー食品に関し、特には複数相のゼリー食品に関する。
口腔機能は健康寿命又はQOLに大きな影響を与える。そのため、特には高齢者に関して、口腔機能の維持又は向上が求められている。高齢者の口腔機能に関して、オーラルフレイル及び口腔機能低下症という概念が注目されている。オーラルフレイルは口腔に現れる虚弱を意味し、例えば口腔リテラシーの低下、滑舌の低下、及び食べこぼしなどの状態を含む。オーラルフレイルを放置すると口腔機能低下症に至る。口腔機能低下症の具体的な症状として、口腔不潔、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、及び嚥下機能低下が挙げられる。口腔機能低下症を放置すると、口腔機能障害に至り、例えば摂食嚥下障害及び咀嚼機能不全などを引き起こし、口腔機能低下症の段階に戻ることは困難になると考えられている。そのため、口腔機能低下症を早期に自覚し、より好ましくはオーラルフレイルを早期に自覚し、そして、積極的に介入することで、高齢者の豊かな食生活及び健康維持を実現していくことが望ましいと言われている。
また、口腔機能とフレイルとの関わりも指摘されており、口腔機能の低下(例えばオーラルフレイル及び口腔機能低下症など)が発端となって、フレイル又はフレイルの一因であるサルコペニアがもたらされるとも考えられている。フレイルは、加齢に伴う体力の低下及び筋力の低下などの状態の変化をいう。フレイルの一因としてサルコペニアがあり、サルコペニアは、例えば筋肉量の減少など、筋力及び身体機能が低下している状態を含む。口腔機能に関しては、サルコペニアの摂食嚥下障害がしばしば問題として取り上げられている。
以上のとおり、口腔機能の維持又は向上は、高齢者の健康のために重要であると考えられている。これまでに、口腔機能の維持又は向上を目的とした食品に関していくつか提案されている。例えば、下記特許文献1には、1×10−6〜1×10−1Mのメントールを含有する、ことを特徴とする摂食・嚥下改善食品が開示されており(請求項1)、当該食品がゼリー状であることも記載されている(請求項4)。
特開2008−094743号公報
本技術は、口腔機能を向上させるための新たな手段を提供することを目的とする。特には、口腔機能のうち舌機能の向上に適した食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の構造及び物性を有するゼリー食品が、口腔機能の維持又は向上のために適していることを見出した。
すなわち、本技術は以下を提供する。
[1]第一のゼリーからなるゼリー相中に、前記第一のゼリーよりも硬い第二のゼリーからなるゼリー片を含むゼリー食品。
[2]前記第二のゼリーの硬さが、前記第一のゼリーよりも1000N/m以上高い、[1]に記載のゼリー食品。
[3]前記第一のゼリーの硬さが、3000N/m〜10000N/mである、[1]又は[2]に記載のゼリー食品。
[4]前記第二のゼリーの硬さが、8000N/m〜20000N/mである、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[5]前記第一のゼリーの付着性が、前記第二のゼリーよりも100J/m以上低い、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[6]前記第一のゼリーの付着性が、10J/m〜200J/mである、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[7]前記第二のゼリーの付着性が、200J/m〜600J/mである、[1]〜[6]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[8]前記第二のゼリーの凝集性が、前記第一のゼリーよりも0.05以上低い、[1]〜[7]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[9]前記第一のゼリーの凝集性が、0.3〜0.5である、[1]〜[8]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[10]前記第二のゼリーの凝集性が、0.1〜0.4である、[1]〜[9]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[11]第一のゼリーからなるゼリー相中に、前記第一のゼリーよりも付着性が高く且つ凝集性が低い第二のゼリーからなるゼリー片を含むゼリー食品。
[12]前記ゼリー片の体積が、0.02cm〜4cmである、[1]〜[11]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[13]前記ゼリー食品中の前記ゼリー片の充填率が、30%(w/w)〜80%(w/w)である、[1]〜[12]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[14]口腔機能を維持又は向上させるために用いられる、[1]〜[13]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[15]舌機能及び/又は舌圧を維持又は向上させるために用いられる、[1]〜[14]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[16]嚥下機能の低下防止若しくは改善、舌口唇運動機能の低下防止若しくは改善、食事摂取量の維持若しくは増加、食事残渣の口腔残留の減少、又は、流涎若しくは食べこぼしの抑制のために用いられる、[1]〜[15]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
[17]舌の表面不整の改善、舌の発赤の改善、又は、舌苔付着防止若しくは舌苔付着状況の改善のために用いられる、[1]〜[16]のいずれか一つに記載のゼリー食品。
本技術のゼリー食品により、舌機能を向上させることができる。特には、本技術のゼリー食品により、舌圧及び/又は舌活動量を高めることができる。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
物性の測定方法を説明するための図である。 舌機能の評価結果を示す図である。 舌圧の測定結果を示す図である。 咽頭マイクが装着されている状態を示す図である。 舌圧センサが装着されている状態を示す図である。 舌圧センサの口腔内における配置を説明するための図である。
以下に本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態のみに限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができる。
1.本技術のゼリー食品
本技術のゼリー食品は、第一のゼリーからなるゼリー相中に、第二のゼリーからなる少なくとも一つのゼリー片を含み、より好ましくは第二のゼリーからなる複数のゼリー片を含む。本技術の一つの実施態様に従い、前記第二のゼリーは前記第一のゼリーよりも硬い。本技術の他の実施態様に従い、前記第二のゼリーは前記第一のゼリーよりも付着性が低く且つ凝集性が低い。このような異なる物性を有する2つのゼリーを含むゼリー食品によって、口腔機能、特には舌機能を向上させることができる。
以下で、当該ゼリー食品の詳細を説明する。
(1)ゼリー食品の構成要素の物性
以下で、前記ゼリー相を形成する前記第一のゼリーの物性及び前記ゼリー片を形成する前記第二のゼリーの物性について説明する。
好ましくは、前記第二のゼリーは、前記第一のゼリーよりも高い硬さを有する。例えば、前記第二のゼリーの硬さは、前記第一のゼリーよりも1000N/m以上高く、より好ましくは前記第一のゼリーよりも1200N/m以上高く、さらにより好ましくは2000N/m以上高い。
前記第二のゼリーの硬さは、例えば前記第一のゼリーよりも1000N/m〜10000N/m高く、より好ましくは前記第一のゼリーよりも1200N/m〜9000N/m高く、さらにより好ましくは2000N/m〜6000N/m高い。
前記第一のゼリー及び前記第二のゼリーが、以上で述べたとおりの硬さの差を有することによって、好ましい刺激を対象の口腔機能に与えることができ、口腔機能(特には舌機能)の維持又は向上に寄与する。
前記第一のゼリーの硬さは、好ましくは3000N/m〜10000N/mであり、より好ましくは5000N/m〜10000N/mであり、より好ましくは6000N/m〜9500N/mであり、さらにより好ましくは7000N/m〜9000N/mである。
前記第二のゼリーの硬さは、好ましくは8000N/m〜20000N/mであり、より好ましくは9000N/m〜18000N/mであり、さらにより好ましくは10000N/m〜15000N/mである。
本明細書内において、第一のゼリー及び第二のゼリーの硬さは、厚生労働省通知「食安発第0212001号 特別用途食品の表示許可等について」の別紙2の項目「4 えん下困難者用食品の試験方法」に記載された「硬さ、付着性及び凝集性の試験方法」に従い測定される。具体的には、試料を直径40mm且つ高さ20mmの容器に高さ15mmに充填し、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置(テクスチャーアナライザーTA-XT2i、Stable Micro Systems社)を用いて、直径20mm且つ高さ8mmの樹脂性の円柱形プランジャーを用い、20℃温度下で、圧縮速度10mm/sec且つクリアランス5mmで定速2回圧縮測定する。硬さは、当該測定における最大応力である。図1は、硬さの算出方法を説明するためのテクスチャープロファイル(テクスチャー曲線)の模式図である。図1は、上記測定における時間に対する応力の変化の例が示されている。硬さは、図1においてHから、次式により算出される。式:硬さ(N/m2)=H(N)/プランジャー断面積(m2)。
好ましくは、前記第一のゼリーは、前記第二のゼリーよりも低い付着性を有する。例えば、前記第一のゼリーの付着性は、前記第二のゼリーよりも100J/m以上低く、より好ましくは120J/m以上低く、さらにより好ましくは150J/m以上低い。
例えば、前記第一のゼリーの付着性は、前記第二のゼリーよりも100J/m〜300J/m低く、より好ましくは120J/m〜280J/m低く、さらにより好ましくは150J/m〜250J/m低い。
前記第一のゼリー及び前記第二のゼリーが、以上で述べたとおりの付着性の差を有することによって、好ましい刺激を対象の口腔機能に与えることができ、口腔機能(特には舌機能)の維持又は向上に寄与する。
前記第一のゼリーの付着性は、好ましくは10J/m〜200J/mであり、より好ましくは10J/m〜100J/mであり、より好ましくは10J/m〜80J/mであり、さらにより好ましくは15J/m〜50J/mである。
前記第二のゼリーの付着性は、好ましくは200J/m〜600J/mであり、より好ましくは200J/m〜500J/mであり、さらにより好ましくは200J/m〜400J/mである。
本明細書内において、第一のゼリー及び第二のゼリーの付着性も、前記厚生労働省通知中の「硬さ、付着性及び凝集性の試験方法」に従い測定される。具体的には、付着性は、試料に付着したプランジャーを引き離そうとする力(N)の面積(エネルギー)であり、図1における、領域A3の面積に相当する。
好ましくは、前記第二のゼリーは、前記第一のゼリーよりも低い凝集性を有する。例えば、前記第二のゼリーの凝集性は、前記第一のゼリーよりも0.05以上低く、より好ましくは0.06以上低く、さらにより好ましくは0.07以上低い。
例えば、前記第二のゼリーの凝集性は、前記第一のゼリーよりも0.05〜0.3低く、より好ましくは0.06〜0.25低く、さらにより好ましくは0.07〜0.2低い。
前記第一のゼリー及び前記第二のゼリーが、以上で述べたとおりの凝集性の差を有することによって、好ましい刺激を対象の口腔機能に与えることができ、口腔機能(特には舌機能)の維持又は向上に寄与する。
前記第一のゼリーの凝集性は、好ましくは0.3〜0.5であり、より好ましくは0.33〜0.47であり、さらにより好ましくは0.35〜0.45である。
前記第二のゼリーの凝集性は、好ましくは0.1〜0.4であり、より好ましくは0.15〜0.37であり、さらにより好ましくは0.2〜0.35である。
本明細書内において、第一のゼリー及び第二のゼリーの凝集性も、前記厚生労働省通知中の「硬さ、付着性及び凝集性の試験方法」に従い測定される。具体的には、凝集性は、1回目と2回目の負荷面積(エネルギー)の比であり、図1のうち領域A1及びA2の面積を用いて以下の式により求められる:凝集性=(A2の面積)/(A1の面積)。
前記第一のゼリー及び前記第二のゼリーが以上で述べた物性のうちのいずれか1つ若しくは2つにおける差又は以上で述べた3つの物性全てにおける差を有することが、舌機能の維持又は向上に貢献し、特にはこれらゼリーの物性及び以下で述べる構造の組み合わせが舌機能の維持又は向上に貢献する。舌機能の維持又は向上によって、口腔機能の維持又は向上ももたらされると考えられる。
本技術のゼリー食品は、1種類のゼリー片を含むものであってよく、又は、風味及び/又は形状において異なる2種以上(例えば2種〜5種)のゼリー片を含むものであってもよい。製造コストの観点からは、本技術のゼリー食品は、1種類のゼリー片を含むものである。2種類以上のゼリー片を含む場合において、当該2種類以上のゼリー片の全てが、以上で述べた第二のゼリーに関する物性を有してよく、又は、当該2種類以上のゼリー片の少なくとも1種類が、以上で述べた第二のゼリーに関する物性を有してもよい。
(2)ゼリー食品の構造
本技術のゼリー食品は、前記少なくとも一つのゼリー片(好ましくは複数のゼリー片)が前記ゼリー相中に含まれているという構造を有する。前記ゼリー食品中の前記ゼリー片の充填率は、好ましくは30%(w/w)〜80%(w/w)であり、より好ましくは35%(w/w)〜75%(w/w)であり、さらにより好ましくは45%(w/w)〜65%(w/w)である。前記充填率が前記数値範囲内にあることによって、舌機能を向上させるためにより適した刺激をヒトに与えることができる。前記充填率が少なすぎる場合又は多すぎる場合、前記ゼリー相のみ又は前記ゼリー片のみが口腔内に存在するかのように認識され、十分な刺激を与えられない場合がある。
特には、45%(w/w)〜65%(w/w)である充填率によって、舌機能の向上に加えて、より飲み込み易くなる。当該飲み込み易さは、特には飲み込み時の食塊の流動音継続時間により評価される飲み込み易さである。すなわち、前記数値範囲内の充填率によって、飲み込み時の食塊の流動音継続時間をより短くすることができる。前記流動音継続時間は、咽頭マイク(Voice Touch、有限会社南豆無線電機製)を装着した状態で食塊を嚥下した場合の食塊が咽頭部を通過するのに要する時間である。
前記ゼリー食品の前記ゼリー片以外の部分は前記ゼリー相から構成されていてよい。前記ゼリー食品中の前記ゼリー相の充填率は、好ましくは70(w/w)〜20%(w/w)であり、より好ましくは65(w/w)〜25%(w/w)であり、さらにより好ましくは55%(w/w)〜35%(w/w)である。
本技術の一つの実施態様に従い、前記ゼリー食品は、前記ゼリー相及び前記ゼリー片のみから構成されうる。すなわち、この実施態様に従う前記ゼリー食品は、ゼリーのみから構成される。
本技術の他の実施態様に従い、前記ゼリー食品は、前記ゼリー相及び前記ゼリー片に加えて、さらに他の構成要素を含んでも良い。当該他の構成要素は、例えば果物片、野菜片、及びスターチボール(例えばタピオカパールなど)から選ばれる1つ以上であってよい。すなわち、この実施態様に従う前記ゼリー食品は、ゼリーと他の構成要素とから構成される。
本技術のゼリー食品に含まれる前記ゼリー片のぞれぞれの体積は、好ましくは0.02cm〜4cmであり、より好ましくは0.05cm〜3cmであり、さらにより好ましくは0.1cm〜3cmである。前記ゼリー片が前記数値範囲内の体積を有することによって、舌機能を向上させるためにより適した刺激をヒトに与えることができる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記体積は0.5cm〜2cmである。前記ゼリー片が前記数値範囲内の体積を有することによって、舌機能の向上に加えて、より飲み込み易くなる。当該飲み込み易さは、特には飲み込み時の食塊の流動音継続時間により評価される飲み込み易さである。前記数値範囲内の体積によって、飲み込み時の食塊の流動音継続時間をより短くすることができる。
本技術の他の実施態様に従い、前記体積は0.1cm〜0.5cmである。当該数値範囲内の体積は、舌機能の向上に特に適している。
本技術のゼリー食品に含まれる前記ゼリー片は、少なくとも一つの多角形の面(特には平面)を有し、例えば少なくとも一つの三角形、四角形、五角形、又は六角形の面を有し、好ましくは少なくとも一つの三角形、四角形、又は五角形の平面を有し、特に好ましくは少なくとも一つの四角形の平面を有する。前記ゼリー片は、好ましくは多角形の面のみから構成された立体的形状を有する。当該立体的形状が、口腔機能、特には舌機能の維持又は向上に寄与しうる。
前記ゼリー片は、好ましくは立方体又は直方体の形状を有する。当該形状が、口腔機能、特には舌機能の維持又は向上に寄与しうる。
当該立方体又は当該直方体の一辺の長さは、好ましくは0.3cm〜2cmであり、より好ましくは0.5cm〜1.5cmであり、さらにより好ましくは0.7cm〜1.3cmである。当該立方体又は当該直方体が上記寸法を有することが、口腔機能、特には舌機能の維持又は向上のために適している。
特には、当該立方体又は当該直方体の一辺の長さが0.7cm〜1.3cmであることによって、舌機能の向上に加えて、より飲み込み易くなる。当該飲み込み易さは、特には飲み込み時の食塊の流動音継続時間により評価される飲み込み易さである。前記数値範囲内の寸法によって、飲み込み時の食塊の流動音継続時間をより短くすることができる。
(3)ゼリー食品の構成要素の組成
前記第一のゼリー及び前記第二のゼリーは、以上で述べた構造又は物性を有するように構成されていればよく、これらのゼリー夫々の組成は例えば所望の味及び/又は外観に応じて当業者により適宜選択されてよい。
前記第一のゼリーは、ゲル化剤を含みうる。当該ゲル化剤によって、ゼリーが形成されうる。当該ゲル化剤は、例えば所望の物性又は当該ゼリー中の成分に応じて、当技術分野において用いられるゲル化剤のうちから、当業者により適宜選択されてよい。
当該ゲル化剤は、例えば蛋白質系ゲル化剤又は糖類系ゲル化剤であってよい。当該糖類系ゲル化剤として例えば、植物性多糖類、植物性樹液由来多糖類、海藻由来の多糖類、微生物由来多糖類、澱粉、合成ゲル化剤、及びその他のゲル化剤を挙げることができる。
より具体的には、当該ゲル化剤は以下から選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせであってよい:
−蛋白質系ゲル化剤、例えばゼラチンなど;
−植物性多糖類、例えばサイリウムシードガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム、ペクチン、及びグルコマンナンなど;
−植物性樹液由来多糖類、例えばアラビアガム、トラガカントガム、及びカラヤガムなど;
−海藻由来の多糖類、例えばカラギーナン、寒天、アルギン酸、及びアルギン酸ナトリウムなど;
−微生物由来多糖類、例えばスクシノグリカン、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、及びプルランなど;
−澱粉、例えばコーンスターチ、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、及びデキストリンなど
−合成ゲル化剤、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)及びカチオン化グアーガムなど;並びに
−その他のゲル化剤、例えばセルロース、コンニャクマンナン、及び大豆多糖類など。
前記第二のゼリーもゲル化剤を含みうる。前記第一のゼリーに含まれるゲル化剤の例についての上記説明が、前記第二のゼリーに含まれるゲル化剤にも当てはまる。前記第二のゼリーに含まれるゲル化剤は、前記第一のゼリーに含まれるゲル化剤と同じものであってよく、又は、異なるものであってもよい。
前記第一のゼリーに含まれるゲル化剤と前記第二のゼリーに含まれるゲル化剤とが同じである場合、前記第二のゼリーに含まれるゲル化剤の量は、前記第一のゼリーに含まれるゲル化剤の量の、好ましくは1.05倍〜1.6倍であり、より好ましくは1.1倍〜1.5倍であり、さらにより好ましくは1.2倍〜1.4倍である。このようなゲル化剤量によって、上記で述べた物性における差をもたらすことができる。
特に第一のゼリーに含まれるゲル化剤としては、グァーガム、ローカストビーンガム 、キサンタンガム、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、寒天、及びデキストリンの組合せを使用することが出来る。
特に第二のゼリーに含まれるゲル化剤としては、カラギナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、発酵セルロース、CMC-Na、グァーガム、及びデキストリンの組合せを用いることが出来る。
前記第一のゼリーに含まれるゲル化剤の量を調節することによって、前記第一のゼリーに、上記「(1)ゼリー食品の構成要素の物性」において述べた物性を持たせることができる。ゲル化剤の種類及び量は、前記第一ゼリーについての所望の物性に応じて当業者により適宜設定されてよい。前記第一のゼリー中の当該ゲル化剤の含有量は、例えば前記第一のゼリー100質量部に対して0.1質量部〜5質量部であり、好ましくは0.2質量部〜2質量部であり、より好ましくは0.3質量部〜1質量部であってよい。
前記第二のゼリーに含まれるゲル化剤の量を調節することによって、前記第二のゼリーに、上記「(1)ゼリー食品の構成要素の物性」において述べた物性を持たせることができる。前記第二のゼリーに含まれるゲル化剤の量は、好ましくは前記第一のゼリーに含まれるゲル化剤の量より多い。当該ゲル化剤の種類及び量は、前記第二ゼリーについての所望の物性に応じて当業者により適宜設定されてよい。前記第二のゼリー中の当該ゲル化剤の含有量は、例えば前記第一のゼリー100質量部に対して0.1質量部〜5質量部であり、好ましくは0.5質量部〜3質量部であり、より好ましくは0.7質量部〜2質量部であってよい。
前記第一のゼリーは、ゲル化剤に加えて、例えば水、甘味料、果汁、野菜汁、香料、着色料、及び酸味料などの成分を含みうる。これらの成分の種類及び含有割合は、所望の味及び/又は外観に応じて当業者により適宜選択されてよい。
前記第二のゼリーも、ゲル化剤に加えて、例えば水、甘味料、果汁、野菜汁、香料、着色料、及び酸味料などの成分を含みうる。これらの成分の種類及び含有割合も、所望の味及び/又は外観に応じて当業者により適宜選択されてよい。
前記第一のゼリーの風味は、前記第二のゼリーの風味と同じであってよく又は異なっていてもよい。例えば、これら2つのゼリーが同じフレーバーを含むが、これら2つのゼリーに含まれるフレーバーの量が異なっていてよい。また、これら2つのゼリーが異なる風味を有していてもよい。
特に好ましい実施態様に従い、本技術のゼリー食品は、当該ゼリー食品100g当たりの蛋白質量が好ましくは3g〜12gであり、より好ましくは5g〜10gであり、さらにより好ましくは5g〜8gでる。このように高い蛋白質含有割合によって、舌機能をさらに高めることができる。より具体的には、舌機能に関与する筋肉をより効率的に強化することができる。
特に好ましい実施態様に従い、本技術のゼリー食品は、当該ゼリー食品100g当たりのエネルギー量が好ましくは50kcal〜200kcalであり、より好ましくは80kcal〜170kcalであり、さらにより好ましくは100kcal〜150kcalである。このようなエネルギー量によって、例えばエネルギー補給を効率的に行うことができる。
2.本技術のゼリー食品の製造方法
本技術のゼリー食品は、ゼリー食品に関する技術分野において既知の方法により製造されてよい。本技術のゼリー食品の製造方法は、例えば以下の工程を含む。
工程a:第二のゼリーを製造する第二ゼリー製造工程、
工程b:第二のゼリーを裁断してゼリー片を得る裁断工程、
工程c:第一のゼリーを製造するための液(以下「第一ゼリー液」という)中に、前記ゼリー片を添加する添加工程、及び
工程d:前記添加工程後に、前記第一ゼリー液をゲル化してゼリー相として本技術のゼリー食品を得るゼリー相形成工程。
以下で、各工程について説明する。
工程a:第二ゼリー製造工程
工程aは、第二のゼリーを製造するための液(以下「第二ゼリー液」という)を調製する第二ゼリー液調製工程、及び、当該第二ゼリー液をゲル化して前記第二のゼリーを得るゲル化工程を含みうる。
工程aにおける前記第二ゼリー液調製工程において、例えば水及びゲル化剤を混合及び加熱して、前記第二ゼリー液が得られうる。前記第二ゼリー液調製工程において、例えば甘味料、果汁、野菜汁、香料、着色料、酸味料、ゲル化促進剤、形状保持剤、及び安定剤などの成分も前記第二ゼリー液に適宜混合されてよい。
工程aにおける前記ゲル化工程において、前記第二ゼリー液がゲル化される。当該ゲル化のための手段は、ゲル化剤の種類に応じて適宜選択されてよい。ゲル化するための手段として、例えば冷却、酸処理、又はアルカリ処理を挙げることができる。当該ゲル化によって、第二のゼリーが得られる。当該第二のゼリーの物性は、上記1.の「(1)ゼリー食品の構成要素の物性」において説明したとおりである。
工程b:裁断工程
工程bにおいて、前記第二のゼリーが所望の形状へと裁断されて、ゼリー片が得られる。当該形状は、上記1.の「(2)ゼリー食品の構造」において説明したとおりである。
工程c:添加工程
工程cは、第一のゼリーを製造するための第一ゼリー液を調製する第一ゼリー液調製工程、及び、当該第一ゼリー液に前記ゼリー片を添加する添加工程を含みうる。
工程cにおける前記第一ゼリー液調製工程において、例えば水及びゲル化剤を混合及び加熱して、前記第一ゼリー液が得られうる。前記第二ゼリー液調製工程において、例えば甘味料、果汁、野菜汁、香料、着色料、酸味料、ゲル化促進剤、形状保持剤、及び安定剤などの成分も適宜混合されてよい。
工程cにおける前記添加工程において、工程bにおいて得られたゼリー片が、前記第一ゼリー液に添加される。
工程d:ゼリー相形成工程
工程dにおいて、前記第一ゼリー液がゲル化される。当該ゲル化のための手段は、ゲル化剤の種類に応じて適宜選択されてよい。ゲル化するための手段として、例えば冷却、酸処理、又はアルカリ処理を挙げることができる。当該ゲル化によって、第一のゼリーからなるゼリー相が形成される。当該第一のゼリーの物性は、上記1.の「(1)ゼリー食品の構成要素の物性」において説明したとおりである。
3.本技術のゼリー食品の使用方法
本技術のゼリー食品は、口腔機能を維持又は向上させるために用いられてよく、より好ましくは舌機能及び/又は舌圧を維持又は向上させるために用いられる。本技術のゼリー食品は、舌機能及び/又は舌圧を維持又は向上させるために適しており、これにより、口腔機能が向上されうる。
また、舌機能及び/又は舌圧の維持及び/又は向上は、例えば、嚥下機能の低下防止又は改善をもたらしうる。そのため、本技術のゼリー食品は、嚥下機能の低下防止又は改善のために用いられてよい。
また、舌機能及び/又は舌圧の維持及び/又は向上は、舌口唇運動機能の低下防止又は改善をもたらしうる。そのため、本技術のゼリー食品は、舌口唇運動機能の低下防止又は改善のために用いられてよい。
また、舌機能及び/又は舌圧の維持及び/又は向上は、食事摂取量を維持し又は増加させ、食事残渣の口腔残留を減少させ、又は、流涎若しくは食べこぼしを抑制させうる。そのため、本技術のゼリー食品は、食事摂取量を維持し又は増加させるために用いられてよく、食事残渣の口腔残留を減少させるために用いられてよく、又は、流涎若しくは食べこぼしを抑制させるために用いられてもよい。
また、口腔機能の維持又は向上(特には舌機能及び/又は舌圧の維持及び/又は向上)は、舌の表面不整の改善、舌の発赤の改善、又は、舌苔付着防止若しくは舌苔付着状況の改善をもたらしうる。そのため、本技術のゼリー食品は、舌の表面不整の改善のため、舌の発赤の改善のため、又は、舌苔付着防止若しくは舌苔付着状況の改善のために用いられてもよい。
本技術のゼリー食品は、以上で述べた用途のうちの1つの用途において用いられてよく又は2以上の用途のために用いられてもよい。
前記舌機能は、OHAT−Jの評価スケールに基づき評価される。当該評価は、正常を1とし且つ異常(不正・発赤・舌苔付着、潰瘍・腫脹)を0として行われる。
本明細書内において、舌圧とは、口に取り込んだ食物を舌が口蓋前方部との間でつぶす力をいう。当該舌圧は、舌圧測定器により測定されてよく、特にはJMS舌圧測定器(株式会社ジェイ・エム・エス)により測定される。JMS舌圧測定器による舌圧の測定は、当該測定器の添付文書に記載されたとおりに行われてよい。簡潔には、当該測定は以下のとおりに行われる。
まず、当該測定器に付属の舌圧プローブ(単回使用のバルーン状口腔内用プローブ)を測定対象のヒトの口腔内に挿入し、当該ヒトに当該舌圧プローブの硬質リングを前歯で軽く把持させる。そして、当該ヒトに、口蓋皺襞に対して最大の力で舌を押し上げさせて、当該舌圧プローブのバルーンを数秒間押し潰させる。当該圧し潰しの間に当該測定器によって測定された最大圧が最大舌圧である。当該最大舌圧が、本明細書内における舌圧に対応する。
当該舌圧は、例えば70歳以上の高齢者については、少なくとも20kPa以上であることが望ましいと考えられている。
本技術の一つの実施態様に従い、本技術のゼリー食品は、当該舌圧(最大舌圧)が、例えば30kPa未満、特には20kPa未満であるヒトに投与されるものであってよい。当該ゼリー食品は、当該ヒトの口腔機能(より好ましくは舌機能及び/又は舌圧)を維持又は向上させるために用いられてよい。本技術のゼリー食品による口腔機能向上効果(特には舌機能及び/又は舌圧向上効果)は、当該ヒトに対してより顕著に発揮されると考えられる。
本技術のゼリー食品は、好ましくは継続的に摂取される。本技術のゼリー食品は、例えば少なくとも1週間にわたって継続的に摂取され、好ましくは少なくとも2週間にわたって継続的に摂取され、より好ましくは少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、又は少なくとも3カ月にわたって継続的に摂取される。このような継続的な摂取によって、本技術のゼリー食品による舌機能の向上効果がより顕著に奏される。
本技術のゼリー食品は、上記で述べた継続的な摂取の期間において、例えば1日に1回〜5回、好ましくは1日に1回〜3回、より好ましくは1日に1回〜2回摂取されうる。代替的には、本技術のゼリー食品は、1日おき又は2日おきに摂取されてもよい。
本技術のゼリー食品の摂取量は、1回の摂取当たり、例えば30g〜300gであり、好ましくは50g〜280gであり、より好ましくは70g〜250gである。このような摂取量によって、より効果的に舌機能の維持又は向上を図ることができる。
本技術のゼリー食品は、種々の対象の口腔機能(特には舌機能及び/又は舌圧)を維持又は向上するために用いられてよい。当該対象は、例えば0歳以上であってよく、好ましくは60歳以上でありうる。60歳以上である対象に本技術のゼリー食品を摂取させることで、当該ゼリー食品による口腔機能(特には舌機能及び/又は舌圧)の維持又は向上効果がより顕著に発揮される。
本技術のゼリー食品は、口腔機能(特には舌機能及び/又は舌圧)の維持又は向上が求められるヒトに対して投与されうる。
本技術のゼリー食品の投与対象は、例えば口腔機能の低下により食形態の調整が必要な対象者(ヒト)でありうる。すなわち、本技術のゼリー食品は、口腔機能の低下により食形態の調整が必要な対象者に口腔機能を維持又は向上させるために用いられてよく、又は、口腔機能の低下により食形態の調整が必要な対象者に舌機能及び/又は舌圧を維持又は向上させるために用いられてよい。
また、本技術のゼリー食品は、オーラルフレイル又は口腔機能低下症を有するヒトに対して投与されてよく、当該ヒトの口腔機能(特には舌機能及び/又は舌圧)の維持又は向上のために用いられてよい。また、本技術のゼリー食品は、フレイル又はサルコペニア(特にはサルコペニアの摂食嚥下障害)を有するヒトに対して投与されてよく、当該ヒトの口腔機能(特には舌機能及び/又は舌圧)の維持又は向上のために用いられてよい。以上で述べた状態を有するヒトに本技術のゼリー食品を摂取させることで、当該ゼリー食品による口腔機能(特には舌機能及び/又は舌圧)の維持又は向上効果がより顕著に発揮される。
以下で実施例を参照して本技術をより詳しく説明するが、本技術はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験例1]ゼリー食品の摂取による口腔機能の維持又は向上の評価
本技術に従うゼリー食品による口腔機能の向上作用を評価した。以下で当該評価の詳細を説明する。
1.本技術に従うゼリー食品の製造
当該評価において用いられた本技術に従うゼリー食品の処方を以下表1に示し、当該ゼリー食品の製造方法をさらに以下で説明する。
上記表1−1中のゲル化剤(ゼリー相用のゲル化剤)は、以下の混合物であった。
グァーガム 15質量%、ローカストビーンガム 9質量%、キサンタンガム 6質量%、発酵セルロース 0.6質量%、CMC-Na 0.2質量%、寒天 11.3質量%、及びデキストリン 57.9質量%。
上記表1−2中のゲル化剤(ゼリー片用のゲル化剤)は、以下の混合物であった。
カラギナン 15質量%、ジェランガム 12質量%、ローカストビーンガム 9質量%、キサンタンガム 4.5質量%、発酵セルロース 3.4質量%、CMC-Na 1.1質量%、グァーガム 1.1質量%、及びデキストリン 53.9質量%。
(ゼリー片の製造)
(1)表1−2に示される成分のうち、グラニュー糖、果糖、マルトデキストリン、コラーゲンペプチド、脱脂粉乳、ゲル化剤、及びクエン酸3ナトリウムを混合した。
(2)水道水に牛乳を加え、そして80℃へと加熱した。当該加熱後、上記(1)で得られた混合粉体をさらに加え、そして、10分間加熱しながら撹拌して、当該混合粉体を溶解した。
(3)表1−2の残りの成分を全て添加し撹拌した後、さらに水道水を加えて合計で100質量部とした。
(4)(3)の後に、クエン酸を添加することによってpHを3.8に調整して、第二のゼリー製造のためのゼリー液(「第二ゼリー液」という)を得た。
(5)前記第二ゼリー液を容器に充填し、そして、冷却して当該第二ゼリー液をゲル化させて第二のゼリーを得た。
(6)(5)において得られた当該第二のゼリーを、1.0cm×1.0cm×1.0cmの立方体の形状へと裁断して、ゼリー片を得た。
(ゼリー食品の製造)
(1)表1−1に示される成分のうち、グラニュー糖、果糖、マルトデキストリン、ゲル化剤、及びクエン酸3ナトリウムを混合した
(2)脱イオン水を80℃へと加熱した。当該加熱後、上記(1)で得られた混合粉体を加え、そして、10分間加熱しながら撹拌して、当該混合粉体を溶解した。
(3)表1−1の残りの成分を全て添加し撹拌した後、さらに脱イオン水を加えて合計で100質量部とした。
(4)(3)の後に、クエン酸を添加することによってpHを3.8に調整して、第一のゼリー製造のためのゼリー液(「第一ゼリー液」という)を得た。
(5)前記第二のゼリーからなる前記ゼリー片及び前記第一のゼリー液の充填量がそれぞれ54%(w/w)及び46%(w/w)となるように、ゼリーカップ内に前記ゼリー片及び前記第一ゼリー液を入れた。包装フィルムにてシールした後に、85℃の湯内で30分間殺菌を行った後に、冷却して前記第一ゼリー液をゲル化してゼリー相を形成させた。これにより、ゼリー片をゼリー相内に含むゼリー食品(以下「実施例1のゼリー食品」という)が得られた。
前記ゼリー片の硬さは12030N/mであり、付着性は242J/mであり、且つ、凝集性は0.28であった。
前記ゼリー相の硬さは8243N/mであり、付着性は26J/mであり、且つ、凝集性は0.39であった。
実施例1のゼリー食品の蛋白質量は、5.0gであった。また、実施例1のゼリー食品のエネルギー量は、112kcalであった。
2.対照ゼリーの製造
脱脂粉乳20.0g、イナアガーL3.0g、おいしいたんぱくUP飲料(名糖産業株式会社)23.5g、水160gを用いて製造されたゼリー(以下「比較例1のゼリー」という)、及び、脱脂粉乳20.0g、イナアガーL3.0g、上白糖20.0g、及び水160g用いて製造されたゼリー(以下「比較例2のゼリー」という)を作成した。
3.評価
要介護認定を受けている60以上の対象30名のうち、15名を実施例1のゼリー食品摂取群(以下「実施例群」という)に、残りの15名を比較例1又は2のゼリー摂取群(以下「対照群」という)に割り当てた。
なお、前記30名の対象は、いずれもJMS舌圧測定器により測定された最大舌圧が20kPa未満であり且つ低栄養(BMI≦18.5)と診断された者であった。また、前記30名の対象からは、本評価に参加することの同意を事前に得た。
実施例群の対象には、実施例1のゼリー食品200gを1日1回(昼食時)、3か月間にわたって継続して摂取させた。なお、当該摂取にあたっては、前記ゼリー片及び前記ゼリー相をおおよそ等量含む適量を介護者がスプーンですくい、当該介護者が対象の口腔内へ入れ、そして、当該対象が当該ゼリー食品を舌で潰してから嚥下させた。
対照群の対象には、実施例群と同様に、比較例1又は2のゼリー200gを1日1回(昼食時)、3か月間にわたって継続して摂取させた。対照群の対象には、対象それぞれの嗜好性に応じて比較例1又は2のゼリーのいずれかが与えられた。なお、当該摂取にあたっては、適量を介護者がスプーンですくい、当該介護者が対象の口腔内へ入れ、そして、当該対象が当該ゼリーを舌で潰してから嚥下させた。
実施例群の対象及び対照群の対象のいずれについても、各食事の前に、パタカラ体操を約10分間行った。当該パタカラ体操は、口の体操の一つであり、口腔機能を維持又は改善するために行われる体操である。
摂取開始前、摂取開始後1カ月経過時、2カ月経過時、及び3か月経過時において、舌機能の評価及び最大舌圧の測定を行った。舌機能の評価は、OHAT−Jの評価スケールに従い評価された。当該評価において、正常を1とし且つ異常(不正・発赤・舌苔付着、潰瘍・腫脹)を0として評価された。最大舌圧の測定は、上記で説明したJMS舌圧測定器により行われた。評価結果を、表2及び図2(舌機能)並びに表3及び図3(最大舌圧)に示す。評価結果は、各群の対象の平均値である。
表2及び図2に示されるとおり、摂取開始後3か月経過時において、実施例群の舌機能は、対照群の舌機能よりも有意に高かった。この結果より、本技術に従うゼリー食品は、舌機能を向上させるために適していることが分かる。
また、表3及び図3に示されるとおり、摂取開始後2カ月経過時及び3か月経過時において、実施例群の最大舌圧は、対照群の最大舌圧よりも有意に高かった。特に3か月経過時においては、実施例群と対照群との間の差が顕著であった。この結果より、本技術に従うゼリー食品は、最大舌圧を高めるために適していることが分かる。
以上の結果より、本技術に従うゼリー食品によって、舌機能及び舌圧を維持又は向上でき、これは口腔機能の維持又は向上ももたらすと考えられる。
[試験例2]ゼリー食品の飲み込み易さ及びゼリー食品摂取時の舌活動量の評価
試験例1において用いられたゼリー片を用意した。さらに、ゲル化剤の量が異なること以外は試験例1のゼリー片と同じ処方及び同じ製造方法により、さらに3種類の第二のゼリーを作成した。以下表4に、これら4種類のゼリーの処方を示す。以下では、表4に示されるとおり、ゲル化剤の量が少ない第二ゼリーから順に、「第二ゼリー1」、「第二ゼリー2」、「第二ゼリー3」、及び「第二ゼリー4」という。
第二ゼリー1〜4を、以下表5に示されるサイズを有する立方体へと裁断した。
本試験例2においても、試験例1において用いられた第一ゼリー液を用意した。前記裁断後、第二のゼリー1〜4のいずれかからなるゼリー片及び当該第一のゼリー液の充填量が、以下表6に示されるいずれかの充填割合となるように、ゼリーカップ内に前記ゼリー片及び当該第一ゼリー液を入れた。
包装フィルムにてシールした後に、85℃の湯内で30分間殺菌を行った後に、冷却して前記第一ゼリー液をゲル化してゼリー相を形成させた。これにより、ゼリー片をゼリー相内に含むゼリー食品が得られた。以下表7に、製造されたゼリー食品の一覧を、第二ゼリーの種類、各ゼリー食品に含まれるゼリー片のサイズ、及び第一及び第二のゼリーの充填割合とともに示す。なお、試験例2−8のゼリー食品は、試験例1において製造した実施例1のゼリー食品である。
試験例2−1〜2−12のゼリー食品のそれぞれを健常成人が摂取した場合における食塊の流動音継続時間及び舌活動量を測定した。
前記流動音継続時間(単位:ミリ秒)は、咽頭マイク(Voice Touch、有限会社南豆無線電機製)を装着した状態で食塊を嚥下した場合の嚥下諸器官の動作している音の継続時間である。図4に示されるとおり、咽頭マイク2は被験者の喉頭蓋の位置に装着された。
流動音継続時間は、咽頭の或る1か所(例えば喉頭蓋付近の咽頭部分)を食品が通過するのに要する時間である。食品の嚥下時の流動音継続時間がより短いほど、当該食品はより食べ易いこと又は飲み込み易いことを意味する。すなわち、当該流動音継続時間は、食品の口腔咽頭機能への適性の指標であり、より特には食品の食べ易さ及び/又は飲み込みやすさの指標である。
前記舌活動量は、舌圧センサ(Swallow Scan、ニッタ株式会社製)を用いて測定された。当該舌圧センサは図5に示されるとおり、ch1〜ch5の位置で舌圧が測定されるように、当該舌圧センサは装着された。舌圧の単位はkPaである。
ch1〜ch5の位置を、以下で図6を参照して説明する。図6は、口蓋の模式図である。
ch1は、口蓋正中線上の、切歯乳頭から1mm〜10mm後方、特には切歯乳頭から3〜8mm後方、より特には5mm後方の位置である。
ch2は、2つの鉤切痕を結ぶ線と口蓋正中線との交点と切歯乳頭とを結ぶ線上であり且つ切歯乳頭から約1/3の位置であり、例えば口蓋正中線上且つ左右2つの第一小臼歯又は左右2つの第二小臼歯の間の位置である。
ch3は、2つの鉤切痕を結ぶ線と口蓋正中線との交点と切歯乳頭とを結ぶ線上で切歯乳頭から約2/3の位置であり、例えば口蓋正中線上且つ左右2つの第一大臼歯又は左右2つの第二大臼歯の間の位置である。
ch4は、咽頭側からみて左側の鉤切痕と切歯乳頭とを結ぶ線上の前方から約2/3の位置であり、例えばch3と咽頭側からみて左側の第一大臼歯又は第二大臼歯との間の位置、より特にはch3と咽頭側からみて左側の第一大臼歯又は第二大臼歯との中間位置よりも当該第一大臼歯側又は当該第二大臼歯側の位置である。
ch5は、咽頭側からみて右側の鉤切痕と切歯乳頭とを結ぶ線上の前方から約2/3の位置であり、例えばch3と咽頭側からみて右側の第一大臼歯又は第二大臼歯との間の位置、より特にはch3と咽頭側からみて右側の第一大臼歯又は第二大臼歯との中間位置よりも当該第一大臼歯側又は当該第二大臼歯側の位置である。
舌活動量は、摂食時間全体における、ch1〜ch5までの舌圧値の総積分値の合計とした。具体的には、摂食開始から終了までに測定される各圧力センサーの出力をAD変換ボードでデジタル値に変換し、シグナルをPCに取り込んで時間変化を記録した。ch1〜ch5までの個々のシグナルの時間変化を摂食開始から終了までの総時間で積分することにより各chのシグナルの舌圧総積分値を算出し、全てのchの総和を舌活動量とした。
することにより算出された。
流動音継続時間及び舌活動量の測定結果を、以下の表8に示す。
流動音継続時間がより短いほど、より飲み込みやすい食品であると考えられる。試験例2−1〜2−12のゼリー食品のいずれもが、流動音継続時間は表8に示されるとおり短く、嚥下しやすい食品であることが分かる。
また、試験例2−4〜2−6のゼリー食品は、上記表6に示されるとおり、第二ゼリーの充填割合が異なること以外は同じである。試験例2−4〜2−6についての結果を比較すると、試験例2−5についての流動音継続時間が短く且つ舌活動量も高かった。そのため、試験例2−5の充填割合(充填割合:中)とすることによって、より飲み込みやすくなり、且つ、舌活動量をより高めることができると分かる。
試験例2−7〜2−9のゼリー食品も、上記表6に示されるとおり、第二ゼリーの充填割合が異なること以外は同じである。試験例2−4〜2−6についての比較と同様に、試験例2−7〜2−9についての結果を比較からも、試験例2−8の充填割合(充填割合:中)とすることによって、より飲み込みやすくなり、且つ、舌活動量をより高めることができると分かる。
試験例2−10〜2−12のゼリー食品も、上記表6に示されるとおり、第二ゼリーの充填割合が異なること以外は同じである。試験例2−4〜2−6についての比較と同様に、試験例2−10〜2−12についての結果からも、試験例2−11の充填割合(充填割合:中)とすることによって、より飲み込みやすくなり、且つ、舌活動量をより高めることができると分かる。
以上の結果より、第二ゼリーの充填割合を中程度(54%程度)とすることによって、より飲み込みやすく且つ舌活動量を高めるためにより適したゼリー食品となることが分かる。
また、試験例2−4〜2−6(ゼリー片のサイズ:小)の結果、試験例2−7〜2−9(ゼリー片のサイズ:中)の結果、及び、試験例2−10〜2−12(ゼリー片のサイズ:大)の結果より、ゼリー片のサイズを小(0.5cm×0.5cm×0.5cm)とすることが、舌活動量を高めるために適していることが分かる。



Claims (17)

  1. 第一のゼリーからなるゼリー相中に、前記第一のゼリーよりも硬い第二のゼリーからなるゼリー片を含むゼリー食品。
  2. 前記第二のゼリーの硬さが、前記第一のゼリーよりも1000N/m以上高い、請求項1に記載のゼリー食品。
  3. 前記第一のゼリーの硬さが、3000N/m〜10000N/mである、請求項1又は2に記載のゼリー食品。
  4. 前記第二のゼリーの硬さが、8000N/m〜20000N/mである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  5. 前記第一のゼリーの付着性が、前記第二のゼリーよりも100J/m以上低い、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  6. 前記第一のゼリーの付着性が、10J/m〜200J/mである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  7. 前記第二のゼリーの付着性が、200J/m〜600J/mである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  8. 前記第二のゼリーの凝集性が、前記第一のゼリーよりも0.05以上低い、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  9. 前記第一のゼリーの凝集性が、0.3〜0.5である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  10. 前記第二のゼリーの凝集性が、0.1〜0.4である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  11. 第一のゼリーからなるゼリー相中に、前記第一のゼリーよりも付着性が高く且つ凝集性が低い第二のゼリーからなるゼリー片を含むゼリー食品。
  12. 前記ゼリー片の体積が、0.02cm〜4cmである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  13. 前記ゼリー食品中の前記ゼリー片の充填率が、30%(w/w)〜80%(w/w)である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  14. 口腔機能を維持又は向上させるために用いられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  15. 舌機能及び/又は舌圧を維持又は向上させるために用いられる、請求項1〜14のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  16. 嚥下機能の低下防止若しくは改善、舌口唇運動機能の低下防止若しくは改善、食事摂取量の維持若しくは増加、食事残渣の口腔残留の減少、又は、流涎若しくは食べこぼしの抑制のために用いられる、請求項1〜15のいずれか一項に記載のゼリー食品。
  17. 舌の表面不整の改善、舌の発赤の改善、又は、舌苔付着防止若しくは舌苔付着状況の改善のために用いられる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のゼリー食品。



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