JP4311809B2 - 半導体基板の乾燥装置および半導体基板の乾燥方法 - Google Patents

半導体基板の乾燥装置および半導体基板の乾燥方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板の乾燥装置および半導体基板の乾燥方法に関し、特に、半導体基板に気化されたイソプロピルアルコール(IPA)などの有機溶剤を吹き付けることにより、半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、半導体ウェーハの洗浄工程に使用されている装置は、図10に示すように、洗浄槽101、102、103およびIPA蒸気で満たされた乾燥槽104に半導体ウェーハ105を入れ、洗浄および乾燥を行う仕様である。このような半導体ウェーハ105の洗浄工程には多様な方法がある。すなわち、第1の洗浄方法(処理方法1)では、まず、半導体ウェーハ105を洗浄槽103に入れ洗浄した後、乾燥槽104に入れ乾燥させる。また、第2の洗浄方法(処理方法2)では、まず、半導体ウェーハ105を洗浄槽102および洗浄槽103に順次入れ洗浄した後、乾燥槽104に入れ乾燥させる。また、第3の洗浄方法(処理方法3)では、半導体ウェーハを洗浄槽101、洗浄槽102および洗浄槽103に順次入れ洗浄した後、乾燥槽104に入れ乾燥させる。これらの処理方法1、処理方法2および処理方法3において必ず通る槽が乾燥処理を行う乾燥槽104である。そのため、半導体ウェーハ105の洗浄工程における処理能力は乾燥処理時間で決定されることになる。また、半導体ウェーハの大口径化に伴い被乾燥物の熱容量が増加することになり、半導体ウェーハの洗浄工程は乾燥処理によって律速されている。
【0003】
さて、実際に半導体ウェーハの乾燥処理で使用されている乾燥装置は、水置換効率の良さおよび乾燥性能の観点から、半導体ウェーハ表面に付着した水を蒸気圧の高いIPA蒸気に一旦置換して乾燥を行う、いわゆるIPA直接置換乾燥方式を採用した乾燥装置が主流となっている。また、IPA直接置換乾燥方式を採用した乾燥装置は、ウォータマーク(水しみ)の発生などの諸問題を回避する観点から、遠心力により半導体ウェーハ表面に付着した水をはじき飛ばす、いわゆるスピンドライヤ(Spin Dryer)と比べても有効である。
【0004】
ここで、従来のIPA蒸気乾燥方式について説明する。すなわち、図11に示すように、従来のIPA蒸気乾燥方式を採用した乾燥装置は、加熱されたIPA蒸気で満たされた乾燥槽111を有している。この乾燥装置を用いて乾燥を行うには、まず、図11Aに示すように、半導体ウェーハ112を急速に乾燥槽111に導入し、図11Bに示すように、IPA蒸気に浸す。これにより、半導体ウェーハ112がIPA蒸気の温度にまで加熱されるとともにIPA蒸気が半導体ウェーハ112の表面に付着した水と置換し、半導体ウェーハ112の乾燥が行われる。その後、図11Cおよび図11Dに示すように、半導体ウェーハ112を乾燥槽111の内部からゆっくりと引き上げ、乾燥処理を終了する。このIPA蒸気乾燥方式は、ウォータマークの少ない乾燥ができ、半導体ウェーハの除電効果もあるなどの利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のIPA蒸気乾燥装置を用いた半導体ウェーハの乾燥処理においては、乾燥処理時間が長いので、洗浄工程のスループット(Through-put) が乾燥律速となってしまい生産能力が落ちるという欠点がある。そこで、乾燥処理時間を短縮すべく半導体ウェーハの加熱温度を上昇させるなどの検討が行われているが、IPAの突沸などの問題が生じたり、乾燥むらなどの悪影響を招いてしまうなどの不都合がある。
【0006】
また、近年、自然環境の問題や残留有機物の問題によって、有機物の使用量を低減する方向に向かっている。そのため、今後、IPAを用いた乾燥装置に採用される方式としては、マランゴニ(Marangoni) 効果を利用した乾燥方式と、制御したIPA蒸気乾燥方式とが主流になると考えられる。これらの2つの乾燥方式について以下に説明する。
【0007】
まず、マランゴニ効果を利用した乾燥方式を採用した乾燥装置は、図12に示すように、乾燥部121と超純水(DI water)122で満たされた水洗槽123とから構成されている。
【0008】
この乾燥装置を用いた半導体ウェーハの乾燥処理においては、図12Aに示すように、まず、水洗槽123において半導体ウェーハ124の水洗処理を行う。このとき、乾燥部121の内部は窒素(N2 )ガス雰囲気または大気雰囲気になっている。次に、図12Bに示すように、半導体ウェーハ124を水洗槽123から引き上げる前に、乾燥部121の内部にN2 とIPA蒸気との混合ガスを導入し、上方から超純水122の水面に吹き付ける。これによって、図13に示すように、水面にIPA層125が形成される。その後、図12Cに示すように、半導体ウェーハ124を引き上げる。この半導体ウェーハ124の引き上げの際には、図13に示すように、半導体ウェーハ124の表面と超純水122との界面の部分に、メニスカス(Meniscus)部と呼ばれる勾配ができるが、このメニスカス部はIPA層125が形成されることによってさらに大きくなる。また、半導体ウェーハ124を引き上げている間、その表面に付着している水がこのメニスカス部に沿って流れ落ちる。そして、半導体ウェーハ124を、その表面に水が付着していない状態で引き上げることにより、半導体ウェーハ124を乾燥させる。その後、図12Dに示すように、乾燥部121の内部をN2 ガス雰囲気とする。以上のようにして、半導体ウェーハ124の乾燥処理が行われる。
【0009】
また、制御したIPA蒸気乾燥方式を採用した乾燥装置は、図14に示すように、乾燥槽131と超純水132で満たされた水洗槽133とから構成される。この乾燥装置においては、図14Aに示すように、乾燥槽131の内部はN2 ガス雰囲気となっている。この状態で、水洗槽133において、半導体ウェーハ134を水洗処理した後、図14Bに示すように、半導体ウェーハ134を引き上げて乾燥槽131の内部に搬入する。次に、図14Cに示すように、乾燥槽131と水洗槽133とをカバー(図示せず)などにより遮断し、乾燥槽131の上部に設けられたノズル(図示せず)からN2 とIPA蒸気との混合ガスを半導体ウェーハ134に吹き付ける。そして、このIPA蒸気で半導体ウェーハ134の表面に付着した水を置換することにより、半導体ウェーハ134を乾燥させる。その後、図14Dに示すように、乾燥槽131の内部をN2 ガス雰囲気とする。以上のようにして半導体ウェーハ134の乾燥処理が行われる。
【0010】
上述の2つの乾燥方式のうち、制御したIPA蒸気乾燥方式が、従来のIPA蒸気乾燥方式に代わる乾燥方式であることは確かであるが、半導体ウェーハを乾燥させる際の乾燥条件に関しては試行錯誤の状況であり、その乾燥条件の最適化が望まれている。
【0011】
したがって、この発明の目的は、乾燥能力の低下を招くことなく、乾燥時間を短縮することができ、それによって、乾燥処理能力を向上させることができ、また、有機物の使用量を乾燥に必要十分な量にまで低減することによって、自然環境の保護に貢献するとともに、残留有機物の低減を図ることができる半導体基板の乾燥装置および半導体基板の乾燥方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術が有する上述の諸問題を解決すべく、半導体ウェーハの乾燥に関して種々の実験を行った。以下に、その概要を説明する。
【0013】
すなわち、本発明者は、第1の実験として、50枚程度の半導体ウェーハを同時に乾燥させることができる制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて、IPA蒸気を吐出する方向を、垂直下方方向から半導体基板に向けた角度が10°、20°30°、50°、90°となるようにさまざまに変えて半導体ウェーハの乾燥処理を行い、それらの乾燥処理における半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数を測定した。なお、この測定における評価方法は、ウェーハボートにダミーの半導体ウェーハを載せ、評価する半導体ウェーハの前面に、もう1枚の酸化膜が付けられた半導体ウェーハを鏡面対向で設置して、例えば希フッ酸(DHF)処理などの薬液処理を行う方法である。また、評価基準は、乾燥装置の乾燥能力が十分であると認められる基準とし、具体的には、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数を20個以下、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数を10個以下とする。
【0014】
図15は、上述のようにして測定した半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数の、IPA蒸気の吐出方向角度依存性を示す。
【0015】
図15より、50枚程度の半導体ウェーハを同時に乾燥させることができる制御したIPA蒸気乾燥装置においては、IPA蒸気の吐出方向角度を20°〜50°の範囲内とした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数が20個以下となり、ウォータマークの個数も10個以下となることがわかる。また、この条件以外の条件、例えば吐出方向角度を10°とした場合には、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数が約9個となり、ウォータマークの個数が約52個となった。また、IPA蒸気の吐出方向角度を90°以上とした場合、すなわちIPA蒸気を水平より上に向けて吐出した場合には、乾燥処理を行った半導体ウェーハは生乾き状態となり、ウォータマークが全面に検出される。逆に、IPA蒸気の吐出方向角度を0°以下とした場合、すなわち、IPA蒸気の吐出方向を半導体基板の側と反対側とした場合には、IPA蒸気は、直接乾燥装置の側壁面に付着したり、半導体ウェーハに接することなく上昇してしまい、半導体ウェーハを乾燥させることができず、水しみが残る状態が発生する。
【0016】
以上のことから、半導体ウェーハに吹き付けるIPA蒸気の方向を、その垂直方向からの角度が、20°〜50°の範囲内とすれば、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数は20個以下、ウォータマークの個数は10個以下となり、実用上十分な乾燥能力を有することがわかる。
【0017】
また、本発明者は、第2の実験として、上述の50枚程度の半導体ウェーハを同時に乾燥させることができる制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて、IPA蒸気の初期吐出量を、0.3cc/s、0.5cc/s、0.7cc/s、1.0cc/sおよび1.5cc/sとさまざまに変えて半導体ウェーハの乾燥処理を行い、それらの乾燥処理における半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数を測定した。なお、この測定における評価方法は、ウェーハボートにダミーの半導体ウェーハを載せ、評価する半導体ウェーハの前面に、もう1枚の酸化膜が付けられた半導体ウェーハを鏡面対向で設置して、例えば希フッ酸(DHF)処理などの薬液処理を行う方法であり、評価基準は、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数とも、乾燥装置の乾燥能力が実用上十分であると認められる20個以下とする。
【0018】
図16は、上述のようにして測定した、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数のIPAの初期吐出量依存性を示す。
【0019】
図16より、50枚程度の半導体ウェーハを同時に乾燥させることができる制御したIPA蒸気乾燥装置において、IPA蒸気の初期吐出量を0.5〜1.5cc/sの範囲内とした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数が20個以下となることがわかる。また、IPA蒸気の初期吐出量を0.8〜1.5cc/sの範囲内とした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数が20個以下となり、IPA蒸気の初期吐出量を0.5cc/sとした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数が約120個となることがわかる。また、IPA蒸気の初期吐出量を0.3cc/s以下とした場合には、乾燥処理を行った半導体ウェーハは生乾き状態となり、ウォータマークが全面に検出される。逆に、IPA蒸気の初期吐出量を1.5cc/sよりも多くした場合においては、ノズルから吹き出されるIPA蒸気はミスト(霧)状になってしまうため、半導体ウェーハの表面にはIPAによる汚染により生じた付着微粒子が検出される。
【0020】
以上のことから、半導体ウェーハに吹き付けるIPA蒸気の初期吐出量を0.8〜1.5cc/sの範囲内とすれば、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数はともに20個以下となり、実用上十分な乾燥能力を有することがわかる。
【0021】
また、本発明者は、第3の実験として、上述の第2の実験におけると同様の、50枚程度の半導体ウェーハを同時に乾燥させることができる制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて、IPA蒸気の使用量を、30cc/バッチ、50cc/バッチ、70cc/バッチ、80cc/バッチ、90cc/バッチ、105cc/バッチ、150cc/バッチおよび200cc/バッチとさまざまに変えて半導体ウェーハの乾燥処理を行い、それらの乾燥処理ごとに、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数を測定した。なお、この測定における評価方法および評価基準は、上述したIPAの初期吐出量の測定における評価方法および評価基準と同様である。
【0022】
図17は、上述のようにして測定した半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数の、IPAの使用量依存性を示す。
【0023】
図17より、制御したIPA蒸気乾燥装置において、IPAの使用量を50〜200cc/バッチの範囲内にした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数が20個以下となることがわかる。また、IPAの使用量を70〜200cc/バッチの範囲内とした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数が20個以下となり、IPAの使用量を50cc/バッチとした場合に、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数が約300個となることがわかる。また、IPAの使用量を30cc/バッチ以下とした場合には、半導体ウェーハは生乾き状態となってしまい、付着微粒子は検出されないが、ウォータマークが半導体ウェーハの全面で検出される。逆に、IPAの使用量を200cc/バッチより多くした場合については、半導体ウェーハの表面にIPAによる汚染により生じた付着微粒子が検出されてしまう。
【0024】
以上のことから、乾燥処理におけるIPAの使用量を70〜200cc/バッチの範囲内とすれば、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数はともに20個以下となり、実用上十分な乾燥能力を有することがわかる。
【0025】
また、本発明者は、第4の実験として、50枚程度の半導体ウェーハを同時に乾燥させることができる制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて、IPA蒸気を吐出するノズルの本数を2本、4本、6本とさまざまに変えて半導体ウェーハの乾燥処理を行い、それらの乾燥処理における半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数を測定した。なお、この測定における評価方法は、ウェーハボートにダミーの半導体ウェーハを載せ、評価する半導体ウェーハを設置して、例えば希フッ酸(DHF)処理などの薬液処理を行う方法であり、評価基準は、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数が、乾燥装置の乾燥能力が十分であると認められる20個以下となる場合とする。
【0026】
図18は、上述のようにして測定した半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数の乾燥処理時間依存性を、ノズルの本数を2本、4本、6本の3通りで測定した場合について示す。
【0027】
図18より、ノズルの本数を2本とした場合でウォータマークの個数が約50個であるときに、ノズルの本数を4本または6本とした場合ではウォータマークの個数は約10個となることがわかる。また、若干の例外はあるが、あらゆる乾燥処理時間を通じて、ノズルの本数を4本または6本とした場合のウォータマークの個数は、ノズルの本数を2本とした場合のウォータマークの個数より少なくなる。また、ノズルの本数を2本以下とすると、乾燥処理時間が多くかかってしまう。
【0028】
以上のことから、半導体ウェーハにIPA蒸気を吹き付けるためのノズルの本数を3本以上とすれば、半導体ウェーハ1枚あたりのウォータマークの個数を20個以下とするのに要する時間を有効に短縮することができることがわかる。
【0029】
この発明は、以上の実験結果およびその検討に基づいて案出されたものである。
【0030】
すなわち、上記目的を達成するために、この発明の第1の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤をノズルを通じて半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
気化された有機溶剤を、垂直方向から半導体基板の側に向かって20°から50°の角度で、半導体基板に吹き付けるようにした
ことを特徴とするものである。
【0031】
この発明の第2の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤をノズルを通じて半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
ノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結ぶ直線が、ノズルの断面の中心と半導体基板の中心とを結んだ直線と、ノズルの断面の中心から半導体基板に引いた接線との間にあるように設ける
ことを特徴とするものである。
【0032】
この発明の第1および第2の発明において、有機溶剤を吐出するためのノズルは偶数本設けられ、偶数本のノズルは半導体基板の中心より高い高さで、かつ半導体基板に対して対称に設けられている。
【0033】
この発明の第3の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
気化された有機溶剤の初期吐出量を0.8cc/秒以上1.5cc/秒以下とする
ことを特徴とするものである。
【0034】
この第3の発明による半導体基板の乾燥装置は、50枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0035】
この第3の発明において、十分な乾燥能力を確保しつつ、有機溶剤の使用量を抑える観点から、好適には、半導体基板の乾燥における有機溶剤の使用量を70cc/バッチ以上200cc/バッチ以下とする。
【0036】
この発明の第4の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
乾燥における有機溶剤の使用量を70cc/バッチ以上200cc/バッチ以下とする
ことを特徴とするものである。
【0037】
この第4の発明による半導体基板の乾燥装置は、50枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0038】
この第4の発明において、好適には、半導体基板に吹き付ける気化された有機溶剤の初期吐出量を0.8cc/s以上1.5cc/s以下とする。
【0039】
この発明の第3および第4の発明において、典型的には、気化された有機溶剤を、ノズルを用いて半導体基板に吹き付ける。
【0040】
この発明の第5の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
気化された有機溶剤の初期吐出量を0.6cc/秒以上1.5cc/秒以下とする
ことを特徴とするものである。
【0041】
この第5の発明による半導体基板の乾燥装置は、25枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0042】
この第5の発明において、好適には、乾燥における有機溶剤の使用量を50cc/バッチ以上150cc/バッチ以下とする。
【0043】
この発明の第6の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
乾燥における有機溶剤の使用量を50cc/バッチ以上150cc/バッチ以下とする
ことを特徴とするものである。
【0044】
この第6の発明による半導体基板の乾燥装置は、25枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0045】
この第6の発明において、十分な乾燥能力を確保しつつ、有機溶剤の使用量を抑える観点から、好適には、半導体基板に吹き付ける有機溶剤の初期吐出量を0.6cc/s以上1.5cc/s以下とする。
【0046】
この発明の第7の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を、ノズルを通じて半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥装置において、
ノズルが3本以上設けられている
ことを特徴とするものである。
【0047】
この第7の発明において、気化された有機溶剤を半導体基板の全面に効率よく吹き付けるようにするために、典型的には、半導体基板をその面がほぼ垂直になるように設置し、垂直に設置された半導体基板の下部に気化された有機溶剤を効率よく吹き付けるために、3本以上のノズルのうちの少なくとも1本のノズルのノズル穴が、半導体基板の乾燥処理を行う際に半導体基板の最下端より低い高さになるように設けられている。
【0048】
この第7の発明において、その面がノズルに対してほぼ垂直になるように設置された半導体基板の下部に気化された有機溶剤をより効率よく吹き付けるために、典型的には、半導体基板の乾燥の際に半導体基板より低い高さに設けられたノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結んだ直線が、水平方向と、ノズルの断面の中心と半導体基板の最下部とを結んだ直線との間にあるように設ける。また、この第7の発明において、その面がノズルに対してほぼ垂直になるように設置された半導体基板の下部に気化された有機溶剤をより効率よく吹き付けるために、典型的には、半導体基板の乾燥の際に半導体基板より低い高さに設けられたノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結んだ直線が、水平方向から半導体基板に向かって0°から45°の角度の範囲内にあるように設ける。
【0049】
この第7の発明において、気化された有機溶剤を半導体基板の全面に効率よく対称に吹き付けるようにするために、典型的には、ノズルが4本設けられ、4本のノズルのうちの2本のノズルは少なくとも半導体基板の中心より上方で、かつ半導体基板に対して対称に設けられており、残りの2本のノズルは半導体基板の最下端より低い高さで、かつ半導体基板に対して対称に設けられている。
【0050】
この発明の第8の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤をノズルを通じて半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
気化された有機溶剤を、垂直方向から半導体基板の側に向かって20°から50°の角度で、半導体基板に吹き付けるようにした
ことを特徴とするものである。
【0051】
この発明の第9の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤をノズルを通じて半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
ノズルの断面の中心とノズルのノズル穴の中心とを結ぶ直線が、ノズルの断面の中心と半導体基板の中心とを結んだ直線と、ノズルの断面の中心から半導体基板に引いた接線との間にあるようにする
ことを特徴とするものである。
【0052】
この発明の第8および第9の発明において、典型的には、偶数本のノズルにより、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付ける場合に、偶数本のノズルが半導体基板の中心より高い高さで、かつ半導体基板に対して対称になるようにする。
【0053】
この発明の第10の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
気化された有機溶剤の初期吐出量を0.8cc/秒以上1.5cc/秒以下とする
ことを特徴とするものである。
【0054】
この第10の発明による半導体基板の乾燥装置は、50枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0055】
この第10の発明において、十分な乾燥能力を確保しつつ、有機溶剤の使用量を抑える観点から、好適には、半導体基板の乾燥における有機溶剤の使用量を70cc/バッチ以上200cc/バッチ以下とする。
【0056】
この発明の第11の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
乾燥における有機溶剤の使用量を70cc/バッチ以上200cc/バッチ以下とする
ことを特徴とするものである。
【0057】
この第11の発明による半導体基板の乾燥方法は、50枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0058】
この第11の発明において、好適には、半導体基板に吹き付ける気化された有機溶剤の初期吐出量を0.8cc/s以上1.5cc/s以下とする。
【0059】
この発明の第10および第11の発明において、典型的には、気化された有機溶剤を、ノズルを用いて半導体基板に吹き付ける。
【0060】
この発明の第12の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
気化された有機溶剤の初期吐出量を0.6cc/秒以上1.5cc/秒以下とする
ことを特徴とするものである。
【0061】
この第12の発明による半導体基板の乾燥方法は、25枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0062】
この第12の発明において、好適には、乾燥における有機溶剤の使用量を50cc/バッチ以上150cc/バッチ以下とする。
【0063】
この発明の第13の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
乾燥における有機溶剤の使用量を50cc/バッチ以上150cc/バッチ以下とする
ことを特徴とするものである。
【0064】
この第13の発明による半導体基板の乾燥方法は、25枚程度の半導体基板を同時に乾燥させる場合に適用して好適なものである。
【0065】
この第13の発明において、十分な乾燥能力を確保しつつ、有機溶剤の使用量を抑える観点から、好適には、半導体基板に吹き付ける有機溶剤の初期吐出量を0.6cc/s以上1.5cc/s以下とする。
【0066】
この発明の第14の発明は、
有機溶剤を気化し、気化された有機溶剤をノズルを通じて半導体基板に吹き付けることにより半導体基板を乾燥させるようにした半導体基板の乾燥方法において、
ノズルを3本以上設け、これらのノズルを通じて気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けるようにした
ことを特徴とするものである。
【0067】
この第14の発明において、気化された有機溶剤を半導体基板の全面に効率よく吹き付けるようにするために、典型的には、半導体基板をその面がほぼ垂直になるように設置し、垂直に設置された半導体基板の下部に気化された有機溶剤を効率よく吹き付けるために、典型的には、3本以上のノズルのうちの少なくとも1本のノズルのノズル穴を、半導体基板の乾燥処理を行う際に半導体基板の最下端より低い高さにする。
【0068】
この第14の発明において、その面がほぼ垂直になるように設置された半導体基板の下部に気化された有機溶剤をより効率よく吹き付けるために、典型的には、半導体基板の乾燥の際に半導体基板より低い高さに設けられたノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結んだ直線が、水平方向と、ノズルの断面の中心と半導体基板の最下部とを結んだ直線との間にあるようにする。また、この第14の発明において、その面がほぼ垂直になるように設置された半導体基板の下部に気化された有機溶剤をより効率よく吹き付けるために、典型的には、半導体基板の乾燥の際に半導体基板より低い高さに設けられたノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結んだ直線が、水平方向から半導体基板に向かって0°から45°の角度の範囲内にあるようにする。
【0069】
この第14の発明において、気化された有機溶剤を半導体基板の全面に効率よく対称に吹き付けるようにするために、典型的には、ノズルが4本設けられ、4本のノズルのうちの2本のノズルは少なくとも半導体基板の中心より上方で、かつ半導体基板に対して対称になるようにするとともに、残りの2本のノズルは半導体基板の最下端より低い高さで、かつ半導体基板に対して対称になるようにする。
【0070】
この発明において、典型的には、気化された有機溶剤のキャリアガスは、例えばN2 ガスやアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスである。
【0071】
この発明において、典型的には、有機溶剤はイソプロピルアルコール(IPA)であるが、IPA以外の有機溶剤を用いることも可能である。
【0072】
上述のように構成されたこの発明の第1の発明および第8の発明によれば、気化された有機溶剤を垂直方向から半導体基板の側に20°から50°の角度で吐出するようにしていることにより、気化された有機溶剤を効率よく半導体基板と接触させることができ、この有機溶剤を半導体基板の表面に付着した水と効果的に置換させることができるので、半導体基板の表面に生じるウォータマークや付着微粒子を増加させることなく、効率よく半導体基板を乾燥させることができる。
【0073】
また、この発明の第2の発明および第9の発明によれば、ノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結ぶ直線が、ノズルの断面の中心と半導体基板の中心とを結んだ直線と、ノズルの断面の中心から半導体基板に引いた接線との間にあるように設けていることにより、気化された有機溶剤をこのノズル穴を通じて吐出することによって、有機溶剤を半導体基板にほぼ確実に接触させることができ、半導体基板の表面に付着した水と効果的に置換させることができるので、半導体基板の表面に生じるウォータマークや付着微粒子を増加させることなく、効率よく半導体基板を乾燥させることができる。
【0074】
また、この発明の第3の発明および第10の発明によれば、半導体基板に吹き付ける気化された有機溶剤の初期吐出量を0.8cc/秒以上1.5cc/秒以下としていることにより、半導体基板の表面に付着した水を乾燥処理の初期に有機溶剤で覆い置換することができるので、半導体基板の表面に生じるウォータマークや半導体基板の表面に付着する微粒子を増加させることなく、効率よく半導体基板を乾燥させることができる。
【0075】
また、この発明の第4の発明および第11の発明によれば、半導体基板の乾燥のための有機溶剤の使用量を70cc/バッチ以上200cc/バッチ以下としていることにより、必要十分な量の有機溶剤によって半導体基板を乾燥させることができるので、半導体基板の乾燥に用いる有機溶剤の量を低減することができ、半導体基板表面に生じるウォータマークや半導体基板表面に付着する微粒子を増加させることなく、効率よく半導体基板を乾燥させることができる。
【0076】
また、この発明の第5の発明および第12の発明によれば、半導体基板に吹き付ける気化された有機溶剤の初期吐出量を0.6cc/秒以上1.5cc/秒以下としていることにより、半導体基板表面に付着した水を乾燥処理の初期に有機溶剤で覆い置換することができるので、半導体基板表面に生じるウォータマークや半導体基板表面に付着する微粒子を増加させることなく、効率よく半導体基板を乾燥させることができる。
【0077】
また、この発明の第6の発明および第13の発明によれば、半導体基板の乾燥のための有機溶剤の使用量を50cc/バッチ以上150cc/バッチ以下としていることにより、必要十分な量の有機溶剤によって半導体基板を乾燥させることができるので、半導体基板の乾燥に用いる有機溶剤の量を低減することができ、半導体基板表面に生じるウォータマークや半導体基板表面に付着する微粒子を増加させることなく、効率よく半導体基板を乾燥させることができる。
【0078】
また、この発明の第7の発明および第14の発明によれば、気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けるためのノズルを3本以上設けるようにしていることにより、気化された有機溶剤を、半導体基板の表面に3方向以上の方向から吹き付けることができるので、気化された有機溶剤を半導体基板の表面に効率よく吹き付けることができるとともに、水洗後の半導体基板表面の水と有機溶剤との置換を効率よく行うことができ、乾燥時間の短縮を図ることができる。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。まず、この発明の第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置について説明する。図1は、この第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置を示し、図2は、この制御したIPA蒸気乾燥装置の乾燥槽の要部を示す。
【0080】
図1に示すように、この第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置は、水洗槽(リンスチャンバー)1と乾燥槽(ドライチャンバー)2とを有する。水洗槽1は、半導体ウェーハ3の水洗処理を行うためのものである。また、乾燥槽2は水洗処理後の半導体ウェーハ3を乾燥させるためのものであり、例えばテフロン(Teflon)などの樹脂系の材料から形成されている。乾燥槽2の高さは、半導体ウェーハ3の径が8インチの場合には例えば約320mmである。また、水洗槽1と乾燥槽2との間にはボトムカバー4が設けられている。ボトムカバー4は乾燥槽2の下方に移動して、乾燥槽2の下部の開口部を塞ぐことによって水洗槽1と乾燥槽2とを分離するためのものであり、少なくとも水平方向に移動可能である。また、z軸ガイド5が水洗槽1と乾燥槽2との内部に設けられている。z軸ガイド5は、例えば50枚程度の半導体ウェーハ3を保持しつつ、それらの半導体ウェーハ3を、水洗槽1と乾燥槽2との間で搬送するためのものであり、少なくとも上昇および下降が可能である。
【0081】
水洗槽1の内部にはオーバーフローリンス槽6が設けられている。このオーバーフローリンス槽6の内部は超純水7で満たすことができるようになっており、下部には超純水供給管8が接続されて設けられている。オーバーフローリンス槽6は、超純水7を溢れさせて半導体ウェーハ3の水洗を行うためのものであり、超純水供給管8は、オーバーフローリンス槽6に超純水7を供給するためのものである。この超純水供給管8には超純水7の供給を調整するためのバルブ9が設けられている。また、水洗槽1の側壁に超純水排出管10が設けられており、側壁の下部にドレイン11が設けられている。
【0082】
乾燥槽2の上部には上部カバー12が設けられており、半導体ウェーハ3を乾燥槽2から外部に搬出したり、外部から乾燥槽2に搬入したりする際に開閉することができるように構成されている。また、乾燥槽2の内部には管状の2本のノズル13が互いに平行に設けられている。これらの2本のノズル13は、半導体ウェーハ3を乾燥槽2の内部から外部に搬出したり、外部から乾燥槽2の内部に搬入したりする際に、半導体ウェーハ3がこれらの2本のノズル13の間を通過することのできる間隔を隔てて設けられている。具体的には、半導体ウェーハ3の径が8インチの場合、2本のノズル13は、互いに例えば300mmの間隔を隔てて設けられている。また、図2に示すように、それぞれのノズル13には、その長手方向(図面に垂直な方向)に沿って例えば50〜57個程度のノズル穴13aが等間隔に設けられており、それぞれのノズル穴13aから、例えば、N2 ガスなどの不活性ガスやN2 とIPA蒸気との混合ガスを半導体ウェーハ3に吹き付けることができるようになっている。このノズル穴13aの径は、0.8〜1.0mmであり、具体的には例えば0.8mmである。ここで、ノズル穴13aは、このノズル穴13aの中心とノズル13の長手方向に垂直な断面の中心とを結ぶ直線が、垂直下方方向を基準として20〜50°の範囲内の角度θをなすように構成されており、角度θは具体的には例えば41.7°である。すなわち、N2 とIPA蒸気との混合ガスは、ノズル穴13aを通じて垂直下方方向と20〜50°の角度をなす方向に吐出され、具体的には、垂直下方方向から例えば41.7°の方向に吐出される。なお、上述の角度θは、垂直下方方向から半導体ウェーハ3の側に向かって正の角度が定義される。
【0083】
また、乾燥槽2の側壁にはガス排気管14が設けられている。このガス排気管14は、乾燥槽2の内部のガスを外部に排気するためのものである。ガス排気管14にはガスの排気を制御するためのバルブ15が設けられている。
【0084】
次に、上述の制御したIPA蒸気乾燥装置を用いた半導体ウェーハの乾燥方法について説明する。
【0085】
まず、z軸ガイド5を乾燥槽2の内部にまで移動しておき、上部カバー12を開ける。その後、例えば50枚の半導体ウェーハ3をz軸ガイド5まで搬送してそこに載置する。その後、上部カバー12を閉じる。次に、z軸ガイド5を下降させることにより、半導体ウェーハ3を水洗槽1内のオーバーフローリンス槽6の内部に搬入する。
【0086】
次に、超純水供給管8を通じて、超純水7をオーバーフローリンス槽6に十分に供給することにより、半導体ウェーハ3の水洗を行う。一方で、乾燥槽2においてノズル13から例えばN2 ガスを導入することにより、乾燥槽2の内部をN2 ガス雰囲気にする。
【0087】
半導体ウェーハ3の水洗処理が終了し、乾燥槽2の内部がN2 ガス雰囲気になった後、半導体ウェーハ3が保持されたz軸ガイド5を上方に移動して、半導体ウェーハ3を乾燥槽2の内部に搬入する。半導体ウェーハ3の乾燥槽2の内部への搬入が完了した後、ボトムカバー4を乾燥槽2の下方にまで移動し、乾燥槽2の下部の開口部をふさぐことによって、水洗槽1と乾燥槽2とを分離する。
【0088】
次に、N2 ガスをキャリアガスとして、ノズル13から気化させたIPAを半導体ウェーハ3に吹き付ける。この半導体ウェーハ3に吹き付けられるIPA蒸気は、乾燥槽2の内部で一旦下方に流れ込んだ後、上昇し、この上昇中に半導体ウェーハ3の表面と接触して、その表面の水を置換する。この置換したIPAは半導体ウェーハ3の表面から揮発して、半導体ウェーハ3の乾燥が終了する。ここで、半導体ウェーハ3の乾燥条件を挙げると、IPA蒸気の初期吐出量を0.8〜1.5cc/s、使用量を70〜200cc/バッチとする。具体的には、IPA蒸気の初期吐出量を例えば0.8cc/sとし、その吐出量を一定に保ちながら例えば約105秒間半導体ウェーハ3に吹き付ける。このとき、IPAの使用量は約84ccである。なお、上述のIPA蒸気の初期吐出量および使用量は、IPAの液体状態の体積で定義される。
【0089】
その後、乾燥槽2の上部カバー12を開け、半導体ウェーハ3を外部に搬出し、乾燥処理を終了する。
【0090】
図3は、半導体ウェーハ上の残留有機物量を、従来のIPA蒸気乾燥装置を用いて半導体ウェーハを乾燥させた場合と、この第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて半導体ウェーハを乾燥させた場合とについて、その質量数ごとに測定した結果を示す。ただし、使用した半導体ウェーハは8インチのシリコンウェーハである。なお、残留有機物の質量数および量はともに規格化されている。
【0091】
図3より、従来のIPA蒸気乾燥装置を用いて乾燥を行った半導体ウェーハの残留有機物量に比べ、この第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて乾燥を行った半導体ウェーハの残留有機物量は約1/3に減少していることがわかる。
【0092】
以上説明したように、この第1の実施形態によれば、ノズル13を、ノズル13の長手方向に垂直な断面の中心とノズル穴13aの中心とを結ぶ直線が、垂直下方方向から半導体ウェーハ3の側に向かって、20〜50°の範囲内の角度となるように設けるようにしていることにより、IPA蒸気を半導体ウェーハ3に効率よく吹き付けることができ、従来のIPA蒸気乾燥装置とほぼ同等の乾燥能力を確保しつつ、乾燥時間を短縮することができるとともに、IPAの使用量を低減することができる。したがって、このIPA蒸気乾燥装置を用いて構成される洗浄機の処理能力を向上させることができるとともに、自然環境への悪影響を抑制することができる。また、残留有機物の量を従来のIPA蒸気乾燥装置を用いた半導体ウェーハの乾燥におけるよりも約1/3以下に減少させることができるので、半導体ウェーハ3上に形成される半導体装置の残留有機物による特性の劣化を低減することができる。
【0093】
次に、この発明の第2の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置について説明する。
【0094】
この第2の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置においては、図4に示すように、ノズル13の長手方向に垂直な断面の中心とノズル穴13aの中心とを結ぶ直線が、ノズル13の断面の中心と半導体ウェーハ3の中心とを結んだ直線と、ノズル13の断面の中心から半導体ウェーハ3に引いた接線との間にあるように角度θが選ばれること以外のことは第1の実施形態と同様である。
【0095】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
次に、この発明の第3の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置を用いた半導体ウェーハの乾燥方法について説明する。なお、この第3の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置に関しては、図1に示すと同様であるので説明を省略する。
【0097】
まず、図1に示すように、z軸ガイド5を乾燥槽2の内部にまで移動しておき、上部カバー12を開ける。その後、例えば50枚の半導体ウェーハ3をz軸ガイド5まで搬送してそこに載置する。その後、上部カバー12を閉じる。次に、z軸ガイド5を下降させることにより、半導体ウェーハ3を水洗槽1内のオーバーフローリンス槽6の内部に搬入する。
【0098】
次に、超純水供給管8を通じて、超純水7をオーバーフローリンス槽6に十分に供給することにより、半導体ウェーハ3の水洗を行う。また、一方で、乾燥槽2においてノズル13から例えばN2 ガスを導入することにより、乾燥槽2の内部をN2 ガス雰囲気にする。
【0099】
半導体ウェーハ3の水洗処理が終了し、乾燥槽2の内部がN2 ガス雰囲気になった後、半導体ウェーハ3が保持されたz軸ガイド5を上方に移動して、半導体ウェーハ3を乾燥槽2の内部に搬入する。半導体ウェーハ3の乾燥槽2の内部への搬入が完了した後、ボトムカバー4を乾燥槽2の下方にまで移動し、乾燥槽2の下部の開口部をふさぐことによって、水洗槽1と乾燥槽2とを分離する。
【0100】
次に、N2 ガスをキャリアガスとして、ノズル13から気化させたIPA(IPA蒸気)を半導体ウェーハ3に吹き付ける。ここで、このIPA蒸気の半導体ウェーハ3への吹き付けにおいては、IPA蒸気の初期吐出量は0.8〜1.5cc/sとし、その使用量を70〜200cc/バッチとする。具体的には、IPA蒸気を、その初期吐出量を例えば0.8cc/sとし、吐出量を一定に保ちながら例えば約105秒間半導体ウェーハ3に吹き付ける。このとき、IPAの使用量は約84ccである。これによって、半導体ウェーハ3の表面の水がほぼ完全にIPAに置換され、この置換したIPAが半導体ウェーハ3の表面から揮発して、半導体ウェーハ3の乾燥が終了する。なお、上述のIPA蒸気の初期吐出量および使用量は、IPAの液体状態の体積で定義される。
【0101】
その後、乾燥槽2の上部カバー12を開け、半導体ウェーハ3を外部に搬出し、乾燥処理を終了する。
【0102】
上述した乾燥処理において、半導体ウェーハ上の残留有機物量を、従来のIPA蒸気乾燥装置を用いて半導体ウェーハを乾燥させた場合と、この第3の実施形態によるIPA蒸気乾燥装置を用いて半導体ウェーハを乾燥させた場合とについて、それぞれ測定したところ、従来のIPA蒸気乾燥装置を用いて乾燥を行った半導体ウェーハの残留有機物量に比べ、この第3の実施形態によるIPA蒸気乾燥装置により乾燥を行った半導体ウェーハの残留有機物量は約1/3に減少していることが確認された。
【0103】
図5は、上述の制御したIPA蒸気乾燥装置を用いて、この第3の実施形態における条件のもとで半導体ウェーハを乾燥させたときの、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数を測定し評価した結果を示す。なお、参考のため、この第3の実施形態における条件以外の条件のもとで半導体ウェーハを乾燥させたときの、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数を測定した結果も併せて示す。ここで、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数が、20個より多い場合を×、20個以下の場合を○で表す。図6は、半導体ウェーハ表面のウォータマークの個数について同様の測定をした結果を示す。
【0104】
図5および図6より、この第3の実施形態におけるIPA蒸気の初期吐出量および使用量がそれぞれ0.8cc/sおよび84ccである場合においては、半導体ウェーハ1枚あたりの付着微粒子の個数およびウォータマークの個数は、いずれも、乾燥装置としての乾燥能力が十分であると認められる20個以下であり、この第3の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置が十分な乾燥能力を有することが確認された。
【0105】
以上説明したように、この第3の実施形態によれば、制御したIPA蒸気乾燥装置において、ノズル13から半導体ウェーハ3に吹き付けるIPA蒸気の初期吐出量を0.8〜1.5cc/s、使用量を70〜200cc/バッチの範囲内としていることにより、半導体ウェーハ3の乾燥において、必要十分な量のIPA蒸気を吹き付けることができ、従来のIPA蒸気乾燥装置とほぼ同等の乾燥能力を確保しつつ、乾燥時間を短縮することができる。したがって、このIPA蒸気乾燥装置を用いて構成される洗浄機の処理能力を向上させることができる。また、従来のIPA蒸気乾燥装置におけるIPAの使用量と比較しても、その使用量を低減することができるので、自然環境への悪影響を低減することができる。また、残留有機物の量を従来のIPA蒸気乾燥装置における半導体ウェーハの乾燥におけるよりも約1/3に減少させることができるので、半導体ウェーハ3上に形成される半導体装置の残留有機物による特性の劣化を低減することができる。
【0106】
次に、この発明の第4の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置について説明する。
【0107】
この第4の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置においては、z軸ガイド5の半導体ウェーハ3の搭載枚数が25枚程度であり、ノズル13のノズル穴の個数が29〜57個である。その他のことについては第3の実施形態における制御したIPA蒸気乾燥装置と同様である。
【0108】
また、この第4の実施形態による半導体ウェーハの乾燥方法は、IPA蒸気の初期吐出量を0.6〜1.5cc/sとし、使用量を50〜150cc/バッチとする。具体的には、初期吐出量を例えば0.6cc/sとし、使用量を例えば50ccとすること以外のことについては第3の実施形態と同様である。
【0109】
この第4の実施形態によれば、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
次に、この発明の第5の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置について説明する。図7は、この第5の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置を示し、図8は、この制御したIPA蒸気乾燥装置の乾燥槽の要部を示す。
【0111】
図7に示すように、この第5の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置は、水洗槽(リンスチャンバー)21と乾燥槽(ドライチャンバー)22とを有する。水洗槽21は、半導体ウェーハ23の水洗処理を行うためのものである。また、乾燥槽22は水洗処理後の半導体ウェーハ23を乾燥させるためのものであり、例えばテフロン(Teflon)などの樹脂系の材料から形成されている。乾燥槽22の高さは、半導体ウェーハ23の径が8インチの場合には例えば約320mmである。また、水洗槽21と乾燥槽22との間にはボトムカバー24が設けられている。ボトムカバー24は乾燥槽22の下方に移動して、乾燥槽22の下部の開口部を塞ぐことによって水洗槽21と乾燥槽22とを分離するためのものであり、少なくとも水平方向に移動可能である。また、z軸ガイド25が水洗槽21と乾燥槽22との内部に設けられている。z軸ガイド26は、例えば50枚程度の半導体ウェーハ23を保持しつつ、それらの半導体ウェーハ23を、水洗槽21と乾燥槽22との間で搬送するためのものであり、少なくとも上昇および下降が可能である。
【0112】
水洗槽21の内部にはオーバーフローリンス槽26が設けられている。このオーバーフローリンス槽26の内部は、超純水27を満たすことができるように構成されている。また、その下部には超純水供給管28がオーバーフローリンス槽26に接続されて設けられている。オーバーフローリンス槽26は、超純水を溢れさせて半導体ウェーハ23の水洗を行うためのものであり、超純水供給管28は、オーバーフローリンス槽26に超純水を供給するためのものである。この超純水供給管28には超純水の供給を調整するためのバルブ29が設けられている。また、水洗槽21には超純水排出管30が設けられているとともに、その下部にドレイン31が設けられている。
【0113】
乾燥槽22の上部には上部カバー32が設けられており、半導体ウェーハ23を乾燥槽22から外部に搬出したり、外部から乾燥槽22に搬入したりする際に開閉することができるように構成されている。また、乾燥槽22の内部には例えば4本の管状のノズル33、34、35、36が互いに平行に設けられている。これらの4本のノズル33、34、35、36のうちのノズル33、34は、半導体ウェーハ23の中心より上方で、かつ半導体ウェーハ23に対して対称に設けられているとともに、半導体ウェーハ23を乾燥槽22の内部から外部に搬出したり、外部から乾燥槽22の内部に搬入したりする際に、半導体ウェーハ23がこれらのノズル33、34の間を通過することのできる間隔を隔てて設けられている。具体的には、半導体ウェーハの径が8インチの場合、2本のノズル33、34は、互いに例えば300mm以上の間隔を隔てて設けられている。ノズル35、36は、それらのノズル穴が半導体ウェーハ23の最下端より低い高さで、かつ半導体ウェーハ23に対して対称に設けられているとともに、半導体ウェーハ23を乾燥槽22と水洗槽21との間で搬送する際に、半導体ウェーハ23がこれらのノズル35、36の間を通過することができる間隔を隔てて設けられている。また、図8に示すように、それぞれのノズル33、34、35、36には、その長手方向(図面に垂直な方向)に沿って例えば50〜57個程度のノズル穴33a、34a、35a、36aが等間隔に設けられており、それぞれのノズル穴33a、34a、35a、36aから、例えば、N2 ガスなどの不活性ガスやN2 とIPA蒸気との混合ガスを半導体ウェーハ23に吹き付けることができるようになっている。これらのノズル穴33a、34a、35a、36aの径は0.8〜1.0mmであり、具体的には、例えば0.8mmである。また、ノズル33、34のそれぞれのノズル穴33a、34aは、それぞれのノズル33、34の長手方向に垂直な断面の中心とそれぞれのノズル穴33a、34aの中心とを結んだ直線が、垂直下方方向から半導体ウェーハ23に向かって20°〜50°の角度θをなすように設けられている。一方、ノズル35、36のそれぞれのノズル穴35a、36aは、それぞれのノズル35、36の長手方向に垂直な断面の中心とそれぞれのノズル穴35a、36aの中心とを結ぶ直線が、水平方向と、それぞれのノズルの35、36の中心と半導体ウェーハ23の最下部とを結ぶ直線との間にあるような角度φに設定されて設けられている。なお、上述の、角度θおよび角度φは、それぞれ、垂直下方方向から、および水平方向から、半導体ウェーハ23の側に向かって正の角度が定義される。
【0114】
また、図7に示すように、乾燥槽22の側壁にはガス排気管37が設けられている。このガス排気管37は、乾燥槽22の内部のガスを外部に排気するためのものである。ガス排気管37にはガスの排気を制御するためのバルブ38が設けられている。
【0115】
次に、上述の制御したIPA蒸気乾燥装置を用いた半導体ウェーハの乾燥方法について説明する。
【0116】
まず、z軸ガイド26を乾燥槽22の内部にまで移動しておき、上部カバー32を開ける。その後、例えば50枚の半導体ウェーハ23をz軸ガイド26まで搬送してそこに載置する。その後、上部カバー32を閉じる。次に、z軸ガイド25を下降させることにより、半導体ウェーハ23を水洗槽21内のオーバーフローリンス槽26の内部に搬入する。
【0117】
次に、超純水供給管28を通じて、超純水27をオーバーフローリンス槽26に十分に供給することにより、半導体ウェーハ23の水洗を行う。また、一方で、乾燥槽22においてノズル33、34、35、36から例えばN2 ガスを導入することにより、乾燥槽22の内部をN2 ガス雰囲気にする。
【0118】
半導体ウェーハ23の水洗処理が終了し、乾燥槽22の内部がN2 ガス雰囲気になった後、半導体ウェーハ23が保持されたz軸ガイド26を上方に移動して、半導体ウェーハ23を乾燥槽22の内部に搬入する。半導体ウェーハ23の乾燥槽22の内部への搬入が完了した後、ボトムカバー24を乾燥槽22の下方にまで移動し、乾燥槽22の下部の開口部をふさぐことによって、水洗槽21と乾燥槽22とを分離する。
【0119】
次に、N2 ガスをキャリアガスとして、ノズル33、34、35、36から気化させたIPA(IPA蒸気)を半導体ウェーハ23に吹き付け、半導体ウェーハ23の表面の水をIPA蒸気で置換する。特に、ノズル35、36から吐出されるIPA蒸気は乾燥槽22の内部で上昇し、このIPA蒸気は、その上昇中に半導体ウェーハ23の表面の水と置換する。そして、この置換したIPAが半導体ウェーハ23の表面から揮発して、半導体ウェーハ23の乾燥が終了する。ここで、この半導体ウェーハ23の乾燥条件を挙げると、キャリアガスとしてのN2 ガスの温度を例えば110℃とし、IPA蒸気の初期吐出量を0.8〜1.5cc/sとし、その使用量を70〜200cc/バッチとする。例えば、IPA蒸気を、その初期吐出量を例えば0.8cc/sとし、その吐出量を一定に保ちながら例えば約105秒間半導体ウェーハ23に吹き付ける。このとき、IPAの使用量は約84ccである。なお、上述のIPA蒸気の初期吐出量および使用量は、IPAの液体状態の体積で定義される。
【0120】
その後、乾燥槽22の上部カバー32を開け、半導体ウェーハ23を外部に搬出し、乾燥処理を終了する。
【0121】
上述した乾燥処理において、半導体ウェーハ上の残留有機物量を、従来のIPA蒸気乾燥装置を用いて半導体ウェーハを乾燥させた場合と、この第5の実施形態によるIPA蒸気乾燥装置を用いて半導体ウェーハを乾燥させた場合とについて、それぞれ測定したところ、従来のIPA蒸気乾燥装置を用いて乾燥を行った半導体ウェーハの残留有機物量に比べ、この第5の実施形態によるIPA蒸気乾燥装置を用いて乾燥を行った半導体ウェーハの残留有機物量は約1/3に減少していることが確認された。
【0122】
以上説明したように、この第5の実施形態によるIPA蒸気乾燥装置および乾燥方法によれば、制御したIPA蒸気乾燥装置において、半導体ウェーハ23の中心より上方に2本のノズル33、34を設け、残りの2本のノズル35、36を、それらのノズル穴35a、36aが半導体ウェーハ23の最下端より低い高さになるように設けていることにより、半導体ウェーハ23にIPA蒸気を効率よく吹き付けることができ、従来のIPA蒸気乾燥装置とほぼ同等の乾燥能力を確保しつつ、乾燥時間を短縮することができるとともに、IPAの使用量を低減することができる。したがって、このIPA蒸気乾燥装置を用いて構成される洗浄機の処理能力を向上させることができるとともに、自然環境への悪影響を抑制することができる。また、残留有機物の量を従来のIPA蒸気乾燥装置における半導体ウェーハの乾燥におけるよりも約1/3以下に減少させることができるので、半導体ウェーハ23上に形成される半導体装置に対する残留有機物による特性の劣化を低減することができる。
【0123】
次に、この発明の第6の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置について説明する。
【0124】
この第6の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置においては、図8に示す角度φが0°〜45°となるように、ノズル穴35a、36aが設けられていること以外のことは第5の実施形態における制御したIPA蒸気乾燥装置と同様である。
【0125】
この第6の実施形態によれば、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0127】
例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0128】
また、例えば、上述の第1、第3および第5の実施形態においては、IPA蒸気を、その初期吐出量のままで一定に保ちながら半導体ウェーハに吹き付けるようにしているが、初期吐出量を0.8〜1.5cc/sとし、その後、吐出量を増加させたり減少させたりするようにしてもよい。
【0129】
また、例えば、上述の第1および第3の実施形態においては、乾燥槽2の内部を不活性ガスとしてN2 ガスを用いた雰囲気としているが、Arガスを用いることも可能である。また、例えば、上述の第5の実施形態においては、乾燥槽22の内部を、不活性ガスとしてN2 ガスを用いた雰囲気としているが、Arガスを用いることも可能である。
【0130】
また、例えば、上述の第1の実施形態、第5の実施形態における装置構成はあくまでも一例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる構成の装置を用いるようにしてもよい。
【0131】
また、例えば、上述の第5の実施形態においては、ノズルの本数を4本としているが、ノズルの本数は必ずしも4本に限定されるものではなく、図9に示すように、例えば、さらに2本のノズル39、40を半導体ウェーハ23の中心とほぼ同じ高さで半導体ウェーハ23に対して左右対称に設け、6本のノズルが半導体ウェーハ23に対して左右対称に設けられた装置構成としてもよく、また、それ以外の本数にすることも可能である。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の第1の発明および第8の発明によれば、気化された有機溶剤を、垂直下方方向から半導体基板の側に向かって20°〜50°の角度をなすようにして、半導体基板に吹き付けるようにしていることにより、乾燥能力の低下を招くことなく、乾燥時間を短縮することができ、それによって、乾燥処理能力を向上させることができるとともに、残留有機物の低減を図ることができる。
【0133】
また、この発明の第2の発明および第9の発明によれば、有機溶剤を吐出するためのノズルのノズル穴を、ノズルの断面の中心とノズル穴の中心とを結ぶ直線が、ノズルの断面の中心と半導体基板の中心とを結んだ直線と、ノズルの断面の中心から半導体基板に引いた接線との間にあるように設け、このノズル穴を通じて気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けるようにしていることにより、乾燥能力の低下を招くことなく、乾燥時間を短縮することができ、それによって、乾燥処理能力を向上させることができるとともに、残留有機物の低減を図ることができる。
【0134】
また、この発明の第3の発明、第4の発明、第5の発明、第6の発明、第10の発明、第11の発明、第12の発明および第13の発明によれば、乾燥能力の低下を招くことなく、乾燥時間を短縮することができ、乾燥処理能力を向上させることができ、また、有機物の使用量を乾燥に必要十分な量にまで低減することによって、自然環境の保護に貢献するとともに、残留有機物の低減を図ることができる。
【0135】
また、この発明の第7の発明および第14の発明によれば、ノズルを3本以上設け、これらの3本以上のノズルから気化された有機溶剤を半導体基板に吹き付けるようにしていることにより、乾燥能力の低下を招くことなく、乾燥時間を短縮することができ、それによって、乾燥処理能力を向上させることができるとともに、残留有機物の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置を示す断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置の乾燥槽の要部を示す断面図である。
【図3】半導体ウェーハ表面の残留有機物量を示すグラフである。
【図4】この発明の第1の実施形態の他の例による制御したIPA蒸気乾燥装置の乾燥槽の要部を示す断面図である。
【図5】半導体ウェーハ表面の付着微粒子の個数のIPAの使用量依存性を示す表である。
【図6】半導体ウェーハ表面のウォータマークの個数のIPAの使用量依存性を示す表である。
【図7】この発明の第5の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置の構成を示す断面図である。
【図8】この発明の第5の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置の乾燥槽の要部を示す断面図である。
【図9】この発明の第5の実施形態による制御したIPA蒸気乾燥装置の他の例を示す断面図である。
【図10】従来の半導体ウェーハの洗浄機の構成を示す略線図である。
【図11】従来のIPA蒸気乾燥装置による半導体ウェーハの乾燥方法を説明するための略線図である。
【図12】従来のマランゴニ効果を利用した乾燥装置による半導体ウェーハの乾燥方法を説明するための略線図である。
【図13】マランゴニ効果を説明するための断面図である。
【図14】従来の制御したIPA蒸気乾燥装置による半導体ウェーハの乾燥方法を説明するための略線図である。
【図15】半導体ウェーハ1枚あたりのその表面の付着微粒子の個数およびウォータマークの個数の、IPAの吐出方向角度依存性を示すグラフである。
【図16】半導体ウェーハ1枚あたりのその表面の付着微粒子の個数およびウォータマークの個数の、IPAの初期吐出量依存性を示すグラフである。
【図17】半導体ウェーハ1枚あたりのその表面の付着微粒子の個数およびウォータマークの個数の、IPAの使用量依存性を示すグラフである。
【図18】IPAの吐出ノズルの本数を2本、4本および6本とした場合における、半導体ウェーハ1枚あたりの表面のウォータマークの個数の、乾燥処理時間依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1、21・・・水洗槽、2、22・・・乾燥槽、3、23・・・半導体ウェーハ、6、26・・・オーバーフローリンス槽、13、33、34、35、36、39、40・・・ノズル、13a、33a、34a、35a、36a・・・ノズル穴

Claims (11)

  1. 垂直に設置される半導体基板の中心より高い高さで、かつ上記半導体基板に対して対称に設けられ、上記半導体基板と垂直で、上記半導体基板を含む垂直面内にノズル穴を有し、当該ノズル穴から有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付ける互いに平行な管状の2本のノズルと、
    上記半導体基板の最下端より低い高さで、かつ上記半導体基板に対して対称に設けられ、上記半導体基板と垂直で、上記半導体基板を含む垂直面内にノズル穴を有し、当該ノズル穴から有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付ける互いに平行な管状の2本のノズルとを有し、
    上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴は、上記半導体基板を含む垂直面内において、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と当該ノズル穴の中心とを結ぶ直線が、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と上記半導体基板の中心とを結んだ直線と、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心から上記半導体基板に引いた接線との間にあるように設けられ、
    上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴は、上記半導体基板を含む垂直面内において、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と当該ノズル穴の中心とを結ぶ直線が、水平方向と、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と上記半導体基板の最下部とを結ぶ直線との間にあるように設けられている半導体基板の乾燥装置。
  2. 上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルはこれらの2本のノズルの間を上記半導体基板が通過することができる間隔を隔てて設けられ、上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルはこれらの2本のノズルの間を上記半導体基板が通過することができる間隔を隔てて設けられている請求項1記載の半導体基板の乾燥装置。
  3. 上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴は、当該ノズルの長手方向に沿って等間隔に設けられ、上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴は、当該ノズルの長手方向に沿って等間隔に設けられている請求項1記載の半導体基板の乾燥装置。
  4. 上記半導体基板の中心とほぼ同じ高さで、かつ上記半導体基板の左右に上記半導体基板に対して左右対称に設けられ、上記半導体基板と垂直で、上記半導体基板を含む垂直面内にノズル穴を有し、当該ノズル穴から有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付ける互いに平行な管状の2本のノズルをさらに有する請求項1記載の半導体基板の乾燥装置。
  5. 上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴から上記有機溶剤の蒸気を、垂直方向から上記半導体基板の側に向かって20°から50°の角度で上記半導体基板に吹き付けるように構成された請求項1記載の半導体基板の乾燥装置。
  6. 上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴は、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と当該ノズル穴の中心とを結ぶ直線が、水平方向から上記半導体基板に向かって0°から45°の角度の範囲内にあるように設けられている請求項1記載の半導体基板の乾燥装置。
  7. 垂直に設置される半導体基板の中心より高い高さで、かつ上記半導体基板に対して対称に、上記半導体基板と垂直に、上記半導体基板を含む垂直面内にノズル穴を有し、当該ノズル穴から有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付ける互いに平行な管状の2本のノズルを設け、
    上記半導体基板の最下端より低い高さで、かつ上記半導体基板に対して対称に、上記半導体基板と垂直に、上記半導体基板を含む垂直面内にノズル穴を有し、当該ノズル穴から有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付ける互いに平行な管状の2本のノズルを設け、
    上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴を、上記半導体基板を含む垂直面内において、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と当該ノズル穴の中心とを結ぶ直線が、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と上記半導体基板の中心とを結んだ直線と、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心から上記半導体基板に引いた接線との間にあるように設け、
    上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴を、上記半導体基板を含む垂直面内において、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と当該ノズル穴の中心とを結ぶ直線が、水平方向と、当該ノズルの長手方向に垂直な断面の中心と上記半導体基板の最下部とを結ぶ直線との間にあるように設け、
    上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴から上記有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付けるとともに、上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴から上記有機溶剤の蒸気を上記半導体基板に吹き付けるようにした半導体基板の乾燥方法。
  8. 上記半導体基板の中心より高い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴から上記有機溶剤の蒸気を、垂直方向から上記半導体基板の側に向かって20°から50°の角度で上記半導体基板に吹き付ける請求項記載の半導体基板の乾燥方法。
  9. 上記半導体基板の最下端より低い高さに設けられた上記2本のノズルの上記ノズル穴から上記有機溶剤の蒸気を、水平方向から上記半導体基板に向かって0°から45°の角度で上記半導体基板に吹き付ける請求項記載の半導体基板の乾燥方法。
  10. 上記有機溶剤の蒸気の初期吐出量を0.8cc/秒以上1.5cc/秒以下とする請求項記載の半導体基板の乾燥方法。
  11. 上記有機溶剤の使用量を70cc/バッチ以上200cc/バッチ以下とする請求項記載の半導体基板の乾燥方法。
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