JP4311448B2 - 酸素電極 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素電極に関する発明であって、特に液体培地中の溶存酸素量を測定するために用いられる酸素電極である。
従来、食品の衛生管理などの目的で、食品中に含まれる細菌数を測定することが要求される場合があった。これまでは、食品などの検体に含まれる細菌を測定する方法として、検体を段階的に希釈してそれぞれを寒天培地に一定量混釈または塗布し、24〜48時間程度培養し、発生したコロニー数を目視で計算することで細菌数を測定する方法が一般的に用いられてきた。しかし、この方法では検体を段階的に希釈する作業が必要であることや、24〜48時間程度培養することが必要であることなどの問題点があった。そこで、特開2000−287699号公報(以下、特許文献ともいう)に示すような、検体を添加した液体培地中に含まれる溶存酸素濃度量を酸素電極で測定することにより、細菌数を測定する方法(以下、酸素電極法ともいう)が開発された。
特許文献に示されている酸素電極法においては、液体培地中に含まれる溶存酸素の濃度が高いほど、多くの電流が測定される。一方、検体に含まれる細菌は、呼吸をすることにより液体培地中の溶存酸素を消費している。そのため、細菌の呼吸により溶存酸素濃度が低下することに伴い、酸素電極に流れる電流も低下することになる。また、溶存酸素の消費量は、検体に含まれる初期細菌数に依存する。つまり、初期細菌数が多ければ多いほど、消費される酸素量は多くなり溶存酸素濃度の低下も早くなる。溶存酸素濃度が短時間で低下することで、測定される電流値も短時間で低下することになる。以上の関係から、液体培地に流れる電流が所定の閾値に減少するまでの所要時間は、検体に含まれる初期細菌数に依存することになる。そのため、未知の初期細菌数を含む検体について、この所要時間を測定することで、初期細菌数を特定することができる。以上のように、酸素電極法では、初期細菌数を短時間に且つ正確に測定することができる特徴を有している。
しかし、特許文献に用いられる酸素電極は、セラミック板に貴金属である白金や銀などを印刷することにより形成されているため、コストが高くなる問題があった。また、酸素電極を再使用する場合は、水洗い後にアルコール滅菌を行うが、水洗いの際に周囲に菌が拡散し汚染される心配があった。なお、水洗いせずに加圧蒸気滅菌法を用いる方法も考えられるが、酸素電極が印刷により形成されているので、加圧蒸気滅菌法を用いると印刷が剥がれ再使用できなくなる問題があった。また、食品中の菌検査などでは、検体と直接接する部材は一般的に使い捨てすることが常識であるため、酸素電極についても同様に使い捨てにすることが望まれた。
本発明では、上記のような問題点を解決し、低コストで形成することができる酸素電極の構造を提供することを目的とする。また、本発明では、低コストの酸素電極としてAu層が表層に用いられる場合、その欠陥の発生を抑制して溶存酸素量の測定精度を向上させることができる酸素電極構造を提供することを目的とする。
本発明に係る酸素電極の第1の態様は、液体培地中の溶存酸素量を測定するために用いられる酸素電極であって、電極母材と、前記電極母材の表面を覆うAu、Pt又はTiのいずれかで構成された表面金属層と、電極母材と表面金属層との間に第1下地層とを備える。
本発明に係る酸素電極の第1の態様によれば、安価であるが酸素電極の表面材としては適さない材料を電極母材に使用することができ、安価で形成が可能な構造とすることができる。
本発明に係る酸素電極の第2の態様は、第1の態様にかかる酸素電極であって、前記電極母材の表面又は前記表面金属層の表面の少なくとも一方を機械研磨処理した。
本発明に係る酸素電極の第2の態様によれば、表面金属層に生じるピンホールを低減することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る酸素電極の第3の態様又は第4の態様は、第1の態様又は第2の態様にかかる酸素電極であって、前記表面金属層はAuで構成され、前記第1下地層上に電気メッキにより形成される。

本発明に係る酸素電極の第3の態様又は第4の態様によれば、容易に製造することが可能であり、より安価な酸素電極を製造することができる。
本発明に係る酸素電極の第5の態様又は第6の態様は、第3の態様又は第4の態様にかかる酸素電極であって、前記第1下地層は、ニッケルで構成される。
本発明に係る酸素電極の第5の態様又は第6の態様によれば、Auの表面金属層の付着性を良くし、且つ測定に影響を与えないことができる。
本発明に係る酸素電極の第7の態様又は第8の態様は、第5の態様又は第6の態様にかかる酸素電極であって、前記表面金属層は、少なくとも0.3μm以上である。
本発明に係る酸素電極の第7の態様又は第8の態様によれば、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る酸素電極の第9の態様は、第3の態様乃至第8の態様のいずれか1つにかかる酸素電極であって、前記第1下地層の表面を機械研磨処理した。
本発明に係る酸素電極の第9の態様によれば、Auで構成される表面金属層に生じるピンホールを低減することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る酸素電極の第10の態様は、第3の態様乃至第8の態様のいずれか1つにかかる酸素電極であって、前記第1下地層は、二酸化炭素中で行う電気メッキにより形成される。
本発明に係る酸素電極の第10の態様によれば、Auで構成される表面金属層に生じるピンホールを低減することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る酸素電極の第11の態様は、第10の態様にかかる酸素電極であって、前記二酸化炭素は超臨界状態にある。
本発明に係る酸素電極の第11の態様によれば、Auで構成される表面金属層に生じるピンホールを低減することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る酸素電極の第12の態様は、第3の態様乃至第8の態様のいずれか1つにかかる酸素電極であって、前記第1下地層と前記表面金属層との間に第2下地層をさらに備え、前記第2下地層は、前記第1下地層の表面に形成される粒径より小さい粒径が表面に形成される。
本発明に係る酸素電極の第12の態様によれば、Auで構成される表面金属層に生じるピンホールを低減することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
本発明に係る酸素電極の第13の態様は、第12の態様にかかる酸素電極であって、前記第2下地層は、ルテニウム、ロジュウム又はパラジュウムのいずれかで構成される。
本発明に係る酸素電極の第13の態様によれば、第1下地層に生じたピンホールを低減することができる、Auで構成される表面金属層に生じるピンホールを低減することができる効果がある。
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本実施の形態1に係る菌数測定装置のブロック図である。 本実施の形態1に係るセルの断面斜視図である。 本実施の形態1に係る酸素電極の断面図である。 本実施の形態1に係る酸素電極の測定結果を示す図である。 本実施の形態1に係る酸素電極の測定結果を示す図である。 本実施の形態2に係る酸素電極の断面図である。 本実施の形態2に係る溶存酸素量の測定波形を示すグラフである。 本実施の形態2に係る溶存酸素量の測定波形を示すグラフである。 本実施の形態3に係る溶存酸素量の測定波形を示すグラフである。 本実施の形態3に係る溶存酸素量の測定波形を示すグラフである。 本実施の形態5に係る酸素電極の断面図である。 本実施の形態5に係る酸素電極の断面図である。
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係る酸素電極を用いた菌数測定装置のブロック図を示す。この菌数測定装置にはセル1が設けられており、このセル1に検体を添加した培地を収容する。そして、セル1内には、酸素電極法に用いられる酸素電極2が設けられている。図2に、セル1の断面斜視図を示す。セル1の底面近傍の側壁に、酸素電極2を構成する対極21、作用極22、参照極23の3つの電極が設けられている。さらにセル1には、対極21、作用極22、参照極23と電気的に接続された出力端子24が設けられており、酸素電極2は出力端子24を介して電流測定部3と接続されている。
図1の電流測定部3では、検体を添加した培地に流れる電流値を酸素電極2で測定している。特に、対極21と作用極22とで培地に流れる電流を測定している。ここで、培地に流れる電流は、培地中の溶存酸素が作用極22において、水に還元されることにより流れる電流である。そのため、培地の溶存酸素濃度が高いときには、電流値も高く、溶存酸素濃度が低いときには、電流値も低くなる。一方、検体に含まれる一般生菌や大腸菌等の細菌は、増殖に伴い酸素消費量も増加する。そのため、培地の溶存酸素濃度は低下し、電流値も溶存酸素濃度の低下にともない低下することになる。
低下した電流値が所定の閾値に達するまでに時間を所要時間とし、この所要時間を図1に示す所要時間計測部4で測定する。測定された所要時間から初期に含まれていた培地中の細菌数を、図1に示す菌数算出部5で算出する。
酸素電極2を、高価な金、白金、銀やチタン等の特定の材料のみで構成しなければ溶存酸素濃度に応じた電流量を測定することができなかった。そのため、酸素電極2が設けられたセル1を安価に形成することができなかった。そこで、本実施の形態に係る酸素電極2では、一般の電極に使用されている安価な銅やステンレス鋼等を電極母材に使用し、当該電極母材の表面を金、白金やチタン等で構成された表面金属層で覆う構造としている。つまり、本実施の形態に係る酸素電極2では、電極母材は銅やステンレス鋼等の酸素電極に不向きな材料であるが、表面を金等で覆うことで培地と接する部分は酸素電極に最適な材料とし、溶存酸素濃度に応じた電流量を測定している。また、本実施の形態に係る酸素電極2は、表面のわずかな部分が金等の高価な材料で残りが安価な銅やステンレス鋼等であり、製作方法も一般的なメッキ法等を用いることができるので安価に製作することができる。そのため、本実施の形態に係る酸素電極2は、使い捨てに適している。
以下、本実施の形態に係る酸素電極2について、電極母材が銅、表面金属層が金の具体例に基づいて説明する。なお、銅の電極母材に直接金をメッキするとメッキの付着性が悪いので、電極母材と表面金属層との間に下地層を設けている。つまり、本実施の形態に係る酸素電極2では、銅の電極母材−ニッケル層−金の表面金属層(以下、Au層ともいう)の構造である。図3に、本実施の形態に係る酸素電極2の断面図を示す。図3に示す酸素電極2は、電極母材10に銅が使用され、当該電極母材10の表面に、電気メッキにより形成されたニッケル層11が積層されている。さらに、ニッケル層11上には、Au層13が電気メッキにより積層されている。ここで、それぞれの層のメッキ厚は、例えばニッケル層11が0.3μm、Au層13が0.3〜2.0μmを採用する。
次に、本実施の形態に係る酸素電極2が、金、白金、銀やチタン等の特定の材料のみからなる酸素電極と同様に溶存酸素量を測定できることを以下に示す。まず、図4に、特定の材料のみからなる酸素電極と本実施の形態に係る酸素電極2との測定結果の表を示す。ここで、特定の材料のみからなる酸素電極には、チタン(Ti)が使用されている。なお、特定の材料のみからなる酸素電極には表面金属層が形成されていないため、電極表面もチタンである。一方、本実施の形態に係る酸素電極2は、上記で説明したように、銅の電極母材にニッケルとAuの電気メッキが施されており、電極表面がAuとなる。チタンのみから成る酸素電極と比較して、本実施の形態にかかる酸素電極2は安価となる。
図4に示す表では、それぞれの電極を用いて測定溶液のみの測定結果であるエアレベル出力と、大腸菌を添加して溶存酸素を減少させた測定溶液の測定結果であるゼロレベル出力とが記載されている。また、図4に示す表では、測定溶液として細菌用の培地であるMH−b(感受性ブイヨン培地)と、細胞用の培地であるRPMI−HEPES(PRMI1640培地をHEPES(2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperadinyl] ethansulfonic acid)に溶解させたもの)とを用いている。
細菌用の培地について、チタンの酸素電極で測定した結果は、エアレベル出力が213±25.4nAで、ゼロレベル出力が54±10.2nAとなる。ここで、±以降の数字は、標準偏差を表しており、図4ではSDと記載されている。そして、エアレベル出力の平均値からゼロレベル出力の平均値を引くことで得られる信号値159nAに対するゼロレベル出力の平均値(54nA)の割合(S/N比)は、約2.9となる。
細菌用の培地について、本実施の形態に係る酸素電極2で測定した結果は、エアレベル出力が243±14.9nAで、ゼロレベル出力が65±10.3nAとなる。そして、S/N比は、約2.7となる。つまり、細菌用の培地については、本実施の形態に係る酸素電極2であっても、高価なチタンの酸素電極と同じように溶存酸素量を測定することができることが分かる。
細胞用の培地について、チタンの酸素電極で測定した結果は、エアレベル出力が170±16.3nAで、ゼロレベル出力が52±16.4nAとなる。そして、S/N比は、約2.3となる。一方、本実施の形態に係る酸素電極2で測定した結果は、エアレベル出力が256±55.2nAで、ゼロレベル出力が74±15.8nAとなる。そして、S/N比は、約2.5となる。両者の結果から、細胞用の培地については、本実施の形態に係る酸素電極2であっても、高価なチタンの酸素電極と同じように溶存酸素量を測定することができることが分かる。
次に、Au層13の厚さを変化させた場合の酸素電極2での電流測定値の変化を説明する。図5では、0.1μmと0.3μmのAu層13を備える酸素電極2について、大気中での電流測定値と酸素ゼロでの電流測定値を示している。そして、図5では、大気中での電流測定後に酸素ゼロでの電流測定を行うパターン(以下、パターンAという)と、酸素ゼロでの電流測定後に大気中での電流測定を行うパターン(以下、パターンBという)について測定されている。
図5において、0.1μmのAu層13を備える酸素電極2は、パターンAにおいて、大気中での電流測定値の平均が186nA、標準偏差が22.0、酸素ゼロでの電流測定値の平均が101nA、標準偏差が16.3である。そして、酸素ゼロでの電流測定値の平均(101nA)に対する、大気中での電流測定値の平均から酸素ゼロでの電流測定値の平均を差し引いた信号値(85nA)の割合(S/N比)は、約0.84となる。同様に、0.1μmのAu層13を備える酸素電極2は、パターンBにおいて、大気中での電流測定値の平均が193nA、標準偏差が21.6、酸素ゼロでの電流測定値の平均が115nA、標準偏差が19.6であり、信号値が78nA、S/N比が0.68となる。さらに、0.1μmのAu層13を備える酸素電極2は、使用直後の酸素測定値から求めた信号値が71nA、S/N比が0.62となる。
図5において、0.3μmのAu層13を備える酸素電極2は、パターンAにおいて、大気中での電流測定値の平均が184nA、標準偏差が13.7、酸素ゼロでの電流測定値の平均が34nA、標準偏差が15.0である。そして、酸素ゼロでの電流測定値の平均(34nA)に対する、大気中での電流測定値の平均から酸素ゼロでの電流測定値の平均を差し引いた信号値(150nA)の割合(S/N比)は、約4.44となる。同様に、0.3μmのAu層13を備える酸素電極2は、パターンBにおいて、大気中での電流測定値の平均が197nA、標準偏差が16.1、酸素ゼロでの電流測定値の平均が29nA、標準偏差が12.7であり、信号値が168nA、S/N比が5.72となる。さらに、0.3μmのAu層13を備える酸素電極2は、使用直後の酸素測定値から求めた信号値が155nA、S/N比が5.28となる。なお、図5では、それぞれ8個の酸素電2について測定している。
図5が示すように、0.1μmのAu層13を備える酸素電極2の場合、S/N比が1以下の値であり、溶存酸素による電流値を測定することが困難である。しかし、0.3μmのAu層13を備える酸素電極2の場合、S/N比が4以下の値であり、溶存酸素による電流値がノイズに埋もれることなく測定することができる。そのため、表面金属層であるAu層13を、少なくとも0.3μm以上にすることで、溶存酸素による電流値を精度良く測定することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
以上のように、安価な電極母材の銅をAu層で覆う構造である酸素電極2であっても、特定の材料のみからなる酸素電極とほぼ同じ精度で溶存酸素量を測定することができる。そして、本実施の形態に係る酸素電極2は、電極母材にメッキ法等でAu層を積層するだけであり安価な工程で形成できる。なお、本実施の形態では、電極母材に銅を用いたが、他の材料でも良く、例えば腐食に強いステンレス鋼であっても安価に形成できる。また、本実施の形態に係る酸素電極2では、下地層にニッケル層11を用いているが、本発明はこれに限らず、表面金属層の付着性が向上し、且つ測定に影響を与えない材料であれば他の材料であっても良い。さらに、本発明では、Au層に替えて表面金属層を白金やチタンで構成しても良く、製造方法も電気メッキだけに限らず蒸着法等の他の方法を用いても良い。
(実施の形態2)
実施の形態1に係る酸素電極2では、銅の電極母材10−ニッケル層11−Au層13と構成することで安価な形成を可能とした。しかし、一般的なメッキ条件でニッケル層11を電極母材10の表面に積層した場合、ニッケル層11にピンホールが生じやすい問題があった。ニッケル層11にピンホールが生じると、その上に積層されるAu層13にも、ニッケル層11の影響を受けてピンホールが生じることがあった。Au層にピンホールが多数生じると電極母材10の表面が露出することになり、液体培地中の溶存酸素量を測定する場合に、電極母材10の影響により測定初期の電流値と所定の閾値との差が小さくなる問題があった。
測定初期の電流値と所定の閾値との差は、検体に含まれる菌種や選択される培地の要因によっても小さくなる場合があり、この場合に酸素電極にピンホールが多数生じるとさらに測定初期の電流値と所定の閾値との差が小さくなり、十分な測定精度で溶存酸素量を測定することができなくなる。そのため、酸素電極に生じるピンホールを低減し、測定初期の電流値と所定の閾値との差を十分確保することで、測定精度を向上させることが望ましい。
そこで、本実施の形態に係る酸素電極2では、下地層であるニッケル層11と表面金属層であるAu層13との間に別の下地層を設けることで、ニッケル層11に生じたピンホールを別の下地層で塞ぎ、表面金属層に形成されるピンホールを低減している。そのため、別の下地層の表面に形成される粒径は、ニッケル層11に生じたピンホールを塞ぐことができるようにニッケル層11の表面に形成される粒径より小さくする必要がある。
具体的に本実施の形態に係る酸素電極2を説明する。なお、本実施の形態に係る酸素電極2が用いられる菌数測定装置は、図1に示す菌数測定装置のブロック図と同じである。また、本実施の形態で用いられるセル1も、図2に示すセル1の断面斜視図と同じである。そのため、菌数測定装置及びセル1についての詳細な説明は省略する。
そして、本実施の形態に係る対極21、作用極22、参照極23のいずれにも採用可能な酸素電極2の構造について説明する。図6に、本実施の形態に係る酸素電極2の断面図を示す。図6に示す酸素電極2は、電極母材10に銅が使用されている。当該電極母材10の表面には、電気メッキ法により下地層のニッケル層11が積層されている。さらに、ニッケル層11上に、別の下地層であるルテニウム層12が電気メッキ法により積層されている。このルテニウム層12の表面には、ニッケル層11の表面に形成される粒径よりも小さい粒径が形成されている。
ここで、粒径とは、ニッケル層11やルテニウム層12等の金属層に形成される結晶粒の直径であり、最適なメッキ条件での粒径は材料により異なる。また、粒径は、メッキ条件により多少調整することができる。例えば、ニッケル層11の粒径は、0.05μmから0.2μm程度であり、ルテニウム層12の粒径は、これらの値より小さい粒径となる。そして、ニッケル層11に生じるピンホール径は約0.05μm以上でルテニウム層12の粒径より大きいので、ニッケル層11に生じるピンホールをルテニウム層12により塞ぐことが可能となる。また、ルテニウム層12上には、Au層13がメッキ法により積層されている。ここで、それぞれの層のメッキ厚は、例えばニッケル層11が0.3μm、ルテニウム層12が0.2μm、Au層13が0.3〜2.0μmを採用する。
なお、本実施の形態に係る酸素電極2の構造は、ニッケル層11とAu層13との間にルテニウム層12が積層されているが、本発明ではこれに限られず、ニッケル層11の表面に形成される粒径よりも小さい粒径が表面に形成される金属層であれば、ルテニウム以外の金属であっても良い。例えば、ロジュウム(Rh)やパラジュウム(Pd)などがある。また、本実施の形態に係る酸素電極2では、電極母材10上に積層されるニッケル層11、ルテニウム層12及びAu層13はいずれもメッキ法で形成されているが、本発明はこれに限られず他の方法、例えば蒸着法などであっても良い。
一般的なメッキ条件で形成したニッケル層11にはピンホールが多数生じる。本実施の形態に係る酸素電極2では、ニッケル層11の表面に形成される粒径よりも小さい粒径のルテニウム層12で当該ピンホールを埋めることにより、ニッケル層11に形成されたピンホールの影響をAu層13に生じさせないようにしている。そのため、本実施の形態に係る酸素電極2では、ニッケル層11とAu層13との間にルテニウム層12を積層する構造とすることで、Au層13に形成されるピンホールを低減することができる。
次に、酸素電極2で液体培地中の溶存酸素量を測定すると、一般的に、測定初期に一定の電流値が流れた後、溶存酸素量の低下とともに電流値が低下するプロファイルを示す。具体的に、図7に、本実施の形態に係る酸素電極2を用いて溶存酸素量を測定したグラフを示す。また、図8に、銅の電極母材にニッケル層とAu層を積層した酸素電極を用いて溶存酸素量を測定したグラフを示す。図7及び図8の測定で用いた検体には、大腸菌(E.coli IFO3972)が含まれ、液体培地に一般性菌用の培地が用いられている。そして、検体に含まれる初期細菌数は10、10、10、10(単位:CFU/g)である。なお、グラフの横軸は測定時間(単位:分)であり、縦軸は電流値(単位:nA)である。
図7に示すグラフを見ると、測定初期に流れる一定の電流値(以下、初期電流値という)の平均値は約1200nAであるが、図8に示すグラフを見ると、初期電流値の平均値は約900nAである。そのため、図7及び図8の所定の閾値を約300nAとした場合、図7に示すグラフでは初期電流値と所定の閾値との差が約900nA確保することができるが、図8に示すグラフでは約600nAしか確保することしかできない。
従って、本実施の形態に係る酸素電極2を用いて溶存酸素量を測定した場合、初期電流値と所定の閾値との差が約300nA改善したことが分かる。つまり、本実施の形態のようにピンホールが低減した酸素電極2を用いた場合、電極母材にニッケル層とAu層を積層した酸素電極を用いた場合に比べて、初期電流値と所定の閾値との差が大きくなる傾向が実験的に見出されている。そのため、本実施の形態に係る酸素電極2のようにAu層13のピンホールを低減することができれば、初期電流値と所定の閾値との差を大きくすることができると考えられる。
本実施の形態に係る酸素電極2を用いて溶存酸素量を測定した場合のように、初期電流値と所定の閾値との差を大きく確保することができれば、検体に含まれる菌種や選択される培地の要因により初期電流値と所定の閾値との差を小さくする場合があっても、精度良く溶存酸素量を測定することができる。
以上のように、本実施の形態に係る酸素電極2は、電極母材10(銅)と、電極母材10の表面に積層されるニッケル層11と、ニッケル層11上に積層され、ニッケル層11の表面に形成される粒径よりも小さい粒径が表面に形成されるルテニウム層12と、ルテニウム層12上に積層されるAu層13とを備えるので、Au層13に生じるピンホールが低減され、初期電流値と所定の閾値との差をより大きく確保することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
(実施の形態3)
実施の形態2では、電極母材10に銅を使用したが、本発明ではこれに限られず、溶存酸素量の測定に適した電極母材10であれば他の材料であっても良い。例えば、本実施の形態では、電極母材10にステンレス鋼が用いられている。なお、本実施の形態に係る酸素電極が用いられる菌数測定装置は、図1に示す菌数測定装置のブロック図と同じである。また、本実施の形態で用いられるセル1も、図2に示すセル1の断面斜視図と同じである。そのため、菌数測定装置及びセル1についての詳細な説明は省略する。
次に、本実施の形態に係る酸素電極2の断面図も、図6に示す断面図と基本的には同じであるが、電極母材10に銅の代わりにステンレス鋼が使用されている点が異なる。そのため、電極母材10の表面にメッキ法により積層される、ニッケル層11、ルテニウム層12、Au層13は、実施の形態1と同じである。
なお、本実施の形態に係る酸素電極2の構造でも、ニッケル層11とAu層13との間にルテニウム層12が積層されているが、本発明ではこれに限られず、ニッケル層11の表面に形成される粒径よりも小さい粒径が表面に形成される金属層であれば、ルテニウム以外の金属であっても良い。例えば、ロジュウム(Rh)やパラジュウム(Pd)などがある。また、本実施の形態に係る酸素電極2では、電極母材10上に積層されるニッケル層11、ルテニウム層12及びAu層13がメッキ法で形成されているが、本発明はこれに限られず他の方法、例えば蒸着法などであっても良い。
本実施の形態に係る酸素電極2では、実施の形態2と同様に、ニッケル層11とAu層13との間にルテニウム層12を積層する構造であるため、Au層13に形成されるピンホールを低減することができる。そのため、本実施の形態に係る酸素電極2を用いて測定を行った場合についても、初期電流値と所定の閾値との差を大きくすることができ、検体に含まれる菌種や選択される培地の要因により初期電流値と所定の閾値との差が小さくなる場合であっても、精度良く溶存酸素量を測定することができる。
また、電極母材に安価なステンレス鋼を採用し、ニッケル層とAu層を積層した酸素電極の場合、酸素電極を剪断等して形成する際に生じる応力によりニッケル層にクラックが生じ、それに伴いAu層13にクラックが生じることがあった。しかし、本実施の形態に係る酸素電極2では、ニッケル層11とAu層13との間にルテニウム層12を積層する構造であるため、Au層13にクラックを生じ難くなっている。これは、たとえニッケル層11にクラックが生じても、ルテニウム層12があるためニッケル層11のクラックの影響がAu層13にまで及ばないと考えられる。
なお、酸素電極のAu層13にクラックが生じている場合、ニッケル層11又は電極母材10(ステンレス鋼)が電流値測定に影響を与えると考えられ、正常な電流値を測定することができず、異常波形が観測される問題があった。しかし、本実施の形態に係る酸素電極2の構造にすることで、Au層13にクラックが生じ難くなるとともに、ルテニウム層12を設けることでニッケル層11又は電極母材10(ステンレス鋼)が露出せず電流値測定に影響を与え難くなり、正確な電流波形を測定することができる。
具体的に、図9に、本実施の形態に係る酸素電極2を用いて溶存酸素量を測定したグラフを示す。また、図10に、ステンレス鋼の電極母材にニッケル層とAu層を積層した酸素電極を用いて溶存酸素量を測定したグラフを示す。図9及び図10では、図7及び図8とは異なり、特定の培地と特定の菌種との組み合わせである特定酵素基質培地中の大腸菌又は大腸菌群を酸素電極で測定した場合である。この場合、図7及び図8で示したプロファイルと異なり、図9及び図10では、測定初期に一定の電流値が流れた後、一旦溶存酸素量の低下とともに電流値が低下した後に、電流値が上昇するプロファイルとなる。
図9及び図10の測定で用いた検体には、大腸菌(E.coliIFO15034)が含まれ、液体培地にコリラート(登録商標)が用いられている。そして、図9の検体に含まれる初期細菌数は10(単位:CFU/g)であり、図10の検体に含まれる初期細菌数は10(単位:CFU/g)である。なお、図9及び図10のグラフの横軸は測定時間(単位:分)であり、縦軸は電流値(単位:nA)である。
図9に示すグラフを見ると、初期電流値の平均値は約600nAであり、所定の閾値を0nA近傍に設定した場合、初期電流値と所定の閾値との差を約600nA確保することができる。しかし、図10に示すグラフを見ると、初期電流値の平均値は約900nAであるが、所定の閾値が600nA程度にしか設定することができない。そのため、図10に示すグラフでは、初期電流値と所定の閾値との差を約300nA確保することしかできない。従って、本実施の形態に係る酸素電極2の構造にすることで、初期電流値と所定の閾値との差を約300nA改善したことが分かる。
また、図10に示すグラフでは、正常な波形以外に、電流値が比較的に早期から上昇する異常波形が検出されている、この異常波形が検出された酸素電極には、Au層にクラックが生じていた。しかし、本実施の形態に係る酸素電極2を用いた場合、Au層にクラックは発生せず、図9に示すように異常波形は観測されていない。
以上のように、本実施の形態に係る酸素電極2では、電極母材10(ステンレス鋼)と、電極母材10(ステンレス鋼)の表面に積層されるニッケル層11と、ニッケル層11上に積層され、ニッケル層11の表面に形成される粒径よりも小さい粒径が表面に形成されるルテニウム層12と、ルテニウム層12上に積層されるAu層13とを備えるので、Au層13に生じるピンホールが低減され、初期電流値と所定の閾値との差をより大きく確保することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。また、本実施の形態に係る酸素電極2は、Au層13にクラックを生じさせ難い構造であり、溶存酸素量を測定する場合に異常波形を観測することなく、正確な測定を行うことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態に係る酸素電極は、電極母材−ニッケル層−Au層となる構造である。しかし、一般的なメッキ条件で形成したニッケル層に直接Au層を形成すると、実施の形態2で述べたように、Au層に多数のピンホールが生じる場合があった。そこで、本実施の形態に係る酸素電極では、電極母材に積層したニッケル層11の表面に機械研磨処理を行うことで、ルテニウム層12を用いずにAu層のピンホールを低減する。ここで、機械研磨処理には、ジェットスクラブ処理、ブラシスクラブ処理やバフ研磨等である。
以下、ジェットスクラブ処理を用いて説明する。まず、本実施の形態に係る酸素電極が用いられる菌数測定装置及びセルは、図1及び図2に示したものと同じであるため、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態に係る酸素電極2の断面図は、図3と同じになる。図3に示す酸素電極2は、電極母材10に銅又はステンレス鋼が使用されている。そして、この電極母材10の表面には、メッキ法によりニッケル層11が積層されている。さらに、ニッケル層11上に、Au層13がメッキ法により積層されている。
本実施の形態に係るニッケル層11は、Au層13を積層する前に、ジェットスクラブ処理が行われる。本実施の形態で用いられるジェットスクラブ処理は、従来、プリント基板のCu表面の研磨に利用されており、研磨剤を対象物に吹き付けてムラのない表面を形成する処理である。このジェットスクラブ処理をニッケル層11に適用することで、ニッケル層11の表面に形成されたピンホールを物理的な力によって埋めることができ、ニッケル層11の表面のピンホールを少なくできる。
ニッケル層11の表面に形成されたピンホールを低減できれば、ニッケル層11に直接Au層13をメッキ法により積層しても、Au層13に多数のピンホールが形成されることはない。つまり、本実施の形態に係る酸素電極2も、Au層13形成されるピンホールを低減して、実施の形態2と同じく初期電流値と所定の閾値との差を大きくすることができる。
以上のように、本実施の形態に係る酸素電極2は、電極母材10(銅又はステンレス鋼)と、電極母材10の表面に積層され、且つ表面がジェットスクラブ処理されたニッケル層11と、ニッケル層11上に積層されるAu層13とを備えるので、Au層13に生じるピンホールが低減され、初期電流値と所定の閾値との差をより大きく確保することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、下地層であるニッケル層11に機械研磨処理を行っているが、電極母材10の表面や表面金属層13の表面に対して機械研磨処理を行っても良い。電極母材10の表面を機械研磨処理することで、電極母材10の表面の凹凸が緩和され表面金属層13に形成されるピンホール等の欠陥を低減することができる。また、表面金属層13の表面を機械研磨処理することで、表面金属層13の表面に形成されたピンホール等の欠陥を事後的に修正し低減することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態に係る酸素電極も、実施の形態4と同じくニッケル層に直接Au層を形成している。しかし、本実施の形態に係る酸素電極は、実施の形態3のように、ニッケル層にジェットスクラブ処理を施すのではなく、ニッケル層のメッキの方法を改善している。なお、本実施の形態に係る酸素電極が用いられる菌数測定装置及びセルは、図1及び図2に示したものと同じであるため、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態に係る酸素電極2の断面図も図3と同じであるため、詳細な説明は省略する。
図3のように、本実施の形態でも、電極母材10(銅又はステンレス鋼)上にニッケル層11が積層される。しかし、本実施の形態のニッケル層11は、従来のメッキ方法とは異なる超臨界メッキ法により形成されている。
ここで、超臨界メッキ法とは、界面活性剤と二酸化炭素と入れ懸濁させたメッキ浴を用いて、二酸化炭素を超臨界状態にして電気メッキを行う方法である。なお、超臨界状態とは、状態図で温度、圧力、エントロピー線図の臨界点より上に位置する温度、圧力の状態をいう。具体的に超臨界メッキ法は、まず、高圧にできる反応浴槽に、ニッケル用のメッキ浴と、当該メッキ浴に対して所定の割合の界面活性剤とを入れ、陰極に脱脂した電極母材10(銅又はステンレス鋼)、陽極に純ニッケル板を取り付け密封する。そして、恒温槽で温度を32℃以上に上げた後、液送ポンプ及び圧力調整器で反応浴槽内の圧力を8MPa以上に上げる。さらに、反応浴槽内に二酸化炭素を封入し、スターラーで二酸化炭素、界面活性剤及びメッキ浴を撹拌して懸濁化する。そして、陰極と陽極の間に、所定の電流値を数分間通電して、ニッケルメッキを行う。
超臨界メッキ法を用いることによりニッケル層11は、ピンホールが少なく緻密に形成され、表面に形成される粒径も小さくなる。図11に、超臨界メッキ法によるニッケル層11表面のSEM写真を、図12に、従来のメッキ法によるニッケル層11表面のSEM写真を示す。図11のニッケル層11表面は、緻密でピンホールも形成されておらず、凹凸がほとんど形成されていないことが分かる。しかし、図12のニッケル層11表面では、ピンホールが多数形成されており、凹凸が形成されている様子が示されている。なお、図11及び図12は、ともに500倍にしたニッケル層11表面である。
図11及び図12からも分かるように、超臨界メッキ法を用いることでニッケル層11の表面に形成されるピンホールを少なくでき、粒径も小さくすることができるので、ニッケル層11に直接Au層13をメッキ法により積層してもAu層13に多数のピンホールが形成されることはない。このように、本実施の形態に係る酸素電極2においてAu層13のピンホールが低減できれば、実施の形態1又は実施の形態2と同様に、初期電流値と所定の閾値との差を大きくすることができると考えられる。
以上のように、本実施の形態に係る酸素電極2は、電極母材10(銅又はステンレス鋼)と、電極母材10の表面に積層されるニッケル層11と、ニッケル層11上に積層されるAu層13とを備え、ニッケル層11が、超臨界メッキにより形成されるので、Au層13に生じるピンホールが低減され、初期電流値と所定の閾値との差をより大きく確保することができ、溶存酸素量の測定精度を向上させることができる。
なお、ニッケル層11にピンホールが形成される原因の1つに、ニッケル層11の表面で発生する水素ガスがある。この水素ガスが水よりも二酸化炭素に親和性があるため、ニッケル層11を電気メッキする際に二酸化炭素中で行うことによりピンホールを減らせると考えられる。従って本実施の形態で採用されるニッケル層11は、超臨界メッキにより形成されるものに限定せず、二酸化炭素中で行う電気メッキにより形成されたニッケル層11を用いてもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。

Claims (13)

  1. 液体培地中の溶存酸素量を測定するために用いられる酸素電極(2)であって、
    電極母材(10)と、
    前記電極母材(10)の表面を覆うAu、Pt又はTiのいずれかで構成された表面金属層(13)と
    前記電極母材(10)と前記表面金属層(13)との間に第1下地層(11)とを備える、酸素電極。
  2. 請求項1に記載の酸素電極(2)であって、
    前記電極母材(10)の表面又は前記表面金属層(13)の表面の少なくとも一方を機械研磨処理したことを特徴とする酸素電極。
  3. 請求項1に記載の酸素電極(2)であって、
    記表面金属層(13)はAuで構成され、前記第1下地層(11)上に電気メッキにより形成されることを特徴とする酸素電極。
  4. 請求項2に記載の酸素電極(2)であって、
    記表面金属層(13)はAuで構成され、前記第1下地層(11)上に電気メッキにより形成されることを特徴とする酸素電極。
  5. 請求項3に記載の酸素電極(2)であって、
    前記第1下地層(11)は、ニッケルで構成されることを特徴とする酸素電極。
  6. 請求項4に記載の酸素電極(2)であって、
    前記第1下地層(11)は、ニッケルで構成されることを特徴とする酸素電極。
  7. 請求項5に記載の酸素電極(2)であって、
    前記表面金属層(13)は、少なくとも0.3μm以上であることを特徴とする酸素電極。
  8. 請求項6に記載の酸素電極(2)であって、
    前記表面金属層(13)は、少なくとも0.3μm以上であることを特徴とする酸素電極。
  9. 請求項3乃至請求項8のいずれか1つに記載の酸素電極(2)であって、
    前記第1下地層(11)の表面を機械研磨処理したことを特徴とする酸素電極。
  10. 請求項3乃至請求項8のいずれか1つに記載の酸素電極(2)であって、
    前記第1下地層(11)は、二酸化炭素中で行う電気メッキにより形成されることを特徴とする酸素電極。
  11. 請求項10に記載の酸素電極(2)であって、前記二酸化炭素は超臨界状態にある、酸素電極。
  12. 請求項3乃至請求項8のいずれか1つに記載の酸素電極(2)であって、
    前記第1下地層(11)と前記表面金属層(13)との間に第2下地層(12)をさらに備え、
    前記第2下地層(12)は、前記第1下地層(11)の表面に形成される粒径より小さい粒径が表面に形成されることを特徴とする酸素電極。
  13. 請求項12に記載の酸素電極(2)であって、
    前記第2下地層(12)は、ルテニウム、ロジュウム又はパラジュウムのいずれかで構成されることを特徴とする酸素電極。
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