JP2001174436A - イオン濃度測定方法及び装置 - Google Patents

イオン濃度測定方法及び装置

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JP2001174436A
JP2001174436A JP36336899A JP36336899A JP2001174436A JP 2001174436 A JP2001174436 A JP 2001174436A JP 36336899 A JP36336899 A JP 36336899A JP 36336899 A JP36336899 A JP 36336899A JP 2001174436 A JP2001174436 A JP 2001174436A
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electrode
working electrode
ion concentration
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English (en)
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Kunihiko Yamada
邦彦 山田
Masanori Takimoto
正則 滝本
Fumihide Takizawa
文秀 瀧澤
Yoshihiro Sekine
嘉弘 関根
Fumitaka Yamashima
史孝 山島
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Apollo Giken Co Ltd
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JIO SUPPORT KK
Apollo Giken Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定で、再現性の良い測定結果を得る。 【解決手段】 検水2に浸漬される近接配置された金電
極からなる作用極22、対極23及び参照極24は電極
ユニット3を構成する。短絡回路8は、非測定期間に作
用極22、対極23及び参照極24の電極表層の電位を
安定化させるため、これら電極を短絡する。印加電圧発
生器5は、作用極22と対極23との間に所定範囲の測
定用掃引電圧を印加する。演算制御装置4は、作用極2
2と対極23との間に流れる電流値から作用極22と対
極23との間のE−i曲線を求め、これを予め定めた関
数に当てはめて、その関数の複数のパラメータから遊離
残留塩素濃度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中に含まれる
特定の化学種、特に水道水等に含まれる遊離残留塩素や
溶存酸素等の濃度をポーラログラフィーにより測定する
イオン濃度測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶液中に含まれる化学種を酸化又は還元
して得られる電流と電圧との関係(ポーラログラム)か
ら、溶液の組成や濃度を知る電気化学測定としてポーラ
ログラフィーが知られている。ポーラログラフィーで
は、リニアスイープボルタンメトリー法によって調節し
た印加電圧範囲において、作用極を分極させることによ
り、溶液中のイオンを作用極上で酸化又は還元させて、
このときの作用極の電位からイオン(溶液中の化学種)
の同定を行うと共に、作用極−対極間に流れる酸化還元
電流値から溶液中の化学種の濃度を算出する方法がとら
れる。この方法は、電位による化学種の同定が可能であ
るため、多数種のイオンを含む溶液で特定のイオン濃度
を測定するのに適している。
【0003】作用極、対極及び参照極を用いた3電極ポ
ーラログラフィーでは、絶対電位の不明な作用極の電位
を特定するため、絶対電位が得られる参照極を使用して
電圧掃引の基準となる電位を与える。この参照極として
は、一般に還元電流に左右されずに絶対電位が得られる
飽和甘コウ電極や銀/塩化銀電極等が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】固体電極を用いたポー
ラログラフ計測では、作用極が被検溶液に含まれる電解
物質によって汚染されるため、電流−電位応答曲線(以
下、E−i曲線と称す)の再現性を得ることは困難とさ
れている。特に金電極を作用極に用いてポーラログラフ
計測する場合、酸化力の大きな溶液中では表面に酸化被
膜が形成され、安定な計測を困難にする。このため、電
極を研磨や水流等によって常に清浄に保つ必要があり、
そのための特別な機構を付属させる必要があった。ま
た、電極表層での付着物を拡散させる目的で、被検液を
常時攪拌又は流体注入させる方法では、泳動電流が発生
するため、流体速度が異なると同一濃度でも異なる計測
値となるという欠点がある。
【0005】また、一般に金属を水中に浸漬すると電極
表層に電位を生じる。これは金属と水とのイオン化傾向
の違いによるものである。電荷を帯びた電極表層は、水
中の電解質を引き寄せて電気二重層を形成する。この電
気二重層は、3極式ポーラログラフィにおいて、電圧操
作により制御を受け、電位のシフトをもたらす。この電
位は電圧印加前と後とでは大きく異なり、また、計測終
了後も経時変化する。更に、異なる電位を持つ電極間で
は容量が発生する。このため、ポーラログラフ計測にお
いて電極表層の電位を安定化させ、再現性を得ることは
難しい。水中に夾雑物質や妨害物質が存在する場合は、
更に困難を伴う。
【0006】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、再現性に優れ安定したイオン濃度
測定が可能なイオン濃度測定方法及び装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るイオン濃度
測定方法は、被検査液に浸漬される近接配置された同一
種類の貴金属電極からなる作用極、対極及び参照極を用
い、前記作用極と対極との間の電流−電位応答から前記
被検査液に含まれる特定の化学種のイオン濃度を測定す
るポーラログラフ計測によるイオン濃度測定方法におい
て、前記作用極、対極及び参照極の電極表層の電位を安
定化させるステップと、前記参照極と作用極との間を電
圧掃引して、作用極−対極間の電流−電位応答曲線を取
得するステップと、このステップで取得された作用極−
対極間の電流−電位応答曲線を予め定めた関数に当ては
めて、その関数の複数のパラメータから前記イオン濃度
を算出するステップとを備えたことを特徴とする。
【0008】また、本発明に係るイオン濃度測定装置
は、被検査液に浸漬される近接配置された同一種類の貴
金属電極からなる作用極、対極及び参照極と、前記作用
極、対極及び参照極の電極表層の電位を安定化させる電
極表層電位安定化手段と、前記作用極と対極との間に所
定範囲の測定用掃引電圧を印加する印加電圧発生手段
と、前記作用極と対極との間に流れる電流を検出する電
流検出手段と、この電流検出手段で検出された電流値か
ら前記作用極と対極との間の電流−電位応答曲線を求
め、この電流−電位応答曲線を予め定めた関数に当ては
めて、その関数の複数のパラメータから前記イオン濃度
を算出する演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】即ち、本発明者等は、これまで種々の実験
を試みた結果、作用極、対極及び参照極を全て同一の貴
金属電極、例えば金電極とし、所定の電極表層電位安定
化の操作を施すことにより、一定時間内であれば電極電
位が安定し、作用極−対極間のE−i曲線が再現性良く
得られることを見出した。このE−i曲線に関数を当て
はめ、この関数の複数のパラメータからイオン濃度を精
度良く算出することができる。これによって、例えば水
道水の塩素濃度測定で必要とされていたキャリブレーシ
ョン操作が不要になる。
【0010】本発明においては、電極表層電位の安定化
操作として、非測定期間で前記作用極、対極及び参照極
を短絡状態にし、測定開始前に短絡状態から解放する操
作が効果的である。即ち、前述したように、電極表層の
電気二重層は、電圧印加操作によって制御され、電極表
層の電位は電圧印加前後で大きく変化し、計測終了後も
経時変化する。本発明のように、3電極共に同一の貴金
属で構成されていると、3電極を短絡状態にしておけば
3電極は同電位となるので、電極間のコンデンサ容量を
削減することができ、電極表層電位を安定にすることが
できる。ちなみに、3電極の材質が異なる場合には、3
つの電極の電位が別々の値になるので、3つの電極を短
絡したときに短絡電流が流れてしまう。
【0011】金電極を作用極に用いた場合、酸化力の大
きな溶液中では、一定期間の間に電極表面に酸化被膜が
形成されて安定した計測が困難になるが、例えば参照極
と作用極との間に測定用掃引電圧の印加に先立って、電
極洗浄パルスを印加することにより、電気化学的方法に
より電極表面の酸化膜を除去することができ、これによ
り電極間の容量値のある一定の値に抑えると共に、電極
表面を活性化させてポーラログラフ計測における再現性
を高めることができる。
【0012】また、本発明者等は、作用極−対極間のE
−i曲線に加えて、作用極−参照極間のE−i曲線を求
めると、電極表面が正常であれば、両者はある一定の関
係を表し、電極表面に汚染等の測定に影響を与える異常
が生じたときには、両曲線が上記一定の関係を示さなく
なることを確認しており、これを濃度算出値の信頼性評
価に使用することができる。このため、測定の信頼性が
向上する。
【0013】更に、電極ユニットがディスポーザブルタ
イプとすることにより、ある期間使用した後に、これを
交換することにより、常に精度の良い計測を安価に行う
ことができる。なお、絶縁基板上の3つの電極の近傍位
置に温度検出素子を印刷、蒸着、メッキ等により形成し
ておくと、温度によるE−i曲線の変化も同時に補正す
ることができ、より高精度なイオン濃度測定が可能にな
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施例を参照
して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実
施例に係る遊離残留塩素濃度測定装置の構成を示すブロ
ック図である。電極セル1の内部には検水2が注入され
ており、電極ユニット3がこの検水2に浸漬された状態
で電極セル1の内部に収容されている。電極ユニット3
には、後述するように、作用極22、対極23及び参照
極24と、温度検出素子25とが設けられている。この
測定装置全体の制御を司る演算制御装置4から出力され
る印加電圧指令データは、D/A変換器及び増幅器を含
む印加電圧発生器5に入力されている。印加電圧発生器
5は、作用極22と参照極24の間に後述するパルス電
圧及び掃引電圧を印加すると共に、温度検出素子25に
所定の定電圧を印加する。一方、対極23、参照極24
及び温度センサ25をそれぞれ流れる電流値は、増幅器
及びA/D変換器を含む電流検出器6で検出されてディ
ジタルデータに変換されるようになっている。電流検出
器6で検出された電流値のディジタルデータは、演算制
御装置4に入力される。演算制御装置4は、印加電圧発
生器5に出力した印加電圧指令と、入力された電流値の
ディジタルデータとから作用極22−対極23間及び作
用極−参照極間のE−i曲線と温度測定値とをそれぞれ
求め、これら2つのE−i曲線と温度測定値とから検水
2に含まれる遊離残留塩素の濃度を求めると共に、電極
状態を判定する。その測定値及び判定結果は、表示器7
に表示される。なお、作用極22、対極23及び参照極
24と電流検出器6との間には、電極短絡回路8が設け
られている。電極短絡回路8は、演算制御装置4の制御
のもと、非測定時には電極間を短絡状態とし、測定開始
後は電極間を解放する。
【0015】図2は、上述した測定装置に使用される電
極ユニット3の主要部を示す平面図である。作用極2
2、対極23及び参照極24は金電極からなり、ガラス
基板21の上に真空蒸着によって形成される。作用極2
2は、縦長に延びる矩形状のガラス基板21の中央部に
長手方向に延びるように棒状に形成され、参照極24、
対極23がこれを取り囲むように半長円状にこの順に形
成されている。そして、これら作用極22、対極23及
び参照極24の先端近傍に白金からなるジクザクパター
ンの温度検出素子25が形成され、そのリード部分が対
極23の側方に沿ってガラス基板21の基端部分まで延
びている。この温度検出素子25も真空蒸着により形成
されている。この電極ユニット3によれば、マスク形成
→Au真空蒸着→マスク形成→Pt真空蒸着という工程
で、各極22〜24及び温度検出素子25を高精度に形
成することができ、電極ユニット3を交換しても常に所
定範囲の電流値を得ることができる。また、マスクパタ
ーンの形成技術によって作用極22と参照極24とを十
分に近接させることができるので、被検溶液の導電率の
影響を受け難くすることができる。なお、各電極及び温
度検出素子は、印刷、メッキ等の方法によって形成して
も良い。
【0016】次に、このように構成された遊離残留塩素
濃度測定装置の動作について説明する。図3は、この測
定装置の演算制御装置4による測定手順を示すフローチ
ャートである。先ず3電極が短絡状態(S1)から短絡
解放操作を行う(S2)。次に、電極セル1の検水2を
攪拌し、電極表面の付着物を除去する(S3)。次に、
作用極22と参照極24との間に電気化学的な洗浄操作
を行うための特定パターンの洗浄パルスを印加したのち
(S4)、特定電圧範囲の電圧掃引を行う(S5)。
【0017】図4は、電圧印加パターンを示す波形図で
ある。印加電圧パターンは、この例では、NPV(Norm
al Pulse Voltammetry)、電極洗浄パターン、測定用掃
引電圧の順からなっている。NPVは、電極表面のリフ
レッシュのために設けられている。測定用掃引電圧は、
例えば+300Vから−800Vまで連続的に変化する
波形である。電極洗浄パターンは、±1500mV程度
の正負パルスを交互に印加しつつ、その波高値を徐々に
減少させていくパターンとなっている。即ち、金電極に
おいては、+1000mV以上又は負電圧印加により電
極表面のリフレッシュ効果があり、また、パルス印加に
おいて、正電圧と負電圧の値を類似させると、電子授受
の平衡がとれる点を考慮したものである。このパターン
により、作用極22の表面に付着した酸化被膜を電気化
学的に除去すると同時に金表面を活性化させて、遊離残
留塩素との反応が起こりやすい環境を生成する。また、
高電圧パルスを印加した直後に測定を開始すると、測定
電流が高くなりすぎ、電極の寿命が低下してしまうが、
このように、印加パルスの波高値を徐々に減少させたの
ち測定を開始すると、測定電流値を低く抑えることがで
き、電極の寿命を延ばすことができる。
【0018】なお、電極洗浄パターンとしては、このよ
うなパターンの他に、例えば図5のように、プラス側に
+1500mVから−300mV程度に波高値が徐々に
低下するパルス群を3回印加した後、+800mVから
−300mVまでのパルスを数回印加し、更にマイナス
側に−1200mVから+200mV程度に波高値が徐
々に低下するパルス群を2回、更に同じ範囲で波高値が
徐々に増加するパルス群を1回、次に+800mVから
−300mVまでのパルスを数回印加するというパター
ンを用いるようにしても良い。本発明者等の実験では、
いずれの電極洗浄パターンも、良好な洗浄効果が得られ
ることが明らかになっている。
【0019】次に、このような洗浄操作付きの電圧制御
によって作用極22と対極23の間のE−i曲線を取得
する(S6)。このE−i曲線の計測例を図6に示す。
なお、計測は、予め次亜塩素酸の濃度の異なる複数の検
水を用意してアットランダムに行った。図中a1は2日
間常温放置した水道水(都内水道水:比色法によるHC
lO濃度は0ppm)、a2はa1の水道水に次亜塩素
酸を0.5ppm添加した溶液、a3はa1の水道水に
次亜塩素酸を1.0ppm添加した溶液、a4はa1の
水道水に次亜塩素酸を1.5ppm添加した溶液、a5
はa1の水道水に次亜塩素酸を2.0ppm添加した溶
液である。これらの濃度系列を順不同に計測した結果、
図示のように、電極洗浄操作を施して計測した場合に
は、遊離残留塩素濃度によって曲線に明確な違いが現れ
た。また、各濃度における測定再現性も良好であった。
【0020】これに対し、図7は、短絡操作及び電極洗
浄操作を行わずに図6の計測とほぼ同一の条件で電圧掃
引を行った場合の作用極22と対極23の間のE−i曲
線を示す図である。この場合には、遊離残留塩素濃度に
基づく曲線の明確な違いが得られず、しかも同一濃度の
検水でも測定時点によって測定値が大きくばらついた。
【0021】但し、図6及び図7に示した作用極22−
対極23間のE−i曲線に着目すると、ピーク電圧は一
定ではなく、遊離残留塩素濃度が大きくなる程、右の方
にシフトしている。これは、参照極24に金電極を使用
しているため、絶対電位が得られていないことによる。
しかし、このE−i曲線を関数に当てはめ、算出される
複数のパラメータ値(条件補正ファクターを含む)から
検量線を算出することにより、正確な濃度測定が可能で
ある。更に、上述したピーク電圧が濃度に依存すること
により、これをパラメータとして含めることができるの
で、より正確な濃度測定が可能になる。
【0022】即ち、いま、図8に示すように、作用極2
2−対極23間のE−i曲線を正規分布で近似する。曲
線のピーク値をh、ピーク値が得られる反応電圧をM、
曲線の分散をr、曲線の傾きをa×x+bとすると、残
留塩素濃度ppmは、基本的には曲線のピーク値hの二
乗に比例することになるが、電極に汚染物質が付着する
と、曲線のピーク値hが低下し、曲線の分散rが大きく
なるので、この分散rを反映させた波形面積(h×r)
によって濃度計測値を補正する。また、反応電位は塩素
濃度が大きくなるほど右へシフトするので、求める遊離
残留塩素濃度ppmは、例えば次のように表すことが出
来る。
【0023】
【数1】ppm=k0{h+k1(r×h)}2+k2
/(V−M)2−k3(a×x+b) (但し、k0,k1,k2,k3は比例定数、Vは溶存
酸素の反応電圧である)
【0024】これは、いわばP(比例)、I(積分)、
D(微分)の各要素に基づく演算であって、このような
PIDの各要素を考慮した波形分析を行うことにより、
曲線に変動があっても一定の濃度が得られる。また、温
度変動ファクターについても取り除くため、温度検出素
子25による温度検出値から求めた標準温度からの偏差
ΔTによって、遊離残留塩素濃度ppmは、次のように
補正される。
【0025】
【数2】ppm=ppm(1−ΔT/273)
【0026】上述のように電極洗浄操作を行った場合で
も、実際に様々な種類の水道水を計測する場合、導電
率、夾雑イオン濃度等の影響から作用極22の示す酸化
還元電流値にバラツキが生じることがある。このため、
作用極22−対極23間のE−i応答曲線だけでは、通
常の電流値応答を示しているのか否かが不明なことが多
い。そこで、この実施例では、作用極22−対極23間
のE−i曲線に加えて、作用極22−参照極24間のE
−i曲線を求めるようにしている(S6)。図9(a)
は、両E−i曲線を対比して示すグラフである。参照極
24側の電流値はほぼ一定の値に見えるが、レンジを拡
大すると同図(b)に示すように両曲線には、一定の関
係があることが分かる。遊離残留塩素濃度を測定するこ
の実施例では、参照極24のE−i曲線が作用極22の
E−i曲線の微分波形にほぼ一致している。
【0027】そして、両E−i曲線の対比から電極状態
が正常であるか異常であるかを判定することができ、判
定された結果からE−i曲線を用いて濃度算出を行う
と、信頼性の高い計測値が求められる。具体的には、両
E−i曲線の関係が、正常時に予め求まっている関係か
らずれたかどうかを、例えば各曲線毎に算出されたP,
I,D値等から判定し(S7)、もしずれがある場合に
は、電極の汚染等、何らかの異常があったとして表示器
7にエラー表示をして(S8)、測定を終了する。一
方、両曲線から求めたP,I,D値のずれが所定範囲内
である場合には、前述した数1及び図2に基づいて遊離
残留塩素濃度を計算し(S9)、その結果を表示器7に
表示する(S10)。図10は、上記の方法にて得られ
た遊離残留塩素濃度測定値と、従来の比色法により得ら
れた遊離残留塩素濃度測定値との相関を示すグラフであ
る。このグラフから明らかなように、本方法によれば、
0〜2ppmの範囲で良好な直線性と濃度依存性とを示
した。
【0028】このように、本実施例の装置によれば、常
に電極が良好な状態で遊離残留塩素濃度の測定を行うこ
とができ、且つ電極洗浄操作によってもなお、電極状態
が測定に支障を来すような場合には、これを表示するこ
とで、電極ユニット3の交換を使用者に的確に促すこと
ができる。
【0029】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。上記実施例では、検水中の遊離残留塩
素濃度の測定に本発明を適用したが、検水中の溶存酸素
濃度等、他の化学種の測定にも、本発明は適用可能であ
る。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、再現
性に優れ、安定したイオン濃度測定が可能なイオン濃度
測定方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る残留塩素濃度測定装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】 同装置に使用される電極ユニットの要部の平
面図である。
【図3】 同装置の演算制御装置による測定手順を示す
フローチャートであ
【図4】 同装置の印加電圧発生器からの電圧印加パタ
ーンを示す波形図である。
【図5】 他の電圧印加パターンを示す波形図である。
【図6】 同装置における作用極−対極間E−i曲線を
示すグラフである。
【図7】 電極洗浄操作を行わない作用極−対極間E−
i曲線を示すグラフである。
【図8】 作用極−対極間E−i曲線を特定するパラメ
ータを説明するための図である。
【図9】 作用極−対極間E−i曲線と作用極−参照極
間E−i曲線を対比して示す図(a)と、作用極−参照
極間E−i曲線のみをレンジを拡大して示す図である。
【図10】 本方法による測定値と従来の比色法による
測定値との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1…電極セル、2…検水、3…電極ユニット、4…演算
制御装置、5…印加電圧発生器、6…電流検出器、7…
表示器、8…短絡回路、21…ガラス基板、22…作用
極、23…対極、24…参照極、25…温度検出素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝本 正則 三鷹市下連雀2−37−28−305 (72)発明者 瀧澤 文秀 横浜市都筑区茅ヶ崎南2丁目6番25号 ア ポロ技研株式会社内 (72)発明者 関根 嘉弘 横浜市都筑区茅ヶ崎南2丁目6番25号 ア ポロ技研株式会社内 (72)発明者 山島 史孝 横浜市都筑区茅ヶ崎南2丁目6番25号 ア ポロ技研株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検査液に浸漬される近接配置された同
    一種類の貴金属電極からなる作用極、対極及び参照極を
    用い、前記作用極と対極との間の電流−電位応答から前
    記被検査液に含まれる特定の化学種のイオン濃度を測定
    するポーラログラフ計測によるイオン濃度測定方法にお
    いて、 前記作用極、対極及び参照極の電極表層の電位を安定化
    させるステップと、 前記参照極と作用極との間を電圧掃引して、作用極−対
    極間の電流−電位応答曲線を取得するステップと、 このステップで取得された作用極−対極間の電流−電位
    応答曲線を予め定めた関数に当てはめて、その関数の複
    数のパラメータから前記イオン濃度を算出するステップ
    とを備えたことを特徴とするイオン濃度測定方法。
  2. 【請求項2】 前記電極表層の電位を安定化させるステ
    ップとして、非測定期間では前記作用極、対極及び参照
    極を短絡状態とし、測定開始前に短絡状態から解放する
    ステップを含むことを特徴とする請求項1記載のイオン
    濃度測定方法。
  3. 【請求項3】 前記電極表層の電位を安定化させるステ
    ップとして、前記参照極と作用極との間に前記測定用掃
    引電圧の印加に先立って電極洗浄パルスを印加するステ
    ップを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のイオ
    ン濃度測定方法。
  4. 【請求項4】 前記作用極−対極間の電流−電位応答曲
    線の取得時に、作用極−参照極間の電流−電位応答曲線
    を同時に取得するステップと、 前記2つの電流−電位応答曲線を対比して電極状態を判
    定するステップと、 このステップでの判定結果に基づいて前記イオン濃度を
    算出してその結果を表示するか、又はエラー表示をする
    ステップとを含むことを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項記載のイオン濃度測定方法。
  5. 【請求項5】 被検査液に浸漬される近接配置された同
    一種類の貴金属電極からなる作用極、対極及び参照極
    と、 前記作用極、対極及び参照極の電極表層の電位を安定化
    させる電極表層電位安定化手段と、 前記作用極と対極との間に所定範囲の測定用掃引電圧を
    印加する印加電圧発生手段と、 前記作用極と対極との間に流れる電流を検出する電流検
    出手段と、 この電流検出手段で検出された電流値から前記作用極と
    対極との間の電流−電位応答曲線を求め、この電流−電
    位応答曲線を予め定めた関数に当てはめて、その関数の
    複数のパラメータから前記イオン濃度を算出する演算手
    段とを備えたことを特徴とするイオン濃度測定装置。
  6. 【請求項6】 前記電極表層電位安定化手段は、非測定
    期間で前記作用極、対極及び参照極を短絡状態とし、測
    定開始前に短絡状態から解放する短絡手段を含むもので
    あることを特徴とする請求項5記載のイオン濃度測定装
    置。
  7. 【請求項7】 前記電極表層電位安定化手段は、前記印
    加電圧発生手段にその機能の一部として含まれ、前記参
    照極と作用極との間に前記測定用掃引電圧の印加に先立
    って電極洗浄パルスを印加するものであることを特徴と
    する請求項5又は6記載のイオン濃度測定装置。
  8. 【請求項8】 前記演算手段は、前記作用極−対極間の
    電流−電位応答曲線の取得時に、作用極−参照極間の電
    流−電位応答曲線も同時に取得し、前記2つの電流−電
    位応答曲線を対比して電極状態を判定すると共に、この
    判定結果に基づいて前記イオン濃度を算出してその結果
    を表示するか、又はエラー表示をするように制御するも
    のであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項
    記載のイオン濃度測定装置。
  9. 【請求項9】 前記作用極、対極及び参照極は、絶縁基
    板上に形成された同一種類の貴金属電極からなるもので
    あり、 前記作用極、対極及び参照極が一体として交換可能であ
    る電極ユニットを構成するものであることを特徴とする
    請求項5〜8のいずれか1項記載のイオン濃度測定装
    置。
  10. 【請求項10】 前記作用極、対極及び参照極は、金電
    極であることを特徴とする請求項9記載のイオン濃度測
    定装置。
  11. 【請求項11】 前記作用極、対極及び参照極は、前記
    絶縁基板上に印刷、蒸着又はメッキによって形成された
    ものであることを特徴とする請求項9又は10記載のイ
    オン濃度測定装置。
  12. 【請求項12】 前記絶縁基板上の前記作用極、対極及
    び参照極の近傍位置に温度検出素子を印刷、蒸着又はメ
    ッキによって形成してなることを特徴とする請求項9〜
    11のいずれか1項記載のイオン濃度測定装置。
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