JP2004031256A - 固体高分子型燃料電池の検査方法と該方法による固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性または洗浄性判定が容易で信頼性が高い固体高分子型燃料電池およびその検査方法とその検査方法によって検査された固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【解決手段】(1)分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちいずれかの方法によってセパレータの耐食性を検査する固体高分子型燃料電池の検査方法と、その検査方法によって耐久性を検査された固体高分子型燃料電池。(2)分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位計測法、定電位電解法のうちいずれかの方法によって炭素材料または金属材料の洗浄性を検査する固体高分子型燃料電池の検査方法と、その検査方法によって洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池。
【選択図】 図5
【解決手段】(1)分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちいずれかの方法によってセパレータの耐食性を検査する固体高分子型燃料電池の検査方法と、その検査方法によって耐久性を検査された固体高分子型燃料電池。(2)分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位計測法、定電位電解法のうちいずれかの方法によって炭素材料または金属材料の洗浄性を検査する固体高分子型燃料電池の検査方法と、その検査方法によって洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体高分子型燃料電池の耐蝕性または洗浄性の検査方法と、該検査方法によって耐蝕性または洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は電解質膜を介して両側に燃料(水素、アルコール)と酸化剤(酸素、空気)を供給し、それらが両電極(アノード、カソード)で起きる電極電気化学反応によって発電を行うものである。近年電解質膜として高分子固体電解質膜を用いた燃料電池(PEFC)が、車載用に検討されている。
図6、図7に示すように、PEFC10は、イオン交換膜からなる電解質膜11の一側に触媒層12からなるアノード14を他側に触媒層15からなるカソード17を形成したMEA(Membrane−Electrode Assembly)とセパレータ18とからなるセル(少なくとも1つのセルからなるモジュール19)の積層体からなる。MEAとセパレータ18との間には、アノード側、カソード側にそれぞれ拡散層13、16が設けられる。セパレータには、冷媒流路26、燃料ガス流路27、酸化ガス流路28のいずれか少なくとも1つが形成される。セル積層体の各端にターミナル20、インシュレータ21、エンドプレート22を配置し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、締結部材24、ボルト・ナット25にて固定してスタック23が形成される。
燃料電池では、集電とガス分離を行う、また場合によっては水冷、空冷を兼ねたセパレータが用いられている。ここでのセパレータとしては大きく分けて2系統ある。
▲1▼ 黒鉛系セパレータ
黒鉛をバインダーと共に予備焼成し切削加工したもの(焼成カーボン)、あるいは金型成形したものあるいは射出成形したもの(成形カーボン)。
▲2▼ 金属系セパレータ(メタルセパレータ)
SUS、Al合金、Ti合金、Cu等の上に耐食性の導電性金属(Pt、Au等の貴金属)、または導電性酸化物、窒化物、炭化物等をコーティング。さらには黒鉛、導電性非晶質Cコーティングしたものが知られている。たとえば、SUS上にSn等のめっきをし、さらに黒鉛粉末を樹脂バインダーと共に被覆したものが知られている(99−144744)。
また、拡散層としては、金属製の波板、炭素繊維織物(98−261421、特開2002−15747)、カーボンペーパー(特開2001−351637、特開2001−43865)等が良好なガス拡散性と耐食性、接触抵抗の安定性の見地から検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
実際の燃料電池においては、一つのセルで発電できる電圧が1V未満であるため、多数のセルを直列結合(スタック)する必要があり、場合によって数100セルを積層する必要がある。そこでは必然的にセパレータの数も数100個の単位が必要であり、組み付け時に不良セパレータを排除する方法が求められている。一旦不良セルが混入した場合には、電池全体の性能低下だけでなく、短絡による発熱による安全性低下等様々な不具合を引き起こす。またスタック後に不良セルを良品と交換することはその作業コストが大きいため、耐蝕性上、洗浄性上、組み付け初期から信頼性の高い燃料電池であることが要求されている。
【0004】
〔耐蝕性〕
長時間の運転でセル電圧を低下させないセパレータとして要求される耐食性レベルは相当厳しく、セパレータ下地がSUSやAl等の金属の場合、導電性かつ耐食性のコーティング層が施されていたとしても、その皮膜欠陥は見過ごすことができない。そこでは製造現場で迅速・簡便にセパレータを良品判別することが求められている。
実際、メタルセパレータは軽量・コンパクト化の大きなアイテムであるが、この皮膜欠陥検査方法として実用的な方法が無く採用が遅れている。
これら、皮膜欠陥を赤外線サーモグラフィ、渦電流法、磁粉探傷法、浸透深傷法、電磁誘導検査法、アコースティックエミッション法、肉眼検査法、放射線透視検査法、レーザホログラフィー法、音響検査法のうちいずれかで行う方法が開示されているが(特開2000−285934)、肉眼検査法を除き現場での採用は実際的でない。また、微少な欠陥を見落とす可能性も大きい。言い換えるならば、従来セパレータ全数の全面を短時間に評価することは不可能であった。
検査が困難な理由の一つに、セパレータに施してある複雑な流路(凹凸)がある。平板状テストピースはともかく、実際のセパレータそのものを全面にわたって検査するのは容易でなかった。
一方、耐久性の優れたセパレータ開発の現場では、材料評価を迅速に行い、劣化加速試験を行いたいという要求がある。しかしながら、現状は実際にセルを組み付けて電池性能を評価したりセパレータの腐蝕溶液中での金属イオン溶出試験を行い、優劣の判定を行っているのが実情である。また、一部には材料の耐食性の優劣を電気化学的な分極走査法によって行っている報告が見られるが、電源と電流計の他にファンクションジェネレータや電位走査装置(スキャナー)がいることから、装置は高価なものとなる。また長時間の耐食性の評価には向いていない。また、セパレータの表面欠陥をCuイオン等を含むキャス試験液等の腐蝕液や苛性ソーダ溶液で行い、皮膜欠陥を見出す方法も開示されているが(特開2001−102064)、これらの試験条件は実際の燃料電池のセパレータの使用環境下を考えた場合、現実的でない。また、試験液を試験後セパレータから十分洗浄しないと、この残渣からのコンタミが電池性能を低下させる恐れもある。
本発明の目的は、耐久性判定が簡便で、信頼性が大きい固体高分子型燃料電池およびその検査方法によって検査された固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0005】
〔洗浄性〕
また、長時間の運転でセル電圧を低下させないこれらの部材として要求される不純物レベルは相当厳しく、そこではセパレータや拡散層に必要十分な洗浄を行うことが求められている。
また、炭素系セパレータを金型成形を行う際、膨張黒鉛等導電性部材にフェノール樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーを混ぜて成形したり、成形後ガス透過性の抑制のため、これら樹脂による欠陥封口処理を行うことが一般的である。また、金型からの型離れを良好にするための内部離型剤を含むこともある。これらの金型成形の際、これらバインダーが変質した低分子量の有機物や金型離型剤でセパレータ表面が汚染されたままになることがあった。そこでは、適度な表面洗浄処理が求められていた。
また、SUS等の金属製セパレータのプレス成形や切削加工においても、成形条件のばらつきにより素材の不働態酸化膜が必要以上に厚く生成したり、加工油剤が残留する事があり、同様に適度な表面洗浄処理が求められていた。
また、炭素系の繊維織物や炭素紙、あるいはSUS等の金属メッシュ、パンチングメタルがガス拡散層として用いられているが、これらについても繊維加工の際の潤滑材やプレス油剤が残留したまま組み付けると、燃料電池の電極性能が低下することから、同様に、酸洗浄やアルカリ洗浄、温水洗浄で除去する必要がある。
従来からある表面洗浄性の判定法として、部材の水濡れ性(接触角等)や水切り性が挙げれるが不十分な方法である。また、部材への残存油剤量をIR分析したり、洗浄液への油分濃度をTOC計(総有機炭素計)で求める方法があるが、装置は高価であり、オンラインの検査工程に組み込みにくい問題がある。また、水洗排液の電気伝導度分析を行う方法も知られているが、洗浄程度を直接センシングできるものではない。またセパレータをプレス加工により成形加工し、次に上記セパレータの表面に耐食コーティングを施した後、その表面を赤外線サーモグラフィ、渦電流法、磁粉探傷法、浸透探傷法、超音波探傷法、電磁誘導検査法、アコースティックエミッション法、、肉眼検査法、放射線透視検査法、レーザホログラフィー法、音響検査法のうち、いずれか一種を選択して非破壊検査を行う燃料電池の検査方法(特開2002−85934)が開示されているが、いずれも装置が大掛かりであり、洗浄程度を簡便に検査できるものではない。
本発明の目的は、洗浄性判定が容易で信頼性が高い固体高分子型燃料電池の検査方法およびその検査方法によって検査された固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
〔耐久性〕
(1) 分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちいずれかの方法によってセパレータの耐食性を検査することを特徴とする固体高分子型燃料電池の検査方法。
(2) 上記セパレータはステンレス素材、Al素材、Cu素材の上に耐食性コーティングを施した燃料電池である(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(3) 対極あるいは参照極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いた(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(4) 対極あるいは参照極が測定溶液保持容器を兼ねる(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(5) 対極あるいは参照極として、皮膜欠陥程度が小さい、素材の耐食性が高い、基準となるセパレータを用いる(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(6) 試験溶液が硫酸水溶液である(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(7) 試験溶液が弗化物イオンを含む硫酸水溶液である(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(8) セパレータを有し、該セパレータの耐食性が(1)〜(7)のいずれかの固体高分子型燃料電池の検査方法により検査された固体高分子型燃料電池。
〔洗浄性〕
(9) 分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位計測法、定電位電解法のうちいずれかの方法によって炭素材料または金属材料の洗浄性を検査することを特徴とする固体高分子型燃料電池の検査方法。
(10) 上記炭素材料は焼成カーボンセパレータ、成形カーボンセパレータ、カーボンクロス、カーボンペーパ、およびステンレス素材、Al素材、Cu素材の上に炭素材料からなる耐食性コーティングを施したセパレータを用いた燃料電池である(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(11) 対極あるいは参照極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いた(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(12) 対極あるいは参照極が測定溶液保持容器を兼ねる(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(13) 対極あるいは参照極として、基準となる炭素材料または金属材料を用いる(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(14) 洗浄溶液が硫酸水溶液である(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(15) 炭素材料または金属材料を有し、該炭素材料または金属材料の洗浄性が(9)〜(14)のいずれかの固体高分子型燃料電池の検査方法により検査された固体高分子型燃料電池。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の固体高分子型燃料電池の耐久性、洗浄性の検査方法は、図5の工程図に示すように、セパレータ製作工程101とセル組み付け工程103との間に設けられる工程102で実行される方法あり、迅速かつ簡便な良否判定を行うことができ、全数に対して行われる検査方法である。また、その検査方法により検査された本発明の固体高分子型燃料電池は、図6、図7の一般構成を準用される。
以下、耐久性の検査と洗浄性の検査にわけて説明する。
【0008】
〔耐久性〕
まず、固体高分子型燃料電池の耐久性の検査方法と該検査方法によって耐久性を検査された固体高分子型燃料電池を説明する。
本発明で用いる燃料電池のセパレータは特に限定されることなく、▲1▼黒鉛系セパレータ、▲2▼金属系セパレータ(メタルセパレータ)のいずれにも適用可能である。
ただし、本発明はこれら▲1▼の黒鉛系セパレータに適用するよりも、▲2▼の金属系セパレータに適用することが効果的である。▲1▼に適用した場合でも、セパレータ表面への金属微粉末の付着あるいは黒鉛系セパレータに含まれる恐れのある酸化し易い不純物(例えば遊離しているアンモニア、有機アミン類、フェノール類等)の有無を検査できるため、品質管理法として有益である。また、▲2▼の場合は、特に下地金属の上に皮膜欠陥が予想される導電性コーティング層の欠陥の有無を判定するのに有用である。もちろん硼化物析出タイプのようにSUS素材のように導電性コーティング層が存在しない場合でも本発明により素材の耐食性の良否は簡便に判定できる。したがって、金属加工(熱処理、圧延)条件の最適化と品質管理にも大いに役立つ。もちろん、小さなテストピースだけでなく、実部品の全面探傷も測定治具を工夫すれば可能である。スタックの信頼性を高めるためには全数非破壊的に検査することが望ましい。
【0009】
耐久性の検査方法としては、以下の、分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちのいずれかの方法が用いられる。
▲1▼分極抵抗法
本測定方法は自然浸漬での腐蝕速度あるいはその電位近傍での腐蝕速度を測定する方法である。燃料電池で言えば水路側、あるいは燃料極に燃料が無く発電していない場合の電極側の耐食性を判定する方法である。
測定容器は試料極、対極、参照極の3極からなり、試料極に自然浸漬電位から数10mV分極するような一定電流Iを対極との間に与え、自然浸漬電位からの電位変化ΔEを求め、ΔE=I×Rより分極抵抗Rを求める。1/Rの分極抵抗の逆数が腐蝕速度に対応して、時々刻々の腐蝕速度を計測でき、この腐蝕速度の積分値から、腐蝕量を求められる。この場合、定電流装置と電圧計があればよく、簡単な構成で測定可能である。また、評価液を適当に選ぶことにより、実際の系の加速試験が行える。
【0010】
評価液としては燃料電池システムで用いられている冷却水あるいは燃料電池から回収された生成水があるが、評価面積が大きいと、溶出するイオンの影響でpHが変化し腐蝕速度が変化するため、緩衝作用のある液で行うか、液循環で行うかあるいは常に新しい液が測定部に触れる液流通系で測定を行うことが望ましい。溶液量に比べて、試料面積を小さくすることや腐蝕速度が大きい場合は短時間の測定とすることが望ましい。素材開発過程で長時間の耐食性評価が必要な場合はともかく、品質管理をセパレータ全数検査するという前提に立てば、セパレータのダメージを考え、溶液としてはできるだけマイルドなものを選ぶべきである。実際には、電解質膜からのスルホン酸基の遊離を考えて、硫酸水溶液で行うことが望ましい。なお、電解質膜からのフッ化物イオンの溶出を考慮し硫酸に微量のフッ化物イオン(フッ酸等)を加えてもよい。pHは1〜3程度で行うのがよい。温度が分極抵抗(腐蝕速度)に及ぼす影響は大きいため、測定は同一温度環境(恒温、一定温度サイクル)で行い、データを比較する必要がある。
【0011】
対極としては測定液へのコンタミをなくすため、対極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いる。燃料電池で要求される100℃程度の高温まで硫酸水溶液中で安定な材料となると、実際的な材料は上記材料に限られる。対極の形状は、板状、網状、円筒状、コイル状のいずれであってもい。これら対極は少なくとも溶液に触れている部分が上記材料であれば十分であり、他の金属材料、樹脂材料、セラミック基材の上に前述の導電被覆層がコーティングされていれば十分である。それゆえ、樹脂材料内面に貴金属を内張り、めっき等を行い溶液保持容器(ビーカ)と対極を兼ねることも可能である。これらの場合は容器と別に対極を構成する必要が無く、測定セルの構成は単純となる。さらにまた、セパレータ全面を一度に評価する必要が無ければ、押し付けタイプの小型測定セルを用い、その内面に対極を入れて測定し、各部位を探傷し腐蝕速度のマッピング図を書くことも可能である。
【0012】
参照極としては対極と同様にAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いることができる。一般に、精密な電気化学的測定法では参照極として水素電極、硫酸水銀電極、塩化銀電極、塩化水銀電極等が用いられるが、本測定法では短期間の測定(数十秒から数分で1回測定可能)が可能であり、多少の電位ドリフトがあっても問題とはならない。参照極の長期安定性よりも温度ドリフト等の他の測定条件変化が問題となる。試料極の浸漬電位の絶対値ではなく、通電した場合の試料極の分極の大きさ(電位変化値)だけが問題となる。なお、測定溶液の汚染と液間電位差を無視できないため、測定溶液と異なる溶液を持つ参照電極の使用は避けるべきである。参照電極の形状は前述の対極と同様であり、任意の形状が可能である。試料極へ参照極をできるだけ近づけることが液抵抗の補正を小さくできるため好ましい。場合によってはガラス管やプラスチック製チューブ(ルギン管)を用いて試料極の電位(参照極と試料極間の電位差)を測定することが好ましい。これは、特にイオン導電性が小さな希薄溶液を用いる時に考慮する必要がある。また、試料間の比較を妥当なものとするために、試料極と参照極および対極との位置関係・距離はできるだけ同一にすべきである。測定パルス形状は休止時間を含む矩形波が一般的であり、パルス間隔は数十秒〜数分とすることが電位応答(緩和時間)から好ましい。電流の向きはアノード側だけでもよいし、カソード・アノード双方に分極し、その平均値を使用してもよい。電流密度は腐蝕溶液のpHと試料にもよるが、通常1μA/cm2 以下の微小電流でよく、試料面積が大きくなっても大きな電源を必要としない。ただし予め、パルス通電により自然浸漬電位からの分極が10mV程度になる電流値を選定する必要がある。得られる見かけの分極抵抗から液抵抗を差し引いた抵抗値が真値Rであるが、極端に希薄な溶液中での測定か、試料極と参照極が大きく離れている場合を除き、補正を行う必要性はない。1/Rは測定時間における相対的な腐蝕速度である。一定時間測定を行い積分値を求め、腐蝕減量または溶液に溶解したイオン量を分析して検量線を求めれば、測定した分極抵抗の大きさを腐蝕速度の絶対値に換算できる。セルを上記対極や参照極で用いた材料およびフッ素樹脂、ガラス製にすれば、100℃以上の温度まで信頼性の高いデータを得ることができる。
【0013】
なお、対極あるいは参照極のいずれかあるいは両方を良品のセパレータとすることもできる。良品のセパレータは金属イオンの溶出や酸化/還元される不純物が無く、測定系を汚染したり、残渣による電極汚染の恐れが小さいためである。この構成では対極あるいは参照極を別途用意する必要がなく、経済的である。
【0014】
▲2▼ ガルバニックカップル法
本測定法はセパレータが拡散層の炭素材料等と接していることから、燃料電池のセパレータが異種金属接触腐蝕(ガルバニック腐蝕)する可能性を調査するものである。測定セル形状、対極の形状・材質(溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定セルの構成は対極との2電極系であり▲1▼よりも単純である。試料をセットし試料極と対極との間に流れる電流を無抵抗電流計で測定する。
【0015】
セパレータ試料表面が炭素材料で対極を炭素材料(pH2硫酸中の浸漬電位0.5V vs SHE程度)とした場合は両極間の電位差はほとんど無く、試料極はアノード分極されないため、流れる電流は非常に小さい。それよりむしろ、対極をAu、Pt等の貴金属として、セパレータが若干アノード分極された場合の腐蝕電流を計測した方が耐食性評価としては実際的である。本測定においては、単に無抵抗電流或いはポテンショスタットを用いた3電極計で測定(参照極を設けて参照極が対極と短絡し試料極と対極の電位差0になるように設定)すればよい。対極との電極間隔はあまりに離れていると電流が小さくなるため、10mm未満とするのがよい。下地金属を被覆するコーティング層に欠陥があれば、そこがアノードとなる腐蝕電流が流れ、その大きさの大小が欠陥面積の割合に対応する。予め、皮膜欠陥をつけた試料を用意してその欠陥数や面積と電流値との検量線を求めておけば、電流値の大きさから欠陥程度を知ることができる。▲1▼と同様温度の影響が大きいため、測定期間中の温度履歴に注意する必要がある。
【0016】
場合によっては良品のセパレータを対極とし、被測定セパレータを試料極としてセルを構成しガルバニック電流を測定してもよい。この場合、被測定セパレータに皮膜欠陥があったり、製造時の問題で耐食性が劣っている場合は、被測定セパレータがアノード、対極(良品セパレータ)がカソードとなるガルバニック電流が流れる。この構成は別途対極を用意する必要がないため経済的である。また、▲1▼と同様に対極を液保持容器と兼ねることもできる。
【0017】
▲3▼ 定電位法
セパレータは酸素極側はほぼ1.0V vs SHE(ただし、SHEはStandard Hydrogen Electrode で、標準水素電極) 、水素極側はほぼ0V vs SHEの電位にある。そこで、本来セパレータの耐食性は▲1▼、▲2▼でなく、実使用に近い電位で行うべきである。例えば、Sn合金、Al合金においてはこれらの金属は両性でありアルカリにも酸にも腐蝕するため、酸素極電位、水素極電位双方での耐食性評価が必要である。
SUS部材においては、SUSはアルカリに強いため、酸素極電位側の腐蝕を検討すればよい。即ち、所望の電位に試料を置いて試料と対極との間に流れる腐蝕電流を計測する。測定セル形状、対極の形状・材質(溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定電位は燃料電池の実際の使用条件を考えると、酸素極側は1.0V vs SHE、水素極側は0V vs SHE近くの電位で測定されるべきである。本測定は場合によってはかなりの促進劣化試験となりうる。製造プロセスの最適化や促進劣化試験でなく、全数検査を前提とする場合は、低い温度で出来るだけ短時間の測定に留めるべきである。
参照極および対極については▲1▼、▲2▼と同様であり、これらが液保持容器を兼ねてもよいこと、および対極あるいは参照極として良品のセパレータが用いられうることは前述▲1▼、▲2▼記載と同様である。
【0018】
以下、耐久性検査の実施例を説明する。
〔実施例1〕
セパレータ表面処理条件の候補として、▲1▼SUS316素材、▲2▼Auめっき1μm、▲3▼Auめっき10nmの上にさらにCコーティング40μmの3種類を選んだ。溶液はpH2の硫酸水溶液、測定温度は80℃(2時間保持)、対極は50μmのPt箔、参照極は1mmφのPt線とした。測定セルはPP(ポリプロビレン)製の円筒状押し付けタイプ(φ20mm)とし、溶液の漏れをOリングシールで防いだ。周期4分の矩形波(アノード側1分、カソード側1分、休止1分×2)を北斗電工製ポテンショスタットHA−151とファンクションジェネレータHB−104を用いて試料と対極の間に通した。測定電流は0.01〜0.1μAの範囲で電位応答が数10mV以内となるように選んだ。得られた電位応答と電流値および測定面積から、見かけの分極抵抗を求め、その逆数を相対腐蝕速度とした。結果を表1に示す。試料▲3▼が耐食性に優れることが分かった。
【0019】
【表1】
【0020】
〔実施例2〕
実施例1で選定した▲3▼の表面処理条件で大きさ250×250mmのセパレータを100枚作製した。対極としては、250×250mmの1μm厚さのAuめっきを施したTi板を用いた。全セパレータについて、測定面(200×200mm)以外をシリコンゴムで覆い、測定容器(矩形セル容器)に1枚ずつ入れ、分極抵抗を測定した。溶液はpH2の硫酸で25℃とし、実施例1より腐蝕性が弱い環境とした。参照極および測定装置は実施例1と同じである。測定電流は4μAとした。得られた電位応答と電流値および測定面積から、見かけの分極抵抗を求め、その逆数を相対腐蝕速度とした。その結果、平均値から大きく乖離する腐蝕速度を示すセパレータが2枚発見された。これを除いた良品セパレータを用いてスタック数10セルの燃料電池モジュールを作製し、0.5A/cm2 の放電負荷での連続耐久試験を200時間行ったが、試験後大きな性能低下(IVカーブ劣化)は認められなかった。
一方、上記検査で発見できたセパレータ2枚をカソード側セパレータとなるように、わざと他の良品セパレータと混在させ、スタック数10セルの燃料電池モジュールを作製し、前述と同一の運転を行った。試験後に電圧低下および内部抵抗の増加が認められた。これにより、本検査により、不良燃料電池を製造することが未然に防げることが確認できた。
【0021】
〔実施例3〕
セパレータ表面処理条件の候補として、▲1▼SUS316素材、▲2▼Auめっき1nm、▲3▼Snめっき2μmの上にさらにCコーティング40μm、▲4▼Al100素材の上に直接無電解Niを2μmしCコーティング10μmの4種類を選んだ。溶液は▲1▼〜▲3▼はpH2の硫酸水溶液、▲4▼はpH12のNaOH水溶液とした。測定温度は80℃(2時間保持)、対極は50μmのAu箔を円筒状にして用いた。測定セルはPP(ポリプロビレン)製の円筒状押し付けタイプ(φ20mm)とし、溶液の漏れをOリングシールで防いだ。溶液を注いでから試料と対極の間に流れるガルバニック電流を北斗電工製無抵抗電流計HM−103で測定した。測定電流は浸漬後数時間の間が大きく、その後は徐々に低下した。結果(2時間後)の電流値の相対値を表2に示す。試料▲3▼が耐食性に優れることが分かった。▲2▼が予想に反して耐食性がさほど良好でない理由は、SUS上の表面不働態酸化皮膜が欠如した部分が存在し、Auめっき層のピンホールとして存在するからであろうと考えられた。同様に▲4▼の電流が大きかったのは下地Alまで貫通する皮膜欠陥が存在しているためと思われた。
【0022】
【表2】
【0023】
〔実施例4〕
セパレータ表面処理条件の候補として、▲1▼SUS316素材、▲2▼Auめっき1nm、▲3▼Auめっき10nmの上にさらにCコーティング40μmの3種類を選んだ。溶液はpH2の硫酸水溶液、測定温度は80℃(2時間保持)、対極はφ30mmの焼成カーボンをφ20mmでくり抜き円筒状にして用いた。これをスリーブとしたPP製容器を測定セルとした。溶液の漏れはOリングシールで防いだ。参照極は1mmφのPt線とした。pH2の硫酸中のPtの電位を予めAg/AgCl電極に対して求めたところ、+0.62V vs Ag/AgClであり、Ag/AgClの標準電極電位(80℃で0.14V vs SHE)から、換算すると+0.76V vs SHEであった。そこで+1.0V vsSHEになるような電位まで(+0.24V vs Pt)試料を定電位アノード分極し、流れる電流を測定した。測定装置は北斗電工製ポテンショスタットHA−151を用いた。測定2時間後の電流値の相対値を表3に示す。試料▲3▼が耐食性に優れることが分かった。▲2▼が予想に反して耐食性が低い理由は、Auめっき層のピンホールとして表面不働態酸化皮膜が欠如する部分が存在するからであろうと考えられた。
【0024】
【表3】
【0025】
〔洗浄性〕
つぎに、固体高分子型燃料電池の洗浄性の検査方法と該検査方法によって洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池を説明する。
本発明で用いる燃料電池のセパレータは特に限定されることなく、▲1▼黒鉛系セパレータ、▲2▼金属系セパレータ(メタルセパレータ)のいずれにも適用可能である。また、拡散層においても黒鉛系、金属系いずれにも適用可能である。
例えば、セパレータ表面への金属微粉末の付着あるいは黒鉛系セパレータに含まれる恐れのある酸化し易い不純物(例えば遊離しているアンモニア、有機アミン類、フェノール類等)の除去程度を検査できるため、品質管理法として有益である。また、▲2▼の場合は、洗浄程度以外にも下地金属の上に皮膜欠陥が予想される導電性コーティング層の欠陥の有無を判定するのに有用である。もちろん硼化物析出タイプのようにSUS素材のように導電性コーティング層が存在しない場合でも本発明により素材の洗浄程度の良否は簡便に判定できる。また、不働態化の程度を計測することもできる。したがって、金属加工(熱処理、圧延)条件の最適化および品質管理に大いに役立つ。もちろん、小さなテストピースだけでなく、実部品の洗浄程度を検査できる。また、測定治具を工夫すれば、部分部分の洗浄程度をマッピングするとも可能である。スタックの信頼性を高めるためには組み付け前に全数非破壊的に検査することが望ましい。洗浄液としては有機物の除去はアルカリ系の洗浄液が、酸化皮膜の除去には硫酸等の酸が、また、表面調整の不働態化処理には硝酸が用いられる。なお、最終的にはこれら酸およびアルカリ洗浄後に十分な温水洗浄をすることが電解質膜や電極への汚染を少なくするために必要である。なお、洗浄過程で被洗浄部品をカソードあるいはアノードとして電気分解で生成する水素ガスや酸素ガスで洗浄するか、あるいはこれらの極性切り替えして行うことができる。
【0026】
洗浄性の検査方法としては、以下の、分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位差計測法、定電位法のうちのいずれかの方法が用いられる。
▲1▼分極抵抗法
本測定方法は自然浸漬での腐蝕速度あるいはその電位近傍での腐蝕速度を測定する方法である。
測定容器は試料極、対極、参照極の3極からなり、試料極に自然浸漬電位から数10mV分極するような一定電流Iを対極との間に与え、自然浸漬電位からの電位変化ΔEを求め、ΔE=1×Rより分極抵抗Rを求める。1/Rの分極抵抗の逆数が腐蝕速度に対応して、時々刻々の腐蝕速度を計測でき、この腐蝕速度の積分値から、腐蝕量を求められる。この場合、定電流装置と電圧計があればよく、簡単な構成で測定可能である。
【0027】
対極としては測定液へのコンタミをなくすため、対極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いる。燃料電池で要求される100℃程度の高温まで硫酸水溶液中で安定な材料となると、実際的な材料は上記材料に限られる。対極の形状は、板状、網状、円筒状、コイル状いずれであってもい。これら対極は少なくとも溶液に触れている部分が上記材料であれば十分であり、他の金属材料、樹脂材料、セラミック基材の上に前述の導電被覆層がコーティングされていれば十分である。それゆえ、樹脂材料内面に貴金属を内張り、めっき等を行い溶液保持容器(ビーカ)と対極を兼ねることも可能である。これらの場合は容器と別に対極を構成する必要が無く、測定セルの構成は単純となる。さらにまた、被測定部材全面を一度に評価する必要が無ければ、押し付けタイプの小型測定セルを用い、その内面に対極を入れて測定し、各部位を探傷し腐蝕速度のマッピング図を書くことも可能である。
【0028】
参照極としては対極と同様にAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いることができる。一般に、精密な電気化学的測定法では参照極として水素電極、硫酸水銀電極、塩化銀電極、塩化水銀電極等が用いられるが、本測定法では短期間の測定(数十秒から数分で1回測定可能)が可能であり、多少の電位ドリフトがあっても問題とはならない。我々の経験によれば、参照極の長期安定性よりも温度ドリフト等の他の測定条件変化が問題となる。試料極の浸漬電位の絶対値ではなく、通電した場合の試料極の分極の大きさ(電位変化値)だけが問題となる。なお、測定溶液の汚染と液間電位差を無視できないため、測定溶液と異なる溶液を持つ参照電極の使用は避けるべきである。参照電極の形状は前述の対極と同様であり、任意の形状が可能である。試料極へ参照極をできるだけ近づけることが液抵抗の補正を小さくできるため好ましい。場合によってはガラス管やプラスチック製チューブ(ルギン管)を用いて試料極の電位(参照極と試料極間の電位差)を測定することが好ましい。これは、特にイオン導電性が小さな希薄溶液を用いる時に考慮する必要がある。また、試料間の比較を妥当なものとするために、試料極と参照極および対極との位置関係・距離はできるだけ同一にすべきである。測定バルス形状は休止時間を含む矩形波が一般的であり、パルス間隔は数十秒〜数分とすることが電位応答(緩和時間)から好ましい。電流の向きはアノード側だけでもよいし、カソード・アノード双方に分極し、その平均値を使用してもよい。電流密度は腐蝕溶液のpHと試料にもよるが、通常1μA/cm2 以下の微小電流でよく、試料面積が大きくなっても大きな電源を必要としない。ただし予め、パルス通電により自然浸漬電位からの分極が10mV程度になる電流値を選定する必要がある。得られる見かけの分極抵抗から液抵抗を差し引いた抵抗値が真値Rであるが、極端に希薄な溶液中での測定か、試料極と参照極が大きく離れている場合を除き、補正を行う必要性はない。1/Rは測定時間における相対的な腐蝕速度である。一定時間測定を行い積分値を求め、腐蝕減量または溶液に溶解したイオン量を分析して検量線を求めれば、測定した分極抵抗の大きさを腐蝕速度の絶対値に換算できる。セルを上記対極や参照極で用いた材料およびフッ素樹脂、ガラス製にすれば100℃まで信頼性の高いデータを得ることができる。
【0029】
なお、対極あるいは参照極のいずれかあるいは両方を良品の部材とすることもできる。良品の部材は金属イオンの溶出や酸化/還元される不純物が無く、測定系を汚染したり、残渣による電極汚染の恐れが小さいためである。この構成では対極あるいは参照極を別途用意する必要がなく、経済的である。
【0030】
▲2▼ ガルバニックカップル法
本測定法は電気化学的ポテンシャルが異なる電極が接触した場合に流れる電流(ガルバニック電流)を計測するものである。測定セル形状、対極の形状・材質(溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定セルの構成は対極との2電極系であり▲1▼よりも単純である。試料をセットし試料極と対極との間に流れる電流を無抵抗電流計で測定する。
【0031】
たとえば、既に表面が洗浄化された部材を対極とし、未洗浄の部材を洗浄液に浸漬した時、両極間に流れる電流が基準値以下になった時点で洗浄を止め次工程に移せばよい。この構成は別途対極を用意する必要がないため経済的である。もちろん対極をAu、Pt等の貴金属として、部材が分極された場合の腐蝕電流を計測してもよい。本測定においては、単に無抵抗電位計あるいはポテンショスタットを用いた3電極計で測定(参照極を設けて参照極が対極と短絡し試料極と対極の電位差0になるように設定)すればよい。対極との電極間隔はあまりに離れていると電流が小さくなるため、10mm未満とするのがよい。洗浄面より電気化学的に卑電位を持つ状況、たとえばSUS表面に不働態の形成が不十分な場合や、Al、Zn等の金属粉末が付着している場合は、この電極側がアノードとなる電流が流れる。なお、▲1▼と同様に対極を液保持容器と兼ねることもできる。
【0032】
▲3▼ 電位差計測法
測定物と対極との電位差の大小から表面性状を判別するものである。対極としては、先に取り上げた水素電極、硫酸水銀電極、塩化銀電極、塩化水銀電極等を使用することができるが、Pt、Au、SUS、C等の耐食性に優れた材料を対極としてもよい。良品の部材が対極として用いられうることは前述▲1▼、▲2▼記載と同様である。この場合、良品の部材と未洗浄部材との間の電位差が洗浄が進むにつれて小さくなるため、規定値以下になったところで止めればよい。電位差の測定は測定計器の影響を受けないように内部抵抗の高い電圧計(エレクトロメータ)で読むことが望ましい。
【0033】
▲4▼ 定電位法
所望の電位に試料を置いて試料と対極との間に流れる腐蝕電流を測定する。測定セル形状、対極の形状・材質溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定電位は、参照極および対極については▲1▼、▲2▼と同様であり、これらが液保持容器を兼ねてもよいこと、および対極あるいは参照極として良品の部材が用いられうることは前述▲1▼、▲2▼記載と同様である。
【0034】
以下、洗浄性検査の実施例を説明する。
〔実施例1(分極抵抗法)〕
SUS316からなるセパレータ表面を洗浄化する処理▲1▼〜▲7▼を行った。
▲1▼鉄鋼材料用アルカリ洗浄剤で洗浄(NaOH 40g/Lが主剤)、温度60℃
▲2▼水道水で水洗
▲3▼脱イオン水洗浄
▲4▼20wt.%硫酸洗浄、温度25℃
▲5▼水道水で水洗
▲6▼脱イオン水洗浄
▲7▼温風乾燥
▲1▼と▲4▼の適切な表面洗浄化時間を決めるため、分極抵抗法を適用した。
対極は洗浄済みの良品セパレータ、参照極は1mmφのSUS線とした。周期4分の矩形波(アノード側1分、カソード側1分、休止1分×2)を北斗電工製ポテンショスタットHA−151とファンクションジェネレータHB−104を用いて試料と対極の間に通した。測定電流は電位応答が数10mV以内となるように選んだ。得られた電位応答と電流値および測定面積から、見かけの分極抵抗を求め、その推移を記録した。分極抵抗がほぼ一定値になった時点を洗浄の終点とした(図1)。
【0035】
〔実施例2(ガルバニック電流)〕
成形カーボンセパレータ(250×250mm、t=3mm)の金型離型剤の洗浄を1M H2 SO4 で行った(60℃)。対極には同液で十分洗浄化されたセパレータを用いた。2枚のセパレータを洗浄槽に釣り下げた北斗電工製無抵抗電流計HM−103で両者に流れる電流の推移を計測した(図2)。電流が規定値以下になった時点で洗浄をやめ、セパレータを水洗し乾燥した。
【0036】
〔実施例3(電位差計測)〕
成形カーボンセパレータ(250×250mm、t=3mm)の金型離型剤の洗浄を1M H2 SO4 で行った(60℃)。対極には同液で十分清浄化されたセパレータを用いた。2枚のセパレータを洗浄槽に釣り下げた北斗電工製エレクトロメータHE−104で両者の電位差の推移を計測した(図3)。電位差が規定値以下になった時点で洗浄をやめ、セパレータを水洗し乾燥した。
【0037】
〔実施例4(定電位電解)〕
成形カーボンセパレータ(250×250mm、t=3mm)の金型離型剤の洗浄を1M H2 SO4 で行った(60℃)。対極には同液で十分清浄化されたセパレータを用いた。参照極はPt線を用いた。2枚のセパレータを洗浄槽に釣り下げた北斗電工製ポテンシオスタットHK−HA−151でPtに対し0.1Vに設定し対極間に流れる電流値を測定した(図4)。電流差が規定値以下になった時点で洗浄をやめ、セパレータを水洗し乾燥した。
【0038】
【発明の効果】
〔耐久性〕
請求項1〜7の耐久性の検査法とその検査法で耐久性を検査された請求項8の燃料電池によれば、つぎの効果が得られる。
▲1▼ セパレータの全数検査が簡便に行え、皮膜欠陥のある不良セパレータを誤って組み付けることを排除できるので、電圧低下が小さい信頼性の高い電池スタックを製造できる。
▲2▼ 本検査方法で品質管理を成せば、金属セパレータでも皮膜欠陥が無いものを短時間に選定できる。また、セパレータの表面処理条件の最適化や加速試験が短時間に行える。その結果、耐食性コーティングを施した金属セパレータを採用できるので、電池が軽量・コンパクト化できる。
▲3▼ 特別な装置は不用であり、定電圧電源と直流電源があればよいので、高価な装置がなくとも、ピンホールの検出が可能である。
▲4▼ 対極および参照極は耐食性が大きいので溶出イオンは小さく、また長時間繰り返し使用できるので、対極や参照極からの溶出イオンによる測定データの信頼性低下や、セパレータへの汚染が無い。
▲5▼ フッ化物イオンと硫酸水溶液は簡単に水洗できる。また洗浄残渣の微量フッ化物イオンと硫酸根は電極性能に悪影響を与えない。その結果、測定液残渣による電解質膜、触媒層への悪影響が無い。
▲6▼ 良品を対極あるいは参照極とすれば、検査用に別途対極あるいは参照極を用意する必要が無く、測定装置は単純である。その結果、測定系が単純で、信頼性が高い。
▲7▼ 溶液容器は対極あるいは参照極と兼用できるので測定装置は単純である。その結果、溶液保持のための容器と対極を別々に作製する必要が無い。
〔洗浄性〕
請求項9〜14の耐久性の検査法とその検査法で耐久性を検査された請求項15の燃料電池によれば、つぎの効果が得られる。
▲1▼ セパレータの拡散層の洗浄程度および洗浄の終点を簡便に検出でき、洗浄不良のある状態で誤って組み付けることを排除できる。その結果、電圧低下が小さい信頼性の高い電池スタックを製造できる。
▲2▼ 特別な装置は不用であり、洗浄の終点を定電圧電源、直流電源、電圧計があれば簡単に求められる。その結果、過剰な洗浄を必要としないため、エネルギーの浪費がない。
▲3▼ 対極および参照極は耐食性が大きいので溶出イオンは小さく、また長時間繰り返し使用できる。その結果、高価な装置がなくとも、洗浄終点の検出が可能である。
▲4▼ 硫酸水溶液は簡単に水洗できる。微量の硫酸根は電極性能に悪影響を与えない。その結果、対極や参照極からの溶出イオンによる測定データの信頼性低下や、セパレータへの汚染が無い。
▲5▼ 測定液残渣による電解質膜、触媒層への悪影響が無い。
▲6▼ 良品を対極あるいは参照極とすれば、検査用に別途対極あるいは参照極を用意する必要が無く、測定装置は単純である。その結果、測定系が単純で、信頼性が高い。
▲7▼ 溶液容器は対極あるいは参照極と兼用できるので測定装置は単純である。溶液保持のための容器と対極を別々に作製する必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検査法のうち、分極抵抗法による洗浄検査における、分極抵抗−時間のグラフである。
【図2】本発明の検査法のうち、ガルバニックカップル法による洗浄検査における、ガルバニック電流−時間のグラフである。
【図3】本発明の検査法のうち、電位差計測法による洗浄検査における、電位差−時間のグラフである。
【図4】本発明の検査法のうち、定電位電解法による洗浄検査における、酸化電流−時間のグラフである。
【図5】本発明の検査法(耐久性または洗浄性の検査)の工程図である。
【図6】本発明の検査法により耐久性または洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池の側面図である。
【図7】図5の検査法により検査された燃料電池の一部の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 固体高分子型燃料電池
11 電解質膜
12、15 触媒層
13、16 拡散層
14 アノード
17 カソード
18 セパレータ
19 モジュール
23 スタック
【発明の属する技術分野】
本発明は固体高分子型燃料電池の耐蝕性または洗浄性の検査方法と、該検査方法によって耐蝕性または洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は電解質膜を介して両側に燃料(水素、アルコール)と酸化剤(酸素、空気)を供給し、それらが両電極(アノード、カソード)で起きる電極電気化学反応によって発電を行うものである。近年電解質膜として高分子固体電解質膜を用いた燃料電池(PEFC)が、車載用に検討されている。
図6、図7に示すように、PEFC10は、イオン交換膜からなる電解質膜11の一側に触媒層12からなるアノード14を他側に触媒層15からなるカソード17を形成したMEA(Membrane−Electrode Assembly)とセパレータ18とからなるセル(少なくとも1つのセルからなるモジュール19)の積層体からなる。MEAとセパレータ18との間には、アノード側、カソード側にそれぞれ拡散層13、16が設けられる。セパレータには、冷媒流路26、燃料ガス流路27、酸化ガス流路28のいずれか少なくとも1つが形成される。セル積層体の各端にターミナル20、インシュレータ21、エンドプレート22を配置し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、締結部材24、ボルト・ナット25にて固定してスタック23が形成される。
燃料電池では、集電とガス分離を行う、また場合によっては水冷、空冷を兼ねたセパレータが用いられている。ここでのセパレータとしては大きく分けて2系統ある。
▲1▼ 黒鉛系セパレータ
黒鉛をバインダーと共に予備焼成し切削加工したもの(焼成カーボン)、あるいは金型成形したものあるいは射出成形したもの(成形カーボン)。
▲2▼ 金属系セパレータ(メタルセパレータ)
SUS、Al合金、Ti合金、Cu等の上に耐食性の導電性金属(Pt、Au等の貴金属)、または導電性酸化物、窒化物、炭化物等をコーティング。さらには黒鉛、導電性非晶質Cコーティングしたものが知られている。たとえば、SUS上にSn等のめっきをし、さらに黒鉛粉末を樹脂バインダーと共に被覆したものが知られている(99−144744)。
また、拡散層としては、金属製の波板、炭素繊維織物(98−261421、特開2002−15747)、カーボンペーパー(特開2001−351637、特開2001−43865)等が良好なガス拡散性と耐食性、接触抵抗の安定性の見地から検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
実際の燃料電池においては、一つのセルで発電できる電圧が1V未満であるため、多数のセルを直列結合(スタック)する必要があり、場合によって数100セルを積層する必要がある。そこでは必然的にセパレータの数も数100個の単位が必要であり、組み付け時に不良セパレータを排除する方法が求められている。一旦不良セルが混入した場合には、電池全体の性能低下だけでなく、短絡による発熱による安全性低下等様々な不具合を引き起こす。またスタック後に不良セルを良品と交換することはその作業コストが大きいため、耐蝕性上、洗浄性上、組み付け初期から信頼性の高い燃料電池であることが要求されている。
【0004】
〔耐蝕性〕
長時間の運転でセル電圧を低下させないセパレータとして要求される耐食性レベルは相当厳しく、セパレータ下地がSUSやAl等の金属の場合、導電性かつ耐食性のコーティング層が施されていたとしても、その皮膜欠陥は見過ごすことができない。そこでは製造現場で迅速・簡便にセパレータを良品判別することが求められている。
実際、メタルセパレータは軽量・コンパクト化の大きなアイテムであるが、この皮膜欠陥検査方法として実用的な方法が無く採用が遅れている。
これら、皮膜欠陥を赤外線サーモグラフィ、渦電流法、磁粉探傷法、浸透深傷法、電磁誘導検査法、アコースティックエミッション法、肉眼検査法、放射線透視検査法、レーザホログラフィー法、音響検査法のうちいずれかで行う方法が開示されているが(特開2000−285934)、肉眼検査法を除き現場での採用は実際的でない。また、微少な欠陥を見落とす可能性も大きい。言い換えるならば、従来セパレータ全数の全面を短時間に評価することは不可能であった。
検査が困難な理由の一つに、セパレータに施してある複雑な流路(凹凸)がある。平板状テストピースはともかく、実際のセパレータそのものを全面にわたって検査するのは容易でなかった。
一方、耐久性の優れたセパレータ開発の現場では、材料評価を迅速に行い、劣化加速試験を行いたいという要求がある。しかしながら、現状は実際にセルを組み付けて電池性能を評価したりセパレータの腐蝕溶液中での金属イオン溶出試験を行い、優劣の判定を行っているのが実情である。また、一部には材料の耐食性の優劣を電気化学的な分極走査法によって行っている報告が見られるが、電源と電流計の他にファンクションジェネレータや電位走査装置(スキャナー)がいることから、装置は高価なものとなる。また長時間の耐食性の評価には向いていない。また、セパレータの表面欠陥をCuイオン等を含むキャス試験液等の腐蝕液や苛性ソーダ溶液で行い、皮膜欠陥を見出す方法も開示されているが(特開2001−102064)、これらの試験条件は実際の燃料電池のセパレータの使用環境下を考えた場合、現実的でない。また、試験液を試験後セパレータから十分洗浄しないと、この残渣からのコンタミが電池性能を低下させる恐れもある。
本発明の目的は、耐久性判定が簡便で、信頼性が大きい固体高分子型燃料電池およびその検査方法によって検査された固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0005】
〔洗浄性〕
また、長時間の運転でセル電圧を低下させないこれらの部材として要求される不純物レベルは相当厳しく、そこではセパレータや拡散層に必要十分な洗浄を行うことが求められている。
また、炭素系セパレータを金型成形を行う際、膨張黒鉛等導電性部材にフェノール樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーを混ぜて成形したり、成形後ガス透過性の抑制のため、これら樹脂による欠陥封口処理を行うことが一般的である。また、金型からの型離れを良好にするための内部離型剤を含むこともある。これらの金型成形の際、これらバインダーが変質した低分子量の有機物や金型離型剤でセパレータ表面が汚染されたままになることがあった。そこでは、適度な表面洗浄処理が求められていた。
また、SUS等の金属製セパレータのプレス成形や切削加工においても、成形条件のばらつきにより素材の不働態酸化膜が必要以上に厚く生成したり、加工油剤が残留する事があり、同様に適度な表面洗浄処理が求められていた。
また、炭素系の繊維織物や炭素紙、あるいはSUS等の金属メッシュ、パンチングメタルがガス拡散層として用いられているが、これらについても繊維加工の際の潤滑材やプレス油剤が残留したまま組み付けると、燃料電池の電極性能が低下することから、同様に、酸洗浄やアルカリ洗浄、温水洗浄で除去する必要がある。
従来からある表面洗浄性の判定法として、部材の水濡れ性(接触角等)や水切り性が挙げれるが不十分な方法である。また、部材への残存油剤量をIR分析したり、洗浄液への油分濃度をTOC計(総有機炭素計)で求める方法があるが、装置は高価であり、オンラインの検査工程に組み込みにくい問題がある。また、水洗排液の電気伝導度分析を行う方法も知られているが、洗浄程度を直接センシングできるものではない。またセパレータをプレス加工により成形加工し、次に上記セパレータの表面に耐食コーティングを施した後、その表面を赤外線サーモグラフィ、渦電流法、磁粉探傷法、浸透探傷法、超音波探傷法、電磁誘導検査法、アコースティックエミッション法、、肉眼検査法、放射線透視検査法、レーザホログラフィー法、音響検査法のうち、いずれか一種を選択して非破壊検査を行う燃料電池の検査方法(特開2002−85934)が開示されているが、いずれも装置が大掛かりであり、洗浄程度を簡便に検査できるものではない。
本発明の目的は、洗浄性判定が容易で信頼性が高い固体高分子型燃料電池の検査方法およびその検査方法によって検査された固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
〔耐久性〕
(1) 分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちいずれかの方法によってセパレータの耐食性を検査することを特徴とする固体高分子型燃料電池の検査方法。
(2) 上記セパレータはステンレス素材、Al素材、Cu素材の上に耐食性コーティングを施した燃料電池である(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(3) 対極あるいは参照極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いた(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(4) 対極あるいは参照極が測定溶液保持容器を兼ねる(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(5) 対極あるいは参照極として、皮膜欠陥程度が小さい、素材の耐食性が高い、基準となるセパレータを用いる(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(6) 試験溶液が硫酸水溶液である(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(7) 試験溶液が弗化物イオンを含む硫酸水溶液である(1)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(8) セパレータを有し、該セパレータの耐食性が(1)〜(7)のいずれかの固体高分子型燃料電池の検査方法により検査された固体高分子型燃料電池。
〔洗浄性〕
(9) 分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位計測法、定電位電解法のうちいずれかの方法によって炭素材料または金属材料の洗浄性を検査することを特徴とする固体高分子型燃料電池の検査方法。
(10) 上記炭素材料は焼成カーボンセパレータ、成形カーボンセパレータ、カーボンクロス、カーボンペーパ、およびステンレス素材、Al素材、Cu素材の上に炭素材料からなる耐食性コーティングを施したセパレータを用いた燃料電池である(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(11) 対極あるいは参照極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いた(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(12) 対極あるいは参照極が測定溶液保持容器を兼ねる(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(13) 対極あるいは参照極として、基準となる炭素材料または金属材料を用いる(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(14) 洗浄溶液が硫酸水溶液である(9)記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
(15) 炭素材料または金属材料を有し、該炭素材料または金属材料の洗浄性が(9)〜(14)のいずれかの固体高分子型燃料電池の検査方法により検査された固体高分子型燃料電池。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の固体高分子型燃料電池の耐久性、洗浄性の検査方法は、図5の工程図に示すように、セパレータ製作工程101とセル組み付け工程103との間に設けられる工程102で実行される方法あり、迅速かつ簡便な良否判定を行うことができ、全数に対して行われる検査方法である。また、その検査方法により検査された本発明の固体高分子型燃料電池は、図6、図7の一般構成を準用される。
以下、耐久性の検査と洗浄性の検査にわけて説明する。
【0008】
〔耐久性〕
まず、固体高分子型燃料電池の耐久性の検査方法と該検査方法によって耐久性を検査された固体高分子型燃料電池を説明する。
本発明で用いる燃料電池のセパレータは特に限定されることなく、▲1▼黒鉛系セパレータ、▲2▼金属系セパレータ(メタルセパレータ)のいずれにも適用可能である。
ただし、本発明はこれら▲1▼の黒鉛系セパレータに適用するよりも、▲2▼の金属系セパレータに適用することが効果的である。▲1▼に適用した場合でも、セパレータ表面への金属微粉末の付着あるいは黒鉛系セパレータに含まれる恐れのある酸化し易い不純物(例えば遊離しているアンモニア、有機アミン類、フェノール類等)の有無を検査できるため、品質管理法として有益である。また、▲2▼の場合は、特に下地金属の上に皮膜欠陥が予想される導電性コーティング層の欠陥の有無を判定するのに有用である。もちろん硼化物析出タイプのようにSUS素材のように導電性コーティング層が存在しない場合でも本発明により素材の耐食性の良否は簡便に判定できる。したがって、金属加工(熱処理、圧延)条件の最適化と品質管理にも大いに役立つ。もちろん、小さなテストピースだけでなく、実部品の全面探傷も測定治具を工夫すれば可能である。スタックの信頼性を高めるためには全数非破壊的に検査することが望ましい。
【0009】
耐久性の検査方法としては、以下の、分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちのいずれかの方法が用いられる。
▲1▼分極抵抗法
本測定方法は自然浸漬での腐蝕速度あるいはその電位近傍での腐蝕速度を測定する方法である。燃料電池で言えば水路側、あるいは燃料極に燃料が無く発電していない場合の電極側の耐食性を判定する方法である。
測定容器は試料極、対極、参照極の3極からなり、試料極に自然浸漬電位から数10mV分極するような一定電流Iを対極との間に与え、自然浸漬電位からの電位変化ΔEを求め、ΔE=I×Rより分極抵抗Rを求める。1/Rの分極抵抗の逆数が腐蝕速度に対応して、時々刻々の腐蝕速度を計測でき、この腐蝕速度の積分値から、腐蝕量を求められる。この場合、定電流装置と電圧計があればよく、簡単な構成で測定可能である。また、評価液を適当に選ぶことにより、実際の系の加速試験が行える。
【0010】
評価液としては燃料電池システムで用いられている冷却水あるいは燃料電池から回収された生成水があるが、評価面積が大きいと、溶出するイオンの影響でpHが変化し腐蝕速度が変化するため、緩衝作用のある液で行うか、液循環で行うかあるいは常に新しい液が測定部に触れる液流通系で測定を行うことが望ましい。溶液量に比べて、試料面積を小さくすることや腐蝕速度が大きい場合は短時間の測定とすることが望ましい。素材開発過程で長時間の耐食性評価が必要な場合はともかく、品質管理をセパレータ全数検査するという前提に立てば、セパレータのダメージを考え、溶液としてはできるだけマイルドなものを選ぶべきである。実際には、電解質膜からのスルホン酸基の遊離を考えて、硫酸水溶液で行うことが望ましい。なお、電解質膜からのフッ化物イオンの溶出を考慮し硫酸に微量のフッ化物イオン(フッ酸等)を加えてもよい。pHは1〜3程度で行うのがよい。温度が分極抵抗(腐蝕速度)に及ぼす影響は大きいため、測定は同一温度環境(恒温、一定温度サイクル)で行い、データを比較する必要がある。
【0011】
対極としては測定液へのコンタミをなくすため、対極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いる。燃料電池で要求される100℃程度の高温まで硫酸水溶液中で安定な材料となると、実際的な材料は上記材料に限られる。対極の形状は、板状、網状、円筒状、コイル状のいずれであってもい。これら対極は少なくとも溶液に触れている部分が上記材料であれば十分であり、他の金属材料、樹脂材料、セラミック基材の上に前述の導電被覆層がコーティングされていれば十分である。それゆえ、樹脂材料内面に貴金属を内張り、めっき等を行い溶液保持容器(ビーカ)と対極を兼ねることも可能である。これらの場合は容器と別に対極を構成する必要が無く、測定セルの構成は単純となる。さらにまた、セパレータ全面を一度に評価する必要が無ければ、押し付けタイプの小型測定セルを用い、その内面に対極を入れて測定し、各部位を探傷し腐蝕速度のマッピング図を書くことも可能である。
【0012】
参照極としては対極と同様にAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いることができる。一般に、精密な電気化学的測定法では参照極として水素電極、硫酸水銀電極、塩化銀電極、塩化水銀電極等が用いられるが、本測定法では短期間の測定(数十秒から数分で1回測定可能)が可能であり、多少の電位ドリフトがあっても問題とはならない。参照極の長期安定性よりも温度ドリフト等の他の測定条件変化が問題となる。試料極の浸漬電位の絶対値ではなく、通電した場合の試料極の分極の大きさ(電位変化値)だけが問題となる。なお、測定溶液の汚染と液間電位差を無視できないため、測定溶液と異なる溶液を持つ参照電極の使用は避けるべきである。参照電極の形状は前述の対極と同様であり、任意の形状が可能である。試料極へ参照極をできるだけ近づけることが液抵抗の補正を小さくできるため好ましい。場合によってはガラス管やプラスチック製チューブ(ルギン管)を用いて試料極の電位(参照極と試料極間の電位差)を測定することが好ましい。これは、特にイオン導電性が小さな希薄溶液を用いる時に考慮する必要がある。また、試料間の比較を妥当なものとするために、試料極と参照極および対極との位置関係・距離はできるだけ同一にすべきである。測定パルス形状は休止時間を含む矩形波が一般的であり、パルス間隔は数十秒〜数分とすることが電位応答(緩和時間)から好ましい。電流の向きはアノード側だけでもよいし、カソード・アノード双方に分極し、その平均値を使用してもよい。電流密度は腐蝕溶液のpHと試料にもよるが、通常1μA/cm2 以下の微小電流でよく、試料面積が大きくなっても大きな電源を必要としない。ただし予め、パルス通電により自然浸漬電位からの分極が10mV程度になる電流値を選定する必要がある。得られる見かけの分極抵抗から液抵抗を差し引いた抵抗値が真値Rであるが、極端に希薄な溶液中での測定か、試料極と参照極が大きく離れている場合を除き、補正を行う必要性はない。1/Rは測定時間における相対的な腐蝕速度である。一定時間測定を行い積分値を求め、腐蝕減量または溶液に溶解したイオン量を分析して検量線を求めれば、測定した分極抵抗の大きさを腐蝕速度の絶対値に換算できる。セルを上記対極や参照極で用いた材料およびフッ素樹脂、ガラス製にすれば、100℃以上の温度まで信頼性の高いデータを得ることができる。
【0013】
なお、対極あるいは参照極のいずれかあるいは両方を良品のセパレータとすることもできる。良品のセパレータは金属イオンの溶出や酸化/還元される不純物が無く、測定系を汚染したり、残渣による電極汚染の恐れが小さいためである。この構成では対極あるいは参照極を別途用意する必要がなく、経済的である。
【0014】
▲2▼ ガルバニックカップル法
本測定法はセパレータが拡散層の炭素材料等と接していることから、燃料電池のセパレータが異種金属接触腐蝕(ガルバニック腐蝕)する可能性を調査するものである。測定セル形状、対極の形状・材質(溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定セルの構成は対極との2電極系であり▲1▼よりも単純である。試料をセットし試料極と対極との間に流れる電流を無抵抗電流計で測定する。
【0015】
セパレータ試料表面が炭素材料で対極を炭素材料(pH2硫酸中の浸漬電位0.5V vs SHE程度)とした場合は両極間の電位差はほとんど無く、試料極はアノード分極されないため、流れる電流は非常に小さい。それよりむしろ、対極をAu、Pt等の貴金属として、セパレータが若干アノード分極された場合の腐蝕電流を計測した方が耐食性評価としては実際的である。本測定においては、単に無抵抗電流或いはポテンショスタットを用いた3電極計で測定(参照極を設けて参照極が対極と短絡し試料極と対極の電位差0になるように設定)すればよい。対極との電極間隔はあまりに離れていると電流が小さくなるため、10mm未満とするのがよい。下地金属を被覆するコーティング層に欠陥があれば、そこがアノードとなる腐蝕電流が流れ、その大きさの大小が欠陥面積の割合に対応する。予め、皮膜欠陥をつけた試料を用意してその欠陥数や面積と電流値との検量線を求めておけば、電流値の大きさから欠陥程度を知ることができる。▲1▼と同様温度の影響が大きいため、測定期間中の温度履歴に注意する必要がある。
【0016】
場合によっては良品のセパレータを対極とし、被測定セパレータを試料極としてセルを構成しガルバニック電流を測定してもよい。この場合、被測定セパレータに皮膜欠陥があったり、製造時の問題で耐食性が劣っている場合は、被測定セパレータがアノード、対極(良品セパレータ)がカソードとなるガルバニック電流が流れる。この構成は別途対極を用意する必要がないため経済的である。また、▲1▼と同様に対極を液保持容器と兼ねることもできる。
【0017】
▲3▼ 定電位法
セパレータは酸素極側はほぼ1.0V vs SHE(ただし、SHEはStandard Hydrogen Electrode で、標準水素電極) 、水素極側はほぼ0V vs SHEの電位にある。そこで、本来セパレータの耐食性は▲1▼、▲2▼でなく、実使用に近い電位で行うべきである。例えば、Sn合金、Al合金においてはこれらの金属は両性でありアルカリにも酸にも腐蝕するため、酸素極電位、水素極電位双方での耐食性評価が必要である。
SUS部材においては、SUSはアルカリに強いため、酸素極電位側の腐蝕を検討すればよい。即ち、所望の電位に試料を置いて試料と対極との間に流れる腐蝕電流を計測する。測定セル形状、対極の形状・材質(溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定電位は燃料電池の実際の使用条件を考えると、酸素極側は1.0V vs SHE、水素極側は0V vs SHE近くの電位で測定されるべきである。本測定は場合によってはかなりの促進劣化試験となりうる。製造プロセスの最適化や促進劣化試験でなく、全数検査を前提とする場合は、低い温度で出来るだけ短時間の測定に留めるべきである。
参照極および対極については▲1▼、▲2▼と同様であり、これらが液保持容器を兼ねてもよいこと、および対極あるいは参照極として良品のセパレータが用いられうることは前述▲1▼、▲2▼記載と同様である。
【0018】
以下、耐久性検査の実施例を説明する。
〔実施例1〕
セパレータ表面処理条件の候補として、▲1▼SUS316素材、▲2▼Auめっき1μm、▲3▼Auめっき10nmの上にさらにCコーティング40μmの3種類を選んだ。溶液はpH2の硫酸水溶液、測定温度は80℃(2時間保持)、対極は50μmのPt箔、参照極は1mmφのPt線とした。測定セルはPP(ポリプロビレン)製の円筒状押し付けタイプ(φ20mm)とし、溶液の漏れをOリングシールで防いだ。周期4分の矩形波(アノード側1分、カソード側1分、休止1分×2)を北斗電工製ポテンショスタットHA−151とファンクションジェネレータHB−104を用いて試料と対極の間に通した。測定電流は0.01〜0.1μAの範囲で電位応答が数10mV以内となるように選んだ。得られた電位応答と電流値および測定面積から、見かけの分極抵抗を求め、その逆数を相対腐蝕速度とした。結果を表1に示す。試料▲3▼が耐食性に優れることが分かった。
【0019】
【表1】
【0020】
〔実施例2〕
実施例1で選定した▲3▼の表面処理条件で大きさ250×250mmのセパレータを100枚作製した。対極としては、250×250mmの1μm厚さのAuめっきを施したTi板を用いた。全セパレータについて、測定面(200×200mm)以外をシリコンゴムで覆い、測定容器(矩形セル容器)に1枚ずつ入れ、分極抵抗を測定した。溶液はpH2の硫酸で25℃とし、実施例1より腐蝕性が弱い環境とした。参照極および測定装置は実施例1と同じである。測定電流は4μAとした。得られた電位応答と電流値および測定面積から、見かけの分極抵抗を求め、その逆数を相対腐蝕速度とした。その結果、平均値から大きく乖離する腐蝕速度を示すセパレータが2枚発見された。これを除いた良品セパレータを用いてスタック数10セルの燃料電池モジュールを作製し、0.5A/cm2 の放電負荷での連続耐久試験を200時間行ったが、試験後大きな性能低下(IVカーブ劣化)は認められなかった。
一方、上記検査で発見できたセパレータ2枚をカソード側セパレータとなるように、わざと他の良品セパレータと混在させ、スタック数10セルの燃料電池モジュールを作製し、前述と同一の運転を行った。試験後に電圧低下および内部抵抗の増加が認められた。これにより、本検査により、不良燃料電池を製造することが未然に防げることが確認できた。
【0021】
〔実施例3〕
セパレータ表面処理条件の候補として、▲1▼SUS316素材、▲2▼Auめっき1nm、▲3▼Snめっき2μmの上にさらにCコーティング40μm、▲4▼Al100素材の上に直接無電解Niを2μmしCコーティング10μmの4種類を選んだ。溶液は▲1▼〜▲3▼はpH2の硫酸水溶液、▲4▼はpH12のNaOH水溶液とした。測定温度は80℃(2時間保持)、対極は50μmのAu箔を円筒状にして用いた。測定セルはPP(ポリプロビレン)製の円筒状押し付けタイプ(φ20mm)とし、溶液の漏れをOリングシールで防いだ。溶液を注いでから試料と対極の間に流れるガルバニック電流を北斗電工製無抵抗電流計HM−103で測定した。測定電流は浸漬後数時間の間が大きく、その後は徐々に低下した。結果(2時間後)の電流値の相対値を表2に示す。試料▲3▼が耐食性に優れることが分かった。▲2▼が予想に反して耐食性がさほど良好でない理由は、SUS上の表面不働態酸化皮膜が欠如した部分が存在し、Auめっき層のピンホールとして存在するからであろうと考えられた。同様に▲4▼の電流が大きかったのは下地Alまで貫通する皮膜欠陥が存在しているためと思われた。
【0022】
【表2】
【0023】
〔実施例4〕
セパレータ表面処理条件の候補として、▲1▼SUS316素材、▲2▼Auめっき1nm、▲3▼Auめっき10nmの上にさらにCコーティング40μmの3種類を選んだ。溶液はpH2の硫酸水溶液、測定温度は80℃(2時間保持)、対極はφ30mmの焼成カーボンをφ20mmでくり抜き円筒状にして用いた。これをスリーブとしたPP製容器を測定セルとした。溶液の漏れはOリングシールで防いだ。参照極は1mmφのPt線とした。pH2の硫酸中のPtの電位を予めAg/AgCl電極に対して求めたところ、+0.62V vs Ag/AgClであり、Ag/AgClの標準電極電位(80℃で0.14V vs SHE)から、換算すると+0.76V vs SHEであった。そこで+1.0V vsSHEになるような電位まで(+0.24V vs Pt)試料を定電位アノード分極し、流れる電流を測定した。測定装置は北斗電工製ポテンショスタットHA−151を用いた。測定2時間後の電流値の相対値を表3に示す。試料▲3▼が耐食性に優れることが分かった。▲2▼が予想に反して耐食性が低い理由は、Auめっき層のピンホールとして表面不働態酸化皮膜が欠如する部分が存在するからであろうと考えられた。
【0024】
【表3】
【0025】
〔洗浄性〕
つぎに、固体高分子型燃料電池の洗浄性の検査方法と該検査方法によって洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池を説明する。
本発明で用いる燃料電池のセパレータは特に限定されることなく、▲1▼黒鉛系セパレータ、▲2▼金属系セパレータ(メタルセパレータ)のいずれにも適用可能である。また、拡散層においても黒鉛系、金属系いずれにも適用可能である。
例えば、セパレータ表面への金属微粉末の付着あるいは黒鉛系セパレータに含まれる恐れのある酸化し易い不純物(例えば遊離しているアンモニア、有機アミン類、フェノール類等)の除去程度を検査できるため、品質管理法として有益である。また、▲2▼の場合は、洗浄程度以外にも下地金属の上に皮膜欠陥が予想される導電性コーティング層の欠陥の有無を判定するのに有用である。もちろん硼化物析出タイプのようにSUS素材のように導電性コーティング層が存在しない場合でも本発明により素材の洗浄程度の良否は簡便に判定できる。また、不働態化の程度を計測することもできる。したがって、金属加工(熱処理、圧延)条件の最適化および品質管理に大いに役立つ。もちろん、小さなテストピースだけでなく、実部品の洗浄程度を検査できる。また、測定治具を工夫すれば、部分部分の洗浄程度をマッピングするとも可能である。スタックの信頼性を高めるためには組み付け前に全数非破壊的に検査することが望ましい。洗浄液としては有機物の除去はアルカリ系の洗浄液が、酸化皮膜の除去には硫酸等の酸が、また、表面調整の不働態化処理には硝酸が用いられる。なお、最終的にはこれら酸およびアルカリ洗浄後に十分な温水洗浄をすることが電解質膜や電極への汚染を少なくするために必要である。なお、洗浄過程で被洗浄部品をカソードあるいはアノードとして電気分解で生成する水素ガスや酸素ガスで洗浄するか、あるいはこれらの極性切り替えして行うことができる。
【0026】
洗浄性の検査方法としては、以下の、分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位差計測法、定電位法のうちのいずれかの方法が用いられる。
▲1▼分極抵抗法
本測定方法は自然浸漬での腐蝕速度あるいはその電位近傍での腐蝕速度を測定する方法である。
測定容器は試料極、対極、参照極の3極からなり、試料極に自然浸漬電位から数10mV分極するような一定電流Iを対極との間に与え、自然浸漬電位からの電位変化ΔEを求め、ΔE=1×Rより分極抵抗Rを求める。1/Rの分極抵抗の逆数が腐蝕速度に対応して、時々刻々の腐蝕速度を計測でき、この腐蝕速度の積分値から、腐蝕量を求められる。この場合、定電流装置と電圧計があればよく、簡単な構成で測定可能である。
【0027】
対極としては測定液へのコンタミをなくすため、対極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いる。燃料電池で要求される100℃程度の高温まで硫酸水溶液中で安定な材料となると、実際的な材料は上記材料に限られる。対極の形状は、板状、網状、円筒状、コイル状いずれであってもい。これら対極は少なくとも溶液に触れている部分が上記材料であれば十分であり、他の金属材料、樹脂材料、セラミック基材の上に前述の導電被覆層がコーティングされていれば十分である。それゆえ、樹脂材料内面に貴金属を内張り、めっき等を行い溶液保持容器(ビーカ)と対極を兼ねることも可能である。これらの場合は容器と別に対極を構成する必要が無く、測定セルの構成は単純となる。さらにまた、被測定部材全面を一度に評価する必要が無ければ、押し付けタイプの小型測定セルを用い、その内面に対極を入れて測定し、各部位を探傷し腐蝕速度のマッピング図を書くことも可能である。
【0028】
参照極としては対極と同様にAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いることができる。一般に、精密な電気化学的測定法では参照極として水素電極、硫酸水銀電極、塩化銀電極、塩化水銀電極等が用いられるが、本測定法では短期間の測定(数十秒から数分で1回測定可能)が可能であり、多少の電位ドリフトがあっても問題とはならない。我々の経験によれば、参照極の長期安定性よりも温度ドリフト等の他の測定条件変化が問題となる。試料極の浸漬電位の絶対値ではなく、通電した場合の試料極の分極の大きさ(電位変化値)だけが問題となる。なお、測定溶液の汚染と液間電位差を無視できないため、測定溶液と異なる溶液を持つ参照電極の使用は避けるべきである。参照電極の形状は前述の対極と同様であり、任意の形状が可能である。試料極へ参照極をできるだけ近づけることが液抵抗の補正を小さくできるため好ましい。場合によってはガラス管やプラスチック製チューブ(ルギン管)を用いて試料極の電位(参照極と試料極間の電位差)を測定することが好ましい。これは、特にイオン導電性が小さな希薄溶液を用いる時に考慮する必要がある。また、試料間の比較を妥当なものとするために、試料極と参照極および対極との位置関係・距離はできるだけ同一にすべきである。測定バルス形状は休止時間を含む矩形波が一般的であり、パルス間隔は数十秒〜数分とすることが電位応答(緩和時間)から好ましい。電流の向きはアノード側だけでもよいし、カソード・アノード双方に分極し、その平均値を使用してもよい。電流密度は腐蝕溶液のpHと試料にもよるが、通常1μA/cm2 以下の微小電流でよく、試料面積が大きくなっても大きな電源を必要としない。ただし予め、パルス通電により自然浸漬電位からの分極が10mV程度になる電流値を選定する必要がある。得られる見かけの分極抵抗から液抵抗を差し引いた抵抗値が真値Rであるが、極端に希薄な溶液中での測定か、試料極と参照極が大きく離れている場合を除き、補正を行う必要性はない。1/Rは測定時間における相対的な腐蝕速度である。一定時間測定を行い積分値を求め、腐蝕減量または溶液に溶解したイオン量を分析して検量線を求めれば、測定した分極抵抗の大きさを腐蝕速度の絶対値に換算できる。セルを上記対極や参照極で用いた材料およびフッ素樹脂、ガラス製にすれば100℃まで信頼性の高いデータを得ることができる。
【0029】
なお、対極あるいは参照極のいずれかあるいは両方を良品の部材とすることもできる。良品の部材は金属イオンの溶出や酸化/還元される不純物が無く、測定系を汚染したり、残渣による電極汚染の恐れが小さいためである。この構成では対極あるいは参照極を別途用意する必要がなく、経済的である。
【0030】
▲2▼ ガルバニックカップル法
本測定法は電気化学的ポテンシャルが異なる電極が接触した場合に流れる電流(ガルバニック電流)を計測するものである。測定セル形状、対極の形状・材質(溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定セルの構成は対極との2電極系であり▲1▼よりも単純である。試料をセットし試料極と対極との間に流れる電流を無抵抗電流計で測定する。
【0031】
たとえば、既に表面が洗浄化された部材を対極とし、未洗浄の部材を洗浄液に浸漬した時、両極間に流れる電流が基準値以下になった時点で洗浄を止め次工程に移せばよい。この構成は別途対極を用意する必要がないため経済的である。もちろん対極をAu、Pt等の貴金属として、部材が分極された場合の腐蝕電流を計測してもよい。本測定においては、単に無抵抗電位計あるいはポテンショスタットを用いた3電極計で測定(参照極を設けて参照極が対極と短絡し試料極と対極の電位差0になるように設定)すればよい。対極との電極間隔はあまりに離れていると電流が小さくなるため、10mm未満とするのがよい。洗浄面より電気化学的に卑電位を持つ状況、たとえばSUS表面に不働態の形成が不十分な場合や、Al、Zn等の金属粉末が付着している場合は、この電極側がアノードとなる電流が流れる。なお、▲1▼と同様に対極を液保持容器と兼ねることもできる。
【0032】
▲3▼ 電位差計測法
測定物と対極との電位差の大小から表面性状を判別するものである。対極としては、先に取り上げた水素電極、硫酸水銀電極、塩化銀電極、塩化水銀電極等を使用することができるが、Pt、Au、SUS、C等の耐食性に優れた材料を対極としてもよい。良品の部材が対極として用いられうることは前述▲1▼、▲2▼記載と同様である。この場合、良品の部材と未洗浄部材との間の電位差が洗浄が進むにつれて小さくなるため、規定値以下になったところで止めればよい。電位差の測定は測定計器の影響を受けないように内部抵抗の高い電圧計(エレクトロメータ)で読むことが望ましい。
【0033】
▲4▼ 定電位法
所望の電位に試料を置いて試料と対極との間に流れる腐蝕電流を測定する。測定セル形状、対極の形状・材質溶液保持容器と兼用可能)は▲1▼の分極測定法と同一である。測定電位は、参照極および対極については▲1▼、▲2▼と同様であり、これらが液保持容器を兼ねてもよいこと、および対極あるいは参照極として良品の部材が用いられうることは前述▲1▼、▲2▼記載と同様である。
【0034】
以下、洗浄性検査の実施例を説明する。
〔実施例1(分極抵抗法)〕
SUS316からなるセパレータ表面を洗浄化する処理▲1▼〜▲7▼を行った。
▲1▼鉄鋼材料用アルカリ洗浄剤で洗浄(NaOH 40g/Lが主剤)、温度60℃
▲2▼水道水で水洗
▲3▼脱イオン水洗浄
▲4▼20wt.%硫酸洗浄、温度25℃
▲5▼水道水で水洗
▲6▼脱イオン水洗浄
▲7▼温風乾燥
▲1▼と▲4▼の適切な表面洗浄化時間を決めるため、分極抵抗法を適用した。
対極は洗浄済みの良品セパレータ、参照極は1mmφのSUS線とした。周期4分の矩形波(アノード側1分、カソード側1分、休止1分×2)を北斗電工製ポテンショスタットHA−151とファンクションジェネレータHB−104を用いて試料と対極の間に通した。測定電流は電位応答が数10mV以内となるように選んだ。得られた電位応答と電流値および測定面積から、見かけの分極抵抗を求め、その推移を記録した。分極抵抗がほぼ一定値になった時点を洗浄の終点とした(図1)。
【0035】
〔実施例2(ガルバニック電流)〕
成形カーボンセパレータ(250×250mm、t=3mm)の金型離型剤の洗浄を1M H2 SO4 で行った(60℃)。対極には同液で十分洗浄化されたセパレータを用いた。2枚のセパレータを洗浄槽に釣り下げた北斗電工製無抵抗電流計HM−103で両者に流れる電流の推移を計測した(図2)。電流が規定値以下になった時点で洗浄をやめ、セパレータを水洗し乾燥した。
【0036】
〔実施例3(電位差計測)〕
成形カーボンセパレータ(250×250mm、t=3mm)の金型離型剤の洗浄を1M H2 SO4 で行った(60℃)。対極には同液で十分清浄化されたセパレータを用いた。2枚のセパレータを洗浄槽に釣り下げた北斗電工製エレクトロメータHE−104で両者の電位差の推移を計測した(図3)。電位差が規定値以下になった時点で洗浄をやめ、セパレータを水洗し乾燥した。
【0037】
〔実施例4(定電位電解)〕
成形カーボンセパレータ(250×250mm、t=3mm)の金型離型剤の洗浄を1M H2 SO4 で行った(60℃)。対極には同液で十分清浄化されたセパレータを用いた。参照極はPt線を用いた。2枚のセパレータを洗浄槽に釣り下げた北斗電工製ポテンシオスタットHK−HA−151でPtに対し0.1Vに設定し対極間に流れる電流値を測定した(図4)。電流差が規定値以下になった時点で洗浄をやめ、セパレータを水洗し乾燥した。
【0038】
【発明の効果】
〔耐久性〕
請求項1〜7の耐久性の検査法とその検査法で耐久性を検査された請求項8の燃料電池によれば、つぎの効果が得られる。
▲1▼ セパレータの全数検査が簡便に行え、皮膜欠陥のある不良セパレータを誤って組み付けることを排除できるので、電圧低下が小さい信頼性の高い電池スタックを製造できる。
▲2▼ 本検査方法で品質管理を成せば、金属セパレータでも皮膜欠陥が無いものを短時間に選定できる。また、セパレータの表面処理条件の最適化や加速試験が短時間に行える。その結果、耐食性コーティングを施した金属セパレータを採用できるので、電池が軽量・コンパクト化できる。
▲3▼ 特別な装置は不用であり、定電圧電源と直流電源があればよいので、高価な装置がなくとも、ピンホールの検出が可能である。
▲4▼ 対極および参照極は耐食性が大きいので溶出イオンは小さく、また長時間繰り返し使用できるので、対極や参照極からの溶出イオンによる測定データの信頼性低下や、セパレータへの汚染が無い。
▲5▼ フッ化物イオンと硫酸水溶液は簡単に水洗できる。また洗浄残渣の微量フッ化物イオンと硫酸根は電極性能に悪影響を与えない。その結果、測定液残渣による電解質膜、触媒層への悪影響が無い。
▲6▼ 良品を対極あるいは参照極とすれば、検査用に別途対極あるいは参照極を用意する必要が無く、測定装置は単純である。その結果、測定系が単純で、信頼性が高い。
▲7▼ 溶液容器は対極あるいは参照極と兼用できるので測定装置は単純である。その結果、溶液保持のための容器と対極を別々に作製する必要が無い。
〔洗浄性〕
請求項9〜14の耐久性の検査法とその検査法で耐久性を検査された請求項15の燃料電池によれば、つぎの効果が得られる。
▲1▼ セパレータの拡散層の洗浄程度および洗浄の終点を簡便に検出でき、洗浄不良のある状態で誤って組み付けることを排除できる。その結果、電圧低下が小さい信頼性の高い電池スタックを製造できる。
▲2▼ 特別な装置は不用であり、洗浄の終点を定電圧電源、直流電源、電圧計があれば簡単に求められる。その結果、過剰な洗浄を必要としないため、エネルギーの浪費がない。
▲3▼ 対極および参照極は耐食性が大きいので溶出イオンは小さく、また長時間繰り返し使用できる。その結果、高価な装置がなくとも、洗浄終点の検出が可能である。
▲4▼ 硫酸水溶液は簡単に水洗できる。微量の硫酸根は電極性能に悪影響を与えない。その結果、対極や参照極からの溶出イオンによる測定データの信頼性低下や、セパレータへの汚染が無い。
▲5▼ 測定液残渣による電解質膜、触媒層への悪影響が無い。
▲6▼ 良品を対極あるいは参照極とすれば、検査用に別途対極あるいは参照極を用意する必要が無く、測定装置は単純である。その結果、測定系が単純で、信頼性が高い。
▲7▼ 溶液容器は対極あるいは参照極と兼用できるので測定装置は単純である。溶液保持のための容器と対極を別々に作製する必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検査法のうち、分極抵抗法による洗浄検査における、分極抵抗−時間のグラフである。
【図2】本発明の検査法のうち、ガルバニックカップル法による洗浄検査における、ガルバニック電流−時間のグラフである。
【図3】本発明の検査法のうち、電位差計測法による洗浄検査における、電位差−時間のグラフである。
【図4】本発明の検査法のうち、定電位電解法による洗浄検査における、酸化電流−時間のグラフである。
【図5】本発明の検査法(耐久性または洗浄性の検査)の工程図である。
【図6】本発明の検査法により耐久性または洗浄性を検査された固体高分子型燃料電池の側面図である。
【図7】図5の検査法により検査された燃料電池の一部の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 固体高分子型燃料電池
11 電解質膜
12、15 触媒層
13、16 拡散層
14 アノード
17 カソード
18 セパレータ
19 モジュール
23 スタック
Claims (15)
- 分極抵抗法、ガルバニックカップル法、定電位電解法のうちいずれかの方法によってセパレータの耐食性を検査することを特徴とする固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 上記セパレータはステンレス素材、Al素材、Cu素材の上に耐食性コーティングを施した燃料電池である請求項1記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 対極あるいは参照極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いた請求項1記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 対極あるいは参照極が測定溶液保持容器を兼ねる請求項1記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 対極あるいは参照極として、皮膜欠陥程度が小さい、素材の耐食性が高い、基準となるセパレータを用いる請求項1記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 試験溶液が硫酸水溶液である請求項1記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 試験溶液が弗化物イオンを含む硫酸水溶液である請求項1記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- セパレータを有し、該セパレータの耐食性が請求項1〜7のいずれかの固体高分子型燃料電池の検査方法により検査された固体高分子型燃料電池。
- 分極抵抗法、ガルバニックカップル法、電位計測法、定電位電解法のうちいずれかの方法によって炭素材料または金属材料の洗浄性を検査することを特徴とする固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 上記炭素材料は焼成カーボンセパレータ、成形カーボンセパレータ、カーボンクロス、カーボンペーパ、およびステンレス素材、Al素材、Cu素材の上に炭素材料からなる耐食性コーティングを施したセパレータを用いた燃料電池である請求項9記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 対極あるいは参照極としてAu、Pt等の貴金属または炭素材料、Ti材料を用いた請求項9記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 対極あるいは参照極が測定溶液保持容器を兼ねる請求項9記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 対極あるいは参照極として、基準となる炭素材料または金属材料を用いる請求項9記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 洗浄溶液が硫酸水溶液である請求項9記載の固体高分子型燃料電池の検査方法。
- 炭素材料または金属材料を有し、該炭素材料または金属材料の洗浄性が請求項9〜14のいずれかの固体高分子型燃料電池の検査方法により検査された固体高分子型燃料電池。
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