JP4308832B2 - 基板洗浄装置および基板洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)基板、磁気ディスク用のガラス基板やセラミック基板、あるいは、光または光磁気ディスク用の樹脂基板などのような各種の基板に洗浄処理を施すための基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
半導体装置の製造工程には、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施して微細パターンを形成していく工程が含まれる。微細加工のためにはウエハの両面、特に薄膜が形成されるウエハの一方面(薄膜形成面)を清浄に保つ必要があるから、必要に応じてウエハの洗浄処理が行われる。たとえば、ウエハの薄膜形成面上に形成された薄膜を研磨剤を用いて研磨処理(以下、CMP処理という)した後には、研磨剤(スラリー)がウエハ両面に残留しているから、このスラリーを除去する必要がある。
上述のような従来のウエハの洗浄を行うウエハ洗浄方法としては、たとえば、ウエハの両面に対向する両面ブラシによってウエハの両面をスクラブ洗浄(スクラブ洗浄処理)した後、回転するウエハ両面にふっ酸を供給してウエハの両面を洗浄(洗浄処理)し、次に、回転するウエハ両面に純水を供給してウエハ表面に残留するふっ酸を洗い流し(リンス処理)、そして、純水の供給を停止させた状態でウエハを高速回転させてウエハ表面の水分を振り切り乾燥(スピン乾燥処理)していた。
しかしながら、上述のウエハ洗浄方法によると、リンス処理において用いられている純水の蒸発速度が小さいため、スピン乾燥処理において、この純水を振り切り乾燥させるのに長い時間がかかっていた。このため、装置全体の処理タクトが長くなって、時間当たりのウエハの生産枚数が少なくなって生産効率の低下につながり、問題となっていた。なお、たとえば、スピン乾燥処理のみを行う装置を別に用意すれば処理タクトが長くなることを防止できるが、そうすると、装置の占有スペースが増加してしまって、限られたクリーンルームの面積内に収容できる装置台数が少なくなるため、結局、生産効率の低下につながってしまう。
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、基板乾燥に要する時間を短縮することで、基板の生産効率を向上させることが可能な基板洗浄方法および基板洗浄装置を提供することにある。
上述の技術的課題を解決するための、請求項1に係る発明は、回転している基板に有機酸または有機アルカリの薬液を含む洗浄液を供給して、基板を洗浄する洗浄工程と、この洗浄工程の後、回転している基板に有機溶剤を含むリンス液を供給して、基板表面の上記洗浄液を洗い流すリンス工程と、このリンス工程の後、基板に対する上記リンス液の供給が停止している状態で基板を回転させて、基板表面の上記リンス液を振り切り乾燥させる乾燥工程とを備え、上記有機溶剤は、ハイドロフルオロエーテルであることを特徴とする、基板洗浄方法である。
この請求項1に係る発明の基板洗浄方法によると、洗浄工程後に基板表面に残留する洗浄液は、リンス工程において有機溶剤を含むリンス液によって洗い流され、その後、このリンス工程後に基板表面に残留するリンス液は、乾燥工程において基板回転によって振り切り乾燥される。有機溶剤を含むリンス液は、従来の純水などのリンス液に比べて蒸発速度が早いので、リンス工程において基板表面の洗浄液を洗い流すとともに、乾燥工程において基板の回転にともなって即座に蒸発する。このため、乾燥工程における基板乾燥に要する時間を短縮することができ、基板の生産効率を向上させることができる。
なお、洗浄液に含まれる「有機酸または有機アルカリの薬液」は、蓚酸やクエン酸などの有機酸、またはTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)などの有機アルカリなどであってもよい。また、リンス液に含まれる「有機溶剤」は、ハイドロフルオルエーテル(以下、HFEという)である
ンス工程において基板に供給されるリンス液にはハイドロフルオルエーテル(HFE)が含まれている。このため、表面張力および粘度が従来の純水などのリンス液に比べて著しく低いHFEを含むリンス液は、基板表面のリセス部やスクラッチ部などの凹部内に容易に侵入できるので、基板表面の凹部内の異物を良好に除去したり、該凹部内に残留する洗浄液を良好に洗い流すことができる。また、このHFEを含むリンス液自体の蒸発速度も速いので、乾燥工程において基板乾燥に要する時間を短縮することができ、基板の生産効率を向上させることができる。さらには、HFEは無毒でありオゾン破壊係数が0であることから、地球環境にやさしく、その回収・廃棄に対する処理コストも軽減できるという利点も持ちあわせている。
また、請求項に係る発明は、請求項に記載の基板洗浄方法において、上記乾燥工程は、基板表面に気体を供給しつつ基板を乾燥させることを特徴とする、基板洗浄方法である。
この請求項に係る発明の基板洗浄方法によると、乾燥工程において基板が回転されるとともに基板表面に気体が供給されるので、基板表面でのリンス液の蒸発が促進される。したがって、気体の供給、基板の回転、およびリンス液蒸発速度の速さの協働作用により、さらに基板乾燥に要する時間を短縮することができ、基板の生産効率をさらに向上させることができる。
なお、基板表面に供給される気体としては、窒素、ヘリウム、またはアルゴンなどの不活性ガスを用いるのが好ましい。これによれば、基板表面での酸化を防止できるので、基板表面のいわゆるウォーターマークの発生を防止できる。また、気体の供給は基板の回転中心に向けて行うことが好ましい。
また、請求項に係る発明は、請求項に記載の基板洗浄方法において、上記乾燥工程において基板表面に供給される気体は、加熱された気体であることを特徴とする、基板洗浄方法である。
この請求項に係る発明の基板洗浄方法によると、乾燥工程において基板が回転されるとともに基板表面に加熱された気体が供給される。このため、基板表面でのリンス液の蒸発がさらに促進される。したがって、加熱された気体の供給、基板の回転、およびリンス液蒸発速度の速さの協働作用により、さらに基板乾燥に要する時間を短縮することができ、基板の生産効率をさらに向上させることができる。
なお、気体の加熱温度としては、30〜120℃、好ましくは、基板への気体供給時点で有機溶剤の沸点以上となる温度がより好ましい。
また、請求項に係る発明は、請求項またはに記載の基板洗浄方法において、基板表面に対向する平面で基板表面を覆いつつ基板を乾燥させることを特徴とする、基板洗浄方法である。
この請求項に係る発明の基板洗浄方法によると、乾燥工程において基板が回転されつつ基板表面に気体が供給されるとともに、その基板表面が平面で覆われる。すなわち、基板表面と平面とで挟まれた空間に気体が供給されることとなる。このため、基板表面での気体が円滑に流れるので、基板表面でのリンス液の蒸発がさらに促進される。したがって、気体の円滑な供給、基板の回転、およびリンス液蒸発速度の速さの協働作用により、さらに基板乾燥に要する時間を短縮することができ、基板の生産効率をさらに向上させることができる。
なお、基板表面に対向する平面が形成される部材自体は、いかなる形状でもよく、たとえば、所定の厚みの円板や角板などの平板、または立体的な形状であってもよい。また、基板表面に対向する平面は、基板の回転軸と同一の軸を中心に回転させてもよく、この場合、平面の回転中心から基板の回転中心に向けて気体を供給するのが好ましい。
また、請求項に記載のように、上記ハイドロフルオロエーテルは、CFCFCFCFOCHであってもよいし、CFCFCFCFOCHCHであってもよい。
次に、請求項に係る発明は、基板を保持しつつ回転させる基板回転手段と、この基板回転手段によって回転されている基板に、有機酸または有機アルカリの薬液を含む洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、上記基板回転手段によって回転されている基板に、有機溶剤を含むリンス液を供給するリンス液供給手段と、を備え、上記有機溶剤は、ハイドロフルオロエーテルであることを特徴とする基板洗浄装置である。
請求項に係る発明の基板洗浄装置によると、請求項1の発明と同様に、洗浄液供給手段からの有機酸またはアルカリの薬液を含む洗浄液によって基板を洗浄した後、基板表面に残留する洗浄液を、リンス液供給手段からの有機溶剤を含むリンス液によって洗い流し、その後、基板表面に残留するリンス液を、基板回転手段による基板回転によって振り切り乾燥させることができる。このため、請求項1に記載した発明と同様な効果を奏することができる。
以下に、上述の技術的課題を解決するための本発明の一実施形態に係る基板洗浄装置を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板洗浄装置の主要部の構成を簡略的に示す側面図である。なお、この基板洗浄装置は、別の両面洗浄装置において、CMP処理後のウエハWの両面をスクラブ洗浄して、比較的大きな異物を除去した後に、主にウエハWの上面Wa(薄膜形成面)を再度洗浄して比較的微細な異物を除去する装置である。また、この基板洗浄装置に対するウエハWの搬出または搬入は、図示しない吸着保持するハンドを有するウエハ搬送ロボット等によって適宜行われている。
ここで、まず、基板洗浄装置の構成について説明すると、この基板洗浄装置は、ウエハWを保持しつつ、ウエハWの中心を通りウエハWに垂直な回転軸Rを中心に回転させるウエハ回転部10と、ウエハ上面Waおよび下面Wbに洗浄液としてのふっ酸(酸の薬液)を供給するふっ酸供給部20と、ウエハ上面Waおよび下面Wbにリンス液としてのHFE(有機溶剤)を供給するHFE供給部30と、ウエハ回転部10を取り囲むように設けられ、ふっ酸やHFEなどの洗浄液を集める洗浄液集液部40と、ウエハ上面Waおよび下面Wbに窒素ガスを供給するガス供給部50と、ウエハ回転部10によって保持されたウエハWの上面に対向して配置された回転円板部60とからなっている。なお、この一実施形態におけるHFEは、たとえば、構造式がCF3CF2CF2CF2OCH3のもの(沸点61℃)である。
ウエハ回転部10は、図示しない回転駆動源から回転駆動力を伝達されて回転軸Rを中心として回転するスピン軸11と、このスピン軸11の上端部に設けられ、上面に設けられた複数の保持ピン12aによりウエハWを下面Wb側から保持するスピンチャック12とからなっている。これらの構成により、ウエハ回転部10は、ウエハWを保持しつつ、ウエハWに垂直なウエハの回転軸Rを中心としてウエハWを回転させることができるようになっている。また、スピン軸11の内部には、スピン軸11の長さ方向に沿って貫通する下貫通孔13が形成されており、この下貫通孔13には、スピンチャック12の上面付近で開口し、ウエハの下面Wbにふっ酸およびHFEを供給するための管状の下ノズル14が挿通されている。
一方、このウエハ回転部10とは、ウエハWを挟んで反対側に配置される回転円板部60は、図示しない回転駆動源から回転駆動力を伝達されて回転軸Rを中心として回転するスピン軸61と、このスピン軸61の下端部に設けられ、ウエハの上面Waに対してほぼ平行に対向する下面62aを有する円板62とからなっている。これらの構成により、回転円板部60は、ウエハの上面Waを円板62の下面62aで覆いつつ、回転軸Rを中心として円板62を回転させることができるようになっている。また、スピン軸61の内部には、スピン軸61の長さ方向に沿って貫通する上貫通孔63が形成されており、この上貫通孔63には、円板62の下面62a付近で開口し、ウエハの上面Waにふっ酸およびHFEを供給するための管状の上ノズル64が挿通されている。
なお、図示はしていないが、円板62を昇降させることのできる昇降機構が別途設けられている。この昇降機構により、円板62の下面62aとウエハの上面Waとの間隔を適宜可変させることができるようになっている。
また、ふっ酸供給部20は、上ノズル64および下ノズル14それぞれとふっ酸供給源とを連通接続するふっ酸供給パイプ21,22と、このふっ酸供給パイプ21,22それぞれの途中部に介装された開閉可能なふっ酸供給バルブ23,24と、からなっている。
また、HFE供給部30は、上ノズル64および下ノズル14それぞれとHFE供給源とを連通接続するHFE供給パイプ31,32と、このHFE供給パイプ31,32それぞれの途中部に介装された開閉可能なHFE供給バルブ33,34と、からなっている。
また、洗浄液集液部40は、スピンチャック12の側方周囲を取り囲むような環状に形成されて、回転するウエハWやスピンチャック12から飛散した洗浄液を集めるためのカップ41と、このカップ41の底部に設けられ、カップ41によって受け止められた洗浄液を下方へ流出させるドレン口42と、からなっている。
さらに、ガス供給部50は、上貫通孔63および下貫通孔13それぞれと窒素ガス供給源とを連通接続するガス供給パイプ51と、このガス供給パイプ51の途中部に介装されてガス供給パイプ51を流通する窒素ガスを加熱するガス加熱機構52と、ガス供給パイプ51の途中部に介装された開閉可能なガス供給バルブ53と、からなっている。なお、ガス加熱機構52は、たとえば、ウエハW表面への供給時点で、窒素ガス温度がHFEの沸点(61℃)以上となるように、100℃程度の温度に窒素ガスを加熱している。
ここで、次に、以上のような構成を有する基板洗浄装置による洗浄処理の動作(基板洗浄方法)について説明する。
まず、図示しないウエハ搬送ロボットによって、予め両面が予備洗浄されたウエハWが基板洗浄装置内に搬入され、スピンチャック12の上に載置されて複数の保持ピン12aに保持される。次に、ウエハWを保持したスピンチャック12が図示しない回転駆動源によって高速で回転されて、ウエハWが回転軸Rを中心に回転される。そして、まず、ふっ酸供給バルブ23,24が開成されて、上ノズル64および下ノズル14より洗浄液としてのふっ酸がウエハWの両面Wa,Wbに供給され、ふっ酸によるウエハWの洗浄が行われる。
そして、所定時間の経過後、ふっ酸供給バルブ23,24が閉成されて、上ノズル64および下ノズル14からのふっ酸の供給が停止させられると、次に、ウエハWの回転は維持されたまま、HFE供給バルブ33,34が開成されて、上ノズル64および下ノズル14よりリンス液としてのHFEのウエハWの両面Wa,Wbに供給されて、HFEによるウエハWのリンスが開始され、ウエハW表面のふっ酸が洗い流される。そして、所定時間の経過後、HFE供給バルブ33,34が閉成されて、上ノズル64および下ノズル14からのHFEの供給が停止させられる。
以上により、ウエハWに対して、まず洗浄液としてのふっ酸によるウエハWの洗浄処理(洗浄工程)、およびリンス液としてのHFEによるウエハWのリンス処理(リンス工程)が完了する。なお、以上に説明したウエハWの搬入から洗浄処理、リンス処理に至るまでの期間については、上述の図示しない昇降機構により、円板62はウエハWから離間した高さ(たとえば、ウエハ上面Waと円板の下面62aとの間隔が50〜100mmとなるような高さ)に位置している。
これに引き続いて、円板62が、図示しない昇降機構によりウエハWに接近した高さ(たとえば、ウエハ上面Waと円板の下面62aとの間隔が0.1〜10mmとなるような高さ)に位置するとともに、ガス供給バルブ53が開成されて、上貫通孔63および下貫通孔13からガス加熱機構52で加熱された窒素ガスがウエハWの両面Wa,Wbに供給される。そして、これと同時に、ウエハ回転部10によってウエハWがさらに高速回転され、ウエハW表面のリンス液が振り切り乾燥させられる(乾燥工程)。なお、このウエハWの乾燥時においては、ウエハWに対するHFEの供給は停止されている。
そして、所定時間の経過後、このウエハWの回転が停止された後、ガス供給バルブ53が閉成されて、上貫通孔63および下貫通孔13からの窒素ガスの供給が停止される。そして、図示しない昇降機構により円板62がウエハWから離間され、図示しないウエハ搬送ロボットによってウエハWが基板洗浄装置から搬出されて、1枚のウエハWに対するこの基板処理装置での洗浄処理、リンス処理、および乾燥処理が終了する。
<本実施形態の効果>
以上のようなこの一実施形態の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、洗浄処理後にウエハW表面に残留する洗浄液としてのふっ酸は、リンス液としてのHFEによって洗い流され、その後、ウエハW表面に残留するHFEは、ウエハWの回転によって振り切り乾燥される。有機溶剤としてのHFEは、従来の純水などのリンス液に比べて蒸発速度が速いので、ウエハW表面のふっ酸を洗い流すとともに、乾燥工程においてウエハWの回転にともなって即座に蒸発する。このため、乾燥工程におけるウエハWの乾燥に要する時間を短縮することができ、ウエハWの生産効率を向上させることができる。
また、この一実施形態の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、リンス処理においてウエハWに供給されるリンス液はハイドロフルオルエーテル(HFE)である。このため、表面張力および粘度が従来の純水などのリンス液に比べて著しく低いHFEを含むリンス液は、ウエハW表面のリセス部やスクラッチ部などの凹部内に容易に侵入できるので、ウエハW表面の凹部内の異物を良好に除去したり、該凹部内に残留する洗浄液を良好に洗い流すことができる。また、このHFEを含むリンス液自体の蒸発速度も速いので、乾燥処理においてウエハWの乾燥に要する時間を短縮することができ、基板の生産効率を向上させることができる。さらには、HFEは無毒でありオゾン破壊係数が0であることから、地球環境にやさしく、その回収・廃棄に対する処理コストも軽減できるという利点も持ちあわせている。
また、この一実施形態の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、乾燥処理においてウエハWが回転されるとともにウエハW表面に気体(窒素ガス)が供給されるので、ウエハW表面でのリンス液の蒸発が促進される。したがって、さらにウエハWの乾燥に要する時間を短縮することができ、ウエハWの生産効率をさらに向上させることができる。さらには、ウエハW表面に供給される気体は、不活性ガスの1つである窒素ガスであるので、ウエハW表面での酸化を防止でき、ウエハW表面のウォーターマークの発生を防止できる。
また、この一実施形態の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、乾燥処理においてウエハWが回転されるとともに、ガス加熱機構52によって100℃程度に加熱された窒素ガスがウエハW表面に供給される。このため、ウエハW表面でのリンス液の蒸発がさらに促進される。したがって、さらにウエハWの乾燥に要する時間を短縮することができ、ウエハWの生産効率をさらに向上させることができる。なお、窒素ガスの加熱温度としては、ウエハWへの供給時で有機溶剤の沸点以上となっていることがより好ましい。
また、この一実施形態の基板洗浄装置および基板洗浄方法によれば、乾燥処理においてウエハWが回転されつつウエハW表面に窒素ガスが供給されるとともに、そのウエハW表面が平面62aで覆われる。すなわち、ウエハW表面と平面62aとで挟まれた空間に窒素ガスが供給されることとなる。このため、ウエハW表面での窒素ガスが円滑に流れるので、ウエハW表面でのリンス液の蒸発がさらに促進される。したがって、さらにウエハWの乾燥に要する時間を短縮することができ、ウエハWの生産効率をさらに向上させることができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、上述した一実施形態においては、ウエハWに対して、ふっ酸およびHFEを供給するノズルは、同一のノズル14,64で兼用されているが、それぞれ別のノズルであってもよい。
また、上述した一実施形態においては、リンス処理におけるリンス液として、構造式がCF3CF2CF2CF2OCH3のHFEが用いられているが、たとえば、構造式がCF3CF2CF2CF2OCH2CH3のもの(沸点78℃)であってもよい。なお、HFE(ハイドロフルオロエーテル)とは、エーテル類の水素原子の一部が弗素原子で置換され、塩素原子を含まない弗素化エーテルのことをさす。
さらに、このリンス液は、HFEで構成されていたが、有機溶剤を含むものなら何でもよい。すなわち、HFE、IPA、エタノール、メタノール、n−酢酸ブチル、MEK、MIBK、アセトンまたはTrans-1,2-ジクロロエチレン等の有機溶剤単体の溶液であってもよいし、あるいは、少なくともこれらの有機溶剤を含む混合液であってもよい。混合液としては、HFEとIPAとが95:5の比率で混合された混合液(沸点54.5℃)、HFEとTrans-1,2-ジクロロエチレンとが50:50の比率で混合された混合液(沸点41℃)、およびHFEとTrans-1,2-ジクロロエチレンとエタノールが52.7:44.6:2.7の比率で混合された混合液(沸点40℃)などがある。
また、上述した一実施形態においては、洗浄処理における洗浄液は、ふっ酸で構成されていたが、蓚酸やクエン酸などの有機酸、またはTMAHなどの有機アルカリであることが好ましい。
また、上述した一実施形態においては、乾燥処理における気体は、不活性ガスとしての窒素ガスで構成されていたが、たとえば、ヘリウムやアルゴンなどの他の不活性ガス、またはクリーンエア(清浄化された空気)等であってもよい。ただし、上述したように、不活性ガスである方が、ウォーターマークの発生を防止できるのでより好ましい。
また、上述した一実施形態においては、乾燥処理における気体(窒素ガス)の加熱温度は、100℃としたが、30〜120℃のうちの所定の温度であってもよい。好ましくは、窒素ガスをウエハW表面へ供給した時点で、有機溶剤の沸点以上となる温度、たとえば50〜120℃がより好ましい。
また、上述した一実施形態においては、ウエハ上面Waを覆う平面62aが形成される部材(円板62)の形状を円板状としたが、これに限らず、角板などの平板であってもよいし、平板状ではなく立体的な形状であってもよい。
また、上述した一実施形態においては、ふっ酸などの洗浄液やHFEなどのリンス液をウエハWに供給するのみであるが、たとえば、さらに、これら洗浄液やリンス液の供給と同時に、PVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジブラシをウエハWに押し付けつつ自転させてスクラブ洗浄するようにしてもよい。あるいは、さらに、これらの洗浄液に超音波振動を付与して、ウエハW表面を超音波洗浄するようにしてもよい。これにより、基板の洗浄効果をさらに向上させることができる。
また、上述した一実施形態において、ふっ酸及びHFEをウエハWに供給するための上ノズル64および下ノズル14は、ウエハWの両面Wa,Wbに対応してそれぞれ設けられて、ウエハWの両面Wa,Wbを洗浄できるようになっているが、少なくともウエハWのいずれか一方の面に対応するノズルが設けられて、ウエハWの片面WaまたはWbを洗浄するだけでもよい。
また、上述した一実施形態において、ウエハ回転機構10は、上面に設けられた複数の保持ピン12aによりウエハWを下面Wb側から保持するスピンチャック12によって、ウエハWを保持しつつ回転させるようにしていたが、ウエハWの下面Wbを吸着保持しつつウエハWを回転させるスピンチャックであってもよい。あるいは、ウエハ回転機構10は、ウエハWの周縁部の端面に当接しつつウエハWの回転軸Rに平行な軸を中心に回転する少なくとも3つのローラピンのようなものであってもよい。これによれば、、ウエハ両面Wa,Wbの全域を良好に洗浄できる。
また、上述した一実施形態においては、ウエハWに対して、洗浄液による洗浄処理の後、リンス液によるリンス処理および乾燥処理の一連の処理を順に施して、このウエハWに対する処理を終了しているが、これに限らず、乾燥処理の後で、再度、リンス処理および乾燥処理を繰り返し施してもよい。すなわち、洗浄処理の後、リンス処理、乾燥処理、リンス処理、乾燥処理の順にウエハWに処理を施すようにしてもよい。このようにすれば、リンス処理におけるリンス効率を向上させることができる。
また、上述した一実施形態においては、CMP処理後のウエハWを洗浄する場合について説明しているが、これに限られるものではなく、本発明は、広く、ウエハWを洗浄するものに対して適用することができる。
さらに、上述した一実施形態においては、半導体ウエハWを洗浄する場合について説明しているが、本発明は、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)基板、磁気ディスク用のガラス基板やセラミック基板、あるいは、光または光磁気ディスク用の樹脂基板などのような他の各種の基板の洗浄に対して広く適用することができる。また、その基板の形状についても、上述した一実施形態の円形基板の他、正方形や長方形の角型基板に対しても、本発明を適用することができる。
また、以上に記載したすべての実施形態を任意に組み合わせて実施することが可能である。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
本発明の一実施形態に係る基板洗浄装置の構成を簡略的に示す側面図である。
符号の説明
10 ウエハ回転機構(基板回転手段)
20 ふっ酸供給部(洗浄液供給手段)
30 HFE供給部(リンス液供給手段)
50 ガス供給部
60 回転円板部
62a 円板の下面(基板表面を覆う平面)
W ウエハ(基板)

Claims (6)

  1. 回転している基板に有機酸または有機アルカリの薬液を含む洗浄液を供給して、基板を洗浄する洗浄工程と、
    この洗浄工程の後、回転している基板に有機溶剤を含むリンス液を供給して、基板表面の上記洗浄液を洗い流すリンス工程と、
    このリンス工程の後、基板に対する上記リンス液の供給が停止している状態で基板を回転させて、基板表面の上記リンス液を振り切り乾燥させる乾燥工程とを備え
    上記有機溶剤は、ハイドロフルオロエーテルであることを特徴とする、基板洗浄方法。
  2. 上記乾燥工程は、基板表面に気体を供給しつつ基板を乾燥させることを特徴とする、請求項に記載の基板洗浄方法。
  3. 上記乾燥工程において基板表面に供給される気体は、加熱された気体であることを特徴とする、請求項に記載の基板洗浄方法。
  4. 上記乾燥工程は、基板表面に対向する平面で基板表面を覆いつつ基板を乾燥させることを特徴とする、請求項またはに記載の基板洗浄方法。
  5. 上記ハイドロフルオロエーテルは、CFCFCFCFOCH、または、CFCFCFCFOCHCHであることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の基板洗浄方法。
  6. 基板を保持しつつ回転させる基板回転手段と、
    この基板回転手段によって回転されている基板に、有機酸または有機アルカリの薬液を含む洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
    上記基板回転手段によって回転されている基板に、有機溶剤を含むリンス液を供給するリンス液供給手段とを備え
    上記有機溶剤は、ハイドロフルオロエーテルであることを特徴とする、基板洗浄装置。
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