JP4308038B2 - 部品実装検査方法および回路基板検査装置 - Google Patents

部品実装検査方法および回路基板検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、回路部品の実装良否を検査する部品実装検査方法、およびその部品実装検査方法に従って回路基板を検査する回路基板検査装置に関するものである。
この種の回路基板検査装置として、出願人は、部品有無検出プローブを用いて回路部品の実装の有無(実装良否)を検査する回路基板検査装置を特開平7−72210号公報に開示している。この場合、部品有無検出プローブは、同公報の図3に示すように、第1プローブピン20、第2プローブピン21、前側保持部材22および後側保持部材23を備えて構成されている。また、両プローブピン20,21は、付勢手段25,26によって保持部材22,23から突き出される方向に付勢されている。さらに、第2プローブピン21および前側保持部材22には、第1プローブピン20の先端部が回路部品に対して非接触の状態において短絡状態となる接点部b1,b2が設けられている。
この回路基板検査装置によって回路部品の実装良否を検査する際には、まず、検査対象の回路基板における回路部品に対して(回路部品が実装されているべき部位に向けて)、その上方から部品有無検出プローブを下降させる。この際に、第1プローブピン20の先端部が回路部品の表面に接触した後に部品有無検出プローブをさらに下降させたときには、第1プローブピン20が前側保持部材22に対してスライドして第2プローブピン21をスライドさせる。この結果、同公報の図3(B)に示すように、接点部b1,b2が非接触状態となって、スライド以前に短絡状態であった接点部b1,b2間の抵抗値が大きな値となる。したがって、この回路基板検査装置では、接点部b1,b2間の抵抗値を測定しつつ部品有無検出プローブを下降させて、抵抗値が変化した時点までの部品有無検出プローブの下降量に基づいて、第1プローブピン20の先端部が検査対象体(回路部品または回路基板の表面)に接触した高さを特定する。次いで、この高さを検査用の基準値と比較することによって、回路部品が実装されているか否かが検査される。
特開平7−72210号公報(第3−5頁、第1−3図)
ところが、出願人が開示している回路基板検査装置には、以下の改善すべき課題がある。すなわち、この回路基板検査装置では、接点部b1,b2間の抵抗値が変化した時点までの部品有無検出プローブの下降量に基づいて、第1プローブピン20の先端部が検査対象体に接触した高さを特定している。この場合、接点部b1,b2のような機械的な構成は、長期に亘って繰り返して使用した際に、塵埃の付着や接点の摩耗を招くことがある。この結果、第1プローブピン20が回路部品等に接触していない状態であるにも拘わらず、大きな抵抗値が測定されて、第1プローブピン20の先端部と検査対象体とが接触した高さが誤って測定されるおそれがある。したがって、出願人が開示している回路基板装置では、接点の摩耗等に起因する誤判別を回避するために、回路部品に向けて部品有無検出プローブを下降させるのに先立って、接点部b1,b2相互間が短絡状態であるか否かの事前検査を実行している。このため、回路基板についての検査開始に先立って実行する事前検査が煩雑であり、この点を改善するのが好ましい。
一方、特開2002−13916号公報には、電子部品20に向けてセンサ光を照射して、電子部品20で反射された反射光を一対の判別センサ10(第1センサ11および第2センサ12)で受光することにより、その受光状態に基づいて電子部品20の実装良否(部品形状の相違)を検査する部品判別装置が開示されている。この部品判別装置によれば、機械的な接点を有する電気計測用プローブを使用して回路部品の実装良否を検査する構成とは異なり、接点の摩耗等に起因する誤判別を招くことなく、電子部品20の実装良否を検査することができる。しかし、第1センサ11および第2センサ12が電気計測用プローブと比較して高価なため、部品判別装置の製造コストを低減することが困難であるという問題点が存在する。
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、機械的な接点を用いることなく、回路基板検査装置の製造コストを低減しつつ回路部品の実装良否を検査し得る部品実装検査方法および回路基板検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の部品実装検査方法は、回路基板上における検査対象の回路部品が実装されているべき実装位置において当該回路基板の基板面から当該回路部品の上面までの距離よりも当該基板面から離間している第1の位置と当該実装位置において当該距離よりも当該基板面に接近している第2の位置との間を先端部が移動するようにばね式の電気計測用プローブを移動させ、前記両位置間での前記電気計測用プローブと基準電極との間についての電気的パラメータを間欠的または連続的に測定し、当該電気計測用プローブを移動させている状態において前記測定した測定値が一定値またはほぼ一定値となったときの前記電気計測用プローブから前記基板面までの距離と、前記電気計測用プローブの移動開始時点から当該電気計測用プローブが移動している状態において前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの時間との少なくとも一方に基づいて前記回路部品の実装良否を検査する。なお、本明細書における「実装良否の検査」には、回路部品の実装有無、実装位置の良否(位置ずれの有無)、実装姿勢の良否、および実装されるべき回路部品とは種類が相違する回路部品の実装有無などの各種の検査が含まれる。
請求項2記載の部品実装検査方法は、請求項1記載の部品実装検査方法において、前記移動開始時点から前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの前記時間が予め規定されている基準時間よりも長いときおよび短いときの少なくとも一方のときに、異なる種類の回路部品の前記回路部品としての実装、および前記回路部品の異常状態での実装のいずれかを検査結果とする。
請求項3記載の部品実装検査方法は、請求項1または2記載の部品実装検査方法において、前記電気計測用プローブと前記基準電極との間の静電容量を前記電気的パラメータとして測定する。
請求項4記載の部品実装検査方法は、請求項1から3のいずれかに記載の部品実装検査方法において、前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点で前記電気計測用プローブの前記基板面に向けての移動を停止させる。
請求項5記載の回路基板検査装置は、ばね式の電気計測用プローブと、当該電気計測用プローブを移動させるプローブ移動機構と、前記電気計測用プローブおよび基準電極の間についての電気的パラメータを測定する測定部と、前記プローブ移動機構を制御すると共に前記電気的パラメータの測定値に基づいて前記回路部品の実装良否を検査する制御部とを備え、前記制御部は、回路基板上における検査対象の前記回路部品が実装されているべき実装位置において当該回路基板の基板面から当該回路部品の上面までの距離よりも当該基板面から離間している第1の位置と当該実装位置において当該距離よりも当該基板面に接近している第2の位置との間を先端部が移動するように前記プローブ移動機構を制御して前記電気計測用プローブを移動させると共に、前記両位置間での前記電気計測用プローブと基準電極との間についての前記電気的パラメータを前記測定部に対して間欠的または連続的に測定させ、当該電気計測用プローブを移動させている状態において前記測定値が一定値またはほぼ一定値となったときの前記電気計測用プローブから前記基板面までの距離と、前記移動開始時点から当該電気計測用プローブが移動している状態において前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの時間との少なくとも一方に基づいて前記回路部品の実装良否を検査する。
請求項6記載の回路基板検査装置は、請求項5記載の回路基板検査装置において、前記制御部は、前記移動開始時点から前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの前記時間が予め規定されている基準時間よりも長いときおよび短いときに、異なる種類の回路部品の前記回路部品としての実装、および前記回路部品の異常状態での実装のいずれかを検査結果とする。
請求項7記載の回路基板検査装置は、請求項5または6記載の回路基板検査装置において、前記測定部は、前記電気計測用プローブと前記基準電極との間の静電容量を前記電気的パラメータとして測定する。
請求項8記載の回路基板検査装置は、請求項5から7のいずれかに記載の回路基板検査装置において、前記制御部は、前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点で、前記プローブ移動機構を制御して前記電気計測用プローブの前記基板面に向けての移動を停止させる。
請求項1記載の部品実装検査方法、および請求項5記載の回路基板検査装置では、電気計測用プローブの先端部を第1の位置から第2の位置に向けて移動させつつ電気的パラメータを間欠的または連続的に測定し、各測定値を比較して一定値(同等の値:一例として、その相違量が±10%の範囲内の値)となったときに、例えば一定値となるまでの経過時間に基づいて、回路部品の実装良否を判別する。したがって、回路部品の実装高を検出するための機械的な接点が存在しないため、塵埃の付着や接点の摩耗に起因する誤測定を回避することができる。この結果、検査開始に先立って実行する検査用プローブの良否についての事前検査を不要にできるため、回路部品の実装良否を迅速に検査することができる。また、光センサを採用した検査装置と比較して簡易な構成で回路部品Pの実装良否を検査できるため、回路基板検査装置の製造コストを十分に低減することができる。
また、請求項2記載の部品実装検査方法、および請求項6記載の回路基板検査装置では、電気計測用プローブの移動開始時点から測定値が同等の値となった時点までの経過時間が基準時間よりも長いときおよび短いときの少なくとも一方のときに、異なる種類の回路部品の実装、および端子浮き等の異常状態での回路部品の実装のいずれかであると判別する。これにより、回路部品の実装有無のみならず、実装されている状態での各種の異常を検出することができる。
さらに、請求項3記載の部品実装検査方法、および請求項7記載の回路基板検査装置では、本発明における電気的パラメータとして基準電極と検査用プローブとの間の静電容量を測定して比較する。これにより、回路部品の実装良否を正確かつ容易に検査することができる。
また、請求項4記載の部品実装検査方法、および請求項8記載の回路基板検査装置では、測定値が一定値となった時点で電気計測用プローブの移動を停止させる。したがって、電気計測用プローブの先端部が回路部品の上面や回路基板の基板面に接触した状態からさらに移動させられる事態を回避することができるため、電気計測用プローブの先端部が回路部品の上面や回路基板の基板面に過度に強く押し付けられる事態を回避することができる。この結果、回路部品、回路基板および電気計測用プローブの破損を回避することができる。
以下、本発明に係る部品実装検査方法および回路基板検査装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、本発明に係る回路基板検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す回路基板検査装置1は、検査対象の回路基板Bについて各種の電気的検査を実行する装置であって、電極部2、電気計測用プローブ3,3、プローブ移動機構5a,5b、測定部6、制御部7、RAM8およびROM9を備えて構成されている。電極部2は、本発明における基準電極の一例であって、その表面に絶縁フィルム2aが貼付されると共に測定部6に接続された平板状の電極2bを有して回路基板Bを載置可能に構成されている。電気計測用プローブ(以下、「プローブ」ともいう)3,3は、衝撃吸収一針型のコンタクトプローブであって、図2に示すように、プローブピン3aと、プローブピン3aを矢印Z1,Z2の向きでスライド(進退動)可能に保持する保持部3bとを備えてばね式のプローブを構成する。このプローブ3では、プローブピン3aが保持部3bに内蔵されたコイルスプリング(図示せず)によって矢印Z1の向きに付勢されている。したがって、プロービング時において、プローブ3を回路部品Pに押し当てたときには、コイルスプリングが弾性変形して、プローブピン3aが保持部3bに対して相対的に矢印Z2の向きにスライドし(プローブピン3aが押し縮み)、プローブ3を回路部品Pから離反させたときには、コイルスプリングの付勢力によってプローブピン3aが常態位置まで矢印Z1の向きで復帰する。また、図1に示すように、プローブ3は、プローブ固定具4を介して移動機構5a,5bにそれぞれ取り付けられると共に、プローブピン3aが測定部6に対して電気的に接続されている。プローブ移動機構(以下、「移動機構」ともいう)5a,5bは、制御部7の制御下でプローブ3,3を上下左右に移動させることにより、プローブピン3a,3aの先端部を、回路基板B上における検査対象の回路基板Bが実装されているべき実装位置(以下、「検査位置」ともいう)に移動させる。
測定部6は、制御部7の制御に従ってプローブ3および電極部2(電極2b)を介して回路基板Bに検査用の信号としての測定用交流信号を出力して、プローブ3および電極2b間の静電容量C(本発明における電気的パラメータの一例)を測定する。具体的には、測定部6は、出力した測定用交流信号の電圧についての位相と、その回路基板Bおよび電極2b間を流れる電流についての位相との間の位相差を測定すると共に、測定用交流信号の電圧、測定用交流信号の電流、および測定した位相差に基づいてプローブ3および電極2b間の静電容量Cを測定する。制御部7は、移動機構5a,5bおよび測定部6の動作を制御する。また、制御部7は、回路部品Pが実装されているべき位置で静電容量Cを測定させてその測定結果をRAM8に保存する静電容量保存処理と、RAM8に保存した静電容量Cに基づいて回路部品Pの実装良否を検査する検査処理とを実行する。RAM8は、プローブ3,3を接触させるべき回路部品Pの実装位置(回路部品の実装良否を検査すべき検査位置)や、良品の回路基板Bから吸収した検査用の基準値などを記憶すると共に、測定部6から出力された静電容量Cを記憶する。ROM9は、制御部7の動作プログラムなどを記憶する。
次に、回路基板検査装置1による回路部品Pの実装良否を検査する原理について、図面を参照して説明する。
例えば、移動機構5aを制御して図3に示す位置D0から回路基板Bの基板面に向けてプローブ3(プローブピン3a)を等速で移動させつつ、測定部6に対してプローブ3および電極2b間の静電容量Cを所定時間間隔で間欠的に測定させる。この場合、所定時間間隔でプローブ3の移動を停止させて、その都度、静電容量Cを測定させてもよい。この際に、回路基板Bに対する回路部品Pの実装有無、および誤って実装された実装高が相違する回路部品の種類など(実装良否)に応じて、測定部6によって測定される静電容量Cの変化状態が相違する。具体的には、回路基板Bに回路部品Pが実装されていないときには、図4に示すように、プローブピン3aの先端部から回路基板Bの基板面までの距離が短く(高さが低く)なるほど(移動機構5aによるプローブ3の移動開始からの経過時間が長くなるほど)、測定部6によって測定される静電容量Cが大きな値となる。したがって、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面よりも基板面から離間している位置Dnで測定される静電容量Cnに対して、プローブピン3aの先端部が回路基板Bの基板面と回路部品Pの上面との間の距離(高さ)Lp0(図3参照)よりも基板面に接近している位置D(n+1)で測定される静電容量C(n+1)、および位置D(n+2)で測定される静電容量C(n+2)が徐々に大きな値となる。
一方、回路基板Bに回路部品Pが実装されているときには、図5に示すように、プローブピン3aが回路部品Pの上面に接触するまでは、回路部品Pが実装されていないときと同様にしてプローブピン3aの先端部から回路基板Bの基板面までの距離が短くなるほど(移動開始からの経過時間が長くなるほど)、測定部6によって測定される静電容量Cが大きな値となる。これに対して、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面に接触した後では、保持部3bに対してプローブピン3aがスライドさせられて保持部3bのみが回路基板Bの基板面に向けて移動させられる。この際には、プローブピン3aの先端部と回路基板Bの基板面との距離(すなわち、プローブピン3aと電極2bとの距離)が一定に維持される。このため、プローブピン3aが回路部品Pに接触した後の位置D(n+1)で測定される静電容量C(n+1)と、位置D(n+2)で測定される静電容量C(n+2)と、位置D(n+3)で測定される静電容量C(n+3)とが同等の値(一定値またはほぼ一定値)となる。
この場合、回路部品Pが端子浮き状態で実装されたときや、回路部品Pとは種類が異なる回路部品が実装されたときなど(以下の説明では、端子浮き状態で実装された回路部品Pおよび種類が異なる回路部品を共に回路部品Pxともいう)には、図3に破線で示すように、回路基板Bの基板面から回路部品Pxの上面までの距離Lp1が良品の回路基板Bにおける対応する距離Lp0よりも長くなる(回路部品Pxの上面が基板面から一層離間した位置となる)。この状態では、図5に示すように、プローブピン3aが回路部品Pxの上面に接触するまでは、回路部品Pが正常に実装されているときと同様にしてプローブピン3aの先端部から回路基板Bの基板面までの距離が短くなるほど(保持部3bを基板面に接近させるほど)、測定部6によって測定される静電容量Cが大きな値となる。また、同図に破線で示すように、プローブピン3aの先端部が回路部品Pxの上面に接触した後では、プローブピン3aの先端部と回路基板Bの基板面との距離(すなわち、プローブピン3aと電極2bとの距離)が一定に維持される。この際に、回路部品Pが正常に実装されているときと比較して、プローブピン3aの先端部が基板面から離間した位置において回路部品Pxの上面に接触するため、プローブピン3aが回路部品Pxに接触した後に測定される静電容量Cnxは、回路部品Pが正常に実装されている状態で測定される静電容量C(n+1)よりも小さな値となる。また、プローブ3の移動開始から同等の値の測定値が測定されるまでの経過時間は、回路部品Pが正常に実装されているときよりも短時間となる。
上記したように、回路部品Pの実装有無、および回路部品Pの実装高の相違(異なる種類の回路部品Pxの実装や、端子浮き状態での実装等)などの実装良否によって位置D0から位置D(n+3)までに測定される静電容量C0〜C(n+3)の値が相違する。したがって、プローブ3を移動させている状態において測定値(静電容量)が同等の値となったときのプローブピン3aの先端部から回路基板Bの基板面までの距離、およびプローブ3の移動開始時点から測定値が同等の値となった時点までの時間の少なくとも一方と、対応する基準値(良品基板から吸収した基準データ:この場合、基準となる時間についての値)とを比較することにより、回路部品Pが正常に実装されているか否か(実装良否)を判別することができる。また、測定部6によって測定される静電容量が同等の値となるまでの経過時間に基づいて、プローブピン3aが回路部品P(または回路部品Px)の上面に接触した位置を特定することができるため、異なる種類(異なる実装高)の回路部品Pxの実装や、端子浮きなどの異常状態での実装を検出することができる。
次いで、回路基板検査装置1による回路基板Bの検査方法について、図面を参照して説明する。
まず、回路部品Pを実装した面(基板面)を表面側(上向き)にして回路基板Bを電極部2における絶縁フィルム2aの上に載置する。次に、制御部7が、実装良否検査処理(以下、検査処理ともいう)を開始する。この検査処理では、制御部7は、例えば移動機構5aを制御することにより、検査すべき回路部品Pが実装されているべき検査位置(測定ポイント)に対して垂直方向に離間した位置に規定されている位置D0(この例では、測定ポイントの上方)にプローブ3を移動させる。この場合、図3に示すように、位置D0は、本発明における第1の位置に相当し、回路部品Pの上面と回路基板Bの基板面との間の距離Lp0よりも基板面から十分に離間している位置に規定されている。なお、この位置D0については、回路基板Bを横向き状態で検査する際には、測定ポイントから横方向に離間した位置に規定される。
次に、制御部7は、RAM8に記憶されている検査用データに従って移動機構5aを制御することにより、プローブ3の保持部3bを位置D(n+3)に向けて下降させつつ、測定部6を制御してプローブピン3aの先端部と電極2bとの間の静電容量Cを所定時間間隔で間欠的に測定させる。この際に、制御部7は、測定部6による静電容量Cの測定の都度、移動機構5aを制御してプローブ3の移動を停止させる。この場合、位置D(n+3)は、本発明における第2の位置に相当し、上記の距離Lp0(回路部品Pの実装高)よりも基板面に接近する位置に規定されている。したがって、測定ポイントに回路部品Pが存在していない状態では、保持部3bを下降させることでプローブピン3aの先端部が位置D(n+3)まで到達する。このため、図4に示すように、プローブ3の移動を開始した時点t0から、プローブピン3aの先端部が位置D1,D2・・Dn,D(n+1),D(n+2),D(n+3)に到達した時点t1,t2・・tn,t(n+1),t(n+2),t(n+3)で測定される静電容量C1,C2・・Cn,C(n+1),C(n+2),C(n+3)が徐々に大きな値となる。この際に、制御部7は、測定部6から順次出力される測定結果をその都度比較して(測定結果の異同に基づいて)、最後に測定された測定結果(この例では、静電容量C(n+3))が、その直前に測定された測定結果(この例では、静電容量C(n+2))と相違するときに(いずれの測定値も同等の値とはならなかったときに)、この検査位置に回路部品Pが実装されていないと判別する。
一方、回路部品Pが正常に実装されている状態では、保持部3bを下降させた際に、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面に接触して保持部3bに対して図2の矢印Z2の向きにスライドさせられる(プローブ3が縮められる)。この結果、プローブピン3aにおける先端部の基板面側への到達が妨げられる。したがって、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面に接触した後に測定部6によって測定される静電容量Cが前述したように同等の値(等しい値、または、ほぼ等しい値)となる。具体的には、図5に示すように、プローブ3の移動開始の時点t0から、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面に接触する時点tnまでの間に測定されるC1,C2・・Cnは、回路部品Pが実装されていないときと同様にして、移動開始からの経過時間が長くなるほど徐々に大きな値となる。これに対して、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面に接触した後の時点t(n+1),t(n+2)で測定される静電容量C(n+1),C(n+2)は、同等の値(等しい値、または、ほぼ等しい値)となる。この際に、制御部7は、移動機構5aを制御してプローブ3の移動を停止させると共に、一例として、プローブ3の移動開始から時点t(n+1)までの経過時間と、検査用の基準値(基準時間)とを比較して、この検査位置に回路部品Pが正常に実装されていると判別する。
また、回路部品Pが正常に実装されていないとき(一例として、回路部品Pよりも実装高が高い回路部品Pxが実装されているとき)には、回路部品Pが正常に実装されているときよりも、保持部3bを下降させた際にプローブピン3aの先端部が回路部品Pxの上面に短時間で接触する。したがって、図5に破線で示すように、例えば、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面に接触した後の時点tn,t(n+1)で測定される静電容量Cn,C(n+1)が同等の値(等しい値、または、ほぼ等しい値)となる。この際に、制御部7は、移動機構5aを制御してプローブ3の移動を停止させると共に、一例として、プローブ3の移動開始から時点tnまでの経過時間と、検査用の基準値(基準時間)とを比較する。この際には、検査時における経過時間が基準値よりも短時間のため、制御部7は、回路部品Pとは相違する種類の回路部品が実装されているか、回路部品Pが端子浮き状態等の異常状態で実装されていると判別する。逆に、回路部品Pよりも実装高が低い回路部品Pxが実装されているときには、回路部品Pが正常に実装されているときよりも、保持部3bを下降させた際にプローブピン3aの先端部が回路部品Pxの上面に接触するまでに長時間を要する。したがって、この際に、制御部7は、回路部品Pとは相違する種類の回路部品が実装されているなどの異常状態で実装されていると判別する。
この後、制御部7は、回路基板B上のその他の測定ポイントについても移動機構5aを制御してプローブ3を移動させつつ測定部6に静電容量Cを測定させて測定値が同等の値となるか否かに基づいて、回路部品Pが実装されているか否かを判別し、測定値が同等の値となったときには、プローブ3の移動開始から同等となる値が測定されるまでの経過時間に基づく実装良否についての判別処理を実行する。また、すべての検査位置についての検査処理が完了した際には、制御部7は、それらの検査結果に基づいて回路基板Bの良否を判別する。これにより、検査処理が完了する。
このように、この回路基板検査装置1、および回路基板検査装置1による検査方法によれば、プローブピン3aの先端部を位置D0から位置D(n+3)に向けて移動させつつ静電容量Cを間欠的に測定し、各静電容量を比較して静電容量が同等の値となったときに、同等の値となるまでの経過時間に基づいて、回路部品Pの実装良否を判別することにより、回路部品Pの実装高を検出するための機械的な接点が存在しないため、塵埃の付着や接点の摩耗に起因する誤測定を回避することができる。したがって、検査開始に先立って実行する検査用プローブの良否についての事前検査を不要にできるため、回路部品の実装良否を迅速に検査することができる。また、光センサを採用した検査装置と比較して簡易な構成で回路部品Pの実装良否を検査できるため、回路基板検査装置1の製造コストを十分に低減することができる。この場合、本発明における電気的パラメータとして基準電極と検査用プローブとの間の静電容量を測定して比較することにより、回路部品Pの実装良否を正確かつ容易に検査することができる。
また、この回路基板検査装置1、および回路基板検査装置1による検査方法によれば、プローブ3の移動開始時点から測定値が同等の値となった時点までの経過時間が基準値(基準時間)よりも長いときおよび短いときの少なくとも一方のときに、異なる種類の回路部品Pxの実装、および端子浮き等の異常状態での回路部品Pの実装のいずれかを検査結果とすることにより、回路部品Pの実装有無のみならず、実装されている状態での各種の異常を検出することができる。さらに、この回路基板検査装置1、および回路基板検査装置1による検査方法によれば、測定部6によって測定される静電容量が同等の値となった時点で移動機構5aを制御してプローブ3の移動を停止させることにより、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面や回路基板Bの基板面に接触した状態からのプローブ3のさらなる下降を回避することができるため、プローブピン3aの先端部が回路部品Pの上面や回路基板Bの基板面に過度に強く押し付けられる事態を回避することができる結果、回路部品P、回路基板Bおよびプローブピン3aの破損を回避することができる。
なお、本発明は、上記の方法および上記の構成に限定されない。例えば、本発明における電気的パラメータとして静電容量Cを測定して比較する例について説明したが、プローブ3および電極部2(電極2b)を介して回路基板Bに検査用の信号としての測定用信号を出力して、出力した測定用信号の電圧値、出力した測定用信号の電流値、および、その電圧値と電流値とに基づいて算出したインピーダンスなどを電気的パラメータとして測定して比較する方法を採用することができる。また、測定用交流信号を出力して、出力した測定用交流信号の電圧についての位相とその回路基板Bおよび電極2b間を流れる電流についての位相との間の位相差を電気的パラメータとして測定して比較する方法を採用することもできる。また、上記の回路基板検査装置1は本発明における基準電極としての電極部2を備えているが、本発明はこれに限定されず、電極部2に代えて回路基板Bのグランドパターンや電源パターン等を基準電極として使用して静電容量を測定することもできる。この場合、一例として、移動機構5a,5bを制御して、一方のプローブ3をグランドパターン等に接触させた状態において、他方のプローブ3を位置D(n+1),D(n+2)に順に位置させて静電容量C(n+1),C(n+2)を測定する。
さらに、上記の回路基板検査装置1では、位置D0(時点t0)、位置D1(時点t1)・・で静電容量Cを間欠的に測定しているが、本発明はこれに限定されず、位置D0(時点t0)から位置D(n+3)(時点t(n+3))の間において静電容量Cを連続的に測定して、その測定値を利用して回路部品Pの実装良否を検査することができる。また、上記の回路基板検査装置1では、プローブ3の移動開始時点(時点t0)から測定値が同等の値となるまでの経過時間に基づいて回路部品Pの実装良否を検査しているが、本発明はこれに限定されず、測定値が同等の値となったときのプローブ3および基板面間の距離(高さ)に基づいて回路部品Pの実装良否を検査することもできる。
また、上記の回路基板検査装置1では、その先端が尖った針状のプローブピン3aを有するプローブ3を使用しているが、本発明における電気計測用プローブの構成はこれに限定されない。例えば、図6に示す電気計測用プローブ13のように、その先端部が平らな柱状のプローブピン13aを保持部3bに対して矢印Z1,Z2の向きにスライド可能に配設して構成することができる。この構成によれば、電気計測用プローブ13において基準電極と対向する部位の面積が広いため、静電容量等の電気的パラメータを安定して正確に測定することができる。この場合、プローブ3,13においてプローブピン3a,13aを付勢する手段は、コイルスプリングに限定されず、例えば、保持部3bに対するプローブピン3a,13aのスライドに伴って密閉空間内の気体が圧縮される、いわゆるエアクッション構造を採用することもできる。また、図7に示す電気計測用プローブ23のように、全体として板ばね状に形成して、先端部23aおよび基端部23b間が弾性変形することによって先端部23aが基端部23bに対して相対的に上動する構成を採用することができる。この構成によれば、機械的な可動部分が存在しないため、可動部分の摩耗等に起因する誤測定を招くことなく、静電容量等の電気的パラメータを一層正確に測定することができる。
本発明の実施の形態に係る回路基板検査装置1の構成を示すブロック図である。 プローブ3の構成を示す側面図である。 回路基板B(回路部品P,Px)とプローブピン3aとの位置関係を示す側面図である。 回路部品Pが実装されていない状態におけるプローブ3の移動時間と静電容量Cとの関係を示す特性図である。 回路部品P(または回路部品Px)が実装されている状態におけるプローブ3の移動時間と静電容量Cとの関係を示す特性図である。 プローブ13の構成を示す側面図である。 プローブ23の構成を示す側面図である。
符号の説明
1 回路基板検査装置
2 電極部
2a 絶縁フィルム
2b 電極
3,13,23 電気計測用プローブ
3a,13a プローブピン
3b 保持部
4 プローブ固定具
5a,5b プローブ移動機構
6 測定部
7 制御部
23a 先端部
23b 基端部
B 回路基板
C 静電容量
D0,D1・・D(n+3) 位置
Lp0,Lp1 距離
P 回路部品

Claims (8)

  1. 回路基板上における検査対象の回路部品が実装されているべき実装位置において当該回路基板の基板面から当該回路部品の上面までの距離よりも当該基板面から離間している第1の位置と当該実装位置において当該距離よりも当該基板面に接近している第2の位置との間を先端部が移動するようにばね式の電気計測用プローブを移動させ、前記両位置間での前記電気計測用プローブと基準電極との間についての電気的パラメータを間欠的または連続的に測定し、当該電気計測用プローブを移動させている状態において前記測定した測定値が一定値またはほぼ一定値となったときの前記電気計測用プローブから前記基板面までの距離と、前記電気計測用プローブの移動開始時点から当該電気計測用プローブが移動している状態において前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの時間との少なくとも一方に基づいて前記回路部品の実装良否を検査する部品実装検査方法。
  2. 前記移動開始時点から前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの前記時間が予め規定されている基準時間よりも長いときおよび短いときの少なくとも一方のときに、異なる種類の回路部品の前記回路部品としての実装、および前記回路部品の異常状態での実装のいずれかを検査結果とする請求項1記載の部品実装検査方法。
  3. 前記電気計測用プローブと前記基準電極との間の静電容量を前記電気的パラメータとして測定する請求項1または2記載の部品実装検査方法。
  4. 前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点で前記電気計測用プローブの前記基板面に向けての移動を停止させる請求項1から3のいずれかに記載の部品実装検査方法。
  5. ばね式の電気計測用プローブと、当該電気計測用プローブを移動させるプローブ移動機構と、前記電気計測用プローブおよび基準電極の間についての電気的パラメータを測定する測定部と、前記プローブ移動機構を制御すると共に前記電気的パラメータの測定値に基づいて前記回路部品の実装良否を検査する制御部とを備え、
    前記制御部は、回路基板上における検査対象の前記回路部品が実装されているべき実装位置において当該回路基板の基板面から当該回路部品の上面までの距離よりも当該基板面から離間している第1の位置と当該実装位置において当該距離よりも当該基板面に接近している第2の位置との間を先端部が移動するように前記プローブ移動機構を制御して前記電気計測用プローブを移動させると共に、前記両位置間での前記電気計測用プローブと基準電極との間についての前記電気的パラメータを前記測定部に対して間欠的または連続的に測定させ、当該電気計測用プローブを移動させている状態において前記測定値が一定値またはほぼ一定値となったときの前記電気計測用プローブから前記基板面までの距離と、前記移動開始時点から当該電気計測用プローブが移動している状態において前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの時間との少なくとも一方に基づいて前記回路部品の実装良否を検査する回路基板検査装置。
  6. 前記制御部は、前記移動開始時点から前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点までの前記時間が予め規定されている基準時間よりも長いときおよび短いときに、異なる種類の回路部品の前記回路部品としての実装、および前記回路部品の異常状態での実装のいずれかを検査結果とする請求項5記載の回路基板検査装置。
  7. 前記測定部は、前記電気計測用プローブと前記基準電極との間の静電容量を前記電気的パラメータとして測定する請求項5または6記載の回路基板検査装置。
  8. 前記制御部は、前記測定値が一定値またはほぼ一定値となった時点で、前記プローブ移動機構を制御して前記電気計測用プローブの前記基板面に向けての移動を停止させる請求項5から7のいずれかに記載の回路基板検査装置。
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