JP4307244B2 - 改良されたアクセシビリティを有する触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒の製造方法に関し、該方法は、触媒成分又はその前駆体を水性媒体中において混合し、触媒前駆体混合物を形成すること、該混合物を噴霧乾燥装置へ供給すること、及び該混合物を噴霧乾燥して粒子を形成することを含む。本発明はさらにこの方法により得られ得る触媒に関する。
不均一触媒の設計及び製造における通常の挑戦は、触媒粒子に十分な物理的強度、即ち耐磨耗性を与えることにおいて効率及び/又は活性部位のアクセシビリティと不動化したマトリックスの効率との良好な妥協点を見つけることである。
耐磨耗性触媒の製造は複数の先行技術文献において開示されている。
この英国特許第1315553号は、ゼオライト、粘土、及びアルミナバインダを含む耐磨耗性の、炭化水素転化触媒の製造を開示する。該触媒は、まずゼオライトと粘土との乾燥混合、続いてアルミナゾルの添加により製造される。得られた混合物は次に可塑性コンシステンシーまで混合され、それは約20分の混合時間を要する。成形された粒子を形成するために、該可塑性コンシステンシ−は、錠剤化されるか又は押出しされ、又は水と混合されて次に噴霧乾燥される。
英国特許明細書において開示されるアルミニウムゾルは、水酸化アルミニウム及び三塩化アルミニウムを4.5:7.0のモル比において含む。このタイプのアルミナゾルは、本明細書においてはアルミニウムクロロヒドロールと呼ばれる。
米国特許第4,458,023号は、同様の製造方法に関し、それは続いて噴霧乾燥された粒子の焼成が行われる。焼成の間に,アルミニウムクロロヒドロール成分はアルミナバインダーに転化される。
国際特許出願第96/09890号は、耐磨耗性の、流動接触分解触媒の製造方法を開示する。この方法は、硫酸アルミニウム/シリカゾル、粘土スラリー、ゼオライトスラリー、及びアルミナスラリーの混合、続く噴霧乾燥を含む。この方法において、噴霧乾燥の前のスラリー成分のゲル化又は重合化を防ぐために、酸又はアルカリ性安定界面活性剤が該シリカゾル、粘土スラリー、ゼオライトスラリー、アルミナスラリー及び/又は噴霧乾燥スラリーに添加される。
中国特許第1247885号もまた、噴霧乾燥された分解触媒の製造に関する。この製造は、アルミニウムのゾル、分子篩スラリー、粘土、及び無機酸を使用する。この方法において、アルミニウムのゾルは粘土及び無機酸の前に添加され、分子篩スラリーは無機酸の後に添加される。この製造方法によって、ゾル粒子間の相互作用を変化させ、その結果スラリーの粘度を大きく下げ、このことが、相対的に高い固体:液体の比で作業する可能性を開くことが可能であることが開示されている。
既に上で述べられたように、不均一触媒は好ましくは良好な磨耗耐性及び高いアクセシビリティを有する。一般に、想像するように、活性相のアクセシビリティはバインダー物質の量が増加するにつれて下がる。したがって良好な耐磨耗性及び高いアクセシビリティに対する要望は通常は妥協を必要とする。
良好な耐磨耗性ばかりでなく、転化される化合物への活性層の高いアクセシビリティをも有する触媒に対する継続中の需要がある。そのような触媒の製造方法が本明細書において示される。
本方法は、水性媒体において触媒成分又はその前駆体を混合し、触媒前駆体混合物を形成すること、該混合物を噴霧乾燥装置に供給すること、及び該混合物を噴霧乾燥して粒子を形成することを含み、噴霧乾燥工程の前300秒未満内に、該混合物が予備反応器において脱安定化され、予備反応器に入る前よりも、予備反応器を出た後に(そして成形前に)より高い粘度を有する混合物を形成することを特徴とする。
本発明は、本方法により得られ得る触媒にもまた関する。
より特定的には、本方法は、1以上の容器(「収納容器」)から所謂予備反応器を経て噴霧乾燥装置へ懸濁された触媒成分又はその前駆体を供給する工程を含む。この予備反応器において、触媒前駆体混合物は脱安定化される。
この明細書において、脱安定化された混合物とは、予備反応器に入る前より、予備反応器を出た後に(そして成形前に)より高い粘度を有する混合物と定義される。粘度の増加は予備反応器おける触媒バインダー物質の誘発された重合化又はゲル化のためである。粘度は、典型的には予備反応器に入る前の0.1s-1の剪断速度における約1〜100Pa・sのレベルから予備反応器を出た後の0.1s-1の剪断速度における約50〜1000Pa・sのレベルまで増加する。どの場合においても、少なくとも10Pa・s、より好ましくは50Pa・s、最も好ましくは少なくとも100Pa・s(0.1s-1の剪断速度において測定された)の粘度の増加を誘起することが好ましい。好ましくは、粘度は、予備反応器に入る前の、0.1s-1の剪断速度における約1〜50Pa・sのレベルから予備反応器を出た後の、0.1s-1の剪断速度における約50〜500Pa・sのレベルへ増加する。粘度は、標準のレオメータ、例えばプレート・プレート型レオメータ、コーン・プレート型レオメータ、又はボブ・カップ型レオメータで測定されることができる。
所望されるならば、予備反応器の中における粘度は高剪断混合又は超音波処理を用いて取り扱い可能なレベルまで制御され得る。予備反応器はスラリーミル又は粉砕機の形をとることも可能である。
予備反応器は、好ましくは制御された滞留時間を有する。滞留時間は、予備反応器の正確な形状に依存して変化し得るが、典型的には1〜180秒、好ましくは30〜90秒の範囲である。
触媒前駆体混合物の脱安定化は噴霧乾燥工程の直前に予備反応器において行われる。必要とされる時間、即ち脱安定化の始まりと噴霧乾燥との間に経過する時間は、予備反応器の正確な形状及びその後に脱安定化された混合物が噴霧乾燥装置に到着するまでに必要とされる時間に依存する。30分までの時間が可能であるが、経済的な理由のためにより好ましくはないかもしれない。好ましいのは、300秒より短い時間である。より好ましい時間は、180秒より短い時間である。
触媒前駆体混合物は,例えば温度上昇、pH上昇、又はpH下降、及びゲル誘発剤、例えば塩、燐酸塩、硫酸塩、(部分的に)ゲル化されたシリカ(C. J. Brinker, G. W. Scherer, Sol Gel Science, Academic Press. 1990年を参照)の添加により脱安定化され得る。pHは、pH調節剤(酸及び/又は塩基、例えばHNO3, HCI, NaOH, NH4OHなど)により変化されることができる。
触媒成分又はそれらの前駆体は1以上の収納容器から予備反応器に供給されることができる。適する触媒成分は、ゼオライト(例えば W. M. Meier及びD. H.Olson著、Atlas Of Zeolite Structure Types 第3版、1992年, Butterworth-Heinemannに記載された例えばY−ゼオライト、例えばH−Yゼオライト及びUSY−ゼオライト、ゼオライトベータ、MCM−22及びMCM−36,ZSM−5)、粘土(例えばカオリン、処理カオリン、ベントナイト、(ドープされた)アニオン粘土、例えばハイドロタルサイト及びドープされたハイドロタルサイト、スメクタイト)、アルミナ(Al203、アルミニウム三水和物、及びその熱処理された形、ベーマイト)及びバインダー物質(例えばシリカゾル、水ガラス、解膠アルミナ、アルミニウムクロロヒドロール又はそれらの混合物)を含む。本発明の1つの実施態様において、バインダー物質の前駆体の全部又は一部はpH制御剤として予備反応器に供給されることができる。特に燐酸塩活性化ゼオライト、(ドープされた)アニオン性粘土、例えばハイドロタルサイト、及びドープされたハイドロタルサイトが適するpH制御剤である。
アルミニウムクロロヒドロールは典型的にはAl2+m(OH)3mCl6の式を有し、ここでmは約4〜12の値を有する。アルミニウムクロロヒドロール溶液はしばしば業界で重合性カチオン性ヒドロキシアルミニウム錯体又はアルミニウムクロロヒドロキサイドと呼ばれ、それは一般式Al2 (OH) 5CI・ 2H2Oを有するモノマー性前駆体から形成されるポリマーである。アルミニウムクロロヒドロール溶液の製造は典型的には米国特許第2,196,016号,カナダ特許第967,136号,及び米国特許第4,176,090号に開示される。典型的には、アルミニウムクロロヒドロールの製造は、金属アルミニウムと塩酸を上に示された式を有する組成を製造するような量において反応させることを含む。さらに、アルミニウムクロロヒドロールは、種々のアルミニウム源、例えばアルミナ(Al23)、ベーマイト、又はアルミニウム三水和物又はその熱的に処理された形、(処理された)粘土、及び/又はアルミナ及び/又は粘土と金属アルミニウムとの混合物を用いて得られ得る。好ましくは、本発明の実施において使用される水性アルミニウムクロロヒドロール溶液は、約15〜50重量%のAl23、好ましくは20〜40重量%の固形分含有量を有する。また、アルミニウムクロロヒドロール−含有組成物は予備反応器にバインダー物質として供給され得る。そのような組成物は、適切にアルミニウム三水和物、その熱的に処理された形、又はベーマイトとHClとの反応により適切に製造され得る。同様に、硝酸に基づくアルミナゾルが、上述されたアルミナ源と硝酸との反応により製造され得る。
上に述べたように、触媒前駆体混合物は、温度変化又はpH変化のいずれかにより脱安定化され得る。所望されるpH又は温度は、使用されるバインダー及び触媒組成物の残りのゲル化性又は重合化性に依存するだろう。このpHは一般的に約1〜6.5である。所望される温度は、一般的に約15〜35℃であり、典型的には常温である。アルミニウムクロロヒドロール含有混合物は典型的には、温度を約40〜99℃まで上昇させることによって又は混合物の初期のpHを約4.0から約3.5より下まで、又は約4.0から約4.5より上まで、好ましくは4.5〜6.0の間で変化させることにより脱安定化されるだろう。シリカゾル、水ガラス、及び解膠されたアルミナ含有化合物は典型的には温度を約40℃〜99℃に上昇することにより脱安定化される。水ガラス及び/又はシリカゾル含有混合物もまた、初期pH、それは1〜5の範囲であり、典型的には2.5〜3.5である、を3〜10、典型的には4〜6の脱安定化pHまで上昇させることにより脱安定化されることもできる。上述されたように、シリカゾルはナトリウムフリーであってもなくてもよい。解膠されたアルミナ含有混合物は3〜5の範囲である初期pHを脱安定化pHである4まで上昇させることにより脱安定化されることもまたできる。混合物の初期のpH及び脱安定化pHは混合物の合計組成物に依存し、従って脱安定化の最適pHは混合物ごとに決定されるべきである。
脱安定化の最適pHは、種々の成分からなる触媒組成物を製造すること、pHを変えるために酸、例えばHCl又はHNO3を使用すること、そして一定の時間後、pHの関数として粘度を確立することによって容易に決定され得る。pHを変化させるために塩基例えばNH4OHを用いて同じことがなされ得る。脱安定化の前に、もし存在するとすれば解膠可能な化合物は十分解膠されていることを確認することが重要である。これは、不安定後に、アクセシビリティと触媒強度との最良の組合せをもたらすだろう。
温度は熱伝対により測定される。混合物のpHは通常のpHプローブにより測定される。
予備反応器の温度は典型的には、外部加熱手段により制御されるが、pHはpH調節剤を添加することにより制御される。この剤は、触媒前駆体混合物のpHに依存して酸性であるか又は塩基性であることができる。このように、脱安定化は酸性又は塩基性の流れを添加することにより促進され得る。
適切なpH調節剤は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、硝酸、アルミン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル、ナトリウムフリーシリカ、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸ジアンモニウムのスラリー又は溶液を含む。上述のpH調節剤は、粘度減少効果もまた有する。該pH調節剤の使用は、35〜55重量%の固形分含有量を有するハイソリッドスラリーで作業することもまた可能にする。さらに、最初にpH調節剤を使用して粘度を減少させ、そして次に他のpH調節剤を使用して脱安定化行うことが可能である。どの剤が使用されるかは、得られる触媒の用途に依存する。例えば、アルミン酸ナトリウムを使用するとき、触媒に存在するアルミニウムイオンとシリカとの相互作用は追加の酸性サイトを導入するのに対し、ケイ酸ナトリウムの添加は、シリカゾル形成を促進し、これは余分の結合性を与えることができる。シリカゾル自体は、例えばアンモニウムで安定化された形においては、非常に適切なpH調節剤である。上で述べられたように、リン酸塩で活性化されたゼオライト及びアニオン性粘土、例えばハイドロタルサイト、ドープされたハイドロタルサイトはpH調節剤として適切に使用され得る。
触媒前駆体混合物中の成分を酸、例えば硝酸、蟻酸、などで解膠し、続いて該混合物を塩基、例えば水酸化アンモニウムで不安化することもまた可能である。この解膠は、予備反応器又は予備反応器の前に設置された容器において行われることができる。そのような容器は収納容器又は予備反応器の形を有することができる。
さらに、塩基、例えば水酸化アンモニウムを前駆体混合物に添加し、その後酸、例えば硝酸が該混合物を脱安定化するために使用されることもまた可能である。
酸化マグネシウム又はMgO含有成分例えばハイドロタルサイトは追加的にバナジウム不動態化能力及びSOx削減能力を触媒に導入することができるが、燐酸塩(例えばリン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、及び/又はリン酸)はさらに、触媒中のゼオライトの非骨格のアルミナ又は他のアモルファスのアルミナ種の不動態化を促進する。
燐酸塩もまた、例えば燐酸塩で活性化されたZSM−5の場合のように、ゼオライトを活性化及び/又は安定化するために添加されることができる。また、これらのリン酸塩で活性化されたゼオライトの予備処理された流れは、予備反応器に添加されることができ、同時にpH制御剤として機能させ、その結果、もしpHが調節されていなければ起きであろう活性の喪失を回避することができる。
添加剤が予備反応器における触媒前駆体混合物に又はpH調節剤に添加されることができる。適切な添加剤は、希土類金属(例えばCe,La)、Si,P,B、第VI族、第VIII族、アルカリ土類(例えばCa,Mg,又はBa)及び/又は遷移金属(例えばW,V,Mn,Fe,Ti,Zr,Cu,Ni,Zn,Mo,Sn)の化合物を含む。これらの化合物の適切な源は酸化物、水酸化物、酢酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、及びハロゲン化物である。好ましい添加剤は、希土類金属、マグネシウム化合物、アルミナ、Na3PO4、及び(NH43PO4である。
脱安定化後、触媒は噴霧乾燥される。噴霧乾燥機の導入口の温度は300〜600℃であり、排出口の温度は105〜200℃である。
本発明の方法は、種々の触媒及び触媒添加剤、例えば流動接触分解触媒、流動接触分解触媒添加剤、例えばSOx削減、NOx削減、CO燃焼添加剤、ZSM−5添加剤、ガソリン中の硫黄削減剤、水素化触媒、アルキル化触媒、改質触媒、ガス液化触媒、石炭転化触媒、水素製造触媒、及び自動車触媒の製造に使用され得る。
本発明は以下の実施例により説明される。
以下の実施例に従って製造された触媒のアクセシビリティは、クェートの減圧軽油(KVGO)の15g/Lトルエン溶液50gを含む攪拌された容器に1gの触媒を添加することにより測定された。該溶液は容器と分光光度計の間を循環させ、その過程においてKVGO濃度が連続的に測定された。
触媒のKVGOへのアクセシビリティはAkzoアクセシビリティ指数(AAI)により定量化された。KVGO溶液の相対濃度が時間の平方根に対してプロットされた。AAIはこのグラフの初期勾配として定義される。
式1
Figure 0004307244
この式において、tは時間(分)、C0及びCtは、それぞれ実験の開始及び時間tにおける溶媒中の高分子量化合物の濃度を表す。
触媒の耐磨耗性は、標準の磨耗試験及び所謂高温磨耗試験の両方により測定された。これらの試験の両方はForsythe及びHertwig、(Ind. Eng. Chem., 第41巻、1977年、 1200〜1206頁)により開発された通常のエアジェット装置に基づく。
高温磨耗試験は、FCC再生器における微粉生成を測定するために現実的であるために、高温(700℃)において行われる。
この試験において、触媒床は3つのノズルを有する磨耗プレートの上にある。磨耗プレートは放射熱により700℃において加熱された磨耗管の中に設置される。空気がノズルに強制的に送られ、得られるジェットが触媒粒子及び生成された微粉の上方への輸送をもたらす。磨耗管の頂部に分離チェンバーがあり、そこで流れは消散し、約16ミクロンより大きいほとんどの粒子は磨耗管に落下して戻る。より小さい粒子が収集袋に集められる。
高温磨耗指数(HAT)は24時間後に収集袋に集められた微粉の、50gの架空取り込みに基づく重量百分率として報告される。従って磨耗耐性のより高い触媒はより低いHAT値をもたらすだろう。
標準の磨耗試験は、標準試験においては常温である温度以外、高温磨耗試験と似ている。600℃における試料の焼結後、試験は、まず5時間、初期(0〜5時間)磨耗を測定するため、次に本来の(5〜20時間)磨耗を得るためにもう15時間行われる。磨耗指数(AI)は25時間後に外挿された%磨耗である。
高温磨耗試験は、標準の磨耗試験よりよい工業FCC磨耗のシミュレーションの尺度であり、その結果市販の触媒の損失及び排出のよりよい指標であることが我々の経験である。
比較例1
乾燥ベースで30重量%のRE−USY,10重量%のベーマイトアルミナ(Condea Pural 200(商標))、10重量%のアルミニウムクロロヒドロール、及び50重量%のカオリンを含む合計固形含有量が25重量%である、触媒前駆体混合物が水、続いてゼオライト、ベーマイト、アルミニウムクロロヒドロール、及びカオリンを収納容器に添加することにより製造された。
スラリーは、25秒の滞留時間を有する1リットルの体積の予備反応器に供給された。スラリーは予備反応器においてEKATO−INTERMIG(商標)インペラーを1,800rpmにおいて用いる高剪断混合により均一化された。噴霧乾燥は、導入口温度400℃、排出口温度120℃で行われた。触媒前駆体混合物のpHは4.3であった。温度は25℃であった。粘度は0.1s-1の剪断速度において5Pa・sであった。粘度はコーン・プレート形状を有するPhysica(商標)UDSのレオメーターを用いて測定された。この比較例において、混合物は噴霧乾燥前に脱安定化されなかった。
この比較触媒Aのアクゾアクセシビリティ指数(AAI)は8.5であった。この触媒の磨耗指数(AI)は10.2であった。高温磨耗指数(HAT)は8.5であった。
実施例2
触媒B〜Fが比較例1の比較触媒Aと同じ方法で製造され、相違点は噴霧乾燥の1分前に混合物は10重量%HCl溶液(触媒B及びC)、10重量%NaOH溶液(触媒D及びE)又は10重量%NH4OH溶液(触媒F)の予備反応器への連続添加(滞留時間:25秒)により脱安定化されたことである。脱安定化後、粘度は0.1s-1の剪断速度において75Pa・sまで増加した。
この脱安定化後の混合物のpHは、得られるアクゾアクセシビリティ指数(AAI)及び高温磨耗指数(HAT)とともに、表1に示される。
Figure 0004307244
これらの結果は、本発明の方法で、脱安定化無しの同様の条件下で得られた触媒に比較して、改良されたアクセシビリティを有する触媒が得られたことを示す。さらに、本発明は、従来の方法により製造された触媒に比較してより高いアクセシビリティ及びよりよい耐磨耗性の両方を有する触媒を製造する方法を提供する。
比較例3
乾燥ベースで35重量%のRE−USY,15重量%のベーマイトアルミナ(CP1.5(商標)、Alcoa製)、15重量%のアルミニウムクロロヒドロール、5重量%のナトリウムフリーシリカゾル、及び30重量%のカオリンを含む、30%の合計固形含有量を有する触媒前駆体混合物が収納容器に、水、続いて、ゼオライト、ベーマイト、アルミニウムクロロヒドロール、シリカゾル、及びカオリンを添加することにより製造された。
スラリーは25秒の滞留時間を有する体積1リットルの予備反応器に供給された。スラリーは予備反応器においてEKATO−INTERMIG(商標)インペラーを1,800rpmにおいて用いる高剪断混合により均一化された。噴霧乾燥は、導入口温度400℃、排出口温度120℃で行われた。触媒前駆体のpHは3.6であった。温度は25℃であった。粘度は0.1s-1の剪断速度において5Pa・sであった。
粘度はコーン・プレート形状を有するPhysica(商標)UDSレオメーターを用いて測定された。この比較例において、混合物は噴霧乾燥前に脱安定化されなかった。
触媒は、硬化し、塩化物を除去するために焼成された。
この比較触媒Gのアクゾアクセシビリティ指数(AAI)は5.8であった。この触媒の磨耗指数(AI)は4.1であった。高温磨耗指数(HAT)は8.2であった。
実施例4
触媒H〜Lが比較例3の比較触媒Gと同じ方法で製造され、相違点は噴霧乾燥の1分前に混合物は、10重量%NaOH溶液又は10重量%NH4OH溶液の予備反応器への連続添加(滞留時間:25秒)により脱安定化されたことである。脱安定化後、粘度は0.1s-1の剪断速度において75Pa・sまで増加した。
この脱安定化後の混合物のpHは、得られるアクゾアクセシビリティ指数(AAI)及び高温磨耗指数(HAT)とともに、表1に示される。
Figure 0004307244

これらの結果は、本発明の方法で、良好な高温耐磨耗性を維持する一方で、脱安定化無しの同様の条件下で得られた触媒に比較して、改良されたアクセシビリティを有する触媒が得られたことを再び示す。さらに、本発明は、非常に高いアクセシビリティを有し、なおかなりよい強度を有する触媒を製造する方法を提供する。
比較例5
乾燥ベースで30重量%のRE−USY,6重量%のアルミニウムクロロヒドロール、
及び64重量%のカオリンを含む、25%の合計固形含有量を有する触媒前駆体混合物が収納容器に、水、続いて、ゼオライト、アルミニウムクロロヒドロール、及びカオリンを添加することにより製造された。
スラリーは25秒の滞留時間を有する体積1リットルの予備反応器に供給された。スラリーは予備反応器においてEKATO−INTERMIG(商標)インペラーを1,800rpmにおいて用いる高剪断混合により均一化された。噴霧乾燥は、導入口温度400℃、排出口温度120℃で行われた。触媒前駆体のpHは4.0であった。
この比較触媒Mのアクゾアクセシビリティ指数(AAI)は5.0であった。
図1は、この触媒の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、触媒粒子におけるアルミナの分布を白で示す。この図から、比較触媒Mの粒子は、粒子の周りにアルミナの皮膜を有することが明らかである。理論に縛られずに言えば、該アルミナ皮膜は拡散の障壁になり、触媒孔の相対的に低いアクセシビリティにつながる。
実施例6
触媒Nが、比較例5の比較触媒Mと同じ方法で製造され、相違点は噴霧乾燥の1分前に混合物は、10重量%NH4OH溶液の予備反応器への連続添加(滞留時間:25秒)により脱安定化されたことである。得られた混合物のpHは5.0であった。
この触媒Nのアクゾアクセシビリティ指数(AAI)は16.0であった。
図2は、この触媒の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、触媒粒子におけるアルミナの分布を白で示す。この図から、比較触媒Nの粒子は、比較触媒Mの粒子と異なり(図1参照)、粒子の周りにアルミナの皮膜を有していないことが明らかである。これは触媒Nのより高いアクセシビリティを説明し得る。
図1は、比較例5に従って製造された触媒の走査電子顕微鏡写真を示す。この触媒は、噴霧乾燥直前の混合物の脱安定化なしに製造された。 図2は、実施例6に従って製造された触媒の走査電子顕微鏡写真を示す。この触媒は、本発明の方法に従って、即ち噴霧乾燥直前の混合物の脱安定化により製造された。

Claims (18)

  1. 触媒成分又はその前駆体を水性媒体中で混合して、触媒前駆体混合物を形成すること、該混合物を噴霧乾燥装置に供給すること、及び該混合物を噴霧乾燥して粒子を形成することを含む触媒の製造方法であって、噴霧乾燥工程の前300秒未満内に、該混合物が予備反応器において脱安定化され、予備反応器に入る前よりも、予備反応器を出た後に、より高い粘度を有する混合物を形成することを特徴とする製造方法。
  2. 触媒がFCC触媒である、請求項に記載の方法。
  3. 触媒前駆体混合物が、アルミニウムクロロヒドロール又はアルミニウムクロロヒドロール含有組成物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  4. アルミニウムクロロヒドロール含有組成物が、アルミニウム三水和物(ベーマイト)又はその熱的に処理された形をHClと(部分的に)反応させることにより製造されたものである、請求項に記載の方法。
  5. 触媒前駆体混合物が、硝酸をベースとするアルミナゾルを含む、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 硝酸をベースとするアルミナゾルが、アルミニウム三水和物(ベーマイト)又はその熱的に処理された形をHNO3と(部分的に)反応させることにより製造されたものである、請求項5に記載の方法。
  7. 酸又は塩基が脱安定化を促進するために添加される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 脱安定化が、pHを3.5より下に下降させること、又はpHを4.5より上に上昇させることにより行われる、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 触媒前駆体混合物が、水ガラス及び/又はナトリウム含有の又は非含有のシリカゾルを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 脱安定化が、1〜5の範囲にある初期pHを3〜10の範囲の脱安定化pHに上昇させることにより行われる、請求項に記載の方法。
  11. 脱安定化が、pHを2.5〜3.5から4〜6に上昇させることにより行われる、請求項10に記載の方法。
  12. 触媒前駆体混合物が、解膠されたアルミナを含む、請求項1〜及びのいずれか1項に記載の方法。
  13. 脱安定化が、3〜5の範囲にある初期pHを4以上の脱安定化pHに上昇させることにより行われる、請求項12に記載の方法。
  14. 脱安定化が、温度を15〜35℃から40〜99℃に変化させることにより行われる、請求項1〜、又は12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 脱安定化におけるpHが、pH調節剤の添加により変化される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  16. pH調節剤が、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、硝酸、アルミン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、及びリン酸ジアンモニウムの少なくとも1である、請求項15に記載の方法。
  17. pH調節剤が、リン酸塩処理されたゼオライト、リン酸塩とゼオライトとの混合物、アニオン性粘土、及びドープされたアニオン性粘土の少なくとも1である、請求項15に記載の方法。
  18. pH調節剤が、アニオン性粘土、又はドープされたアニオン性粘土であって、該アニオン性粘土は水熱処理により安定化されているか又は水熱条件下で製造されているところの、請求項17に記載の方法。
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