JP4307037B2 - レーザ走査制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光で走査される像担持体を有する画像形成装置に用いられるレーザ走査制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レーザ光により画像露光を行う電子写真装置においては、レーザ光が回転多面鏡(ポリゴンミラー)に照射され、この回転多面鏡でレーザ光が偏向されて反射され、この反射光により感光体上が露光走査されるように構成されている。
【0003】
また、近年では、画像形成の高速化に伴い、複数個の光源を副走査方向に並べ、各光源のそれぞれのレーザ光を用いて露光走査する構成が採用されている。この複数のレーザ光を使用する場合も、副走査方向に並ぶ各光源から感光体表面までの主査方向に対する光路長が異なるので、各光源のレーザ光による主走査方向の走査長も異なる。また、この主走査方向の走査長の違いは、光学的、機械的な精度に依存するものであり、光学的、機械的な精度をより高くするための措置が講じられている。
【0004】
そして、光学的、機械的な精度に依存することなく、複数の光源のレーザ光による主走査方向の走査長の同一にするための方法として、特開2000−238342号公報、特開2000−355122号公報などに提案されているものがある。特開2000−238342号公報には、レーザ、光伝導体等の機械的公差に対して、廉価で簡単に、4つの色平面のサイズを制御するために、画素データストリームをレーザ書込み周波数で書込み、それを走査線に沿って走査されるレーザビームに変換する。レーザ走査装置は、レーザビームの画素データストリームに対しわずかな遅延を挿入または削除することにより、レーザ書込み周波数を調整する方法が提案されている。
【0005】
また、特開2000−355122号公報では、画像クロックの周波数ジッタを大きくすることなく低コストで精度よく主走査倍率を補正させるとともに、サブピクセルを付加した箇所における画像ずれを格段に低減させるために、光センサの検知結果により各画像形成部の走査幅を検出し、前記検出結果に基づいてサブピクセルを付加したクロック発生部でレーザスキャナが画像領域を走査中に画像クロックの一部の周期を可変させ、PLL回路で周期が可変された画像クロックよりも単位時間あたりの周波数変化量が小さい画像クロックを出力することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像形成装置の高解像度化に伴い、従来許容されていた複数のレーザ光の光路長の差が出力画像の高解像度化を妨げることになり、その光路長の差を無視することができなくなっている。特に、複数のレーザ光の光路長の差により、各レーザ光の走査間で走査倍率の差が発生することが問題である。複数のレーザ光の光路長の差に対して倍率差が少なくなるようなレンズ光学系の設計は難しく、この倍率差を少なくすることは、レンズ系による補正により殆ど行われていない。
【0007】
また、特開2000−238342号公報や特開2000−355122号公報のように、画像データにスペースを挿入し、または画像クロックを変化させる方法では、それが画像に影響して、より高い品質の画像を得ることは難しい。
【0008】
本発明の目的は、像担持体の回転軸の正規位置からの傾きによる走査倍率の不均一さを均一するようにすることができ、高解像度の画像を容易に得ることができるレーザ走査制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明のレーザ走査制御装置は、レーザ光で走査される像担持体を有する画像形成装置に用いられるレーザ走査制御装置であって、基本クロックに基づいて高周波クロックを出力する高周波クロック出力手段と、画像データを第1のパルス幅変調信号に変調する変調手段と、前記高周波クロック出力手段で出力される前記高周波クロックと前記高周波クロックに同期して入力される前記第1のパルス幅変調信号とに基づいて、1画素を複数個の高周波クロックで構成するように駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、前記像担持体の回転軸の正規位置からの傾き角度に基づく補正データを出力する補正データ出力手段と、を備え、前記駆動信号出力手段は、前記高周波クロックのエッジに同期してデータをラッチし、かつ出力端子が次のフリップフロップの入力端子に接続されるように縦続接続された所定数のフリップフロップと、それぞれ第1の入力端子と第2の入力端子を備え、前記第1の入力端子の各々に前記所定数のフリップフロップの各出力端子が接続され、かつ前記第2の入力端子の各々に前記第1のパルス幅変調信号が入力される所定数の論理積回路を有し、前記補正データ出力手段の出力する補正データと前記レーザ光の前記像担持体上での走査位置とに基づいて、前記所定数のフリップフロップで構成される縦続接続回路のうち所定のフリップフロップの出力端子からの信号を次のフリップフロップの入力端子へ入力させないように縦続接続数を選択して切り替えることで、前記変調手段で変調された前記第1のパルス幅変調信号から前記像担持体の軸方向における前記レーザ光で走査する位置に応じて1画素を構成する高周波クロックの個数を変化させた周期の第2のパルス幅変調信号を生成し、生成した前記第2のパルス幅変調信号を光源に出力することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るレーザ走査制御装置を用いた画像形成装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【0025】
画像形成装置は、図1に示すように、複数枚の原稿を積載可能な原稿給紙装置1と、副走査方向に移動可能に構成されているスキャナユニット4とを備える。原稿給紙装置1は、積載されている複数枚の原稿をその先頭から1枚ずつ原稿台ガラス2上へ搬送する。スキャナユニット4は、原稿台ガラス2上に搬送された原稿を照明するためのランプ3と、原稿台ガラス2上の原稿からの反射光を反射ミラー6に導くための反射ミラー5とを搭載する。反射ミラー6は、反射ミラー7と協働して反射ミラー5からの反射光をレンズ8に導き、レンズ8は、上記反射光をイメージセンサ部9に結像する。イメージセンサ部9は、結像された光像を電気信号に変換し、この電気信号は所定の処理が施された後に、画像信号として露光制御部10に入力される。
【0026】
露光制御部10は、入力された画像信号に基づきレーザ光を発光し、このレーザ光で感光ドラム11上を露光走査する。このレーザ光の露光走査により、感光ドラム11上には、レーザ光に応じた潜像が形成される。この感光ドラム11上に形成された潜像は、現像器13から供給されたトナーによりトナー像として可視像化される。
【0027】
また、上記レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、カセット14またはカセット15からシートが給紙され、このシートは搬送路を介して転写部16へ向けて搬送される。この搬送されたシート上には、転写部16により、感光ドラム11上のトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートは、定着部17に搬送される。
【0028】
定着部17においては、シート上のトナー像が熱圧されてシート上に定着される。この定着部17を通過したシートは、排紙ローラ対18を経て外部に排出される。
【0029】
トナー像の転写後の感光ドラム11の表面は、クリーナ25で清掃された後に、補助帯電器26で除電される。そして、感光ドラム11の表面の残留電荷が前露光ランプ27で消去されて一次帯電器28において良好な帯電が得られる状態にされた後に、一次帯電器28で感光ドラム11の表面が帯電される。
【0030】
上記一連の工程を繰り返すことにより、複数枚の画像形成が可能になる。
【0031】
次に、上記露光制御部10の詳細な構成について図2を参照しながら説明する。図2は図1の露光制御部10の構成を模式的に示す平面図である。
【0032】
露光制御部10は、図2に示すように、半導体レーザ43を駆動するレーザ駆動装置31を有する。半導体レーザ43の内部には、レーザ光の一部を検出するPDセンサ(図示せず)が設けられ、レーザ駆動装置31は、フォトダイオードセンサ(PDセンサ;図示せず)の検出信号を用いて半導体レーザ43のAPC(Auto Power Control)制御を行う。半導体レーザ43から発光されたレーザ光は、コリメータレンズ35および絞り32によりほぼ平行光となり、所定のビーム径でポリゴンミラー(回転多面鏡)33に入射する。ポリゴンミラー33は、図中の矢印が示す方向に等角速度で回転しており、この回転に伴い、ポリゴンミラー33に入射したレーザ光は、連続的に角度を変える偏向ビームとなって反射される。偏向ビームとなって反射されたレーザ光は、f−θレンズ34により集光作用を受ける。同時に、f−θレンズ34は走査の時間的な直線性を保証するような歪曲収差の補正を行うので、f−θレンズ34を通過したレーザ光は、感光ドラム11上に図の矢印の方向に等速で結合走査される。感光ドラム11の一方の端部近傍には、ポリゴンミラー33から反射されたレーザ光を検出するビームディテクト(以下、BDという)センサ36が設けられており、BDセンサ36の検出信号はポリゴンミラー33の回転とデータの書き込みの同期をとるための同期信号として用いられる。
【0033】
このようなレーザ駆動装置31においては、1走査中のレーザ光の光量を一定に保持するために、1走査中の光検出区間でレーザ光の出力を検出して半導体レーザ43の駆動電流を1走査の間保持するという駆動方式を採用している。
【0034】
次に、上記レーザ駆動装置31による半導体レーザ43に対する具体的な制御方法について図3を参照しながら説明する。図3は図2のレーザ駆動装置31の半導体レーザ43に対する具体的な制御構成を示す回路図である。
【0035】
レーザ駆動装置31においては、図3に示すように、半導体レーザ43として、1つのレーザ43Aと1つのフォトダイオード(以下、PDという)センサ43Bから構成されるレーザチップが用いられている。半導体レーザ43の駆動電源には、バイアス電流源41とパルス電流源42の2つの電流源が用いられ、これにより、レーザ43Aの発光特性の改善が図られている。また、レーザ43Aの発光を安定化させるために、PDセンサ43Bからの出力信号を用いてバイアス電流源41に帰還をかけることにより、バイアス電流量の自動制御が行われている。すなわち、シーケンスコントローラ47からのフル点灯信号により論理素子40がオン信号をスイッチ49へ出力することにより、バイアス電流源41とパルス電流源42からの電流の和が半導体レーザ43へ流れ、そのときのPDセンサ43Bからの出力信号は、電流電圧変換器44に入力されて電圧信号に変換される。この電圧信号は、増幅器45で増幅された後に、APC回路46に入力される。APC回路46は、入力された電圧信号に応じた制御信号をバイアス電流源41に供給する。この回路方式はAPC(Auto Power Control)回路方式といわれ、現在、レーザを駆動する回路方式としては一般的なものである。レーザ43Aは温度特性を有し、温度が高くなるほど一定の光量を得るための電流量は増加する。また、レーザ43Aは自己発熱するため、一定の電流を供給するだけでは一定の光量を得ることができず、これらは画像形成に重大な影響を及ぼす。このことを解決する方法として、1走査毎に前述したAPC回路方式を用いて、走査毎の発光特性が一定になるように、走査毎に流す電流量を制御する方法が採用されている。
【0036】
このようにして一定光量に制御されたレーザ光は、画素変調部48で変調されたデータでスイッチ49をオン/オフすることによって、オン/オフされ、レーザ光に応じた潜像が感光ドラム11上に形成される。
【0037】
次に、変調部48の構成について図4ないし図7を参照しながら説明する。図4は図3の変調部48の構成を示すブロック図、図5は図4の変調部48の分周回路61の入出力信号のタイミングチャート、図6は図4の変調部48の変調回路62の入出力信号のタイミングチャート、図7は図4の変調部48のカウンタ回路64および出力回路63の入出力信号のタイミングチャートである。
【0038】
変調部48は、図4に示すように、PLL回路60と、分周回路61と、変調回路62と、出力回路63と、カウンタ回路64とを有する。
【0039】
PLL回路60は、基本クロック(基本CLK)を入力とし、この基本クロックのn倍の高周波クロックを出力する。この高周波クロックは、分周回路61、出力回路63にそれぞれ入力される。分周回路61は、入力された高周波クロックをx回に一度カウントすることにより、入力された高周波クロックを1/x分周したクロック(メインクロック)を出力する(図5を参照)。ここで、xは正数であればいくつでもかまわない。また、ここでは、説明の便宜のため、1/n分周しPLL回路60に入力される基本クロックと同じ周期のメインクロックを出力すると仮定する。分周回路61から出力されるクロックは、カウンタ回路64に入力される。
【0040】
変調回路62は、後述するクロック信号に同期して、入力データを変調する。通常、レーザの階調性を表すために、単位時間内での点灯時間をPWM変調で制御することが行われているので、本実施形態では、PWM変調(特にデジタルPWM変調)を行うものとして説明する。例えば、Aビットの入力データをPWM変調する場合、この入力データは2Aのパルス幅データに変換される。ここで、
A=n
となるように定数が決められている。この変調回路62は、入力データからパルス幅データを生成し、このパルス幅データを出力回路63に出力する(図6を参照)。出力回路63は、変調回路62から出力されたパルス幅データに応じて、PLL回路60から出力された高周波クロックに同期したPWM信号、高周波クロックに同期したクロック信号を出力し、PWM信号は論理素子40(図3)に、クロック信号は画像処理部(図示せず)および変調回路62にそれぞれ出力される(図7(a),(d)および(e)を参照)。
【0041】
カウンタ回路64は、分周回路61から出力されたクロック(高周波クロックを1/n分周したクロック)をカウントする(図7(b)を参照)。カウンタ回路64は、そのカウント値が所定値に達すると、所定の信号を出力回路63に出力する(図7(b)および(c)を参照)。
【0042】
このカウンタ回路64が上記所定の信号を出力回路63に出力すると、出力回路63は、通常と異なる動作を行う。通常動作においては、n個の高周波クロックで(PWM信号、クロック信号の)1つの周期を生成していたのに対し、上記所定の信号を入力した際には、上記周期と異なる周期のPWM信号、クロック信号を出力する(図7を参照)。
【0043】
BDセンサ36からのBD信号がカウンタ回路64に入力されると、カウンタ回路64のカウント動作は初期化されるように構成してもよい。BD信号がアクティブLowのとき、カウンタ回路64が初期化され、分周回路61からのクロックL61によりカウント動作を行う。走査線が感光ドラム11上を走査するのに従ってカウンタ回路64がカウント動作を行うこととなり、感光ドラム11上の走査線の走査位置に対応したカウント結果に従って、カウンタ出力L64を出力回路63に出力する。
【0044】
次に、f−θレンズの有無による感光ドラム11上の走査速度の違いについて図8を参照しながら説明する。図8(a)はf−θレンズが無い場合、図8(b)はf−θレンズが有る場合の感光ドラム上の走査速度を模式的に示すための図である。
【0045】
f−θレンズが無い場合においては、図8(a)に示すように、ポリゴンミラー33が等速度運動をしているので、感光ドラム11上がレーザ光によりポリゴンミラー33の面から円弧を描くように走査される。この場合、ポリゴンミラー33が等速度運動を行っているため、単位時間当りの回転速度θa,θb,θc,θdは、
θa=θb=θc=θd
となる。また、レーザ光は、感光ドラム11に対し半径R1(=R2=R3=R4=R5)の円弧を描くように走査する。その結果、θaで規定される円弧、θbで規定される円弧、θcで規定される円弧、θdで規定される円弧はそれぞれ等しくなる。ここで、感光ドラム11が円弧に対応して凹状の曲面を有する筒状体であれば、ポリゴンミラー33の走査に対して、各画素区間は等間隔になるが、一般的には、感光ドラム11は円筒状に構成されている。よって、感光ドラム11上の1走査当りの走査線は、走査距離Xa,Xb,Xc,Xdの和で表される距離の直線となる。
【0046】
ここで、走査距離Xaは、感光ドラム11に対して、R1,R2,θaで規定される距離である。同様に、走査距離Xbは、R2,R3,θbで規定される距離、走査距離Xcは、R3,R4,θcで規定される距離、走査距離Xdは、R4,R5,θdで規定される距離である。この場合、
Xa>Xb
Xd>Xc
という関係が成立する。この結果から、感光ドラム11上の走査速度は感光ドラム11の一方の端部から中央部に向けて漸次小さくなり、そして、中央部から他方の端部に向けて漸次大きくなることが分かる。このような走査速度の分布においては、1走査ライン中の端部と中心部とでは、それぞれの1画素区間が異なる。すなわち、感光ドラム11上の走査位置に応じて走査倍率が異なる。
【0047】
これに対し、f−θレンズが有る場合、図8(b)に示すように、感光ドラム11上の単位時間当りの走査距離Xa,Xb,Xc,Xdの間においては、
Xa=Xb=Xc=Xd
という関係式が成立し、それぞれの走査距離Xa,Xb,Xc,Xdは等しくなる。すなわち、f−θレンズ34により、1走査線上において、その端部と中心部とでの1画素区間が異なることはなくなる。
【0048】
図8(a)(または図8(b))に示す場合においては、図中の半径R3に沿って照射されたレーザ光は、感光ドラム11に対しその回転軸に垂直に入射する。これに対し、組立て精度により、感光ドラム11が、その回転軸が上記光路長R3の光路に沿って照射されたレーザ光に対して若干傾いた状態で組み込まれる場合がある。この場合について図9を参照しながら説明する。図9(a)はf−θレンズが無い場合、図9(b)はf−θレンズが有る場合の回転軸が角度α(rad)傾いた感光ドラム11上の走査速度を模式的に示すための図である。
【0049】
ここでは、感光ドラム11の回転軸が角度α(rad)傾いた状態で感光ドラム11が組み込まれているものとし、レーザ光により、感光ドラム11上の走査開始位置r5から順次、位置r4、r3、r2、r1へと走査が行われるものとする。
【0050】
f−θレンズが無い場合、図9(a)に示すように、感光ドラム11の回転軸の傾きのため、走査開始位置r5から位置r1へと走査されるに従ってレーザ光の光路長は長くなる。走査開始点r5から位置r4への走査距離をYd、位置r4から位置r3への走査距離をYc、位置r3から位置r2への走査距離をYb、位置r2から位置r1への走査距離をYaとした場合、
Ya>Xa
Yb>Xb
Yc>Xc
Yd>Xd
となる。
【0051】
すなわち、光学系が正規の光学位置に配置されている場合に比して、レーザ走査開始点から走査終了点に向けて走査するに従い、走査倍率(1画素区間)が徐々に大きくなるという問題がある。以下、この現象を、走査線の片倍率ということにする。
【0052】
そこで、本実施形態では、高価なf−θレンズを使わずに、1画素区間を均等間隔にするために、1走査線上の位置に応じて1画素を構成するクロック数を変化させることによって、走査線の片倍率を補正する。具体的には、感光ドラム11の一方の端部から中央部に向けて漸次1画素を構成するクロック数を増加させ(クロック幅を広げ)、そして中央部から他方の端部に向けて漸次1画素を構成するクロック数を減少させる(クロック幅を狭める)ことによって、f−θレンズなしに感光ドラム11上での走査速度を均一にすることができる。また、感光ドラム11の回転軸が角度α分傾いた場合などにおける走査線のずれに対しても、補正をすることが可能となる。また、後述するように、図9(b)に示すようなf−θレンズ34が設けられている光学系においても、感光ドラム11の回転軸の傾きによる走査線の片倍率について補正することが可能となる。
【0053】
次に、高価なf−θレンズを使わずに、1画素区間を均等間隔にするために、1走査線上の位置に応じて1画素を構成するクロック数を変化させるための変調部48の出力回路63の回路構成およびその動作について図10および図11を参照しながら説明する。図10は図4の変調部48の出力回路63の構成を示すブロック図、図11は感光ドラム11上の画像有効エリアの画素を構成する高周波クロックの個数の分布を模式的に示す図である。
【0054】
出力回路63は、図10に示すように、変調制御部70と、10個のDタイプのフリップフロップ71a〜71jと、10個の2入力AND回路72a〜72jと、3入力セレクタ回路73と、2個の2入力セレクタ回路74,75と、9入力OR回路76と、2入力OR回路77とを含む。
【0055】
変調回路62は、入力された画像データを8ビットのパルス幅データに変調する。このパルス幅データの各ビットは2入力AND回路72a〜72jの入力の一方に入力される。ここで、各2入力AND回路72i,72jには、2入力AND回路72hに入力されるデータと同じデータが入力される。
【0056】
フリップフロップ71a〜71jは、PLL回路60からの高周波クロック(CLK)の立ち上がりでD端子の入力をQ端子に出力する。Q端子の出力は、各2入力AND回路72a〜72jの入力の他方に接続される。それと同時に各フリップフロップ71a〜71jは、フリップフロップ71aの出力がフリップフロップ71bの入力に、フリップフロップ71bの出力がフリップフロップ71cの入力にというような縦続に接続されている。また、フリップフロップ71hの出力は、3入力セレクタ回路73および2入力セレクタ回路74にも接続される。フリップフロップ72iの出力は、3入力セレクタ回路73および2入力セレクタ回路75にも接続される。フリップフロップ71jの出力は、3入力セレクタ回路73にも接続される。
【0057】
2入力AND回路72a〜72jの出力は9入力OR回路76に入力され、9入力OR回路76は、その出力をPWM信号として出力する。
【0058】
3入力セレクタ回路73は、変調制御部70の出力によって、フリップフロップ71h,71i,71jの出力を選択し、選択された出力は、2入力OR回路77の入力の一方に入力される。2入力セレクタ回路74,75の他方の入力は、GNDに接続されている。
【0059】
変調制御部70は、カウンタ回路64の出力に基づいてセレクタ回路73〜75のスイッチ動作を切り換える。すなわち、変調制御部70の出力は、2入力セレクタ回路74の場合、フリップフロップ71hの出力をフリップフロップ71iに入力させる否か、2入力セレクタ回路75の場合、フリップフロップ71iの出力をフリップフロップ71jに入力させるか否かを制御する。
【0060】
2入力OR回路77の入力の他方には、高周波クロック1クロック分の幅のタイミング信号が入力され、その出力はフリップフロップ71aに入力される。
【0061】
次に、出力回路63の動作について説明する。
【0062】
出力回路63においては、フリップフロップ71a〜71jに入力される高周波クロックに同期して高周波クロック1クロック分の幅の信号がタイミング信号として2入力OR回路77に入力される。これにより、フリップフロップ71a〜71jで構成されるリング状のシフトレジスタの出力の1つが常に“1”となる。変調制御部70では、カウンタ回路63の出力を受け、上記リング状のシフトレジスタの大きさを制御するように各セレクタ回路73〜75の切換動作を制御する。1画素を8個の高周波クロック(PLL回路60から出力されたクロック)で構成する場合は、3入力セレクタ回路73で、フリップフロップ71hの出力を選択し、2入力セレクタ回路74,75で、GNDを選択する。これにより、8個のフリップフロップ71a〜71iによるリング状のシフトレジスタが構成される。1画素を9個の高周波クロックで構成する場合は、3入力セレクタ回路73で、フリップフロップ71iの出力を選択し、2入力セレクタ回路74で、フリップフロップ71hの出力を選択し、2入力セレクタ回路75で、GNDを選択する。これにより、9個のフリップフロップ71a〜71iによるリング状のシフトレジスタが構成される。1画素を10個の高周波クロックで構成する場合は、3入力セレクタ回路73で、フリップフロップ71jの出力を選択し、2入力セレクタ回路74で、フリップフロップ71hの出力を選択し、2入力セレクタ回路75で、フリップフロップ71iの出力を選択する。これにより、10個のフリップフロップ71a〜71jによるリング状のシフトレジスタが構成される。これらの切換えで、フリップフロップ71a〜71jの出力が8/9/10個の高周波クロック信号に1回“1”が出力されるようになる。
【0063】
2入力AND回路72a〜72jには、パルス幅データが設定されており、2入力AND回路72a〜72jは、1画素(=8/9/10個の高周波クロック(CLK))毎にデータを変化させ、その設定されたデータと8/9/10個の高周波クロック分の期間における1回の“1”をAND演算し、各AND出力は9入力OR回路76により、OR演算される。これにより、8/9/10個の高周波クロックで構成されたPWM信号を出力することができる。
【0064】
また、図示していないが、これと同じ構成を使用し、画像データに相当するところに画像クロックのパターンを入力することや、フリップフロップ71a〜71hの特定箇所(例えばフリップフロップ71aと71e)の出力をJKフリップフロップ回路に入力することで、PWM信号と同様に8/9/10個の高周波クロックで構成されたクロック信号を出力することができる。
【0065】
これにより、図11に示すように、1周期内で1画素を構成する高周波クロック数を変化させることにより、対応する画素に微小画素が追加され、f−θレンズを使用せずに感光ドラム11面上の走査スピードを均一にすることが可能になる。ここでは、主走査ライン上の画像有効エリアが5つの領域に分けられ、走査開始位置の端部から中央部に至る従い、それぞれ領域における1画素が、高周波クロックの8/9/10個分の周期で構成される。すなわち、走査開始位置の端部の領域においては、画素が通常周期(8個の高周波クロック)で構成され、それに続く領域の画素は、上記通常周期の画素に対し1/8の微小画素が追加された画素(9個の高周波クロック)からなる。そして、中央部領域の画素は、上記通常周期の画素に対し2つの1/8の微小画素が追加された画素(10個の高周波クロック)からなる。逆に、中央部から他方の端部に至る従い、それぞれ領域における1画素は、高周波クロックの10/9/8個分の周期で構成されることになる。
【0066】
なお、本実施形態では、説明を簡単化するために、1画素を8/9/10個分の高周波クロックで構成する場合について述べたが、1画素をさらに多数個の高周波クロックで構成するようにしてもよい。また、本実施形態では、画像有効エリア内を5つの領域に分けて、それぞれの領域における1画素を構成する高周波クロックの数を異ならせるようにしたが、これに限定されるものではなく、1画素を構成する高周波クロックの個数をさらに増し、画像有効エリアをさらに多数の領域に分割することも可能である。これにより、滑らかなドット間隔の調整を行うことが可能となる。
【0067】
次に、カウンタ回路64の構成について図12を参照しながら説明する。図12は図4のカウンタ回路64の構成を示すブロック図である。
【0068】
カウンタ回路64は、上述したように、感光ドラム11上の走査線の走査位置に対応したカウント値に応じて、カウンタ出力L64を出力回路63に出力する。このカウンタ回路64は、図12に示すように、分周回路61からの分周クロックL61をカウントするアドレスカウンタ121を有する。このアドレスカウンタ121は、走査線上の走査位置に対応するカウント値L121としてルックアップテーブル(以下、LUTという)122に出力する。
【0069】
LUT122には、カウント値L121に対応付けえられた補正データが格納されており、この補正データがカウンタ回路64の出力L64として出力回路63に出力される。例えば、図7に示すように、アドレスカウンタ121の出力(カウント値)が0であるとき、カウンタ出力L64として1が出力される。この場合、出力回路63からのクロック信号周期やPWM信号周期が通常の場合より高周波クロック1個分長い周期となるようにする。また、LUT122に格納する補正データを適時選択することによって、さらに長い周期や短い周期にすることもできる。
【0070】
従って、BD信号が入力されてから、分周クロックL61をカウントし、LUT122からカウント値L121に対応する補正データを順次読み出すことにより、感光ドラム11上の任意の走査線位置に応じて、出力回路63からのクロック信号周期やPWM信号周期を、高周波クロックの1クロック分の周期を単位として、任意に増減することができる。すなわち、任意の数の微小画素(高周波クロック1クロック分)を追加することができる。
【0071】
そこで、f−θレンズが無い光学系において、感光ドラム11上のレーザ光の走査速度が一定でなくても、感光ドラム11上の走査ドットの周期がほぼ均等になるような補正データを用意しておくことで、ほぼ均等な倍率での画像形成を行うことができる。すなわち、画像有効エリアの走査開始時には、出力回路63からのクロック信号周期が短く、中央部へと走査するに従って、クロック信号周期が漸次長くなり、中央部から画像有効エリアの終了に近づくに従い、再び、クロック信号周期が短くなるようにする。
【0072】
さらに、感光ドラム11の回転軸が正規の位置に対し傾いている場合、当初、感光ドラム11の回転軸が正規の位置に対し傾いていないことを前提とした補正データに対して、画像有効エリアの開始点から徐々に画素間隔が狭くなるように補正データの内容を変更しておくことにより、片倍率の補正を行うことができる。例えば、2つのLUT122を設け、一方のLUT(以下、LUT122aという)には、f−θレンズを代替する補正データを格納し、他方のLUT(以下、LUT122bという)には、感光ドラム11の回転軸の傾きに対応する補正データを格納しておいてもよい。この場合、アドレスカウンタ121の出力はLUT122aに入力され、LUT122aの出力は、LUT122bのアドレスに入力される。これにより、LUT122bの回転軸傾き補正データにより、LUT122aからの補正データが調整され、この調整後のデータすなわちLUT122bの出力がカウンタ出力L64として出力回路63に入力される。
【0073】
本実施形態では、1画素を構成する幅を変化させる点を、カウンタ回路64におけるカウンタ121とLUT122で決定しているが、例えば別のタイマ手段などで決定するようにしてもよい。また、LUTを用いずにカウンタや論理素子などからなるロジック回路でカウンタ出力L64を生成するようにしてもよい。
【0074】
上記では、f−θレンズが無い光学系の場合を示したが、f−θレンズを有する光学系においても、同様に、走査線の片倍率の補正を行うことができる。ここで、図9(b)に示す、f−θレンズ34が設けられ、感光ドラム11の回転軸が正規位置から角度α傾いている場合を例に説明する。この場合、感光ドラム11上の走査距離Ya,Yb,Yc,Ydは、感光ドラム11の回転軸が正規位置から傾いていない場合(図8(b))においては走査距離がXa=Xb=Xc=Xdという関係であることに対し、Ya<Yb<Yc<Ydという関係を有することになる。
【0075】
感光ドラム11の回転軸が正規位置から角度α傾いている場合、f−θレンズ34を介した走査線の片倍率を補正するために、LUT122には回転軸傾き補正データが格納される。この補正データを画像有効エリアの開始点から徐々に画素間隔が狭くなるような補正データとすることによって、画像有効エリアの走査開始時には、出力回路63からのクロック信号周期が正規のクロック信号周期であり、画像有効エリアの終了に近づくに従いクロック信号周期が短くなるように補正される。その結果、f−θレンズを有する光学系においても、感光ドラム回転軸の傾き補正を行い、片倍率を適正に調整することが可能となる。また、LUTを用いずにカウンタやタイマなどで補正データを生成するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0076】
なお、本実施形態では、通常画素(8個の高周波クロック)を基準にしてこの通常画素に対して微小画素を追加することにより、片倍率を調整する例を示したが、通常画素から微小画素を削除することにより、または、追加および削除を行うことにより、片倍率を調整することも可能であることはいうまでもない。
【0077】
次に、変倍時における片倍率の補正について図13を参照しながら説明する。図13は主走査方向における倍率誤差の分布を模式的に示す図である。
【0078】
ここでは、例えば図13(a),(b),(c)に示すように、感光ドラム11の回転軸が正規の位置より傾いている、光学系にゆがみがあるなどにより、画像有効エリアの開始点から徐々に倍率誤差が増加するような倍率誤差分布を示すケース1の場合を考える。
【0079】
上記ケース1の場合に対して、画像有効エリアにおけるA区間〜E区間の各区間のそれぞれに応じた補正データが設定される。この補正データとして、例えば、図13(d)または図13(e)に示すケース2または3のような倍率補正結果が得られるような補正データを設定することが可能である。各走査位置に応じた補正データを用いることで片倍率の補正を行った結果、上記ケース2または3のように倍率誤差を低減させることが可能である。
【0080】
ここで、ケース2の場合は、倍率誤差が所定の誤差範囲に収まるような補正データが設定されている。これに対し、ケース3の場合は、倍率誤差を正側、負側に振り分けるような補正データが設定されており、ケース2の補正時よりケース3の補正時の方が、視覚的に倍率のゆがみが目に付き難い場合がある。この場合、ジャギー感が無い、自然な画像を再現することが可能になる。そこで、ケース2またはケース3に対応する補正データを切り替え可能にすれば、ユーザは、印字画像の結果を比較し確認しながら、倍率補正に伴う画像の微細なみだれがない最適な印字条件を選択することができ、美しい再生画像を得ることができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図14ないし図16を参照しながら説明する。図14は本発明の第2実施形態に係るレーザ走査制御装置における2つのレーザ光による感光ドラムに対する走査状態を模式的に示す図、図15は本発明の第2実施形態に係るレーザ走査制御装置の出力回路の構成を示すブロック図、図16は本発明の第2実施形態に係るレーザ走査制御装置の走査ライン長補正動作のタイミングチャートである。
【0082】
本実施形態においては、図14(a)に示すように、2つのレーザ光が一定速度で回転するポリゴンミラー33で偏向されて感光ドラム11上に向けて照射される。すなわち、2つのレーザ光で感光ドラム11を主走査方向に走査することにより、感光ドラム11上に静電潜像が形成される。ここで、2つのレーザ光は、副走査方向に所定の間隔をあけた状態で感光ドラム11に照射される。このような構成により、1つのレーザで感光ドラム11上を走査した場合に比して、1/2の走査回数で、画像形成を行うことができる。
【0083】
ここで、図14(b)に示すように、各レーザ光のポリゴンミラー33から感光ドラム11までの光路長をそれぞれLa、Lbとすると、各レーザ光が副走査方向に所定の間隔をあけた状態で感光ドラム11に照射されるので、各光路長La、Lbが異なる。ここでは、La<Lbの関係式が成立するものとし、その差分はΔLである。
【0084】
各レーザ光のポリゴンミラー33から感光ドラム11までの光路長La、Lbがそれぞれ異なるということは、図14(c)に示すように、感光ドラム11上の主走査方向の1走査ラインの有効画素範囲に対するレーザ光の走査距離がレーザ光毎に異なることになる。ここでは、光路長Laの場合のレーザ光の走査距離をXa、光路長Lbの場合のレーザ光の走査距離をXbとすると、Xa<Xbの関係式が成立する。
【0085】
このような状態で画像を形成すると、1ラインおきに画像端部がギザギザになる画像が得られる。画像に対する高解像度の要求がますます高くなる昨今の状況において、その端部のギザギザが高解像度要求を満たさないものとなる。このようなツインレーザ光学系の場合、感光ドラム11の回転軸が正規の位置より傾いていると、各レーザ光による走査長の差をなくしてそれらを同一走査長に補正する必要があるとともに、片倍率の補正が必要になる。
【0086】
そこで、本実施形態では、上記ツインレーザ光学系における感光ドラム11面上での走査長に対する補正と片倍率の補正とを行う。
【0087】
本実施形態では、基本的には、第1実施形態と同様に、1走査ライン上において局所的に1画素を形成するクロック数を変化させ、感光ドラム11面上の走査長の差Xb−Xaで挿入する(1画素を形成するクロック数を変えた)クロック/データの数を変化させることにより、各レーザ光による走査長の差をなくしてそれらを同一走査長に補正し、また、感光ドラム11の回転軸の傾きにより走査倍率が均一にならないこともあわせて補正する。ここで、上記補正を実現するための変調部48の構成は、基本的に上述の第1実施形態と同じであるので、ここでは、異なる点のみを説明する。
【0088】
具体的には、変調部48の出力回路63の構成が第1実施形態のものと異なる。本実施形態における出力回路63は、図15に示すように、変調制御部80と、9つのDタイプのフリップフロップ81a〜81iと、9つの2入力AND回路82a〜82iと、2つの2入力セレクタ回路83,84と、9入力OR回路86と、2入力OR回路87とを含む。
【0089】
変調回路62は、入力された画像データを8ビットのパルス幅データに変調する。このパルス幅データの各ビットは、2入力AND回路82a〜82iの入力の一方に入力される。ここで、2入力AND回路82hおよび82iには、同じデータが入力される。
【0090】
フリップフロップ81a〜81iは、高周波クロック(CLK)の立ち上がりでD端子の入力をQ端子に出力する。各フリップフロップ81a〜81iの出力は、上記2入力AND回路82a〜82iの入力の他方に接続される。それと同時に各フリップフロップ81a〜81iは、フリップフロップ81aの出力がフリップフロップ81bの入力に、フリップフロップ81bの出力がフリップフロップ81cの入力にというような縦続に接続されている。また、フリップフロップ81hの出力は2入力セレクタ回路83および2入力セレクタ回路84にも接続される。フリップフロップ81iの出力は、2入力セレクタ回路83にも接続される。
【0091】
2入力AND回路82a〜82iの出力は、それぞれ9入力OR回路86に接続され、9入力OR回路86の出力はPWM信号として出力される。2入力セレクタ回路83は、変調制御部80の出力に応じて、フリップフロップ81a〜81iの出力を選択し、2入力OR回路87の入力の一方に接続される。2入力セレクタ回路84の他方の入力はGNDに接続されている。2入力セレクタ回路84は、変調制御部80の出力によって、フリップフロップ81hの出力をフリップフロップ81iに入力させるか否かを制御する。
【0092】
変調制御部80は、カウンタ回路64の出力に応じて、2入力セレクタ回路83,84のセレクト動作を切り換える。
【0093】
2入力OR回路87の入力の他方には、タイミング信号が入力され、2入力OR回路87の出力はフリップフロップ81aに入力される。
【0094】
次に、出力回路63の動作を説明する。
【0095】
2入力OR回路87には、フリップフロップ81a〜81iに入力される高周波クロック(CLK)に同期してタイミング信号が入力される。このタイミング信号は、高周波クロックの1クロック分の幅の信号である。これにより、フリップフロップ81a〜81iで構成されるリングのシフトレジスタの出力の1つが常に“1”となる。変調制御部80では、カウンタ回路64の出力を受け、上リング状のシフトレジスタの大きさ(すなわちリング状シフトレジスタを構成するフリップフロップの数)を制御するように2入力セレクタ回路83,84の動作を切り換える。1画素を8個の高周波クロック(CLK)で構成する場合は、2入力セレクタ回路83によりフリップフロップ81hの出力を選択し、2入力セレクタ回路84によりGNDを選択する。1画素を9個の高周波クロック(CLK)で構成する場合は、2入力セレクタ回路83によりフリップフロップ81iの出力を選択し、2入力セレクタ回路84によりフリップフロップ81iの出力を選択する。これらの切換で、フリップフロップ81a〜81iの出力として、8/9の高周波クロック(CLK)に1回“1”が出力されるようになる。
【0096】
2入力AND回路82a〜82iにはパルス幅データが設定されており、そのパルス幅データは、1画素(=8/9CLK)毎に変化する。そして、各2入力AND回路82a〜82iにおいて、設定されたデータと8/9個の高周波クロック(CLK)に1度の“1”とのAND演算が行われ、9入力OR回路86において、各2入力AND回路82a〜82iのAND出力がOR演算される。このOR演算の結果として、8/9個の高周波(CLK)で構成されたPWM信号が出力される。
【0097】
なお、図示しないが、これと同じ構成を使用し、画像データに相当するところに画像クロックのパターンを入力したり、フリップフロップ81a〜81iの特定箇所(例えば81aと81e)の出力をJKフリップフロップ回路に入力することによって、PWM信号と同様に8/9個の高周波クロック(CLK)で構成されたクロック信号を出力することができる。
【0098】
以上により、図16に示すように、1周期内の特定箇所で1画素の構成数を9個の高周波クロック(CLK)に、その他の時には8個の高周波クロック(CLK)になるように制御することで、感光ドラム11面上の走査距離Xa,Xbを電気的に補正し、2つのレーザ光による走査長を互いに等しくすることが可能になる。
【0099】
ここで、第1実施形態の場合と同じように、感光ドラム11の回転軸が正規の位置から角度α傾いているとすると、当初、感光ドラム11の回転軸が正規の位置にあることを前提とした補正データに対して、画像有効エリアの開始点から徐々に走査ドットの間隔が狭くなるように補正データの内容を変更しておくことにより、片倍率の補正を行うことができる。
【0100】
感光ドラム11を走査する1走査ラインの特定箇所で1画素を形成するクロック数を変化させる際には、画像有効エリアの開始から終了に向けて、9個の高周波クロック(CLK)で構成されたPWM信号とする位置の間隔を漸次狭くする。画像有効エリアの開始に近い位置では、9個の高周波クロック(CLK)とする位置の間隔を狭くし、有効エリアの終了付近では、9個の高周波クロック(CLK)とする位置の間隔を広くする。さらに、光路長La,Lbが異なることで、感光ドラム11の回転軸の傾きによる倍率のずれを補正するように、レーザ光毎に、9個の高周波クロック(CLK)とする位置の間隔を変えるようにしてもよい。すなわち、各レーザ光の光路長はLa<Lbという関係を有するので、感光ドラム11の回転軸の傾きによる片倍率の不均一さは、光路長Laに対して光路長Lbの走査のほうが大きくなる。そのため、走査長Xaを走査長Xbに合わせるようにしてもよい。
【0101】
また、1画素を形成するクロック数を変化させる主走査位置の間隔が均等になるように、カウンタ回路64が周期的に動作し、セレクタ回路83,84を所定値に切り替えるようにしてもよい。これにより、クロック周波数を変化させる箇所が均等に分散されるので、視覚的に安定感が生まれるような印字画像を得ることが可能になる。
【0102】
また、ランダムな周期を生成するようなランダム周期発生タイマ手段をカウンタ回路64内に設けることにより、1画素を構成する幅を変化させる点を空間的に分散させることが可能となる。これにより、目に付きやすいモワレを軽減することが可能となる。
【0103】
ここで、複数の光源のうち、1つの光源から発光されたレーザ光により走査される主走査ラインの走査倍率を基準として、他の光源から発光されたレーザ光により走査される主走査ラインの倍率が主走査倍率に一致するように、他の光源から発光されたレーザ光により走査される主走査ラインの走査倍率を補正する構成と、複数の光源から発光されたレーザ光のそれぞれにより走査される主走査ラインの走査倍率が予め設定された走査倍率に一致するように、複数の光源から発光されたレーザ光のそれぞれにより走査される主走査ラインの走査倍率を独立して補正する構成が考えられるが、いずれの構成を用いてもよいことはいうまでもない。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、像担持体の回転軸の正規位置からの傾きによる走査倍率の不均一さを均一するようにすることができ、高解像度の画像を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ走査制御装置を用いた画像形成装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1の露光制御部10の構成を模式的に示す平面図である。
【図3】図2のレーザ駆動装置31の半導体レーザ43に対する具体的な制御構成を示す回路図である。
【図4】図3の変調部48の構成を示すブロック図である。
【図5】図4の変調部48の分周回路61の入出力信号のタイミングチャートである。
【図6】図4の変調部48の変調回路62の入出力信号のタイミングチャートである。
【図7】図4の変調部48のカウンタ回路64および出力回路63の入出力信号のタイミングチャートである。
【図8】(a)はf−θレンズが無い場合、(b)はf−θレンズが有る場合の感光ドラム上の走査速度を模式的に示すための図である。
【図9】(a)はf−θレンズが無い場合、(b)はf−θレンズが有る場合の回転軸が角度α(rad)傾いた感光ドラム11上の走査速度を模式的に示すための図である。
【図10】図4の変調部48の出力回路63の構成を示すブロック図である。
【図11】感光ドラム11上の画像有効エリアの画素を構成する高周波クロックの個数の分布を模式的に示す図である。
【図12】図4のカウンタ回路64の構成を示すブロック図である。
【図13】主走査方向における倍率誤差の分布を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るレーザ走査制御装置における2つのレーザ光による感光ドラムに対する走査状態を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るレーザ走査制御装置の出力回路の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るレーザ走査制御装置の走査ライン長補正動作のタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 露光制御部
11 感光ドラム
31 レーザ駆動装置
33 ポリゴンミラー
34 f−θレンズ
43 半導体レーザ
60 PLL回路
61 分周回路
62 変調回路
63 出力回路
64 カウンタ回路
70 変調制御部
71a〜71j,81a〜81j フリップフロップ
72a〜72i,82a〜82i 2入力AND回路
73,74,83,84 2入力セレクタ回路
76,86 9入力OR回路
78,87 フリップフロップ

Claims (1)

  1. レーザ光で走査される像担持体を有する画像形成装置に用いられるレーザ走査制御装置であって、
    基本クロックに基づいて高周波クロックを出力する高周波クロック出力手段と、
    画像データを第1のパルス幅変調信号に変調する変調手段と、
    前記高周波クロック出力手段で出力される前記高周波クロックと前記高周波クロックに同期して入力される前記第1のパルス幅変調信号とに基づいて、1画素を複数個の高周波クロックで構成するように駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、
    前記像担持体の回転軸の正規位置からの傾き角度に基づく補正データを出力する補正データ出力手段と、を備え、
    前記駆動信号出力手段は、前記高周波クロックのエッジに同期してデータをラッチし、かつ出力端子が次のフリップフロップの入力端子に接続されるように縦続接続された所定数のフリップフロップと、それぞれ第1の入力端子と第2の入力端子を備え、前記第1の入力端子の各々に前記所定数のフリップフロップの各出力端子が接続され、かつ前記第2の入力端子の各々に前記第1のパルス幅変調信号が入力される所定数の論理積回路を有し、前記補正データ出力手段の出力する補正データと前記レーザ光の前記像担持体上での走査位置とに基づいて、前記所定数のフリップフロップで構成される縦続接続回路のうち所定のフリップフロップの出力端子からの信号を次のフリップフロップの入力端子へ入力させないように縦続接続数を選択して切り替えることで、前記変調手段で変調された前記第1のパルス幅変調信号から前記像担持体の軸方向における前記レーザ光で走査する位置に応じて1画素を構成する高周波クロックの個数を変化させた周期の第2のパルス幅変調信号を生成し、生成した前記第2のパルス幅変調信号を光源に出力することを特徴とするレーザ走査制御装置。
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