JP4305492B2 - スピーカーおよびスピーカーシステム - Google Patents

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Description

本発明は、小型又は薄型の動電型スピーカーで、特に、振動板と音導部材とを備え、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー、および、スピーカーシステムに関する。
音声を再生するスピーカーを取り付けるディスプレイ等の音響機器や、ゲーム機やスロットマシン等の遊戯機においては、スピーカーを取り付けるのに要する空間を小型化することが要望されている。特に、映像ならびに音声を再生するディスプレイ装置等に用いられるスピーカーでは、主に映像を投影する画面部を大きく確保するために、スピーカーの振動板の外形や、スピーカーの構造に制約がある場合がある。例えば、ディスプレイ装置の画面部分の周囲には、スピーカーを取り付けるバッフル部分が幅広く確保できないので、正面から見た場合に細長い形状のスピーカーであって、長軸および短軸を有する外形が略楕円形、トラック形もしくは長方形の振動板(以下、細長形状振動板という)を用いたスピーカーが使用されることがある。また、同じ理由により、振動板の形状にかかわらずその前面側に音道を設け、この音道から自由空間へ音波を放射する開口の形状を、細長形のスリット状にするスピーカーが使用されることがある。
例えば、奥行き寸法が大きいディスプレイに用いるスピーカーシステムであって、スピーカーと音響管とからなるものでは、一方向に開口部を有する音道管の奥部に円錐形振動板の凸面を前面に突出して装着したスピーカーを、円錐形振動板の凸面を音道管の内方向に挿入して取り付けて、音道管の軸とスピーカーの軸を直角に配置し、再生する音声の周波数特性を改善するスピーカーシステムがある。(特許文献1)。
また、振動板の前面側に音響管を備えたスピーカーにおいては、音響管の内部で定在波が発生して、再生する音声の周波数特性にピーク・ディップが生じる場合がある。従来には、音響管内に共振板を一体又は別体として設け、共振板で定材波の共振によるエネルギーを吸収して音圧ピークを制御しようとするものがある(特許文献2)。
特許第3211678号公報 特開平10−94081
しかしながら、ディスプレイ等の音響機器では、機器筐体内部側空間に配置される他の部品との関係から、スピーカーを取り付けるのに要する空間をさらに小型化することが強く要望されており、振動板の前面側に音響管もしくは音導部材を備えたスピーカーを使用する場合においても、さらに振動板を細長形状にするものがある。幅が狭い細長形状振動板を備えるスピーカーの前面側に音響管もしくは音導部材を設ける場合には、定在波が発生してその周波数特性(特に4kHz〜8kHz)にピーク・ディップが生じる場合があるという問題があり、前述のような共振板によるような定在波を吸収する手段を設けられないような場合には、良好な再生音声ができないという問題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、振動板の前面側に音導部材を備えたスピーカーにおいて、特に、振動板が細長形状振動板であっても、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するピーク・ディップが少ないスピーカー、および、スピーカーシステムを提供することにある。
本発明のスピーカーは、凹面を前面側とするコーン型振動板と、振動板の前面側に取り付ける音導部材と、を備え、音導部材が、振動板の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する遮蔽板と、前室空間から自由空間へ音波を放射する開口と、を有するスピーカーであって、開口が、遮蔽板の前面側投影面よりも小さい寸法の幅および高さを有する略矩形状開口であり、略矩形を形成する長辺のそれぞれに、略矩形状開口の端部から振動板側へ突出する開口内壁を備え 開口内壁が、コーン型振動板の凹面形状に対応する略台形状であり、コーン型振動板の静止時にコーン型振動板の振動板縁部よりも振動板面部側に至る突出寸法を有する
好ましくは、本発明のスピーカーは、振動板が、長軸方向および短軸方向を有する楕円型もしくはトラック型の振動板であり、音導部材の略矩形状開口が備える開口内壁が、長軸方向と平行する方向に形成された突出稜線を有する。
また、好ましくは、本発明のスピーカーは、略矩形状開口が備える開口内壁が、開口内壁を備えない場合に前室空間で発生する定在波の周波数において、略矩形状開口から自由空間へ放射する音波の合成音圧レベルを上昇させる。
また、本発明のスピーカーシステムは、上記のスピーカーと、スピーカーの音導部材を固定するキャビネットと、を備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のスピーカーは、振動板と、振動板の前面側に取り付ける音導部材と、を備えるスピーカーであって、音導部材が、振動板の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する遮蔽板と、前室空間から自由空間へ音波を放射する開口と、を有する。音導部材の遮蔽板により規定される前室空間は、スピーカーの振動板の前面側のフレーム周縁部に対応して規定される空間であり、一方、音導部材の開口は、遮蔽板の前面側投影面よりも小さい寸法の幅および高さを有する略矩形状開口、つまり、開口部分の形状が略矩形(長辺および短辺が直線である矩形の場合と、長辺または短辺が緩やかに湾曲している場合も含む。スリット形状ともいう。)の開口である。したがって、音導部材は、遮蔽板から略矩形状開口へと連通するところで、面積が狭く絞られたような音道を形成する。
略矩形状開口は、さらに略矩形を形成する長辺のそれぞれに、略矩形状開口の端部から振動板側へ突出する開口内壁を備える。つまり、開口内壁は、音導部材の略矩形状開口において振動板側へ突出する平面板状の部材であり、前室空間を横断するとともに、矩形を形成する一組の対向する長辺から突出することで、遮蔽板から略矩形状開口へと連通する音道を形成する。したがって、開口内壁が前室空間で発生しやすい定在波を抑制し、かつ、音道を形成するので、再生周波数特性にピーク・ディップが少ないスピーカーが実現される。
特に、振動板が長軸方向および短軸方向を有する楕円型もしくはトラック型の振動板である場合には、音導部材の略矩形状開口が備える開口内壁は、長軸方向と平行する方向に形成された突出稜線を有する。つまり、開口内壁では、開口端部から突出稜線にかけて形成される平面が、長軸方向と平行するように配置される。振動板が凹面を前面側とするコーン型振動板であれば、音導部材の略矩形状開口が備える開口内壁は、コーン型振動板の凹面形状に対応した突出寸法を有するように設計される。なお、コーン型振動板の凹面形状に対応した形状とは、開口内壁の位置におけるコーン型振動板の断面形状に略相似な形状であり、コーン型振動板の断面形状をオフセットしても、離隔間隔が一様である様子をいう。開口内壁は、前室空間の短軸方向で発生しやすい4kHz〜8kHzの定在波を抑制して、再生周波数特性に現れやすい大きなディップを解消することができる。
本発明のスピーカーでは、略矩形状開口が備える開口内壁が、開口内壁を備えない場合に前室空間で発生する定在波の周波数において、略矩形状開口から自由空間へ放射する音波の音圧レベルを上昇させる。言い換えると、本発明のスピーカーでは、略矩形状開口が備える開口内壁が、開口内壁を備えない場合に前室空間で発生する定在波の周波数において、開口内壁を備えない場合よりも定在波を減少させて、略矩形状開口における音圧分布を、音圧極小分布の面積よりも広い面積の音圧極大分布を発生させ、略矩形状開口における音圧分布から合成された音圧レベルを上昇させる。
略矩形状開口が備える開口内壁は、開口内壁を備えない場合に前室空間で発生する定在波の周波数において、開口内壁を備えない場合よりも定在波を減少させて、スピーカーの再生音圧レベルを上昇させる。すなわち、開口内壁は、遮蔽板で発生する定在波の周波数における略矩形状開口における音圧分布を変化させ、音圧極小分布の面積よりも広い面積の音圧極大分布を発生させる。具体的には、音圧極大分布は、略矩形状開口の両端側の第1音圧極大分布および第2音圧極大分布と、中央音圧極大分布と、を有し、中央音圧極大分布の両側に出現する音圧極小分布の合計面積よりも広い面積を構成する。したがって、略矩形状開口から自由空間へ放射する音波の合成音圧レベルは、開口内壁を備えない場合よりも上昇するので、再生周波数特性のピーク・ディップが解消される。
また、本発明のスピーカーと、その音導部材を固定するキャビネットと、を備えるスピーカーシステムは、略矩形状開口の幅が狭いだけでなく、振動板を細長形状振動板にすることができるので、スピーカーシステムを取り付けるのに要する空間をさらに小型化することが強く要望されているディスプレイ等の音響機器に内蔵するのに適している。
本発明のスピーカーは、振動板の前面側に音導部材を備え、振動板が細長形状振動板であっても、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するピーク・ディップが少ないスピーカー、および、スピーカーシステムを提供することができる。
本発明のスピーカーは、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するピーク・ディップが少ないスピーカーを提供するという目的を、音導部材が、振動板の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する遮蔽板と、前室空間から自由空間へ音波を放射する開口と、を有するスピーカーであって、開口が、遮蔽板の前面側投影面よりも小さい寸法の幅および高さを有する略矩形状開口であり、略矩形を形成する長辺のそれぞれに、略矩形状開口の端部から振動板側へ突出する開口内壁を備えるようにすることにより、実現した。
以下、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーおよびスピーカーシステムについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1を説明する図である。図1(a)は、スピーカー1を前面側斜め上側からみた斜視図であり、図1(b)は、スピーカー1を構成する動電型スピーカー2および音導部材10を、順番に並べて、背面側斜め上側から見た分解斜視図である。なお、後述するように、スピーカー1の一部の構造や、内部構造等は、説明を省略している。
本実施例のスピーカー1は、口径12cm×6cmの動電型スピーカー2と、動電型スピーカー2の前面側に音導部材10を取り付けて構成したスピーカーである。動電型スピーカー2は、前面視した場合にトラック型形状を有するコーン型振動板3(内周端部に連結するダストキャップおよび外周端部に連結するエッジを含む。)と、コーン型振動板3の背面側(コーン型振動板3の凸面側)に配置される磁気回路4と、コーン型振動板3および磁気回路4とを支持固定するフレーム5と、を備えるトラック型スピーカーである。コーン型振動板3は、連結されている(図示しない)ボイスコイルに音声信号電流が供給されると、ボイスコイルが磁気回路4の磁気空隙内で前後方向に振動する。その結果、コーン型振動板3から音波が放射され、音声信号電流は、音声に変換される。なお、コーン型振動板3は、スピーカーの振動板として代表的に用いられる、紙繊維を製紙して成形した紙振動板、樹脂を成形した樹脂振動板(織布または不織布等を基材として樹脂を含浸して成形した樹脂振動板を含む。)、他の材料でコーン型に形成した振動板であればよい。
音導部材10は、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂を金型に射出成型して形成した樹脂成型品部材であり、略平板状(厚み約2mm)のフレーム部11の中央部分に、コーン型振動板3の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する遮蔽板15と、音波を放射する開口16と、を有する。動電型スピーカー2に音導部材10を取り付けるには、フレーム5の取付孔51に(図示しない)ネジを貫通させ、フレーム部11に形成される取付突起のネジ孔13にネジを螺合させる。もちろん、音導部材10は、PP(ポリプロピレン)等の他の樹脂により成型してもよい。
また、本実施例のスピーカー1は、(図示しない)液晶ディスプレイ装置の画面部分の周囲に音導部材10の取付孔12を利用してネジ等により取り付けられ、ほぼ音波を放射する開口16のみが露出するように取り付けられる。つまり、スピーカー1は、液晶ディスプレイ装置に取り付けたスピーカー1を前面視する場合には、開口16以外の音導部材10の部分(フレーム部11、遮蔽板15)は、他の外観部品の背後に隠れて外観視されないように取り付けられる。なお、本実施例のスピーカー1は、図1に示すように、コーン型振動板3のトラック型形状の長軸方向が水平方向に、短軸方向が垂直方向になるように、配置されている。
音導部材10は、フレーム部11の背面側に動電型スピーカー2のフレーム5の周縁部に対応してトラック型形状に突出した壁面14を備え、壁面14の内側に遮蔽板15を有する。動電型スピーカー2に音導部材10を取り付けると、壁面14がフレーム5の周縁部に当接して、コーン型振動板3と、壁面14および遮蔽板15とは、コーン型振動板3の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する。遮蔽板15は、その前面側投影面よりも小さい寸法の幅および高さを有する略矩形状の開口16を有し、開口16から自由空間へ音波が放射される。なお、音導部材10の開口16は、(図示しない)液晶ディスプレイ装置に取り付ける関係から、遮蔽板15の前面側の表面から約0.5mm突出したところに形成されている。
音導部材10の略矩形状の開口16は、長辺の長さが約11cm、短辺の長さが約2cmのスリット形状であり、動電型スピーカー2のフレーム5の周縁部に対応する遮蔽板15の前面側投影面(約12cm×約6cm)よりも小さい寸法の幅(長辺)および高さ(短辺)である。遮蔽板15は、前面視した場合にコーン型振動板3の一部を遮蔽するように配置されることになり、また、開口16をコーン型振動板3から放射される直接音だけでなく、コーン型振動板3の前面側に形成される前室空間からの音波を放射することになる。すなわち、音導部材10は、前室空間から略矩形状の開口16へと連通するところで、面積が狭く絞られたような音道を形成する。
図2は、本実施例のスピーカー1の構造を説明する断面図である。図2(a)は、スピーカー1の図1(a)におけるA−A’断面図であり、図2(b)は、スピーカー1の図1(a)におけるB−B’断面図である。なお、図2では、コーン型振動板3が振動する前後方向が、図面上の上下方向として記載されている。
音導部材10の開口16は、長辺のそれぞれに開口16の端部からコーン型振動板3の側へ突出する開口内壁17および18を備えている。開口内壁17および18は、音導部材10の略矩形状の開口16において、コーン型振動板3の側へ突出する厚みが約2mmの平面板状の部材であり、水平方向(コーン型振動板3のトラック型形状の長軸方向と平行する方向)に形成された突出稜線を有し、音導部材10を樹脂で成型する工程で一体に形成される。開口内壁17および18は、コーン型振動板3の凹面形状に対応した略台形状の突出稜線を有し、その突出寸法は、最も突出するところで前面側端部から約9mm(=略矩形状の平面部分約2mm+略台形状の突出約7mm)である。したがって、コーン型振動板3の静止位置から約6mmオフセットしており、コーン型振動板3が前後に振動しても、コーン型振動板3が開口内壁17および18に接触して異音を発生するような不都合は生じない。
開口内壁17および18は、前室空間を水平方向に横断する2つの突出稜線を形成し、開口内壁17および18のそれぞれの開口端部から突出稜線にかけて形成される平面は、長軸方向と平行するように配置され、前室空間から略矩形状の開口16へと連通する音道を形成する。開口内壁17および18は、略矩形状の開口16を形成する一組の対向する長辺からコーン型振動板3の側へ前室空間内を突出するように形成されるので、前室空間の短軸方向(本実施例の場合は、垂直方向)で発生しやすい定在波を抑制する。つまり、開口内壁17および18が突出すると、前室空間で発生する定在波の空気の粒子速度が大きくなりにくくなり、その結果、定在波が抑制され、開口16から放射されるスピーカー1の再生周波数特性は、ピーク・ディップが少なくなる。
図3は、比較例のスピーカー19の構造を説明する断面図である。比較例のスピーカー19は、同一の口径12cm×6cmの動電型スピーカー2の前面側に、従来の音導部材20を取り付けて構成したスピーカーである。従来の音導部材20は、長辺のそれぞれに開口26の端部からコーン型振動板3の側へ突出する開口内壁を備えていないことを除いて、先の実施例における音導部材10とほぼ同じ構成である。したがって、共通する構成の部分の説明は、省略する。図3(a)は、比較例のスピーカー19について、図1(a)におけるA−A’断面に相当する断面図であり、図3(b)は、B−B’断面に相当する断面図である。
従来の音導部材20は、フレーム部の背面側に動電型スピーカー2のフレーム5の周縁部に対応してトラック型形状に突出した壁面24を備え、壁面24の内側に遮蔽板25を有する。動電型スピーカー2に音導部材20を取り付けると、壁面24がフレーム5の周縁部に当接して、コーン型振動板3と、壁面24および遮蔽板25とは、コーン型振動板3の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する。従来の音導部材20は、遮蔽板25から略矩形状の開口26へと連通するところで、面積が狭く絞られたような短い音道を形成しているとはいえ、遮蔽板25に略矩形状の開口26が設けられているにすぎない。この前室空間では定在波が発生しやすく、再生周波数特性にピーク・ディップが生じる。
図4は、スピーカーの軸上1m音圧周波数特性を表す図であり、図4(a)は、本実施例のスピーカー1の場合を表し、図4(b)は、比較例のスピーカー19の場合を表す。本実施例のスピーカー1では、音導部材10の開口16がコーン型振動板3の側へ突出する開口内壁17および18を備えているので、前室空間の短軸方向で定在波が発生しやすい4kHz〜8kHzの範囲において、音圧周波数特性の乱れが少なく、平坦な特性を実現している。一方、比較例のスピーカー19では、音導部材20の開口26は単なる開口にすぎないので、前室空間の短軸方向で発生しやすい定在波の影響を受けて、再生周波数特性における4kHz〜8kHzの範囲で、大きなディップが出現している。
図5は、音導部材を備えるスピーカーの略矩形状の開口における放射音圧分布を説明する図であり、測定用のマイクロホンを接近させて開口近傍音圧を測定する点線で区切られた15区分(横方向A〜E、および、縦方向I〜III)をそれぞれ表している。全ての区分の面積は、ほぼ同じになるように設定されている。図5(a)は、本実施例のスピーカー1の音導部材10の開口16の場合であり、一方、図5(b)は、比較例のスピーカー19の音導部材20の開口26の場合を表す。また、点線で区切られた15区分に記載された数値は、ともに再生する音波の周波数が約6.3kHzにおける開口近傍音圧の測定値[dB]であり、比較例の開口26の中央の区分(横方向の位置C、縦方向の位置II)での値を基準0dBとして相対的に表示したものである。なお、再生する音波の周波数:約6.3kHzは、図4に示すように、比較例では再生周波数特性におけるディップ部分に相当し、実施例では再生周波数特性における平坦部分に相当する。
比較例の場合を示す図5(b)を参照すると、全15区分の音圧分布は、再生周波数特性における大きなディップとなる周波数において約7dBの範囲(最小値−5.5dB〜最大値1.4dB)に収まっている。再生周波数特性におけるディップ部分に相当することから分かるように、定在波の影響を受けて全体的に低い音圧レベルになっている。
一方、実施例の場合を示す図5(a)を参照すると、全15区分の音圧分布は、横方向に隣り合う区分間で、顕著な音圧レベル差が生じていることが分かる。横方向に中央のC区分は、比較例の場合に比べて音圧レベルが約3.5dB以上も上昇しており、横方向の両端のA区分およびE区分では、さらに5.7dB〜10.7dBの範囲で上昇している。また、顕著な音圧上昇が見られた区分の間に位置する横方向のB区分並びにD区分では、反対に−20dB近い音圧低下が生じている。再生周波数特性における平坦部分に相当することから分かるように、開口全体からの放射音圧音圧レベルは上昇する。
図5に示すように、本実施例のスピーカー1では比較例のスピーカー19に比べて、音導部材10の開口16がコーン型振動板3の側へ突出する開口内壁17および18を備える結果、前室空間の短軸方向で発生しやすい定在波の影響を軽減して、略矩形状開口16から自由空間へ放射する音波の音圧レベルを上昇させている。本実施例のスピーカー1では、開口16が備える開口内壁17および18は、開口内壁を備えない比較例の前室空間で発生する定在波の周波数(6.3kHz)において定在波を減少させるので、略矩形状の開口16における音圧分布を、図5(b)の状態から図5(a)の状態へ変化させることができる。
つまり、開口内壁17および18は、略矩形状の開口16における音圧分布を、横方向のB区分並びにD区分に出現する音圧極小分布の面積よりも、横方向のA区分、C区分並びにD区分に出現する音圧極大分布の面積を、より大きくすることができる。音圧極大分布は、略矩形状の開口16の両端側の第1音圧極大分布(A区分)および第2音圧極大分布(E区分)と、中央音圧極大分布(C区分)と、を有し、中央音圧極大分布の両側に出現する音圧極小分布(B区分並びにD区分)の合計面積よりも広い面積を構成する。このように、音圧極小分布の面積より広い面積の音圧極大分布を発生させることで、略矩形状の開口16における音圧分布から放射された音波の合成した音圧レベルを上昇させる。
なお、本実施例のスピーカー1は、口径12cm×6cmのトラック型のコーン型振動板3を備える動電型スピーカー2の場合を示したが、動電型スピーカー2のコーン型振動板3は、外形が丸い丸形のコーン型振動板3であってもよい。従来の音導部材20を、丸形のコーン型振動板3の前面側に取り付けた場合にも、遮蔽板25が形成する前室空間では定在波が発生しやすく、略矩形状の開口26から放射される音波は、再生周波数特性にピーク・ディップが生じるからである。コーン型振動板3が丸形のコーン型振動板3であっても、本実施例に示したように、音導部材10の開口16にコーン型振動板3の側へ突出する開口内壁17および18を備えさせることにより、前室空間の定在波を抑制して、平坦な音圧周波数特性を実現することができる。
また、スピーカー1の音導部材10は、その開口16が、遮蔽板15の前面側投影面よりも小さい寸法の幅および高さを有する略矩形状の開口であればよい。開口16の形状は、長辺および短辺が直線である略矩形であればよく、長辺と短辺が交わる角に曲線部分があってもよい。さらに、略矩形の開口16の形状は、その長辺もしくは短辺が緩やかに湾曲していてもよい。略矩形の開口16の形状にかかわらず、開口16がコーン型振動板3の側へ突出する開口内壁17および18を備えることにより、前室空間の定在波を抑制して、平坦な音圧周波数特性を実現するからである。
また、開口内壁17および18の突出稜線の形状を規定する突出寸法は、上記の本実施例に限られない。開口内壁17および18は、コーン型振動板3の凹面形状に対応した形状の突出稜線を備えていればよく、コーン型振動板3の静止位置からほぼオフセットした形状であってもよい。略台形状の突出稜線である場合には、台形の上辺に相当する直線部分の長さは、長いほど好ましい。
本発明のスピーカー1は、液晶ディスプレイ等に内蔵するスピーカーとしてのみならず、音声を再生するスピーカーを内蔵するキャビネットを有する遊戯機等の機器にも適用が可能である。また、スピーカー1は、幅が狭い略矩形状開口が露出するだけなので、スピーカーシステムを取り付けるのに要する空間をさらに小型化することが強く要望されている車両用のスピーカーにも適する。
本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1を説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるスピーカー1の構造を説明する断面図である。(実施例1) 比較例のスピーカー19の構造を説明する断面図である。(比較例) 実施例および比較例のスピーカーの音圧周波数特性を説明する図である。 実施例および比較例のスピーカーの開口における音圧分布を説明する図である。
符号の説明
1、19 スピーカー
2 動電型スピーカー
3 コーン型振動板
4 磁気回路
5 フレーム
10、20 音導部材
15、25 遮蔽板
16、26 開口
17、18 開口内壁

Claims (4)

  1. 凹面を前面側とするコーン型振動板と、該振動板の前面側に取り付ける音導部材と、を備え、
    該音導部材が、該振動板の前面側へ放射される音波が入射する前室空間を規定する遮蔽板と、該前室空間から自由空間へ音波を放射する開口と、を有するスピーカーであって、
    該開口が、該遮蔽板の前面側投影面よりも小さい寸法の幅および高さを有する略矩形状開口であり、該略矩形を形成する長辺のそれぞれに、該略矩形状開口の端部から該振動板側へ突出する開口内壁を備え
    該開口内壁が、該コーン型振動板の該凹面形状に対応する略台形状であり、該コーン型振動板の静止時にコーン型振動板の振動板縁部よりも振動板面部側に至る突出寸法を有する、
    スピーカー。
  2. 前記振動板が、長軸方向および短軸方向を有する楕円型もしくはトラック型の振動板であり、前記音導部材の前記略矩形状開口が備える前記開口内壁が、該長軸方向と平行する方向に形成された突出稜線を有する、請求項1記載のスピーカー。
  3. 前記略矩形状開口が備える前記開口内壁が、該開口内壁を備えない場合に前記前室空間で発生する定在波の周波数において、該略矩形状開口から自由空間へ放射する音波の合成音圧レベルを上昇させる、請求項1または2に記載のスピーカー。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の前記スピーカーと、該スピーカーの前記音導部材を固定するキャビネットと、を備える、スピーカーシステム。
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