JP4304985B2 - 放射線画像変換パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関し、さらに詳しくは、放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って前記放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる放射線画像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
輝尽性蛍光体を利用して、人体等の放射線画像情報を放射線画像変換パネルに記録し、これを励起光で2次元的に走査して輝尽発光させ、この輝尽発光光を光電的に読み取り画像信号を得て、この画像信号に画像処理を施し診断画像に適した放射線画像を得る方法は広く知られている。
【0003】
輝尽発光光を効率的に集光し画像信号のS/N比を改善する手段として、放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って放射線画像の画像信号を得る方法が開示されている(特許文献1参照)。また、特許文献1に記載の放射線画像の画像信号を得る方法の改良技術として、放射線画像変換パネルの枠(エッジ)を補強することにより、搬送を容易にし、読み取りの際に必要とされるパネルの平面性を確保できる技術が開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−87970号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−5599号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載された技術では、放射線画像変換パネルの中央部分の変形を吸収できず、得られた放射線画像に輝度ムラが生じて診断適正に問題があった。
【0007】
そこで本発明は、放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる、平面性を保ち且つ放射線画像の輝度ムラの発生減少した放射線画像変換パネルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の手段により達成できる。
【0009】
(1) 放射線画像が蓄積記録された放射線画像変換パネルの片面に励起光を2次元的に走査し、該励起光の2次元走査により前記放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を該放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って前記放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる放射線画像変換パネルにおいて、前記放射線画像変換パネルはアクリル樹脂またはガラスからなる支持体上に厚みが10μm〜1000μmの輝尽性蛍光体層が設けられたものであって、該放射線画像変換パネルの変形が0.1以上5mm以下であり、該放射線画像変換パネルの総厚みが2mm以上10mm以下であり、かつ、支持体の、輝尽性蛍光体層の励起光走査側と反対側の輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であることを特徴とする放射線画像変換パネル。(第1の本発明)
【0010】
(2) 放射線画像が蓄積記録された放射線画像変換パネルの片面に励起光を2次元的に走査し、該励起光の2次元走査により前記放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を該放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って前記放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる放射線画像変換パネルにおいて、前記放射線画像変換パネルは、輝尽性蛍光体層の厚みが10μm〜1000μmで放射線画像変換パネルの総厚みが2mm以上10mm以下であり、且つ、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下の50μm〜1000μmの有機フィルム上に輝尽性蛍光体層が設けられたものが、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であり変形が0.1以上5mm以下のアクリル樹脂またはガラスからなる板状物の上に積層されたものであることを特徴とする放射線画像変換パネル。(第2の本発明)
【0011】
(3) 前記輝尽性蛍光体層は、輝尽性蛍光体としてEu賦活BaFIを含有することを特徴とする(1)または(2)項のいずれかに記載の放射線画像変換パネル。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明するが、特に断りのない限り、第1の本発明と第2の本発明を合わせて本発明という。
【0013】
本発明においては、励起光の2次元走査は、放射線画像が蓄積記録された放射線画像変換パネルの片面から行うものである。放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層が設けられた側から走査するものであっても、放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層が設けられた側と反対側(第1の本発明にあっては放射線画像変換パネルの支持体側、第2の本発明にあっては放射線画像変換パネルの板状物側)のいずれであってもよい。
【0014】
放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層が設けられた側から励起光の2次元走査を行う方法が好ましく、この場合、放射線画像変換パネルの裏面から発せられる輝尽発光光を読み取る手段は、励起光の走査点の真下に位置するように配置することが好ましい。
【0015】
また、放射線画像変換パネル全面にわたって励起光の2次元走査が行われていれば、励起光の2次元走査は放射線画像変換パネルを搬送している状態で行っても、固定した状態で行ってもよい。
【0016】
第1の本発明の放射線画像変換パネルは、支持体上に輝尽性蛍光体層が設けられたものであって、該放射線画像変換パネルの変形が0.1以上5mm以下であり、該放射線画像変換パネルの総厚みが2mm以上10mm以下であり、かつ、輝尽性蛍光体層の前記支持体側の輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であることを特徴とする。
【0017】
定盤上に放射線画像変換パネルを置き、その定盤に対する垂直方向の変化量を放射線画像変換パネルの変形とする。
【0018】
放射線画像変換パネルの総厚みは2mm以上10mm以下であることが必要である。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。また、放射線画像変換パネルは必要に応じて、下引層、保護層等を設けることが出来る。この場合、放射線画像変換パネルの総厚みとは、下引層、保護層等を含めた厚みを言う。
【0019】
第1の本発明の放射線画像変換パネルとして上記諸条件を満たせば、第1の本発明の放射線画像変換パネルに用いる支持体の素材としては任意の素材を幅広く選択することが出来るが、特に、アクリル樹脂、ガラスが好ましい。
【0020】
第2の本発明の放射線画像変換パネルは、放射線画像変換パネルの総厚みが2mm以上10mm以下であり、且つ、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下の有機フィルム上に輝尽性蛍光体層が設けられたものが、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であり変形が0.1以上5mm以下の板状物の上に積層されたものであることを特徴とする。
【0021】
第2の本発明の放射線画像変換パネルに用いる有機フィルムは、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下の有機フィルムであれば、各種高分子材料を用いることができる。特に、取り扱い上、可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0022】
また、これら有機フィルムの層厚は用いる有機フィルムの材質等によって異なるが、一般的には50μm〜1000μmであり、さらに好ましくは50μm〜500μmである。これらの有機フィルムの表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。さらに、これら有機フィルムは、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0023】
第2の本発明の放射線画像変換パネルに用いる板状物は、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であり変形が0以上5mm以下の板状物であれば、任意の素材を幅広く選択することが出来るが、特に、アクリル樹脂、ガラスが好ましい。
【0024】
なお、変形が0.1以上5mm以下とは、前記に記したと同じ状態で測定した変化量である。
【0025】
第2の本発明の放射線画像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。また、放射線画像変換パネルは必要に応じて保護層等を設けることが出来る。
【0026】
本発明の輝尽性蛍光体層で用いることのできる輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が一般的に使用される。
【0027】
以下に、好ましく用いることのできる輝尽性蛍光体の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
(1)特開昭55−12145号公報に記載されている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0029】
a)特開昭56−74175号公報に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′″3、式中、X′、X″、およびX′″はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号公報に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、Y2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5およびThO2などの金属酸化物
c)特開昭56−116777号公報に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号公報に記載されているB
e)特開昭57−23675号公報に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号公報に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号公報に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号公報に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号公報に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号公報に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号公報に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′″3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号公報に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号公報に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号公報に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0030】
(2)特開昭60−84381号公報に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0031】
a)特開昭60−166379号公報に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号公報に記載されているKX″、MgX′″2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′″およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号公報に記載されているB、特開昭60−228593号公報に記載されているSiO2、P2O5等の酸化物、特開昭61−120882号公報に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号公報に記載されているSiO;特開昭61−120885号公報に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号公報に記載されているCsX″、SnX′″2、式中、X″およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号公報に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である。
【0032】
(3)特開昭55−12144号公報に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0033】
(4)特開昭58−69281号公報に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0034】
(5)特開昭62−25189号公報に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0035】
(6)特開昭60−141783号公報に記載されているM(II)5(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0036】
(7)特開昭60−157099号公報に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0037】
(8)特開昭60−157100号公報に記載されているM(II)2(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0038】
(9)特開昭60−217354号公報に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0039】
(10)特開昭61−21173号公報に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0040】
(11)特開昭61−21182号公報に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0041】
(12)特開昭61−40390号公報に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0042】
(13)特開昭61−236888号公報に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0043】
(14)特開昭61−236890号公報に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0044】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、輝尽性蛍光体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例えば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、特に、輝尽性蛍光体がEu付加BaFI化合物、Eu付加BaFBrI化合物であることが好ましい。
【0045】
本発明で用いることのできる結合剤である高分子樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等を使用することが好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでもよい。
【0046】
用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、好ましくは、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることであり、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0047】
結合剤と架橋剤を適当な溶剤、例えば、輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して塗布液を調製する。架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、結合剤に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には、5〜50質量%であること好ましい。
【0048】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線画像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0049】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0050】
なお、塗布液には、該塗布液中における輝尽性蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と輝尽性蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。
【0051】
また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0052】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0053】
上記のようにして調製された塗布液を、支持体表面ないしは有機フィルム表面に均一に塗布することにより塗膜を形成することができる。塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。形成された塗膜は、その後加熱、乾燥する。
【0054】
保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0055】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0056】
本発明に係る保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いてもよい。
【0057】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0058】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。
【0059】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができる。
【0060】
本発明の放射線画像変換パネルは、以下に説明するような圧縮処理を施すこともできる。支持体あるいは下引層を設けた支持体上に輝尽性蛍光体層を塗設し、所望の条件で乾燥させて、輝尽性蛍光体層を形成して蛍光体シートとした後、例えば、通常直径1〜100cmの平滑性の高いニップローラーとそれに対面する加熱可能なローラーの間を温度と圧力をかけて処理する。この圧縮処理を施すことにより、輝尽性蛍光体層中における輝尽性蛍光体の充填率を向上させることができ、高い発光輝度と鮮鋭性の向上を達成できる。また、加圧、加熱条件を特定の条件とすることにより、圧縮処理時の蛍光体シートの高い均一性を得ることができる。
【0061】
カレンダーロールを用いた圧縮方法に関しては、特にその方法に制限はないが、例えば、「樹脂加工技術ハンドブック(高分子学会編):日刊工業新聞社編、1965年6月12日刊」に記載されている方法を参照して適用することができる。カレンダーロールとしては、特にその構造あるいは樹脂の種類等に制限はないが、例えば、内芯として鉄材を用いた高剛性基体と、その外周面を、例えば、硬質樹脂製の外筒で被覆したローラを挙げることができ、具体的には、エラグラス(金陽金属社製)、ミラーテックスロール(山内ゴム社製)等を挙げることができる。
【0062】
カレンダーロールによる圧縮処理は、線力として500N/cm〜5kN/cmの条件で行うことが好ましく、特に好ましくは、線力が1〜4kN/cmの条件である。圧縮条件を、上記で規定した範囲で行うことにより、輝尽性蛍光体層の、充填率、平滑性が向上し、この結果、輝尽性蛍光体の画像ムラが低減し、良好な鮮鋭性を得ることができる。特に、上記条件においては、支持体近傍の蛍光体層圧縮率が高まり、これにより、特に、放射線画像変換パネルの支持体側から輝尽性蛍光体層に向けX線を照射する方法において、効果を発揮することができる。上記条件において、線圧として500N/cm未満、高分子樹脂のガラス転移温度未満の温度では十分な圧縮率、平滑性が得られず、また、5kN/cm以上であると輝尽性蛍光体粒子の破壊、支持体の変形を招く恐れがあるため好ましくない。
【0063】
図1は、放射線画像が蓄積記録された本発明の放射線画像変換パネルPから該放射線画像を読み取る放射線画像読取装置の一例を示す概略図である。
【0064】
放射線画像変換パネルPは、図示しないモーターにより回転せしめられる無端ベルトEB1、EB2上に配置されている。放射線画像変換パネルPの上方には、励起光を発するレーザー光源Lと、そのレーザー光を反射偏向し、放射線画像変換パネルPを主走査するポリゴンミラーPMと、ポリゴンミラーPMを回転させるモータMとが配置されている。さらに、レーザー光が走査される位置の上方には、そのレーザー光の走査により発せられる輝尽発光光を上方より集光する光ガイドG1が近接して配置され、その下方には、輝尽発光光を下方より集光する光ガイドG2が放射線画像変換パネルPに対し垂直に配置されている。光ガイドG1、G2には、それぞれ輝尽発光光を光電的に検出するフォトマルチプライヤPM1、PM2が接続している。フォトマルチプライヤPM1、PM2は、それぞれ対数増幅器LogS1、LogS2に接続され、さらにこの対数増幅器LogS1、LogS2は、記憶装置MRYに接続されている。
【0065】
次いで、図1を用いて放射線画像読取装置により放射線画像変換パネルPから放射線画像を読み取る様子を説明する。放射線画像が蓄積記録された放射線画像変換パネルPを無端ベルトEB1、EB2上にセットする。この所定位置にセットされた放射線画像変換パネルPは、無端ベルトEB1、EB2により、矢印Y方向に搬送(副走査)される。一方、レーザー光源Lから発せられた光ビームはモータMにより駆動され矢印方向に高速回転するポリゴンミラーPMによって反射偏向され、放射線画像変換パネルPに入射し副走査の方向(矢印Y方向)と略垂直方向(図示せず)に主走査する。この光ビームが照射された放射線画像変換パネルPの箇所からは、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光が発せられる。放射線画像変換パネルPの表面からの輝尽発光光は光ガイドG1によって導かれ、フォトマルチプライヤPM1によって光電的に検出される。同様に、放射線画像変換パネルPの裏面からの輝尽発光光は光ガイドG2によって導かれ、フォトマルチプライヤPM2によって光電的に検出される。
【0066】
フォトマルチプライヤPM1から出力されたアナログ出力信号S1は対数増幅器LogS1で対数的に増幅されて記憶装置MRYに入力される。ここで、内蔵されたA/D変換器(図示せず)でデジタル化され、画像信号Sp1(図示せず)が得られる。フォトマルチプライヤPM2から出力されたアナログ出力信号S2は対数増幅器LogS2で対数的に増幅されて記憶装置MRYに入力される。ここで、内蔵されたA/D変換器(図示せず)でデジタル化され、画像信号Sp2(図示せず)が得られる。これらの画像信号Sp1とSp2は、記憶装置MRYの演算器により足し合わされて、最終的な画像信号が得られる。この最終的な画像の信号レベルは、放射線画像変換パネルPの各画素から発せられた輝尽発光光の光量の対数と比例している。
【0067】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0068】
〔放射線画像変換パネルの作製〕
(輝尽性蛍光体の調製)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.15mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成した後、分級して平均粒径が4μmのユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体を調製した。
【0069】
(輝尽性蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体を100gとポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン63SS 固形分濃度30%)16.7gとをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度を25〜30Pa・sに調整して、輝尽性蛍光体層塗布液を調製した。
【0070】
(蛍光体シートの作製)
上記調製した輝尽性蛍光体層塗布液を用いて、ドクターブレードにより、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート支持体(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は65%)上に膜厚が230μmとなるように塗布した後、100℃で30分間乾燥させて輝尽性蛍光体層を形成した。
【0071】
次いで、輝尽性蛍光体層を塗布、乾燥した後、図2に示す構成からなるロール群により、圧縮処理を行った。
【0072】
圧縮部は、直列3本型ロール構成で、2本のヒートロール9−1、9−3及び1本のコンプライアントロール9−2で2ニップを形成し、輝尽性蛍光体層形成面にコンプライアントロールが接するように調整した。符号6は供給ロール、符号10は巻き取りロール、符号8は乾燥ゾーン、符号7は支持体、符号4はコータをそれぞれ表す。また、符号Dは搬送方向を示す。ヒートロール9−1、9−3は、直径300mmφ、表面が0.2Sのものを用い、コンプライアントロール9−2は、直径250mmφ、硬さはショアーD75°で、クラウン量が0μm、JIS−B−0601で規定される中心線平均表面粗さRaが0.4μmのポリエステル製のミラーテックスロール(山内ゴム製)を用いた。また、圧縮処理は、ヒートロール温度を70℃に設定し、1kN/cmの線圧に調整して行った。
【0073】
(防湿性保護フィルムの作製)
上記作製した蛍光体シートの蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0074】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0075】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0076】
(放射線画像変換パネル1の作製)
前記作製した蛍光体シートを、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着、封止して、放射線画像変換パネル1を作製した(試料1)。
【0077】
尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0078】
(放射線画像変換パネル2の作製)
放射線画像変換パネル1の支持体裏面の外周縁部にアルミニウム製の補強枠を設け、放射線画像変換パネル2を作製した(試料2)。
【0079】
(放射線画像変換パネル3の作製)
放射線画像変換パネル1の支持体裏面を0.5mm厚のアクリル樹脂板(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は95%)に固定し、放射線画像変換パネル3を作製した(試料3)。
【0080】
(放射線画像変換パネル4の作製)
放射線画像変換パネル1の支持体裏面を2.0mm厚のアクリル樹脂板(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は85%)に固定し、放射線画像変換パネル4を作製した(試料4)。
【0081】
(放射線画像変換パネル5の作製)
放射線画像変換パネル1の支持体裏面を8.0mm厚のアクリル樹脂板(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は50%)に固定し、放射線画像変換パネル5を作製した(試料5)。
【0082】
(放射線画像変換パネル6の作製)
放射線画像変換パネル1の支持体裏面を12mm厚のアクリル樹脂板(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は35%)に固定し、放射線画像変換パネル6を作製した(試料6)。
【0083】
(放射線画像変換パネル7の作製)
放射線画像変換パネル1の支持体裏面を2.0mm厚のガラス板(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は95%)に固定し、放射線画像変換パネル7を作製した(試料7)。
【0084】
(放射線画像変換パネル8の作製)
放射線画像変換パネル1の作製において、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート支持体に代えて厚さ2.0mmのガラス板(輝尽発光光(405nmの光)の透過率は95%)を用いた以外は、放射線画像変換パネル1と同様にして放射線画像変換パネル8を作製した(試料8)。
【0085】
〔放射線画像変換パネルの性能評価〕
図1に示した放射線画像読取装置を用いて、上記各試料について性能を評価した。なお、レーザー光源としては、He−Neレーザー光源(633nm)を用いた。
【0086】
図3のように、放射線画像変換パネル上に等間隔に並んだ36の測定点において、輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光光を受光してその強度を測定し各測定点間の強度のバラツキから輝度ムラを評価した。
【0087】
各パネルの輝度は、基準のパネルとして試料1を用い、決められた領域(5cm×5cm)における決められた一点の輝尽発光強度を1としたときの各プレートの各測定点における相対発光強度を算出したもので、輝度ムラは、各パネルの各測定点における輝度の最大値と最小値の幅を36点の測定点の強度の平均値で割りこれを%で表したものである。実用上は、輝度ムラが15%以内であれば許容範囲である。又、平均輝度は25点の平均値を示した。
【0088】
〔評価結果〕
評価結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1の結果より、本発明の試料は、得られた放射線画像の輝度ムラの発生が少ないことが分かる。
【0091】
【発明の効果】
放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる、平面性を保ち且つ、放射線画像の輝度ムラの発生が減少した放射線画像変換パネルを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線画像が蓄積記録された本発明の放射線画像変換パネルから該放射線画像を読み取る放射線画像読取装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の放射線画像変換パネルに対する圧縮処理の実施形態の一例を示す概略図である。
【図3】放射線画像変換パネル上に等間隔に並んだ36の測定点を示す図である。
【符号の説明】
P 放射線画像変換パネル
L レーザー光源
PM ポリゴンミラー
G1、G2 光ガイド
PM1、PM2 フォトマルチプライヤ
S1、S2 アナログ出力信号
LogS1、LogS2 対数増幅器
Claims (3)
- 放射線画像が蓄積記録された放射線画像変換パネルの片面に励起光を2次元的に走査し、該励起光の2次元走査により前記放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を該放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って前記放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる放射線画像変換パネルにおいて、前記放射線画像変換パネルはアクリル樹脂またはガラスからなる支持体上に厚みが10μm〜1000μmの輝尽性蛍光体層が設けられたものであって、該放射線画像変換パネルの変形が0.1以上5mm以下であり、該放射線画像変換パネルの総厚みが2mm以上10mm以下であり、かつ、支持体の、輝尽性蛍光体層の励起光走査側と反対側の輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
- 放射線画像が蓄積記録された放射線画像変換パネルの片面に励起光を2次元的に走査し、該励起光の2次元走査により前記放射線画像変換パネルの両面から発せられる輝尽発光光を該放射線画像変換パネルの各面からそれぞれ読み取って前記放射線画像の画像信号を得る方法に用いられる放射線画像変換パネルにおいて、前記放射線画像変換パネルは、輝尽性蛍光体層の厚みが10μm〜1000μmで放射線画像変換パネルの総厚みが2mm以上10mm以下であり、且つ、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下の50μm〜1000μmの有機フィルム上に輝尽性蛍光体層が設けられたものが、輝尽発光光の透過率が30%以上99%以下であり変形が0.1以上5mm以下のアクリル樹脂またはガラスからなる板状物の上に積層されたものであることを特徴とする放射線画像変換パネル。
- 前記輝尽性蛍光体層は、輝尽性蛍光体としてEu賦活BaFIを含有することを特徴とする請求項1または2項に記載の放射線画像変換パネル。
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