JP2005037204A - 放射線画像変換パネル、その製造方法及び撮影方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮鋭性、感度(輝度)共に優れた放射線画像変換パネル、その製造方法及び撮影方法の提供。
【解決手段】支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向の支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0°〜35°であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向の支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0°〜35°であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像(以下、放射線像ともいう)変換パネル、その製造方法及び撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代る方法として、たとえば特開昭55−12145号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも称する)を利用するもので、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。
【0003】
この放射線像変換方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。従って、この方法は、特に医療診断を目的とするX線撮影等の直接医療用放射線撮影において利用価値の非常に高いものである。
【0004】
放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその片面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。なお、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、この輝尽性蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0005】
輝尽性蛍光体層は一般に、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるものであり、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものである。
【0006】
従って、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。
【0007】
この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0008】
放射線像変換方法は上述のように非常に有利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれる。
【0009】
放射線像変換パネルの感度は、基本的にはパネルに含有されている輝尽性蛍光体の総輝尽発光量に依存し、この総発光量は蛍光体自体の発光輝度によるのみならず、蛍光体層における蛍光体の含有量によっても異なる。
【0010】
蛍光体の含有量が多いことはまたX線等の放射線に対する吸収も大であることを意味するから、一層高い感度が得られ、同時に画質(特に、粒状性)が向上する。一方、蛍光体層における蛍光体の含有量が一定である場合には、蛍光体粒子が密に充填されているほどその層厚を薄くすることができるから、散乱による励起光の広がりを少なくすることができ、相対的に高い鮮鋭度を得ることができる。
【0011】
放射線像変換パネルは、蛍光体層を圧縮処理することで、蛍光体層中の蛍光体の密度をそれまでの放射線像変換パネルよりも高くしたものであった。その結果、この放射線像変換パネルは優れた鮮鋭度を持つものとなったが、その反面、圧縮処理により蛍光体が一部破壊されるために粒状性という面ではむしろ劣化してしまう場合があるという問題があった。(例えば、特許文献1、2を参照)
また、上記問題を解決する目的の特許が公告になっているが、粒状性、鮮鋭性共、良好な結果は得られていない。(例えば、特許文献3を参照)
【0012】
【特許文献1】
特開昭59−126299号公報
【0013】
【特許文献2】
特開昭59−126300号公報
【0014】
【特許文献3】
特公平8−27398号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鮮鋭性、感度(輝度)共に優れた放射線画像変換パネル、その製造方法及び撮影方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0017】
1.支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向の支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0°〜35°であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0018】
2.前記輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体粒子の充填率が60〜95%であり、且つ、輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子の平均粒径1〜20μmであることを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネル。
【0019】
3.前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
【0020】
4.撮影時の管電圧が10〜40kVであることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0021】
5.前記輝尽性蛍光体がEu賦活BaFIであることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0022】
6.前記1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、輝尽性蛍光体、樹脂及び溶剤を混合、分散される塗料の粘度が10〜2000cpであり、塗布1回の乾燥膜厚が10〜100μmになるように塗布し、少なくとも2回以上の塗布により塗膜を形成することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【0023】
7.前記1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴とする撮影方法。
【0024】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
はじめに、輝尽性蛍光体層について説明する。
【0025】
本発明は支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向が支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0〜35°で有り、そうすることにより、鮮鋭性、輝度(感度)に優れた放射線画像変換パネルを提供することができた。
【0026】
《蛍光体粒子のアスペクト比の測定及び平均アスペクト比の算出》
支持体上に内部標準となる粒径既知のラテックスボールと主平面が平行に配向するように蛍光体粒子を塗布した試料を作製し、予め設定した角度からカーボン蒸着法によりシャドーイングを施した後、通常の方法によってレプリカ試料を作製する。得られたレプリカ試料の電子顕微鏡写真を撮影し、画像処理装置を用いて個々の粒子の影(シャドー)の長さからアスペクト比を算出した。
【0027】
上記のようなアスペクト比の測定を任意に選択した800個以上の蛍光体粒子について行い、平均アスペクトを算出した。
【0028】
請求項3の発明は、前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであり、且つ、前記記載の放射線画像変換パネルであることを特徴としており、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0029】
請求項6の発明は輝尽性蛍光体、樹脂及び溶剤を混合、分散される塗料の粘度が10〜2000cpであり、塗布1回の乾燥膜厚が10〜100μmになるように塗布し、少なくとも2回以上の塗布により塗膜を形成する放射線画像変換パネルの製造方法であり、該製造方法で作製された本発明の放射線画像変換パネルは、本願の効果(鮮鋭性、輝度共にに優れている)をいかんなく発揮することが出来る。
【0030】
配向角度は平均アスペクト比と同様にレプリカ試料の電子顕微鏡写真を撮影しした。任意の500個の蛍光体粒子の長径面の支持体との角度を測定し、その平均値として求めた。
【0031】
尚、粘度はC型粘度計を用いて求めた塗料の粘度である。
請求項7の発明は、前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであり、且つ、撮影時に管電圧10〜40kV以下で、前記の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴としており、そうすることにより、鮮鋭性、輝度に優れた画像が得られる。
【0032】
本発明の輝尽性蛍光体層は塗布型輝尽性蛍光体層(以下、塗布型蛍光体層ともいう)であることが好ましい。
【0033】
塗布型蛍光体層は、主に蛍光体粒子と高分子樹脂より構成され、支持体上にコーターを用いて塗設、形成される。
【0034】
塗布型蛍光体層で用いることのできる輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に使用される。
【0035】
以下に、本発明の塗布型蛍光体層で好ましく用いることのできる蛍光体の例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1−X,M(II)X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0037】
a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′″3、式中、X′、X″、およびX′″はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、Y2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5およびThO2などの金属酸化物
c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号に記載されているB
e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′″3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0038】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0039】
a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′″2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′″およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P2O5等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′″2、式中、X″およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である。
【0040】
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0041】
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0042】
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0043】
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0044】
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0045】
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0046】
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0047】
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0048】
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0049】
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0050】
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0051】
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0052】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、輝尽性蛍光体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例えば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、本発明においては、特に、輝尽性蛍光体がEu賦活BaFIであることが好ましい。
【0053】
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、請求項4に係る発明では、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが特徴であり、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでも良い。
【0054】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線画像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0055】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0056】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0057】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0058】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0059】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【0060】
本発明においては、前記輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体粒子の充填率が60〜95%であり、且つ、輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子の平均粒径1μm〜20μmであることをが望ましく、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0061】
上記の範囲以外であると、若干であるが、鮮鋭性が充分に得られない場合がある。
【0062】
蛍光体の充填率は以下の方法で求めることができる。
蛍光体充填率の測定
各蛍光体シートの保護層を剥離除去し、メチルエチルケトンを用いて蛍光体層を剥離又は溶出し、濾過、乾燥し電気炉を使って600℃で1時間焼成して表面の樹脂を除去した。蛍光体の質量をMg、蛍光体層膜厚をPcm、溶出に使用した蛍光体シート面積をQcm2、蛍光体比重をRg/cm3としたとき、
蛍光体充填率=〔M/(P×Q×R)〕×100(%)
によって算出する。
【0063】
平均粒径は電子顕微鏡で輝尽性蛍光体中の粒子を無作為に100個の粒径を求め、その平均値とした。
【0064】
塗布型の蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0065】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0066】
本発明に係る保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0067】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0068】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0069】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0071】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0072】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0073】
本発明で用いることのできる結合剤である高分子樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等を使用することが好ましい。
【0074】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0075】
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0076】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0077】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0078】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【0079】
本発明で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、好ましくは、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることであり、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0080】
本発明において、高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば、輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して塗布液を調製する。
【0081】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましい。
【0082】
請求項7の発明は、前記輝尽性蛍光体層の膜厚が200μm以下であり、撮影時の管電圧30kV以下で、前記1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴とする撮影方法であり、該撮影方法により、輝度、鮮鋭性共、優れた画像が得られる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0084】
《放射線画像変換パネルの作製》
〔放射線画像変換パネル1の作製〕
(蛍光体の調製)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.15mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成した後、分級して平均粒径が4μmのユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの蛍光体1を調製した。
【0085】
蛍光体1の作製において、分吸条件を変更し、表1に示す平均アスペクト比の蛍光体2〜15の蛍光体を作製した。
【0086】
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製した蛍光体を100gとポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン63SS 固形分濃度30%)16.7gとをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度を25〜30Pa・sに調整して、蛍光体層塗布液を調製した。
【0087】
(蛍光体シート1の作製)
上記調製した蛍光体層塗布液を用いて、ドクターブレードにより、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に、塗布幅として1000mmで膜厚が230μmとなるように塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて蛍光体層1を形成した。
【0088】
(防湿性保護フィルムの作製)
上記作製した蛍光体シート1〜10の蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0089】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0090】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0091】
また、蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィルムは、CPP30μm/アルミフィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0092】
蛍光体シート1において、表1の如く、平均アスペクト比、塗料の粘度、配向角度、蛍光体粒子の充填率及び、塗布回数を変更した以外は蛍光体シート1と同様にして、蛍光体シート2〜10を作製した。
【0093】
尚、蛍光体粒子の充填率は、詳細な説明で述べた方法で求めた。
(放射線画像変換パネルの作製)
前記作製した蛍光体シート1〜10を、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着、封止して、放射線画像変換パネル1〜10を作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0094】
(鮮鋭性の評価)
鮮鋭性については、変調伝達関数(MTF)を求め評価した。
【0095】
各放射線像変換パネルにCTFチャートを貼りつけた後、80kVpのX線を10mR(被写体までの距離;1.5m)照射した後、蛍光体層Aを有する面側から半導体レーザ光(690nm、パネル上でのパワー40mW)を照射して、直径100μmφの半導体レーザ光でCTFチャートを走査読みとって求めた。表1の記載の値は、2.0lp/mmにおける放射線画像変換パネル1のMTF値を100とし、各パネルについて相対値で求めたものである。
【0096】
輝度(感度)の評価
各放射線画像変換パネルについて、以下に示す方法に従って輝度の測定を行った。
【0097】
輝度の測定は、各放射線画像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定して、これを輝度と定義し、放射線変換パネル1の輝度を100とした、相対値で表示した。
【0098】
【表1】
【0099】
【発明の効果】
実施例で実証された如く、本発明による放射線画像変換パネルその製造方法及び撮影方法は、鮮鋭性、感度(輝度)共に優れた効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像(以下、放射線像ともいう)変換パネル、その製造方法及び撮影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代る方法として、たとえば特開昭55−12145号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも称する)を利用するもので、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。
【0003】
この放射線像変換方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。従って、この方法は、特に医療診断を目的とするX線撮影等の直接医療用放射線撮影において利用価値の非常に高いものである。
【0004】
放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその片面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。なお、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、この輝尽性蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0005】
輝尽性蛍光体層は一般に、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるものであり、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものである。
【0006】
従って、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。
【0007】
この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0008】
放射線像変換方法は上述のように非常に有利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれる。
【0009】
放射線像変換パネルの感度は、基本的にはパネルに含有されている輝尽性蛍光体の総輝尽発光量に依存し、この総発光量は蛍光体自体の発光輝度によるのみならず、蛍光体層における蛍光体の含有量によっても異なる。
【0010】
蛍光体の含有量が多いことはまたX線等の放射線に対する吸収も大であることを意味するから、一層高い感度が得られ、同時に画質(特に、粒状性)が向上する。一方、蛍光体層における蛍光体の含有量が一定である場合には、蛍光体粒子が密に充填されているほどその層厚を薄くすることができるから、散乱による励起光の広がりを少なくすることができ、相対的に高い鮮鋭度を得ることができる。
【0011】
放射線像変換パネルは、蛍光体層を圧縮処理することで、蛍光体層中の蛍光体の密度をそれまでの放射線像変換パネルよりも高くしたものであった。その結果、この放射線像変換パネルは優れた鮮鋭度を持つものとなったが、その反面、圧縮処理により蛍光体が一部破壊されるために粒状性という面ではむしろ劣化してしまう場合があるという問題があった。(例えば、特許文献1、2を参照)
また、上記問題を解決する目的の特許が公告になっているが、粒状性、鮮鋭性共、良好な結果は得られていない。(例えば、特許文献3を参照)
【0012】
【特許文献1】
特開昭59−126299号公報
【0013】
【特許文献2】
特開昭59−126300号公報
【0014】
【特許文献3】
特公平8−27398号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鮮鋭性、感度(輝度)共に優れた放射線画像変換パネル、その製造方法及び撮影方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0017】
1.支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向の支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0°〜35°であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0018】
2.前記輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体粒子の充填率が60〜95%であり、且つ、輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子の平均粒径1〜20μmであることを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネル。
【0019】
3.前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
【0020】
4.撮影時の管電圧が10〜40kVであることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0021】
5.前記輝尽性蛍光体がEu賦活BaFIであることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0022】
6.前記1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、輝尽性蛍光体、樹脂及び溶剤を混合、分散される塗料の粘度が10〜2000cpであり、塗布1回の乾燥膜厚が10〜100μmになるように塗布し、少なくとも2回以上の塗布により塗膜を形成することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【0023】
7.前記1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴とする撮影方法。
【0024】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
はじめに、輝尽性蛍光体層について説明する。
【0025】
本発明は支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向が支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0〜35°で有り、そうすることにより、鮮鋭性、輝度(感度)に優れた放射線画像変換パネルを提供することができた。
【0026】
《蛍光体粒子のアスペクト比の測定及び平均アスペクト比の算出》
支持体上に内部標準となる粒径既知のラテックスボールと主平面が平行に配向するように蛍光体粒子を塗布した試料を作製し、予め設定した角度からカーボン蒸着法によりシャドーイングを施した後、通常の方法によってレプリカ試料を作製する。得られたレプリカ試料の電子顕微鏡写真を撮影し、画像処理装置を用いて個々の粒子の影(シャドー)の長さからアスペクト比を算出した。
【0027】
上記のようなアスペクト比の測定を任意に選択した800個以上の蛍光体粒子について行い、平均アスペクトを算出した。
【0028】
請求項3の発明は、前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであり、且つ、前記記載の放射線画像変換パネルであることを特徴としており、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0029】
請求項6の発明は輝尽性蛍光体、樹脂及び溶剤を混合、分散される塗料の粘度が10〜2000cpであり、塗布1回の乾燥膜厚が10〜100μmになるように塗布し、少なくとも2回以上の塗布により塗膜を形成する放射線画像変換パネルの製造方法であり、該製造方法で作製された本発明の放射線画像変換パネルは、本願の効果(鮮鋭性、輝度共にに優れている)をいかんなく発揮することが出来る。
【0030】
配向角度は平均アスペクト比と同様にレプリカ試料の電子顕微鏡写真を撮影しした。任意の500個の蛍光体粒子の長径面の支持体との角度を測定し、その平均値として求めた。
【0031】
尚、粘度はC型粘度計を用いて求めた塗料の粘度である。
請求項7の発明は、前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであり、且つ、撮影時に管電圧10〜40kV以下で、前記の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴としており、そうすることにより、鮮鋭性、輝度に優れた画像が得られる。
【0032】
本発明の輝尽性蛍光体層は塗布型輝尽性蛍光体層(以下、塗布型蛍光体層ともいう)であることが好ましい。
【0033】
塗布型蛍光体層は、主に蛍光体粒子と高分子樹脂より構成され、支持体上にコーターを用いて塗設、形成される。
【0034】
塗布型蛍光体層で用いることのできる輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に使用される。
【0035】
以下に、本発明の塗布型蛍光体層で好ましく用いることのできる蛍光体の例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1−X,M(II)X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0037】
a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′″3、式中、X′、X″、およびX′″はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、Y2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5およびThO2などの金属酸化物
c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号に記載されているB
e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′″3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0038】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0039】
a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′″2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′″およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P2O5等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′″2、式中、X″およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である。
【0040】
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0041】
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0042】
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0043】
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0044】
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0045】
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO4)3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0046】
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0047】
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0048】
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0049】
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0050】
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0051】
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0052】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、輝尽性蛍光体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例えば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、本発明においては、特に、輝尽性蛍光体がEu賦活BaFIであることが好ましい。
【0053】
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、請求項4に係る発明では、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが特徴であり、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでも良い。
【0054】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線画像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0055】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0056】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0057】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0058】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0059】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【0060】
本発明においては、前記輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体粒子の充填率が60〜95%であり、且つ、輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子の平均粒径1μm〜20μmであることをが望ましく、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0061】
上記の範囲以外であると、若干であるが、鮮鋭性が充分に得られない場合がある。
【0062】
蛍光体の充填率は以下の方法で求めることができる。
蛍光体充填率の測定
各蛍光体シートの保護層を剥離除去し、メチルエチルケトンを用いて蛍光体層を剥離又は溶出し、濾過、乾燥し電気炉を使って600℃で1時間焼成して表面の樹脂を除去した。蛍光体の質量をMg、蛍光体層膜厚をPcm、溶出に使用した蛍光体シート面積をQcm2、蛍光体比重をRg/cm3としたとき、
蛍光体充填率=〔M/(P×Q×R)〕×100(%)
によって算出する。
【0063】
平均粒径は電子顕微鏡で輝尽性蛍光体中の粒子を無作為に100個の粒径を求め、その平均値とした。
【0064】
塗布型の蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0065】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0066】
本発明に係る保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0067】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0068】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0069】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0071】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0072】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0073】
本発明で用いることのできる結合剤である高分子樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体等を使用することが好ましい。
【0074】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0075】
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0076】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0077】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0078】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【0079】
本発明で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、好ましくは、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることであり、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0080】
本発明において、高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば、輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して塗布液を調製する。
【0081】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましい。
【0082】
請求項7の発明は、前記輝尽性蛍光体層の膜厚が200μm以下であり、撮影時の管電圧30kV以下で、前記1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴とする撮影方法であり、該撮影方法により、輝度、鮮鋭性共、優れた画像が得られる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0084】
《放射線画像変換パネルの作製》
〔放射線画像変換パネル1の作製〕
(蛍光体の調製)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.15mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成した後、分級して平均粒径が4μmのユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの蛍光体1を調製した。
【0085】
蛍光体1の作製において、分吸条件を変更し、表1に示す平均アスペクト比の蛍光体2〜15の蛍光体を作製した。
【0086】
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製した蛍光体を100gとポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン63SS 固形分濃度30%)16.7gとをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度を25〜30Pa・sに調整して、蛍光体層塗布液を調製した。
【0087】
(蛍光体シート1の作製)
上記調製した蛍光体層塗布液を用いて、ドクターブレードにより、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に、塗布幅として1000mmで膜厚が230μmとなるように塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて蛍光体層1を形成した。
【0088】
(防湿性保護フィルムの作製)
上記作製した蛍光体シート1〜10の蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0089】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0090】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0091】
また、蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィルムは、CPP30μm/アルミフィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0092】
蛍光体シート1において、表1の如く、平均アスペクト比、塗料の粘度、配向角度、蛍光体粒子の充填率及び、塗布回数を変更した以外は蛍光体シート1と同様にして、蛍光体シート2〜10を作製した。
【0093】
尚、蛍光体粒子の充填率は、詳細な説明で述べた方法で求めた。
(放射線画像変換パネルの作製)
前記作製した蛍光体シート1〜10を、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着、封止して、放射線画像変換パネル1〜10を作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0094】
(鮮鋭性の評価)
鮮鋭性については、変調伝達関数(MTF)を求め評価した。
【0095】
各放射線像変換パネルにCTFチャートを貼りつけた後、80kVpのX線を10mR(被写体までの距離;1.5m)照射した後、蛍光体層Aを有する面側から半導体レーザ光(690nm、パネル上でのパワー40mW)を照射して、直径100μmφの半導体レーザ光でCTFチャートを走査読みとって求めた。表1の記載の値は、2.0lp/mmにおける放射線画像変換パネル1のMTF値を100とし、各パネルについて相対値で求めたものである。
【0096】
輝度(感度)の評価
各放射線画像変換パネルについて、以下に示す方法に従って輝度の測定を行った。
【0097】
輝度の測定は、各放射線画像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を蛍光体シート支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定して、これを輝度と定義し、放射線変換パネル1の輝度を100とした、相対値で表示した。
【0098】
【表1】
【0099】
【発明の効果】
実施例で実証された如く、本発明による放射線画像変換パネルその製造方法及び撮影方法は、鮮鋭性、感度(輝度)共に優れた効果を有する。
Claims (7)
- 支持体上に下引き層、輝尽性蛍光体層及び保護層をこの順に有する放射線画像変換パネルにおいて、輝尽性蛍光体の平均アスペクト比が2〜10であり、且つ、長径方向の支持体面に対する角度の絶対値(配向角度)が0°〜35°であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
- 前記輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体粒子の充填率が60〜95%であり、且つ、輝尽性蛍光体中の蛍光体粒子の平均粒径1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
- 前記輝尽性蛍光体層の膜厚が50〜200μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
- 撮影時の管電圧が10〜40kVであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
- 前記輝尽性蛍光体がEu賦活BaFIであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法において、輝尽性蛍光体、樹脂及び溶剤を混合、分散される塗料の粘度が10〜2000cpであり、塗布1回の乾燥膜厚が10〜100μmになるように塗布し、少なくとも2回以上の塗布により塗膜を形成することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを用いて撮影することを特徴とする撮影方法。
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JP2003199069A JP2005037204A (ja) | 2003-07-18 | 2003-07-18 | 放射線画像変換パネル、その製造方法及び撮影方法 |
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JPWO2017017751A1 (ja) * | 2015-07-27 | 2017-08-03 | 株式会社ニレコ | 青果物選別装置及び青果物選別方法 |
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2003
- 2003-07-18 JP JP2003199069A patent/JP2005037204A/ja active Pending
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