JP2004138440A - 放射線画像変換パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に少なくとも輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と、該蛍光体層上に積層された保護層とを備えてなる放射線画像変換パネルにおいて、該保護層が炭化水素系合成ゴムの膜であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関し、さらに詳しくは、画像ムラが少なく、鮮鋭度が高く、防湿性が良好な放射線画像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像で代表される放射線画像は、病気診断用等多方面に渡り用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過した放射線を、蛍光体層(蛍光スクリーンとも言う)に照射し、蛍光体層で発生した可視光を、ハロゲン化銀写真感光材料(以降、単に感光材料とも言う)等に照射し、その後の現像処理を施して可視画像を得る、いわゆる放射線写真方式が主に利用されている。しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0003】
上記方法としては、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を、例えば光または熱エネルギーで励起することにより、この蛍光体が、X線の吸収により蓄積した放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し、画像化する方法である。具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号等に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法である。
【0004】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを利用するもので、詳しくは、この放射線画像変換パネルの蛍光体層に、被写体を透過した放射線を当て、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線等の電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば、光電変換した電気信号として取り出し、この信号をハロゲン化銀写真感光材料等の既存の画像記録材料、あるいはCRT等に代表される画像表示装置上に、可視像として再生する方法である。
【0005】
上記の放射線画像記録の再生方法は、従来の放射線用感光材料と増感紙とを組合せて用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0006】
放射線画像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた蛍光体層または自己支持性の蛍光体層からなり、蛍光体層は、通常、輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合剤からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。また、凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。さらに、蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には、通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層が設けられる。
【0007】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。従来より放射線画像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、例えば、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ硼酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78153号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン蛍光体;特開平7−233369号に記載の液相から析出させた14面体希土類金属賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;等が知られている。
【0008】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、及びヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示す。
【0009】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用できることが利点の一つである。すなわち、従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線用感光材料を消費するのに対して、この放射線画像変換方法では、放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
上記のような使用形態において、放射線画像変換パネルには、得られる放射線画像の画質を劣化させることなく、長期間の使用に耐える性能を付与することが強く要求される。
【0011】
しかしながら、放射線画像変換パネルの製造に用いられる上記輝尽性蛍光体の多くは、一般に吸湿性が高く、通常の気候条件の室内に長期間放置すると、空気中の水分を吸収し、時間の経過とともに著しく特性が劣化するという欠点を有している。例えば、輝尽性蛍光体を高湿度条件下に置くと、吸収した水分の増大に伴って、輝尽性蛍光体の放射線感度が低下する。
【0012】
従来、輝尽性蛍光体の吸湿による前記の劣化現象を防止するには、透湿度の低い防湿性保護層で蛍光体層を被覆することにより、蛍光体層に到達する水分を低減させる方法が提案、実施されている。
【0013】
一般的に用いられているシリカやアルミナ等の無機酸化物の蒸着により防湿性を付与した蒸着フィルムは、加工性や透明性、防湿性及び酸素透過性が温度や湿度の影響を受けづらい等の観点より、医療用輝尽性蛍光体プレート用の保護層等に用いられている。近年、これらの蒸着フィルムは、透明で中身の確認ができることや、熱安定性が高くレトルト殺菌ができる、電子レンジによる中身の加熱が可能等の利点を生かして、主に食品分野で不透明なアルミラミネートフィルムの代替えとして普及してきた。
【0014】
透湿度の低い防湿性保護層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、金属酸化物、酸化珪素、窒化珪素等の無機薄膜を蒸着したフィルムを2〜8枚積層してなる積層フィルムで真空封止して使用する方法等が知られているが、これらの方法においてはフィルムを数枚積層するため光学的に不均一になりやすく、画質が悪化する場合が多い。また、PETフィルムにもその製造過程にある延伸等により光学的に異方性を持つ場合が多く、画質にムラが出てしまう等の問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルにおいて、十分な防湿性を維持しつつ、かつ画像ムラが少なく、輝度、鮮鋭度が高い放射線画像変換パネルを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成により達成することができた。
【0017】
1.支持体上に少なくとも輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と、該蛍光体層上に積層された保護層とを備えてなる放射線画像変換パネルにおいて、該保護層が炭化水素系合成ゴムの膜であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0018】
2.炭化水素系合成ゴムの基本骨格がブチルゴムまたはポリイソブチレンであることを特徴とする上記1記載の放射線画像変換パネル。
【0019】
3.炭化水素系合成ゴムの膜厚が、2〜30μmであることを特徴とする上記1または2記載の放射線画像変換パネル。
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
請求項1に係る発明では、支持体上に蛍光体層を有する蛍光体シートと保護層からなる放射線画像変換パネルにおいて、保護層が炭化水素系合成ゴム膜であることが特徴である。
【0021】
本発明に用いられる炭化水素系合成ゴムとは、構成元素が主に炭素及び水素からなり主鎖が炭素の合成ゴムを言い、ジエン系ゴム(スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等)、オレフィン系ゴム(ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、アクリルゴム等)等が挙げられる。
【0022】
その中でも防湿性の観点からブチルゴム、さらにはポリイソブチレンが最も好ましい形態である。また、ゴム骨格の中に接着性や表面性を改良するために塩素や臭素等のハロゲン、シアノ基、その他の官能基を導入してもよい。また、それと共に硬化剤を添加してゴム膜を硬化させてもよい。
【0023】
また、請求項3に係る発明では、蛍光体層面側の保護層である炭化水素系合成ゴム膜の膜厚が2〜30μmの範囲にあることが、防湿性と鮮鋭性とを両立する上で好ましく、さらには5〜20μmであることが好ましい。
【0024】
本発明の保護層としては、蒸着フィルムに代えて炭化水素系合成ゴム膜とすることで防湿性を付与することができる。この場合の積層方法としては、一般に知られているいかなる方法でもよいが、ゴム溶液を蛍光体表面に塗布、乾燥して樹脂膜を設ける方法や、仮支持体に設けた樹脂膜を蛍光体層上に転写させる方法、あるいは仮支持体上に設けた樹脂膜の上に蛍光体を設けた後、仮支持体を剥離する方法等が膜の均一性の面で好ましい。塗布には公知の塗布装置を用いることができる。例えば、ワイヤーバー、ドクターブレード、ナイフコーター、ロールコーター、リップコーター等が挙げられる。また、蛍光体面上に設ける場合は、蛍光体塗布時に同時重層塗布するのも好ましい形態の一つである。
【0025】
蛍光体層は、輝尽性蛍光体粒子を、溶媒にて分散した分散液、もしくは輝尽性蛍光体粒子が結合剤の溶媒溶液に分散した蛍光体分散液を、支持体の表面に塗布して乾燥硬化させる方法により形成される。本発明においては、輝尽性蛍光体の粒子または組成物として、波長600〜900nmの励起光により波長300〜500nmの輝尽発光光を放出する下記のような輝尽性蛍光体の粒子または組成物を用いることができる。
【0026】
米国特許第3,859,527号に記載されているSrS:Ce、Sm、SrS:Eu、Sm、ThO2:Er及びLa2O2S:Eu、Sm、特開昭55−12142号に記載されているZnS:Cu、Pb、BaO・xAl2O3:Eu(但し、0.8<x≦10)及びMIIO・xSiO2:A(但し、MIIはMg、Ca、Sr、Zn、CdまたはBaであり、AはCe、Tb、Eu、Tm、Pb、Tl、BiまたはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、特開昭55−12143号に記載されている(Ba1−x−y、Mgx、Cay)FX:aEu2+(但し、XはCl及びBrのうちの少なくとも一種であり、x及びyは、0<x+y≦0.6、かつxy≠0であり、aは10−6≦a≦5×10−2である)。
【0027】
特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(但し、LnはLa、Y、Gd及びLuのうちの少なくとも一種、XはCl及びBrのうちの少なくとも一種、AはCe及びTbのうちの少なくとも一種、そしてxは0<x<0.1である)、特開昭55−12145号に記載されている(Ba1−x、M2+ x)FX:yA(但し、M2+はMg、Ca、Sr、Zn及びCdのうちの少なくとも一種、XはCl、Br及びIのうちの少なくとも一種、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb及びErのうち少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい:特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M3X″′3(ただし、X′、X″、及びX″′はそれぞれCl、Br及びIのうち少なくとも一種であり、M3は三価金属である)
特開昭55−160078号に記載されているMIIFX・xA:yLn(但し、MIIはBa、Ca、Sr、Mg、Zn及びCdのうちの少なくとも一種、AはBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、Y2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TlO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5及びThO2のうちの少なくとも一種、LnはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Sm及びGdのうちの少なくとも一種、XはCl、Br及びIのうちの少なくとも一種であり、x及びyはそれぞれ5×10−5≦x≦0.5及び0<y≦0.2である)の組成式で表される蛍光体。
【0028】
特開昭56−116777号に記載されている(Ba1−x、MIIx)F2・aBaX2:yEu、zA(但し、MIIはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛及びカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素、臭素及び沃素のうちの少なくとも一種、Aはジルコニウム及びスカンジウムのうちの少なくとも一種であり、a、x、y及びzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10−6≦y≦2×10−1及び0<z≦10−2である)の組成式で表される蛍光体、特開昭57−23673号に記載されている(Ba1−x、MIIx)F2・aBaX2:yEu、zB(但し、MIIはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛及びカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素、臭素及び沃素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y及びzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10−6≦y≦2×10−1及び0<z≦2×10−1である)の組成式で表される蛍光体。
【0029】
特開昭57−23675号に記載されている(Ba1−x、MIIx)F2・aBaX2:yEu、zA(但し、MIIはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛及びカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素、臭素及び沃素のうちの少なくとも一種、Aは砒素及び硅素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y及びzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10−6≦y≦2×10−1及び0<z≦5×101である)の組成式で表される蛍光体。
【0030】
特開昭58−69281号に記載されているMOX:xCe(但し、MはPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、XはCl及びBrのうちの何れか一方またはその両方であり、xは0<x<0.1である)の組成式で表される蛍光体、特開昭58−206678号に記載されているBa1−xMx/2Lx/2FX:yEu2+(但し、MはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al3、Ga、In及びTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属を表し、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し、そしてxは10−2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1である)の組成式で表される蛍光体。
【0031】
特開昭59−27980号に記載されているBaFX・xA:yEu2+(但し、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、Aはテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物であり、そしてxは10−6≦x≦0.1、yは0<y≦0.1である)の組成式で表される蛍光体、特開昭59−47289号に記載されているBaFX・xA:yEu2+(但し、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、Aはヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸及びヘキサフルオロジルコニウム酸の一価若しくは二価金属の塩からなるヘキサフルオロ化合物群より選ばれる少なくとも一種の化合物の焼成物であり、そしてxは10−6≦x≦0.1、yは0<y≦0.1である)の組成式で表される蛍光体、特開昭59−56479号に記載されているBaFX・xNaX′:aEu2+(但し、X及びX′は、それぞれCl、Br及びIのうちの少なくとも一種であり、x及びaはそれぞれ0<x≦2及び0<a≦0.2である)の組成式で表される蛍光体、特開昭59−56480号に記載されているMIIFX・xNaX′:yEu2+:zA(但し、MIIは、Ba、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、AはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiより選ばれる少なくとも一種の遷移金属であり、そしてxは0<x≦2、yは0<y≦0.2及びzは0<z≦10−2である)の組成式で表される蛍光体。
【0032】
特開昭59−75200号に記載されているMIIFX・aMIX′・bM′X″2・cMIIIX″′3・xA:yEu2+(但し、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′はBe及びMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、MIIIはAl、Ga、In及びTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、X′、X″及びX″′は、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてaは0≦a≦2、bは0≦b≦10−2、cは0≦c≦10−2、かつa+b+c≧10−6であり、xは0<x<0.5、yは0<y≦0.2である)の組成式で表される蛍光体、一般式MIIX2・aMIIX′2:xEu2+(但し、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、X及びX′はCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、且つX≠X′であり、そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x<0.2である)で表される蛍光体等が挙げられる。
【0033】
なお、上記一般式MIIX2・aMIIX′2:xEu2+で表される蛍光体には、bMIX″(但し、MIはRb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10.0である):cKX″・dMgX″′2・eMIIIX″″3(但し、MIIIはSc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X″、X″′及びX″″は何れもF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてc、d及びeはそれぞれ0≦c≦2.0、0≦d≦2.0、0≦e≦2.0であって、かつ2×10−5≦c+d+eである)、yB(但し、yは2×10−4≦y≦2×10−1である)、及びfA(但し、AはSiO2及びP2O5からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であり、そしてfは10−4≦f≦2×10−1である)で示される添加物がMIIX2・aMIIX′21モル当たり以下の割合で含まれていてもよい。
【0034】
特開昭60−101173号に記載されているM1X′(ただし、M1は、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)
特開昭61−23679号に記載されているM2′X′2・M2′X″2(ただし、M2′は、Ba、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、X′及びX″はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である)
特開昭61−264084号に記載されているLnX″3(ただし、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)
特開昭60−84381号に記載されているM2X2・aM2X′2:xEu2+(ただし、M2はBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X及びX′はCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦0.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体。また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;特開昭60−166379号に記載されているM1X″(ただし、M1はRb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX″′2、M3X″″3(ただし、M3はSc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X″′及びX″″はいずれもF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭60−228592号に記載されているB;特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P2O5等の酸化物;特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″(ただし、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2(ただし、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX″′2(ただし、X″及びX″′はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);及び特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+(ただし、X″はF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である)。
【0035】
特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(ただし、LnはLa、Y、Gd、及びLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、及びIのうち少なくとも一つ;AはCe及びTbのうち少なくとも一つ;そして、xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0036】
特開昭58−69281号に記載されているM3OX:xCe(ただし、M3は、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、及びIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0037】
特開昭62−25189号に記載されているM1X:xBi(ただし、M1はRb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0038】
特開昭60−141783号に記載されているM25(PO4)3X:xEu2+(ただし、M2はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、XはF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0039】
特開昭60−157099号に記載されているM22BO3X:xEu2+(ただし、M2はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0040】
特開昭60−157100号に記載されているM22PO4X:xEu2+(ただし、M2はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0041】
特開昭60−217354号に記載されているM2HX:xEu2+(ただし、M2はCa、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0042】
特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+(ただし、Ln及びLn′はそれぞれY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、X及びX′はそれぞれF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり、aは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0043】
特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM1X′:xCe3+(ただし、LnはY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、M1はLi、Na、K、Cs及びRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0044】
特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+(ただし、LnはY、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、XはF、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、aは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0045】
特開昭61−236888号に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+(ただし、X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、aは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0046】
特開昭61−236890号に記載されているM2X2・aM1X′:xEu2+(ただし、M2はBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、M1はLi、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X及びX′はそれぞれCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、aは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等を挙げることができる。
【0047】
以上の蛍光体のうち、本発明においては、二価ユーロビウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、二価ユーロビウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体及び希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体が、高輝度の輝尽発光を示すので特に好ましい。しかし、本発明に用いられる輝尽性蛍光体は、上述の蛍光体に限定されるものではなく、放射線を照射した後に波長600〜900nmの励起光を照射すると波長300〜500nmの輝尽発光光を放出する蛍光体であれば、いかなるものであってもよい。
【0048】
本発明の放射線画像変換パネルで用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が適宜選択して用いられる。特に、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえば、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0049】
また、これら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は、滑面であってもよいし、蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。さらに、これら支持体は、蛍光体層との接着性を向上させる目的で、蛍光体層が設けられる面に下引加工を施してもよい。
【0050】
また、防湿性の観点から支持体の裏面には防湿層が設けられていることが好ましい。防湿層はアルミ箔、アルミ箔ラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム、酸化アルミ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等をラミネートしてもよいし、前述の炭化水素系合成ゴム膜を用いてもよい。
【0051】
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;及び、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子物質等により代表される結合剤を挙げることができる。このような結合剤の中で、特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物及びポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は、架橋剤によって架橋されたものであってもよい。蛍光体層は、例えば、次のような方法により下塗層上に形成することができる。まず、輝尽性蛍光体及び結合剤に適当な溶剤を添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子及び該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製した後、蛍光シート形成用支持体上に均一に塗設することにより作製することができる。
【0052】
一般に、結合剤の混合比率は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量等によって一様ではないが、概ね輝尽性蛍光体1質量部に対して、0.01〜1質量部で使用される。しかしながら、得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭度の観点からは、結合剤はより少ない方が好ましく、塗布容易性との観点からは、0.03〜0.2質量部がより好ましい。
【0053】
蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル、トリオール、キシロール等の芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0054】
なお、蛍光体層用塗布液には、塗布液中での輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体粒子との間の結合力を向上させるための可塑剤等、種々の添加剤を混合してもよい。このような目的で用いられる分散剤としては、例えば、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸からなる親油性界面活性剤等を挙げることができる。また、可塑剤の例としては、例えば、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニル等の燐酸エステル類;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル類;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル等のグリコール酸エステル類;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステル等のポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステル等を挙げることができる。
【0055】
蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル及び超音波分散機等の分散装置を用いて行うことができる。上記のようにして調製された蛍光体層用の塗布液は、公知の塗布装置を用いて、支持体上に塗設される。この塗布操作は、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等を用いて行なうことができる。次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥し、下塗層上への蛍光体層の形成を完了する。
【0056】
本発明の放射線画像変換パネルの蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結着剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
【0057】
続いて蛍光体層上に前述の方法で保護層を設ける。
以上のようにして、支持体上に蛍光体層及び保護層が塗設された蛍光体シートを作製した後、所定の大きさに断裁する。断裁にあたっては、その方法について特に制限はないが、作業性及び断裁精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が好ましい。
【0058】
続いて、所定の大きさに断裁されたシートのエッジ部に保護処理を行う。ここに用いられる保護剤は前述の蛍光体の結合剤として用いられる樹脂やシリコーン樹脂、フッ素樹脂、UV硬化樹脂、ブチルゴム等の合成ゴム系樹脂が用いられる。これらは必要に応じて硬化剤により硬化されていてもよい。保護剤はディスペンサーまたは刷毛等により設けられるがこれに限定されるものではない。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
実施例1
《放射線画像変換パネルの作製》
(蛍光体シートの作製)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、3.6モル/LのBaI2水溶液2780mlと0.2モル/LのEuI3水溶液27mlを反応器に入れ、この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。ついで、8モル/Lの弗化アンモニウム水溶液322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。
【0061】
次に沈澱物を濾別した後、エタノールにより洗浄し、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。これに、焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより、平均粒径7μmの粒子を得た。
【0062】
蛍光体層形成材料として、上記作製したユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gを、メチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30PSの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて、裏面にアルミバリアフィルムをラミネートした厚さ100μmの黒色ポリエチレンテレフタレート支持体上に塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて、膜厚が230μmの蛍光体層を有する蛍光体シートを作製した。
【0063】
(保護層の作製)
表1記載の保護層1(アルミナ蒸着PETフィルム12μm、東洋メタライジング社製)に接着剤としてウレタン系接着剤を3μmの厚みで塗布して膜厚15μmとし、前記蛍光体シートとラミネートした。これを20cm×20cmに断裁し、エッジ部をエポキシ系樹脂(AW136H、(株)スリーボンド社製)でコーティング、硬化処理して放射線画像変換パネル1を作製した。
【0064】
保護層2〜7(炭化水素系合成ゴムTB1171、(株)スリーボンド社製)を表1記載の膜厚になるようにナイフコーターを用いて、前記蛍光体シートの上に塗布した。これを20cm×20cmに断裁し、エッジ部をエポキシ系樹脂(AW136H、(株)スリーボンド社製)でコーティング、硬化処理して放射線画像変換パネル2〜7を作製した。
【0065】
《放射線画像変換パネルの評価》
以上のようにして作製した放射線画像変換パネル1〜7について、下記に示す評価を行った。
【0066】
(鮮鋭度の評価)
鮮鋭度については、放射線画像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換してハードディスクに記録し、記録をコンピューターで分析してハードディスクに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)を調べ、空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値(%)を測定した。放射線画像変換パネルの25カ所について測定しその平均値を鮮鋭度と定義する。MTF値が高いほど良好な鮮鋭度が得られるので好ましい。
【0067】
なお、表1にはMTF値の平均値を元に、下記基準で4段階評価した。
◎:MTF値の平均値が60%以上
○:MTF値の平均値が55%以上、60%未満
△:MTF値の平均値が50%以上、55%未満
×:MTF値の平均値が50%未満
(画像ムラの評価)
各放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し出力装置より2倍に拡大してプリントアウトし、得られたプリント画像を目視により観察して画像ムラの出現を評価した。画像ムラについて、下記に示す基準で5段階のランク評価を行った。
【0068】
◎:画像ムラが全くない
○:面内の1〜2個所に淡い画像ムラがある
△:面内の3〜4個所に淡い画像ムラがある
×:面内の5個所以上に画像ムラがある
××:面内の5個所以上に濃い画像ムラがある
(防湿性の評価)
放射線画像変換パネルを各々10枚サンプリングし、初期感度を測定した。次いで、40℃、相対湿度90%の環境下で3ヶ月間保存した後、再び感度を測定し、初期感度に対する3ヶ月後の感度の比を算出した。この場合、値が1に近い程、保護層の透湿度の変動及び感度劣化が少なく、防湿性がよいことを示す。なお、表1には、各10サンプルの感度の比の平均値を元に、下記基準で4段階評価した。
【0069】
◎:感度の比の平均値が0.95以上
○:感度の比の平均値が0.90以上、0.95未満
△:感度の比の平均値が0.80以上、0.90未満
×:感度の比の平均値が0.80未満
なお、上記の感度測定は、放射線画像変換パネルに、管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定し、その値を感度と定義した。
【0070】
以上により得られた結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1より明らかなように、本発明に係る構成の放射線画像変換パネルは、画像ムラが少なく、鮮鋭度が高く、防湿性が良好であることが判った。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルにおいて、十分な防湿性を維持しつつ、かつ画像ムラが少なく、輝度、鮮鋭度が高い放射線画像変換パネルを提供することができた。
Claims (3)
- 支持体上に少なくとも輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と、該蛍光体層上に積層された保護層とを備えてなる放射線画像変換パネルにおいて、該保護層が炭化水素系合成ゴムの膜であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
- 炭化水素系合成ゴムの基本骨格がブチルゴムまたはポリイソブチレンであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像変換パネル。
- 炭化水素系合成ゴムの膜厚が、2〜30μmであることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像変換パネル。
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