JP4304596B2 - 二酸化炭素の分離無害化処理方法とその装置 - Google Patents

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本発明は、地球汚染物質である二酸化炭素を炭素と酸素とに分離して当該炭素をリサイクル可能にするための二酸化炭素の分離無害化処理方法とその装置に関する。
従来、二酸化炭素を無害化して処理する方法は皆無に等しく、敢えて二酸化炭素を廃棄処理する場合には、これを容器に収容させてから地下深部に埋設する方法が採られているのが現状である。
特に無し
しかしながら上記従来例においては、地球全体を汚染するトン単位程度の大量の二酸化炭素を一度に埋設処理するには、作業効率が悪いものであって、しかも処理に要する時間もかなり掛かり過ぎてしまい、コストも大幅に高くなってしまう等の問題点を有している。
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、大容量の二酸化炭素を効率良く短時間に炭素と酸素とに分離可能とし、当該炭素だけをリサイクル可能にすることができ、しかも処理に要する時間やコストも大幅に低減できるものとした二酸化炭素の分離無害化処理方法とその装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明にあっては、
処理すべき二酸化炭素を水に溶解させる溶解工程Aと、この二酸化炭素溶解水に強磁性シーデイング剤を添加するシーデイング剤添加工程Bと、シーデイング剤添加工程後の二酸化炭素溶解水を高磁力発生可能な電磁石4または高温超伝導による電磁石4の高勾配磁界内に導入して炭素イオンと酸素イオンとに磁気分離させる磁気分離工程Cと、磁気分離した炭素イオンを、電磁石4の磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状,筒状等に形成された吸着フィルタ6によって捕獲する炭素捕獲工程Dとから成ることを特徴とする。 電磁石4は、炭素イオンの弱磁性磁化率の値に対応して発生磁場の大きさを5テスラから10テスラ範囲の間で可変すべく成したものとすることができる。
前記強磁性シーデイング剤として、弱磁性磁化率を有する炭素イオンを磁気分離力を介して効率良く捕獲可能にすべく二酸化炭素溶解水中に水酸化鉄,フェライト,マンガン,αヘマタイト,ドラバイト,トルマリン等の強磁性シーデイング剤を添加したものとすることができる。
25〜50kHz帯域の高周波電源を使った高周波電流を印加させることによって二酸化炭素水溶液中の炭素と酸素の結合をイオン解離して捕獲させる工程を含むものとできる。
処理すべき二酸化炭素を水に溶解させる溶解タンク2と、この二酸化炭素溶解水に強磁性シーデイング剤を添加するシーデイング剤添加タンク5と、シーデイング剤添加工程B後の二酸化炭素溶解水を高勾配磁界内に導入して炭素イオンと酸素イオンとに磁気分離させ、磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状,筒状等に形成された吸着フィルタ6によって、磁気分離した炭素イオンを捕獲可能にした電磁石4とを循環流路3に沿って配設して成るものとすることができる。
二酸化炭素水溶液中の炭素と酸素の結合をイオン解離して捕獲させるよう25〜50kHz帯域の高周波電源を使った高周波電流を印加可能にした金属製のスパイラルフィルタが、このスパイラル回転軸と循環管路3とが略同軸となるように当該循環管路3内側に張設配置されているものとできる。
以上のように構成された本発明に係る二酸化炭素の分離無害化処理方法とその装置にあって、溶解工程Aは、二酸化炭素の有するオストワルトの溶解度係数β=0.828(水25℃)に基づいて、短時間に二酸化炭素を水に溶解させ、弱酸性の二酸化炭素水溶液を得る。また、シーデイング剤添加工程Bは、二酸化炭素溶解水中に水酸化鉄,フェライト,マンガン,αヘマタイト,ドラバイト,トルマリン等の強磁性シーデイング剤を添加し、後段の磁気分離工程Cにおいて、弱磁性磁化率を有する炭素イオンと結合して強磁性粒子と同様に磁気分離させる。また、磁気分離工程Cは、シーデイング剤添加工程B後の二酸化炭素溶解水を高磁力発生可能な電磁石4または高温超伝導による電磁石4等の5テスラから10テスラ範囲の高勾配磁界内に導入して炭素と酸素とに磁気分離させる。炭素捕獲工程Dは、前記磁気分離した炭素を、電磁石4の磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状、筒状等に形成された吸着フィルタ6によってリサイクル可能な状態で完全捕獲させる。
本発明は以上のように構成されているために、大容量の二酸化炭素を効率良く短時間に炭素と酸素とに分離可能とし、当該炭素だけをリサイクル可能にすることができ、しかも処理に要する時間やコストも大幅に低減することができる。
尚、上記の課題を解決するための手段および発明の効果の項において付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
以下、本発明を実施する最良の形態を図面を参照して説明すると、図に示される符号1は、液体ヘリウムや液体窒素を用いずに冷凍機で直接冷却可能な例えばソレノイド型・スプリット型の高温超伝導による電磁石4を用いた永久電流運転が可能な所謂超伝導ドライマグネット方式によって二酸化炭素を磁気分離して無害化するための装置本体である。尚、この二酸化炭素を構成する炭素の磁化率は−7.2×10−6cm3/gであって、また二酸化炭素はオストワルトの溶解度係数がβ=0.828(水25℃)を有し、その水溶液は弱酸性を示すことは周知のことである。また、電磁石4としては、高温超伝導電磁石を利用する替わりに、通常の永久磁石によるコアと、これに巻装されるコイルとによって構成される少なくとも5テスラ以上の高磁力を発生可能とした一般的な電磁石4を使用しても良いことはもちろんである。
図1に示すように、装置本体1は、処理すべき二酸化炭素を水に溶解させるべく例えば全体が攪拌振動できるようにして成る溶解タンク2と、この二酸化炭素溶解水に、例えば水酸化鉄,フェライト,マンガン,αヘマタイト,ドラバイト,トルマリン等の強磁性シーデイング剤を添加するシーデイング剤添加タンク5と、シーデイング剤添加工程B後の二酸化炭素溶解水を、例えば5テスラから10テスラ範囲の高勾配磁界内に導入して炭素と酸素とに磁気分離させ、磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状,筒状等に形成された吸着フィルタ6によって、磁気分離した炭素を捕獲可能にした高温超伝導による電磁石4とを循環流路3に沿って配設して成る。
このとき溶解タンク2内部には、所定量の水を常時供給させてあり、これに所定のガス圧で二酸化炭素を供給してから溶解タンク2全体を攪拌させると常温でも短時間で二酸化炭素が水に溶解し、溶解タンク2内の二酸化炭素のガス容積は急激に減少するものである。そして、二酸化炭素水溶液の溶解タンク2に操作弁7を介して接続され、且つ不図示の循環ポンプによって環流させるように形成されている循環管路3の一部に、例えば冷却用循環ポンプ8を介して接続されたクーリングタワー9、冷却装置10それぞれに接続して成る高温超伝導による電磁石4を配してある。
尚、循環管路3の全長には不図示の金属製のスパイラルフィルタが、このスパイラル回転軸と循環管路3とが略同軸となるように当該循環管路3内側に張設配置され、例えば25〜50kHz帯域の高周波電源を使った高周波電流をこのスパイラルフィルタに印加させることによって二酸化炭素水溶液中の炭素と酸素の結合をイオン解離して捕獲させるようにしても良い。このときスパイラルフィルタにおいて高周波電源を使うことで、炭素イオンと酸素イオンとは循環管路3内部で高速で反転を繰り返しこのときの振動・衝突によって効率良く分離作用が行われるようにしてある。またこのスパイラルフィルタの替わりに銅板を使用することもできる。
また、二酸化炭素水溶液中の炭素イオンと酸素イオンとが、渦巻き回転力によって迅速に解離できるようにするために、耐食性のある金属製の材質によってスパイラルフィルタを形成し、これを例えば電磁石4部分を除いた循環管路3全長の内壁部分に配設すると共に、当該スパイラルフィルタ自身を回転駆動用モータによって循環管路3内部で任意の角速度で回転できるように構成しても良い。このとき回転可能なスパイラルフィルタは、循環管路3内壁面に付着した汚染物質を剥離除去する機能を備えているものとできる。
高温超伝導を利用した電磁石4は、シーデイング剤添加後の二酸化炭素水溶液を高磁場且つ高勾配の磁界内に導入して、磁化率の小さな炭素イオンを磁気分離させるものであり、磁気分離した炭素イオンを捕獲すべく、電磁石4の磁界周囲には、例えばメッシュ状,スパイラル状,筒状等に成形された例えば不織布等の吸着フィルタ6をスペアのものと容易に交換できるよう着脱可能となって配設されている。
高温超伝導を利用した電磁石4は、電流スイッチのON/OFF操作により、炭素イオンの弱磁性磁化率の値に対応して発生磁場の大きさを5テスラから10テスラ範囲の間で可変できるようにしてある。また、弱磁性磁化率を有する炭素イオンを磁気分離力を介して効率良く捕獲可能にすべく二酸化炭素水溶液中に水酸化鉄,フェライト,マンガン,αヘマタイト,ドラバイト,トルマリン等の強磁性シーデイング剤、あるいは高浸透性を有する特殊なナノカーボン等のシーデイング剤を添加するものとしてある。この特殊高機能性ナノカーボンを二酸化炭素水溶液中に分散する場合、そのナノカーボンを素材にした高速磁気分離回転筒を、電磁石4による強磁場を発生させる磁界発生管内壁に装着しても良い。
電磁石4による強磁場を発生させる磁界発生管内を二酸化炭素水溶液が直角の状態で流れると、二酸化炭素水溶液内に自由電子の分極が起こり、誘導電圧が発生するという所謂ファラデーの電磁誘導の法則のもとで、一定の流れの速さを保ち反復循環させることで、弱磁性の炭素イオンを除去する作用が発生するものである。このように磁気エネルギーは磁場の二乗に正比例することから5テスラを超える強磁場内においては、あらゆる非磁性体の分離が可能で、例えば炭素単体のみの弱磁性体のものは単体として磁気分離できるものとなる。
すなわち、一様でない靜磁場中に置かれた体積V、一様な磁化M(r,H)の粒子に働く力Fは、磁場勾配がx軸方向であるとすると、F=VM(H)dH/dxである。尚、炭素イオンの反磁性磁化率は−7.2×10−6cm3/g、酸素イオンの常磁性磁化率は108×10−6cm3/gである。これら磁性粒子と非磁性粒子との混合物が不均一磁場を通過するとき、磁性粒子の移動軌跡は磁気力の作用により非磁性粒子のそれとは必然的に異なる。この差を利用して物質を分離するのが磁気分離である。
二酸化炭素水溶液中の残留する炭素イオンを完全捕獲してリサイクル利用可能にすべく循環管路3から分岐した一端排出口から出される流路に沿って金属膜によるフィルタを積層状に配設した室を複数に接続されて成る積層吸着フィルタ装置を設けても良い。この積層吸着フィルタ装置は、二酸化炭素水溶液の流れがフィルタに対し抵抗とならないように金属膜の積層間の隙間に沿って二酸化炭素水溶液が流れるようにしてある。
次に以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例を説明するに、図2に示すように、溶解工程Aにおいて、二酸化炭素の有するオストワルトの溶解度係数β=0.828(水25℃)に基づいて、短時間に二酸化炭素を水に溶解させ、弱酸性の二酸化炭素水溶液を生成しておく。
また、シーデイング剤添加工程Bにおいて、二酸化炭素溶解水中に水酸化鉄,フェライト,マンガン,αヘマタイト,ドラバイト,トルマリン等の強磁性シーデイング剤を添加し炭素イオンと結合させた後、操作弁7を開いて循環管路3に送る。
磁気分離工程Cにおいて、電流スイッチのON/OFF操作により、ナトリウムイオンの弱磁性磁化率の値に対応して電磁石4の発生磁場の大きさを5テスラから10テスラ範囲の間で可変設定させておき、シーデイング剤添加工程B後の二酸化炭素溶解水を電磁石4の高勾配磁界内に導入して炭素と酸素とに磁気分離させる。このとき、強磁性シーデイング剤が弱磁性磁化率を有する炭素イオンと結合しているため、弱磁性の炭素イオンであっても強磁性粒子と同様に磁気分離される。
そして、炭素捕獲工程Dにおいて、前記磁気分離した炭素は、電磁石4の磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状,筒状等に形成された吸着フィルタ6によってリサイクル可能な状態となって完全捕獲される。この吸着フィルタ6は、使用後にはスペアのものと交換する。
尚、前記磁気分離工程Cに加えて、循環管路3内側に張設配置された例えば25〜50kHz帯域の高周波電源を使った高周波電流を印加させるスパイラルフィルタを使用することによって二酸化炭素水溶液中の炭素と酸素の結合をイオン解離して捕獲させる工程を加えても良い。。
本発明を実施するための最良の形態における構成を示す使用状態の概略構成図である。 同じく二酸化炭素の無害化処理工程の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
A 溶解工程
B シーデイング剤添加工程
C 磁気分離工程
D 炭素捕獲工程
1 装置本体
2 溶解タンク
3 循環管路
4 電磁石
5 シーデイング剤添加タンク
6 吸着フィルタ
7 操作弁
8 冷却用循環ポンプ
9 クーリングタワー
10 冷却装置

Claims (6)

  1. 処理すべき二酸化炭素を水に溶解させる溶解工程と、この二酸化炭素溶解水に強磁性シーデイング剤を添加するシーデイング剤添加工程と、シーデイング剤添加工程後の二酸化炭素溶解水を高磁力発生可能な電磁石または高温超伝導による電磁石の高勾配磁界内に導入して炭素イオンと酸素イオンとに磁気分離させる磁気分離工程と、磁気分離した炭素イオンを、電磁石の磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状,筒状等に形成された吸着フィルタによって捕獲する炭素捕獲工程とから成ることを特徴とする二酸化炭素の分離無害化処理方法。
  2. 電磁石は、炭素イオンの弱磁性磁化率の値に対応して発生磁場の大きさを5テスラから10テスラ範囲の間で可変すべく成した請求項1記載の二酸化炭素の分離無害化処理方法。
  3. 前記強磁性シーデイング剤として、弱磁性磁化率を有する炭素イオンを磁気分離力を介して効率良く捕獲可能にすべく二酸化炭素溶解水中に水酸化鉄,フェライト,マンガン,αヘマタイト,ドラバイト,トルマリン等の強磁性シーデイング剤を添加した請求項1または2記載の二酸化炭素の分離無害化処理方法。
  4. 25〜50kHz帯域の高周波電源を使った高周波電流を印加させることによって二酸化炭素水溶液中の炭素と酸素の結合をイオン解離して捕獲させる工程を含む請求項1乃至3のいずれか記載の二酸化炭素の分離無害化処理方法。
  5. 処理すべき二酸化炭素を水に溶解させる溶解タンクと、この二酸化炭素溶解水に強磁性シーデイング剤を添加するシーデイング剤添加タンクと、シーデイング剤添加工程後の二酸化炭素溶解水を高勾配磁界内に導入して炭素イオンと酸素イオンとに磁気分離させ、磁界周囲に配したメッシュ状,スパイラル状,筒状等に形成された吸着フィルタによって、磁気分離した炭素イオンを捕獲可能にした電磁石とを循環流路に沿って配設して成ることを特徴とする二酸化炭素の分離無害化処理装置。
  6. 二酸化炭素水溶液中の炭素と酸素の結合をイオン解離して捕獲させるよう25〜50kHz帯域の高周波電源を使った高周波電流を印加可能にした金属製のスパイラルフィルタが、このスパイラル回転軸と循環管路とが略同軸となるように当該循環管路内側に張設配置されている請求項5記載の二酸化炭素の分離無害化処理装置。
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