JP3463254B2 - 磁気分離装置 - Google Patents

磁気分離装置

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JP3463254B2 JP27429496A JP27429496A JP3463254B2 JP 3463254 B2 JP3463254 B2 JP 3463254B2 JP 27429496 A JP27429496 A JP 27429496A JP 27429496 A JP27429496 A JP 27429496A JP 3463254 B2 JP3463254 B2 JP 3463254B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気分離装置に係
り、特に高勾配磁気フィルタによって、水質浄化や固液
分離等を目的とした磁気分離を連続的に動作できる構造
の磁気分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】固液分離等を目的として、高勾配電磁フ
ィルタによる磁気分離法(HGMS)が用いられてお
り、その構造は、例えば化学技術誌MOL Vol.2
2、 No.12 p47−51、(1984)に記載
されている。直流電源に接続した空心電磁石のボア内
に、被処理水の流路を設け、この流路内に吸着マトリッ
クスを設置する。吸着マトリックスは、フェライト系の
ステンレス性ウール等の強磁性細線で構成している。電
磁石およびフィルタ部を鉄製のヨークで囲み、磁場の漏
洩を防止している。また、多数の孔が開いたポールピー
スと呼ばれる磁極を、吸着マトリックスを挟みこむよう
に上下に対置して、電磁石ボア内の空間の磁場均一度を
向上させている。このように均一な磁場内に、曲率半径
の極めて小さな部分を持つ磁性細線を配置することによ
って、細線表面近傍で、局部的な磁場の疎密ができ、大
きな磁気勾配が発生する。磁性体に働く磁気力は、磁性
体の磁化と磁場勾配の積に比例するから、上記のように
大きな磁場勾配の存在する空間では、磁性体は大きな磁
気力で吸引される。
【0003】磁気分離法を用いて水処理を行うには、ま
ず前処理として被処理水に、例えば四酸酸化鉄等の磁性
粉と、凝縮剤の硫酸バン土やポリ塩化アルミニウムを加
えて撹絆し、原水中の固形浮遊物や、藻類、菌類、微生
物を、凝縮剤によって磁性粉と結合させ、コロイド状の
多数の磁性を持った磁性フロックを形成する。これらの
フロックは、高勾配磁気フィルタを通過する際に、磁性
細線表面に吸引され原水中から分離される。磁性フロッ
クが一定量吸着マトリックスに捕捉された後、磁気分離
の性能を回復させるために、吸着マトリックスの逆洗
浄、すなわち、フロックを吸着した面とは逆の方向から
洗浄を行う。この逆洗浄は、先ず通水および励磁コイル
への通電を停止し、その後、吸着マトリックス上部から
所定量の水と圧縮空気を噴入して、磁性細線表面に付着
した磁性フロックを系外に排出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来例
では、吸着マトリックスの性能回復のために逆洗浄を行
う際、電磁石の通電を停止(消磁)し、被処理水の通水
を停止するため、逆洗浄中は磁気分離の動作が停止し、
トータルの処理速度が低下してしまう。被処理水中に含
まれる被除去物の濃度が高ければ高いほど、逆洗浄回数
は増加し、それとともに処理速度は減少する。
【0005】また、電磁石を超導磁石で構成すれば、
小形で、しかも小さな消費電力で大きな磁場を得ること
ができ、処理速度の高速化に適しているが、超導磁石
の消磁速度はあまり大きくすることはできないため、逆
洗浄時間が長くなり、被除去物の濃度が高い運転条件で
は、超導化による処理速度の向上は、総合的にみると
期待できない。通常、超導磁石はその超導状態を保
つために、液体ヘリウム等の寒冷材や冷凍機等で、直接
あるいは間接的に冷却するが、定常運転時では電磁石で
のジュール発熱が存在しないために、冷却能力は必要最
低限で済む。
【0006】しかし、通電開始(励磁)時や消磁時に
は、渦電流等が発生することにより発熱が生じ、この発
熱量を冷却するだけの冷却能力を必要とする。さらに、
たとえ冷却能力が十分でも、局所的に温度が上昇する部
分が存在すると、その部分の超導状態が破壊(クエン
チ)し、最悪の場合、超導磁石が破損する恐れがあ
る。このため、超導磁石の消磁速度はあまり大きくす
ることができない。また、上記問題点を克服するために
冷却装置を大形にすると、設置面積が大きく、イニシャ
ルコストが高くなるだけでなく、寒冷材や冷凍機電力の
消費量が多くなるために、ランニングコストも高くな
り、超導化のメリットが生かせない。以上のように、
従来例では逆洗浄のために処理動作が停止する時間が長
く、処理速度を高めるために超導磁石を用いた場合で
も、トータルの処理速度は大きく向上させることができ
ない上、被除去物濃度が高くなればなる程、トータルの
処理速度が低下するという問題を抱えている。
【0007】本発明の目的は、高勾配磁気フィルタを用
いることにより、水質浄化や固液分離等を目的とした磁
気分離装置において、連続運転を可能にし、フィルタ洗
浄時における処理の停止がなく、トータルの処理速度が
向上する磁気分離装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、以下の手段を採用した。請求項1記載発明は、磁性
を有する被除去物を含む被処理流体、あるいは非磁性の
被除去物を含む流体に磁性体および凝集剤を添加した被
処理流体、または前記非磁性の被除去物と化学反応して
磁性物体を生じる添加物を添加した被処理流体を、空心
電磁石のボア内に通過させ、前記電磁石が発生する磁場
空間内に設置したマトリックスにより、前記被処理流体
中から前記被除去物を磁気的に分離する磁気分離装置で
あって、前記マトリックスを複数個連結したマトリック
ス群の1部を、前記電磁石のボアの一端部または両端部
の外側に位置せしめ、前記マトリックス群全体を移動さ
せる駆動手段を有し、前記端部の外側で、前記マトリッ
クスの一部により被処理流体中の被除去物を吸着分離
するとともに、前記端部の外側以外磁場の弱い空間で
前記マトリックス群の残りを洗浄することを特徴とす
る。このような構成によれば、マトリックス群を移動さ
せることにより、磁性物質の吸着したマトリックスを順
次移動させることができ、連続的な運転が可能になると
ともに、吸着分離作用と洗浄作用とを同時にできるの
で、効率的な磁気分離運転ができる。また、請求項2記
載発明は、前記マトリックス群は、一定方向に移動され
るとともに、該マトリックス群の任意の部分が所定時間
後に再び同位置に戻されるものであることを特徴とする
ので、マトリックス群を循環移動するだけでよく、取替
え作業が不要となる。また、請求項3記載発明は、前記
マトリックス群が一定方向に移動される円盤状のもので
あることを特徴とするので、円盤状マトリックスを回転
させるだけで、磁性物質の吸着部を移動させることがで
きる。また、請求項4記載発明は、前記電磁石のボアの
一方の端部の外側に位置するマトリックスの一部を有
するマトリックス群と、同他方の端部の外側に位置する
マトリックス群の一部を有するマトリックス群とが、一
つのものであることを特徴とするので、一体のマトリッ
クス群を移動させるだけで、磁性物質の吸着部を移動さ
せることができる。また、請求項5記載発明は、前記マ
トリックス群に対して複数個の前記電磁石を備え、複数
の被処理流路が設置されていることを特徴とするので、
マトリックス群の複数の任意の場所で、同時に磁性物質
を吸着分離できるため、効率がきわめてよい。また、請
求項6記載発明は、前記マトリックス群を移動させる駆
動手段が制御手段を備え、被処理水の条件データをリア
ルタイムに取り込んだ情報を基に、前記マトリックス群
を最適速度で移動させることを特徴とするので、効率的
な磁気分離運転をできる。また、請求項7記載発明は、
前記電磁石とは異なる電磁石の発生する磁場、あるいは
強磁性体または反磁性体等のシールド体を利用すること
により、前記マトリックス群の残りが洗浄される空間の
磁場を弱くすることを特徴とするので、効果的な洗浄を
行うことができる。また、請求項8記載発明は、前記電
磁石のボアの一端部または両端部の外側に位置された前
記マトリックス群の一部を流れる被処理流体の被処理流
路断面積が、前記電磁石のボア内部の断面積より大きい
ことを特徴とするので、吸着面積が大きくなるととも
に、流路面積が拡がる分だけ流速が遅くなり、相対的に
磁気力が強くなるため、吸着力が向上する。また、請求
項9記載発明は、前記磁場の発生手段が、電磁石の替わ
冷凍機等の冷却手段で冷却される超導磁石である
ことを特徴とするので、磁性物質を吸着分離する高速浄
化運転が可能となり、消費電力が大幅に低減され、装置
も小型化および軽量化される。また、請求項10記載発
明は、前記超導磁石は、永久電流スイッチに接続され
ていることを特徴とするので、平常運転中に励磁および
消磁を行わない連続磁気分離運転ができ、運転時の消費
電力をさらに低減し、電流供給リードのジュール発熱も
防げるため、冷却装置にかかる負荷が低減できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面
を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態を示
す斜視図、図2は、図1の縦断面図である。これらの図
に示すように、被処理水である原水を、水源例えば貯水
池から、大きなゴミを取るためのフィルタを通してポン
プで原水貯槽に汲み上げ、この原水に、シーディング剤
調整装置などから、四酸酸化鉄等の磁性粉とポリ塩化ア
ルミニウム等の凝集剤を加え、撹絆槽で撹絆し、磁性フ
ロックを含む前処理水を生成する。このように生成した
前処理水を、図1および図2に示す磁気分離装置の被処
理水入口1から通水し、浄化水出口3から浄化水を取り
出す。
【0010】磁気分離装置の動作は次の通りである。空
心電磁石9に直流電源装置10から直流電流を流し、磁
場を発生させる。空心電磁石のボア内部には被処理水が
通る流路11が通っている。空心電磁石9の両端に、円
盤状の吸着マトリックス群4a、4bが設置されてお
り、これらの吸着マトリックス群4a、4bは、駆動装
置7により回転軸8を中心として回転可能となってい
る。この吸着マトリックス群4a、4bは、それぞれ、
例えば4つのマトリックスで構成されており、内部の水
あるいはフロック等が、隣接する吸着マトリックス内に
容易に流入しない構造となっている。
【0011】空心電磁石9のボア内に設置した被処理水
用流路11内には、鉄等の磁性材で構成したポールピー
ス13を設置しておき、被処理水をポールピースの孔を
通して流す。ポールピースとは多数の孔が開いた磁極
で、ボア内に配置することにより磁場均一度が向上し、
このように均一な磁場内に磁性細線を配置することによ
って、細線表面近傍で局部的な磁場の疎密ができ、大き
な磁気勾配が発生する。磁性物質に働く磁気力は、磁性
物質の磁化と磁場勾配の積に比例するから、上記のよう
に大きな磁場勾配の存在する空間では、磁性物質は大き
な磁気力で吸着される。なお、ポールピースがなくて
も、マトリックスによる磁気的な吸着作用は生じる。
【0012】被処理水入口1から流入した被処理水は、
吸着マトリックス枠12a内を低速で回転する吸着マト
リックス群4aのうち、電磁石の磁場空間内で磁化され
たマトリックス内を流れる際、吸着マトリックスの細線
近傍の高勾配な磁気勾配によって磁性フロックのみ吸着
される。その後、電磁石9のボア内流路11を通り、再
び下流側吸着マトリックス枠12b内の吸着マトリック
ス4bに、同様に磁性フロックが吸着される。なお、電
磁石のボア内は殆ど一定磁場であり、電磁石端部近傍
は、ボア外であってもボア内と同様の磁束密度である。
そのため、電磁石のボア外で、端部近傍に配置したマト
リックスは、ボア内に配置した場合と同様に磁化され、
高勾配な磁気勾配によって磁性フロックが吸着される。
【0013】ここで吸着マトリックス4aと吸着マトリ
ックス4bとは、細線幅および細線間隔が異なり、吸着
マトリックス4aのフィルタの方が太く粗く設定されて
いる。これにより、大形のフロックは吸着マトリックス
4bよりも吸着マトリックス4aの方に比較的多く吸着
され、吸着マトリックス4bには比較的小形のフロック
が多く吸着されることになる。吸着マトリックスを通過
する際の流路断面積は、空心電磁石9のボア内部の流路
11の断面積よりも大きく、このために吸着マトリック
スを通過する際の被処理水流速は遅くなり、これにより
マトリックスに吸着され易くなる。
【0014】フロックを吸着した吸着マトリックスは、
駆動装置7により回転軸8まわりを低速で回転し、電磁
石による磁場空間の外に出る。ここで、電磁石9による
磁場は、周囲に多少は漏洩するであろうが、無視できる
ほどの磁場強さの洗浄空間に出る。電磁石による磁力が
強い場合には、図中には示していないが、鉄等の磁気シ
ールド体や別の電磁石の磁場を利用することにより、す
なわち、電磁石とは異なる電磁石の発生する磁場、ある
いは強磁性体または反磁性体等のシールド体を利用する
ことにより、磁場が殆ど無視できる洗浄空間を作り出す
ことが可能である。
【0015】吸着マトリックス群4a、4bが駆動装置
7により回転軸8まわりを回転する際、被除去物を吸着
した吸着マトリックスが磁場空間から外へ出ていくとと
もに、新たな吸着マトリックスが強磁場空間に入ってく
る。一体で構成された吸着マトリックス群4a、4bを
通過する磁束密度の変化は殆どないため、吸着マトリッ
クス群4a、4bに働く磁気力の総和は殆どなく、容易
に回転させることが可能である。強磁場空間外に出た吸
着マトリックスは、磁化が小さくなるため吸着していた
フロックははがれ落ち、ちょうど被処理水流路11と反
対側の位置に達したときに、逆洗浄水入口5より逆洗浄
水および洗浄用空気を注入して、一気に吸着マトリック
スの洗浄を行う。
【0016】本実施形態のように吸着マトリックス群4
a、4bを円盤状に構成すれば、吸着マトリックス群4
a、4bの移動方向は一定でよいため、制御が容易であ
り、さらに、磁性フロックを吸着したマトリックスは、
常に定まった方向に出てくるため、逆洗浄部を1カ所だ
け設ければよいので構造が簡素である。洗浄した後の磁
性フロックを含んだ洗浄排水は、排水口6から取り出さ
れ、遠心分離機等で、磁性粉を含んだ比重の大きい磁性
凝集体と洗浄用水とを分離し、さらに、磁性凝集体内に
含まれた水分を分離し、磁性凝集体の含水量を大幅に低
減し、その容積を大幅に減少させ、バーナー等により乾
燥し、粉砕機等で微粒子に粉砕された後、純度の高い磁
性粒子が、例えば永久磁石等の磁場を利用した磁性粉分
離器で回収されて再利用される。また、磁性粉を除去し
た後の分離物は堆肥処理槽で堆肥化され、肥料として利
用される。
【0017】本実施形態では、2つの吸着マトリックス
の逆洗浄を同一の逆洗浄水で一度に行う方法を示した
が、それぞれ別系統の逆洗浄水入口および排水口を持
ち、個々に逆洗浄を行う場合でも効果は同様である。ま
た、本実施形態では、2つの円盤形吸着マトリックス群
を設置する例を示したが、どちらか一方に設置した場合
でも効果は同様である。この場合、2個のマトリックス
群を設置した場合と比較して、吸着できる磁性フロック
の量は低減するが、構造は簡素になる。また、本実施形
態では、2つの吸着マトリックス群4a、4bを、一つ
の軸8で回転させる例を示したが、それぞれ別の回転軸
を持ち、別の回転速度で回転した場合でも効果は同様で
ある。この場合は、それぞれの吸着マトリックス群の回
転速度を制御できるため、最適速度で運転することが可
能である。また、本実施形態では、2つの吸着マトリッ
クス群4a、4bの細線幅および細線間隔を異なる物と
したが、同一の形状として生産性を向上させても、本発
明の効果は同様である。また、マトリックスの形状も、
実施形態中では金網状の細線を示したが、ウール状や、
球や粉体といった塊を充填したものでも、本発明の効果
は同様である。これらの実施形態では、駆動装置7には
回転速度を制御するインバータ等の制御装置を組み込
み、被除去物の濃度や磁性体の磁化の大きさといった被
処理水の条件の測定値を、リアルタイムに入力すること
により、これに見合った最適回転速度で運転する方法が
適している。
【0018】次に、本発明の他の実施形態を図3および
図4に示す。図3は図1と同様の斜視図であり、図4は
上から見た図である。縦断面は図2に示した例とほぼ同
一であり、異なる点は、被処理水が通過する流路11の
内装される磁気分離部2、および逆洗浄部を2個所ずつ
備えている点である。本実施形態によれば、図1および
図2に示した例と同寸法の吸着マトリックス群4a、4
bに対し、2倍の被処理水流路を設置することが可能で
あるため、同サイズでは処理流量の増大を、同処理流量
であれば装置の小型化をはかることができる。
【0019】本発明の他の実施形態を図5に示す。図5
は、図2と同様の縦断面を示している。図2に示した実
施形態と異なる点は、吸着マトリックス群が円盤形では
なく、直方体形状をしており、回転による移動ではな
く、水平方向に移動するよう駆動されるところにある。
本実施形態によると、図1および図2に示した実施形態
と比較して、奥行き方向の設置面積が小さくて済む上、
吸着マトリックス群移動のためのレール等の設置が容易
になる利点を持つ。ただし、移動の際、吸着マトリック
スに作用する磁気力を小さくするため、吸着には使用し
ないダミーマトリックスを設置する必要がある。
【0020】本発明のさらに別の実施形態を図6に示
す。本実施形態は磁石両端の吸着マトリックス群4を一
体で構成している。本構造によれば、吸着マトリックス
群駆動装置7は1つで済み、吸着マトリックス群の大き
さも小さくてよいため、磁気分離装置は小型化される。
もちろん、本実施形態のような移動を行う吸着マトリッ
クス群を、磁石両端あるいは一端のみに設置し、そのマ
トリックス群の一部のみを磁気分離部として利用した場
合でも本発明の効果は同一である。
【0021】以上の実施形態では、すべて継続的に吸着
マトリックス群が移動を行う場合について示してきた
が、断続的に移動を行う場合でも効果は同様である。ま
た、空心電磁石9を超導コイルにすることにより、コ
イル発生磁場が大きくなり、しかも、コイルを小型化か
つ軽量化できる。発生磁場が大きくなることにより、吸
着マトリックス4aおよび4bに捕捉する磁性凝集体の
吸着力が大きくなり、前処理水を高速で流しても、磁性
凝集体を捕捉できることになり、処理速度を大きくし
て、高速浄化が可能となる。さらには、コイルの消費電
力が大幅に低減され、給電設備が小型化かつ軽量化され
る。この超導コイルは液体ヘリウムや液体窒素冷媒で
冷却されても、あるいは、機械式または電子式等の冷凍
機で冷却されても、同様な効果が生じる。
【0022】さらに、本発明では、連続磁気分離運転が
可能であるため、平常運転中に励磁および消磁を行う必
要がないので、超導電磁石に永久電流スイッチを設
け、永久電流モードで超導電磁石を運転することが可
能である。これにより、運転時の磁石に流す消費電力を
さらに低減することができる上、電流供給リードのジュ
ール発熱も防げるため、冷却装置にかかる負荷が低減で
きる。
【0023】
【発明の効果】上述のとおり本発明によれば、被処理流
体中の磁性物質を分離する吸着マトリックスを、電磁石
のボア外に配置して移動可能にしたので、水質浄化や固
液分離等の磁気分離運転の連続実施が可能になり、吸着
マトリックスの洗浄時における処理の停止がなく、トー
タルの処理速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気分離装置の一実施形態を示す斜視
図。
【図2】図1の実施形態の縦断面図。
【図3】本発明の磁気分離装置の他の実施形態を示す斜
視図。
【図4】図3の実施形態の上面図。
【図5】本発明の磁気分離装置のさらに他の実施形態を
説明するための縦断面図。
【図6】本発明の磁気分離装置のさらに別の実施形態を
説明するための縦断面図。
【符号の説明】
1 被処理水入口 2 磁気分離部 3 浄化水出口 4a、4b 吸着マトリックス 5 逆洗浄水入口 6 洗浄排水口 7 駆動装置 8 回転軸 9 空心電磁石 10 直流電源 11 被処理水流路 12a、12b 吸着マトリックス枠 13 ポールピース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 克彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平6−23213(JP,A) 特開 平3−229603(JP,A) 特開 平8−131731(JP,A) 特開 平2−35990(JP,A) 特開 昭53−7966(JP,A) 特開 昭60−248211(JP,A) 特開 昭59−183842(JP,A) 特開 昭59−139910(JP,A) 特公 昭52−882(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 35/06 B03C 1/00 - 1/32

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性を有する被除去物を含む被処理流
    体、あるいは非磁性の被除去物を含む流体に磁性体およ
    び凝集剤を添加した被処理流体、または前記非磁性の被
    除去物と化学反応して磁性物体を生じる添加物を添加し
    た被処理流体を、空心電磁石のボア内に通過させ、前記
    電磁石が発生する磁場空間内に設置したマトリックスに
    より、前記被処理流体中から前記被除去物を磁気的に分
    離する磁気分離装置であって、前記マトリックスを複数
    個連結したマトリックス群の部を、前記電磁石のボア
    の一端部または両端部の外側に位置せしめ、前記マトリ
    ックス群全体を移動させる駆動手段を有し、前記端部の
    外側で、前記マトリックスの一部により前記被処理流
    体中の前記被除去物を吸着分離するとともに、前記端部
    の外側以外磁場の弱い空間で前記マトリックス群の残
    りを洗浄することを特徴とする磁気分離装置。
  2. 【請求項2】 前記マトリックス群は、一定方向に移動
    されるとともに、該マトリックス群の任意の部分が所定
    時間後に再び同位置に戻されるものであることを特徴と
    する請求項1に記載の磁気分離装置。
  3. 【請求項3】 前記マトリックス群が一定方向に移動さ
    れる円盤状のものであることを特徴とする請求項2に記
    載の磁気分離装置。
  4. 【請求項4】 前記電磁石のボアの一方の端部の外側に
    位置するマトリックスの一部を有するマトリックス群
    と、同他方の端部の外側に位置するマトリックス群の一
    部を有するマトリックス群とが、一つのものであること
    を特徴とする請求項2に記載の磁気分離装置。
  5. 【請求項5】 前記マトリックス群に対して複数個の前
    記電磁石を備え、複数の被処理流路が設置されているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の磁気分離装置。
  6. 【請求項6】 前記マトリックス群を移動させる駆動手
    段が制御手段を備え、被処理水の条件データをリアルタ
    イムに取り込んだ情報を基に、前記マトリックス群を最
    適速度で移動させることを特徴とする請求項1に記載の
    磁気分離装置。
  7. 【請求項7】 前記電磁石とは異なる電磁石の発生する
    磁場、あるいは強磁性体または反磁性体等のシールド体
    を利用することにより、前記マトリックス群の残りが洗
    浄される空間の磁場を弱くすることを特徴とする請求項
    1に記載の磁気分離装置。
  8. 【請求項8】 前記電磁石のボアの一端部または両端部
    の外側に位置された前記マトリックス群の一部を流れる
    被処理流体の被処理流路断面積が、前記電磁石のボア内
    部の断面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載
    の磁気分離装置。
  9. 【請求項9】 前記磁場の発生手段が、前記電磁石の替
    わりの、冷凍機等の冷却手段で冷却される超導磁石で
    あることを特徴とする請求項1に記載の磁気分離装置。
  10. 【請求項10】 前記超導磁石は、永久電流スイッチ
    に接続されていることを特徴とする請求項9に記載の磁
    気分離装置。
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