JP4304434B2 - ポリアミド微粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド微粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、機械的特性等に優れた材料であり、電子・電気部品、自動車、衣料等の用途のほか、金属又はセラミックスの代替材料として幅広く利用されている。
【0003】
ポリアミド微粒子の製造方法としては、a)予め重合されたナイロン6、66、12等(ポリマー)を蟻酸等に溶かし、その後貧溶媒である蒸留水、メタノール、アセトン等に曇点まで滴下するという方法、b)ポリマー重合後の溶液を、温度を上昇させてナイロンを完全に溶解させて、厳密に温度制御しながら微粒子(約2〜10μm)を沈殿させるという方法等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら方法では、ポリマーを重合する過程と、そのポリマーから微粒子を調製する過程の2段階が必要となり、特に後者の過程においては温度等の調製条件を厳密に制御する必要もあることから、その工程が煩雑であるという欠点がある。また、これら方法ではナイロン(ポリマー)を溶解させる必要があるが、ナイロンは耐薬品性が高く、蟻酸、硫酸等のごく一部の有機溶媒にしか溶けず、取り扱いが困難である。さらに、上記方法によっては、比較的大きな粒径(約2〜10μm程度)のポリアミド粒子しか得られないという問題もある。
【0005】
ポリアミド微粒子の他の製造方法としては、ポリアミドを凍結乾燥後粉砕し、微粒子(数十〜数百μm)にするという方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、かかる方法では粒形のコントロールが非常に困難であり、また得られるポリアミド微粒子は、粒径も大きく、その分布幅も広いという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粒子形状、粒度分布等を容易に制御できるポリアミド微粒子の新たな製造方法を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、単分散性に優れたポリアミド微粒子を提供することをも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を有する製造方法によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記の各項に係る発明を提供するものである。
項1 酸クロライドとジアミン化合物からポリアミドを合成する方法において、(a)酸クロライドを含む第一溶液と、ジアミン化合物を含む第二溶液とをそれぞれ調製する第一工程、
及び(b)第一溶液及び第二溶液の溶媒のいずれにも可溶である溶媒の存在下に、第一溶液と第二溶液とを混合し、混合溶液からポリアミド微粒子を析出させる第二工程、
を含むことを特徴とするポリアミド微粒子の製造方法。
項2 第一溶液及び第二溶液の溶媒のいずれにも可溶である溶媒が、水及び水酸基を有する溶媒の少なくとも1種である項1に記載の方法。
項3 水酸基を有する溶媒が、炭素数1〜10のアルコールの少なくとも1種を含む項2に記載の方法。
項4 第二工程を超音波による撹拌下で行う項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5 第一溶液における溶媒が、アセトン及びジオキサンの少なくとも1種を含む項1〜4のいずれかに記載の方法。
項6 第二溶液における溶媒が、アセトン及びジオキサンの少なくとも1種を含む項1〜5のいずれかに記載の方法。
項7 項1〜6のいずれかに記載の方法により得られるポリアミド微粒子。
項8 項1〜6のいずれかに記載の方法により得られるポリアミド微粒子であって、平均粒径0.01〜5μmであるポリアミド微粒子。
項9 比表面積が20m2/gを超えるポリアミド微粒子。
項10 項1〜6のいずれかに記載の方法により得られるポリアミド微粒子であって、比表面積が20m2/gを超えるポリアミド微粒子。
項11 項7〜9のいずれかに記載のポリアミド微粒子であって、ガラス転移温度を示すことを特徴とするポリアミド微粒子。
項12 項7〜9のいずれかに記載のポリアミド微粒子であって、ガラス転移温度を示さないことを特徴とするポリアミド微粒子。
項13 項7〜9のいずれかに記載のポリアミド微粒子であって、平均粒径0.01〜5μm、標準偏差0.02〜0.25及び変動係数3〜25%であるポリアミド微粒子。
項14 項7〜13のいずれかに記載のポリアミド微粒子であって、平均粒径が1μm未満であることを特徴とするポリアミド微粒子。
項15 項7〜13のいずれかに記載のポリアミド微粒子であって、平均粒径が0.95μm以下であることを特徴とするポリアミド微粒子。
項16 項7〜13のいずれかに記載のポリアミド微粒子であって、平均粒径が0.9μm以下であることを特徴とするポリアミド微粒子。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリアミド微粒子及びその製造方法に関するものであるが、本明細書において、「ポリアミド」には、「ポリアミドイミド」が含まれる。
【0011】
以下、本発明の製造方法を、各工程ごとに詳細に説明する。
【0012】
(1)第一工程
本発明では、酸クロライド及びジアミン化合物を原料として用い、ポリアミド微粒子を調製する。まず第一工程として、酸クロライド化合物を含む第一溶液と、ジアミン化合物を含む第二溶液とをそれぞれ調製する。すなわち、本発明では、酸クロライドとジアミン化合物は、それぞれ別個の溶液として調製しておくことを必須とする。
【0013】
(イ)第一溶液
第一溶液で用いる酸クロライドは、特に制限されず、例えば従来のポリアミド合成で用いられているものと同様のものが使用できる。
【0014】
酸クロライドとしては、例えば、シュウ酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、コハク酸ジクロライド、フマル酸ジクロライド、グルタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、ムコン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、ノナン酸ジクロライド、ウンデカン酸ジクロライド等の脂肪族ジカルボン酸ジクロライド;1,2−シクロプロパンジカルボン酸ジクロライド、1,3−シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、1,3−シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド等の脂環族ジカルボン酸ジクロライド;フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸ジクロライド、1,4−アントラセンジカルボン酸ジクロライド、1,4−アントラキノンジカルボン酸ジクロライド、2,5−ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、1,5−ビフェニレンジカルボン酸ジクロライド、4,4'−ビフェニルジカルボニルクロライド、4,4'−メチレン二安息香酸ジクロライド、4,4'−イソプロピリデン二安息香酸ジクロライド、4,4'−ビベンジルジカルボン酸ジクロライド、4,4'−スチルベンジカルボン酸ジクロライド、4,4'−トランジカルボン酸ジクロライド、4,4'−カルボニル二安息香酸ジクロライド、4,4'−オキシ二安息香酸ジクロライド、4,4'−スルホニル二安息香酸ジクロライド、4,4'−ジチオ二安息香酸ジクロライド、p−フェニレン二酢酸ジクロライド、3,3'−p−フェニレンジプロピオン酸ジクロライド等の芳香族ジカルボン酸ジクロライドを挙げることができる。これら酸クロライドは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
酸クロライドは、得られるポリアミド微粒子の所望の特性等に応じて適宜選択することができる。例えば、酸クロライドとして芳香族ジカルボン酸ジクロライド(特にテレフタル酸ジクロライド、4,4'−ビフェニルジカルボニルクロライド及びイソフタル酸ジクロライドの少なくとも1種)を用いると、得られるポリアミド微粒子の耐熱性及び単分散性を向上させることができる。また例えば、酸クロライドとしてイソフタル酸クロライドを用いる場合には、ガラス転移温度を示すポリアミド微粒子を得ることができる。このポリアミド微粒子は、粒子表面の凹凸が比較的少なく、滑らかな表面性状を有する。
【0016】
本発明のポリアミドには、ポリアミドイミドも含まれる。従って、酸クロライドとして、従来のポリアミドイミド合成で用いられているもの、例えば、トリメリット酸クロライド、ピロメリット酸クロライド、オキシジフタル酸クロライド、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロライド、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロライド、ジエチルピロメリテイトジアシルクロライド、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロライド、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)フタル酸クロライド、m(p)−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロライド、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸クロライド、1−カルボキシメチル−2,3−5シクロペンタントリカルボン酸クロライド、等の酸クロライドを用いることができる。これら酸クロライドとしては、ジクロライド、トリクロライド、テトラクロライドのいずれであっても良い。また、ポリアミドイミドを製造する際には、酸クロライドに加えて、カルボン酸の無水物として、トリメリット酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジエチルピロメリテイトジアシル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m(p)−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3−5シクロペンタントリカルボン酸二無水物を用いることができる。
【0017】
第一溶液で用いる溶媒は、実質的に酸クロライドが溶解し、かつ、生成するポリアミドが溶解しないものであれば特に制限されない。例えば、アセトン、ジオキサン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル等の、水又は水酸基を有するような溶媒に可溶な溶媒が挙げられ、これらの少なくとも1種を含む溶媒を使用することができる。第一溶液においては、これらの中でも、アセトン、及びジオキサンの少なくとも1種を含む溶媒が好ましい。なお、用いる酸クロライドの種類によって、アセトン等の溶媒にすぐ溶解しない場合があるが、このような場合には水又は水酸基を有するような溶媒に予め溶解させた後にアセトン等に溶解させれば良い。
【0018】
第一溶液における酸クロライドの濃度は、用いる酸クロライドの種類、第二溶液の濃度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.005〜1モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.5モル/リットル程度とする。第一溶液における酸クロライドの濃度がかかる範囲内であると、粒子間の凝集及び合一が抑制でき、単分散のものが得られやすいので好ましい。
【0019】
(ロ) 第二溶液
第二溶液で用いるジアミン化合物は、特に制限されず、例えば従来のポリアミド合成で用いられているものと同様のものも使用できる。例えば、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3'−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6'−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノビベンジル、R(+)−2,2'−ジアミノ−1,1'−ビナフタレン、S(+)−2,2'−ジアミノ−1,1'−ビナフタレン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン等の1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン(nは、3〜10)、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等の芳香族ジアミン;1,2−ジアミノメタン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノドデカン、1,11−ジアミノウンデカン等の脂肪族ジアミン;1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミンのほか、3,4−ジアミノピリジン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン等を使用することができる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。特に4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン及び3,3'-ジアミノジフェニルスルホンの少なくとも1種を用いると、耐熱性・単分散性が向上するので好ましい。
【0020】
また、本発明では、ジアミン化合物のほかに、他のアミン系化合物(モノアミン化合物、多価アミン化合物等)も用いることができる。これらにより、得られるポリアミドの特性を変えることができる。
【0021】
第二溶液で用いる溶媒は、実質的にジアミン化合物が溶解し、かつ、生成するポリアミドが溶解しないものであれば特に制限されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジオキサン、アセチルアセトン、酢酸メチル等の、水や水酸基を有するような溶媒に可溶な溶媒が挙げられ、これらの少なくとも1種を含む溶媒を使用できる。第二溶液においては、これらの中でも、アセトン及びジオキサンの少なくとも1種を含む溶媒が好ましい。なお、用いるジアミン化合物の種類によって、アセトン等の溶媒にすぐ溶解しない場合があるが、このような場合には水又は水酸基を有するような溶媒に予め溶解させた後にアセトン等に溶解させれば良い。
【0022】
第一溶液の溶媒と、第二溶液の溶媒は、同一であっても良いし、互いに相溶性を有していれば異なっていても良い。
【0023】
第二溶液におけるジアミン化合物の濃度は、用いるジアミン化合物の種類、第一溶液の濃度等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.005〜1モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.5モル/リットルとする。第二溶液におけるジアミン化合物の濃度がかかる範囲内であると、粒子間の凝集及び合一が抑制でき、単分散のものが得られやすいので好ましい。
【0024】
(2)第二工程
第二工程では、第一溶液と第二溶液とを混合し、両溶液の溶媒のいずれにも可溶である溶媒(以下、「可溶性溶媒」という場合がある)の存在下に反応を行い、混合溶液からポリアミド微粒子を析出させる。第一溶液と第二溶液との混合比率は、酸クロライドやジアミン化合物の種類、各溶液の濃度等によって適宜変更できるが、通常は酸クロライド:ジアミン化合物=1:0.5〜1.5程度(モル比)、好ましくは1:0.9〜1.1となるような比率で混合すれば良い。
【0025】
可溶性溶媒としては、第一溶液と第二溶液の溶媒のいずれにも可溶である溶媒であれば特に制限されるものではないが、水及び水酸基を有する溶媒が好ましい。具体的には、水;炭素数1〜10程度のアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜10程度の1価アルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール等の炭素数2〜5程度の2価アルコール、1,2,3−プロパントリオール等の炭素数3〜6程度の3〜6価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、可溶性溶媒としては、単分散性及び粒子径状の点から水を用いるのが好ましい。なお、可溶性溶媒として水や水酸基を有する溶媒を用いる場合は、第一溶液と第二溶液の溶媒は、当然、これらに可溶な溶媒である。例えば、水を用いる場合は、第一溶液と第二溶液の溶媒として水と相溶性の高いアセトン及びジオキサンを用いるのが好ましい。
【0026】
可溶性溶媒は、第一溶液と第二溶液の混合直前に、第一溶液及び/又は第二溶液に加えれば良いが、第二溶液へ加えておくのが好ましい。
【0027】
可溶性溶媒の添加量は、用いる酸クロライド及びジアミン化合物の種類、第一溶液及び第二溶液の濃度、得られるポリアミド微粒子の所望の(平均)粒径等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は、第一溶液又は第二溶液100mlに対して1〜200ml程度、好ましくは3〜150ml程度である。
【0028】
可溶性溶媒を添加することによって、単分散性が高い球状微粒子を得ることが可能となる。
【0029】
第二工程では、特に撹拌しながらポリアミドを析出させることが好ましい。撹拌は、公知の撹拌方法(撹拌装置)によって実施することができる。本発明では、特に超音波によって撹拌することがより好ましい。超音波による撹拌によって、通常の撹拌法に比べて平均粒径で約50%程度の微細化も可能となる。また、超音波撹拌により、粒径がより整った粒子が得られる。超音波による撹拌は、公知の超音波装置(例えば超音波洗浄器)及び操作条件をそのまま採用できる。超音波の周波数は、所望の(平均)粒径等に応じて適宜設定すれば良く、通常は28〜1000kHz程度、好ましくは28〜100kHz程度、より好ましくは28〜45kHz程度とすれば良い。
【0030】
第二工程における温度は、特に制限されず、通常0〜100℃程度、好ましくは0〜40℃程度とすれば良い。混合溶液を冷却し、反応速度を小さくした方が、粒径が整ったより球状に近い微粒子が得られるので、第二工程の温度は、室温(25℃)以下程度、特に0〜15℃程度がさらに好ましい。なお、撹拌はポリアミドの析出が実質的に完了するまで行えば良く、撹拌時間は、通常30秒〜30分間程度であるが、かかる範囲外となっても差し支えない。
【0031】
第二工程で沈殿生成したポリアミド微粒子は、遠心分離法等の公知の方法に従って固液分離して回収すれば良い。
【0032】
ポリアミドとしてポリアミドイミドを得ようとする場合、酸クロライドとしてトリメリット酸クロライドや無水カルボン酸として無水トリメリット酸等のポリアミドイミド合成で用いられているものを用い、第二工程で得られた微粒子に存在するカルボキシル基とアミド基を縮合してイミド化すれば良い。イミド化する方法は特に制限されないが、本発明では特に(i)有機溶媒中に分散させ、加熱(通常130℃以上、好ましくは130〜250℃程度の温度で加熱すれば良い)してイミド化する方法(熱閉環)、又は(ii)有機溶媒中における化学反応によりイミド化する方法(化学閉環)を採用することが望ましい。
【0033】
(3)ポリアミド微粒子
このようにして得られるポリアミド微粒子(粉末)は、球状として生成される場合は、一般には、平均粒径0.01〜5μm程度(特に0.03〜3μm程度、好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.2〜1.8μm、さらには0.2μm以上1μm未満、最も好ましくは0.2〜0.9μm)である。
【0034】
また、本発明の方法によれば、球状として生成されたポリアミド微粒子は、単分散に近い多孔性の球状粒子として得られ、標準偏差0.02〜0.25程度(好ましくは0.02〜0.18程度)、変動係数3〜25%程度(好ましくは3〜15%程度)の範囲にある単分散状のものである。一方、偏平状として生成されたポリアミド微粒子も、単分散に近い多孔性の粒子として得られ、標準偏差0.02〜0.25程度(好ましくは0.02〜0.18程度)、変動係数3〜25%程度(好ましくは3〜15%程度)の範囲にある単分散状のものである。
【0035】
また、本発明方法によるポリアミド微粒子(粉末)は、一般には比表面積が20m2/gを超える程度(例えば30〜300m2/g程度、特に40〜300m2/g程度、さらには50〜300m2/g程度、好ましくは60〜300m2/g程度、さらには好ましくは70〜300m2/g程度、より好ましくは80m2/gを超え300m2/g以下、最も好ましくは90〜200m2/g程度)である。
【0036】
さらに、本発明方法によるポリアミド微粒子は、ガラス転移温度(Tg)を示すもの及びそれを示さないものの双方を包含する。一般的に、ガラス転移温度(通常250〜260℃程度)を示すポリアミド微粒子は、それを示さないポリアミド微粒子に比べ、粒子表面の凹凸が少なく、より球状に近い粒子である。従って、ガラス転移温度を有するポリアミド微粒子は、一般的に、表面粒子の凹凸が少なく滑らかであり、球状に近いという点において望ましい。
【0037】
ポリアミド微粒子のガラス転移点の有無は、製造条件(特に、用いる酸クロライド及び/又はジアミン化合物の種類)を変更することによって適宜制御することができる。例えば、後記の実施例6及び11にも示されているように、酸クロライドとしてテレフタル酸ジクロライドを用いる場合(実施例6)はガラス転移温度を示さないポリアミド微粒子が得られるのに対し、酸クロライドとしてイソフタル酸クロライドを用いる場合(実施例11)はガラス転移温度を示すポリアミド微粒子が得られる。また、例えば、後記の実施例12にも示されているように、ジアミン化合物として3,3'−ジアミノジフェニルスルホンを使用する場合にも、ガラス転移温度を示すポリアミド微粒子を得ることができる。
【0038】
本発明には、上記したような範囲の平均粒径、標準偏差、変動係数、比表面積等の特徴を有するポリアミドイミド微粒子も含まれる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、従来のように厳密な温度制御等を必要とせず、微細で且つ粒径の均一なポリアミド微粒子を比較的容易に得ることができる。また、本発明の方法では、従来の方法と比べて蟻酸や硫酸等取り扱い困難な溶媒を用いる必要がないので、工業的な方法として適している。さらに、本発明の方法では、その条件を適宜変更することによって所望の粒径、粒子形状、粒度分布等に制御することも比較的容易である。
【0040】
このようにして得られた本発明ポリアミド微粒子は、接着剤、塗料、印刷インク中の分散剤、医療用担体、磁気記録媒体、化粧品の基材、プラスチックの改質材、クロマトグラフィー担体、層間絶縁膜用材料等の用途に用いることができる。
【0041】
また、本発明のポリアミド微粒子は、耐熱性も高く、特に酸クロライド及び/又はジアミン化合物として芳香族化合物を用いると、ガラス転移温度を示さないような非常に耐熱性の高い粒子が得られることから、ポリイミド粒子の代用も可能であると考えられる。他方、酸クロライドとしてイソフタル酸クロライド等の特定のものを使用したり、あるいはジアミンとして3,3'-ジアミノジフェニルスルホン等の特定のものを使用すると、ガラス転移温度を示すポリアミド微粒子をより確実に得ることができる。このようなポリアミド微粒子は、粒子表面の凹凸が比較的少なく滑らかである。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより一層明確にする。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0043】
なお、実施例における超音波撹拌は超音波洗浄器「ULTRASONIC CLEANER VS-100 III SUNPAR 」を用いた。
【0044】
本発明における各物性は次のようにしてそれぞれ測定した。
【0045】
(1)ガラス転移温度等
ガラス転移温度(Tg)については、示差走査熱量測定法(DSC)により求めた。測定条件は、昇温速度10℃/min、窒素50ml/minとした。熱分解温度(Td)については、熱重量示差熱分析(TGDTA)により求めた。測定条件は、昇温速度10℃/min、窒素200ml/minとした。
【0046】
(2)平均粒径等
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、そのSEM写真から任意の100個の微粒子を選び出し、これら微粒子の粒径の平均を下式(1)に従って求めた。
【0047】
【数1】
Figure 0004304434
【0048】
また、この平均粒径の値に基づいて下記の数式(2)及び(3)に従い標準偏差(S)、さらには数式(4)に従って変動係数(C)も求めた。変動係数が小さいほど粒径のバラツキが少ないことを示す。
【0049】
【数2】
Figure 0004304434
【0050】
【数3】
Figure 0004304434
【0051】
【数4】
Figure 0004304434
【0052】
(3)比表面積
比表面積は、不活性気体として窒素を用いたBET法により求めた。
【0053】
実施例1
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約4℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図1(a)及び図1(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は0.753μm、標準偏差0.0693、変動係数9.202%、比表面積106.7m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は477℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0054】
実施例2
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約12℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い偏平粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図2(a)及び図2(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径(長軸方向)は1.089μm、標準偏差0.101、変動係数9.229%、比表面積52.81m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は492℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0055】
実施例3
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ室温下で調製した。その後、テレフタル酸ジクロライド / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、室温下水浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図3(a)及び図3(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は約1.222μm、標準偏差0.116、変動係数9.507%、比表面積107.80m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は、481℃であり、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0056】
実施例4
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約4℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数45kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図4(a)及び図4(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は0.866μm、標準偏差0.0648、変動係数7.473%、比表面積79.78m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は475℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0057】
実施例5
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0025molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / アセトン=0.0025mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0025mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約4℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン=0.0025mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図5(a)及び図5(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は0.940μm、標準偏差0.120、変動係数12.758%、比表面積67.23m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は、470℃であり、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0058】
実施例6
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをジオキサンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / ジオキサン0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約12℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水35mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い偏平粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図6(a)及び図6(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径(長軸方向)は0.634μm、標準偏差0.0664、変動係数10.476%、比表面積72.05m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は488℃であり、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0059】
実施例7
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / アセトン0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル /アセトン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約4℃まで冷却した。その後4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / アセトン0.0005mol / 50ml溶液には、メタノール15mlを加え撹拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図7(a)及び図7(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は1.691μm、標準偏差0.190、変動係数11.231%、比表面積55.62m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は362℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0060】
実施例8
まず、第一溶液としてテレフタル酸ジクロライド0.0005molをアセトンに溶解させた50ml溶液(テレフタル酸ジクロライド / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルメタン / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約4℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルメタン / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い偏平粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図8(a)及び図8(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径(長軸方向)は1.165μm、標準偏差0.0953、変動係数8.180%、比表面積47.32m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は455℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0061】
実施例9
まず、第一溶液として4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド0.0005molをジオキサンに溶解させた50ml溶液(4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約12℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い多孔性球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図9(a)及び図9(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は約0.483μm、標準偏差0.0463、変動係数9.586%、比表面積85.08m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は484℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0062】
実施例10
まず、第一溶液として4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド0.0005molをジオキサンに溶解させた50ml溶液(4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルメタン / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約12℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルメタン / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水35mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近く、表面に凹凸のある球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図10(a)及び図10(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は約0.312μm、標準偏差0.0290、変動係数9.295%、比表面積31.10m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は444℃で、ガラス転移温度(Tg)は示さなかった。
【0063】
実施例11
まず、第一溶液としてイソフタル酸クロライド0.0005molをジオキサンに溶解させた50ml溶液(イソフタル酸クロライド / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約12℃まで冷却した。その後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水25mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近く、表面に凹凸のないフラットな球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図11(a)及び図11(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は約0.376μm、標準偏差0.0307、変動係数8.165%、比表面積11.08m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は450℃で、ガラス転移温度(Tg)は250℃であった。
【0064】
実施例12
まず、第一溶液として4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド0.0005molをジオキサンに溶解させた50ml溶液(4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド /ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液という。以下同じ。)、第二溶液として3,3'-ジアミノジフェニルスルホン / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約12℃まで冷却した。その後、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン / ジオキサン=0.0005mol / 50ml溶液には、イオン交換水35mlを加え攪拌した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近く、表面に凹凸のないフラットな球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図12(a)及び図12(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は0.470μm、標準偏差0.0304、変動係数6.468%、比表面積9.17m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は441℃で、ガラス転移温度(Tg)は258℃であった。
【0065】
実施例13
まず、第一溶液としてセバシン酸クロライド0.0005molをイオン交換水5mlに溶解させた後、アセトン50mlを更に加えた溶液、第二溶液としてヘキサメチレンジアミン / アセトン=0.0005mol / 50ml溶液をそれぞれ調製し、両溶液を約4℃まで冷却した。次いで、氷浴中で両溶液を混合して周波数28kHzの超音波で20分間攪拌し、反応させることにより、ポリアミドを析出した。得られたポリアミドを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ポリアミドが単分散に近い、多孔性球状粒子から構成されていることを確認した。そのSEM写真を図13(a)及び図13(b)に示す。このポリアミド微粒子の平均粒径は1.375μm、標準偏差0.127、変動係数9.236%、比表面積70.53m2/gであった。熱分解温度(Td(5wt% loss))は383℃で、融解温度(mp)は199℃であった。
【0066】
試験例1
実施例1で得られた本発明ポリアミド微粒子は、多孔性(壁状)の球状粒子であり、熱処理(110℃ / 3h)後も、窒素気流下約540℃(熱分解による重量減少が30%を示す温度)で処理した後も、形状は球状のまま保持されていた。従って、例えばガスクロマトグラフィーの担体等、高温での用途にも使用できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)及び(b)は実施例1で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図2】図2(a)及び(b)は実施例2で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図3】図3(a)及び(b)は実施例3で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図4】図4(a)及び(b)は実施例4で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図5】図5(a)及び(b)は実施例5で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図6】図6(a)及び(b)は実施例6で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図7】図7(a)及び(b)は実施例7で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図8】図8(a)及び(b)は実施例8で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図9】図9(a)及び(b)は実施例9で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図10】図10(a)及び(b)は実施例10で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図11】図11(a)及び(b)は実施例11で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図12】図12(a)及び(b)は実施例12で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。
【図13】図13(a)及び(b)は実施例13で得られたポリアミド微粒子の粒子形状を示す図である。

Claims (5)

  1. 酸クロライドとジアミン化合物からポリアミドを合成する方法において、
    (a)酸クロライドを含む第一溶液と、ジアミン化合物を含む第二溶液とをそれぞれ調製する第一工程、及び
    (b)第一溶液及び第二溶液の溶媒のいずれにも可溶である溶媒の存在下に、第一溶液と第二溶液とを混合し、混合溶液からポリアミド微粒子を析出させる第二工程を含み、
    前記酸クロライドが、脂肪族ジカルボン酸ジクロライド、脂環族ジカルボン酸ジクロライドおよび芳香族ジカルボン酸ジクロライドからなる群から選択されるジカルボン酸ジクロライドであり、かつ、
    第一溶液及び第二溶液の溶媒のいずれにも可溶である溶媒が、水及び水酸基を有する溶媒の少なくとも1種であるポリアミド微粒子の製造方法。
  2. 水酸基を有する溶媒が、炭素数1〜10のアルコールの少なくとも1種を含む請求項に記載の方法。
  3. 第二工程を超音波による撹拌下で行う請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 第一溶液における溶媒が、アセトン及びジオキサンの少なくとも1種を含む請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 第二溶液における溶媒が、アセトン及びジオキサンの少なくとも1種を含む請求項1〜のいずれかに記載の方法。
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