JP4304394B2 - 育毛剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、育毛剤組成物に関し、より詳しくは、低温安定性が改善された育毛剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸又はその誘導体(以下、奇数脂肪酸関連物質)を育毛有効成分として含有する育毛剤組成物について、その低温安定化(−5℃付近)に関する提案は、種々なされていた。
【0003】
しかしながら、近年、上記育毛剤組成物の諸外国での活用が進むにつれて、より低温での安定化(−10℃〜−20℃)が求められるようになったのに対し、上記提案では、このようなより低温の条件では、その安定化が不十分であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、例えば−10〜−20℃のより低温の条件下で長期に亘って保存しても結晶析出がほとんど見られない低温安定性に優れた育毛剤組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、上記奇数脂肪酸関連物質を含有する育毛剤組成物に上記奇数脂肪酸関連物質に対応する偶数脂肪酸又はその誘導体(以下、偶数脂肪酸関連物質)を配合すると、例えば−10℃〜−20℃の温度条件下での安定性が向上することを知見し、更に鋭意検討した結果、上記奇数脂肪酸関連物質と偶数脂肪酸関連物質との配合比率に着目するに至り、後述する実施例に示すように上記奇数脂肪酸関連物質と偶数脂肪酸関連物質とが所定割合となるように偶数脂肪酸関連物質を添加すると、その使用感を損なうことなく、例えば−10℃〜−20℃の温度条件下で長期に亘って保存しても結晶析出がほとんど見られない低温安定性が改良された育毛剤組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
即ち、本発明は下記育毛剤組成物を提供する。
[1]. 炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有する脂肪酸を、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸との合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。
[2].炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であり、イ)下記一般式(1)又は(2)で示されるモノグリセライド
【化11】
(式中、Rは偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。)
を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記モノグリセライド中の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有するモノグリセライドを、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であるモノグリセライドとの合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。
[3].炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であり、ホ)下記一般式(7)で示されるエステル
(7) RCOOR’
(式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表し、R’は、1価アルコール残基、アミン残基、ポリオキシエチレン残基、ソルビタン残基又はショ糖残基を表す。)
を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記エステル中の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有するエステルを、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であるエステルとの合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。
[4].炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であり、ヘ)下記一般式(8)で表される第1アミド
(8) RCONR’’R’’’
(式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表し、R’’及びR’’’は、それぞれ水素又は有機基を表す。)
を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記第1アミド中の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有する第1アミドを、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体である第1アミドとの合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。
【0007】
以下、本発明について更に詳しく説明すると、本発明の育毛剤組成物は、上述したように、炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する奇数脂肪酸関連物質を育毛有効成分として含有すると共に、該奇数脂肪酸関連物質に対応する偶数脂肪酸関連物質を上記奇数脂肪酸関連物質に対して特定割合となるように配合したものである。
【0008】
ここで、本発明の育毛剤組成物に配合される炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸としては、炭素鎖を構成している炭素原子の数が3〜25の奇数のものであり、育毛作用を有するものであれば、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよい。また、不飽和脂肪酸は、複数の二重結合を含んでいてもよい。例えばプロピオン酸(炭素鎖長3)や吉草酸(炭素鎖長5)のような低級脂肪酸、ペンタデカン酸(炭素鎖長15)やヘプタデカン酸(炭素鎖長17)のような高級脂肪酸を挙げることができる。
【0009】
本発明において、上記奇数脂肪酸の誘導体としては、該脂肪酸残基を含むものであり、人体に使用することができるものであれば、上記奇数鎖長の脂肪酸のいずれの誘導体をも用いることができるが、本発明においては誘導体として下記イ)、ホ)またはへ)を用いる。
【0010】
イ)下記一般式(1)又は(2)で示されるモノグリセライド、
【化1】
ここで、上記式中、Rは偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。
【0011】
ロ)下記一般式(3)又は(4)で示されるジグリセライド、
【化2】
但し、上記式中、R1及びR2の少なくともいずれか一方は、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。R1又はR2のいずれか一方が偶数の炭素鎖長を有す鎖式有機基であれば、高い育毛効果が得られ、他の一方は奇数の炭素鎖長を有する鎖式有機基であってもよい。しかしながら、奇数鎖長の脂肪酸ジグリセライドであることが特に好ましい。
【0012】
ハ)下記一般式(5)で示されるトリグリセライド、
【化3】
ここで、上記式中、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。R1、R2及びR3のうち少なくともいずれか1つが偶数の炭素鎖長を有する鎖式有機基であれば、高い育毛効果が得られ、他のものは奇数の炭素鎖長を有する鎖式有機基であってもかまわないが、奇数鎖長の脂肪酸のトリグリセライドが特に好ましい。
【0013】
ニ)下記一般式(6)で示される脂肪酸塩、
(6)
(RCOO)nM
ここで、上記式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基、Mは金属原子、nはMの価数に対応した整数を表す。代表的なものとしては、例えばRCOONa、RCOOK及びRCOOLi等を挙げることができる。
【0014】
ホ)下記一般式(7)で示されるエステル、
(7)
RCOOR’
ここで、上記式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表し、R’は、1価アルコール残基、アミン残基、ポリオキシエチレン残基、ソルビタン残基又はショ糖残基を表す。1価アルコールとしては、例えばメタノール及びエタノール等を挙げることができ、アミン残基としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
【0015】
ヘ)下記一般式(8)で表される第1アミド、
(8)
RCONR’’R’’’
ここで、上記式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表し、R’’及びR’’’は、それぞれ水素又は例えばアミノ酸残基、アルキル基、アルケニル基、フェニル基等の有機基を表す。
【0016】
ト)下記一般式(9)で表される第2アミド、
【化4】
ここで、上記式中、R1及びR2のうち少なくともどちらか一方は、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。R1及びR2のうち少なくともどちらか一方が偶数の炭素鎖長を有する有機基であれば、高い育毛効果が得られ、他のもの及びR’’’’は人体に悪影響を与えることがないものであれば、どのような有機基であってもよい。もっとも、双方とも偶数鎖長の直鎖式有機基であることが特に好ましい。R’’’’は水素であってもよい。
【0017】
チ)下記一般式(10)で表される第3アミド、
【化5】
ここで、上記式中、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つが、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。R1、R2及びR3のうち少なくとも1つが偶数の炭素鎖長を有する有機基であれば、高い育毛効果が得られ、他のものは人体に悪影響を与えることがないものであれば、どのような有機基であってもよい。もっとも、これら3つともが偶数鎖長の直鎖式有機基であることが特に好ましい。
【0018】
リ)下記一般式(11)で表される二塩基酸及びその塩、
(11)
HOOCR4COOH
ここで、上記式中、R4は、奇数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。
【0019】
ヌ)下記一般式(12)で表されるステロールエステル、
【化6】
ここで、上記式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。
【0020】
ル)下記一般式(13)で示されるリン脂質、
【化7】
ここで、上記式中、R5及びR6は鎖式有機基であって、これらのうち少なくともいずれか一方、特に好ましくは双方とも偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。Xはコリン残基、エタノールアミン残基、セリン残基又はイノシトール残基を表す。Xがコリン残基のときはフォスファチジルコリン、エタノールアミン残基のときはフォスファチジルエタノールアミン、セリン残基のときはフォスファチジルセリン、イノシトール残基のときはフォスファチジルイノシトールとなる。
【0021】
ヲ)下記一般式(14)で示されるフォスファチジン酸、
【化8】
ここで、上記式中、R5及びR6は鎖式有機基であって、これらのうち少なくともどちらか一方、特に好ましくは双方とも偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表す。
【0022】
ワ)下記一般式(15)で示されるスフィンゴ脂質、
【化9】
ここで、上記式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基、X’は糖残基、リン酸残基又はコリン若しくはエタノールアミンのようなアミン塩基残基を表す。
【0023】
本発明の毛髪用化粧料における上記奇数脂肪酸関連物質の配合量は、特に制限されるものではなく、通常製剤全体の0.05〜15%(質量%、以下同様)、好ましくは0.5〜10%、より好ましくは1〜5%とすると、好適である。配合量が少なすぎると育毛効果が十分得られない場合がある。一方、多すぎると、低温安定性を向上させることが困難となる場合がある。
【0024】
次に、上記奇数脂肪酸関連物質に対応する本発明の偶数脂肪酸関連物質は、上記奇数脂肪酸関連物質として奇数脂肪酸を使用するのであれば、偶数脂肪酸関連物質としては、偶数脂肪酸を使用し、一方、奇数脂肪酸の誘導体を使用するのであれば、偶数脂肪酸の同様な誘導体を使用する。ここで、本発明の偶数脂肪酸としては、炭素鎖を構成している炭素原子の数が偶数のものであれば、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよい。なお、不飽和脂肪酸は、複数の二重結合を含んでいてもよい。上記炭素原子の数は、2〜26、好ましくは4〜20、より好ましくは8〜18であると好適である。また、配合する上記奇数脂肪酸の炭素数がnであれば、これと組み合わせる偶数脂肪酸としては、その炭素数がn−3〜n+3の偶数であり、特にn−1〜n+1の偶数である偶数脂肪酸を用いると、相溶性の点から、より好適である。上記偶数脂肪酸は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0025】
本発明において、上記偶数脂肪酸の誘導体としては、上記奇数脂肪酸の誘導体と同様に脂肪酸残基を含むものであればよく、特に奇数脂肪酸の誘導体が炭素数nの奇数脂肪酸の誘導体であれば、これと組み合わせる偶数脂肪酸の誘導体は、炭素数がn−3〜n+3の偶数であり、特にn−1〜n+1の偶数である偶数脂肪酸の同種の誘導体、即ち、奇数脂肪酸の誘導体がモノグリセリドであれば、偶数脂肪酸の誘導体もモノグリセリドとするとより好適であり、上記偶数脂肪酸の誘導体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0026】
上記偶数脂肪酸関連物質は、上記奇数脂肪酸関連物質との合計(全脂肪酸関連物質)配合量に対して0.05〜20%(2種以上配合する場合は、合計量)となるように配合する必要があり、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.2〜2%である。偶数脂肪酸関連物質の配合割合が小さすぎると本発明が目的とする低温安定化の効果が得られない。一方、配合割合が大きすぎるとべたつきが強くなり、育毛剤組成物としての使用感が悪くなり、商品的価値が下がってしまう。
【0027】
本発明の育毛剤組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で通常毛髪用化粧料に配合される成分を配合することができ、例えば基剤として、水、アルコール類、多価アルコール類、界面活性剤、油脂類等が挙げられ、更に、薬効成分として、例えばビタミン類、ホルモン類、血管拡張剤、アミノ酸類、抗炎症剤、皮膚機能亢進剤、角質溶解剤等を挙げることができ、これらは本発明の効果を妨げない範囲で常用量配合することができる。
【0028】
本発明の育毛剤組成物は、育毛料、養毛剤、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアシャンプー、ヘアリンスなどの種々の形態として用いることができ、各形態の常法によって製造することができる。そして、各形態の常法に従って常用量で使用することによって、優れた育毛効果が発揮される。
【0029】
【発明の効果】
本発明の育毛剤組成物は、使用感が良好で育毛効果に優れると共に、低温安定性が改善されているので、例えば−10℃〜−20℃の低温条件下で長期に亘って保存しても結晶の析出がほとんどなく、より低温での安定性に優れている。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されるものではない。なお、以下の例及び表において%は、質量%である。
【0031】
[実施例1,2、参考例1〜5及び比較例1,2]
エタノール92%、ヤシ油脂肪酸ソルビタン3%、モノペンタデカン酸グリセリド(奇数脂肪酸の誘導体)とモノミリスチン酸(C14)グリセリド(偶数脂肪酸の誘導体)との合計配合量(全脂肪酸誘導体量)5%からなる組成において、全脂肪酸誘導体量に対する偶数脂肪酸の誘導体の配合比率が表1に示す割合となるように配合し、これら成分を均一に混合、溶解させて実施例1,2、参考例1〜5及び比較例1,2の被試験試料(育毛剤組成物)を調製した。これらの液剤について、下記方法により低温安定性及びべたつきを評価した。結果を表1に併記する。
【0032】
<低温安定性の評価>
被試験試料約40gを透明ガラスビンに取り、−10℃の恒温槽に保存して目視観察によって結晶が析出したことが認められた日から1日引いた日数を安定化日数とし、安定化日数が50日以上の場合を◎、35〜49日の場合を○、25〜34日の場合を△、24日以下の場合を×として、評価した。なお、結果は、3回の測定結果の平均日数を四捨五入した日数を評点とした。
【0033】
<べたつきの評価>
被試験試料約2gを人毛を植え込んだ評価用カツラに塗布し、専門パネラー5名が下記評価基準に基づいてべたつきを官能評価し、5名の平均値を求めて、下記総合評価基準に基づいてべたつきの評点とした。
【0034】
評価基準
5点:良い(ほとんどべたつかない)
4点:やや良い(べたつきは少ない)
3点:普通(商品価値上問題なし)
2点:やや悪い(ややべたつく、商品価値上問題あり)
1点:悪い(かなりべたつく)
【0035】
総合評価基準(5人の平均値)
4点以上:◎
3点以上4点未満:○
2点以上3点未満:△
1点以上2点未満:×
【0036】
【表1】
【0037】
[実施例3,4、参考例6〜9及び比較例3,4]
エタノール95%、ラウリン酸ソルビタン2%、ノナン酸(奇数脂肪酸)とカプリル酸(C8)及びカプリン酸(C10)[配合比(質量比)1:1](偶数脂肪酸)との合計配合量(全脂肪酸量)3%からなる組成において、全脂肪酸量に対する偶数脂肪酸の配合比率が表2に示す割合となるように配合して、これら成分を均一に混合、溶解させて実施例3,4、参考例6〜9及び比較例3,4の被試験試料(育毛剤組成物)を調製した。これらの液剤について、下記方法により低温安定性を評価し、べたつきを上記実施例1と同様にして評価した。結果を表2に併記する。
【0038】
<低温安定性の評価>
被試験試料約40gを透明ガラスビンに取り、−20℃の恒温槽に保存して目視観察によって結晶が析出したことが認められた日から1日引いた日数を安定化日数とし、安定化日数が45日以上の場合を◎、30〜44日の場合を○、20〜29日の場合を△、19日以下の場合を×として、評価した。なお、結果は、3回の測定結果の平均日数を四捨五入した日数を評点とした。
【0039】
【表2】
【0040】
[実施例5,6、参考例10〜14及び比較例5,6]
エタノール95%、ミリスチン酸ショ糖エステル2.5%、トリデカン酸エチル(奇数脂肪酸の誘導体)とラウリン酸(C12)エチル、ミルスチン酸(C14)エチル及びパルミチン酸(C16)エチル[配合比(質量比)2:1:1](偶数脂肪酸の誘導体)との合計配合量(全脂肪酸誘導体量)2.4%からなる組成において、全脂肪酸誘導体量に対する偶数脂肪酸の誘導体の配合比率が表3に示す割合となるように配合して、これら成分を均一に混合、溶解させて実施例5,6、参考例10〜14及び比較例5,6の被試験試料(育毛剤組成物)を調製した。これらの液剤について、下記方法により低温安定性を評価し、べたつきを上記実施例1と同様にして評価した。結果を表3に併記する。
【0041】
<低温安定性の評価>
被試験試料約40gを透明ガラスビンに取り、−15℃の恒温槽に保存して目視観察によって結晶が析出したことが認められた日から1日引いた日数を安定化日数とし、安定化日数が50日以上の場合を◎、35〜49日の場合を○、25〜34日の場合を△、24日以下の場合を×として、評価した。なお、結果は、3回の測定結果の平均日数を四捨五入した日数を評点とした。
【0042】
【表3】
【0043】
[実施例7〜9、参考例15〜18及び比較例7,8]
エタノール92%、ラウリン酸ショ糖エステル1%、ヤシ油脂肪酸ソルビタン0.5%、モノエチルトリコサン酸(C23)アミド(奇数脂肪酸の誘導体)とモノエチルドコサン酸(C22)アミド(偶数脂肪酸の誘導体)との合計配合量(全脂肪酸誘導体量)1.5%からなる組成において、全脂肪酸誘導体量に対する偶数脂肪酸の誘導体の配合比率が表4に示す割合となるように配合して、これら成分を均一に混合、溶解させて実施例7〜9、参考例15〜18及び比較例7,8の被試験試料(育毛剤組成物)を調製した。これらの液剤について、下記方法により低温安定性を評価し、べたつきを上記実施例1と同様にして評価した。結果を表4に併記する。
【0044】
<低温安定性の評価>
被試験試料約40gを透明ガラスビンに取り、−10℃の恒温槽に保存して目視観察によって結晶が析出したことが認められた日から1日引いた日数を安定化日数とし、安定化日数が50日以上の場合を◎、35〜49日の場合を○、25〜34日の場合を△、24日以下の場合を×として、評価した。なお、結果は、3回の測定結果の平均日数を四捨五入した日数を評点とした。
【0045】
【表4】
【0046】
次に、より具体的な組成を実施例10〜13として挙げる。
【0047】
[実施例10]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して養毛剤を調製した。
成分 配合量(質量%)
モノペンタデカン酸グリセリド及びモノミリスチン酸グリセリド(0.8%)*
3
酢酸dl−α−トコフェロール 0.1
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 1
ショ糖ミリスチン酸エステル 0.5
ビオチン 0.002
コハク酸 0.3
センブリエキス 1
ヒノキチオール 0.1
l−メントール 0.3
香料** 適量
99.5%エタノール 残部
100.0
*:奇数脂肪酸関連物質と偶数脂肪酸関連物質との合計配合量に対する偶数脂肪酸関連物質の配合割合、以下同様
**:組成;ラベンダー油1.0%、レモン油1.0%、オレンジ油0.2%、イランイラン油1.0%、ベンジルベンゾエート10.0%、ベンジルアセテート1.0%、セレストライド0.5%、オイゲノール0.5%、ゲラニルニトリル0.5%、メチルジヒドロジャスモネート5.0%、イソEスーパー1.5%、ライムトール0.5%、リナロール10.0%、リナリルアセテート10.0%、リラール10.0%、ガンマメチルヨノン3.0%、エチレンブラシエート1.0%、ガラクソライド50%ベンジルベンゾエート溶液1.0%、ベータフェニルエチルアルコール5.0%、サンタローム0.5%、ベチベリルアセテート1.0%、アセチルセレドン2.0%、ベルガモット油1.0%、ゲラニオール1.0%、セージクラリー油0.5%、ヘキシルサリシレート0.5%、ジャスミンアブソリュート0.1%、ヒドロキシシトロネロール0.1%、リグストラール0.1%、トリエチルシトレート0.5%、ジプロピレングリコール30.0%、配合量は、0.5%以下、特に0.01〜0.1%が好適である、以下同様
【0048】
[実施例11]
下記組成となるように常法に従って、下記原液成分を混合、溶解して、原液を調製し、常法により上記原液とLPGとを混合し、適宜容器に充填して育毛スプレーを調製した。
成分 配合量(質量%)
(原液)
モノペンタコサン酸(C25)グリセリド及びモノヘキサコサン酸(C26)グリセ
リド、モノテトラコサン酸(C24)グリセリド(3:1)***(1.2%)*
1
ラウリン酸ソルビタン 0.5
N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム・α−N−メチルカ
ルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
オレイン酸エチル 0.1
クエン酸 0.3
ショ糖ラウリン酸エステル 0.5
香料** 適量
l−メンチルグリセリルエーテル 0.1
99.5%エタノール 残部
100.0
(希釈用充填液)
上記原液 80%
LPG 20%
***:偶数脂肪酸関連物質における各偶数脂肪酸関連物質の配合比率(質量比)、以下同様
【0049】
[実施例12]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛トニックを調製した。
成分 配合量(質量%)
ペンタデカン酸(C15)及びラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)(1:
3)***(0.32%)* 2
POE(8モル)オレイルアルコールエーテル 1.5
グリセリン 3
l−メントール 0.1
トウガラシチンキ 0.3
メチルパラベン 0.1
香料** 0.3
95%エタノール 60
精製水 残部
100.0
【0050】
[実施例13]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛ヘアローションを調製した。
成分 配合量(質量%)
ペンタデカン酸(C15)エチル及びパルミチン酸(C16)エチル(0.1%)*
1
天然ビタミンE 0.5
ショ糖ミリスチン酸エステル 0.5
POE(40)硬化ひまし油 0.5
クエン酸 0.1
dl−カンフル 0.05
香料** 適量
95%エタノール 50
精製水 残部
100.0
【0051】
[参考例19]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛ヘアローションを調製した。
成分 配合量(質量%)
ジノナン酸(C9)グリセリド及びジカプリル酸(C8)グリセリド、ジカプリン
酸(C10)グリセリド、ジラウリン酸(C12)グリセリド(1:1:1)***(
9.6%)* 2
ラウリン酸ソルビタン 0.5
酢酸トコフェロール 0.5
オリーブ油 1
ヒキオコシエキス 1
コハク酸 0.2
香料** 適量
99.5%エタノール 残部
100.0
【0052】
[参考例20]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛シャンプーを調製した。
成分 配合量(質量%)
モノヘプタデカン酸(C15)ソルビタンエステル及びモノステアリン酸(C18)
ソルビタンエステル、モノパルミチン酸(C16)ソルビタンエステル、モノミリ
スチン酸(C14)ソルビタンエステル(1:1:2)***(12.8%)*
4
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10
α−オレフィンスルフォン酸ナトリウム 5
ラウリン酸ジエタノールアミド 5
ラウリルアミドプロピルベタイン 5
ジメチルシロキサン 3
カチオン化セルロース 0.5
ジステアリン酸エチレングリコール 2
アロエエキス 0.2
安息香酸ナトリウム 0.8
香料** 適量
精製水 残部
100.0
【0053】
[参考例21]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛リンスを調製した。
成分 配合量(質量%)
N,N−ジエチルペンタデカン酸(C15)アミド及びN,N−ジエチルパルミチ
ン酸(C16)アミド(4.8%)* 0.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 0.5
セトステアリルアルコール 3
POE(5)ステアリルエーテル 1.5
流動パラフィン 1
環状シリコン(デカメチルペンタシロキサン) 0.5
人参エキス 0.2
パラベン 0.1
香料** 適量
精製水 残部
100.0
【0054】
[参考例22]
下記組成のA油相部とB水相部を70℃でそれぞれ溶解し、B水相部にA油相部を加えて均一に乳化した。更に、冷却しながらC香料を加えて育毛クリームを調製した。
成分 配合量(質量%)
A油相部
トリペンタデカノイン(C15)及びトリテトラデカノイン(C14)、トリドデカ
ノイン(C12)(1:1)***(7.4%)* 1
オレイン酸エチル 2
ミルスチン酸オクチルドデシル 1.5
流動パラフィン 1
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO) 3
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 2
モノステアリン酸グリセリン 1
セトステアリルアルコール 1
パントテニールエチルエーテル 0.5
プロピルパラベン 0.1
B水相部
1,3−ブチレングリコール 2.5
ジプロピレングリコール 2.5
メチルパラベン 0.25
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
プラセタリキッド 0.2
ゲンチアナエキス 0.1
精製水 残部
C香料 ** 適量
100.0
【0055】
[参考例23]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛料を調製した。
成分 配合量(質量%)
モノペンタデカノイル(C15)フォスファチジン酸及びモノテトラデカノイル(
C14)フォスファチジン酸(2.3%)* 2.5
酢酸dl−α−トコフェロール 0.2
モノミリスチン酸ペンタグリセリン 1
ラウリン酸ソルビタン 0.5
ハッカ油 0.05
ニコチン酸ベンジル 0.001
メチルパラベン 0.05
香料** 適量
95%エタノール 70
精製水 残部
100.0
【0056】
[参考例24]
下記組成となるように常法に従って、下記成分を混合、溶解して育毛ヘアリキッドを調製した。
成分 配合量(質量%)
モノペンタデカノイル(C15)コレステロールエステル及びモノドデカノイル(
C12)コレステロールエステル、モノヘキサデカノイル(C16)コレステロール
エステル(2:1)***(18.0%)* 1
グリチルレチン酸ステアリル 0.2
ショ糖ラウリン酸エステル 0.5
ジラウリン酸ヘキサグリセリン 0.5
POP(5)ブチルエーテル 20
ラノリン 1
カルボキシビニルポリマー 0.8
オキシベンゾン 0.1
メチルパラベン 0.1
トリイソプロパノールアミン 適量
香料** 適量
95%エタノール 残部
100.0
【0057】
上記実施例の育毛剤組成物は、いずれも使用時にべたつき感がなく、優れた育毛効果を発揮し、また、−10℃〜−20℃の低温条件下における保存安定性も良好であった。
Claims (4)
- 炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有する脂肪酸を、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸との合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。
- 炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であり、ホ)下記一般式(7)で示されるエステル
(7) RCOOR’
(式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表し、R’は、1価アルコール残基、アミン残基、ポリオキシエチレン残基、ソルビタン残基又はショ糖残基を表す。)
を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記エステル中の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有するエステルを、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であるエステルとの合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。 - 炭素原子数3〜25の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体であり、ヘ)下記一般式(8)で表される第1アミド
(8) RCONR’’R’’’
(式中、Rは、偶数の炭素鎖長を有する直鎖式有機基を表し、R’’及びR’’’は、それぞれ水素又は有機基を表す。)
を有効成分として含有する育毛剤組成物であって、上記第1アミド中の奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の炭素数がnであれば、その炭素数がn−3〜n+3である偶数の炭素鎖長を有する第1アミドを、上記奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸の誘導体である第1アミドとの合計配合量に対して0.25〜2質量%となるように配合してなることを特徴とする育毛剤組成物。
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