JP4302951B2 - 切断装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクラップフープ材を含む切断を必要とする各種の被切断材を切断する切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被切断材を切断する切断装置としては、例えば自動プレス装置等に併設されてフープ材をプレスした後のスクラップをトリップのまま切断処理するフープ材カッターが知られており、この種のフープ材カッターとしては実公昭49−32387号公報に開示されている。
【0003】
図8は前記公報記載のフープ材カッターの要部断面図、図9はその内部構造を示す平面図である。
図8に示すように、フープ材カッター50のベース51とカバー53の間には平板状のラム52が進退動自在に配設されている。ラム52の前進側の前端には、動刃58がラム52の前端部より刃部を突出させてボルトにより固定されており、カバー51には固定刃59が動刃58に対向させてボルトにより固定されている。ラム52の後端側には、モーター66により駆動される減速機67の駆動軸55にキー54を介して固定されたカム56が軸受57を介して嵌合しており、カム56の回転による偏心作動によりラム52が揺動しつつ進退動して前記動刃58を固定刃59に対して接離し、フープ材を同じ方向から切断するようになっている。
【0004】
動刃58の左右端面58a,58bには、図9に示すように、ベース51に取り付けたガイドローラ60がそれぞれ当接して設けられており、カム56の回転によって生じるラム52の揺動による動刃58の横振れを抑えるとともに進退動をガイドしている。また、ガイドローラ60には、グリースニップル62をベース51に設けてそれぞれの給油穴61を通じて潤滑油が供給され、ガイドローラ60の回転が円滑にされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のフープ材カッターでは、モーター66によるカム56の回転でラム52を進退動しているため、固定刃59に対する動刃58の開口量がカム56の偏心量Lに限定され、フープ材の厚みに対応して開口量の調節ができず、またフープ材の厚みが開口量を越えると切断できない問題があった。
【0006】
また、ラム52の進退動には揺動が伴うため、動刃58の横揺れを抑えつつ進退動をガイドするガイドローラー60を設ける必要があるとともに、ガイドローラー60の回転を円滑にする給油機構が必要となり、構造上複雑となる問題があった。
【0007】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、切断刃間の開口量を自由に設定可能にするとともに、ラムの進退動の際に揺動をなくした切断装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る切断装置は、ベース2に一対の切断刃の一方を構成する第二の切断刃としての固定刃3をボルト4にて固定するとともにこの固定刃3に対向して切り欠き部6aを有する略円形平板状に形成したラム6をベース2とサブフレーム5間に摺動自在に設け、このラム6の切り欠き部6aに前記一対の切断刃の他方を構成する第1の切断刃としての動刃7をボルト8にて固定し、かつ前記ラム6の外周面の前記切り欠き部6aの両端より両側に、それぞれ歯部9a,9bを刻設するとともに当該両歯部9a,9bにラック歯車14a,14bを噛合したラック体10a,10bを前記ベース2の両側に固定した一対のガイド部材11a,11bに、それぞれ上下および平行方向に移動自在に支持し、さらに前記ラック体10a,10bにそれぞれ流体シリンダー12a,12bを連結して、前記ラム6の上下方向の進退動および傾動する第一および第二の駆動手段を設け、当該第一および第二の駆動手段の流体シリンダー12a,12bを駆動して前記ラック体10a,10bを被切断材13の厚みに対応させて切断する開口量となるまで、前記動刃7を固定刃3に対して平行に接近させた後、前記第二の駆動手段の流体シリンダー12bを停止してラック体10bを一定位置に固定するとともに第一の駆動手段の流体シリンダー12aを駆動しつつラック体10aのみを下動し、ラム6を歯部9bとラック体10bのラック歯車14bとの噛合位置を中心に回動させつつ動刃7を傾動し、ラック体10a側の動刃7の刃部と固定刃3の刃部が重なり合い、所定角度になったら前記第一の駆動手段の流体シリンダー12aの駆動を停止しラック体10aを固定し、その後さらに前記第二の駆動手段の流体シリンダー12bを駆動してラック体10bを下動しラム6を歯部9aとラック体10aのラック歯車14aとの噛合位置を中心に回動し、動刃7を固定刃3に近づけるように傾動させつつ被切断材13を切断することができるように構成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。図1は本実施の形態の要都を示す正面図、図2は図1のA−A矢視図である。
【0010】
図1および図2に示すように、本実施の形態の切断装置1は、ベース2に一対の切断刃の一方を構成する第二の切断刃としての固定刃3がその刃部を上方に向けてボルト4等の適宜手段にて固定されており、この固定刃3の上方には、ラム6がベース2とサブフレーム5との間で固定刃3に対して摺動可能に設けられている。ラム6は、中心よりある程度の距離を有して直線的に切り欠いた略円形平板状に形成されており、このラム6には、一対の切断刃の他方を構成する第一の切断刃としての動刃7がその刃部を切り欠き部6aより下方に突設させてボルト8等の適宜手段により固定され、被切断材13を切断可能に固定刃3と対向して配置されている。
【0011】
ラム6は、その外周面に切り欠き部6aの両端より両側にそれぞれ歯部9a,9bが所要の長さ形成され、ピニオンとして機能しており、歯部9aには第一の上下動手段としてのラック体10aのラック歯車14aが噛み合わされ、歯部9bには第二の上下動手段としてのラック体10bのラック歯車14bが噛み合わされている。なお、歯部9a,9bは、ラム6の円形外周面の全周に形成しても構わない。ラック体10a,10bは、ベース2に固定されているガイド部材11a,11bによりそれぞれ上下方向かつ平行に案内されている。なお、15a,15bはガイド部材11a,11bに設けたガイド溝、16a,16bはラック体10a,10bに設けたガイド突起で、ガイド部材11a,11bのガイド溝15a,15bにスライド自在に係合されている。
【0012】
ラック体10aには第一の駆動手段としての流体シリンダー12aが連結されるとともに、ラック体10bには第二の駆動手段としての流体シリンダー12bが連結されており、流体シリンダー12a,12bは、図示を省略した制御部の制御により独立して駆動され、同期して同じ移動速度でラック体10a,10bを移動するとともに、一方のラック体10a(またはラック体10b)の移動を行わず、他方のラック体10b(またはラック体10a)のみを移動してラム6を両方向へ交互に傾動させ、動刃7のウェイビングを可能にしている。また、流体シリンダー12a,12bの駆動によるラック体10a,10bの移動量も制御可能で、固定刃3に対する動刃7の開口量も被切断材13の厚みに対応させて任意に設定可能になっており、流体シリンダー12a,12bには、油圧シリンダー、水圧シリンダーあるいは空圧シリンダーを用いることができる。なお、17a、17bはラック体10a、10bを支持するシリンダーロッドを示す。
【0013】
なお、前記ラム6は切り欠き部6a以外を円形としたが、動刃7をウェイビングさせるに必要な長さの歯部9a,9bを円形側面に形成し、それ以外の上部は円形でなくてもよく、例えば切り欠き部6aと同様に直線的に切り欠いた形状にしてもよい。また、第1の上下動手段および第2の上下動手段であるラック体10aおよびラック体10bを上下方向に移動する第1の駆動手段および第2の駆動手段は流体シリンダー12aおよび流体シリンダー12bに限られず、ラック体10a,10bを上下方向に往復移動させる機構であれば良く、例えば、ラック体10a,10bにネジ穴を設け(ネジ穴はラック体に直接形成しても良く、ナットを取り付けても良い)、このネジ穴にモーターで回転可能なネジ部材を螺合し、ネジ部材を回転させてラック体10a,10bを上下動させる構成でも良い。
【0014】
前記構成において、被切断材13を切断する動作について図3〜6および図7を用いて説明する。なお、以下の説明においては、固定刃3と動刃7は平行に配設された状態から動刃7を固定刃3に下降接近させるものとする。
【0015】
まず、図3に示すように、流体シリンダー12a,12bを図示しない制御部の制御により同期させつつ同条件で駆動し、ラック体10a,10bを同じ速度で下降させ、被切断材13の厚みに対応させて切断する開口量となるまで動刃7を固定刃3に対して平行に接近させる。
【0016】
次に、図4に示すように、流体シリンダー12bの駆動を停止してラック体10bを一定位置に固定し、流体シリンダー12aを駆動してラック体10aのみを下降し、ラム6を、その歯部9とラック体10bとの噛合付置を中心にして回転させて動刃7を傾動させる。そして、ラック体10a側の動刃7の刃部と固定刃3の刃部が重なり合うとともに所定角度になったら、流体シリンダー12aの駆動を停止してラック体10aを固定する。
【0017】
その後、流体シリンダー12bの駆動によりラック体10bを下降し、図5に示すように、ラック体10aとの噛合位置を中心にラム6を回動して動刃7を固定刃3に近づけるように傾動させつつ被切断材13を切断していき、最終的に動刃7と固定刃3を平行にすることで、被切断材13の切断が完了する。(図5参照)
【0018】
図7は図4から図5に示す一連の動作を示すもので、ラック体10aを30mm下降させた後、ラック体10aの移動を停止させてラック体10bを30mm下降させた時の動刃7の軌跡を示している。
【0019】
動刃7は、ラック体10aの下降に伴いラック体10bとの噛合位置を中心にラム6が回転されて傾動する。このとき、動刃7の刃先におけるA点は固定刃3に対して略平行にラック体10b方向へ移動し、B点、C点およびD点はラック体10b方向に移動しつつ下降する。そして、ラック体10aを30mm下降させた時点でラック体10aの移動を停止した後、ラック体10bを30mm下降させ、動刃7をラック体10aとの噛合位置を中心に傾動させる。このとき、動刃7の刃先におけるA点、B点およびC点はラック体10b方向へ移動しつつ下降するとともに、D点では固定刃3に対して略平行にラック体10b方向へ移動し、ラック体10bが30mm下降した時点で動刃7と固定刃3は平行になり、被切断材の切断が完了する。
【0020】
被切断材13の切断が完了すると、図6に示すように、まず、ラック体10aのみを上昇させてラック体10bとラム6との噛合位置を中心にラム6を回転させ動刃7を固定刃3に対して開いていき、動刃7のラック体10a側の刃先端部が動刃
7の傾動前の状態に開き終わるとラック体10aの移動を停止する。そして、ラック体10bを揺動して動刃7をラック体10aとラム6との噛合位置を中心に回転させて開き、動刃7と固定刃3が平行になった時点でラック体10bの移動を停止する。このとき、動刃7と固定刃3の間には被切断材13が配置されている。そして、前記切断を繰り返す。このとき、被切断材13の切り始めはラック体10aによる動刃7の傾動を切断毎に行ってもよく、あるいはラック体10bにより動刃7の傾動を行って切り始め、その後ラック体10aとラック体10bによる切り始めを交互に行ってもよい。
【0021】
なお、前記構成では、被切断材13を切り終わった後、ラック体10aを移動、すなわち被切断材13を切り始めた方から動刃7を固定刃3に対して開く動作を説明したが、まずラック体10bを移動、すなわち被切断材13を切り終わった方から動刃7を開いても構わない。また、ラック体10aとラック体10bを同時に移動させ、動刃7を固定刃3に対して開いても良い。
【0022】
なお、前記構成においては、動刃7を固定刃3に対して上下に配置した場合を説明したが、動刃7と固定刃3の上下関係を逆転させ、ラム6を固定刃3の下側から進退動する構成であっても良く、また固定刃3も動刃7を取り付けたラム6と同様に移動かつ傾動可能なラムに取り付けて動刃としてもよい。
【0023】
本案施の形態によれば、固定刃3に対して動刃7を直線移動して接近離反できるので、被切断材13の厚みに対応させて固定刃3と動刃7との間隔を調整することができる。また、ラックピニオン機構により動刃7をウェイビングさせるので、従来より切断刃を長くすることができ、幅の広い被切断材を切断することができる。また、流体シリンダー12a,12bの駆動力を調整し、薄い被切断材に比べて厚みの大きな被切断材の場合には駆動力を大きくすることで、被切断材の厚みの如何を問わずに刃巾を有効に使用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ラックピニオン手段によりウェイビングカットができ切断刃寿命の長期化を図ることができるとともに、動刃の揺動が生じないのでその揺動による動刃の横揺れを抑制しつつ進退動をガイドする構成が不要となり、構成の簡略化を図ることができる。さらに、切断刃の長さを従来に比べ長し、幅の広い被切断材を切断することができる。
【0025】
また、一対の切断刃の開口量を調整可能なので、被切断材の厚みに対応させて開口し切断することができ、例えば自動プレス機等による打ち抜き部等のめくれや立上げ部を有する被切断材であっても切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の要部を示す正面図である。
【図2】 図1のA−A矢視図である。
【図3】 被切断材の切り始め状態を示す正面図である。
【図4】 被切断材の切り始め動作を説明するための正面図である。
【図5】 被切断材の切断完了時を説明するための正面図である。
【図6】 切断完了後の動刃の開き動作を説明するための正面図である。
【図7】 被切断材の切断時における動刃の軌跡を示す図である。
【図8】 従来のフープ材カッターを示す要部断面図である。
【図9】 従来のフープ材カッターの内部構造を示す平面図である。
【符号の説明】
1 切断装置
2 ベース
3 固定刃
5 サブフレーム
6 ラム
7 動刃
9a,9b 歯部
10a,10b ラック体
11a,11b ガイド部材
12a,12b 流体シリンダー
13 被切断材

Claims (1)

  1. ベース2に一対の切断刃の一方を構成する第二の切断刃としての固定刃3をボルト4にて固定するとともにこの固定刃3に対向して切り欠き部6aを有する略円形平板状に形成したラム6をベース2とサブフレーム5間に摺動自在に設け、このラム6の切り欠き部6aに前記一対の切断刃の他方を構成する第1の切断刃としての動刃7をボルト8にて固定し、かつ前記ラム6の外周面の前記切り欠き部6aの両端より両側に、それぞれ歯部9a,9bを刻設するとともに当該両歯部9a,9bにラック歯車14a,14bを噛合したラック体10a,10bを前記ベース2の両側に固定した一対のガイド部材11a,11bに、それぞれ上下および平行方向に移動自在に支持し、さらに前記ラック体10a,10bにそれぞれ流体シリンダー12a,12bを連結して、前記ラム6の上下方向の進退動および傾動する第一および第二の駆動手段を設け、当該第一および第二の駆動手段の流体シリンダー12a,12bを駆動して前記ラック体10a,10bを被切断材13の厚みに対応させて切断する開口量となるまで、前記動刃7を固定刃3に対して平行に接近させた後、前記第二の駆動手段の流体シリンダー12bを停止してラック体10bを一定位置に固定するとともに第一の駆動手段の流体シリンダー12aを駆動しつつラック体10aのみを下動し、ラム6を歯部9bとラック体10bのラック歯車14bとの噛合位置を中心に回動させつつ動刃7を傾動し、ラック体10a側の動刃7の刃部と固定刃3の刃部が重なり合い、所定角度になったら前記第一の駆動手段の流体シリンダー12aの駆動を停止しラック体10aを固定し、その後さらに前記第二の駆動手段の流体シリンダー12bを駆動してラック体10bを下動しラム6を歯部9aとラック体10aのラック歯車14aとの噛合位置を中心に回動し、動刃7を固定刃3に近づけるように傾動させつつ被切断材13を切断することができるように構成したことを特徴とする切断装置。
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