JP4302508B2 - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性成形品等に好適に用いられる液晶性ポリマー組成物に関する。更に詳しくは、優れた成形加工性を持ち、且つ導電性に優れていることから、帯電防止シート、導電シート、燃料電池セパレータ等に好適に用いられる導電性液晶性ポリマー組成物に関する。
異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリマーは、熱可塑性樹脂の中でも寸法精度、制振性、流動性に優れ、成形時のバリ発生が極めて少ない材料として知られている。従来、このような特徴を活かし、ガラス繊維で強化された液晶性ポリマー組成物が電子部品として多く採用されてきた。また、近年、液晶性ポリマーの優れた流動性を活かし、導電性充填材を配合し、導電性を付与することも行われている。
例えば、特許文献1〜4では、液晶性ポリマーに導電性カーボンブラックや黒鉛を配合することにより導電性を改良する試みがなされているが、導電性としては充分であるものの、導電性が高いため同時に熱伝導が高くなり、固化速度の速い液晶性ポリマーで直ぐに固化してしまい、成形性が悪化する等の問題があった。
特開昭62−131067号公報 特開平6−207083号公報 特開平11−354136号公報 特開平11−306852号公報
以上のように、導電性樹脂組成物に関しては様々な検討が行われているが、高い導電性と成形加工性を両立させた材料は存在しなかった。
本発明者らは前記問題点を解決し、液晶性ポリマーの機械的物性を維持しつつ、導電性に優れ、且つ成形加工性に優れた素材の提供を目的として鋭意研究した結果、特定の液晶性ポリマーに導電性フィラーを配合することにより、上記目的が達成された材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(A) 4−ヒドロキシ安息香酸
(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸
(C) 芳香族アミノフェノール
(D) 芳香族ジカルボン酸
を共重合させて得られる全芳香族ポリエステルアミドであって、
(1) (C) 芳香族アミノフェノールの割合が7〜35モル%、
(2) 原料モノマー中の屈曲性モノマーの割合が7〜35モル%、
(3) (A) 4−ヒドロキシ安息香酸と(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸との比率((A) /(B) )が0.15〜4.0 、
(4) 芳香族ジカルボン酸中、イソフタル酸の割合が35モル%以上であり、
(5) 20℃/min の昇温速度によるDSC測定で融点が観測されず、
(6) ガラス転移温度が100 〜180 ℃
である軟化流動時に光学的異方性を示す(E) 液晶性ポリマー100重量部に対し、(F) 導電性フィラーを100〜600重量部配合してなる導電性樹脂組成物である。
特定の液晶性ポリマーに特定量の導電性フィラーを配合してなる本発明の導電性樹脂組成物は、導電性フィラーを高配合しても液晶性ポリマーのガラス転移温度近くまで流動することから成形性に優れ、液晶性ポリマーの優れた機械強度を保持した成形品とすることが可能である。
以下本発明を詳細に説明する。本発明で用いる(E) 液晶性ポリマーとは、20℃/min の昇温速度によるDSC測定で融点は観測されないが、100〜180℃の範囲にガラス転移温度が観察される非晶質全芳香族ポリエステルアミドである。
より具体的には、下記の原料モノマー(A) 〜(D) 成分を共重合させて得られる。
(A) 4−ヒドロキシ安息香酸およびその誘導体
(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸およびその誘導体
(C) 芳香族アミノフェノールであり、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−N−メチルアミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノールおよびこれらの誘導体等が例示される
(D) 芳香族ジカルボン酸であり、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸およびこれらの誘導体が例示される
本発明で用いる液晶性ポリマーにおいて、各成分の共重合比率は、優れた加工性を発現するために重要である。
即ち、本発明で用いる液晶性ポリマーにおいて、(C) 芳香族アミノフェノールの比率は7〜35モル%、好ましくは10〜25モル%であることが必要である。7モル%未満では目的とする加工性が発現できず、35モル%より多くなると機械強度が著しく低下するため好ましくない。
また、上記原料モノマー中において、屈曲性モノマーの割合が7〜35モル%であることが必要である。ここで、屈曲性モノマーとは、フェニレン骨格を有する化合物において、エステル又はアミド形成性官能基(カルボキシル基、フェノール基、アミノ基)の位置がメタ又はオルトである化合物のように、分子鎖を屈曲させるような化合物であって、具体的には1,3−フェニレン骨格、2,3−フェニレン骨格及び2,3−ナフタレン骨格を有するものが挙げられる。
より具体的な屈曲性モノマーとしては、イソフタル酸、フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、m−アミノフェノールおよびこれらの誘導体が例示され、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,3’−ビフェニルジカルボン酸およびこれらの誘導体も屈曲性モノマーとして例示される。特に好ましいものはイソフタル酸である。
このことから、本発明の(D) 芳香族ジカルボン酸として、全芳香族ジカルボン酸の35モル%以上をイソフタル酸とすることが好ましく、特に全部をイソフタル酸とすることが好ましい。
尚、屈曲性モノマーとして、(A) 、(B) 、(C) 、(D) 以外のモノマーとして、m−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸を少量(10モル%以下)導入することもできる。
また、(A) 4−ヒドロキシ安息香酸と(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸との合計は、一般的に30〜90モル%(好ましくは50〜80モル%)の範囲で用いられるが、(A) と(B) との比率((A) /(B) )が0.15〜4.0 、好ましくは0.25〜3であることが必要である。この比率を外れた場合は、結晶質のポリマーとなり、導電性樹脂組成物とした場合に成形性が悪くなり好ましくない。
本発明で用いる液晶性ポリマーにおいて、(A) 〜(D) の最も望ましい共重合比率は、
(A) 4−ヒドロキシ安息香酸;20〜60モル%
(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸;20〜60モル%
(C) 芳香族アミノフェノール;10〜25モル%
(D) 芳香族ジカルボン酸;10〜25モル%
である。
また、本発明の液晶性ポリマーは、20℃/min の昇温速度によるDSC測定で融点が観測されない、実質的に非晶質であることが必要である。結晶質ポリマーでは導電性樹脂組成物とした場合に加工性が悪いため好ましくない。
更に、本発明の液晶性ポリマーは、ガラス転移温度が100〜180℃の範囲にあることが必要である。ガラス転移温度が100℃より低いと耐熱性が悪くなり好ましくなく、180℃より高いと成形性が悪くなり好ましくない。
また、本発明の液晶性ポリマーには、本発明の目的を阻害しない範囲で少量の公知の他の構成単位(ハイドロキノン、ジヒドロキシビフェニルに代表されるジオール単位)を導入することもできるが、これらの構成単位は事実上含まないことが好ましい。
溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマーであることは、本発明において熱安定性と易加工性を併せ持つ上で不可欠な要素である。上記構成単位からなる全芳香族ポリエステルアミドは、構成成分およびポリマー中のシーケンス分布によっては、異方性溶融相を形成しないものも存在するが、本発明に係わるポリマーは溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルアミドに限られる。
溶融異方性の性質は直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認することができる。より具体的には溶融異方性の確認はオリンパス社製偏光顕微鏡を使用しリンカム社製ホットステージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で150 倍の倍率で観察することにより実施できる。上記ポリマーは光学的に異方性であり、直交偏光子間に挿入したとき光を透過させる。試料が光学的に異方性であると、例えば溶融静止液状態であっても偏光は透過する。
本発明の加工性の指標としては液晶性及びガラス転移温度が考えられる。液晶性を示すか否かは溶融時の流動性に深く係わり、本願のポリエステルアミドは溶融状態で液晶性を示すことが不可欠である。
一般的に、ネマチックな液晶性ポリマーは融点またはそれ以上の温度で液晶性を示し、各種成形加工が行われ、次いで結晶化温度以下にまで冷却されることで、成形品の形状が固化される。ところが、本発明の液晶性ポリマーは結晶化しないために、樹脂温がガラス転移温度付近に達するまで流動性が損なわれず、成形性に優れた材料と言える。また、成形品の耐熱性や、樹脂ペレットの乾燥工程の効率化等の観点から、ガラス転移温度は100℃以上であることが好ましい。また、ガラス転移温度が180℃より高くなると、成形金型温度を高くする必要があり、作業性が悪くなり好ましくない。
更に、ガラス転移温度より80〜120℃高い温度で、剪断速度1000sec-1における溶融粘度が1×106 Pa・s 以下であることが好ましい。更に好ましくは1×103 Pa・s 以下である。これらの溶融粘度は液晶性を具備することで概ね実現される。
本発明の液晶性ポリマーは、直接重合法やエステル交換法を用いて重合され、重合に際しては、溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法等が用いられる。
本発明では、重合に際し、重合モノマーに対するアシル化剤や、酸塩化物誘導体として末端を活性化したモノマーを使用できる。アシル化剤としては、無水酢酸等の酸無水物等が挙げられ、使用量は、重合制御の観点から、アミノ基及び水酸基の合計当量の1.01〜1.10倍が好ましく、さらに好ましくは1.02〜1.05倍である。
これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものはジアルキル錫酸化物、ジアリール錫酸化物、二酸化チタン、アルコキシチタンけい酸塩類、チタンアルコラート類、カルボン酸のアルカリ及びアルカリ土類金属塩類、BF3 の如きルイス酸塩等が挙げられる。触媒の使用量は一般にはモノマーの全重量に基いて約 0.001乃至1重量%、特に約0.003 乃至 0.2重量%が好ましい。
また、溶液重合又はスラリー重合を行う場合、溶媒としては流動パラフィン、高耐熱性合成油、不活性鉱物油等が用いられる。
反応条件としては、反応温度200 〜380 ℃、最終到達圧力0.1 〜760 Torr(即ち、13〜101,080 Pa)である。特に溶融反応では、反応温度260 〜380 ℃、好ましくは300 〜360 ℃、最終到達圧力1〜100 Torr(即ち、133 〜13,300 Pa )、好ましくは1〜50 Torr (即ち、133 〜6,670 Pa)である。
溶融重合は、反応系内が所定温度に達した後、減圧を開始して所定の減圧度にして行う。撹拌機のトルクが所定値に達した後、不活性ガスを導入し、減圧状態から常圧を経て、所定の加圧状態にして反応系からポリマーを排出する。
また、本発明で用いる液晶性ポリマーには、本発明の企図する目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を更に補助的に添加してもよい。
この場合に使用する熱可塑性樹脂の例を示すと、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール等からなる芳香族ポリエステル、ポリアセタール(ホモ又はコポリマー)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂等を挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上混合して使用することができる。
次に、本発明の導電性樹脂組成物は、上記液晶性ポリマーに導電性フィラーを添加することにより得られる。本発明において、導電性フィラーの配合量は重要であり、液晶性ポリマー100重量部に対し100〜600重量部配合させる必要がある。
本発明で用いる(F) 導電性フィラーとしては、黒鉛、カーボンファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられ、その1種又は2種以上が用いられるが、その中でもコストおよび性能の面で黒鉛が好ましい。
黒鉛としては、人造黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛である鱗状黒鉛、土状黒鉛等のいかなる種類の黒鉛でも使用可能であるが、その中でも性能の面から、固定炭素が95重量%以上、好ましくは98重量%以上の人造黒鉛、膨張黒鉛、鱗状黒鉛が好ましい。
また、本発明において、1×10Ω・cm以下の体積抵抗率を達成するためには、黒鉛の平均粒径および配合量が重要であり、平均粒径が小さ過ぎると所望の導電性を発現させるために多量に配合する必要があり成形時の流動性に劣り、逆に大き過ぎると所望の導電性は発現されるが、機械強度が低下する問題が発生する。そのため、平均粒径50〜1000μm 、好ましくは100〜400μm の黒鉛を用いるのが望ましい。また、黒鉛の配合量は、配合量が少ない場合、所望の導電性を得られず、多すぎる場合、押出性および成形性を悪化させる。そのため、液晶性ポリマー100重量部に対し、100〜600重量部、好ましくは300〜500重量部の範囲にあることが必要である。
カーボンファイバーとしては、ピッチ系、PAN系共に使用可能である。カーボンファイバーの配合量は、配合量が少ない場合、所望の導電性を得られず、一方、配合量が多い場合、押出性および成形性を著しく悪化させる。そのため、カーボンファイバー単独での添加も可能であるが、黒鉛等の他の導電性フィラーとの併用による機械物性の向上を兼ねての使用が望ましい。そのため、カーボンファイバー単独での添加量は、液晶性ポリマー100重量部に対し、100〜200重量部、好ましくは100〜150重量部であり、他の導電性フィラーと併用する場合のカーボンファイバーの添加量は、液晶性ポリマー100重量部に対し、10〜100重量部、好ましくは10〜50重量部であり、その際の他の導電性フィラーとの総導電性フィラー添加量は、液晶性ポリマー100重量部に対し、100〜600重量部、好ましくは300〜500重量部である。
ケッチェンブラック、カーボンナノチューブに関しては、何れもストラクチャが発達しているため、少量の添加でも増粘し、押出性および成形性を著しく悪化させる。そのため、単独での添加で所望の導電性と良好な成形性を兼ねることが難しいため、黒鉛等の他の導電性フィラーとの併用が好ましい。併用することにより、所望の導電性発現に必要な総導電性フィラー量を低減することが可能である。ケッチェンブラック、カーボンナノチューブの添加量は、液晶性ポリマー100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部であり、その際の他の導電性フィラーとの総導電性フィラー添加量は、液晶性ポリマー100重量部に対し、100〜600重量部、好ましくは300〜500重量部である。
また、本発明の組成物には、目的とする導電性を損なわない範囲で各種の繊維状及び非繊維状充填材を配合することもできる。
繊維状充填材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ウィスカー、無機系繊維、鉱石系繊維等が使用できる。ウィスカーとしては、窒化珪素ウィスカー、三窒化珪素ウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、炭化珪素ウィスカー、ボロンウィスカー等が使用可能であり、無機系繊維としては、ロックウール、ジルコニア、アルミナシリカ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、炭化珪素、アルミナ、シリカ、高炉スラグ等の各種ファイバーが使用可能であり、鉱石系繊維としては、アスベスト等が使用可能である。これらの中でも性能の面から、ガラス繊維が好ましい。
板状や粉粒状の非繊維状充填材としては、具体的にはタルク、マイカ、カオリン、クレー、バーミキュライト、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、長石粉、酸性白土、ロウ石クレー、セリサイト、シリマナイト、ベントナイト、ガラスフレーク、スレート粉、シラン等の珪酸塩、炭酸カルシウム、胡粉、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、バライト粉、ブランフィックス、沈降性硫酸カルシウム、焼石膏、硫酸バリウム等の硫酸塩、水和アルミナ等の水酸化物、アルミナ、酸化アンチモン、マグネシア、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、珪砂、石英、ホワイトカーボン、珪藻土等の酸化物、二硫化モリブデン等の硫化物、金属粉粒体等の材質からなるものである。
本発明において使用する導電性フィラー、充填材はそのままでも使用できるが、一般的に用いられる公知の表面処理剤、収束剤を併用することができる。
なお、導電性樹脂ポリマー組成物に対し、核剤、カーボンブラック、無機焼成顔料等の顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤および難燃剤等の添加剤を添加して、所望の特性を付与した組成物も本発明で言う導電性樹脂組成物の範囲に含まれる。
以下に実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中の物性測定の方法は以下の通りである。
[体積抵抗率]
φ30mm×2t平板試験片を用い、金メッキした電極の上にカーボンペーパー、試験片、カーボンペーパー、電極の順に重ね、1MPa の荷重をかけ、電極間の抵抗値を四端子法にて測定し、その値からカーボンペーパーの抵抗値を引き、体積抵抗率を計算し、試験片5枚の平均値を体積抵抗率とした。
[融点、ガラス転移温度]
示差走査熱量分析装置(パーキンエルマー社製DSC7)にて、20℃/分の昇温条件で測定した。
[溶融粘度]
表1に示す成形温度、剪断速度 1000sec-1の条件で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて東洋精機製キャピログラフで測定した。
[成形性]
シリンダー温度300℃、射出圧力125 MPa の条件で、幅5mm、厚さ1mm、長さ100mmの棒状成形品を成形し、流動距離を測定した。
製造例1(液晶性ポリマー−1の製造)
攪拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、金属触媒(生成ポリマーに対し、K+基準で30ppm)、アシル化剤(アミノ基と水酸基の合計当量の1.02倍)を仕込み、窒素置換を開始した。
(A) 4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)118.44g(40モル%)
(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(HNA)121.04g(30モル%)
(C) アセトキシ−4−アミノフェノール(APAP)48.61g(15モル%)
(D) イソフタル酸(IA)53.42g(15モル%)
上記所定量の酢酸カリウム触媒
上記所定量の無水酢酸
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140 ℃に上げ、140 ℃で1時間反応させた。その後、更に330 ℃まで3.3 時間かけて昇温し、そこから20分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。
製造例2(液晶性ポリマー−2(比較品)の製造)
製造例1と同じ重合容器に、以下の原料モノマー、金属触媒(生成ポリマーに対し、K+基準で30ppm)、アシル化剤(アミノ基と水酸基の合計当量の1.02倍)を仕込み、窒素置換を開始した。
(A) 4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)1645g(73モル%)
(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(HNA)845g(27モル%)
上記所定量の酢酸カリウム触媒
上記所定量の無水酢酸
原料を仕込んだ後、反応系の温度を140 ℃に上げ、140 ℃で1時間反応させた。その後、更に300 ℃まで1.3 時間かけて昇温し、そこから20分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。
このようにして得た液晶性ポリマー−1、2の融点、ガラス転移温度、溶融粘度等の測定結果を表1に示す。
実施例1〜4、比較例1〜2
表2に示すように、上記の如く製造した液晶性ポリマー−1、2と、各種導電性フィラーを表2に示す割合でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いて混練しペレットを形成後、射出成形機にて上記試験片を成形し、評価を行った。結果を表2に示す。
尚、使用した導電性フィラーは以下のものである。
黒鉛 ;(株)エスイーシー製、人造黒鉛SGS−350、固定炭素99.9重量%、平均粒径350 μm
カーボンファイバー;東邦テナックス(株)製、ベスファイト・チョップドファイバーHTA−C6−N
ケッチェンブラック;ライオン(株)製、ケッチェンブラックECX
Figure 0004302508
Figure 0004302508

Claims (5)

  1. (A) 4−ヒドロキシ安息香酸
    (B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸
    (C) 芳香族アミノフェノール
    (D) 芳香族ジカルボン酸
    を共重合させて得られる全芳香族ポリエステルアミドであって、
    (1) (C) 芳香族アミノフェノールの割合が7〜35モル%、
    (2) 原料モノマー中のイソフタル酸の割合が7〜35モル%、
    (3) (A) 4−ヒドロキシ安息香酸と(B) 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸との比率((A) /(B) )が0.15〜4.0 、
    (4) 芳香族ジカルボン酸中、イソフタル酸の割合が35モル%以上であり、
    (5) 20℃/min の昇温速度によるDSC測定で融点が観測されず、
    (6) ガラス転移温度が100 〜180 ℃
    である軟化流動時に光学的異方性を示す(E) 液晶性ポリマー100重量部に対し、(F) 導電性フィラーを100〜600重量部配合してなる導電性樹脂組成物。
  2. (C) 芳香族アミノフェノールが、p−アミノフェノールである液晶性ポリマーを用いることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. (E) 液晶性ポリマー100重量部に対し、(F) 導電性フィラーを300〜500重量部配合してなる請求項1又は2記載の導電性樹脂組成物。
  4. (F) 導電性フィラーが、黒鉛、カーボンファイバー、ケッチェンブラック及びカーボンナノチューブより選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3の何れか1項記載の導電性樹脂組成物。
  5. 体積抵抗率が1×10 Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の導電性樹脂組成物。
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