JP4300401B2 - 硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーと多官能シアン酸エステル樹脂の組み合わせからなる硬化性樹脂組成物およびその硬化物に関する。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化させることによって耐熱性および低誘電特性に優れた高分子材料を得ることができるものであり、かかる硬化性樹脂組成物は、半導体封止材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、レジスト、電子部品の封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、FRP等の広範な用途に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、シアネート樹脂は機能性高分子材料の原料として用いられている。近年これらの応用分野における要求性能の高度化に伴い、機能性高分子材料として求められる物性はますます厳しくなってきている。かかる物性として、例えば、耐熱性、耐候性、耐薬品性、低吸水性、高破壊靭性、低誘電率、低誘電正接等が求められている。
【0003】
例えば、印刷配線板分野では信号の高周波化に伴う信号減衰の問題から、低誘電特性を有する基板材料が望まれている。シアン酸エステル樹脂は熱硬化性樹脂の中でも耐熱性、低誘電特性に優れることから、これまでに、例えば、シアン酸エステル樹脂とエポキシ樹脂からなる組成物(例えば、特許文献1参照。)、ビスマレイミド、シアン酸エステル樹脂およびエポキシ樹脂からなる組成物(例えば、特許文献2参照。)を用いる方法、多官能フェノール化合物とシアン酸エステル樹脂を組み合わせる方法(例えば、特許文献3参照。)、単官能フェノール化合物とシアン酸エステル樹脂を組み合わせる方法(例えば、特許文献4参照。)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献3に例示された多官能フェノール化合物とシアン酸エステル樹脂を組み合わせる方法は、GHz帯域での誘電特性が悪化するために高周波用途には不十分であった。また、特許文献4の単官能フェノールとシアン酸エステル樹脂の組み合わせは高周波特性には優れるものの単官能化合物を用いるために架橋密度が低下し耐熱性が低下するという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特公昭46-41112号公報(第1-8頁)
【特許文献2】
特公昭52-31279号公報(第1-11頁)
【特許文献3】
特公平7-47637号公報(第1-5頁)
【特許文献4】
特許3261061号公報(第1-7頁)
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性に優れ、低誘電率、低誘電正接である硬化物を与える硬化性樹脂組成物およびその硬化物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、PPE骨格の優れた誘電特性・耐熱性を引継いだ、数平均分子量が500〜3000であり、特定の構造を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーと多官能シアン酸エステル樹脂を組み合わせて硬化させることにより、優れた耐熱性を有し、低誘電特性である硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(1)に表される特定の構造を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーと多官能シアン酸エステル樹脂を組み合わせてなる硬化性樹脂組成物に関し、さらに該組成物を硬化させてなる硬化物に関する。
【化3】
Figure 0004300401
(式中、-(O-X-O)-は構造式(2)で示され、R1,R2, R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R3,R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。Aは、炭素数20以下の直鎖状あるいは、分岐状あるいは、環状の炭化水素である。-(Y-O)-は構造式(3)で定義される1種類の構造、または構造式(3)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列したものである。R9,R10は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R11,R12は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜30の整数を示す。)
【0008】
【発明実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。一般式(1)で表される化合物において、R1,R2, R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R3,R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。Aは、炭素数20以下の直鎖状あるいは、分岐状あるいは、環状の炭化水素である。-(Y-O)-は構造式(3)で定義される1種類の構造、または構造式(3)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列したものである。R9,R10は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R11,R12は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜30の整数を示す。これらのなかでも好ましくは、R1,R2, R7,R8は炭素数3以下のアルキル基、R3,R4,R5,R6は水素原子または炭素数3以下のアルキル基、R9,R10は炭素数3以下のアルキル基、R11,R12は水素原子または炭素数3以下のアルキル基である。分子量は小さすぎるとフェニレンエーテル骨格の有する耐熱性、電気特性が得られず、また、大きすぎると汎用溶剤への溶解性が低下することから、好ましくは数平均分子量が500〜3000である。
【0009】
一般式(1)で表される2官能性フェニレンエーテルオリゴマーの製法は、特に限定されず、いかなる方法で製造してもよい。例えば、特願2002-018508に記載の方法で、2官能フェノール化合物と1官能フェノール化合物を銅、アミン存在下、酸化カップリングにより製造することができる。
【0010】
本発明で使用される多官能シアン酸エステル化合物(b)は下記一般式(6)で示される。
一般式 : R−(O−CN)m…(6)
(式中のmは2以上、通常5以下の整数であり、Rは芳香族性の有機基であって、上記のシアネート基は該有機基Rの芳香環に直接結合しているもの)
【0011】
具体的に例示すると、1,3-または1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-または2,7-ジシアナトナフタレン、1,3、6-トリシアナトナフタレン、4,4'-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類、特願2002-040063、特願2002-041321に記載のPPE骨格を有するシアン酸エステル樹脂等である。
【0012】
また、これらの多官能シアン酸エステル樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーも使用できる。このプレポリマーは、上記の多官能シアン酸エステル樹脂モノマーを、例えば、鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、炭酸ナトリウムなどの塩類を触媒として重合させることにより得られる。
【0013】
これらの多官能シアン酸エステル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂プレポリマーは1種または2種以上混合して用いることができる。また、2官能性ポリフェニレンエーテルオリゴマーとシアン酸エステル樹脂の配合比は2官能性ポリフェニレンエーテルオリゴマーの水酸基のモル(A)とシアン酸エステル樹脂のシアネート基のモル(B)のモル比(B/A)が2〜100になるように配合するのが好ましい。
【0014】
次に、本発明の硬化性樹脂組成物は必要に応じて、硬化促進剤、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、重合可能な不飽和基を有する化合物を添加することも可能である。
【0015】
多官能シアン酸エステル樹脂の硬化促進剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン鉄などの有機金属錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン類が挙げられるが、これらに限定されない。これらの硬化促進剤は1種または2種以上混合して用いることができる。これらの硬化促進剤の使用量は、2官能性フェニレンエーテルオリゴマーと多官能シアン酸エステル樹脂の合計重量に対して、好ましくは、0.001wt%〜0.5wt%であり、さらに、好ましくは、0.01wt%〜0.2wt%である。
【0016】
エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、特願2001-353194、特願2002-018508に示されるPPE骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0017】
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン、等のアルキルオキセタン、3-メチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3'-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、OXT-101(東亞合成製商品名)、OXT-121(東亞合成製商品名)等が挙げられる。これらのオキセタン樹脂は1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0018】
本発明の硬化性樹脂組成物にエポキシ樹脂および/またはオキセタン樹脂を使用する場合にはエポキシ樹脂硬化剤および/またはオキセタン樹脂硬化剤を使用することができる。該エポキシ樹脂硬化剤としては、一般に公知のものが使用でき、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、ホスフィン系はホスホニウム系のリン化合物を挙げることができる。該オキセタン樹脂硬化剤としては公知のカチオン重合開始剤が使用できる。例えば、市販のものではサンエードSI-60L、サンエードSI-80L、サンエードSI-100L(三新化学工業製)、CI-2064(日本曹達製)、イルガキュア261(チバスペシャリティーケミカル製)、アデカオプトマーSP-170、アデカオプトマーSP-150(旭電化製)、サイラキュアーUVI-6990(UCC製)等が挙げられる。カチオン重合開始剤はエポキシ樹脂硬化剤としても使用できる。これらの硬化剤は1種あるいは2種以上組み合わせて使用される。
【0019】
重合可能な不飽和基を有する化合物としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1価または多価アルコールの(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、特願2001-387968、特願2002-038156に示されるPPE骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート類、特願2002-053653、特願2002-055765に示されるPPE骨格を有する(メタ)アクリレート、特願2002-216724、特願2002-224937に示されるPPE骨格を有するビニル化合物、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。これらの不飽和基を有する化合物は1種あるいは2種以上混合して用いられる。
【0020】
不飽和基を有する化合物を用いる場合は必要に応じて、公知の光および/または熱重合開始剤をもちいることができる。
【0021】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物を製造する際には、必要に応じて、溶剤、ガラス繊維、有機基材、無機充填剤、着色顔料、消泡剤、表面調整剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、流動調整剤、熱可塑樹脂等の公知の添加剤を添加することができる。無機充填剤としては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、アエロジル、アルミナ、タルク、天然マイカ、合成マイカ、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、E-ガラス、A-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、NE-ガラス、M-ガラスG20等が挙げられる。このようにして得られた硬化性樹脂組成物は、半導体封止材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、レジスト、電子部品の封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、FRP等の各種用途に有用である。
【0022】
本発明の硬化物は、前述の方法で得られた本発明の硬化性樹脂組成物を、公知の方法、例えば、電子線、紫外線および熱による硬化方法に従って硬化することにより得られる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。なお、数平均分子量および重量平均分子量の測定にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
【0024】
(2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体の合成)
(合成例1)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl1.3 g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 400gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ800gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-(1-メチルエチリデン)ビス(2,6-ジメチルフェノール)45.4g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂イを98.8g得た。樹脂イの数平均分子量は845、重量平均分子量1106、水酸基当量が451であった。
【0025】
(合成例2)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl1.3 g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 400gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ800gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-シクロヘキシリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)51.8g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂ロを102.6g得た。樹脂ロの数平均分子量は877、重量平均分子量1183、水酸基当量が477であった。
【0026】
(合成例3)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl1.3 g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 400gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ800gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-メチリデンビス(2,3,6-トリメチルフェノール)45.4g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂ハを97.4g得た。樹脂ハの数平均分子量は852、重量平均分子量1133、水酸基当量が460であった。
【0027】
(合成例4)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl1.3 g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 400gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ800gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)68.8g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂ニを114.6g得た。樹脂ニの数平均分子量は934、重量平均分子量1223、水酸基当量が496であった。
(合成例5)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた2Lの縦長反応器にCuCl1.3 g(0.012 mol)、ジ-n-ブチルアミン70.7g(0.55 mol)、メチルエチルケトン 400gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ800gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)41.0g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール58.6g(0.48mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂ホを94.6g得た。樹脂ホの数平均分子量は801、重量平均分子量1081、水酸基当量が455であった。
【0028】
(合成例6)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた5Lの縦長反応器にCuC27.1g(0.028 mol)、ジ-n-ブチルアミン169.7g(1.32 mol)、メチルエチルケトン 1000gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ1900gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)41.0g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール195.3g(1.6mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂ヘを212.5g得た。樹脂ヘの数平均分子量は1613、重量平均分子量2420、水酸基当量が834であった。
【0029】
(合成例7)
撹拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた5Lの縦長反応器にCuC37.9g(0.039mol)、ジ-n-ブチルアミン237.5g(1.84 mol)、メチルエチルケトン 1300gを仕込み、反応温度40℃にて撹拌を行い、あらかじめ1700gのメチルエチルケトンに溶解させた2価のフェノール4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)41.0g(0.16mol)と2,6-ジメチルフェノール292.9g(2.4mol)を2 L/minの空気のバブリングを行いながら120分かけて滴下し、さらに滴下終了後60分間、2 L/minの空気のバブリングを続けながら撹拌を行った。これにエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。その後、1Mの塩酸水溶液で3回洗浄を行った後、イオン交換水で洗浄を行った。得られた溶液をエバポレイタ−で濃縮し、さらに減圧乾燥を行い、上記一般式(1)で示される樹脂トを305g得た。樹脂トの数平均分子量は2150、重量平均分子量3256、水酸基当量が1093であった。
【0030】
(実施例1〜9)
合成例1〜7で得られた樹脂イ〜トとシアン酸エステル樹脂、硬化促進剤を表1の通り配合し、150℃で10分攪拌し溶融させ、脱気、注型した後、230℃10時間硬化させて、硬化物を得た。
【0031】
(比較例1、2)
シアン酸エステル樹脂と硬化促進剤を表1の通り配合し、130℃で10分攪拌し溶融させ、脱気、注型した後、230℃10時間硬化させて、硬化物を得た。
【0032】
【表1】
Figure 0004300401
ArocyB-10:2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン
ArocyM-10:ビス(3,5-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン
【0033】
実施例1〜9、比較例1〜2で得られた硬化物の特性を以下の方法により評価した。
ガラス転移温度(Tg):動的粘弾性測定(DMA)により求めた。振動周波数10Hzで測定を行った。
誘電率、誘電正接:空洞共振摂動法により求めた。
【0034】
以上の物性の評価結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0004300401
【0035】
【発明の効果】
本発明の硬化性樹脂組成物は、高いガラス転移温度を有し、低誘電率、低誘電正接である硬化物を与えることから、高機能性高分子材料として極めて有用であり、熱的、電気的に優れた材料として半導体封止材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、レジスト、電子部品の封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、FRPなどの幅広い用途に使用することができる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で示される特定の構造を有する数平均分子量が500〜3000の2官能性フェニレンエーテルオリゴマーおよび多官能シアン酸エステル樹脂からなる硬化性樹脂組成物
    Figure 0004300401
    (式中、-(O-X-O)-は構造式(2)で示され、R1,R2, R7,R8は、同一または異なってもよく、炭素数6以下のアルキル基である。R3,R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子または炭素数6以下のアルキル基である。Aは、炭素数20以下の直鎖状あるいは、分岐状あるいは、環状の炭化水素である。-(Y-O)-は構造式(5)で定義される。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜30の整数を示す。)
  2. -(O-X-O)-の構造式(2)において、R1,R2,R7,R8がメチル基である請求項1記載の硬化性樹脂組成物
  3. 2官能性フェニレンエーテルオリゴマーの水酸基のモル(A)と多官能シアン酸エステル樹脂のシアネート基のモル(B)のモル比(B/A)が2〜100である請求項1または請求項2に記載の硬化性樹脂組成物
  4. 請求項1または請求項2または請求項3に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物
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