JP4300273B2 - 音質調整装置及びこれに用いるフィルタ装置、音質調整方法、フィルタの設計方法 - Google Patents

音質調整装置及びこれに用いるフィルタ装置、音質調整方法、フィルタの設計方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、音質調整装置及びこれに用いるフィルタ装置、音質調整方法、フィルタの設計方法に関し、特に、デジタル信号処理によって音声信号の所望の周波数帯域を強調あるいは非強調して音質を改善するための装置および方法に用いて好適なものである。
背景技術
従来、音声信号を出力する装置において、出力音声の音質を改善するための方法として種々のものが提案されている。その中でも比較的簡単な方法の1つに、入力音声信号に対してローパスフィルタ処理やハイパスフィルタ処理を施すというものがある。
この種の音質調整装置では、入力音声信号をローパスフィルタとハイパスフィルタとに通し、各フィルタの出力信号と入力音声信号との利得を制御して全て合算する。このとき、各フィルタ出力に対する利得と入力音声信号に対する利得とを任意に設定することにより、所望の周波数帯域の音を任意に強調することが可能となる。
例えば、低周波領域の音(いわゆる低音)を強調したいときは、ローパスフィルタの出力信号に対する利得を大きくすれば良い。また、高周波領域の音(いわゆる高音)を強調したいときは、ハイパスフィルタの出力信号に対する利得を大きくすれば良い。
上記従来の音質調整装置では、ローパスフィルタとハイパスフィルタとが共に直線位相特性を持ち、かつ、各フィルタの出力信号を利得制御なしで加算した場合に、全周波数帯域でゲインが完全に1(基準値)となることが望ましい。
直線位相特性が要求されるのは、音声信号がフィルタを通ることによって位相がずれると、位相歪みによる音質の劣化が生じ、場合によっては(特に音量が小さい場合など)音が聞きづらくなることがあるためである。また、加算した結果のゲインが全周波数帯域で完全に基準値となることが要求されるのは、利得制御をしないときに、音質調整が行われていない状態を実現するためである。
ところで、従来からデジタルフィルタとしては、IIR(Infinite Impulse Response:無限長インパルス応答)フィルタやFIR(Finite Impulse Response:有限長インパルス応答)フィルタが多く用いられている。このうちFIRフィルタは、次のような利点を持つ。第1に、FIRフィルタの伝達関数の極はz平面の原点のみにあるため、回路は常に安定である。第2に、完全に正確に直線位相特性を実現することができる。
したがって、上述の要求に対応するために、音質調整装置では、互いに対称的な周波数特性を有するローパスフィルタとハイパスフィルタとの対から成る対称型FIRフィルタを用いることが望ましい。通常、FIRフィルタで基本となるのはローパスフィルタであり、ハイパスフィルタは、ローパスフィルタから周波数変換により導かれる。よって、対称型FIRフィルタは、まず基本となるローパスフィルタを設計し、これを周波数変換することにより、ローパスフィルタと特性が対称的なハイパスフィルタを設計する必要がある。
従来、FIR型のローパスフィルタからハイパスフィルタを導く周波数変換では、フィルタのカットオフ周波数を変換する処理が行われていた。具体的には、サンプリング周波数とカットオフ周波数との比率をもとに、窓関数やチェビシェフ近似法などを用いた畳み込み演算等を行うことにより、フィルタの伝達関数を求め、それを更に周波数成分に置き換える処理を行っていた。
しかしながら、窓関数やチェビシェフ近似法などを用いた周波数変換は、その計算が非常に複雑である。そのため、これをソフトウェアで実現すると処理負荷が重くなり、ハードウェアで実現すると回路規模が大きくなるという問題があった。
また、従来の設計法で得られるフィルタの周波数特性は、窓関数や近似式に依存するので、これらをうまく設定しないと、良好な周波数特性を得ることができない。しかし、窓関数や近似式を適当に設定することは一般に困難であり、所望の周波数特性を有するフィルタを設計することは、非常に大変であった。
また、周波数変換によらず、ハイパスフィルタなどのフィルタ係数を直接的に求める方法も考えられる。しかし、この場合は、所望の周波数特性を得るのに必要なフィルタ係数を試行錯誤して求めなければならず、簡単には設計できないという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、所望の周波数帯域を強調した場合でも位相歪みが生じず、聴感上良質な音声をデジタル信号処理によって得ることができるようにするとともに、そのような音質調整のために用いるフィルタ回路を簡易的に設計できるようにすることを目的とする。
発明の開示
本発明の音質調整装置は、入力音声信号を複数のデジタルフィルタに通し、上記複数のデジタルフィルタの出力信号の利得をそれぞれ制御し、利得制御された音声信号を合算して出力するようになされた音質調整装置であって、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第1のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第1のフィルタと、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第2のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第2のフィルタとを備え、上記第1のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値が非ゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、上記第2のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値がゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が逆符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、特に上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の絶対値をそのままにして上記数列の中央値以外を符号変換したものであることを特徴とする。
本発明のその他の態様では、上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の中央値以外については絶対値をそのままにして符号反転するとともに、上記数列の中央値については基準値から上記中央値を減算したものであることを特徴とする。
また、本発明のフィルタ装置は、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第1のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第1のフィルタと、複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第2のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第2のフィルタとを備え、上記第1のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値が非ゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、上記第2のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値がゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が逆符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、特に上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の絶対値をそのままにして上記数列の中央値以外を符号変換したものであることを特徴とする。
本発明のその他の態様では、上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の中央値以外については絶対値をそのままにして符号反転するとともに、上記数列の中央値については基準値から上記中央値を減算したものであることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による音質調整装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示す音質調整装置では、入力音声信号をローパスフィルタ(LPF)1とハイパスフィルタ(HPF)2とに通し、各フィルタの出力信号の利得をそれぞれ乗算器3,4により制御し、それらの結果を加算器5で合算して出力する。
このような構成において、各フィルタ1,2が直線位相特性を持ち、かつ、各フィルタ1,2の出力信号を利得制御なし(Lゲイン=Hゲイン=1)で加算した結果のゲインが全周波数帯域で完全に1(基準値)となることが望ましい。そこで、本実施形態では、音質調整装置を構成するフィルタ回路として、FIR型のものを用いる。これは、フィルタ回路に対して与える複数の係数の数列が対称型であれば、位相特性は直線となり、かつ、回路が常に安定となるからである。
図2は、FIRフィルタの基本的な構成例を示す図である。図2に示すフィルタは、7タップFIRフィルタの構成を示している。このFIRフィルタでは、縦続接続された7個のD型フリップフロップ11〜17によって入力音声信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。そして、各D型フリップフロップ11〜17の出力タップから取り出した信号に対し、7個の係数器21〜27によりそれぞれフィルタ係数を乗算し、それらの乗算結果を全て加算器30で加算して出力する。
本実施形態では、このようなFIRフィルタに対して与える対称型のフィルタ係数群として、図3の▲4▼に示すような数列{−1,0,9,16,9,0,−1}を用いる。この▲4▼に示すフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、数列の合計値が非ゼロで、数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるという性質を持っている(−1+9+9+(−1)=16、0+16+0=16)。
上記図3の▲4▼に示すフィルタ係数は、同図の▲3▼に示すデジタル基本関数を1回移動平均演算することによって得られるものである。このデジタル基本関数は、1クロック毎にデータ値が−1,1,8,8,1,−1と変化する関数である。このデジタル基本関数の数列は、同図の▲1▼に示す数列を2回移動平均演算することによって得られる。
なお、ここでは、図3の▲4▼に示す整数列をフィルタ係数群として用いている。この場合、全てのフィルタ係数値を加算した結果は32となり、これが基準値となる。実際には、ゲインを1で基準化するために、上述した数列の各値を1/32倍したものをフィルタ係数群として用いる。この場合、基準値は1である。
ここで、上記デジタル基本関数の数列の意味について、図21を用いて説明する。
図21は、上記デジタル基本関数を1回移動平均して得られる上述の数値列{−1,0,9,16,9,0,−1}に対して、4倍のオーバーサンプリングとコンボリューション演算とを施した結果を示す図である。
図21(a)において、一番左の列に示される一連の数値列は、元の数値列{−1,0,9,16,9,0,−1}に対して4倍のオーバーサンプリングを行った値である。また、一番左から右に向かって4列分の数値列は、一番左の列に示される数値列を1つずつ下方向にシフトしていったものである。図21(a)の列方向は時間軸を示しており、数値列を下方向にシフトするということは、一番左の列に示される数値列を徐々に遅延させていくことに対応する。
すなわち、左から2列目の数値列は、一番左の列に示される数値列を4倍周波数のクロック4CKの1/4位相分だけずらした数値列であることを示す。また、左から3列目の数値列は、左から2列目に示される数値列を4倍周波数のクロック4CKの1/4位相分だけずらした数値列、左から4列目の数値列は、左から3列目に示される数値列を4倍周波数のクロック4CKの1/4位相分だけ更にずらした数値列であることを示す。
また、左から5列目の数値列は、1〜4列目の各数値列を対応する行どうしで加算した値である。この左から5列目までの処理により、4相のコンボリューション演算を伴う4倍のオーバーサンプリングがデジタル的に実行されることになる。
上記5列目から右に向かって4列分の数値列は、5列目に示される数値列を1つずつ下方向にシフトしていったものである。また、左から9列目の数値列は、5〜8列目の各数値列を対応する行どうしで加算した値である。この左から9列目までの処理により、4相のコンボリューション演算を伴う4倍のオーバーサンプリングがデジタル的に2回実行されることになる。
また、左から10列目の数値列は、9列目に示される数値列を1つ下方向にシフトしたものである。また、左から11列目(一番右の列)の数値列は、9列目の数値列と10列目の数値列とを対応する行どうしで加算した値である。
この図21(a)の一番右の列に示される最終的に得られた数値列をグラフ化したのが、図21(b)である。この図21(b)に示すような波形を有する関数は、横軸に沿った標本位置がt1からt4の間にあるときにのみ“0”以外の有限な値を有し、それ以外の領域では値が全て“0”となる関数、つまり標本位置t1,t4において値が“0”に収束する関数である。このように関数の値が局所的な領域で“0”以外の有限の値を有し、それ以外の領域で“0”となる場合を「有限台」と称する。
また、この図21(b)に示す関数は、中央の標本位置t5においてのみ極大値をとり、t1,t2,t3,t4の4つの標本位置において値が“0”になるという特徴を有する標本化関数であり、滑らかな波形のデータを得るために必要なサンプル点は全て通る。
図4は、図3の▲1▼〜▲4▼に示す数列をFFT(Fast Fourier Transfer:高速フーリエ変換)した結果の周波数−ゲイン特性を示す図である。なお、この図4では、ゲインを1で基準化している。この特性図から分かるように、▲4▼の数列をフィルタ係数に用いた場合には、中心周波数においてゲインが0.5となり、かつ、低周波領域でのオーバーシュートや高周波領域でのリンギングも存在しない良好なローパスフィルタ特性が得られる。
このようなローパスフィルタ特性を実現する上述した{−1,0,9,16,9,0,−1}の数値列は、図19(b)に示した有限台の標本化関数の基礎となるものである。従来一般的に用いられていた標本化関数はt=±∞の標本位置で“0”に収束するのに対し、図19(b)に示した標本化関数は、t=t1,t4の有限の標本位置で“0”に収束する。
そのため、上述の数値列をFFT変換した場合、t=t1〜t4の範囲内に相当するデータだけが意味を持つ。t=t1〜t4の範囲外に相当するデータについては、本来これを考慮すべきであるのに無視しているという訳ではなく、理論的に考慮する必要がないため、打ち切り誤差は発生しない。したがって、上述の数値列をフィルタ係数として用いれば、窓関数を用いて係数の打ち切りを行う必要もなく、良好なローパスフィルタ特性を得ることができる。よって、これを基本ローパスフィルタとする。
ローパスフィルタと共に対称型FIRフィルタを構成するもう一方のハイパスフィルタは、上述の基本ローパスフィルタから導く。ここで求めるハイパスフィルタは、その周波数−ゲイン特性が基本ローパスフィルタと比べて中心周波数軸に対して上下左右に対称な特性を持ち、かつ、基本ローパスフィルタとハイパスフィルタとのゲイン出力を合算すると、全周波数帯域でゲインが完全に1(基準値)となるものである。
上述のように、基本ローパスフィルタに対して用いるフィルタ係数群は、{−1,0,9,16,9,0,−1}である。このフィルタ係数群の数列の合計値は32、数列の1つ飛びの合計値は16(=(−1)+9+9+(−1))および16(=0+16+0)となり、共に等しくなる。
数列の合計値が32で0にならないということは、入力音声信号の直流分もしくは低周波成分の出力が0にならないということである。また、数列の1つ飛びの合計値が共に等しくなるということは、入力音声信号の高周波成分の出力(各タップの出力)が一定で変わらないということである。このことは、まさしくローパスフィルタの特性を示すものであると解釈できる。
一方、ハイパスフィルタに対して用いるフィルタ係数は、基本ローパスフィルタとの対称性を保つために、数列の絶対値はそのままにして中央値以外を符号変換し、フィルタ係数群の数列の合計値が0、数列の1つ飛びの合計値が逆符号で等しい値となるようにする。このような条件を満たすフィルタ係数群の数列は、{1,0,−9,16,−9,0,1}となる。つまり、このフィルタ係数群の数列の合計値は0、数列の1つ飛びの合計値は−16(=1+(−9)+(−9)+1)および16(=0+16+0)となる。
数列の合計値が0になるということは、入力音声信号の直流分もしくは低周波成分の出力が0になるということである。また、数列の1つ飛びの合計値が逆符号で等しい値になるということは、入力音声信号の高周波成分の出力(各タップの出力)が交互に変わっているということである。このことは、ハイパスフィルタの特性を示すものであると解釈できる。
図5は、図3の▲4▼に示す数列{−1,0,9,16,9,0,−1}と、これを一部符号変換した数列{1,0,−9,16,−9,0,1}とをFFTした結果の周波数−ゲイン特性を示す図である。この図5でもゲインを1で基準化している。この特性図から分かるように、両者の周波数特性は、中心周波数のゲイン0.5の部分で交差し、上下左右に対称な特性を持ち、かつ、それぞれのゲインのトータルが全周波数帯域で完全に1となっている。すなわち、これらの周波数特性は、ローパスフィルタとハイパスフィルタとの対から成る対称型FIRフィルタの特性を示している。
以上のことを、更に詳細に説明する。本実施形態の音質調整装置を構成する対称型FIRフィルタの設計条件は、次の通りである。
1)FIRフィルタは対称特性のローパスフィルタとハイパスフィルタとから成り、それぞれのゲインのトータルは全周波数帯域で完全に1となる。
2)フィルタ係数は端部より中央に向かって大きくなる。
3)フィルタ係数の中央値は0でない(0だとノッチが生じる)。
(3タップフィルタ)
図6(a)は、3タップFIRフィルタの基本的な構成を示すブロック図である。図6(a)において、31〜33は縦続接続された3個のD型フリップフロップであり、これによって入力音声信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。
34〜36は3個の係数器であり、各D型フリップフロップ31〜33の出力タップから取り出した信号を、与えられる対称型のフィルタ係数群(a,b,a)によりそれぞれ数倍する。37は加算器であり、各係数器34〜36の出力信号を加算して出力する。このように構成したFIRフィルタに与えるフィルタ係数群を適当に定めることにより、当該FIRフィルタをローパスフィルタもしくはハイパスフィルタとして設計することができる。
上記3タップFIRフィルタがローパスフィルタとなる絶対条件は、基準値を1として考えた場合、
▲1▼係数の数列の総和が1(低周波数条件)
▲2▼係数の数列の1つ飛びの和の差が0(最高周波数条件)
であり、ローパスフィルタの中間周波数のゲインが0.5となる条件は、
▲3▼係数の数列の2つずつ2つ飛びの和の差が0.5(中間周波数条件)
である。
上記▲1▼〜▲3▼の条件は、以下のように表される。
条件▲1▼…2a+b=1
条件▲2▼…2a−b=0
条件▲3▼…(a+b)−a=0.5
これから、a=1/4,b=1/2と求まる。したがって、ローパスフィルタの回路は図6(b)のようになる。
一方、上記3タップFIRフィルタがハイパスフィルタとなる絶対条件は、
▲4▼係数の数列の総和が0(低周波数条件)
▲5▼係数の数列の1つ飛びの和の差が1(最高周波数条件)
であり、ハイパスフィルタの中間周波数のゲインが0.5となる条件は、
▲6▼係数の数列の2つずつ2つ飛びの和の差が0.5(中間周波数条件)
である。
上記▲4▼〜▲6▼の条件は、以下のように表される。
条件▲4▼…2a+b=0
条件▲5▼…2a−b=1
条件▲6▼…(a+b)−a=0.5
これから、a=−1/4,b=1/2と求まる。したがって、ハイパスフィルタの回路は図6(c)のようになる。
図7(a)は、図6(b)(c)に示したローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示し、図7(b)は、図6(b)に示したローパスフィルタの周波数−位相特性を示す図である。これらの特性図から分かるように、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数特性は、中心周波数のゲインが0.5の部分で交差し、上下左右に対称な特性を持ち、かつ、それぞれのゲインのトータルが全周波数帯域で完全に1となっている。また、完全な直線位相特性も得られている。
(5タップフィルタ)
図8(a)は、5タップFIRフィルタの基本的な構成を示すブロック図である。図8(a)において、41〜45は縦続接続された5個のD型フリップフロップであり、これによって入力音声信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。
46〜50は5個の係数器であり、各D型フリップフロップ41〜45の出力タップから取り出した信号を、与えられる対称型のフィルタ係数群(a,b,c,b,a)によりそれぞれ数倍する。51は加算器であり、各係数器46〜50の出力信号を加算して出力する。
上記5タップFIRフィルタがローパスフィルタとなる絶対条件は、
▲1▼係数の数列の総和が1(低周波数条件)
▲2▼係数の数列の1つ飛びの和の差が0(最高周波数条件)
であり、ローパスフィルタの中間周波数のゲインが0.5となる条件は、
▲3▼係数の数列の2つずつ2つ飛びの和の差が0.5(中間周波数条件)
である。
上記▲1▼〜▲3▼の条件は、以下のように表される。
条件▲1▼…2a+2b+c=1
条件▲2▼…2a+c−2b=0
条件▲3▼…(a+b)−(c+b)+a=0.5
これから、a=b=1/4,c=0と求まる。したがって、ローパスフィルタの回路は図8(b)のようになる。しかし、この場合はフィルタ係数群の数列の中央値cが0となってノッチが発生するので、好ましい形ではない。
一方、上記5タップFIRフィルタがハイパスフィルタとなる絶対条件は、
▲4▼係数の数列の総和が0(低周波数条件)
▲5▼係数の数列の1つ飛びの和の差が1(最高周波数条件)
であり、ハイパスフィルタの中間周波数のゲインが0.5となる条件は、
▲6▼係数の数列の2つずつ2つ飛びの和の差が0.5(中間周波数条件)
である。
上記▲4▼〜▲6▼の条件は、以下のように表される。
条件▲4▼…2a+2b+c=0
条件▲5▼…2a+c−2b=1
条件▲6▼…{a+(b+a)}−(b+c)=0.5
これから、a=1/4,b=−1/4,c=0と求まる。したがって、ハイパスフィルタの回路は図8(c)のようになる。しかし、この場合はフィルタ係数群の数列の中央値cが0となってノッチが発生するので、好ましい形ではない。
図9は、図8(b)(c)に示したローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示す図である。この特性図から分かるように、フィルタ係数群の数列の中央値cが0であるために、ノッチが生じている。
(7タップフィルタ)
図10は、7タップFIRフィルタの基本的な構成を示すブロック図である。図10において、61〜67は縦続接続された7個のD型フリップフロップであり、これによって入力音声信号を1クロックCKずつ順次遅延させる。
68〜74は7個の係数器であり、各D型フリップフロップ61〜67の出力タップから取り出した信号を、与えられる対称型のフィルタ係数群(a,b,c,d,c,b,a)によりそれぞれ数倍する。75は加算器であり、各係数器68〜74の出力信号を加算して出力する。このように構成したFIRフィルタに与えるフィルタ係数群を適当に定めることにより、当該FIRフィルタをローパスフィルタもしくはハイパスフィルタとして設計することができる。
上記7タップFIRフィルタがローパスフィルタとなる絶対条件は、
▲1▼係数の数列の総和が1(低周波数条件)
▲2▼係数の数列の1つ飛びの和の差が0(最高周波数条件)
であり、ローパスフィルタの中間周波数のゲインが0.5となる条件は、
▲3▼係数の数列の2つずつ2つ飛びの和の差が0.5(中間周波数条件)
である。
上記▲1▼〜▲3▼の条件は、以下のように表される。
条件▲1▼…2a+2b+2c+d=1
条件▲2▼…2a+2c−2b−d=0
条件▲3▼…{a+(d+c)}−{(b+c)+(b+a)}
=d−2b=0.5
条件▲1▼▲2▼より、d+2b=1/2となるから、これと条件▲3▼とから、b=0,d=1/2と求まる。
この結果から、係数a,cの値としては、次のような組合せが考えられる。
a=−1/32,c=9/32
a=−2/32,c=10/32
a=−3/32,c=11/32
a=−4/32,c=12/32
図11は、上記b=0,d=1/2の値と、上記a,cの値に関する4パターンの組合せとをフィルタ係数群の数列として与えた場合に得られる周波数−ゲイン特性を示す図である。図11に示すように、4パターンのどの数列を与えた場合にも、その周波数特性は図中の3点A,B,Cを通る(点Bは中心周波数でゲインが0.5となる点)。しかし、この中で上下対称な特性を有するのは、a=−1/32,c=9/32とした場合だけである。したがって、係数a,cの値に関してはこの組合せを用いる。この場合のローパスフィルタの回路は図12(a)のようになる。
以上から分かるように、7タップローパスフィルタの周波数−ゲイン特性で上下左右に対称となるフィルタ係数群の数列は、{−1,0,9,16,9,0,−1}だけである。したがって、デジタル基本関数の数列{−1,1,8,8,1,−1}およびこれを1回移動平均して得られる上記{−1,0,9,16,9,0,−1}の数列は、デジタル信号処理において非常に有用なものであることが分かる。
一方、上記3タップFIRフィルタがハイパスフィルタとなる絶対条件は、
▲4▼係数の数列の総和が0(低周波数条件)
▲5▼係数の数列の1つ飛びの和の差が1(最高周波数条件)
であり、ハイパスフィルタの中間周波数のゲインが0.5となる条件は、
▲6▼係数の数列の2つずつ2つ飛びの和の差が0.5(中間周波数条件)
である。
上記▲4▼〜▲6▼の条件は、以下のように表される。
条件▲4▼…2a+2b+2c+d=0
条件▲5▼…2a+2c−2b−d=1
条件▲6▼…{a+(d+c)}−{(b+c)+(b+a)}
=d−2b=0.5
条件▲4▼▲5▼より、d+2b=1/2となるから、これと条件▲6▼とから、b=0,d=1/2と求まる。
この結果から、ローパスフィルタの場合と同様に、係数a,cの値としては、a=1/32,c=−9/32の組合せを用いる。この場合のハイパスフィルタの回路は図12(b)のようになる。以上から分かるように、7タップハイパスフィルタの周波数−ゲイン特性で上下左右に対称となるフィルタ係数群の数列は、{1,0,−9,16,−9,0,1}だけである。
図13(a)は、図12(a)(b)に示したローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数−ゲイン特性を示し、図13(b)は、同じく図12(a)(b)に示したローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数−位相特性を示す図である。これらの特性図から分かるように、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数特性は、中心周波数のゲインが0.5の部分で交差し、上下左右に対称な特性を持ち、かつ、それぞれのゲインのトータルが全周波数帯域で完全に1となっている。また、完全な直線位相特性も得られている。
以上のように、本実施形態によれば、音質調整装置のフィルタをFIRフィルタで構成し、これに与えるフィルタ係数を対称型としたので、直線位相特性を実現することができる。これにより、所望の周波数帯域を強調した場合でも位相歪みが生じず、聴感上良質な音声をデジタル信号処理によって得ることができるようになる。
また、本実施形態によれば、FIRローパスフィルタに与えるフィルタ係数群として、所定の条件を満たす数列を与えるようにしたので、ローパスフィルタに対するフィルタ係数群の符号を一部変える程度の簡単な操作だけで、ハイパスフィルタを設計することができる。これにより、音質調整のために用いる対称型FIRフィルタ(ローパスフィルタとハイパスフィルタとの対)を極めて簡易的に設計することができる。
なお、以上では、{−1,0,9,16,9,0,−1}の比率から成る数列をフィルタ係数群として利用するローパスフィルタを基本として、当該フィルタ係数群を変換することにより、ハイパスフィルタのフィルタ係数群を求める例について説明した。これとは逆に、{1,0,−9,16,−9,0,1}の比率から成る数列をフィルタ係数群として利用するハイパスフィルタを基本として、当該フィルタ係数群を変換することにより、ローパスフィルタのフィルタ係数群を求めることも可能である。
次に、以上に示した対称型FIRフィルタの応用例について説明する。図14は、本実施形態による音質調整装置の他の概略構成例を示すブロック図である。図14に示す音質調整装置では、図1に示したローパスフィルタ1と同様のローパスフィルタ81の後段に、ローパスフィルタ83およびハイパスフィルタ84を並列に縦続接続している。また、図1に示したハイパスフィルタ2と同様のハイパスフィルタ82の後段に、ハイパスフィルタ85およびローパスフィルタ86を並列に縦続接続している。
ここでは、縦続接続された後段側の各フィルタ83〜86の周波数軸は、前段側の各フィルタ81〜82の周波数軸の1/2とする。この場合における各フィルタ81〜86の縦続接続に係る周波数−ゲイン特性を、図15に示す。図15においては、各フィルタ81〜86の周波数特性を’付き符号で示している。図15(a)〜(d)は、ローパスフィルタ81とその後段のローパスフィルタ83との縦続接続に係る周波数特性、ローパスフィルタ81とその後段のハイパスフィルタ84との縦続接続に係る周波数特性、ハイパスフィルタ82とその後段のハイパスフィルタ85との縦続接続に係る周波数特性、ハイパスフィルタ82とその後段のローパスフィルタ86との縦続接続に係る周波数特性をそれぞれ示している。
このような縦続接続により、図15(a)〜(d)のように2つの周波数特性でオーバーラップした部分が取り出される。これにより、後段側の各フィルタ83〜86からは、通過周波数帯域が低域側から広域側へと少しずつずれた、異なる周波数特性を持つ4チャンネルの音声信号が出力される。図16は、この4チャンネル分の音声信号の周波数−ゲイン特性をまとめて示した図である。ここでは説明の都合上、各フィルタ83〜86から出力される音声信号のうち、通過周波数帯域が低い方から高いへと順に、L出力、ML出力、MH出力、H出力と称する。
図14に示した4つの乗算器87〜90は、与えられるゲイン制御信号(Lゲイン、MLゲイン、MHゲイン、Hゲイン)に従って、各フィルタ83〜86からの出力信号の利得をそれぞれ制御する。加算器91は、各乗算器87〜90により利得制御された音声信号を全て合算して出力する。
図17は、上記図14に概略的に示した音質調整装置の具体的な構成例を示すブロック図である。この図17において、図14に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。前段側のフィルタ81〜82では、縦続接続された6個のD型フリップフロップによって入力音声信号を1クロックCKずつ遅延させる。そして、D型フリップフロップの入出力タップから取り出した信号に対し、5個の係数器によりそれぞれ{−1,0,9,16,9,0,−1}/32もしくは{1,0,−9,16,−9,0,1}/32の数列から成るフィルタ係数を乗算し、それらの乗算結果を全て加算して出力する。
また、後段側のフィルタ83〜86では、前段側の各フィルタ81〜82と比べて周波数軸を1/2とするために、前段側の2倍に相当する12個のD型フリップフロップを縦続接続してタップ付き遅延線を構成するとともに、5個の係数器を設けるタップの間隔も前段側の2倍にする。
すなわち、後段側のフィルタ83〜86では、縦続接続された12個のD型フリップフロップによって入力音声信号を1クロックCKずつ遅延させる。そして、D型フリップフロップの入出力タップから取り出した信号に対し、5個の係数器によりそれぞれ{−1,0,9,16,9,0,−1}/32もしくは{1,0,−9,16,−9,0,1}/32の数列から成るフィルタ係数を乗算し、それらの乗算結果を全て加算して出力する。
4つの乗算器87〜90は、与えられるゲイン制御信号(Lゲイン、MLゲイン、MHゲイン、Hゲイン)に従って、各フィルタ83〜86からの出力信号(L出力、ML出力、MH出力、H出力)の利得をそれぞれ制御する。加算器91は、各乗算器87〜90により利得制御された音声信号を全て合算して出力する。上述のゲイン制御信号は、マトリックス計算部100により求められる。
なお、後段側のフィルタ83〜86において、前段側のフィルタ81〜82と比べて周波数軸をの1/2とする方法は、図17の例に限定されない。例えば、後段側のフィルタ83〜86も前段側のフィルタ81〜82と同様に構成し、後段側のD型フリップフロップに与えるクロックの周波数を、前段側の1/2とするようにしても良い。このようにすれば、D型フリップフロップの使用数を少なくして回路構成を簡略化することができるというメリットを有する。
次に、マトリックス計算部100による計算例(音質調整装置の周波数特性制御方法)について説明する。
各チャンネルのゲイン制御信号(Lゲイン、MLゲイン、MHゲイン、Hゲイン)が全て1のとき、各チャンネルの周波数−ゲイン特性は、図16のようになっている。この図16から明らかなように、ある周波数におけるゲインは、4チャンネルのゲインのトータルとして求められる。
したがって、全体の周波数特性を制御するためには、各チャンネルの中心周波数におけるゲイン成分を演算して各チャンネルのゲイン制御信号を求める必要がある。そのために、まず、各チャンネルの中心周波数(図16の場合、周波数の値が9,25,41,57の部分)において、各チャンネルのゲイン成分を以下のように抽出する。
L出力の中心周波数(周波数値=9)における各チャンネルのゲイン成分は、 0.938 0.058 0 0
である(左から順にL,ML,MH,H)。同様に、ML出力、MH出力、H出力の中心周波数における各チャンネルのゲイン成分は、それぞれ、
0.045 0.728 0.214 0.013
0.013 0.214 0.728 0.045
0 0 0.058 0.938
である。これらを行列式として表したものが、図18である(行列Aとする)。
一方、音質調整装置を利用するユーザは、各チャンネルの中心周波数におけるゲインとして希望する値G1〜G4を、任意に設定する。マトリックス計算部100は、図18のように中心周波数のゲイン成分を表した行列Aと、ユーザにより設定された中心周波数におけるゲイン希望値G1〜G4とを用いて、以下のような行列演算を行うことにより、各チャンネルのゲイン制御信号(Lゲイン、MLゲイン、MHゲイン、Hゲイン)を求める。
すなわち、図19に示すように、行列Aの各列の値をゲイン希望値G1〜G4に置き換えて4つの行列B1〜B4を作り、次のような行列演算を行う。
Lゲイン=行列B1/行列A=0.585
MLゲイン=行列B2/行列A=0.893
MHゲイン=行列B3/行列A=1.419
Hゲイン=行列B4/行列A=1.512
これらのゲイン制御信号を各乗算器87〜90の乗数として用いた場合、その結果得られる音声信号の周波数−ゲイン特性は、図20のようになる。
このように、本実施形態によれば、簡単な行列演算のみで各チャンネルのゲイン制御信号を求めることができる。しかも、この行列演算の元となる行列Aは、4チャンネルフィルタバンク固有のものであるから、あらかじめ数値データあるいはテーブル情報等として保管しておくことができる。よって、あらかじめ用意された固定値とユーザにより設定された希望値とから、極めて簡単な演算で周波数特性を制御することが可能である。
以上に説明した本実施形態による音質調整の手法は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。ハードウェア構成により実現する例については、以上に説明した。また、例えばソフトウェアによって実現する場合、本実施形態の音質調整装置は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどで構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
したがって、コンピュータが上記本実施形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードすることによっても実現できる。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全てあるいは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
なお、上記実施形態では、ローパスフィルタに対するフィルタ係数群として{−1,0,9,16,9,0,−1}の比率から成る数列を用い、ハイパスフィルタに対するフィルタ係数群として{1,0,−9,16,−9,0,1}の比率から成る数列を用いたが、上記実施形態で説明した条件を満たす数列であれば、これ以外の数列をフィルタ係数群として用いても良い。
また、上記実施形態では、図1に2チャンネルフィルタバンクの例を示し、図14に4チャンネルフィルタバンクの例を示したが、ローパスフィルタとハイパスフィルタとの組をn段縦続接続することにより、2チャンネルフィルタバンクを構成することが可能である。
また、縦続接続のし方も、図14のような形態に限らない。すなわち、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの少なくとも一方の後段に、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの少なくとも一方を縦続接続するものであれば、本発明に含まれる。
また、上記実施形態では、ローパスフィルタとハイパスフィルタの周波数特性が、図5のように上下左右に完全に対称なものを用いたが、これに限定されるものではない。すなわち、周波数特性が相補関係にあり、各フィルタのゲインのトータルが全周波数において基準値となるものであれば、そのようなフィルタ係数群を用いても良い。そのようなフィルタ係数群は、基本となるフィルタ係数群の数列の中央値以外については絶対値をそのままにして符号反転するとともに、数列の中央値については基準値から中央値を減算することによって求められる。なお、対称型の場合は、この方法と上記実施形態の方法のどちらでフィルタを設計しても、得られるフィルタ係数は全く同じとなる。
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以上説明したように本発明によれば、所望の周波数帯域を強調した場合でも位相歪みが生じず、聴感上良質な音声をデジタル信号処理によって得ることができるようになるとともに、そのような音質調整のために用いるフィルタ回路を簡易的に設計することができる。
産業上の利用可能性
本発明は、所望の周波数帯域を強調した場合でも位相歪みが生じず、聴感上良質な音声をデジタル信号処理によって得ることができるようにするとともに、そのような音質調整のために用いるフィルタ回路を簡易的に設計できるようにするのに有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施形態による音質調整装置の概略的な構成例を示すブロック図である。
図2は、FIR型フィルタの基本的な構成例を示す図である。
図3は、本実施形態で用いるフィルタ係数群の説明図である。
図4は、図3に示したフィルタ係数群の周波数−ゲイン特性を示す図である。
図5は、図3の▲4▼に示す数列およびこれを一部符号変換した数列の周波数−ゲイン特性を示す図である。
図6は、3タップFIRフィルタの構成を示すブロック図である。
図7は、3タップFIRフィルタの周波数特性を示す図である。
図8は、5タップFIRフィルタの構成を示すブロック図である。
図9は、5タップFIRフィルタの周波数特性を示す図である。
図10は、7タップFIRフィルタの構成を示すブロック図である。
図11は、7タップFIRフィルタの周波数特性を示す図である。
図12は、7タップFIRフィルタの構成を示すブロック図である。
図13は、7タップFIRフィルタの周波数特性を示す図である。
図14は、本実施形態による音質調整装置の他の構成例を示すブロック図である。
図15は、各フィルタの縦続接続に係る周波数特性を示す図である。
図16は、4チャンネルフィルタバンクの周波数−ゲイン特性を示す図である。
図17は、図14に示した音質調整装置の具体的な構成例を示すブロック図である。
図18は、各チャンネルの中心周波数のデータから成る行列を示す図である。
図19は、ゲイン制御信号を求める演算に用いる行列を示す図である。
図20は、4チャンネルフィルタバンクを用いた音質調整装置による周波数制御の結果を示す周波数−ゲイン特性図である。
図21は、本実施形態で用いるデジタル基本関数の意味を説明するための図である。

Claims (4)

  1. 入力音声信号を複数のデジタルフィルタに通し、上記複数のデジタルフィルタの出力信号の利得をそれぞれ制御し、利得制御された音声信号を合算して出力するようになされた音質調整装置であって、
    複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第1のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第1のフィルタと、
    複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第2のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第2のフィルタとを備え、
    上記第1のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値が非ゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、
    上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の絶対値をそのままにして上記数列の中央値以外を符号変換したものであり、その数列が対称型であり、上記数列の合計値がゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が逆符号で互いに等しくなるように値が設定されたものであることを特徴とする音質調整装置。
  2. 入力音声信号を複数のデジタルフィルタに通し、上記複数のデジタルフィルタの出力信号の利得をそれぞれ制御し、利得制御された音声信号を合算して出力するようになされた音質調整装置であって、
    複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第1のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第1のフィルタと、
    複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第2のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第2のフィルタとを備え、
    上記第1のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値が非ゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、
    上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の中央値以外については絶対値をそのままにして符号反転するとともに、上記数列の中央値については上記数列の全てのフィルタ係数値を加算した値である基準値から上記中央値を減算したものであり、その数列が対称型であり、上記数列の合計値がゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が逆符号で互いに等しくなるように値が設定されたものであることを特徴とする音質調整装置。
  3. 複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第1のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第1のフィルタと、
    複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第2のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第2のフィルタとを備え、
    上記第1のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値が非ゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、
    上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の絶対値をそのままにして上記数列の中央値以外を符号変換したものであり、その数列が対称型であり、上記数列の合計値がゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が逆符号で互いに等しくなるように値が設定されたものであることを特徴とするフィルタ装置。
  4. 複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第1のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第1のフィルタと、
    複数の遅延器から成るタップ付き遅延線の各タップの信号を、与えられる第2のフィルタ係数群によりそれぞれ数倍した後、加算して出力する第2のフィルタとを備え、
    上記第1のフィルタ係数群は、その数列が対称型であり、上記数列の合計値が非ゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が同符号で互いに等しくなるように値を設定したものであり、
    上記第2のフィルタ係数群は、上記第1のフィルタ係数群の数列の中央値以外については絶対値をそのままにして符号反転するとともに、上記数列の中央値については上記数列の全てのフィルタ係数値を加算した値である基準値から上記中央値を減算したものであり、その数列が対称型であり、上記数列の合計値がゼロで、上記数列の1つ飛びの合計値が逆符号で互いに等しくなるように値が設定されたものであることを特徴とするフィルタ装置。
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