JP6289041B2 - イコライザ - Google Patents

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Description

この発明は、音響信号の再生時の周波数特性を変更する音響信号処理技術に関する。
音楽やアナウンス音などの音響信号を再生する音響再生システムでは、信号処理によって再生する音響信号の周波数特性を変更することで「聞こえ」を良くすることが行われる。このような信号処理はイコライゼーション(等化)と呼ばれ、イコライゼーションを行う装置はイコライザ(等化器)と呼ばれる。イコライザにおいて音響信号の処理を行うデジタルフィルタの方式として、IIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルタとFIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタの2種類の方式が知られている。
IIRフィルタは所望の周波数特性を決定する際の調整性に優れるという長所がある一方で、フィードバックループの影響で演算誤差が蓄積するために周波数特性変更後の音響信号を再生すると音質が劣化してしまうという欠点がある。また、FIRフィルタは調整性が悪いという欠点がある一方で、演算誤差が蓄積されないので音質が劣化しにくいという長所がある。
上記の2方式の欠点を補うイコライザの方式として、所望の周波数特性を決定する段階ではIIRフィルタで周波数特性を変更してIIRフィルタの係数を決定し、所望の周波数特性を決定した後はFIRフィルタに切り替えて、IIRフィルタの係数に基づいて求めたFIRフィルタの係数でFIRフィルタによる信号処理を行うようにして、IIRフィルタの調整性の良さを維持しつつ周波数特性の変更処理による音質劣化を緩和する方式が提案されている(特許文献1)。
国際公開第2010/041381号(図1)
FIRフィルタによってある周波数の特性(例えば強度)を所望の特性に変更するには、インパルス応答の長さ(インパルス応答の長さを応答長と記すこととする)が当該周波数における1波長よりも長いFIRフィルタが必要である。このため、一般的にFIRフィルタで特性を変更するときの演算量はIIRフィルタで特性を変更するときの演算量に比べて大きくなる。特に低周波数の帯域の特性を変更するときには周期が長くなることから多大な演算量が必要である。
一方、FIRフィルタの処理の演算量を下げるために応答長が1波長以上になる周波数を高くした場合には、その周波数より低い周波数領域について所望の周波数特性に変更することが困難になる。
上述の従来のイコライザは、所望の周波数特性を決定した後FIRフィルタで周波数特性の変更を行っており、IIRフィルタを用いたイコライザに比べて高音質での周波数特性の変更が可能であるが、フィルタ処理の演算量が増大してしまうという問題がある。特に、低周波数領域の特性を変更するときにこの問題は顕著になるが、応答長が1波長以上になる周波数を高くして演算量を下げようとすると、応答長が1波長に満たないために所望の特性に変更できない周波数が上昇してしまうという問題が生じる。
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、フィルタ処理の演算量の増加を抑えつつ、低周波数領域の周波数特性の変更が可能なイコライザを得ることを目的とする。
この発明のイコライザは、入力された音響信号から再生用音響信号を生成するイコライザであって、インパルス応答の長さが予め定められたしきい値周波数における1波長以上になる次数のFIR(Finite Impulse Response)フィルタでFIRフィルタ係数を用いて前記音響信号の周波数特性を変更するFIRフィルタ処理部と、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタでIIRフィルタ係数を用いて前記音響信号の周波数特性を変更するIIRフィルタ処理部と、前記再生用音響信号に要求される周波数特性を示す周波数特性情報を受け取り、前記周波数特性情報に基づいて前記IIRフィルタ係数を算出するIIR係数算出部と、前記IIR係数算出部によって算出された前記IIRフィルタ係数に基づいて前記FIRフィルタ係数を算出するFIR係数算出部と、前記FIRフィルタ処理部で周波数特性が変更された前記音響信号が入力され、予め定められたカットオフ周波数よりも高い周波数成分を通過させて出力するハイパスフィルタ処理部と、前記IIRフィルタ処理部で周波数特性を変更された前記音響信号が入力され、前記カットオフ周波数よりも低い周波数成分を通過させて出力するローパスフィルタ処理部と、前記ハイパスフィルタ処理部から出力された信号と前記ローパスフィルタ処理部から出力された信号を加算して前記再生用音響信号を出力する加算器と、を備えるようにしたものである。
この発明のイコライザによれば、インパルス応答の長さが予め定められたしきい値周波数における1波長以上になる次数のFIRフィルタを有するFIRフィルタ処理部とIIRフィルタを有するIIRフィルタ処理部とを備え、入力された音響信号の周波数特性をFIRフィルタ処理部で変更した信号のうち予め定められたカットオフ周波数以上の帯域の成分と、同じ音響信号の周波数特性をIIRフィルタ処理部で変更した信号のうちカットオフ周波数以下の帯域の成分とを含む再生用音響信号を出力するようにしたので、FIRフィルタ処理による演算量の増加を抑制しつつ、しきい値周波数以下の低周波数帯についてもIIRフィルタによって周波数特性を変更することが可能である。
この発明の実施の形態1のイコライザの構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1のイコライザのLPF処理部およびHPF処理部の特性を説明するグラフである。 この発明の実施の形態1のイコライザのLPF処理部およびHPF処理部の特性の別の例を説明するグラフである。 この発明の実施の形態1のイコライザにおけるLPFカットオフ周波数とHPFカットオフ周波数としきい値周波数の設定例を説明する模式図である。 この発明の実施の形態2のイコライザの構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2のイコライザのIIRフィルタ処理部で特性を変更する周波数とFIRフィルタ処理部で特性を変更する周波数の例を説明する模式図である。 IIRフィルタおよびFIRフィルタの例を示すブロック図である。
以下この発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、参照する図において同一もしくは相当する部分には同一の符号を付している。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るイコライザの機能構成を示すブロック図である。この実施の形態のイコライザは、設定部101、IIR係数算出部102、FIR係数算出部103、IIRフィルタ処理部104、FIRフィルタ処理部105、ローパスフィルタ処理部(LPF処理部)106、ハイパスフィルタ処理部(HPF処理部)107、加算器108で構成される。
設定部101は外部より入力される周波数特性情報を受け付ける。周波数特性情報はイコライザによる変更後の周波数特性を規定する情報である。設定部101は受け付けた周波数特性情報に規定された周波数特性(要求された周波数特性)をIIR係数算出部102に通知する。IIR係数算出部102は設定部101より通知された周波数特性となるようにIIRフィルタ処理部104のIIRフィルタの係数(IIRフィルタ係数)を算出してIIRフィルタ処理部104に通知する。
また、IIR係数算出部102で算出されたIIRフィルタ係数はFIR係数算出部103にも入力され、FIR係数算出部103ではIIRフィルタ係数に基づいてFIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの係数(FIRフィルタ係数)を算出し、FIRフィルタ処理部105に通知する。
外部よりこの実施の形態のイコライザに入力されたデジタルの音響信号は、IIRフィルタ処理部104およびFIRフィルタ処理部105に入力される。IIRフィルタ処理部104はIIRフィルタを備えており、IIR係数算出部102から通知されたIIRフィルタ係数をこのIIRフィルタに設定し、入力された音響信号に対して周波数特性を変更する処理を行って出力する。また、LPF処理部106はローパスフィルタ(LPF)を備えており、IIRフィルタ処理部104が出力した信号に対して低域通過処理(ローパスフィルタ処理)を行って出力する。
FIRフィルタ処理部105はFIRフィルタを備えており、FIR係数算出部103から通知されたFIRフィルタ係数をこのFIRフィルタに設定し、入力された音響信号に対して周波数特性を変更する処理を行って出力する。HPF処理部107はハイパスフィルタ(HPF)を備えており、FIRフィルタ処理部105が出力した信号に対して高域通過処理(ハイパスフィルタ処理)を行って出力する。
LPF処理部106およびHPF処理部107が出力した信号は加算器108に入力され、加算器108はこの2つの信号を加算して再生用音響信号として外部に出力する。
図7に2次のIIRフィルタとS次のFIRフィルタの例を示す。この図において、X(n)、x(n)は入力信号、Y(n)、y(n)は出力信号であり、nはデジタル処理における時刻を表す。また、乗算器とともに示すa0、a1、bは乗算器において信号にかけ合わされるフィルタ係数を表している。なお、FIRフィルタの応答長はFIRフィルタの次数で決定される。
設定部101、IIR係数算出部102、FIR係数算出部103、IIRフィルタ処理部104、FIRフィルタ処理部105、LPF処理部106、HPF処理部107、加算器108の各ブロックはデジタル信号処理を行うものであり、プロセッサ及びメモリを備えたハードウェアとそのハードウェア上で動作するプログラムで実現することが可能である。あるいは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いたハードウェアで実現することも可能であるし、また、それらを組み合わせて実現することも可能である。
次に動作を説明する。設定部101には外部より周波数特性情報が入力され、設定部101は周波数特性情報で要求された周波数特性をIIR係数算出部102に通知する。なお、周波数特性情報で規定される項目はIIRフィルタ係数の算出が可能となる情報を含むものであればよい。例えば特性を変更する対象の周波数、サンプリング周波数、クオリティファクタ、ゲインなどの情報である。
IIR係数算出部102は、通知された周波数特性に基づいてIIRフィルタ処理部104のIIRフィルタ係数を算出する。なお、ここではIIR係数計算部102は、上述の周波数特性情報を用いて周知の方法である一次変換法によりIIRフィルタの係数を算出することとする。
一般的に2次のIIRフィルタを多段構成にすることで調整可能な周波数を広範囲にすることが可能になるので、ここではIIRフィルタ処理部104は複数段の2次のIIRフィルタで構成されているものとする。なお、この発明はIIRフィルタの段数で制限されるものではないので、以降ではIIRフィルタの段数をN段(Nは2以上の自然数)として説明する。ただし、IIRフィルタ処理部104はこの構成に限られるものではなく、単数(すなわちN=1)の1次IIRフィルタ、単数の高次IIRフィルタ、あるいはこれらを複数組み合わせた構成などのその他の構成であってもよい。
IIR係数算出部102は、IIRフィルタ処理部104のN段のIIRフィルタに対応するN組のIIRフィルタ係数を算出する。
IIR係数算出部102は算出したIIRフィルタ係数をIIRフィルタ処理部104およびFIR係数算出部103に出力する。FIR係数算出部103は、受信したIIRフィルタ係数を元にFIRフィルタ係数を算出する。IIRフィルタ係数からFIRフィルタ係数を求める方法としては、当該IIRフィルタ係数を有するIIRフィルタのインパルス応答を測定することでFIRフィルタの係数を求める方法や、あるいは逆離散フーリエ変換(Inverse Discrete Fourier Transform)等の演算で求める方法などを使用すればよい。
なおFIRフィルタの次数は、予め定められたしきい値周波数における1波長以上の応答長をFIRフィルタが有するようにする。この次数に対応するFIRフィルタ係数を求めるには、例えばIIRフィルタのインパルス応答を求めることによりFIRフィルタの係数を求めるようにしている場合であれば、インパルス応答のサンプル数を上記で求めた次数までにすればよい。
FIR係数算出部103はこのようにして求めたFIRフィルタ係数をFIRフィルタ処理部105に出力する。このような構成にすることで、IIRフィルタ処理部104のIIRフィルタとFIRフィルタ処理部105のFIRフィルタが同じ周波数特性情報に基づいた同様の特性を有するようにそれぞれのフィルタを設定することができる。なお、IIRフィルタ処理部104のIIRフィルタとFIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの周波数特性が一致している必要はない。
この実施の形態のイコライザに入力された音響信号は分岐され、一方はIIRフィルタ処理部104へ、もう一方はFIRフィルタ処理部105へと送られる。IIRフィルタ処理部104は、IIR係数算出部102から受信したIIRフィルタ係数に従って、入力された音響信号に対してN段のIIRフィルタ処理を行い、処理後の音響信号をLPF処理部106に出力する。また、FIRフィルタ処理部105では、FIR係数算出部103から受信したFIRフィルタ係数に従って、入力された音響信号に対してFIRフィルタ処理を行い、処理後の音響信号をHPF処理部107に出力する。
LPF処理部106は、IIRフィルタ処理部104から受信した周波数特性変更後の音響信号に対して、予め定められたカットオフ周波数よりも低い周波数成分を通すローパスフィルタ処理を行い、処理後の音響信号を加算器108に対して出力する。また、HPF処理部107は、FIRフィルタ処理部105から受信した周波数特性変更後の音響信号に対して、カットオフ周波数よりも高い周波数成分を通すハイパスフィルタ処理を行い、処理後の音響信号を加算器108に対して出力する。
図2にLPF処理部106とHPF処理部107のそれぞれのフィルタの特性の例を示す。図2(a)に示すようにLPF処理部106において強度が6dB(ここでは6dB減衰する周波数をカットオフ周波数とした)減衰する周波数とHPF処理部107において6dB減衰する周波数が合うように調整されている。また、図2(b)に示すように位相の周波数特性も合うように調整されるものとする。
このような特徴を有するフィルタの設計については、LPFとHPFをともにFIRフィルタで構成して、互いのフィルタの次数を揃えることで容易に行うことができる。また、LPFとHPFをIIRフィルタで構成する場合には、LPFとHPFの後段に位相調整用のAPF(All Pass Filter)をそれぞれ設けることで実現することも可能である。ただし、IIRフィルタで構成する場合、カットオフ周波数の値によってはLPF、HPFの処理での演算誤差が無視できない程度になる可能性があるので、FIRフィルタでLPF、HPFを構成するほうが好ましい。これらのフィルタの設計方法については周知の方法を用いればよい。
なお、LPF処理部106とHPF処理部107は図3に示すようにカットオフ周波数と位相の特性が同程度となるよう調整されたものであってもよい。図3(a)はLPF処理部106のカットオフ周波数(LPFカットオフ周波数)とHPF処理部107のカットオフ周波数(HPFカットオフ周波数)が同程度(例えばカット周波数の20パーセント以内)の周波数になるように調整された例を示している。ただし、HPFカットオフ周波数はLPFカットオフ周波数以下である方が望ましい。また、図2(b)はLPF処理部106とHPF処理部107のそれぞれのフィルタの位相の周波数特性が同程度(例えば10度以内)になるように調整された例を示している。このようにすることで、LPF処理部106とHPF処理部107のフィルタをより容易に構成することができる。
以下に、FIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの次数としきい値周波数、LPFカットオフ周波およびHPFカットオフ周波数、LPF処理部106およびHPF処理部107をFIRフィルタで構成する場合の次数の一例を示す。なお、ここでは音響信号のサンプリング周波数を44100Hz(音楽Compact Discのサンプリング周波数)とする。
LPFカットオフ周波数およびHPFカットオフ周波数を500Hzとする。なお、IIRフィルタの演算誤差による音質劣化が顕著に認識されるようになるのは500Hz程度以上の周波数であり、再生する音響信号の500Hz以下の周波数の成分にIIRフィルタの演算誤差が含まれていたとしても、その音響信号を再生した時の音質に与える影響は小さいと言える。
LPF処理部106およびHPF処理部107のFIRフィルタの次数は応答長がカットオフ周波数における1波長以上である値として128(>44100÷500=88.2)次とする。
また、FIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの次数については500Hz以上の周波数の特性を変更することができる次数として、LPF処理部106およびHPF処理部107と同様の128次とする。なお、FIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの次数を128次とすると、しきい値周波数は345Hzである。
図4はここで示した例の場合の、LPFカットオフ周波数とHPFカットオフ周波数としきい値周波数を説明する模式図である。IIRフィルタ処理部104で周波数特性を変更した音響信号のうち出力された再生用音響信号に含まれる成分の周波数範囲と、FIRフィルタ処理部105で周波数特性を変更した音響信号のうち再生用音響信号に含まれる成分の周波数範囲と、FIRフィルタ処理部105の応答長が1波長以上である(すなわち周波数特性を所望の特性に変更できる)周波数の範囲を示している。
なお、この例ではLPFカットオフ周波数とHPFカットオフ周波数を同じにしたが、上述のように正確に一致しなくてもよい。また、この例ではしきい値周波数をHPFカットオフ周波数(およびLPFカットオフ周波数)よりも低い周波数としているが、同じあるいは高い周波数としてもよい。ただし、要求された周波数の特性を変更するという観点では、この例のようにしきい値周波数を低い値とした方が、変更できない周波数帯が生じないため望ましい。
加算器108では、LPF処理部106が出力する信号と、HPF処理部107が出力する信号を加算し、加算後の信号を再生用音響信号として外部に出力する。このような構成にすることで、IIRフィルタ処理部104の出力信号のLPFカットオフ周波数以下の帯域の成分と、FIRフィルタ処理部105の出力信号のHPFカットオフ周波数以上の帯域の成分とを合成して出力することができる。なお、LPF処理部106とHPF処理部107のカットオフ周波数が同程度の周波数になるように調整し、また、LPF処理部106とHPF処理部107の周波数に対する位相特性が同程度になるように調整しているので、周波数的に過不足無くこれら2つの信号を合成することが可能である。
次にこの実施の形態のイコライザの効果について説明する。なお、FIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの次数を128とし、IIRフィルタ処理部104のIIRフィルタの次数を2、段数を10段(N=10)とする。LPF処理部106およびHPF処理部107は両方ともカットオフ周波数が500Hzで次数が128のFIRフィルタで構成されているものとする。また、音響信号のサンプリング周波数を44100Hzとする。
図7に示したFIRフィルタの例のように、S次のFIRフィルタでは音響信号の1サンプルあたりS回の乗算と加算の処理(乗算と加算をあわあせて1回の演算処理と数えることにする)をする必要がある。したがって、この実施の形態のイコライザのFIRフィルタ処理部105がサンプリング周波数44100Hzの音響信号を処理するためには、1秒間に44100×128で5.7×10回の演算処理をする必要がある。また、LPF処理部106およびHPF処理部107も128次のFIRフィルタであるので1秒間にFIRフィルタ処理部105と同様の演算処理を行う必要がある。
また、IIRフィルタ処理部104については、1サンプルあたり5回の演算処理が必要(図7の例で考えた場合、実際には5回の乗算と4回の加算)とすると、10段のIIRフィルタを備えるので1秒間に44100×5×10で2.2×10回程の演算処理が必要となる。IIRフィルタ処理部は、以上より、この実施の形態のイコライザは1秒間に19.3×10回の演算処理を実施する能力を必要とすることになる。
一方、FIRフィルタで周波数特性を変更するイコライザの場合、例えば20Hzの信号の特性を変更しようとすると、FIRフィルタの応答長が20Hzにおける1波長以上になるようにするためにはFIRフィルタの次数を2205次にする必要があるので、1秒間に97.2×10回の演算処理を行うことができなければならない。従って、この実施の形態のイコライザはFIRフィルタで周波数特性を変更するイコライザに比べて20Hzの信号の周波数特性を変更しようとするとき、1秒間に77.9×10回程の演算処理を削減できることになる。
また、128次のFIRフィルタのみで構成されたイコライザの場合には、応答長が1波長に満たないため、88Hz以下については周波数特性を所望の特性に変更することができない。一方、この実施の形態のイコライザではIIRフィルタ処理部104で周波数特性を変更した音響信号の20Hzの成分がLPF処理部106を通過し、加算器108を経由して再生用音響信号として出力されるので20Hzの周波数成分の特性を変更することが可能である。
なお、IIRフィルタ処理部104によって周波数特性を変更した音響信号にはIIRフィルタ処理による演算誤差が含まれるが、LPFカットオフ周波数以上の周波数帯についてはLPF処理部106を通過できず再生用音響信号にその影響が及ぶことは無い。また、人間の耳の感度は可聴周波数帯のうち1,000〜4,000Hz程度の帯域で感度が最もよくそれ以外の帯域では感度が下がることから、上述の例のように再生用音響信号の500Hz以下の周波数帯の成分にIIRフィルタの演算誤差が含まれていたとしても、その演算誤差が音質に与える影響は軽微なものであると言える。
以上のように、この実施の形態のイコライザは、応答長がしきい値周波数おける1波長以上になるように構成されたFIRフィルタを有するFIRフィルタ処理部105とIIRフィルタを有するIIRフィルタ処理部104とを備え、入力された音響信号の周波数特性をFIRフィルタ処理部105で変更した信号のうち予め定められたカットオフ周波数以上の帯域の成分と、入力された音響信号の周波数特性をIIRフィルタ処理部104で変更した信号のうちカットオフ周波数以下の帯域の成分とを含む再生用音響信号を出力するようにした。
これにより、イコライザが音響信号の周波数特性を変更するために必要な演算量を削減するとともに、カットオフ周波数以上の周波数帯においてはFIRフィルタによって周波数特性を変更した音質の良い音響信号が出力され、カットオフ周波数以下の周波数帯においてはIIRフィルタによって周波数特性を変更した音響信号が出力されるので、FIRフィルタ処理による演算量の増加を抑制しつつ、カットオフ周波数以上の周波数帯についてはFIRフィルタによる高音質の周波数特性の変更ができ、また、カットオフ周波数以下の周波数帯(低周波数帯)についても周波数特性の変更をすることが可能なイコライザを得ることができる。
実施の形態2
図5はこの発明の実施の形態2に係るイコライザの機能構成を示すブロック図である。この実施の形態のイコライザと実施の形態1のイコライザの差分は、IIR係数算出部102bからIIRフィルタ処理部104に出力されるIIRフィルタ係数とは異なる係数情報がFIR係数算出部103に対して出力される点である。
次に実施の形態2のイコライザの動作を説明する。設定部101、FIR係数算出部103、FIRフィルタ処理部105、LPF処理部106、HPF処理部107、加算器108の動作は実施の形態1と同様である。以下、実施の形態1との差分を中心に説明する。
IIR係数算出部102bは実施の形態1と同様に周波数特性を所望の特性に変更するN組のIIRフィルタ係数を算出する。そして、算出したN組のIIRフィルタ係数のうち、しきい値周波数以下の周波数を対象とするIIRフィルタ係数を含むJ組(JはN以下の自然数)のフィルタ係数を選択して、IIRフィルタ処理部104に出力する。一方、FIR係数算出部103に対しては実施の形態1と同様にN組のIIRフィルタ係数を出力する。
IIRフィルタ処理部104では、IIR係数算出部102bから受信したJ組のIIRフィルタ係数に基づいてJ段のIIRフィルタを設定する。
このような構成にすることにより、実施の形態1に示したイコライザが有する効果に加えて、IIRフィルタ処理部104の段数をN段からJ段に削減することが可能となるので、実施の形態1のイコライザよりもさらにフィルタ処理に必要な演算量を削減することができる。
あるいは、IIR係数算出部102bからFIR係数算出部103に対して、算出したN組のIIRフィルタ係数のうち、しきい値周波数以上の周波数を対象とするIIRフィルタ係数を選択して(この時選択されたIIRフィルタ係数をK組(KはN以下の自然数)とする)通知するようにすることも考えられる。そしてFIR係数算出部103では、応答長がこの受信したK組のIIRフィルタ係数に対応する周波数のうち最も低い周波数における1波長以上になるようにFIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの次数を決定してFIRフィルタ係数を求めるようにしてもよい。
なお、このときIIRフィルタ処理部104に対しては実施の形態1と同様にN組のIIRフィルタ係数を通知してもよいし、しきい値周波数以下の周波数を対象とするN−K組のIIRフィルタ係数を含むN組以下のフィルタ係数を選択して通知するようにしてもよい。
このような構成にすることにより、FIRフィルタ処理部105のFIRフィルタの次数をFIRフィルタ処理部105において特性を変更する周波数に応じて、しきい値周波数に対応した次数からさらに下げることが可能となり、より一層の演算量の削減が可能となる。
図6は、IIRフィルタ処理部104に対してしきい値周波数以下の周波数を対象とするIIRフィルタ係数を選択して通知し、FIR係数算出部103に対してしきい値周波数以上の周波数を対象とするIIRフィルタ係数を選択して通知した場合の一例を説明する模式図である。なお、ここではカットオフ周波数(LPFカットオフ周波数とHPFカットオフ周波数)としきい値周波数を同じ値にしている。図6に示すようにF1からF10の10個の周波数の特性を変更するとして、F4までがしきい値周波数以下、F5からF10までがしきい値周波数以上であるとする。
IIRフィルタ処理部104にはF1からF4までの4個の周波数の特性を変更する各周波数に対応した4組のIIRフィルタ係数が設定される。一方、FIRフィルタ処理部105ではF5からF10までの6個の周波数の特性を変更するためのFIRフィルタ係数が設定される。この場合、IIRフィルタ処理部104では4段のIIRフィルタの処理が行われる。また、FIRフィルタ処理部105のFIRフィルタは応答長がF5における1波長以上になる次数になる。
上述のように実施の形態2のイコライザによれば、実施の形態1に示したイコライザの効果に加えて、IIRフィルタ処理部104で周波数特性を変更する周波数の個数に合わせてIIRフィルタ処理部104の段数を変更することにより、さらに演算量を削減することができる。
また、FIRフィルタ処理部105において特性を変更する周波数に応じてFIRフィルタの次数をしきい値周波数に対応した次数からさらに下げることが可能となり、さらに演算量を削減することができる。
101 設定部、102,102b IIR係数算出部、103 FIR係数算出部、104 IIRフィルタ処理部、105 FIRフィルタ処理部、106 ローパスフィルタ処理部(LPF処理部)、107 ハイパスフィルタ処理部(HPF処理部)、108 加算器

Claims (6)

  1. 入力された音響信号から再生用音響信号を生成するイコライザであって、
    インパルス応答の長さが予め定められたしきい値周波数における1波長以上になる次数のFIR(Finite Impulse Response)フィルタでFIRフィルタ係数を用いて前記音響信号の周波数特性を変更するFIRフィルタ処理部と、
    IIR(Infinite Impulse Response)フィルタでIIRフィルタ係数を用いて前記音響信号の周波数特性を変更するIIRフィルタ処理部と、
    前記再生用音響信号に要求される周波数特性を示す周波数特性情報を受け取り、前記周波数特性情報に基づいて前記IIRフィルタ係数を算出するIIR係数算出部と、
    前記IIR係数算出部によって算出された前記IIRフィルタ係数に基づいて前記FIRフィルタ係数を算出するFIR係数算出部と、
    前記FIRフィルタ処理部で周波数特性が変更された前記音響信号が入力され、予め定められたカットオフ周波数よりも高い周波数成分を通過させて出力するハイパスフィルタ処理部と、
    前記IIRフィルタ処理部で周波数特性を変更された前記音響信号が入力され、前記カットオフ周波数よりも低い周波数成分を通過させて出力するローパスフィルタ処理部と、
    前記ハイパスフィルタ処理部から出力された信号と前記ローパスフィルタ処理部から出力された信号を加算して前記再生用音響信号を出力する加算器と、
    を備えたことを特徴とするイコライザ。
  2. 前記ハイパスフィルタ処理部は、前記カットオフ周波数に基づいて調整されたハイパスフィルタカットオフ周波数よりも高い周波数成分を通過させ、
    前記ローパスフィルタ処理部は、前記カットオフ周波数に基づいて調整されたローパスフィルタカットオフ周波数よりも低い周波数成分を通過させる、
    ことを特徴とする請求項に記載のイコライザ。
  3. 前記ハイパスフィルタ処理部の位相の周波数特性および前記ローパスフィルタ処理部の位相の周波数特性が同一または略同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のイコライザ。
  4. 前記IIRフィルタ処理部は、前記音響信号の周波数特性を変更する対象のN個(Nは1以上の自然数)の周波数に対応するN段のIIRフィルタの処理のうち、前記しきい値周波数以下の周波数を含むJ個(Jは0以上かつN以下の自然数)の周波数の特性の変更に必要なJ段のIIRフィルタの処理を実施することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のイコライザ。
  5. 前記FIRフィルタ処理部は、前記しきい値周波数以上の前記音響信号の周波数特性を変更する対象の周波数のなかで、他の周波数よりも低い周波数における1波長以上の長さのインパルス応答が得られる次数のFIRフィルタの処理を実施することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のイコライザ。
  6. 前記IIRフィルタ処理部は、前記音響信号の周波数特性を変更する対象のN個(Nは1以上の自然数)の周波数に対応するN段の前記IIRフィルタを有し、
    前記IIR係数算出部は、算出されたN段の前記IIRフィルタ係数の内のJ段(Jは0以上かつN未満の自然数)を前記IIRフィルタ処理部に提供し、
    前記FIR係数算出部は、前記IIR係数算出部からN段の前記IIRフィルタ係数を受け取り、前記IIRフィルタ係数に基づいて前記FIRフィルタ係数を算出して前記FIRフィルタ処理部に提供する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のイコライザ。
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