JP4364598B2 - フィルタ処理装置,フィルタ処理方法及びそのプログラム - Google Patents
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Description
図12は,マルチウェイスピーカシステムの一例を表す概略構成図である。
マルチウェイスピーカシステムでは,デジタルオーディオ信号(音響信号)の各チャンネル信号(Lチャンネル,Rチャンネル)を,各々所定の音域の再生に適した複数のスピーカごとに分岐させ,さらに各スピーカに適した音域ごとにフィルタ処理して各スピーカへ出力する。クロスオーバーとは,1つの音響信号(1チャンネルの信号)を,複数のスピーカに出力するために各スピーカの特性に最適な帯域ごとに分割する(分岐してフィルタ処理する)機能のことである。
クロスオーバー部90により複数の音域(周波数帯域)に分割(フィルタリング)された音響信号は,タイムアラインメント部91及びD/Aコンバータ92(アンプ含む)を介してスピーカ93に出力される。タイムアラインメントとは,各スピーカ93と再生音を聴く利用者との距離等に応じて,フィルタ処理後の各音響信号を遅延させる時間を設定できる機能のことである。これにより,臨場感のある音響再生が可能となる。
現在のハイエンドオーディオスピーカシステムでは,低音域を受け持つウーファ,高音域を受け持つトゥイータ等,再生帯域をより限定して高音質の音響再生を可能とした複数のスピーカを設け,より幅広い再生周波数帯域を確保し,これによって高音質の再生を行う。このため,音響信号のフィルタ処理装置は,各種スピーカに合わせたフィルタ特性を実現できる高い汎用性が要求される。
一般に,クロスオーバーフィルタは,アナログ回路又はDSP(Digital Signal Processor)等によるデジタル信号処理装置により実現される。ここで,アナログ回路は,フィルタ特性を変更する際に抵抗やコイル,コンデンサ等ハードウエアの変更が必要となり汎用性に欠けるため,近年はDSPを用いたディジタル信号処理装置によるものに移行しつつある。このディジタル信号処理におけるフィルタ形式としては,大きく分けてIIR型(IIRフィルタ)とFIR型(FIRフィルタ)とがある。
IIRフィルタは,従来のアナログ回路によるフィルタ特性とほぼ同等の特性が得られることに加え,低次のフィルタタップ数で(即ち,少ない演算量で)所望の特性が得られることから,従来はIIRフィルタが主に用いられてきた。
しかし,IIRフィルタでは,周波数成分毎に異なるフィルタ遅延が生じることが知られている。つまり,IIRフィルタ処理後の音響信号波形は,周波数毎に遅延の異なる波形の重ねあわせとなり,近年のより高音質が求められるハイエンドオーディオとしては十分な音質が得られない(音質が劣化する)大きな要因となっていた。
一方,FIRフィルタは,IIRフィルタのような位相特性の問題を生じず,定遅延特性が実現できる大きなメリットがあることが知られている。
図13は,FIRフィルタの処理ブロック図である。
図13に示すように,FIRフィルタ処理では,遅延処理部94によってある時点tからnサンプル前までの(n+1)サンプルの信号が生成され,その各信号について乗算処理部95によりフィルタ係数a(k)(k=0,1,2,…,n)を乗算した結果を加算処理部96で加算する(即ち,積和演算を行う)ことによりフィルタ処理を行う。このnのことを,以下,フィルタタップ数(或いはタップ数)という。フィルタ係数a(k)を次数(i=1〜n)に対して左右対称(a(N−i+1)=a(i))とすることにより前記定遅延特性が得られる。
従来のFIRフィルタを用いた信号処理装置としては,例えば,特許文献1に,臨場感を出す音響再生用のフィルタとして,音楽ホール等のインパルス応答を音源に畳み込む(フィルタリングする)場合に,高域成分ほど減衰する(タップ数が短い)ことに着目し,あるタップ数以上からは低域通過ダウンサンプル手段を用いて畳み込む処理を減らすものが提案されている。
また,特許文献2には,音場制御用のフィルタ係数を2種の係数のレベルと遅延を変えて算出することによってハードウエア規模を小さくできるものが提案されている。さらに,この特許文献2には,音響信号のダウンサンプルにより,FIRフィルタによるローパス処理の演算量を低減する例が示されている。
図10は,サンプリング周波数が48kHzである音響信号(デジタル信号)にFIRフィルタ処理を施す場合におけるカットオフ周波数(横軸)とFIRフィルタのフィルタタップ数(縦軸)との関係を表すグラフである。
図10に示すように,FIRフィルタで必要なフィルタタップ数は,減衰スロープ特性等の振幅特性の基本形を維持した場合,カットオフ周波数の変化に対して1オクターブ小さくなる毎にほぼ倍増していく。
例えば,カットオフ周波数10KHzの場合に10次のタップ数で実現されていたフィルタは,同5KHzの場合は20次,2.5KHzの場合は40次,1.25KHzの場合は80次,…,10Hzの場合は10000次となる。
ここで,FIRフィルタのフィルタタップ数が高次であるほど,その次数に比例して保持すべきフィルタ係数の数も増加し,フィルタ係数の記憶に必要なメモリ容量は,同等機能のIIRフィルタと比較して数倍〜数千倍となる。
これに対し,様々なスピーカ特性に対応できる汎用性の高いシステムとするためには,各々異なるフィルタ特性を有するフィルタを多数備えてそれらを切り替え可能なクロスオーバーが要求され,この場合,FIRフィルタ係数の増加による必要メモリ容量の増大が問題となる。この問題が,従来,FIRフィルタが,その優れた音質性能にもかかわらず広く用いられなかった要因の1つとなっている。
ここで,特許文献1に示される技術は,音響感を出すインパルス応答ありきであり,ローパスフィルタ(LPF),ハイパスフィルタ(HPF),バンドパスフィルタ(BPF)等,人為的に設計するフィルタに適用できるものではない。
また,特許文献2に示される技術も,複数のFIRフィルタを備えた場合におけるフィルタ係数の記憶容量増大の問題を解決するものではない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,高い音質を確保するためにFIRフィルタを用い,さらに各種出力(スピーカ)に対応できる汎用性を確保するために複数種類のフィルタ特性を実現可能とする場合でも,FIRフィルタ処理に用いるフィルタ係数の総データサイズ(容量)を抑制できるフィルタ処理装置,フィルタ処理方法及びそのプログラムを提供することにある。
このように,FIRフィルタ処理によりLPFを実現するので,定遅延特性を有する音質劣化の少ないLPFを構成することができる。
また,FIRフィルタ処理(LPF処理)を施す前に入力信号にダウンサンプル処理を施した場合,そのフィルタ特性(LPF特性)は,信号のダウンサンプルの程度(変換レート)によっても,FIRフィルタ処理のフィルタ係数の値によっても変化する。これは,ダウンサンプルの変換レートとフィルタ係数との組合せのパターン数に対応した種類のフィルタ特性を実現できることを意味する。例えば,3種類の変換レートのダウンサンプルと3組のフィルタ係数の候補とを有する場合,3×3=9パターンのフィルタ特性を実現することができる。もちろん,ダウンサンプル及びアップサンプルの各処理を行う分だけそれに要するパラメータのデータサイズが大きくなるが,その増大分以上にFIRフィルタ処理用のフィルタ係数のデータサイズ低減効果が高いため,全体としては大きなメモリ容量低減効果が得られる。
従って,本構成によれば,少ない種類(組)のフィルタ係数を記憶しているだけで(フィルタ係数の総データサイズ(容量)を抑制しながら),多くの種類のフィルタ特性を実現することが可能となる。
このように,前記ダウンサンプル手段が,デジタル音響信号を複数の変換レートでダウンサンプルした各信号を複数出力するものであれば,複数の前記FIRフィルタ手段でこれを共用できるので,前記FIRフィルタ手段ごとに複数の変換レートの切り替えに対応したダウンサンプル手段をそれぞれ設ける場合よりも簡易な構成で実現できる。
さらに,前記FIRフィルタ手段を複数具備する場合には,それらが用いるフィルタ係数を共用できる場合も生じるので,フィルタ係数の総データサイズ(容量)のさらなる抑制につながり効率的である。
このような構成によれば,ダウンサンプルの冗長をなくして効率的なダウンサンプル処理を実現できる。
例えば,(1/2)倍の変換レートでダウンサンプルを行う前記単位ダウンサンプル処理を3回実行するだけで,入力されたデジタル音響信号に対し,(1/2)倍,これをさらに(1/2)倍して(1/4)倍及びこれをさらに(1/2)倍して(1/8)倍の各変換レートでダウンサンプルした信号(前記ダウンサンプル信号)と,ダウンサンプルを行わない信号(変換レート=1倍)とを出力することができる。これは,(1/2)倍,(1/4)倍及び(1/8)倍の各変換レートのダウンサンプル処理を各々個別に行う場合に比べ,冗長がなく効率的である。
即ち,デジタル音響信号にフィルタ処理を施すフィルタ処理方法において,複数の候補から選択された変換レートに従って前記デジタル音響信号のサンプリングレートを下げるダウンサンプル工程と,前記ダウンサンプル工程による処理後の信号に複数組の候補から選択されたフィルタ係数を用いてFIRフィルタ処理によるローパス処理を施すFIRフィルタ工程と,複数の候補から選択された変換レートに従って前記FIRフィルタ工程による処理後の信号のサンプリングレートを上げるアップサンプル工程と,複数の変換レートの候補及び所定の記憶手段に記憶されている複数組のフィルタ係数の候補の中からの選択により,前記ダウンサンプル工程及び前記アップサンプル工程それぞれにおける変換レートと前記FIRフィルタ工程の処理に用いる前記フィルタ係数との組合せを設定することによって,前記ダウンサンプル工程,前記FIRフィルタ工程及び前記アップサンプル工程による前記デジタル音響信号に対するフィルタ処理のフィルタ特性を変化させるパラメータ設定工程と,を有してなることを特徴とするフィルタ処理方法である。
また,本発明は,前記フィルタ処理装置が実行する処理(前記フィルタ処理方法における各工程)をコンピュータに実行させるためのフィルタ処理プログラムとして捉えたものであってもよい。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例であるローパスフィルタ処理部の処理ブロック図,図2はフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例であるハイパスフィルタ処理部の処理ブロック図,図3はフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例である第1のバンドパスフィルタ処理部の処理ブロック図,図4はフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例である第1のバンドパスフィルタ処理部の他の例についての処理ブロック図,図5はフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例である第2のバンドパスフィルタ処理部の処理ブロック図,図6はフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例である第3のバンドパスフィルタ処理部の処理ブロック図,図7はフィルタ処理装置Xの実行プログラムの一例である複数チャンネルローパスフィルタ処理部の処理ブロック図,図8はFIRフィルタ処理の前に信号をダウンサンプルする効果について説明する図,図9はフィルタ係数を固定したFIRフィルタ処理の前に行うダウンサンプルの変換レートと実現されるカットオフ周波数との関係を表す表,図10はフィルタ係数記憶部に記憶される3組のフィルタ係数の一例を表す図,図11は複数組のフィルタ係数の各々とダウンサンプル及びアップサンプルの各変換レートとの組合せごとに実現されるカットオフ周波数の一例を表す図,図12はフィルタ処理装置Xが組み込まれるマルチウェイスピーカシステムの一例を表す概略構成図,図13はFIRフィルタの処理ブロック図,図14は音響信号にFIRフィルタ処理を施す場合におけるカットオフ周波数とFIRフィルタのフィルタタップ数との関係の一例を表すグラフである。
フィルタ処理装置Xは,DSP(Digital Signal Processor)を備え,該DSPが,一定周期でサンプリングされた音響デジタル信号を入力インターフェースを介して入力し,前記DSPが備えるROM等の記憶手段に予め記憶されたフィルタ処理プログラムを実行することにより,入力された音響デジタル信号にフィルタリング処理を施し,処理後の音響信号を出力インターフェースを介して出力する。前記入力インターフェースは,デジタル音響信号の入力の他,パラメータ設定等に関する他の外部信号の入力も行い,その入力信号を前記CPUへ引き渡す。以下,図1〜図7の処理ブロック図に示す各処理は,前記DSPがフィルタ処理プログラムを実行することにより具現される。
まず,図1(a)の処理ブロック図を用いて,フィルタ処理装置Xが備えるDSPによる実行プログラムの一例であるローパスフィルタ処理部1(以下,LPF処理部1という)の処理内容について説明する。
LPF処理部1は,デジタル音響信号のサンプリングレートを下げる処理を実行するダウンサンプル部30と,該ダウンサンプル部30の出力信号にFIRフィルタ処理によるローパス処理を施すFIRフィルタ部10(前記FIRフィルタ手段の一例)と,該FIRフィルタ部10の出力信号のサンプリングレートを上げるアップサンプル部40とを有している。前記FIRフィルタ部10は,前述した図13の処理ブロック図に示す処理(遅延処理,乗算処理及び加算処理)をDSPに実行させるためのプログラムである。
また,フィルタ処理装置Xは,SRAM等のメモリ(フィルタ係数記憶手段の一例)を備え,該メモリ内の所定の記憶領域であるフィルタ係数記憶部20に前記FIRフィルタ部10におけるフィルタ処理に用いるフィルタ係数が記憶される。
図1(b)は,前記ダウンサンプル部30の処理内容を模式的に表したものである。
ダウンサンプル処理において,入力された音響信号(デジタル信号)からサンプルを単に間引く処理を行うと,サンプリングレート(サンプリング周波数)を下げることはできるが,周波数スペクトルをとった場合にエイリアスが信号に重なってしまう問題が生じることが知られている。この問題は,ナイキスト周波数以上の成分が信号に含まれてしまうためにサンプル周波数の両側に広がるスペクトル(スペクトル分布の広がり)が信号スペクトルに重なるために生じる。
そこで,前記ダウンサンプル部30では,上記問題を解消するために,ダウンサンプルの前にエイリアシング除去のためのLPFを通し,新たなナイキスト周波数よりも高い周波数成分を削る処理を行う。このような処理は,ダウンサンプル(サンプリングレートを下げる)処理を行う場合に一般的に行われることである。
具体的には,前記ダウンサンプル部30は,図1(b)に示すように,一定の変換レート(例えば1/2倍)の変換レートでダウンサンプルする処理を繰り返す処理(繰り返しループ処理)を実行するものであり,複数の候補(1,1/2,1/4,1/8,1/16,…)から選択された変換レートに応じて,その繰り返し回数(0回及び1回を含む)によって1,1/2,1/4,1/8,1/16,…(倍)の各変換レートでのダウンサンプルを行うことが可能である。
ダウンサンプルの変換レートが,1/2,1/3等のように変換レートが整数の逆数である場合,等間隔で間引き処理を行うことで所望の変換レートでのダウンサンプル処理を行える。
また,例えば,48KHzのサンプリングレートの入力信号を44.1KHzの信号に変換(ダウンサンプル)する場合のように,入力信号に対する等間隔での間引き処理で実現できない変換レートの場合は,サンプリングレートの最小公倍数でアップサンプルした後に等間隔での間引き処理によるダウンサンプルを実施すること等が考えられる。
前記アップサンプル部40(前記アップサンプル手段の一例)は,前記FIRフィルタ部10の出力信号のサンプリングレートを前記ダウンサンプル部30への入力信号のサンプリングレートまで上げる処理を行うものである。
従って,このアップサンプル部40は,前記ダウンサンプル部30で採用された変換レートに応じて,複数の候補から選択された変換レート(ダウンサンプルの変換レートの逆数)に従って前記FIRフィルタ部10の出力信号のサンプリングレートを前記ダウンサンプル部30への入力信号のサンプリングレートまで上げる処理を行う。
具体的には,前記ダウンサンプル部40は,図1(c)に示すように,所定の変換レート(例えば2倍)でアップサンプルする処理を繰り返す処理(繰り返しループ処理)を実行するものであり,複数の候補(1,1/2,1/4,1/8,1/16,…)から選択された変換レートに応じて,その繰り返し回数(0回及び1回を含む)によって1,2,4,8,16,…(倍)の各変換レートでのアップサンプルを行うことが可能である。
図1(c)の例では,前記FIRフィルタ部10によるフィルタ処理後の信号の各サンプル間に0値サンプルを挿入することによってサンプル数を2倍に増やすものである。さらに,0値挿入により生じた高周波成分(イメージング成分)を除去するためのローパスフィルタ処理を施す。そして,この処理を繰り返す(1回を含む)ことにより,2倍,4倍,8倍,16倍,…の変換レートでのアップサンプルが可能である。
等間隔でのサンプル挿入で実現できない変換レートの場合は,サンプリングレートの最小公倍数でアップサンプルした後にダウンサンプルを実施したり,補間処理を施したりすること等が考えられる。
ここで,サンプリングレート48KHzのデジタル信号に対し,FIRフィルタ処理により,カットオフ周波数を2400HzとするLPF(ローパスフィルタ)処理を施す場合について考える。
この場合において,FIRフィルタ処理の前にダウンサンプルを行わない場合(図8(a))(通常のLPF処理),FIRフィルタ処理におけるフィルタタップ数は1000次となり(1サンプル当たりの積和演算回数は1000+1回),その結果,1秒当たりの積和演算回数(フィルタタップ数)は,48000(Hz(=サンプル/秒))×1001(回/サンプル)=48,048,000回となる。
一方,FIRフィルタ処理の前に(1/2)倍の変換レートでダウンサンプルし,FIRフィルタ処理後に元のサンプリングレートまで(即ち,2倍の変換レートで)アップサンプルする場合(図8(b)),FIRフィルタ処理におけるフィルタタップ数は500次となり(1サンプル当たりの積和演算回数は500+1回),その結果,FIRフィルタ処理における1秒当たりの積和演算回数は,24000(Hz)×501(回/サンプル)=12,024,000回となる。
ここで,前後のダウンサンプル及びアップサンプルの各処理においてLPF処理が必要となる。これをFIRフィルタ処理により実行したとすると,その処理に必要なフィルタタップ数は,前記FIRフィルタ部10に用いられるフィルタタップ数(数百〜数千次)に比べ比較的低次(例えば,〜数十次程度まで)としても音質面での影響は少ない。以下,ダウンサンプル及びアップサンプルの各処理内でのLPF処理の一例として,フィルタタップ数が10次のFIRフィルタを用いる場合を考える。(以下,単にFIRフィルタ処理と表した場合,ダウンサンプル或いはアップサンプルの処理内で行うFIRフィルタ処理ではなく,それらの間で実行される高次数のFIRフィルタ処理(前記FIRフィルタ処理部10による処理)を指すものとする)。この場合,ダウンサンプル及びアップサンプルそれぞれにおいて必要となる積和演算回数が,1秒当たりに48000(Hz)×11(回/サンプル)=528,000回となる。
従って,総積和演算回数は,528,000回+12,024,000回+528,000回=13,080,000回となる。これは,ダウンサンプルを行わない場合の約27(%)の回数であり,積和演算回数が大幅に減少することがわかる。
このように,FIRフィルタ処理の前に信号をダウンサンプルし,FIRフィルタ処理後に元のサンプリングレートまでアップサンプルすることにより,FIRフィルタを用いて音質劣化を防止しながら処理負荷を抑えたLPFを構成することが可能となる。この処理負荷の抑制は,FIRフィルタ処理の正規化カットオフ周波数が0.5を超えない範囲であれば,少なくともFIRフィルタ処理の負荷低減(積和演算回数の低減)については有効であり,その有効な範囲でカットオフ周波数を設計段階で設定すればよい。
また,アップサンプルおよびダウンサンプルを実施する分だけ入力信号と出力信号との間の遅延時間が大きくなるが,その遅延時間は計算可能であるので、許容範囲内となるよう設計すればよい。
さらに,ダウンサンプル及びアップサンプルの段階での音質劣化については,その内部で実行するLPF処理の次数の向上や,カットオフ周波数或いはスロープ特性等の調整によって抑えることができる。例えば,1/2ダウンサンプルの場合は,ナイキスト周波数による正規化周波数が約0.5となるようカットオフ周波数を設定することが一般的であるが,所望のLPF特性を実施するために最終的に実施するFIRフィルタ処理のカットオフ周波数との関係を考慮して,0.5よりも小さい値とすることも考えられる。また,ダウンサンプルよりもアップサンプル処理の方が最終的な音質に直接関連するので,アップサンプル処理のLPF処理の次数(フィルタタップ数)をダウンサンプル処理のそれに比べて大きくすること等も考えられる。
以上示したことにより,従来難しかった100Hz付近の超低周波数帯域にカットオフ周波数を有するLPFも高音質かつ低い処理負荷で実現することが可能となる。
図9は,フィルタ係数を固定したFIRフィルタ処理の前に行うダウンサンプルの変換レートと実現されるカットオフ周波数との関係を表す表である。信号はFIRフィルタ処理後に元のサンプリングレートまでアップサンプルされるものとする。
図9の例は,サンプリングレートが48000Hzである入力信号(デジタル音響信号)に対し,1種類の(1組の)フィルタ係数を用いて前記FIRフィルタ部10の処理を施すことにより,カットオフ周波数が2400Hzとなるフィルタ特性が実現される場合の例である。
この場合,ダウンサンプルの変換レートを1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,1/64,1/128,1/256,…と変化させると,同じ特性(同じフィルタ係数)の前記FIR処理部10を用いた場合でも,実現されるカットオフ周波数は,ダウンサンプルの変換レートに応じて2400Hz,1200Hz,600Hz,300Hz,150Hz,75Hz,37.5Hz,18.75Hz,9.375Hz,…と変化する。
このことから,ダウンサンプルの変換レートとフィルタ係数との組合せを変化させれば,その組合せパターン数に対応した種類のフィルタ特性を実現できることを意味する。
これら3組のフィルタ係数は,各々フィルタ係数パターン0,1,2として区別するものとし,各パターン0,1,2は,入力信号のナイキスト周波数(正規化周波数は1)の0.5倍,0.42倍,0.33倍のカットオフ周波数を実現するフィルタ係数である(フィルタタップ数は,各々100,110,120)。なお,フィルタ係数a(k)(k=0,1,2,…)の値は,一部のみ図示し残りは省略している。
図11は,図10に示した3組のフィルタ係数(フィルタ係数パターン0,1,2)の各々とダウンサンプル及びアップサンプルの各変換レートとの組合せごとに実現されるカットオフ周波数の一例を表す表である。ここで,元の入力信号のサンプリングレートは48000kHz(ナイキスト周波数は24000kHz)である。なお,便宜上,変換レートはダウンサンプルについては(1/2)倍のダウンサンプルを重ねて行う回数,アップサンプルについては2倍のアップサンプルを重ねて行う回数により表している。
図11から,ダウンサンプルの変換レートとフィルタ係数との組合せパターン数に対応した種類のフィルタ特性を実現できることがわかる。
さらに,前記ダウンサンプル部30(ダウンサンプル手段)及び前記アップサンプル部40(アップサンプル手段)のそれぞれについて選択する変換レートと前記FIRフィルタ部10(FIRフィルタ手段)の処理に用いるフィルタ係数とは,パラメータ設定部70により設定される。
このパラメータ設定部70は,利用者により操作される操作部(シートキーや操作ボタン,操作ダイヤル等)を備え,該操作部からの操作内容に従って,前記ダウンサンプル部30及び前記アップサンプル部40に対して変換レートの選択信号を出力し,前記FIRフィルタ部10に対してフィルタ係数の選択信号を出力するものである。
これに対し,前記ダウンサンプル部30及び前記アップサンプル部40は,前記変換レートの選択信号に対応する変換レートで各々ダウンサンプル及びアップサンプルを行う。また,前記FIRフィルタ部10は,前記フィルタ係数の選択信号に対応するフィルタ係数を前記フィルタ係数記憶部20から読み出し,これを用いてFIRフィルタ処理を実行する。
これにより,利用者は,信号のサンプリングレートの変換レートとフィルタ係数との組合せを設定することが可能である。
従って,例えば,ダウンサンプル及びアップサンプルの変換レートを6段階で切り替え可能な場合,3組のフィルタ係数の候補を前記フィルタ係数記憶部20に記憶しておくだけで,6×3=18パターンのフィルタ特性を実現することができる。もちろん,ダウンサンプル及びアップサンプルの各処理を行う分だけそれに要するパラメータのデータサイズが大きくなるが,その増大分以上にFIRフィルタ処理用のフィルタ係数のデータサイズ低減効果が高いため,全体としては大きなメモリ容量低減効果が得られる。
これにより,各種出力先(スピーカ)の特性に応じた複数のフィルタ特性が実現されるよう調整でき,フィルタ係数のデータサイズを抑えながら高い汎用性を確保できる。
なお,以上示した実施形態では,前記アップサンプル部40において,元の信号のサンプリングレートまでアップサンプルする例について示したが,これに限らず,本LPF処理部1の後段で必要とされる信号のサンプリングレートに合わせて,元の信号のサンプリングレート以上(場合によっては元の信号以下)のサンプリングレートまでアップサンプルすることも考えられる。
例えば,本LPF処理部1の後段において,タイムアラインメントにより遅延処理が施される場合,その遅延時間の設定最小単位を小さくするため,遅延処理を施す前にアップサンプル処理を施す場合等が考えられる。このような場合,前記アップサンプル部40で必要とされるサンプリングレートまでアップサンプルすれば,タイムアラインメントにおいて別途アップサンプルする必要がなくなる。但し,以下に示す実施形態では,LPF処理部1は,元の信号のサンプリングレートまでアップサンプルするものとして説明する。
次に,図2の処理ブロック図を用いて,フィルタ処理装置Xが備えるDSPによる実行プログラムの一例であるハイパスフィルタ処理部2(以下,HPF処理部2という)の処理内容について説明する。
このHPF処理部2は,前記LPF処理部1及び前記HPF処理部2を利用してBPF処理を実現するものである。
前述したように,前記BPF処理部1は,入力信号のサンプリングレートを下げる前記ダウンサンプル部30と,前記ダウンサンプル部30の出力信号にFIRフィルタ処理によるローパス処理を施す前記FIRフィルタ部10と,前記FIRフィルタ部10の出力信号のサンプリングレートを前記ダウンサンプル部30への入力信号のサンプリングレートまで上げるアップサンプル部40とを有している。
そして,HPF処理部2は,前記LPF処理部1と,該LPF処理部1における前記ダウンサンプル部30への入力信号を遅延させた信号を出力する遅延部50と,該遅延部50の出力信号から前記HPF部1における前記アップサンプル部40の出力信号を減算した信号を出力する減算部60とを有している。
このように,元の入力信号(デジタル音響信号)からFIRフィルタ処理を行う前記LPF処理部1によりローパス処理が施された信号を減算することで,ハイパスフィルタを構成することができる。前記遅延部50により元の入力信号を遅延させているのは,該遅延部50と並列の信号経路(前記ダウンサンプル部30→前記LPF処理部1→前記アップサンプル部30)におけるローパス処理において生じる信号の遅延と同じだけ遅延させて整合(同期)をとるためである。この遅延時間は,設計段階で計算できるため,前記遅延部50は,入力信号(サンプル)をバッファメモリに一時蓄積し,その遅延時間に対応した過去のサンプルを順次出力すればよい。
本HPF処理部2では,LPF処理にFIRフィルタ処理を用いるので,定遅延特性を有する音質劣化の少ないハイパスフィルタを構成することができる。
また,FIRフィルタ処理が施される信号のダウンサンプルにより処理負荷を大幅に低減することができる。
また,本HPF処理部2においても,前記フィルタ係数記憶部20に,前記FIRフィルタ部10の処理に用いるフィルタ係数の候補が予め複数組記憶されており,前記FIRフィルタ部10は,その候補から選択されたフィルタ係数を用いてFIRフィルタ処理を実行するよう構成されている。
さらに,前記ダウンサンプル部30及び前記アップサンプル部40のそれぞれについて選択する変換レートと前記FIRフィルタ部10の処理に用いるフィルタ係数とは,パラメータ設定部70により設定される。
これにより,前記パラメータ設定部70によって各種出力先(スピーカ)の特性に応じた複数のフィルタ特性が実現されるよう調整でき,フィルタ係数のデータサイズを抑えながら高い汎用性を確保できる。
次に,図3の処理ブロック図を用いて,フィルタ処理装置Xが備えるDSPによる実行プログラムの一例であるバンドパスフィルタ処理部3(以下,BPF処理部3という)の処理内容について説明する(第1の実施の形態)。
このBPF処理部3は,前記LPF処理部1と前記HPF処理部2とを組み合わせてBPF処理を実現するものである。
図3に示すように,BPF処理部3は,前記LPF処理部1によりデジタル音響信号を処理した信号を,前記HPF処理部2により処理するものである。
このように,LPF処理とHPF処理とを直列的に実行する(順次(順不同)実行する)ことにより,「ローパスフィルタの通過帯域<ハイパスフィルタの通過帯域」となるように各フィルタ特性を設定しておけば,BPFを構成することができる。また,ローパスフィルタ処理及びハイパスフィルタ処理のいずれもFIRフィルタ処理を用いるので,音質劣化の少ないBPFを構成することができる。
しかも,このようにFIRフィルタ処理が増えた場合,ダウンサンプルによるFIRフィルタ処理の負荷低減効果がより顕著となる。
また,図4に示すように,前記LPF処理部1と前記HPF処理部2との処理順序を入れ替えたBPF処理部3’としても同様の作用効果を奏する。
また,前記HPF処理部2を用いたBPFの他の構成として,図5に示すBPF処理部3aも考えられる(第2の実施の形態)。
BPF処理部3aは,入力信号のサンプリングレートを下げるダウンサンプル部30aと,該ダウンサンプル部30aの出力信号にFIRフィルタ処理によるローパス処理を施して前記HPF処理部2における前記ダウンサンプル部30へ出力するFIRフィルタ部10aと,前記HPF処理部2における前記減算部60の出力信号のサンプリングレートを前記ダウンサンプル部30aへの入力信号のサンプリングレートまで上げるアップサンプル部40aとを有する。
これは,前記FIRフィルタ部10aによるLPF処理の後に,前記HPF処理部2によるHPF処理を施すものである。この構成は,前記FIRフィルタ部10aへの入力信号のサンプリングレートよりも,前記FIRフィルタ部10への入力信号のサンプリングレートの方が低く設定されている場合に,冗長なダウンサンプル及びアップサンプルを回避できる点で有効である。
例えば,前記FIRフィルタ部10aへの入力信号のサンプリングレートが元の入力信号(前記ダウンサンプル部30aへの入力デジタル音響信号)のサンプリングレートの1/8(1/2のダウンサンプルを3回重ねて実施),前記FIRフィルタ部10への入力信号のサンプリングレートが元の入力信号のサンプリングレートの1/32(1/2のダウンサンプルを5回重ねて実施)と条件設定された場合を考える。
この場合,前記BPF処理部3(又は3’)の場合,「(1/8)倍のダウンサンプル」+「8倍のアップサンプル」+「(1/32)倍のダウンサンプル」+「32倍のアップサンプル」の処理が必要となる。
一方,本BPF処理部3aでは,「(1/8)倍のダウンサンプル」(ダウンサンプル部30a)+「(1/4)倍のダウンサンプル」(ダウンサンプル部30)+「4倍のアップサンプル」(アップサンプル部40)+「8倍のアップサンプル」(アップサンプル部40a)の処理となる。
この例からわかるように,本BPF処理部3aでは,LPF処理におけるFIRフィルタ部10aとBPF処理におけるFIRフィルタ部10との各入力信号のサンプリングレートの差分に相当する冗長なダウンサンプル処理及びアップサンプル処理をなくすことができ効率的である。
さらに,前記各ダウンサンプル部30,30a及び前記各アップサンプル部40,40aのそれぞれについて選択する変換レートと前記各FIRフィルタ部10,10aの処理に用いるフィルタ係数とが,前記パラメータ設定部70により設定される点は前記LPF処理部1及び前記HPF処理部2と同様である。
また,LPF処理におけるFIRフィルタ及びHPF処理におけるFIRフィルタの各入力信号のサンプリングレートが等しい場合は,さらに簡略に簡略な構成のBPF処理部3bを構成することができる(第3の実施の形態)。そのBPF処理部3bの処理ブロックの構成を図6に示す。
BPF処理部3bは,入力信号のサンプリングレートを下げるダウンサンプル部30bと,該ダウンサンプル部30bの出力信号にFIRフィルタ処理によるローパス処理を施すFIRフィルタ部10bと,該FIRフィルタ部10bの出力信号にさらにFIRフィルタ処理によるローパスフィルタ処理を施すFIRフィルタ部10’と,該FIRフィルタ部10’への入力信号を遅延させた信号を出力する遅延部50’と,該遅延部50’の出力信号から前記FIRフィルタ部10bの出力信号を減算する減算部60’と,該減算部60’の出力信号のサンプリングレートを前記ダウンサンプル部30bへの入力信号のサンプリングレートまで上げるアップサンプル部40bとを有している。
これは,前記FIRフィルタ部10bが前記FIRフィルタ部10a(図5)に対応し(LPF用),前記FIRフィルタ部10’が前記FIRフィルタ部10(図2)に対応する(HPF用)ものである。
この場合,前記FIRフィルタ部10bとFIRフィルタ部10’との間におけるダウンサンプル及びアップサンプルが省略されるので,よりシンプルな処理となる。即ち,冗長なダウンサンプル処理及びアップサンプル処理をなくすことができる典型である。
さらに,前記各ダウンサンプル部30’,30b及び前記各アップサンプル部40’,40bのそれぞれについて選択する変換レートと前記各FIRフィルタ部10’,10bの処理に用いるフィルタ係数とが,前記パラメータ設定部70により設定される点は前記LPF処理部1及び前記HPF処理部2と同様である。
LPF処理部1aは,複数チャンネルの各々について異なるフィルタ特性の処理を並行して実行する複数の前記FIRフィルタ部10(FIRフィルタ手段),及びその各々の出力信号のサンプリングレートを元の入力信号(デジタル音響信号)のサンプリングレートまで上げる複数の前記アップサンプル部40を有している。これらFIRフィルタ部10及びアップサンプル部40は,チャンネルごとに異なるCPUを割り当てて実行すること,或いはチャンネル数より少ない(1又は複数の)CPUのマルチタスク処理によって並行処理することが考えられる。
さらに,LPF処理部1aは,入力信号のダウンサンプル処理をDSPに実行させるプログラム(ダウンサンプル手段)として,入力信号(デジタル音響信号)のサンプリングレートを各々異なる変換レートで下げた複数のダウンサンプル信号を出力する複数出力ダウンサンプル部300と,前記パラメータ設定部70により選択された変換レートに応じて前記FIRフィルタ部10それぞれに入力させる前記複数出力ダウンサンプル部300の出力を選択する入力選択部310(前記入力選択手段の一例)とを有している。
このような処理を実行することにより,ダウンサンプル処理を複数の前記FIRフィルタ部10で共用し,ダウンサンプルの冗長をなくして効率的なダウンサンプル処理を実現できる。
例えば,(1/2)倍の変換レートでダウンサンプルを行う前記単位ダウンサンプル処理を3回重ねて実行するだけで,入力されたデジタル音響信号に対し,(1/2)倍,これをさらに(1/2)倍して(1/4)倍及びこれをさらに(1/2)倍して(1/8)倍の各変換レートでダウンサンプルした信号(前記ダウンサンプル信号)と,ダウンサンプルを行わない信号(変換レート=1倍)とを出力することができる。これは,(1/2)倍,(1/4)倍及び(1/8)倍の各変換レートのダウンサンプル処理を個別に行う場合に比べ,冗長がなく効率的である。
このように,デジタル音響信号を複数の変換レートでダウンサンプルした各信号を複数出力するものであれば,複数の前記FIRフィルタ部10でこれを共用できるので,前記FIRフィルタ部10ごとに複数の変換レートの切り替えに対応したダウンサンプル部をそれぞれ用意する(処理を実行する)場合よりも簡易な処理で実現できる。
さらに,前記FIRフィルタ部10による処理を複数実行する場合には,それらが用いるフィルタ係数を共用できる場合も生じるので,フィルタ係数の総データサイズ(容量)のさらなる抑制につながり効率的である。
例えば,FIRフィルタ部は,図13に示したように遅延処理,乗算処理及び加算処理により実現できるため,これらをデジタル電子回路で構成される遅延回路,乗算回路及び加算回路で構成すればよい。同様に,ダウンサンプル部やアップサンプル部における信号の間引き或いは0値補間の処理回路を,入力されるデジタル信号を格納するバッファメモリと該バッファメモリへの信号入力を周期的に遮断するスイッチング回路や周期的に0値信号を補充する回路等により構成してもよい。
2…ハイパスフィルタ(HPF)処理部
3…バンドパスフィルタ(BPF)処理部
10,10’…FIRフィルタ部
20…フィルタ係数記憶部
30,30a,30b…ダウンサンプル部
40,40a,40b…アップサンプル部
50,50’…遅延部
60,60’…減算部
70…パラメータ設定部
300…複数出力ダウンサンプル部
301…単位ダウンサンプル部
302…バッファ
310…入力選択部
Claims (5)
- デジタル音響信号にフィルタ処理を施すフィルタ処理装置において,
複数の候補から選択された変換レートに従って前記デジタル音響信号のサンプリングレートを下げるダウンサンプル手段と,
前記ダウンサンプル手段の出力信号にFIRフィルタ処理によるローパス処理を施すFIRフィルタ手段と,
前記FIRフィルタ手段の処理に用いるフィルタ係数の候補を複数組記憶するフィルタ係数記憶手段と,
複数の候補から選択された変換レートに従って前記FIRフィルタ手段の出力信号のサンプリングレートを上げるアップサンプル手段と,
複数の変換レートの候補及び前記フィルタ係数記憶手段に記憶されている複数組のフィルタ係数の候補の中からの選択により,前記ダウンサンプル手段及び前記アップサンプル手段それぞれにおける変換レートと前記FIRフィルタ手段の処理に用いる前記フィルタ係数との組合せを設定することによって,前記ダウンサンプル手段,前記FIRフィルタ手段及び前記アップサンプル手段による前記デジタル音響信号に対するフィルタ処理のフィルタ特性を変化させるパラメータ設定手段と,
を具備してなることを特徴とするフィルタ処理装置。 - 各々異なるフィルタ特性の処理を並行して実行する複数の前記FIRフィルタ手段及びその各々の出力信号のサンプリングレートを上げる複数の前記アップサンプル手段を具備し,
複数の前記FIRフィルタ手段に共用される複数組のフィルタ係数の候補が前記フィルタ係数記憶手段に記憶され,
前記ダウンサンプル手段が,
前記デジタル音響信号のサンプリングレートを各々異なる変換レートで下げた複数のダウンサンプル信号を出力する複数出力ダウンサンプル手段と,
前記パラメータ設定手段により選択された前記変換レートに応じて前記FIRフィルタ手段それぞれに入力させる前記複数出力ダウンサンプル手段の出力を選択する入力選択手段とを具備してなる請求項1に記載のフィルタ処理装置。 - 前記複数出力ダウンサンプル手段が,前記デジタル音響信号に対してサンプリングレートを下げる単位ダウンサンプル処理を順次重ねて施すとともに前記単位ダウンサンプル処理ごとの処理信号を前記ダウンサンプル信号として出力するものである請求項2に記載のフィルタ処理装置。
- デジタル音響信号にフィルタ処理を施すフィルタ処理方法において,
複数の候補から選択された変換レートに従って前記デジタル音響信号のサンプリングレートを下げるダウンサンプル工程と,
前記ダウンサンプル工程による処理後の信号に複数組の候補から選択されたフィルタ係数を用いてFIRフィルタ処理によるローパス処理を施すFIRフィルタ工程と,
複数の候補から選択された変換レートに従って前記FIRフィルタ工程による処理後の信号のサンプリングレートを上げるアップサンプル工程と,
複数の変換レートの候補及び所定の記憶手段に記憶されている複数組のフィルタ係数の候補の中からの選択により,前記ダウンサンプル工程及び前記アップサンプル工程それぞれにおける変換レートと前記FIRフィルタ工程の処理に用いる前記フィルタ係数との組合せを設定することによって,前記ダウンサンプル工程,前記FIRフィルタ工程及び前記アップサンプル工程による前記デジタル音響信号に対するフィルタ処理のフィルタ特性を変化させるパラメータ設定工程と,
を有してなることを特徴とするフィルタ処理方法。 - デジタル音響信号にフィルタ処理を施す処理をコンピュータに実行させるためのフィルタ処理プログラムにおいて,
複数の候補から選択された変換レートに従って前記デジタル音響信号のサンプリングレートを下げるダウンサンプル工程と,
前記ダウンサンプル工程による処理後の信号に複数組の候補から選択されたフィルタ係数を用いてFIRフィルタ処理によるローパス処理を施すFIRフィルタ工程と
,
複数の候補から選択された変換レートに従って前記FIRフィルタ工程による処理後の信号のサンプリングレートを上げるアップサンプル工程と,
複数の変換レートの候補及び所定の記憶手段に記憶されている複数組のフィルタ係数の候補の中からの選択により,前記ダウンサンプル工程及び前記アップサンプル工程それぞれにおける変換レートと前記FIRフィルタ工程の処理に用いる前記フィルタ係数との組合せを設定することによって,前記ダウンサンプル工程,前記FIRフィルタ工程及び前記アップサンプル工程による前記デジタル音響信号に対するフィルタ処理のフィルタ特性を変化させるパラメータ設定工程と,
をコンピュータに実行させるためのフィルタ処理プログラム。
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