JP2009077198A - 音響再生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】音響再生装置に於いて、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性に大きなピーク/ディップがある場合に、忠実に補正する逆特性フィルタを実現するのは難しい。
【解決手段】第1補正係数保持部3は、フィルタ2或いは両フィルタ2,5の伝達特性が1とした場合の受聴位置13に於ける伝達特性に於けるピーク/ディップの振幅を抑制し得る第1補正係数を、フィルタ係数としてフィルタ2に設定する。第2補正係数保持部5は、切替選択部8がフィルタ2側を選択した際に得られるフィルタ2により実現される周波数振幅特性を加味したスピーカー10から受聴位置13に至るまでの伝達特性の逆特性に基づく第2補正係数を保持しており、第2補正係数をフィルタ係数としてフィルタ5に出力する。切替選択部8がフィルタ5側に切り替わったときに、フィルタ5は、フィルタ2が出力するオーディオ信号との畳み込み演算を処理し、切替選択部8に出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカーから受聴位置までの伝達特性に対応して逆補正し、本来のオーディオ信号を忠実に再現する様に再生特性を改善した音響再生装置に関する。
従来から、テレビ等各種AV機器のオーディオ再生系に於いて、本来のオーディオ信号に忠実な再生を阻害する様々な要因が存在する。例えば、スピーカー前面の構造物として音導管又はパンチング板が存在する場合には、音導管共振に由来するピーク/ディップの発生或いは高域減衰の発生等、忠実性を損ねる音質劣化が生ずる。又、オーディオ再生系が存在する環境も、この忠実性を損なう原因となる場合がある。例えば、AV機器から受聴位置までの音の伝達経路として、直接に受聴位置に届く波と比肩する優勢な反射波が存在する場合、或いは、音波を減衰させる物体(人体)が存在する場合等である。
これに対しては、従来からデジタルフィルタを使用して、スピーカーから受聴位置までの伝達特性を補正して、具体的には伝達空間を含めたスピーカーシステムの音圧及び群遅延特性を平坦化して、本来のオーディオ信号に忠実な音質を得る試みが成されている。
例えば、特許文献1において従来技術として引用されている特許文献2では、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の逆特性に相当する伝達特性に基づいた補正を、非巡回型デジタルフィルタ演算を用いて実施し、受聴位置での音圧周波数特性を補正している。
又、特許文献1に記載の発明は、スピーカー前面の音導管から受聴位置までの伝達特性を逆補正する構成を採用することにより、スピーカーユニット自身の再生特性の影響を排除することを可能とし、ユニット機種変更対応を容易化している。しかも、特許文献1は、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の逆特性に相当する伝達特性の生成を自動化する音響再生装置を開示している。
又、特許文献3に記載の発明は、特定の周波数帯域でベル型特性を有する巡回型デジタルフィルタと、コンボルバとして動作する非巡回型デジタルフィルタとを縦続接続した構成を採用し、非巡回型デジタルフィルタのフィルタ係数長が所定の長さに最適化される様に巡回型デジタルフィルタの特性を設定し、フィルタ規模及び群遅延量を短くして、小型で且つ安価なオーディオ信号処理装置を開示している。
特開平8−228396号公報 特開昭58−50812号公報 特開平8−79879号公報
上記従来の音響再生装置に於いては、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の逆特性に相当する伝達特性を、非巡回型デジタルフィルタを用いて、本来のオーディオ信号との畳み込み演算の実行により補正している。しかしながら、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性に大きなピーク/ディップがある場合には、忠実に補正する様な逆特性フィルタを実現するのは難しい。そのピーク/ディップが、非巡回型デジタルフィルタを構成する有限のタップ数によって特定され、フィルタ係数によって振幅制御が可能な周波数群の、各周波数からずれた周波数領域に生じている場合には、猶更、補正が難しい。
又、上記従来の音響再生装置に於いては、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の逆特性に相当する伝達特性を、実使用環境に於いて自動的に生成可能とする例が提示されているが、実使用環境で実測及び逆特性生成を行うには、回路構成の複雑化と大規模化とを招くことになる。又、使用位置と周囲環境とに合わせて適した補正を行いうるとする反面、テレビ等の一般消費者向け機器の使用者に測定/生成操作を委ねることになり、補正の最適化実現には疑義が残る。
又、上記従来のオーディオ信号処理装置に於いては、特定の周波数帯域でベル型特性を有する巡回型デジタルフィルタと、コンボルバとして動作する非巡回型デジタルフィルタとを縦続接続して構成しており、巡回型デジタルフィルタは非巡回型デジタルフィルタの
規模及び群遅延量を短くして小型且つ安価なものとすることを目的として、存在している。即ち、当該オーディオ信号処理装置は、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性に存在するピーク/ディップを個別に振幅調整するものではない。従って、非巡回型デジタルフィルタに於いて、その大きなピーク/ディップを忠実に補正する様な逆特性フィルタを実現するのは難しいし、そのピーク/ディップが非巡回型デジタルフィルタを構成する有限のタップ数によって特定されてフィルタ係数によって振幅制御が可能な周波数群の各周波数からずれた周波数領域に生じている場合には、猶更、実現が難しい。
本発明の目的は、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性に大きなピーク/ディップがある場合に、又は、そのピーク/ディップが非巡回型デジタルフィルタを構成する有限のタップ数によって特定されてフィルタ係数によって振幅制御が可能な周波数群の各周波数からずれた周波数領域に生じている場合に、非巡回型デジタルフィルタに於いて忠実に補正される様な逆特性フィルタを実現する音響再生装置を得ることにある。
本発明の主題に係る音響再生装置は、入力されたオーディオ信号の伝達特性を可変して第1オーディオ信号を出力する巡回型デジタルフィルタと、前記巡回型デジタルフィルタ2が出力する前記第1オーディオ信号の伝達特性を可変して第2オーディオ信号を出力する非巡回型デジタルフィルタと、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とを切り替えて出力する切替選択部と、前記切替選択部が出力するオーディオ信号を増幅する電力増幅器と、前記電力増幅器が出力するオーディオ信号に基づいて音響放射するスピーカーと、前記切替選択部が前記第1オーディオ信号を出力した際に得られる、前記巡回型デジタルフィルタにより実現される周波数振幅特性を加味した前記スピーカーから受聴位置に至るまでの伝達特性の、逆特性に基づく、少なくとも1種類の補正係数を保持しており、当該補正係数をフィルタ係数として前記非巡回型デジタルフィルタに出力する補正係数保持部とを備えており、前記切替選択部が前記第2オーディオ信号を前記電力増幅器へ出力する様に切り替えられた後に、前記非巡回型デジタルフィルタは、前記補正係数を前記フィルタ係数として用いて、前記第1オーディオ信号との畳み込み演算を処理し、処理後のオーディオ信号を前記第2オーディオ信号として前記切替選択部へ出力することを特徴とする。
以下、この発明の主題の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
本発明の主題によれば、スピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の逆特性に相当する伝達特性を、非巡回型デジタルフィルタを用いて本来のオーディオ信号と畳み込み演算して補正する構成に於いて、巡回型デジタルフィルタを縦列的に組み合わせて、巡回型デジタルフィルタによってスピーカーから受聴位置までの周波数振幅特性の大きなピーク/ディップをある程度抑制した状態で逆特性を求める様にしているので、非巡回型デジタルフィルタに実装するフィルタ係数として、無理の無い、妥当性の高い特性を得易い補正係数を得ることが出来ると言う効果があり、良好な音質改善を提供することが出来る。
又、本発明の主題によれば、非巡回型デジタルフィルタを構成する有限のタップ数によって特定されてフィルタ係数によって振幅制御が可能な周波数群の各周波数からずれた周波数領域に対して、周波数振幅特性の大きなピーク/ディップをある程度抑制した状態で逆特性を求める様にするので、非巡回型デジタルフィルタ単独では調整が困難なピーク/ディップを抑制出来る効果があり、良好な音質改善を提供することが出来る。
又、本発明の主題に係る音響再生装置に於いては、オーディオ信号の帯域を分割した後に合成したオーディオ信号の初期的伝達特性に於けるピーク/ディップをある程度抑制した巡回型デジタルフィルタの周波数振幅特性を加味した伝達特性に基づいて逆特性を求めて、非巡回型デジタルフィルタにより補正するので、オーディオ信号の帯域分割に伴うクロスオーバー箇所の振幅及び位相の不連続さ等の弊害を改善することが出来る。
又、本発明の主題に係る音響再生装置に於いては、巡回型デジタルフィルタ及び非巡回型デジタルフィルタの補正係数を、状況に応じて複数種類保持しうるので、改善効果を享受できる使用状態をより広範囲にすることが出来る。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る音響再生装置の基本構成を示すブロック図である。図1に於いて、巡回型デジタルフィルタ2は、オーディオ信号入力端子1に加えられるオーディオ信号の伝達特性を可変する第1のデジタルフィルタであり、第1補正係数保持部3は、1種類の複数個から成る第1補正係数を保持しており、且つ、巡回型デジタルフィルタ2に対して複数個の第1補正係数の各々を上記フィルタ2用の各フィルタ係数として適宜出力する機能を呈する部分である。そして、第1補正係数入力端子4は、第1補正係数保持部3に対して、上記の複数個から成るフィルタ係数ないしは第1補正係数を第1補正係数保持部3に入力する端子である。又、非巡回型デジタルフィルタ5は、巡回型デジタルフィルタ2が出力する第1オーディオ信号の伝達特性を可変する第2のデジタルフィルタであり、第2補正係数保持部6は、複数種類の複数個から成る第2補正係数を保持しており、且つ、非巡回型デジタルフィルタ5に対して、複数種類の第2補正係数の内から選択された種類の複数個から成る第2補正係数を、上記フィルタ5用のフィルタ係数として適宜出力する機能を呈する部分である。そして、第2補正係数選択端子7は、第2補正係数保持部6に対して、同部6で保持されている複数種類の第2補正係数の中から適切な種類の第2補正係数を指定・選択するための選択信号を、第2補正係数保持部6に入力する端子である。又、切替選択部8は、巡回型デジタルフィルタ2が出力する第1オーディオ信号と非巡回型デジタルフィルタ5が出力する第2オーディオ信号とを切替て、選択されたオーディオ信号を電力増幅器9に出力するセレクタである。尚、上記の各構成要素2,3,5,6,8は、ハードウェア(回路)として実現可能であり、或いは、マイクロコンピュータ又はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等に於いてソフトウェアによって実現可能な部分である。
本装置の音響放射系は、図1に示す通り、スピーカー10、音導管11、及びパンチング板12から成る。尚、参照符号13は、受聴位置を示す。
又、各演算ブロック100,100a,・・・,100nは、第2補正係数保持部6に入力されて保持される各第2補正係数を与える伝達関数を算出する機能部分であり、本装置とは別個に設けられたパーソナルコンピュータ(図示せず。)内に於いてソフトウェアによって処理される工程に該当している。即ち、演算ブロック100は伝達関数H0を有し、演算ブロック100aは伝達関数H0aを有し、演算ブロック100nは伝達関数H0nを有する。又、演算ブロック101は伝達関数H1を有し、演算ブロック102は伝達関数H2を有し、演算ブロック103は伝達関数H3を有し、演算ブロック104は伝達関数H4を有する。
これらの各伝達関数については、伝達関数H1はスピーカー10のみの周波数振幅特性の逆特性に相当し、伝達関数H2は音導管11のみの周波数振幅特性の逆特性に相当し、伝達関数H3はパンチング板12のみの周波数振幅特性の逆特性に相当し、伝達関数H4はパンチング板12の出力端から受聴位置13までの音響空間のみの周波数振幅特性の逆特性に相当するものである。又、伝達関数H0は、スピーカー10から受聴位置13までのトータルの周波数振幅特性の逆特性に相当するものであり、その他の伝達関数H0a,・・・,100nは、伝達関数H0と同じく、スピーカー10から受聴位置13までのトータルの周波数振幅特性の逆特性に相当するが、巡回型デジタルフィルタ2による特性操作を変える機能を呈する伝達関数H0の類似特性に該当する。ここでは、記載の簡単化のため、図1に於いて、伝達関数H0と伝達関数H0aの2種類の特性に基づく第2補正係数が、第2補正係数保持部6に於いて保持されており、第2補正係数保持部6は第2補正係数選択端子7から入力される選択信号に基づいて上記2種類の第2補正係数を切り替えることにより、非巡回型デジタルフィルタ5が、切り替えられたフィルタ係数(第2補正係数)に基づいて、第1オーディオ信号の伝達特性を可変する動作を行うことになる。
ところで、スピーカー10からパンチング板12までの現実の一般的実施形態としては、例えばテレビについて言えば、パンチング板12とはフロントパネルのスピーカー前面部分に当たる多孔性の音響抵抗部であり、音導管11とは、スピーカー10の前面エッジとパンチング板12裏面間を結合する樹脂成型部分であって、スピーカー10とパンチング板12間にある一定容積の前室を形成している。
次に、図1の音響再生装置の動作について記載する。
図2は、スピーカー10を電気音響変換器とする音響再生装置の再生特性の一例を示す図であり、スピーカー10から音導管11及びパンチング板12を含めて受聴位置13に於ける放射音響特性を示している。即ち、図1の構成で言えば、巡回型デジタルフィルタ2の伝達特性を“1”の状態として(伝達特性が“1”の状態とは、デジタルフィルタに入力した信号がそのままフィルタリングを受けずに出力される状態(入力信号:出力信号=1:1)であり、デジタルフィルタを信号経路から除いた状態と遅延以外は等価である。)、切替選択部8が巡回型デジタルフィルタ2側を選択した場合、或いは、巡回型デジタルフィルタ2の伝達特性を“1”の状態とし且つ非巡回型デジタルフィルタ5の伝達特性をも“1”として切替選択部8が非巡回型デジタルフィルタ5側を選択した場合の、受聴位置13に於ける放射音響特性である。図2に示す様に、スピーカー10から放射された音波の振幅波形には、音導管11の共振等に起因するピーク及びディップが発生していることが理解される。
これに対して、図3は、図2に示す受聴位置13に於ける放射音響特性の逆特性を示す図であり、当該逆特性は、図2に示す測定結果に基づいてパーソナルコンピュータ(図示せず。)内に於ける処理工程である演算ブロック100に於いて求められた伝達関数H0による伝達特性である。又、図4は、図3に示す逆特性に基づく第2補正係数を用いて、図1の様に構成された音響再生装置に於いてオーディオ信号を再生したときの受聴特性の一例を示す図である。つまり、図4は、図3に示す伝達関数H0を算出する演算ブロック100によって与えられる種類の複数個から成る第2補正係数の各々を非巡回型デジタルフィルタ5の各フィルタ係数として用いることで、非巡回型デジタルフィルタ5の伝送特性を変化させて、図1に示す構成でオーディオ信号を再生した場合の、受聴位置13に於ける受聴特性に他ならない。ここで、図4中の振幅レベルAOは、所定の周波数帯域に渡って一定値を与える「目標振幅値」である。そして、当該目標振幅値から突出した振幅値が、ピーク及びディップに相当する。尚、スピーカー10の再生能力上及び人の聴感特性上、オーディオ信号に対する補正効果の低い領域、この例では200Hz以下及び10数kHz以上の領域については、補正量を抑えた特性と成っている。
以上の図2乃至図4の例は、理想的に逆特性が求まり、理想的にピーク及びディップの補正が行われた場合を示しているが、実際には、回路規模の制約又は処理遅延時間の制約から、非巡回型デジタルフィルタ5のタップ長を理想的にまで長くすることは出来ない。従って、非巡回型デジタルフィルタ5を構成する有限のタップ数によって逆特性による補正は特定され、フィルタ係数の設定によって振幅制御が可能な周波数点(以下「補正可能点」と言う。)は離散的であり、補正可能点が図2に示す放射音響特性(即ち、図1に於けるスピーカー10から受聴位置13までの伝達特性)のピーク及びディップと適切に一致するとは限らない。例えば、48kHzサンプリング時に256タップの非巡回型デジタルフィルタ5を構成すると、補正可能点は187.5Hz間隔で存在することになる。
ここで記載の便宜上、受聴位置13に於ける放射音響特性を拡大して単純化し、特性上のピークとディップとを数箇所存在させた受聴位置13に於ける放射音響特性の例として、図5(a)及び図6(a)を使用する。図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、補正可能点とピーク/ディップとが適切に一致しており、理想にほぼ近い形で補正が行われる場合を示している。図5(a)、図5(b)及び図5(c)中、横方向は周波数を対数で示しており、縦方向は振幅を示している。参照記号f1乃至f10の各々は、補正可能点を示している。図5(a)は初期的伝達特性(両フィルタ2,5が存在しないとした場合の放射音響特性)を、図5(b)はその初期的伝達特性の逆特性を、図5(c)は逆特性に基づく補正後の伝達特性を示している。図1に於いて、巡回型デジタルフィルタ2が存在しないものとして、非巡回型デジタルフィルタ5によって、理想にほぼ近い形で初期的伝達特性の補正が行われるのであれば、図5(b)に示す逆特性は図5(a)とほぼ対称な形状となり、図5(c)に示す様に、補正後伝達特性は平坦に近い形状と成る。但し、図5(a)に於ける左側ピーク及びディップ部分の様に、急峻な特性変化に対して十分忠実な逆特性を、少ない補正可能点で再現することは難しく、ピーク/ディップを打ち消しきれないことが一般的である。図5(a)に於ける右側ピークの様に複数の補正可能点に渡る部分に対しては忠実な逆特性を導き易く、補正後伝達特性は平坦に近い形状となる。
図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、図5(a)に示す左側ピーク及びディップ部分を補正可能点からずれた周波数に配置した場合を示す図である。左側ピーク及びディップ部分に対しては、その周辺の補正可能点により逆特性を表すこととなるが、ピーク形状の逆特性を忠実に表すことは不可能に近い。結果として、図6(b)に示す様に、周辺の補正可能点によりおおまかな形状の逆特性が表され、図6(c)に示す様に補正可能点からずれた左側ピーク及びディップ部分を十分に抑制することは出来ない。
図7(a)、図7(b)及び図7(c)は、図5(a)、図5(b)及び図5(c)の状況に対して、巡回型デジタルフィルタ2の有する周波数振幅特性によって、振幅値が上記目標振幅値から突出した急峻なピーク及びディップ部分を抑制する場合を示している。そのために、巡回型デジタルフィルタ2の構成としては、例えば図8に示す様な、遅延器20群、係数乗算器21群、及び加算器22から構成される2次IIRフィルタ(Biquadフィルタ)を使用する。そして、図8の2次IIRフィルタが、ピーキングフィルタとして動作する様に、ピーキングフィルタ特性の動作を表す所定の係数(既述した複数個の第1補正係数)を、各係数乗算器21の係数a0、a1、a2、b1及びb2に与えて、ピーキングフィルタを実現する。ここで、「ピーキングフィルタ」とは、例えば図9に示す様に、中心周波数、利得、及びQ(ピークの先鋭度、ピーク幅BWを与える場合もある。)を与えて、任意の周波数に於ける振幅特性にピーク又はディップを作り得るフィルタであり、音響信号の分野では「パラメトリックイコライザ」として使用されている。その結果、図7(a)に於ける太線で示される初期的伝達特性は、巡回型デジタルフィルタ2の周波数振幅特性がピーキングフィルタ特性を有するときに、切替選択部8が巡回型デジタルフィルタ2から出力される第1オーディオ信号を電力増幅部9に出力する様に切替されたときに、上記第1オーディオ信号に基づいてスピーカー10が音響放射を行ったときの、受聴位置13に於ける放射音響特性を示している。
本実施の形態に於ける特徴点の第1は、図1のスピーカー10から受聴位置13までの伝達特性が、図5(a)に示される既述した初期的伝達特性から、図7(a)の太線で示す初期的伝達特性にまで減少させられる様に、その振幅値が上記目標振幅値から突出した急峻なピーク/ディップを抑制可能なピーキングフィルタ係数を、巡回型デジタルフィルタ2に実装する点にある。そのために、図5(a)の初期的伝達特性を参照しながらピーク/ディップを抑制するために、第1補正係数入力端子4を経由して、第1補正係数保持部3に、所望のピーキングフィルタ特性を実現する第1補正係数(複数個より成る。)を、巡回型デジタルフィルタ用フィルタ係数として保持させる。その結果として、第1補正係数保持部3から上記のフィルタ係数を読み込んだ巡回型デジタルフィルタ2は、上記の通りピーキングフィルタとして機能してその特性により、図7(a)に太線で示す様に急峻なピーク/ディップ部分を予め抑制する。そして、本実施の形態に於ける第2の特徴点は、ピーキングフィルタとしての巡回型デジタルフィルタ2により実現される周波数振幅特性を加味した状態で得られるスピーカー10から受聴位置13までの伝達特性に対して、即ち、図7(a)に太線で示す初期的伝達特性に対して演算ブロックの処理工程により逆特性を求めて複数種類の第2補正係数を第2補正係数保持部6に保持させて、最適な種類の第2補正係数を選別し、選別された複数個の第2補正係数をフィルタ係数として非巡回型デジタルフィルタ5に設定する点にある。この様な第1及び第2特徴点を採用する結果、図7(b)に示す様に、補正可能点が粗い部分の逆特性をより忠実な形で導出し易く、図7(c)に示す様に、補正後伝達特性は、図5(c)の場合と比較して、より平坦化され易くなる。
又、図6(a)に示す様に、補正可能点からずれた周波数にピーク/ディップがある場合についても、同様の構成・方法により、図10(a)に太線で示す様に、ピーキングフィルタとして機能する巡回型デジタルフィルタ2の周波数振幅特性によって、予めピーク/ディップを抑制することが出来るので、逆特性としては、図10(b)に示す様に、補正可能点が粗い部分を含めてより忠実な形で逆特性を導出し易く、図10(c)に示す様に、補正後伝達特性は、図6(c)の場合と比較して、より平坦化され易くなるのである。
ここで、図11は、図1の伝達関数H0(スピーカー10から受聴位置13までのトータルの周波数振幅特性の逆特性に相当)を導出するための工程図ないしはアルゴリズムを示す図である。以下、図11を用いて、伝達関数H0の導出方法を記載する。
図11に於いて、オーディオ入力信号200としてインパルス信号を入力すると、遅延器204によって時間Δtだけオーディオ入力信号200を遅延して、入力信号と同じインパルス信号を出力する系があるものとする。この系における出力信号としては、振幅特性が全ての周波数に於いて一定であり、且つ、群遅延特性が一定(位相特性が周波数に対してリニア)な特性が、得られている。振幅特性が一定、即ち、音圧周波数特性が平坦であって且つ位相特性がリニアな音響特性はスピーカーシステムの一つの理想であり、この様な音響特性を非巡回型デジタルフィルタ(FIRフィルタ)5で実現する方法を示す。図11に於いて、補正を行う対象であるターゲットのスピーカーシステムの伝達関数202に対して、あるデジタルフィルタ処理203を掛け合わせた時の信号(逆特性)205と、遅延器204の出力信号206との誤差201が最小と成る様に、適応フィルタ203に於いて適応信号処理を行うことで、ターゲットの伝達関数の逆特性を有する伝達関数H0が同定されると共に、その伝達関数H0を実現するデジタルフィルタ処理203の係数が決定する。実際には、図1に示す聴取位置13にマイクロフォンを設置し、そこで収集した音響特性をターゲットの伝達関数202としてシステム(パーソナルコンピュータ)に与え、デジタルフィルタ処理203に於いて、最小二乗平均(LMS)アルゴリズムを用いて、逆特性を有する伝達関数H0の同定を行う。図1に図示した演算ブロック100とは、伝達関数H0を導出する上記の工程を示したものである。尚、適応信号処理には、最小二乗平均アルゴリズムを用いる他、ターゲットの伝達関数の逆特性を同定出来る手法であれば、あらゆる手法及び構成を選択しても構わない。
図12は、一般的なFIRフィルタを示すブロック図である。図1の非巡回型デジタルフィルタ2は、このFIRフィルタの構成を有する。ここで、FIRフィルタは、N個の遅延器300群と、定数hを乗算する係数乗算器301群と、各係数乗算器301の出力値を加算する加算器302とから構成される。そして、遅延器300と係数乗算器301とを組み合わせた基本要素(タップ)を多段連結する構成を取り、有限個で設定されるタップ数が、周波数領域での特性補正の分解能に相当する。図11のデジタルフィルタ処理203で決定された係数が定数hに相当し、この定数hを第2補正係数保持部6から第2補正係数乃至はフィルタ係数として与えられた図1の非巡回型デジタルフィルタ5が、巡回型デジタルフィルタ2が出力する第1オーディオ信号に対して逆特性の畳み込み演算を行って、図7(c)に例示した様に、聴取位置13での音響特性を補正する。
又、図1のスピーカー10から受聴位置13までの伝達特性は、スピーカー10の音量レベル、配置環境に於ける反射・吸収の影響により、ピーク/ディップの振幅、周波数、及び幅などの現れ方が変化する場合もある。その様な状況変化に合わせて対応出来る様にするために、第1補正係数保持部3(図1に示すセレクタ信号(第1選択信号)SLのレベルに応じて、同部3は、複数種類の第1補正係数の中から適切な1種類の第1補正係数をフィルタ係数として選択する。)、及び、第2補正係数保持部6(図1の端子7に入力される信号を第2選択信号とし、当該第2選択信号のレベルに応じて、同部6は適切な1種類の第1補正係数を選択する。)の両方に於いて、複数種類の補正係数組を保持する構成とし、スピーカー10から受聴位置13までの伝達特性の状況に応じて、第1選択信号SLのレベル及び上記第2選択信号のレベルを逐一設定することで、非巡回型デジタルフィルタ2及び巡回型デジタルフィルタ5の動作特性(周波数振幅特性)を変更して対応する。
(実施の形態2)
図13は、本実施の形態に係る音響再生装置の基本構成を示すブロック図である。図13の音響再生装置が図1の音響再生装置と構成上に於いて相違する点は、図1の装置に対して更に、帯域分割処理部30を巡回型デジタルフィルタ2の前段に挿入したことにある。それ以外は構成上の差は無いので、重複する構成要素の構成・動作の記載を省略する。
図14は、図13の帯域分割処理部30の一構成例を示すブロック図であり、図14の帯域分割処理部30は、入力オーディオ信号の全周波数帯域を低域/中域/高域の3帯域に分割し、帯域毎に異なるリニアリティ補正を行う機能・動作を有している。図14中、LPF30a、LPF30b、HPF30c、HPF30dは、それぞれ、図13の巡回型デジタルフィルタ2(第2巡回型デジタルフィルタ)と同様に、図8のIIRフィルタ構成により実現されるので、これらのフィルタ群30a、30b、30c、30dを巡回型デジタルフィルタ(第1巡回型デジタルフィルタ)30eとして総称する。構成要素30f、30g及び30hは、各帯域用のリニアリティ補正部であり、これらのリニアリティ補正部30f、30g及び30hの各出力が加算器30iで合成され、全帯域のオーディオ信号に戻される。リニアリティ補正の特性としては、例えば図15(a)、図15(b)、図15(c)に示す様に、帯域毎に入出力関係を異なる設定として、入力信号レベルに合わせて意図した音質バランス調整を実施することが出来る。各特性共、斜めの点線上で入出力のレベルが1:1となり、リニアな状態であり、そこから外れている部分では、例えば入出力レベル変化率の圧縮/伸張が行われている。尚、図15(a)、図15(b)、図15(c)の特性に於いては説明のために各特性を異ならせており、これらの特性は実際の使用特性とは必ずしも一致しない。
以上の様に入力したオーディオ信号の周波数帯域を分割して処理を行う場合に、LPF30a、LPF30b、HPF30c、HPF30dにより周波数帯域を分けて帯域毎にリニアリティ補正を行った後に、各帯域のオーディオ信号を加算器30iにより合成することになる。この時の周波数振幅特性を表したのが、図16(a)、図16(b)、図16(c)及び図16(d)である。LPF30aの遮断周波数をfc1に設定することにより図16(a)に示す周波数帯域が低域のオーディオ信号が分離され、LPF30bの遮断周波数をfc2に設定し且つHPF30cの遮断周波数をfc1に設定することにより図16(b)に示す周波数帯域が中域のオーディオ信号が分離され、HPF30dの遮断周波数をfc2に設定することにより図16(c)に示す周波数帯域が高域のオーディオ信号が分離される。各帯域のオーディオ信号に対して所定のリニアリティ補正が行われた後に、リニアリティ補正後の各帯域のオーディオ信号は加算器30iにより合成される。その際、クロスオーバー部分の周波数振幅特性を平坦にするのは難しく、合成後のオーディオ信号の周波数振幅特性に、図16(d)に示す様な振幅変動が生じることになる。又、位相特性について言えば、遮断周波数fc1、fc2の近辺で位相が回る結果となる。これに対しては、帯域分割処理部30が出力する合成波による特性が加味されたスピーカー10から受聴位置13に至るまでの伝達特性を抑制し得る第1補正係数を求めてそれらの第1補正係数を巡回型デジタルフィルタ2のフィルタ係数に設定することにより、巡回型デジタルフィルタ2により実現される周波数振幅特性を加味したスピーカー10から受聴位置13に至るまでの補正後の伝達特性に基づいて演算ブロック100に於いて逆特性を求め、当該逆特性に基づいて非巡回型デジタルフィルタ5による補正を行えば、図16(d)に示す様な上記振幅変動及び位相変動を含めた補正を行い得る。又、その際に、遮断周波数fc1、fc2を非巡回型デジタルフィルタ5の補正可能点に相当する周波数と一致させれば、非巡回型デジタルフィルタ5による補正効果を一層高めることが出来ることは言うまでも無い。
以上、帯域分割処理の一例として、分割した帯域毎にリニアリティ特性を変える処理(所定の信号処理に相当。)について記載したが、本発明は、帯域分割処理としては、この処理のみに限定されるものではない。その他の「所定の信号処理」として、例えば、アナウンスを聞き取り易くする為に、信号中のアナウンスを検出した場合に音声帯域を強調する処理(アナウンス音声帯域の強調)、又は、第2/第3ホルマント周波数を強調して音声明瞭度を向上させる処理(ホルマント強調による音声明瞭度の向上)、又は、背景雑音上昇を検出した時に該当周波数の信号を抑制する処理(背景雑音の低減)等を行っても良い。
尚、本実施の形態に於いても、実施の形態1に於いて記載した作用・効果が同様に得られることは勿論である。
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
本発明は、テレビ等各種AV機器のオーディオ再生系への活用に於いて好適である。そして、その様な活用例に於いて、本発明は、小型薄型化等による機器構造上の条件又は低コスト化による音響性能上の条件が悪化したことによる音質劣化を改善する上で有益である。又、本発明は、帯域分割を伴う音声信号処理と合わせての性能向上に有益である。
本発明の実施の形態1に係る音響再生装置の基本構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の再生特性の一例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の逆特性の一例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の受聴特性の一例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の動作説明に使用する、単純化した放射音響特性の例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の動作説明に使用する、単純化した放射音響特性の他の例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の動作説明に使用する、図5の改善特性を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の巡回型デジタルフィルタの構成例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の巡回型デジタルフィルタにより得られるピーキングフィルタ特性例を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の動作説明に使用する、図7の改善特性を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置に於ける逆特性を導出する構成を示す図である。 実施の形態1に係る音響再生装置の非巡回型デジタルフィルタに適用されるFIRフィルタの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る音響再生装置の基本構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る音響再生装置の帯域分割処理部の構成例を示すブロック図である。 実施の形態2に係る音響再生装置の動作説明に使用する、リニアリティ特性例を示す図である。 実施の形態2に係る音響再生装置の動作説明に使用する、帯域分割と合成特性とについて示す図である。
符号の説明
1 オーディオ信号入力端子、2 巡回型デジタルフィルタ、3 第1補正係数保持部、4 第1補正係数入力端子、5 非巡回型デジタルフィルタ、6 第2補正係数保持部、7 第2補正係数選択端子、8 切替選択部、9 電力増幅器、10 スピーカー、11 音導管、12 パンチング板、13 受聴位置、100,100a,100n 演算ブロック。

Claims (6)

  1. 入力されたオーディオ信号の伝達特性を可変して第1オーディオ信号を出力する巡回型デジタルフィルタと、
    前記巡回型デジタルフィルタが出力する前記第1オーディオ信号の伝達特性を可変して第2オーディオ信号を出力する非巡回型デジタルフィルタと、
    前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とを切り替えて出力する切替選択部と、
    前記切替選択部が出力するオーディオ信号を増幅する電力増幅器と、
    前記電力増幅器が出力するオーディオ信号に基づいて音響放射するスピーカーと、
    前記切替選択部が前記第1オーディオ信号を出力した際に得られる、前記巡回型デジタルフィルタにより実現される周波数振幅特性を加味した前記スピーカーから受聴位置に至るまでの伝達特性の、逆特性に基づく、少なくとも1種類の補正係数を保持しており、当該補正係数をフィルタ係数として前記非巡回型デジタルフィルタに出力する補正係数保持部とを備えており、
    前記切替選択部が前記第2オーディオ信号を前記電力増幅器へ出力する様に切り替えられた後に、
    前記非巡回型デジタルフィルタは、前記補正係数を前記フィルタ係数として用いて、前記第1オーディオ信号との畳み込み演算を処理し、処理後のオーディオ信号を前記第2オーディオ信号として前記切替選択部へ出力することを特徴とする、
    音響再生装置。
  2. 請求項1記載の音響再生装置であって、
    前記巡回型デジタルフィルタは、前記巡回型デジタルフィルタの伝達特性が“1”である場合又は前記巡回型デジタルフィルタ及び前記非巡回型デジタルフィルタの伝達特性が共に“1”である場合に於ける、前記スピーカーから前記受聴位置に至るまでの初期的伝達特性に於いて、目標振幅値から突出した振幅値を取る周波数領域に対して、前記目標振幅値からの振幅値の離れ量を縮小する特性を、前記周波数振幅特性として保有していることを特徴とする、
    音響再生装置。
  3. 請求項1記載の音響再生装置であって、
    前記巡回型デジタルフィルタは、前記巡回型デジタルフィルタの伝達特性が“1”である場合又は前記巡回型デジタルフィルタ及び前記非巡回型デジタルフィルタの伝達特性が共に“1”である場合に於ける、前記スピーカーから前記受聴位置に至るまでの初期的伝達特性に於いて、目標振幅値から突出した振幅値を取る周波数領域の内で、前記非巡回型デジタルフィルタを構成する有限のタップ数によって特定され且つフィルタ係数によって振幅制御が可能な周波数群の各周波数からずれた周波数領域に対して、前記目標振幅値からの振幅値の離れ量を縮小する特性を、前記周波数振幅特性として保有していることを特徴とする、
    音響再生装置。
  4. 請求項2又は3に記載の音響再生装置であって、
    前記入力されたオーディオ信号の周波数帯域を複数の帯域に分割し、帯域毎に当該帯域に属するオーディオ信号に対して所定の信号処理を行った上で前記所定の信号処理後の各オーディオ信号を合成して、合成されたオーディオ信号を前記巡回型デジタルフィルタに出力する帯域分割処理部を更に備えたことを特徴とする、
    音響再生装置。
  5. 請求項4記載の音響再生装置であって、
    前記帯域分割処理部は、前記所定の信号処理として、帯域毎に当該帯域に属するオーディオ信号に対してリニアリティ補正を行った上で、リニアリティ補正後の各オーディオ信号を合成して、合成されたオーディオ信号を前記巡回型デジタルフィルタに出力することを特徴とする、
    音響再生装置。
  6. 請求項2乃至5の何れかに記載の音響再生装置であって、
    複数種類の第1補正係数を保持しており、第1選択信号に応じて前記複数種類の第1補正係数の内から前記巡回型デジタルフィルタのフィルタ係数として前記巡回型デジタルフィルタに設定する第1補正係数を選択・設定する第1補正係数保持部を更に備えており、
    前記補正係数保持部は、複数種類の第2補正係数を保持しており、第2選択信号に応じて前記複数種類の第2補正係数の内から前記非巡回型デジタルフィルタのフィルタ係数として前記非巡回型デジタルフィルタに出力する第2補正係数を選択・出力する第2補正係数保持部を成しており、
    前記スピーカーから前記受聴位置に至るまでの前記初期的伝達特性の状況変化に応じて前記第1選択信号のレベル及び前記第2選択信号のレベルが設定されることを特徴とする、
    音響再生装置。
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