<原理>
本発明に係るイコライザの説明に先立って、本発明の原理を図1乃至図4により説明する。
図1は、伝送路201a,201bによって連結された、送信回路101を含む半導体回路装置100と、受信回路301を含む半導体回路装置300と、を示す図である。なお、半導体回路装置100及び300は、例えばプリント基板(図示せず)上に実装された半導体IC(Integrated Circuit)チップであり、伝送路201a,201bは、例えばプリント基板(図示せず)上のプリント配線である。
送信回路101からは、正論理信号と、正論理信号とは相補的関係にある負論理信号とが出力される。送信回路101からの正論理信号は、正論理側伝送路201aにより受信回路301に伝達され、送信回路101からの負論理信号は、負論理側伝送路201bにより受信回路301に伝達される。本発明は、この受信回路301として機能するイコライザである。
図1では、送信回路101から送出された送信信号(例えばHigh・Low・High…との情報が並んだ信号)と、受信回路301にて受信した受信端信号とが示されている。受信端信号には、伝送路201a,201bで受けたノイズ等の影響により、その波形に鈍りが見られる。
図2は、本発明に係るイコライザの原理を示す回路図である。図2に示すとおり、このイコライザは、ロウパスフィルタ4と、減算部5と、加算部6と、アンプ2とを備える。
また、図3は図2のイコライザの動作原理を示すボード線図(Bode diagram)である。本発明に係るイコライザの動作原理につき、図3を用いて説明を行う。
ロウパスフィルタ4は、受信端1から与えられる受信信号(図3のグラフCH1に示す周波数特性を有する)を受けて、受信信号から高周波成分を除去した信号(図3のグラフCH2に示す周波数特性を有する)を出力する。
減算部5は、ロウパスフィルタ4からの出力信号を受信信号から減算する。これにより、減算部5からの出力信号は、図3のグラフCH3に示す周波数特性を有する。
加算部6は、受信端1からの受信信号と減算部5からの出力信号とを加算する。これにより、加算部6からの出力信号は、図3のグラフCH4に示すように高周波成分が強調された周波数特性となる。そして、アンプ2は、加算部6からの出力信号を増幅して、出力端3に送出する。
このように、図2に示したイコライザによれば、ロウパスフィルタ4からの出力信号(CH2)を受信信号(CH1)から減算して得られる、高周波成分を主成分とする信号(CH3)を受信信号(CH1)に加算し、加算後の信号(CH4)を増幅する。よって、上記特許文献1に記載の技術のように、受信信号の高周波成分のみを増幅して受信信号に加算するイコライザと比較すると、図2のイコライザでは、高周波成分(CH3)のみならず、受信信号(CH1)の低周波成分をも増幅しているので、受信信号のS/N比の低下を抑制することが可能である。
また、図2のイコライザは、ハイパスフィルタではなくロウパスフィルタ4を採用している。ロウパスフィルタは一般的に、伝送路上の抵抗素子と当該抵抗素子の一端に懸架された容量素子とで構成され、伝送路上の抵抗素子の一端と他端とは絶縁していない。よって、受信端1−ロウパスフィルタ4−減算部5−加算部6−アンプ2間の経路に断線が生じていないかどうかの、直流信号による断線テストを容易に行うことができる。
さらに、図2のイコライザでは、加算部6の後の経路にアンプ2を配置している。よって、ロウパスフィルタ4および減算部5を通過して加算部6に到達する信号に、アンプ2による信号遅延は発生せず、加算部6にて演算される受信端1からの受信信号と減算部5からの出力信号との間で両信号の同時性が保たれやすい。よって、送信信号の再現性に優れる。
なお、図2のイコライザよりも簡単な構成で、図2のイコライザと等価な機能を実現可能なイコライザを図4に示す。図4に示すとおり、このイコライザは、ロウパスフィルタ4と、減算部5と、アンプ2とを備え、図2のイコライザから加算部6を省略した構成となっている。
図4のイコライザにおいても、ロウパスフィルタ4が、受信端1から与えられる受信信号(図3のグラフCH1)を受けて、受信信号から高周波成分を除去した信号(図3のグラフCH2)を出力する。ただし、ロウパスフィルタ4における通過帯域の入出力ゲインの値は、1倍よりも小さな値に設定されている。
減算部5は、ロウパスフィルタ4からの出力信号を受信信号から減算する。これにより、減算部5からの出力信号は、図3のグラフCH3に示す周波数特性を有する。ただし、ロウパスフィルタ4における通過帯域の入出力ゲインの値は1倍よりも小さいので、減算部5からの出力信号においては、低周波成分が完全に失われているわけではない。よって、結果的に、減算部5からの出力信号は、高周波成分が強調された周波数特性となる。
そして、アンプ2は、減算部5からの出力信号を増幅して、出力端3に送出する。
図3のグラフCH3およびCH4から分かるとおり、グラフCH3にグラフCH1を加えずとも、グラフCH3において低周波成分が完全に失われていなければ、グラフCH3を増幅することにより、グラフCH4を得ることは可能である。
よって、減算部5からの出力信号に対して加算部6により受信信号を加算しなくとも、減算部5からの出力信号を直接、アンプ2により増幅すれば、主成分たる高周波成分以外の信号成分をも増幅することとなる。
すなわち、上記特許文献1に記載の技術のように、受信信号の高周波成分のみを増幅して受信信号に加算するイコライザと比較すると、図4のイコライザでも、高周波成分のみならず受信信号の低周波成分をも増幅しているので、受信信号のS/N比の低下を抑制することが可能である。
また、図4のイコライザも、ハイパスフィルタではなくロウパスフィルタ4を採用している。よって、受信端1−ロウパスフィルタ4−減算部5−アンプ2間の経路に断線が生じていないかどうかの、直流信号による断線テストを容易に行うことができる。
さらに、図4のイコライザでも、減算部5の後の経路にアンプ2を配置している。よって、ロウパスフィルタ4を通過して減算部5に到達する信号に、アンプ2による信号遅延は発生せず、減算部5にて演算される受信端1からの受信信号とロウパスフィルタ4からの出力信号との間で両信号の同時性が保たれやすい。よって、送信信号の再現性に優れる。
さらに、図4のイコライザによれば、図2のイコライザに比べて加算部6が不要であるので、簡単な回路構成で図2のイコライザと同様の効果を奏することができる。
以下に記述する実施の形態1乃至4では、図4のイコライザに基づいて、より詳細な回路構成の説明を行う。
<実施の形態1>
図5は、受信回路301aとして機能する、本実施の形態に係るイコライザの回路図である。このイコライザも、図4中に示したロウパスフィルタ4及びアンプ2を備えている。また、図5中の加算器51a,51bが、図4の減算部5に相当する。加えて、図5のイコライザは、電圧−電流信号変換部60a,60bおよび抵抗52a,52bをも備えている。なお、加算器51a,51bおよび抵抗52a,52bは、アンプ前段部50を構成する。
本実施の形態においては、正論理信号の伝送路と負論理信号の伝送路とを詳細に示すために、正論理の電圧信号を受信する受信端1aと負論理の電圧信号を受信する受信端1bとを明示しており、これに対応してその後の信号経路も二線で示している。
図5においては、受信端1a,1bにて受信した、正論理及び負論理の電圧信号S1,S2がそれぞれ、ロウパスフィルタ4に入力されるとともに、電圧−電流信号変換部60aにも入力される。
電圧−電流信号変換部60aは、受信した電圧信号S1,S2を、当該電圧信号に正比例した電流信号S6,S7に変換し、変換後の信号をそれぞれ、減算部5たる加算器51a,51bに出力する。
また、電圧−電流信号変換部60bは、ロウパスフィルタ4からの出力電圧信号S4,S5をそれぞれ、当該出力電圧信号に正比例した電流信号S8,S9に変換し、変換後の電流信号S8,S9をそれぞれ、減算部5たる加算器51a,51bに出力する。
加算器51a,51bにおいてはそれぞれ、電圧−電流信号変換部60aからの正論理の電流信号S6及び電圧−電流信号変換部60bからの電流信号S8の足し合わせと、電圧−電流信号変換部60aからの負論理の電流信号S7及び電圧−電流信号変換部60bからの電流信号S9の足し合わせとが行われる。
ここで、加算器51a,51bが減算部として機能することにつき説明する。ロウパスフィルタ4を介した電圧−電流信号変換部60bの入力端においては、正論理の電圧信号S1と負論理の電圧信号S2とが正負逆転して、その正信号入力端(「+」と表示)および負信号入力端(「−」と表示)にそれぞれ電圧信号S5,S4として入力されている。
変換後の電流信号S9,S8の正論理・負論理は、変換前の電圧信号S5,S4と変わらないので、加算器51aにおいては結局のところ、正論理の電流信号S6と負論理の電流信号S8とが加算され、負論理の電流信号S7と正論理の電流信号S9とが加算されることとなる。これはすなわち、受信した電圧信号S1,S2から、ロウパスフィルタ4を通過後の電圧信号S5,S4を、それぞれ減算していることに相当する。
加算器51a,51bでは、後述するように、電流信号から電圧信号S10,S11への再変換が行われる。そして、電圧信号S10,S11はアンプ2の入力端にそれぞれ入力される。アンプ2からの出力信号S13,S14は、それぞれ出力端3a,3bに与えられる。
なお、アンプ2の入力端には、抵抗52a,52bの一端が接続され、抵抗52a,52bの他端には電源電位VDDが与えられている。
このような抵抗52a,52bを導入すれば、抵抗52a,52bの値を適切に設定することにより、アンプ2に入力される信号の強度を調節することが可能であって、受信信号の伝送路の特性に応じてイコライザの周波数特性を設定することができる。
図6は、ロウパスフィルタ4の詳細構成の一例を示す図である。なお、図6のロウパスフィルタについては、符号4aを付して区別する。
ロウパスフィルタ4aは、4つのNchMOSトランジスタ(N-Channel Metal Oxide Semiconductor Transistor)N1a,N2a,N1b,N2bで構成される。
NchMOSトランジスタN1aのドレインまたはソースの一方には正論理の電圧信号S1が与えられる。また、NchMOSトランジスタN1bのドレインまたはソースの一方には負論理の電圧信号S2が与えられる。
NchMOSトランジスタN1aのドレインまたはソースの他方は正論理の電圧信号S5を出力する。また、NchMOSトランジスタN1aのドレインまたはソースの他方は、NchMOSトランジスタN2aのゲートに接続されている。NchMOSトランジスタN1bのドレインまたはソースの他方は負論理の電圧信号S4を出力する。また、NchMOSトランジスタN1bのドレインまたはソースの他方は、NchMOSトランジスタN2bのゲートに接続されている。
また、NchMOSトランジスタN2aのソース及びドレインは短絡されて、接地電位GNDを与えられている。NchMOSトランジスタN2bについても同様に、ソース及びドレインが短絡されて、接地電位GNDを与えられている。
NchMOSトランジスタN1aおよびN1bのゲートには、外部より電圧信号S3が与えられる。電圧信号S3の信号強度は、NchMOSトランジスタN1aおよびN1bの三極管領域(線形領域)にて可変である。
上記の接続構成により、NchMOSトランジスタN2aおよびN2bはいずれも容量素子として機能し、また、NchMOSトランジスタN1aおよびN1bはいずれも可変抵抗素子として機能する。すなわち、ロウパスフィルタ4aは、伝送路上の抵抗素子と当該抵抗素子の一端に懸架された容量素子とで構成された、一般的なロウパスフィルタである。
上述のように、電圧信号S3の信号強度がNchMOSトランジスタN1aおよびN1bの三極管領域にて可変であれば、ロウパスフィルタ4aのカットオフ周波数は可変である。
よって、ロウパスフィルタ4aのカットオフ周波数の値を適切に設定することにより、アンプ2に入力される信号S10,S11の強度を調節することが可能であって、受信信号の伝送路201a,201bの特性に応じてイコライザの周波数特性を設定することができる。
なお、図7は、ロウパスフィルタ4の詳細構成の他の一例を示す図である。図7のロウパスフィルタについては、符号4bを付して区別する。
ロウパスフィルタ4bでは、NchMOSトランジスタN1aおよびN1bのゲートに、電圧信号S3に代わって電源電位VDDが与えられている。この点を除いては、ロウパスフィルタ4bは、図6のロウパスフィルタ4aと同様の構成である。
すなわち、図7のロウパスフィルタ4bでは、カットオフ周波数が固定値となる。よって、NchMOSトランジスタN1aおよびN1bの、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、制御不要のロウパスフィルタを構成可能である。
図8は、受信した電圧信号S1,S2を、当該電圧信号に正比例した電流信号S6,S7に変換可能な電圧−電流信号変換部60a、及び、受信した電圧信号S4,S5を、当該電圧信号に正比例した電流信号S8,S9に変換可能な電圧−電流信号変換部60bの詳細構成の一例を示す図である。
なお、電圧−電流信号変換部60aの入出力ゲインは、受信した電圧信号S1,S2に含まれる信号成分の周波数帯域において一定であり、電圧−電流信号変換部60bの入出力ゲインも、受信した電圧信号S4,S5に含まれる信号成分の周波数帯域において一定である。
また、電圧−電流信号変換部60a,60b間では、入力信号たる電圧信号S1,S2および出力信号たる電流信号S6,S7が、電圧信号S4,S5および電流信号S8,S9に変わるだけであって、その他は同一の回路構成である。よって、図8では電圧−電流信号変換部60aの回路構成のみを示し、電圧−電流信号変換部60bの場合の各信号はカッコ内にて示すこととした。以下の記述においても、図8と同様、電圧−電流信号変換部60bの場合の各信号についてはカッコ内にて示す。
電圧−電流信号変換部60a(60b)は、6つのPchMOSトランジスタP1〜P6および2つのNchMOSトランジスタN3,N4で構成される。
PchMOSトランジスタP5のゲートには正論理の電圧信号S1(負論理の電圧信号S4)が与えられる。また、PchMOSトランジスタP6のゲートには負論理の電圧信号S2(正論理の電圧信号S5)が与えられる。
PchMOSトランジスタP5のソースには、PchMOSトランジスタP1のドレインが接続されている。また、PchMOSトランジスタP6のソースには、PchMOSトランジスタP2のドレインが接続されている。PchMOSトランジスタP1,P2のソースにはともに、電源電位VDDが与えられている。PchMOSトランジスタP1,P2のゲートにはともに、バイアス電位biasが与えられている。
PchMOSトランジスタP3のドレインは、PchMOSトランジスタP4のドレインに接続されるとともに、PchMOSトランジスタP5のソースにも接続されている。また、PchMOSトランジスタP3のソースは、PchMOSトランジスタP4のソースに接続されるとともに、PchMOSトランジスタP6のソースにも接続されている。
PchMOSトランジスタP3のゲートは、PchMOSトランジスタP5のゲートに接続され、PchMOSトランジスタP4のゲートは、PchMOSトランジスタP6のゲートに接続されている。
PchMOSトランジスタP5のドレインは、NchMOSトランジスタN3のドレインに接続されるとともに、NchMOSトランジスタN3のゲートにも接続されている。また、PchMOSトランジスタP6のドレインは、NchMOSトランジスタN4のドレインに接続されるとともに、NchMOSトランジスタN4のゲートにも接続されている。NchMOSトランジスタN3,N4のソースにはともに、接地電位GNDが与えられている。
そして、NchMOSトランジスタN3,N4のドレインにおける各電流In,Ipが、電圧−電流信号変換部60a(60b)からの出力信号たる電流信号S6(S8),S7(S9)となる。
図9は、電圧−電流信号変換部60a(60b)における、入力端PIに入力される電圧信号S1(S4)と、電流In,Ip(すなわち、電流信号S6(S8),S7(S9))との関係を示すグラフである。
図8の回路構成を採用し、PchMOSトランジスタP1〜P6およびNchMOSトランジスタN3,N4の、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、図9に示すように、電圧信号S1(S4)に正比例した、電流In,Ip、すなわち、電流信号S6(S8),S7(S9)を得ることができる。
なお、入力端NIに入力される電圧信号S2(S5)と、電流In,Ip(すなわち、電流信号S6(S8),S7(S9))との関係についても、図9と同様となる。
また、図10は、電圧−電流信号変換部60a(60b)における、電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる周波数成分と、電圧信号S1(S4),S2(S5)と電流信号S6(S8),S7(S9)との間の入出力ゲインとの関係を示すグラフである。
図8の回路構成を採用し、PchMOSトランジスタP1〜P6およびNchMOSトランジスタN3,N4の、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、図10に示すように、電圧−電流信号変換部60a(60b)の入出力ゲインを、受信した電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる信号成分の周波数帯域において一定とすることができる。
このように、上記の電圧−電流信号変換部60a(60b)は、電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる信号成分の周波数帯域において入出力ゲインが一定で、入力される電圧信号S1(S4),S2(S5)を、これに正比例した電流信号S6(S8),S7(S9)に変換し、変換後の電流信号S6(S8),S7(S9)を出力する。
よって、イコライザの動作電源電圧が小さい場合であっても、受信信号をその動作電源電圧に適した信号に縮小化して、イコライザでの信号処理に適した信号に変換することができる。あるいは逆に、受信信号の振幅が小さくて変化に乏しい場合であっても、大きな振幅の信号に拡大化して、イコライザでの信号処理に適した信号に変換することもできる。
図11は、アンプ前段部50の詳細構成を示す図である。なお、図11のアンプ前段部については、符号50aを付して区別する。
アンプ前段部50aは、2つのPchMOSトランジスタP7a,P7bおよび4つのNchMOSトランジスタN5a,N6a,N5b,N6bを一組として、この構成が二組で構成される。このうち、PchMOSトランジスタP7a,P7bおよびNchMOSトランジスタN5a,N5bを一組としてその二組分が、抵抗52aおよび52bのそれぞれを構成し、NchMOSトランジスタN6a,N6bを一組としてその二組分が、加算器51aおよび51bのそれぞれを構成する。
なお、加算器51aは、電流信号S6およびS8を加算して、その結果を電圧信号S10に再変換して出力する。また、加算器51bは、電流信号S7およびS9を加算して、その結果を電圧信号S11に再変換して出力する。
また、抵抗52a,52b間および加算器51a,51b間では、入力信号たる電流信号S6,S8および出力信号たる電圧信号S10が、電流信号S7,S9および電圧信号S11に変わるだけであって、その他は同一の回路構成であるので、図11では、抵抗52aおよび加算器51aの回路構成のみを示し、抵抗52bおよび加算器51bの場合の各信号はカッコ内にて示すこととした。以下の記述においても、図11と同様、抵抗52bおよび加算器51bの場合の各信号についてはカッコ内にて示す。
NchMOSトランジスタN6aのゲートには正論理の電流信号S6(負論理の電流信号S7)が与えられる。また、NchMOSトランジスタN6bのゲートには負論理の電流信号S8(正論理の電流信号S9)が与えられる。NchMOSトランジスタN6a,N6bのソースにはともに、接地電位GNDが与えられている。
NchMOSトランジスタN6aのドレインには、NchMOSトランジスタN5aのソースが接続され、NchMOSトランジスタN6bのドレインには、NchMOSトランジスタN5bのソースが接続されている。また、NchMOSトランジスタN5aのドレインには、PchMOSトランジスタP7aのドレインが接続され、NchMOSトランジスタN5bのドレインには、PchMOSトランジスタP7bのドレインが接続されている。また、PchMOSトランジスタP7a,P7bのソースにはともに、電源電位VDDが与えられている。
PchMOSトランジスタP7a,P7bのドレイン同士も接続されており、このノードでの電圧が、アンプ前段部50aからのアンプ2への出力信号たる電圧信号S10(S11)となる。
PchMOSトランジスタP7aおよびP7bのゲートには、外部より電圧信号S12a(S12b)が与えられる。加えて、NchMOSトランジスタN5aおよびN5bのゲートにも、外部より電圧信号S12a(S12b)の反転信号たる電圧信号/S12a(/S12b)が与えられる。電圧信号S12a(S12b),/S12a(/S12b)の信号強度は、PchMOSトランジスタP7aおよびP7b、並びに、NchMOSトランジスタN5aおよびN5bの三極管領域(線形領域)にて可変である。なお、電圧信号S12は電圧信号S12aおよびS12bで構成される。
上記の接続構成によれば、電圧信号S12a(S12b),/S12a(/S12b)の信号強度がPchMOSトランジスタP7aおよびP7b、並びに、NchMOSトランジスタN5aおよびN5bの三極管領域にて可変であれば、抵抗52a,52bの抵抗値は可変である。
よって、可変抵抗52a,52bの抵抗値を適切に設定することにより、アンプ2に入力される信号S10,S11の強度を調節することが可能であって、受信信号の伝送路201a,201bの特性に応じてイコライザの周波数特性を設定することができる。
なお、図12は、アンプ前段部50の詳細構成の他の一例を示す図である。図12のアンプ前段部については、符号50bを付して区別する。
アンプ前段部50bでは、図11のアンプ前段部50a中のNchMOSトランジスタN5aおよびN5bが省略され、NchMOSトランジスタN6aのドレインとPchMOSトランジスタP7aのドレインとが直接に接続され、NchMOSトランジスタN6bのドレインとPchMOSトランジスタP7bのドレインとが直接に接続されている。
また、PchMOSトランジスタP7aおよびP7bのゲートには、電圧信号S12aに代わって接地電位GNDが与えられている。そして、PchMOSトランジスタP7aおよびP7bが抵抗52c(52d)を構成し、NchMOSトランジスタN6aおよびN6bが加算器51c(51d)を構成する。
それらの点を除いては、図12のアンプ前段部50bは、図11のアンプ前段部50aと同様の構成である。
すなわち、図12のアンプ前段部50bでは、抵抗52c,52dの抵抗値が固定値となる。よって、PchMOSトランジスタP7aおよびP7bの、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、制御不要の抵抗を構成可能である。
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1に係るイコライザの変形例であって、実施の形態1においてロウパスフィルタ4を省略し、代わりに電圧−電流信号変換部60bにロウパスフィルタ機能を持たせたものである。
電圧−電流信号変換部60bを構成するPchMOSトランジスタP1〜P6およびNchMOSトランジスタN3,N4の、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、電圧−電流信号変換部60a(60b)の入出力ゲインを、受信した電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる信号成分の周波数帯域において一定とすることができるのは、図10に示した通りである。
本実施の形態においては、電圧−電流信号変換部60bの入出力ゲインが、受信した電圧信号S4,S5に含まれる信号成分の周波数帯域のうち所定周波数以下の領域においては一定であり、その所定周波数を超える領域では逓減するように、電圧−電流信号変換部60bの各MOSトランジスタの、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を設計する。
その他の点については、実施の形態1に係るイコライザと同様のため、説明を省略する。
本実施の形態によれば、電圧−電流信号変換部60bがロウパスフィルタ4と等価な働きをするので、実施の形態1に係るイコライザと同様に、受信信号のS/N比の低下を抑制することが可能である。
また、実施の形態1に係るイコライザと同様に、電圧−電流信号変換部60bを通過して減算部5に到達する信号に、アンプ2による信号遅延は発生せず、減算部5にて演算される受信信号と電圧−電流信号変換部60bからの出力信号との間で両信号の同時性が保たれやすい。よって、送信信号の再現性に優れる。
また、図4のイコライザと同様に、簡単な回路構成で図2のイコライザと同様の効果を奏することができる。また、電圧−電流信号変換部60bにより、イコライザの信号処理に適した信号に変換することもできる。
<実施の形態3>
本実施の形態も、実施の形態1に係るイコライザの変形例であって、実施の形態1における電圧−電流信号変換部60a,60bに代わって、電圧−電圧信号変換部を採用したものである。
図13は、受信回路301bとして機能する、本実施の形態に係るイコライザの回路図である。このイコライザも、図5中に示した加算器51a,51bと同様の加算器51e,51f、抵抗52a,52bと同様の抵抗52e,52f、ロウパスフィルタ4及びアンプ2を備えている。なお、加算器51e,51fおよび抵抗52e,52fは、アンプ前段部50cを構成する。
ただし、図13のイコライザは、電圧−電流信号変換部60a,60bの代わりに、電圧−電圧信号変換部61a,61bを備える。
電圧−電圧信号変換部61aは、受信した電圧信号S1,S2を、当該電圧信号に正比例した電圧信号S6a,S7aに変換し、変換後の信号をそれぞれ、減算部5たる加算器51e,51fに出力する。
また、電圧−電圧信号変換部61bは、ロウパスフィルタ4からの出力電圧信号S4,S5をそれぞれ、当該出力電圧信号に正比例した電圧信号S8a,S9aに変換し、変換後の電圧信号S8a,S9aをそれぞれ、減算部5たる加算器51e,51fに出力する。
加算器51e,51fにおいてはそれぞれ、電圧−電圧信号変換部61aからの正論理の電圧信号S6a及び電圧−電圧信号変換部61bからの電圧信号S8aの足し合わせと、電圧−電圧信号変換部61aからの負論理の電圧信号S7a及び電圧−電圧信号変換部61bからの電圧信号S8aの足し合わせとが行われる。
加算器51e,51fからは、足し合わせの結果たる電圧信号S10a,S11aが出力される。そして、電圧信号S10a,S11aはアンプ2の入力端にそれぞれ入力される。アンプ2からの出力信号S13,S14は、それぞれ出力端3a,3bに与えられる。
なお、アンプ2の入力端には、抵抗52e,52fの一端が接続され、抵抗52e,52fの他端には電源電位VDDが与えられている。
図14は、受信した電圧信号S1,S2を、当該電圧信号に正比例した電圧信号S6a,S7aに変換可能な電圧−電圧信号変換部61a、及び、受信した電圧信号S4,S5を、当該電圧信号に正比例した電圧信号S8a,S9aに変換可能な電圧−電圧信号変換部61bの詳細構成の一例を示す図である。
なお、電圧−電圧信号変換部61aの入出力ゲインは、受信した電圧信号S1,S2に含まれる信号成分の周波数帯域において一定であり、電圧−電圧信号変換部61bの入出力ゲインも、受信した電圧信号S4,S5に含まれる信号成分の周波数帯域において一定である。
また、電圧−電圧信号変換部61a,61b間では、入力信号たる電圧信号S1,S2および出力信号たる電圧信号S6a,S7aが、電圧信号S4,S5および電圧信号S8a,S9aに変わるだけであって、その他は同一の回路構成であるので、図14では、電圧−電圧信号変換部61aの回路構成のみを示し、電圧−電圧信号変換部61bの場合の各信号はカッコ内にて示すこととした。以下の記述においても、図14と同様、電圧−電圧信号変換部61bの場合の各信号についてはカッコ内にて示す。
電圧−電圧信号変換部61a(61b)は、6つのPchMOSトランジスタP1〜P6および2つのNchMOSトランジスタN3,N4で構成される。
PchMOSトランジスタP5のゲートには正論理の電圧信号S1(負論理の電圧信号S4)が与えられる。また、PchMOSトランジスタP6のゲートには負論理の電圧信号S2(正論理の電圧信号S5)が与えられる。
PchMOSトランジスタP5のソースには、PchMOSトランジスタP1のドレインが接続されている。また、PchMOSトランジスタP6のソースには、PchMOSトランジスタP2のドレインが接続されている。PchMOSトランジスタP1,P2のソースにはともに、電源電位VDDが与えられている。PchMOSトランジスタP1,P2のゲートにはともに、バイアス電位biasが与えられている。
PchMOSトランジスタP3のドレインは、PchMOSトランジスタP4のドレインに接続されるとともに、PchMOSトランジスタP5のソースにも接続されている。また、PchMOSトランジスタP3のソースは、PchMOSトランジスタP4のソースに接続されるとともに、PchMOSトランジスタP6のソースにも接続されている。
PchMOSトランジスタP3のゲートは、PchMOSトランジスタP5のゲートに接続され、PchMOSトランジスタP4のゲートは、PchMOSトランジスタP6のゲートに接続されている。
PchMOSトランジスタP5のドレインは、NchMOSトランジスタN3のドレインに接続されている。また、NchMOSトランジスタN3のゲートには、電源電位VDDが与えられている。また、PchMOSトランジスタP6のドレインは、NchMOSトランジスタN4のドレインに接続されている。また、NchMOSトランジスタN4のゲートには、電源電位VDDが与えられている。NchMOSトランジスタN3,N4のソースにはともに、接地電位GNDが与えられている。
そして、NchMOSトランジスタN3,N4のドレインにおける各電圧NO,POが、電圧−電圧信号変換部61a(61b)からの出力信号たる電圧信号S6a(S8a),S7a(S9a)となる。
図15は、電圧−電圧信号変換部61a(61b)における、入力端PIに入力される電圧信号S1(S4)と、電圧NO,PO(すなわち、電圧信号S6a(S8a),S7a(S9a))との関係を示すグラフである。
図14の回路構成を採用し、PchMOSトランジスタP1〜P6およびNchMOSトランジスタN3,N4の、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、図15に示すように、電圧信号S1(S4)に正比例した、電圧NO,PO、すなわち、電圧信号S6a(S8a),S7a(S9a)を得ることができる。
なお、入力端NIに入力される電圧信号S2(S5)と、電圧NO,PO(すなわち、電圧信号S6a(S8a),S7a(S9a))との関係についても、図15と同様となる。
また、図16は、電圧−電圧信号変換部61a(61b)における、電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる周波数成分と、電圧信号S1(S4),S2(S5)と電圧信号S6a(S8a),S7a(S9a)との間の入出力ゲインとの関係を示すグラフである。
図14の回路構成を採用し、PchMOSトランジスタP1〜P6およびNchMOSトランジスタN3,N4の、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、図16に示すように、電圧−電圧信号変換部61a(61b)の入出力ゲインを、受信した電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる信号成分の周波数帯域において一定とすることができる。
このように、上記の電圧−電圧信号変換部61a(61b)は、電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる信号成分の周波数帯域において入出力ゲインが一定で、入力される電圧信号S1(S4),S2(S5)を、これに正比例した電圧信号S6(S8),S7(S9)に変換し、変換後の電圧信号S6(S8),S7(S9)を出力する。
このように、電流信号ではなく電圧信号に変換する場合であっても、受信信号を縮小化したり、あるいは、大きな振幅の信号に拡大化して、イコライザでの信号処理に適した信号に変換することができる。
図17は、アンプ前段部50の詳細構成を示す図である。なお、図17のアンプ前段部については、符号50cを付して区別する。
アンプ前段部50cは、PchMOSトランジスタP7cおよび2つのNchMOSトランジスタN6c,N6dを一組として、この二組分で構成される。このうち、PchMOSトランジスタP7cの二組分が、抵抗52eおよび52fのそれぞれを構成し、NchMOSトランジスタN6c,N6dを一組としてその二組分が、加算器51eおよび51fのそれぞれを構成する。
なお、加算器51eは、電圧信号S6aおよびS8aを加算して、その結果を電圧信号S10aとして出力する。また、加算器51fは、電圧信号S7aおよびS9aを加算して、その結果を電圧信号S11aとして出力する。
また、抵抗52e,52f間および加算器51e,51f間では、入力信号たる電圧信号S6a,S8aおよび出力信号たる電圧信号S10aが、電圧信号S7a,S9aおよび電圧信号S11aに変わるだけであって、その他は同一の回路構成であるので、図17では、抵抗52eおよび加算器51eの回路構成のみを示し、抵抗52fおよび加算器51fの場合の各信号はカッコ内にて示すこととした。以下の記述においても、図17と同様、抵抗52fおよび加算器51fの場合の各信号についてはカッコ内にて示す。
NchMOSトランジスタN6cのゲートには正論理の電圧信号S6a(負論理の電圧信号S7a)が与えられる。また、NchMOSトランジスタN6dのゲートには負論理の電圧信号S8a(正論理の電圧信号S9a)が与えられる。NchMOSトランジスタN6c,N6dのソースにはともに、接地電位GNDが与えられている。
NchMOSトランジスタN6cのドレインおよびNchMOSトランジスタN6dのドレインにはともに、PchMOSトランジスタP7cのドレインが接続されている。また、PchMOSトランジスタP7cのソースには、電源電位VDDが与えられている。
そして、PchMOSトランジスタP7cのドレインの電圧が、アンプ前段部50cからのアンプ2への出力信号たる電圧信号S10a(S11a)となる。
すなわち、図17のアンプ前段部50cでは、抵抗52e,52fの抵抗値が固定値となる。よって、PchMOSトランジスタP7cの、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を適切に設計することで、制御不要の抵抗を構成可能である。
なお、実施の形態1の場合のように、PchMOSトランジスタP7cのゲートに図5における信号S12を与えて、抵抗52e,52fを可変抵抗としても良い。
また、実施の形態1だけでなく、実施の形態2に係るイコライザに、本実施の形態を適用しても良い。
<実施の形態4>
本実施の形態も、実施の形態1に係るイコライザの変形例であって、実施の形態1における可変抵抗52a,52bの抵抗値を決する電圧信号S12、および、ロウパスフィルタ4aのカットオフ周波数を決する電圧信号S3を、自動的に最適値に生成するものである。
図18に、本実施の形態に係るイコライザを示す。図18に示されているとおり、本実施の形態に係るイコライザは、アンプ2からの出力信号S13およびS14を受けて受信信号S1,S2のビットエラーレートを測定するビットエラーレートテスト回路(BERT:Bit Error Rate Tester)、または、アンプ2からの出力信号S13およびS14を受けて受信信号S1,S2のアイパターンを検出するアイパターン検出器70をさらに備える。
そして、このビットエラーレートテスト回路またはアイパターン検出器70は、可変抵抗52a,52bの抵抗値を調節するための抵抗値調整信号を電圧信号S12として送出し、さらに、ロウパスフィルタ4aのカットオフ周波数を調節するためのカットオフ周波数調整信号を電圧信号S3として送出する。
ブロック70がビットエラーレートテスト回路の場合は、受信信号S1,S2のビットエラーレートが最小となるよう、抵抗値調整信号およびカットオフ周波数調整信号たる出力信号S3およびS12を生成する。また、ブロック70がアイパターン検出器の場合は、受信信号S1,S2のアイパターンが最大面積となるよう、抵抗値調整信号およびカットオフ周波数調整信号たる出力信号S3およびS12を生成する。
よって、可変抵抗52a,52bの抵抗値およびロウパスフィルタ4aのカットオフ周波数を最適に設定することができ、受信信号の伝送路の特性に応じてイコライザの周波数特性を自動的に設定することができる。
なお、本実施の形態においては、ビットエラーレートテスト回路またはアイパターン検出器70が、抵抗値調整信号およびカットオフ周波数調整信号の双方を出力する場合を示したが、いずれか一方のみを出力する構成例であっても良い。
また、実施の形態1だけでなく、実施の形態2または3に係るイコライザに、本実施の形態を適用しても良い。
<実施の形態5>
本実施の形態は、実施の形態1〜4のいずれかに係るイコライザを搭載した半導体装置である。
上記特許文献3の図3、図9および図12においては、インダクタ素子を含むイコライザが示されている。このようなイコライザを半導体装置に実装する場合について考える。
図19は、インダクタ素子を含むイコライザが形成された半導体基板と、その半導体基板を包含するフリップチップパッケージとを含む半導体装置たる、半導体チップの断面図である。この半導体チップは、一方主面にソルダーボールSBが形成されたパッケージ基板Spと、パッケージ基板Spの他方主面の外周に形成されたパッケージリングPRと、パッケージリングPRに接着された放熱板RBを有している。そして、パッケージ基板Sp、パッケージリングPRおよび放熱板RBが、フリップチップパッケージを構成する。
放熱板RBには樹脂RS2を介して、イコライザが形成された半導体基板Ssの一方主面が接着されている。半導体基板Ssの他方主面には層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILの表面には複数のバンプBPが形成されている。複数のバンプBPは、それぞれパッケージ基板Spの所定の部分に電気的に接続されている。なお、複数のバンプBP周辺、および、層間絶縁膜ILの表面近傍には、樹脂RS1が形成されており、複数のバンプBPとパッケージ基板Spとの接続が強固になるようにされている。
図20は、イコライザが形成された半導体基板Ssの、層間絶縁膜IL形成側主面から見た上面図である。また、図21は、図20中の切断線XXI-XXIにおける断面図である。
図20、図21に示すように、半導体基板Ssの表面にはイコライザEQが形成されている。そして、半導体基板Ss表面およびイコライザEQを覆うように、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILの表面には導電性のパッドPDが形成され、このパッドPDにそれぞれ、バンプBPが形成されている。なお、パッドPDとイコライザEQとは、層間絶縁膜IL中の配線WRにより電気的に接続されている。
イコライザEQには、リング状のインダクタ素子IDが含まれている。インダクタ素子IDは、回路動作時に磁界MFを発生する。インダクタ素子IDを用いたイコライザEQの場合、フリップチップパッケージを採用すると、インダクタ素子IDの発生する磁界MFがフリップチップパッケージのバンプBPと干渉してしまい、イコライザEQの周波数特性が変動してしまう。また、同一パッケージ内に複数のイコライザEQを配置する場合、イコライザEQ内のインダクタ素子IDとバンプBPとの位置関係により、各イコライザEQの回路特性にバラツキが発生しやすい。
本実施の形態に係る半導体装置においては、実施の形態1〜4のいずれかに係るイコライザを搭載するため、イコライザにはインダクタ素子が含まれない(図6および図7のロウパスフィルタの構成を参照)。よって、インダクタ素子を含むイコライザを半導体装置に実装する場合に生じる、上記のような問題は、本実施の形態に係る半導体装置において生じない。
図22は、本実施の形態に係る半導体装置が有する半導体基板の上面図である。また、図23は、図22中の切断線XXIII-XXIIIにおける断面図である。図22および図23中の各符号は、図20および図21において示したものと同様であるので、それらの説明は省略する。
図22および図23においては、イコライザEQ内にインダクタ素子IDは形成されていない。そして、このイコライザEQは、実施の形態1〜4のいずれかに記載のイコライザである。すなわち、半導体基板Ssの表面には、図6および図7のロウパスフィルタ4aおよび4bのように、インダクタ素子を有しないイコライザEQが形成されている。そして、パッケージ基板Sp、パッケージリングPRおよび放熱板RBで構成されるフリップチップパッケージが、半導体基板Ssを包含している。
よって、インダクタ素子を用いたイコライザならば、フリップチップパッケージを採用すると、インダクタ素子の発生する磁界が、イコライザの周波数特性を変動させてしまうといった問題や、イコライザ内のインダクタ素子とバンプとの位置関係により、イコライザの回路特性にバラツキが発生しやすいといった問題があるが、本発明では、イコライザEQにインダクタ素子が含まれないので、このような問題は生じない。また、インダクタ素子が含まれないので、回路レイアウト面積増大の問題も生じない。
<実施の形態6>
本実施の形態も、実施の形態1に係るイコライザの変形例であって、実施の形態1における受信端1a,1bとアンプ2の入力端との間に、キャパシタを設けたものである。
図24は、受信回路301cとして機能する、本実施の形態に係るイコライザの回路図である。このイコライザも、図5中に示した加算器51a,51b、抵抗52a,52b、電圧−電流信号変換部60a,60b、ロウパスフィルタ4及びアンプ2を備えている。
さらに図24のイコライザは、正論理信号の伝送路および負論理信号の伝送路のそれぞれにおいて、受信信号S1,S2をそれぞれ受ける一方電極と、アンプ2に入力される信号S10,S11をそれぞれ受ける他方電極とを有するキャパシタCPa,CPbを備える。
このようなキャパシタCPa,CPbを設ければ、キャパシタCPa,CPbがそれぞれ、受信信号の高周波成分をアンプ2に伝達するバイパスとして機能するので、イコライザの高周波特性を向上させることができる。
また、実施の形態1だけでなく、実施の形態2〜5に係るイコライザに、本実施の形態を適用しても良い。
<変形例>
上記実施の形態1乃至6においては、図4のイコライザに基づいて説明を行った。しかし、図2のイコライザにおいても、上記実施の形態1乃至6の場合と同様に構成することができる。
すなわち、実施の形態1を図2のイコライザに適用する場合には、実施の形態1に係る図5の回路において、加算器51a,51bの後段であって、抵抗52a,52bの前段に、それぞれ他の加算器(図示せず、なお、これらが加算部6に相当する)を設ける。さらに、減算部5たる加算器51a,51bのみならず、これら他の加算器にも電圧−電流信号変換部60aからの出力信号S6およびS7を与える。そして、加算部6たる他の加算器では、減算部5たる加算器51a,51bからの出力信号と電圧−電流信号変換部60aからの出力信号S6およびS7との加算を行い、その結果をアンプ2に入力するのである。
また、実施の形態2を図2のイコライザに適用する場合には、実施の形態1を図2のイコライザに適用する上述の構成から、ロウパスフィルタ4を削除すればよい。そして、実施の形態2の場合と同様、電圧−電流信号変換部60bの入出力ゲインが、受信した電圧信号S1(S4),S2(S5)に含まれる信号成分の周波数帯域のうち所定周波数以下の領域においては一定であり、その所定周波数を超える領域では逓減するように、電圧−電流信号変換部60bの各MOSトランジスタの、ゲートサイズやチャネル領域の不純物注入量等を設計すればよい。
また、実施の形態3を図2のイコライザに適用する場合には、実施の形態1または2を図2のイコライザに適用する上述の構成において、電圧−電流信号変換部60a,60bを実施の形態3に記載の電圧−電圧信号変換部61a,61bに変更すればよい。
また、実施の形態4を図2のイコライザに適用する場合には、実施の形態1または2を図2のイコライザに適用する上述の構成において、実施の形態4に記載のビットエラーレートテスト回路またはアイパターン検出器70を追加すればよい。
また、実施の形態5を図2のイコライザに適用する場合には、実施の形態1または2を図2のイコライザに適用する上述の構成において、実施の形態5に記載のフリップチップパッケージを有する半導体装置を採用すればよい。
また、実施の形態6を図2のイコライザに適用する場合には、実施の形態1または2を図2のイコライザに適用する上述の構成において、実施の形態6に記載のキャパシタCPa,CPbを追加すればよい。
上記のように構成することで、図2のイコライザにおいても、上記実施の形態1乃至6の各場合と同様の効果を得ることができる。
1 受信端、2 アンプ、4 ロウパスフィルタ、5 減算部、6 加算部、60a,60 電圧−電流信号変換部、61a,61b 電圧−電圧信号変換部、52a〜52f 抵抗、70 ビットエラーレートテスト回路またはアイパターン検出器、EQ イコライザ、Ss 半導体基板、CPa,CPb キャパシタ。