JP2004064241A - デジタル遅延回路及びそれを利用したステレオ音場演算回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】任意の単位サンプル以下の遅延を段階的に得る。
【解決手段】端子20からの入力信号X[n]が切替え手段24の入力0と、単位サンプル遅延器21と、切替え手段25の入力0に入力する。単位サンプル遅延器21を介した1サンプルディレーの信号X[n−1]が切替え手段24と25の入力1に入力される。さらに単位サンプル遅延器22を介して2サンプルディレーの信号X[n−2]が切替え手段24と25の入力2に入力され、さらに単位サンプル遅延器23を介して3サンプルディレーの信号X[n−3]が切替え手段24と25の入力3に入力される。そして切替え手段24と25の出力が、夫々重み付け係数A生成手段26と、重み付け係数B生成手段27に入力され、夫々の信号に重み付け係数A及びBを施し、その出力が、加算器28で加算されて端子29より信号Y[n]として出力される。
【選択図】 図2
【解決手段】端子20からの入力信号X[n]が切替え手段24の入力0と、単位サンプル遅延器21と、切替え手段25の入力0に入力する。単位サンプル遅延器21を介した1サンプルディレーの信号X[n−1]が切替え手段24と25の入力1に入力される。さらに単位サンプル遅延器22を介して2サンプルディレーの信号X[n−2]が切替え手段24と25の入力2に入力され、さらに単位サンプル遅延器23を介して3サンプルディレーの信号X[n−3]が切替え手段24と25の入力3に入力される。そして切替え手段24と25の出力が、夫々重み付け係数A生成手段26と、重み付け係数B生成手段27に入力され、夫々の信号に重み付け係数A及びBを施し、その出力が、加算器28で加算されて端子29より信号Y[n]として出力される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば第1及び第2の無指向性マイクロホンからの第1及び第2の音声信号を合成して、有指向性のステレオ音場信号を生成するようにしたステレオマイクロホン装置に使用して好適なデジタル遅延回路及びそれを利用したステレオ音場演算回路に関する。詳しくは、単位遅延手段よりの出力を合成することにより、段階的に信号遅延を発生させるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル信号処理で信号遅延回路を構成する場合には、例えば以下のような方法がある。
1/通常のサンプリング間隔でデータをシフトする方法
2/オーバーサンプリングにより任意のサンプリング点にデータ補間する方法
3/フィルタによる方法
【0003】
ここで、1による方法は、メモリー等により容易に実現できるが、得られる遅延量がサンプリング間隔毎であり、サンプリングより細かな遅延が得られない問題がある。また、2による方法では、オーバーサンプリングにより再サンプリングして、その再サンプリング点でデータ生成し直すために、任意の遅延が得られるものであるが、回路規模が増大する問題がある。
【0004】
さらに3による方法は、フィルタの種類によりFIRフィルタとIIRフィルタがあり、FIRフィルタは直線位相特性をもつフィルタを構成できるが、振幅特性は周波数依存があり一定にはならず、フィルタ係数により遅延時間と振幅特性は大きく左右されやすい。また、IIRフィルタはAPF(All Pass Filter )が構成でき、振幅特性は一定になるが、位相特性は直線位相特性にはならず、全帯域において一定の遅延を段階的に得ることが難しい問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでビデオカメラの内蔵マイクロホン(以下マイクと略す)でステレオ音場を生成する技術は、登録特許第2946638号が一般的である。このステレオ音場生成の基本的な考え方は、複数の無指向性マイクロホン(以下マイクと略す)を用いて、音声帯域の高域側はキャビネット形状とマイク間隔によりステレオ感を得、低域側はL、R信号の位相差から先願による回路にてステレオ感を得るようにするものである。ここで音声帯域の高域側と低域側の分割は所定のLPFによって行われ、このLPFのカットオフ周波数と遅延時間はマイク間隔に依存するものである。
【0006】
ところが近年のビデオカメラは小型化により、上述のマイク間隔は狭まる一方で、例えばマイク間隔が10mmの場合には、前記LPFのカットオフ周波数は約18kHzとなり、ほぼ音声帯域全域にわたって回路によるステレオ音場演算を施すことが必要である。この場合のマイク間隔による信号遅延は29μS であり、この遅延がほぼ音声帯域全域で必要になるが、従来のLPFやAPFではこの条件に合う一定の信号振幅と遅延特性が得られなくなってきている。
【0007】
この出願はこのような点に鑑みて成されたものであって、解決しようとする問題点は、従来の装置で、例えばマイク間隔が10mmの場合には、このマイク間隔による信号遅延は29μS であり、この遅延がほぼ音声帯域全域で必要になり、従来のLPFやAPFではこの条件に合う一定の信号振幅と遅延特性が得ることができなかったというものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため本発明においては、上述の1と3を組み合わせた方法により、デジタル信号処理で信号遅延回路を構成するようにしたものであって、これによれば、容易にサンプリング間隔以下の信号遅延を段階的に得ることができ、回路規模が増大せず、さらに従来のLPFによるSN比、位相特性の悪化が少ない遅延回路を得ることができる。従ってこの装置を、例えばビデオカメラのステレオ音場演算回路に応用することにより、各種モデル毎に異なるマイク間隔に合った遅延が得られ、従来よりも最適なステレオ音場が生成されるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明においては、デジタル信号を遅延する単位遅延手段と、デジタル信号を選択して出力する複数の信号切替え手段と、信号切替え手段よりの信号に重み付け係数を施す重み付け係数生成手段と、重み付け係数生成手段よりの出力を加算する合成手段とを有し、重み付け係数生成手段における係数を可変することにより、段階的に信号遅延を発生するものである。
【0010】
また、本発明においては、デジタル信号を遅延する単位遅延手段と、デジタル信号を選択して出力する複数の信号切替え手段と、信号切替え手段よりの信号に重み付け係数を施す重み付け係数生成手段と、重み付け係数生成手段よりの出力を加算する合成手段とを有し、重み付け係数生成手段における係数を可変することにより、段階的に信号遅延を発生するデジタル遅延回路を利用してステレオ音場の演算を行うものである。
【0011】
以下、図面を参照して本発明を説明するに、本発明はデジタル信号処理における簡易的な信号遅延回路の発明であるため、使用目的やアプリケーションを選ばないが、特にビデオカメラのステレオ音場演算用途において好適であるため、以下はこの応用例にて説明する。
【0012】
まず図1に登録特許第2946638号によるステレオ音場演算回路を示す。まずマイク1及び2から夫々Rch及びLch音声信号が入力し、AMP3及び4により信号レベルを最適化し、Rch信号は加算器9の+端子と一般的にはLPFで構成される遅延器DL5に入力される。同様にLch信号は加算器10の+端子と遅延器DL6に入力される。
【0013】
これらの遅延器DL5及び6で遅延を施された音声帯域の低域成分が、夫々減衰器ATT7及び8でレベルを適正化し、加算器10及び9の−端子に入力される。加算器9及び10では、互いのチャンネルよりの低域成分信号、つまり遅延器DL5及び6で設定されるLPFのカットオフ周波数以下の信号を減算することによりマトリクス処理が行われ、LPFの通過帯域においてステレオ音場が再現される。
【0014】
さらに加算器9及び10の出力は、フィルタ回路で構成されるイコライザEQ11及び12で周波数特性が整えられて端子13及び14よりRch及びLch信号として出力される。
【0015】
ところで先願のステレオ演算処理は、マイク1と2のマイク間距離が、一例で30mmにおいては、遅延器DL5及び6で設定されるLPFのカットオフ周波数は約6kHzとなり、これ以下の周波数帯域は上述のステレオ演算回路にて、これ以上の周波数帯域においてはマイク間距離とそれが実装されるキャビネット形状により空間的にステレオ演算が成されている。
【0016】
しかし近年の商品の小型化により、上述のマイク間距離は狭められて、例えばマイク間距離が10mmにおいては、カットオフ周波数は約18kHzとなり、ほぼ音声帯域全域において回路による電気的なステレオ演算処理が必要になる。ここで遅延器DL5及び6で必要とされる遅延量は、常温における音速を340m/sとして、マイク間距離が30mmにおいては約88μsであり、10mmにおいては約29μsである。
【0017】
さらに遅延器DL5及び6では通過帯域内で振幅と遅延が一定であることが望まれる。しかしながら従来は、これをLPFやAPFで構成していたために、一定振幅と直線位相(一定遅延)の両者が同時に満足するフィルタ係数の選択が難しく、さらに図1をデジタルLSI化するためには、さまざまなマイク間距離に対応する必要が生じ、容易に任意の遅延が得られることが望まれていた。
【0018】
そこで図2に、本発明のデジタル遅延回路の一実施形態のブロック図を示し、これを説明する。図2において、端子20より入力信号X[n]が入力するが、このnはサンプリング間隔の時間を表わし、入力信号X[n]はnサンプル目の入力信号である。
【0019】
次に入力信号X[n]は切替え手段24の入力0と、単位サンプル遅延器21と、切替え手段25の入力0に入力する。単位サンプル遅延器21は、メモリーやフリップフロップで構成され、入力信号X[n]が入力すると1サンプル後に、同信号が信号X[n−1]として出力され、1サンプルディレーがなされる。そしてこの信号X[n−1]が前記切替え手段24と25の入力1に入力される。
【0020】
さらに単位サンプル遅延器22を介して2サンプルディレーの信号X[n−2]が前記切替え手段24と25の入力2に入力され、さらに単位サンプル遅延器23を介して3サンプルディレーの信号X[n−3]が前記切替え手段24と25の入力3に入力される。そして前記切替え手段24と25の出力が、夫々重み付け係数A生成手段26と、重み付け係数B生成手段27に入力され、夫々の信号に重み付け係数A及びBを施し、その出力が、加算器28で加算されて端子29より信号Y[n]として出力される。
【0021】
ここで図2の動作を、図3に示す表1の遅延例と、図4のレベル−周波数特性例と、図5の遅延−周波数特性例でさらに詳細に説明する。尚、図4と図5はサンプリング周波数Fsが32kHzの例で説明する。また、図2の遅延例では遅延量〔DL0〕から〔DL9〕までの10ステップの遅延を生成しており、ステップは容易に選択可能である。
【0022】
そこでまず〔DL0〕は切替え手段24及び25を入力0に接続し、つまり入力信号X[n]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n]と同じになり遅延が施されない出力が得られる。
【0023】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL0〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL0〕で示し、遅延は0μS一定である。
【0024】
次に〔DL1〕は切替え手段24を入力0に接続し、つまりX[n]を選択し、切替え手段25を入力1に接続し、つまりX[n−1]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数2/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数1/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0025】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL1〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL1〕で示し、遅延は低域で10μS一定であり高域で〔DL0〕に近づく特性を示す。
【0026】
同様に〔DL2〕は切替え手段24を入力0に接続し、つまりX[n]を選択し、切替え手段25を入力1に接続し、つまりX[n−1]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数1/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数2/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0027】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL2〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL2〕で示し、遅延は低域で21μS一定であり、高域で〔DL3〕に近づく特性を示す。
【0028】
同様に〔DL3〕は切替え手段24及び25を入力1に接続し、つまり信号X[n−1]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n−1]と同じ1サンプル遅延の出力が得られる。
【0029】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL3〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL3〕で示し、遅延は31μS一定である。
【0030】
次に〔DL4〕は切替え手段24を入力1に接続し、つまり信号X[n−1]を選択し、切替え手段25を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数2/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数1/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0031】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL4〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL4〕で示し、遅延は低域で42μS一定であり、高域で〔DL3〕に近づく特性を示す。
【0032】
同様に〔DL5〕は切替え手段24を入力1に接続し、つまり信号X[n−1]を選択し、切替え手段25を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数1/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数2/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0033】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL5〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL5〕で示し、遅延は低域で52μS一定であり、高域で〔DL6〕に近づく特性を示す。
【0034】
同様に〔DL6〕は切替え手段24及び25を入力1に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n−2]と同じ2サンプル遅延の出力が得られる。
【0035】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL6〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL6〕で示し、遅延は63μS一定である。
【0036】
次に〔DL7〕は切替え手段24を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、切替え手段25を入力3に接続し、つまり信号X[n−3]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数2/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数1/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0037】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL7〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL7〕で示し、遅延は低域で73μS一定であり、高域で〔DL6〕に近づく特性を示す。
【0038】
同様に〔DL8〕は切替え手段24を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、切替え手段25を入力3に接続し、つまり信号X[n−3]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数1/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数2/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0039】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL8〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL8〕で示し、遅延は低域で83μS一定であり、高域で〔DL9〕に近づく特性を示す。
【0040】
同様に〔DL9〕は切替え手段24及び25を入力3に接続し、つまり信号X[n−3]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n−3]と同じ3サンプル遅延の出力が得られる。
【0041】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL9〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL9〕で示し、遅延は94μS一定である。
【0042】
このように本発明では、所定の単位サンプル遅延器と、所定の切替え手段と、数種類の重み付け係数を有する重み付け係数生成手段と、信号を合成する加算器を用いて、前記単位サンプル遅延器の個数と前記重み付け係数を変えることにより任意の信号遅延が段階的に得られるものである。従って図2に示す表1の遅延例においては、前述のマイク間距離が30mmの場合には〔DL8〕もしくは〔DL9〕を選択し、またマイク間距離が10mmの場合には〔DL3〕を選択することができる。
【0043】
さらに本発明の遅延器を利用したステレオ音場演算ブロック例を図6に示し、説明するが、図1と同機能のブロックは同一参照番号を付し、説明を省略する。
【0044】
図6のステレオ音場演算ブロックは、図1に対して音声帯域を帯域2分割した例を示している。まずマイク1及び2からの音声信号はAMP3及び4を経て、夫々のチャンネル毎に後述する帯域分割手段30〜33により帯域1と2に分割される。尚、Lch及びRchの帯域1と2はそれぞれ同じ周波数帯域に設定している。
【0045】
そして帯域分割された信号は各チャンネルの帯域毎に、上述の本発明のデジタル遅延回路で構成された遅延手段DL40〜43と減衰手段ATT50〜53を経て、チャンネル毎に加算器60及び61によりすべての帯域が加算されて、図1と同様に加算器9及び10によりマトリックス処理が行われる。
【0046】
また図7の帯域分割例を用いて図6の帯域分割手段について説明する。図7(a)はBPFによる帯域分割例であり、図6の帯域分割1と2を、たとえば帯域Band1、Band2のように各BPFで分割する。また図7(b)はLPFによる帯域分割例であり、帯域Band1はLPF1により生成され、帯域Band2はLPF2からLPF1を減算するようにして生成される。
【0047】
そして前記帯域Band1と帯域Band2は、例えば図1におけるステレオ音場演算ブロックにおけるDLを構成するLPFのカットオフ周波数付近以下の帯域と以上の帯域に分割すれば、マイク間距離に依存するステレオ処理を低域と高域に分けて最適化することができる。さらに図6のDLのような例えば図4及び図5の特性例における〔DL1〕、〔DL2〕、〔DL4〕、〔DL5〕、〔DL7〕、〔DL8〕時の高域におけるLPF特性に起因するレベル減衰や、遅延ずれについて補うように、低域と高域に分けて最適化することが出来る。
【0048】
すなわち例えば図6の実施形態によれば、帯域1と2毎に遅延器DLとATTが設けられているため、上述のレベル減衰による影響をATTにより、遅延ずれによる影響を遅延器DLで補うことができ、これらを帯域毎に最適化することにより音声帯域全体にわたって良好なステレオ音場特性を得ることができる。なお、図6においては音声帯域を2分割した場合について説明したが、帯域分割数は任意でかまわない。
【0049】
以上述べたように、本発明においては、従来の遅延回路と比較してレベル−周波数特性と、遅延−周波数特性の両方に大きな特性ずれがない、任意の遅延時間を有する遅延回路を小さな回路規模で容易に構成することができるものである。
【0050】
そしてこの装置を、例えばビデオカメラのステレオ音場演算回路に応用することにより、各種モデル毎に異なるマイク間隔に合った遅延が得られ、従来よりも最適なステレオ音場が生成されるものである。
【0051】
なお本発明は、上述の説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
【0052】
【発明の効果】
従って請求項1の発明によれば、任意の単位サンプル以下の遅延を含めて、単位サンプル以上の遅延を段階的に得ることができる。また回路規模は小さく、必要な重み付け係数の種類も少ないため容易に実現可能である。またサンプリング周波数が変わっても同様に任意の遅延が得られる。
【0053】
また、請求項2の発明によれば、従来のステレオ音場演算に使われていたLPFは、位相特性(遅延特性)に優れるが振幅特性が悪く、またAPFは逆に振幅特性に優れるが位相特性(遅延特性)が悪かったものを、本発明の遅延回路によれば、この振幅特性と位相特性の両者が満足できる特性が、マイク間距離に合わせて任意に得られ、最適なステレオ音場演算処理が実現できる。
【0054】
また、請求項3の発明によれば、請求項2のステレオ音場演算処理において音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、回路で音場生成する低域周波数と、キャビネット形状の影響を受けやすい高域周波数で最適なステレオ感や周波数特性が得られる。
【0055】
さらに請求項3の発明によれば、マイク間距離が狭い小型機器で音声帯域全域にわたって回路によるステレオ音場効果を得る場合にも、音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、遅延回路のLPF効果によるレベル減衰や遅延ずれを吸収することができる。
【0056】
さらに請求項4の発明によれば、デジタル遅延回路において、任意の単位サンプル以下の遅延を含めて、単位サンプル以上の遅延を段階的に得ることができ、また回路規模は小さく、必要な重み付け係数の種類も少ないため容易に実現可能であり、サンプリング周波数が変わっても同様に任意の遅延が得られるので、良好なステレオ音場演算を行うことができる。
【0057】
また、請求項5の発明によれば、従来のステレオ音場演算に使われていたLPFは、位相特性(遅延特性)に優れるが振幅特性が悪く、またAPFは逆に振幅特性に優れるが位相特性(遅延特性)が悪かったものを、本発明の遅延回路によれば、この振幅特性と位相特性の両者が満足できる特性が、マイク間距離に合わせて任意に得られ、最適なステレオ音場演算処理が実現できる。
【0058】
また、請求項6の発明によれば、請求項5のステレオ音場演算処理において音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、回路で音場生成する低域周波数と、キャビネット形状の影響を受けやすい高域周波数で最適なステレオ感や周波数特性が得られる。
【0059】
さらに請求項6の発明によれば、マイク間距離が狭い小型機器で音声帯域全域にわたって回路によるステレオ音場効果を得る場合にも、音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、遅延回路のLPF効果によるレベル減衰や遅延ずれを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用されるステレオ音場演算回路の一実施形態の構成図である。
【図2】本発明のデジタル遅延回路の一実施形態のブロック図である。
【図3】その説明のための表図である。
【図4】その説明のための特性図である。
【図5】その説明のための特性図である。
【図6】本発明の適用されるステレオ音場演算回路の他の実施形態の構成図である。
【図7】図6の帯域分割手段について説明するための帯域分割例を示す図である。
【符号の説明】
1,2…マイク、3,4…AMP、5,6…遅延器DL、7,8…減衰器ATT、9,10…加算器、11,12…フィルタ回路で構成されるイコライザEQ、13,14…出力端子、20…入力端子、21,22,23…単位サンプル遅延器、24,25…切替え手段、26…重み付け係数A生成手段、27…重み付け係数B生成手段、28…加算器、29…出力端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば第1及び第2の無指向性マイクロホンからの第1及び第2の音声信号を合成して、有指向性のステレオ音場信号を生成するようにしたステレオマイクロホン装置に使用して好適なデジタル遅延回路及びそれを利用したステレオ音場演算回路に関する。詳しくは、単位遅延手段よりの出力を合成することにより、段階的に信号遅延を発生させるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタル信号処理で信号遅延回路を構成する場合には、例えば以下のような方法がある。
1/通常のサンプリング間隔でデータをシフトする方法
2/オーバーサンプリングにより任意のサンプリング点にデータ補間する方法
3/フィルタによる方法
【0003】
ここで、1による方法は、メモリー等により容易に実現できるが、得られる遅延量がサンプリング間隔毎であり、サンプリングより細かな遅延が得られない問題がある。また、2による方法では、オーバーサンプリングにより再サンプリングして、その再サンプリング点でデータ生成し直すために、任意の遅延が得られるものであるが、回路規模が増大する問題がある。
【0004】
さらに3による方法は、フィルタの種類によりFIRフィルタとIIRフィルタがあり、FIRフィルタは直線位相特性をもつフィルタを構成できるが、振幅特性は周波数依存があり一定にはならず、フィルタ係数により遅延時間と振幅特性は大きく左右されやすい。また、IIRフィルタはAPF(All Pass Filter )が構成でき、振幅特性は一定になるが、位相特性は直線位相特性にはならず、全帯域において一定の遅延を段階的に得ることが難しい問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでビデオカメラの内蔵マイクロホン(以下マイクと略す)でステレオ音場を生成する技術は、登録特許第2946638号が一般的である。このステレオ音場生成の基本的な考え方は、複数の無指向性マイクロホン(以下マイクと略す)を用いて、音声帯域の高域側はキャビネット形状とマイク間隔によりステレオ感を得、低域側はL、R信号の位相差から先願による回路にてステレオ感を得るようにするものである。ここで音声帯域の高域側と低域側の分割は所定のLPFによって行われ、このLPFのカットオフ周波数と遅延時間はマイク間隔に依存するものである。
【0006】
ところが近年のビデオカメラは小型化により、上述のマイク間隔は狭まる一方で、例えばマイク間隔が10mmの場合には、前記LPFのカットオフ周波数は約18kHzとなり、ほぼ音声帯域全域にわたって回路によるステレオ音場演算を施すことが必要である。この場合のマイク間隔による信号遅延は29μS であり、この遅延がほぼ音声帯域全域で必要になるが、従来のLPFやAPFではこの条件に合う一定の信号振幅と遅延特性が得られなくなってきている。
【0007】
この出願はこのような点に鑑みて成されたものであって、解決しようとする問題点は、従来の装置で、例えばマイク間隔が10mmの場合には、このマイク間隔による信号遅延は29μS であり、この遅延がほぼ音声帯域全域で必要になり、従来のLPFやAPFではこの条件に合う一定の信号振幅と遅延特性が得ることができなかったというものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため本発明においては、上述の1と3を組み合わせた方法により、デジタル信号処理で信号遅延回路を構成するようにしたものであって、これによれば、容易にサンプリング間隔以下の信号遅延を段階的に得ることができ、回路規模が増大せず、さらに従来のLPFによるSN比、位相特性の悪化が少ない遅延回路を得ることができる。従ってこの装置を、例えばビデオカメラのステレオ音場演算回路に応用することにより、各種モデル毎に異なるマイク間隔に合った遅延が得られ、従来よりも最適なステレオ音場が生成されるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明においては、デジタル信号を遅延する単位遅延手段と、デジタル信号を選択して出力する複数の信号切替え手段と、信号切替え手段よりの信号に重み付け係数を施す重み付け係数生成手段と、重み付け係数生成手段よりの出力を加算する合成手段とを有し、重み付け係数生成手段における係数を可変することにより、段階的に信号遅延を発生するものである。
【0010】
また、本発明においては、デジタル信号を遅延する単位遅延手段と、デジタル信号を選択して出力する複数の信号切替え手段と、信号切替え手段よりの信号に重み付け係数を施す重み付け係数生成手段と、重み付け係数生成手段よりの出力を加算する合成手段とを有し、重み付け係数生成手段における係数を可変することにより、段階的に信号遅延を発生するデジタル遅延回路を利用してステレオ音場の演算を行うものである。
【0011】
以下、図面を参照して本発明を説明するに、本発明はデジタル信号処理における簡易的な信号遅延回路の発明であるため、使用目的やアプリケーションを選ばないが、特にビデオカメラのステレオ音場演算用途において好適であるため、以下はこの応用例にて説明する。
【0012】
まず図1に登録特許第2946638号によるステレオ音場演算回路を示す。まずマイク1及び2から夫々Rch及びLch音声信号が入力し、AMP3及び4により信号レベルを最適化し、Rch信号は加算器9の+端子と一般的にはLPFで構成される遅延器DL5に入力される。同様にLch信号は加算器10の+端子と遅延器DL6に入力される。
【0013】
これらの遅延器DL5及び6で遅延を施された音声帯域の低域成分が、夫々減衰器ATT7及び8でレベルを適正化し、加算器10及び9の−端子に入力される。加算器9及び10では、互いのチャンネルよりの低域成分信号、つまり遅延器DL5及び6で設定されるLPFのカットオフ周波数以下の信号を減算することによりマトリクス処理が行われ、LPFの通過帯域においてステレオ音場が再現される。
【0014】
さらに加算器9及び10の出力は、フィルタ回路で構成されるイコライザEQ11及び12で周波数特性が整えられて端子13及び14よりRch及びLch信号として出力される。
【0015】
ところで先願のステレオ演算処理は、マイク1と2のマイク間距離が、一例で30mmにおいては、遅延器DL5及び6で設定されるLPFのカットオフ周波数は約6kHzとなり、これ以下の周波数帯域は上述のステレオ演算回路にて、これ以上の周波数帯域においてはマイク間距離とそれが実装されるキャビネット形状により空間的にステレオ演算が成されている。
【0016】
しかし近年の商品の小型化により、上述のマイク間距離は狭められて、例えばマイク間距離が10mmにおいては、カットオフ周波数は約18kHzとなり、ほぼ音声帯域全域において回路による電気的なステレオ演算処理が必要になる。ここで遅延器DL5及び6で必要とされる遅延量は、常温における音速を340m/sとして、マイク間距離が30mmにおいては約88μsであり、10mmにおいては約29μsである。
【0017】
さらに遅延器DL5及び6では通過帯域内で振幅と遅延が一定であることが望まれる。しかしながら従来は、これをLPFやAPFで構成していたために、一定振幅と直線位相(一定遅延)の両者が同時に満足するフィルタ係数の選択が難しく、さらに図1をデジタルLSI化するためには、さまざまなマイク間距離に対応する必要が生じ、容易に任意の遅延が得られることが望まれていた。
【0018】
そこで図2に、本発明のデジタル遅延回路の一実施形態のブロック図を示し、これを説明する。図2において、端子20より入力信号X[n]が入力するが、このnはサンプリング間隔の時間を表わし、入力信号X[n]はnサンプル目の入力信号である。
【0019】
次に入力信号X[n]は切替え手段24の入力0と、単位サンプル遅延器21と、切替え手段25の入力0に入力する。単位サンプル遅延器21は、メモリーやフリップフロップで構成され、入力信号X[n]が入力すると1サンプル後に、同信号が信号X[n−1]として出力され、1サンプルディレーがなされる。そしてこの信号X[n−1]が前記切替え手段24と25の入力1に入力される。
【0020】
さらに単位サンプル遅延器22を介して2サンプルディレーの信号X[n−2]が前記切替え手段24と25の入力2に入力され、さらに単位サンプル遅延器23を介して3サンプルディレーの信号X[n−3]が前記切替え手段24と25の入力3に入力される。そして前記切替え手段24と25の出力が、夫々重み付け係数A生成手段26と、重み付け係数B生成手段27に入力され、夫々の信号に重み付け係数A及びBを施し、その出力が、加算器28で加算されて端子29より信号Y[n]として出力される。
【0021】
ここで図2の動作を、図3に示す表1の遅延例と、図4のレベル−周波数特性例と、図5の遅延−周波数特性例でさらに詳細に説明する。尚、図4と図5はサンプリング周波数Fsが32kHzの例で説明する。また、図2の遅延例では遅延量〔DL0〕から〔DL9〕までの10ステップの遅延を生成しており、ステップは容易に選択可能である。
【0022】
そこでまず〔DL0〕は切替え手段24及び25を入力0に接続し、つまり入力信号X[n]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n]と同じになり遅延が施されない出力が得られる。
【0023】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL0〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL0〕で示し、遅延は0μS一定である。
【0024】
次に〔DL1〕は切替え手段24を入力0に接続し、つまりX[n]を選択し、切替え手段25を入力1に接続し、つまりX[n−1]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数2/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数1/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0025】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL1〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL1〕で示し、遅延は低域で10μS一定であり高域で〔DL0〕に近づく特性を示す。
【0026】
同様に〔DL2〕は切替え手段24を入力0に接続し、つまりX[n]を選択し、切替え手段25を入力1に接続し、つまりX[n−1]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数1/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数2/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0027】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL2〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL2〕で示し、遅延は低域で21μS一定であり、高域で〔DL3〕に近づく特性を示す。
【0028】
同様に〔DL3〕は切替え手段24及び25を入力1に接続し、つまり信号X[n−1]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n−1]と同じ1サンプル遅延の出力が得られる。
【0029】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL3〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL3〕で示し、遅延は31μS一定である。
【0030】
次に〔DL4〕は切替え手段24を入力1に接続し、つまり信号X[n−1]を選択し、切替え手段25を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数2/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数1/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0031】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL4〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL4〕で示し、遅延は低域で42μS一定であり、高域で〔DL3〕に近づく特性を示す。
【0032】
同様に〔DL5〕は切替え手段24を入力1に接続し、つまり信号X[n−1]を選択し、切替え手段25を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数1/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数2/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0033】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL5〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL5〕で示し、遅延は低域で52μS一定であり、高域で〔DL6〕に近づく特性を示す。
【0034】
同様に〔DL6〕は切替え手段24及び25を入力1に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n−2]と同じ2サンプル遅延の出力が得られる。
【0035】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL6〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL6〕で示し、遅延は63μS一定である。
【0036】
次に〔DL7〕は切替え手段24を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、切替え手段25を入力3に接続し、つまり信号X[n−3]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数2/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数1/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0037】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL7〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL7〕で示し、遅延は低域で73μS一定であり、高域で〔DL6〕に近づく特性を示す。
【0038】
同様に〔DL8〕は切替え手段24を入力2に接続し、つまり信号X[n−2]を選択し、切替え手段25を入力3に接続し、つまり信号X[n−3]を選択し、重み付け係数A生成手段26で係数1/3を乗じ、重み付け係数B生成手段27で係数2/3を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、夫々の重み付け係数に応じた出力が得られる。
【0039】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL8〕で示し、レベルは低域で0dBであり、高域でわずかにLPF特性を示す。また、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL8〕で示し、遅延は低域で83μS一定であり、高域で〔DL9〕に近づく特性を示す。
【0040】
同様に〔DL9〕は切替え手段24及び25を入力3に接続し、つまり信号X[n−3]を選択し、重み付け係数A生成手段26及び重み付け係数B生成手段27で夫々係数1/2を乗じて、加算器28で両者を加算する。これにより、端子29より出力される信号Y[n]は、入力信号X[n−3]と同じ3サンプル遅延の出力が得られる。
【0041】
そしてこの場合のレベル−周波数特性例は、図4の〔DL9〕で示し、レベルは0dB一定であり、遅延−周波数特性例は、図5の〔DL9〕で示し、遅延は94μS一定である。
【0042】
このように本発明では、所定の単位サンプル遅延器と、所定の切替え手段と、数種類の重み付け係数を有する重み付け係数生成手段と、信号を合成する加算器を用いて、前記単位サンプル遅延器の個数と前記重み付け係数を変えることにより任意の信号遅延が段階的に得られるものである。従って図2に示す表1の遅延例においては、前述のマイク間距離が30mmの場合には〔DL8〕もしくは〔DL9〕を選択し、またマイク間距離が10mmの場合には〔DL3〕を選択することができる。
【0043】
さらに本発明の遅延器を利用したステレオ音場演算ブロック例を図6に示し、説明するが、図1と同機能のブロックは同一参照番号を付し、説明を省略する。
【0044】
図6のステレオ音場演算ブロックは、図1に対して音声帯域を帯域2分割した例を示している。まずマイク1及び2からの音声信号はAMP3及び4を経て、夫々のチャンネル毎に後述する帯域分割手段30〜33により帯域1と2に分割される。尚、Lch及びRchの帯域1と2はそれぞれ同じ周波数帯域に設定している。
【0045】
そして帯域分割された信号は各チャンネルの帯域毎に、上述の本発明のデジタル遅延回路で構成された遅延手段DL40〜43と減衰手段ATT50〜53を経て、チャンネル毎に加算器60及び61によりすべての帯域が加算されて、図1と同様に加算器9及び10によりマトリックス処理が行われる。
【0046】
また図7の帯域分割例を用いて図6の帯域分割手段について説明する。図7(a)はBPFによる帯域分割例であり、図6の帯域分割1と2を、たとえば帯域Band1、Band2のように各BPFで分割する。また図7(b)はLPFによる帯域分割例であり、帯域Band1はLPF1により生成され、帯域Band2はLPF2からLPF1を減算するようにして生成される。
【0047】
そして前記帯域Band1と帯域Band2は、例えば図1におけるステレオ音場演算ブロックにおけるDLを構成するLPFのカットオフ周波数付近以下の帯域と以上の帯域に分割すれば、マイク間距離に依存するステレオ処理を低域と高域に分けて最適化することができる。さらに図6のDLのような例えば図4及び図5の特性例における〔DL1〕、〔DL2〕、〔DL4〕、〔DL5〕、〔DL7〕、〔DL8〕時の高域におけるLPF特性に起因するレベル減衰や、遅延ずれについて補うように、低域と高域に分けて最適化することが出来る。
【0048】
すなわち例えば図6の実施形態によれば、帯域1と2毎に遅延器DLとATTが設けられているため、上述のレベル減衰による影響をATTにより、遅延ずれによる影響を遅延器DLで補うことができ、これらを帯域毎に最適化することにより音声帯域全体にわたって良好なステレオ音場特性を得ることができる。なお、図6においては音声帯域を2分割した場合について説明したが、帯域分割数は任意でかまわない。
【0049】
以上述べたように、本発明においては、従来の遅延回路と比較してレベル−周波数特性と、遅延−周波数特性の両方に大きな特性ずれがない、任意の遅延時間を有する遅延回路を小さな回路規模で容易に構成することができるものである。
【0050】
そしてこの装置を、例えばビデオカメラのステレオ音場演算回路に応用することにより、各種モデル毎に異なるマイク間隔に合った遅延が得られ、従来よりも最適なステレオ音場が生成されるものである。
【0051】
なお本発明は、上述の説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
【0052】
【発明の効果】
従って請求項1の発明によれば、任意の単位サンプル以下の遅延を含めて、単位サンプル以上の遅延を段階的に得ることができる。また回路規模は小さく、必要な重み付け係数の種類も少ないため容易に実現可能である。またサンプリング周波数が変わっても同様に任意の遅延が得られる。
【0053】
また、請求項2の発明によれば、従来のステレオ音場演算に使われていたLPFは、位相特性(遅延特性)に優れるが振幅特性が悪く、またAPFは逆に振幅特性に優れるが位相特性(遅延特性)が悪かったものを、本発明の遅延回路によれば、この振幅特性と位相特性の両者が満足できる特性が、マイク間距離に合わせて任意に得られ、最適なステレオ音場演算処理が実現できる。
【0054】
また、請求項3の発明によれば、請求項2のステレオ音場演算処理において音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、回路で音場生成する低域周波数と、キャビネット形状の影響を受けやすい高域周波数で最適なステレオ感や周波数特性が得られる。
【0055】
さらに請求項3の発明によれば、マイク間距離が狭い小型機器で音声帯域全域にわたって回路によるステレオ音場効果を得る場合にも、音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、遅延回路のLPF効果によるレベル減衰や遅延ずれを吸収することができる。
【0056】
さらに請求項4の発明によれば、デジタル遅延回路において、任意の単位サンプル以下の遅延を含めて、単位サンプル以上の遅延を段階的に得ることができ、また回路規模は小さく、必要な重み付け係数の種類も少ないため容易に実現可能であり、サンプリング周波数が変わっても同様に任意の遅延が得られるので、良好なステレオ音場演算を行うことができる。
【0057】
また、請求項5の発明によれば、従来のステレオ音場演算に使われていたLPFは、位相特性(遅延特性)に優れるが振幅特性が悪く、またAPFは逆に振幅特性に優れるが位相特性(遅延特性)が悪かったものを、本発明の遅延回路によれば、この振幅特性と位相特性の両者が満足できる特性が、マイク間距離に合わせて任意に得られ、最適なステレオ音場演算処理が実現できる。
【0058】
また、請求項6の発明によれば、請求項5のステレオ音場演算処理において音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、回路で音場生成する低域周波数と、キャビネット形状の影響を受けやすい高域周波数で最適なステレオ感や周波数特性が得られる。
【0059】
さらに請求項6の発明によれば、マイク間距離が狭い小型機器で音声帯域全域にわたって回路によるステレオ音場効果を得る場合にも、音声帯域を複数の帯域に分割して、夫々の帯域を独立した遅延回路とパラメータにてステレオ化することにより、遅延回路のLPF効果によるレベル減衰や遅延ずれを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用されるステレオ音場演算回路の一実施形態の構成図である。
【図2】本発明のデジタル遅延回路の一実施形態のブロック図である。
【図3】その説明のための表図である。
【図4】その説明のための特性図である。
【図5】その説明のための特性図である。
【図6】本発明の適用されるステレオ音場演算回路の他の実施形態の構成図である。
【図7】図6の帯域分割手段について説明するための帯域分割例を示す図である。
【符号の説明】
1,2…マイク、3,4…AMP、5,6…遅延器DL、7,8…減衰器ATT、9,10…加算器、11,12…フィルタ回路で構成されるイコライザEQ、13,14…出力端子、20…入力端子、21,22,23…単位サンプル遅延器、24,25…切替え手段、26…重み付け係数A生成手段、27…重み付け係数B生成手段、28…加算器、29…出力端子
Claims (6)
- デジタル信号を遅延する単位遅延手段と、
前記デジタル信号を選択して出力する複数の信号切替え手段と、
前記信号切替え手段よりの信号に重み付け係数を施す重み付け係数生成手段と、
前記重み付け係数生成手段よりの出力を加算する合成手段とを有し、
前記重み付け係数生成手段における係数を可変することにより、段階的に信号遅延を発生する
ことを特徴とするデジタル遅延回路。 - 請求項1のデジタル遅延回路において、
前記信号遅延は、複数のマイクロホンから有指向性信号を得るための指向性演算回路における前記マイクロホン間隔に依存する時間分の遅延である
ことを特徴とするデジタル遅延回路。 - 請求項2のデジタル遅延回路において、
前記指向性演算回路の有する音声帯域を複数帯域に分割する帯域分割手段よりの信号に夫々独立して挿入される
ことを特徴とするデジタル遅延回路。 - デジタル信号を遅延する単位遅延手段と、
前記デジタル信号を選択して出力する複数の信号切替え手段と、
前記信号切替え手段よりの信号に重み付け係数を施す重み付け係数生成手段と、
前記重み付け係数生成手段よりの出力を加算する合成手段とを有し、
前記重み付け係数生成手段における係数を可変することにより、段階的に信号遅延を発生するデジタル遅延回路を利用してステレオ音場の演算を行う
ことを特徴とするステレオ音場演算回路。 - 請求項4のステレオ音場演算回路において、
前記信号遅延は、複数のマイクロホンから有指向性信号を得るための指向性演算回路における前記マイクロホン間隔に依存する時間分の遅延である
ことを特徴とするステレオ音場演算回路。 - 請求項5のステレオ音場演算回路において、
前記指向性演算回路の有する音声帯域を複数帯域に分割する帯域分割手段よりの信号に夫々独立して挿入される
ことを特徴とするステレオ音場演算回路。
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