JP4300271B2 - ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター - Google Patents

ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター Download PDF

Info

Publication number
JP4300271B2
JP4300271B2 JP2002301503A JP2002301503A JP4300271B2 JP 4300271 B2 JP4300271 B2 JP 4300271B2 JP 2002301503 A JP2002301503 A JP 2002301503A JP 2002301503 A JP2002301503 A JP 2002301503A JP 4300271 B2 JP4300271 B2 JP 4300271B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulator
dna
gene
vector
derived
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002301503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004135532A (ja
Inventor
聡 渡部
大輔 本間
博 安江
甲治 赤坂
和哉 吉田
進吾 長屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Agrobiological Sciences
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
National Institute of Agrobiological Sciences
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Agrobiological Sciences, National Agriculture and Food Research Organization filed Critical National Institute of Agrobiological Sciences
Priority to JP2002301503A priority Critical patent/JP4300271B2/ja
Priority to PCT/JP2003/013124 priority patent/WO2004035780A1/ja
Publication of JP2004135532A publication Critical patent/JP2004135532A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4300271B2 publication Critical patent/JP4300271B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/85Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/43504Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from invertebrates

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インスレーターを有する任意DNAの発現ベクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
真核生物の遺伝子は、エンハンサー、プロモーターといった発現制御領域とアミノ酸をコードする領域(構造遺伝子)から構成されている。プロモーターは、構造遺伝子の上流に位置することが厳密に決まっている。一方エンハンサーは、プロモーターや構造遺伝子の上流あるいは下流に位置することもあり、厳密に位置が決まっているわけではない。中には、数百キロ塩基離れたところから遺伝子発現を調節するエンハンサーもある。エンハンサーはその機能として、プロモーターが持つ遺伝子発現活性を数倍〜数百倍まで高めることが知られている。
【0003】
一般的に一つの染色体上には数千の遺伝子が存在しており、適切な制御が行われそれらの遺伝子は正確に発現している。すなわち、隣り合う遺伝子のエンハンサーが干渉することはなく、無関係な遺伝子のエンハンサーの作用は受けない。このため、このような無関係な遺伝子のエンハンサーの作用を断ち切る機能(エンハンサーブロッキング)を持つDNA配列が存在する可能性が示唆され解析が行われてきた。1993年に、アメリカNIHのFelsenfeld博士らがショウジョウバエとニワトリから相次いでこのような機能を担うDNA配列を発見し、「インスレーター」と命名した。これまでに、インスレーターはニワトリ、ショウジョウバエ、ヒト、ウニなど様々な真核生物において単離され、機能について解析がなされてきた。それらの中で、インスレーターは先に述べたエンハンサーブロッキング活性に関与するばかりでなく、遺伝子の不活性化を阻害するシールドの機能を担うことが明らかになってきた。
【0004】
染色体上の遺伝子は、細胞種などに応じ発現する必要がない場合に、DNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化といった化学的修飾や、ヘテロクロマチン化といった構造的変化を受け不活性化されている。インスレーターは、これらの不活性化作用から遺伝子を保護しているのである。その具体的な例としてハウスキーピング遺伝子が挙げられる。ハウスキーピング遺伝子は、細胞の生存に不可欠な遺伝子であり、周辺の遺伝子の不活性化とは無関係に発現している。これらの遺伝子の上流、下流、あるいは両端にインスレーターは存在し不活性化を阻害していることが明らかになってきている。
【0005】
このシールド機能は、受精卵を含む細胞での遺伝子組換えを行う場合に非常に有効なものとなる可能性を持っている。なぜなら、導入遺伝子の不活性化を抑制できる可能性があるからである。細胞での遺伝子組換えは、細胞に遺伝子ベクターを導入し、それらのベクターが染色体に組み込まれることが必須である。しかしながら、ベクターが染色体に組み込まれても周囲のDNAの影響を受け、DNAのメチル化あるいはヒストンの脱アセチル化を受け不活性化されたり、発現量がごく少なくなること(ポジション・イフェクト)が報告されている。
【0006】
これまでに、遺伝子ベクターにインスレーターを連結することで、遺伝子の不活性化を回避し、導入遺伝子の発現を安定化させる可能性が示唆されている。これまでに、遺伝子発現ベクターに用いられて来たインスレーターは、ニワトリ由来のHS4インスレーターであり、HS4インスレーターはDNAの長さが1.2kbあるため遺伝子組換えベクターに用いるのには使いにくいものであった(非特許文献1〜4)。また、遺伝子発現に対し、インスレーターとベクターとの連結の方向性が与える影響について、詳細に解析した報告例はなかった。
【0007】
尚、出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【非特許文献1】
Walters MC, Fiering S, Bouhassira EE, Scalzo D, Goeke S, Magis W, Garrick D, Whitelaw E, Martin DI. The chicken beta-globin 5'HS4 boundary element blocks enhancer-mediated suppression of silencing. Mol Cell Biol 1999 May;19(5):3714-26
【非特許文献2】
Recillas-Targa F, Bell AC, Felsenfeld G. Positional enhancer-blocking activity of the chicken beta-globin insulator in transiently transfected cells. Proc Natl Acad Sci U S A 1999 Dec 7;96(25):14354-9
【非特許文献3】
Yannaki E, Tubb J, Aker M, Stamatoyannopoulos G, Emery DW. Topological constraints governing the use of the chicken HS4 chromatin insulator in oncoretrovirus vectors. Mol Ther 2002 May;5(5 Pt 1):589-98
【非特許文献4】
Rivella S, Callegari JA, May C, Tan CW, Sadelain M. The cHS4 insulator increases the probability of retroviral expression at random chromosomal integration sites. J Virol 2000 May;74(10):4679-87
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、インスレーターを有する任意DNAの発現ベクターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。1999年にAkasakaらが報告したウニ由来のARS遺伝子インスレーターを用いて、導入遺伝子の不活性化を回避し安定な発現をするベクターを開発することを試みた。このため、マーカー遺伝子を発現するベクターを構築し培養細胞に導入してインスレーターを連結したベクターの機能解析を行った。その結果、発現カセットに対して特定の向きにインスレーターを2つ連結することで、安定に遺伝子を発現をさせることが可能であり、発現量はインスレーターを連結していない場合に比べ130倍以上高まることが明らかになった。これにより、本発明者らが構築したベクターの有効性が明らかになった。
【0010】
即ち、本発明は、インスレーターを有する任意DNAの発現ベクターに関し、以下の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕 任意DNAの挿入部位、該任意DNAの発現を制御するプロモーター、および、インスレーターを有するベクターであって、該インスレーターを、該任意DNAの挿入部位の3’側および該任意DNAの発現を制御するプロモーターの5’側に、それぞれ、順方向および逆方向に有するベクター。
〔2〕 インスレーターがウニ、ニワトリまたはショウジョウバエ由来のインスレーターである、〔1〕に記載のベクター。
〔3〕 インスレーターが、以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のDNAである、〔1〕または〔2〕に記載のベクター。
(a)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が置換、欠失、付加および/または挿入した塩基配列からなるDNA
(c)配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
〔4〕 任意DNAが挿入された、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のベクター。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のベクターを保持する形質転換体。
〔6〕 〔4〕に記載のベクターが染色体に導入された形質転換体。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、任意DNAの挿入部位、該任意DNAの発現を制御するプロモーター、および、インスレーターを有するベクターであって、該インスレーターを、該任意DNAの挿入部位の3’側および該任意DNAの発現を制御するプロモーターの5’側に、それぞれ、順方向および逆方向に有するベクターを提供する。このようなベクターを使用することで、任意DNAを高い効率で発現する形質転換体を作成することができる。
【0012】
本発明において、インスレーターとは、ベクターが細胞のゲノムDNAに組み込まれた場合に組み込まれたゲノムの周辺領域環境を遮断するためのシールドとして機能する塩基配列を意味する。
【0013】
本発明におけるインスレーターとしては、ウニ由来インスレーター、ニワトリ由来インスレーター、ショウジョウバエ由来インスレーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
上記インスレーターとしては、ウニARS遺伝子由来インスレーター(配列番号:1)、ニワトリ由来HS4インスレーター(配列番号:2)、ウニ由来ヒストンH2Aインスレーター(配列番号:3)、ショウジョウバエ由来gypsyインスレーター(Cai HN, Levine M. The gypsy insulator can function as a promoter-specific silencer in the Drosophila embryo. EMBO J 1997 Apr 1;16(7):1732-41)が例示できる。
【0015】
該ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、ウニ由来ヒストンH2Aインスレーター、またはショウジョウバエ由来gypsyインスレーターは、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、PCRなどでウニゲノム、ニワトリゲノム、またはショウジョウバエゲノムからクローニングを行ったDNA断片に対してエンハンサーブロッキングアッセイを行うことにより単離することができる(Akasaka K, Nishimura A, Takata K, Mitsunaga K, Mibuka F, Ueda H, Hirose S, Tsutsui K, Shimada H. Upstream element of the sea urchin arylsulfatase gene serves as an insulator. Cell Mol Biol (Noisy-le-grand) 1999 Jul;45(5):555-65)。
【0016】
また、本発明のインスレーターは、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAと機能的に同等なDNAを包含する。ここで「機能的に同等」とは、対象となるDNAが、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAと同等の生物学的機能(生物学的役割)、生化学的機能(生化学的活性)を有することを指す。このような機能としては、染色体に導入される任意DNAの不活性化を阻害する機能、エンハンサーブロッキング活性が例示できる。上記「染色体に導入される任意DNAの不活性化を阻害する」とは、染色体に導入される任意DNAのメチル化などによる発現抑制を阻害することを意味する。また、上記エンハンサーブロッキング活性とは、染色体上の隣り合う遺伝子のエンハンサーの作用を断ち切る活性を意味する。このような機能や活性は、エンハンサーブロッキングアッセイ、並びにDNAのメチル化感受性のある制限酵素でベクターを導入した細胞のゲノムを切断しサザンブロッティングを行うことで測定できる(Recillas-Targa F, Bell AC, Felsenfeld G. Positional enhancer-blocking activity of the chicken beta-globin insulator in transiently transfected cells. Proc Natl Acad Sci U S A 1999 Dec 7;96(25):14354-9)。
【0017】
あるDNAと機能的に同等なDNAを調製する当業者によく知られた他の方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook,J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press, 1989)を利用する方法が挙げられる。即ち、当業者においては、ウニARS遺伝子由来インスレーター(配列番号:1)、ニワトリ由来HS4インスレーター(配列番号:2)、もしくはウニ由来ヒストンH2Aインスレーター(配列番号:3)、またはその一部を利用して、これと相同性の高いDNAを単離することは、周知の技術である。
【0018】
本発明には、ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターと機能的に同等なDNAが含まれる。ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターと機能的に同等なDNAを単離するためのハイブリダイゼーションの条件は、当業者であれば適宜選択することができる。ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、低ストリンジェントな条件が挙げられる。低ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば42℃、5×SSC、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、5×SSC 、0.1%SDSの条件である。より好ましいハイブリダイゼーションの条件としては、高ストリンジェントな条件が挙げられる。高ストリンジェントな条件とは、例えば65℃、0.1×SSC及び0.1%SDSの条件である。これらの条件において、温度を上げる程に高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。但し、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0019】
また、ウニARS遺伝子由来インスレーター(配列番号:1)、ニワトリ由来HS4インスレーター(配列番号:2)、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーター(配列番号:3)の配列情報を基に合成したプライマーを用いる遺伝子増幅法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を利用して、ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターと機能的に同等なDNAを単離することも可能である。
【0020】
これらハイブリダイゼーション技術や遺伝子増幅技術により単離されるウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターと機能的に同等なDNAの塩基配列は、配列番号:1〜3のいずれかに記載の塩基配列と高い相同性を有する場合がある。高い相同性とは、塩基レベルにおいて、通常、少なくとも80%以上の同一性、好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、さらに好ましくは95%以上の同一性を指す。
【0021】
塩基配列の同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877, 1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al. J. Mol. Biol.215:403-410, 1990)。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターはたとえばscore = 100、wordlength = 12とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
【0022】
また、ウニARS遺伝子由来インスレーター配列、ニワトリ由来HS4インスレーター配列、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーター配列において1もしくは複数の塩基が変異(置換、欠失、付加および/または挿入)した塩基配列からなり、該ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターと機能的に同等なDNAもまた本発明に含まれる。このような変異は自然界においても生じうる。変異する塩基数は、通常、30塩基以内であり、好ましくは15塩基以内であり、より好ましくは5塩基以内であり、さらに好ましくは2塩基以内である。
【0023】
また、あるDNAと機能的に同等なDNAを調製するための、当業者によく知られた方法としては、DNAに変異を導入する方法が知られている。例えば、当業者であれば、部位特異的変異誘発法(Gotoh, T. et al. (1995) Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer, W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82, 488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85, 2763-2766)などを用いて、ウニARS遺伝子由来インスレーター配列、ニワトリ由来HS4インスレーター配列、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーター配列に適宜変異を導入することにより、該ウニARS遺伝子由来インスレーター、ニワトリ由来HS4インスレーター、またはウニ由来ヒストンH2Aインスレーターと機能的に同等なDNAを調製することができる。
【0024】
本発明のインスレーターは、いかなる形態でもよい。即ち、ゲノムDNAであるか、化学合成DNAであるかなどを問わない。
【0025】
本発明のベクターは、DNA発現ベクターにおける任意DNAの挿入部位の3’側および該任意DNAの発現を制御するプロモーターの5’側に、上記インスレーターを、それぞれ、順方向および逆方向に挿入することで製造することができる。例えば、図1に示したように、pGK-LUC-p(A)などの任意のプロモーターにcDNAとポリA付加シグナルを連結した遺伝子発現カセットをあらかじめ作製し、それをpBSK-SmBm(-) (Akasaka K, Nishimura A, Takata K, Mitsunaga K, Mibuka F, Ueda H, Hirose S, Tsutsui K, Shimada H. Upstream element of the sea urchin arylsulfatase gene serves as an insulator. Cell Mol Biol (Noisy-le-grand) 1999 Jul;45(5):555-65)のSmaIサイトよりもT3プロモーター側の制限酵素サイトにに連結し、FRベクターの状態にする。更に、そのベクターをKpnIサイトで切断後、T4DNAポリメラーゼを用いてBluntingを行い、そこにpBSK-SmBm(-)からEcoRI-SacIで切り出しBluntingした断片をサブクローニングする。目的とするプラスミドが得られたら、NotIで切断することによって、インスレーター+発現カセット+ インスレーターの断片が出現することでインスレーターの向きを確認できる。また、任意のプライマーでシークエンシングを行いつなぎ目を確認する。以上の方法でベクターを製作することができる。また、既存のベクターであっても、同様の行程を行うことによってインスレーターを連結したベクターに変更することが可能となる。
【0026】
本発明は、また、上記ベクターに、任意DNAが挿入されたベクターを提供する。本発明の任意DNAとしては、任意のペプチドをコードするものを例示できるが、本発明の任意DNAは、これに制限されるものではない。ここで、「ペプチド」とは、アミノ酸同士がペプチド結合により結合した化合物を指す。従って、鎖長の長いペプチドである「ポリペプチド」や「タンパク質」もまた本発明の「ペプチド」に含まれる。本発明において、任意のペプチドとしては、本出願に示したルシフェラーゼのような酵素、GFPのようなマーカータンパク質、転写因子などの細胞機能タンパク質、または薬剤耐性遺伝子をコードするタンパク質などが例示できるが、本発明の任意のペプチドは、これらに限定されるものではない。
【0027】
また、本発明は、本発明の任意DNAを有するベクターが染色体に導入された形質転換体を提供する。
【0028】
ベクターが導入される宿主としては特に制限はなく、例えば種々の真核細胞等を用いることが可能である。真核細胞を使用する場合、例えば動物細胞、植物細胞を宿主に用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞、例えばCHO、COS、NIH3T3、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero、両生類細胞、例えばアフリカツメガエル卵母細胞(Valle, et. al., Nature 291: 358-340, 1981)、あるいは昆虫細胞、例えばSf9、Sf21、Tn5が知られている。CHO 細胞としては、特に、DHFR遺伝子を欠損したCHO 細胞であるdhfr-CHO(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1980, 77, 4216-4220.)やCHO K-1(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1968, 60, 1275.)を好適に使用することができる。植物細胞としては、例えばニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が挙げられる。
【0029】
上記宿主に本発明のベクターを導入するための方法としては、培養細胞等の宿主細胞へのベクターの導入の場合、例えばリン酸カルシウム法 (Chen, C. and Okayama, H. Mol. Cell. Biol., 1987, 7, 2745-2752.)、DEAEデキストラン法 (Lopata, M. A. et. al., Nucl. Acid. Res., 1984, 12, 5707-5717.、Sussman, D. J. and Milman, G. Mol. Cell. Biol., 1985, 4, 1642-1643.)、カチオニックリボソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、リポフェクチン法 (Derijard, B. Cell, 1994, 7, 1025-1037.、Lamb, B. T. et. al., Nature Genetics, 1993, 5, 22-30.、Rabindran, S. K. et. al., Science, 1993, 259, 230-234.)等の方法を用いることが可能である。また、植物細胞へのベクターの導入には、ポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など、当業者に公知の種々の方法を用いることができる。
【0030】
本発明における形質転換体には、形質転換細胞だけでなく形質転換細胞を有する個体もまた包含される。例えば、宿主として動物を使用する場合、哺乳類動物や昆虫が挙げられる。哺乳類動物としては、特に制限されず、例えば、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシ等を用いることができる(Vicki Glaser, SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993)。また、昆虫としては、例えば、カイコが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、植物を使用する場合、例えば、タバコを用いることができるが、これに制限されない。
【0031】
これら動物や植物の形質転換体は、公知の方法を使用することで作出することが可能である。例えば、目的とするDNAを、ヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生されるポリペプチドをコードする遺伝子との融合遺伝子として調製する。次いで、この融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ移植することで、トランスジェニックヤギを作出することが可能である(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology (1994) 12, 699-702)。
【0032】
また、例えば目的のペプチドをコードするDNAを挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させることによりトランスジェニックカイコを作出することができる(Susumu, M. et. al., Nature, 1985, 315, 592-594.)。
【0033】
また、例えば目的とするペプチドをコードするDNAを植物発現用ベクター、例えばpMON 530に挿入し、このベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えばニコチアナ・タバカムに感染させることでトランスジェニック植物体を作出することができる(Julian K.-C. Ma et. al., Eur. J. Immunol., 1994, 24, 131-138.)。
【0034】
任意DNAが、任意のペプチドをコードするDNAである場合、該ペプチドは、例えば上記トランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から得ることができる。また、トランスジェニックカイコの繭やトランスジェニック植物体からペプチドを回収することも可能である。
【0035】
また、上記形質転換細胞を培養することにより生産させることも可能である。培養は公知の方法に従い行うことができる。例えば、動物細胞の培養であれば、一般的に、培養液としては、DMEM、MEM 、RPMI1640、IMDM等を使用することができる。その際、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできるし、無血清培養してもよい。培養時のpHは、通常、約6〜8であるのが好ましい。培養は、通常、約30〜40℃で約15〜200時間行い、必要に応じて培地の交換、通気、攪拌を加える。
【0036】
任意のペプチドは、実質的に純粋で均一なペプチドとして精製することができる。ペプチドの分離、精製は、通常のペプチドの精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えばクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、透析、再結晶等を適宜選択、組み合わせればペプチドを分離、精製することができる。または、さらにこれらのカラムを複数組み合わせることにより精製することが可能である。
【0037】
クロマトグラフィーとしては、例えば任意のペプチドに対する抗体をカラムに固定したアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。これらの精製方法を用い、任意のペプチドを高度に精製することもできる。
【0038】
なお、ペプチドを精製前または精製後に適当なペプチド修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり部分的にペプチドを除去することもできる。ペプチド修飾酵素としては、例えばトリプシン、キモトリプシン、リシルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グルコシダーゼ等が用いられる。
【0039】
また、任意のペプチドをグルタチオン S-トランスフェラーゼとの融合ペプチドとして、あるいはヒスチジンを複数付加させた組換えペプチドとして宿主細胞内で発現させた場合には、発現させた組換えペプチドはグルタチオンカラムあるいはニッケルカラムを用いて精製することができる。融合ペプチドの精製後、必要に応じて融合ペプチドのうち、目的のペプチド以外の領域を、トロンビンまたはファクターXa等により切断し、除去することも可能である。
【0040】
また、本発明は、本発明のベクターを保持する形質転換細体を提供する。このような形質転換体は、例えば、本発明のベクターを増幅するために使用することができる。ベクターが導入される宿主としては、上記の真核細胞に限定されず、原核細胞を使用することもできる。例えば、原核細胞としては細菌細胞が挙げられる。該細菌細胞としては、大腸菌(E. coli)、例えばJM109、DH5α、HB101、XL1Blue、BL21等が挙げられ、その他、枯草菌が知られている。上記宿主に本発明のベクターを導入するための方法としては、大腸菌等の宿主細胞へのベクターの導入の場合、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法を用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1] ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクターの構築
インスレーターの機能を明らかにするために、マーカー遺伝子であるルシフェラーゼ遺伝子(LUC)を連結したベクターを作製し、ルシフェラーゼの発現量を指標としてインスレーターの機能を明らかにする手法を用いた。
【0042】
図1に示したように、ウニARS遺伝子由来インスレーター(580bp)を持つプラスミドpBSK-SmBm(-)のSalIサイトに、pGK-lucプラスミドよりSalIで切り出した出したPGK-LUC-p(A)カセット(マーカー遺伝子)をサブクローニングする。得られたクローンについて、HindIIIによる方向の確認と塩基配列を解析し、インスレーターの向きに対して逆向きにPGK-LUC-p(A)カセットが連結されているものを選択する。得られたクローンのKpnIサイトに、pBSK-SmBm(-)からSacIとEcoRIで切り出したインスレーター断片をサブクローニングする。得られたクローンについてNotIによる方向の確認と塩基配列を読むことで、PGK-LUC-p(A)カセットの下流に順方向にインスレーターが連結されたクローンを選択する。得られたクローンを遺伝子発現ベクターOL(図2)と呼ぶ。また、同様にして作製したベクタについて、インスレーターの向きと数によりFF、FR、RF、RR、IL、SL2、SL3の7種類(図3)も同時に構築した。
【0043】
[実施例2] 細胞へのベクターの導入
哺乳類の細胞として、マウスの株化繊維芽細胞であるNIH3T3細胞をモデルとして用いた。NIH3T3細胞は10%のウシ胎児血清を添加したDMEM培地(SIGMA)で培養を行った。NIH3T3細胞に、マーカー遺伝子であるPGK-LUC-p(A)にインスレーターを連結したベクターと、薬剤耐性遺伝子PGK-puro-p(A)を導入した。それぞれのベクターは、プラスミド領域を除くため制限酵素で切断後アガロースゲル電気泳動を行い図1,2に示したカセット部位分だけを切り出した。回収したカセットは、1/10量のPGK-puro-p(A)と混合し遺伝子導入用試薬リポフェクトアミンプラス(Invitrogen)を用いて細胞に導入した。遺伝子導入後48時間後から培地に1μg/mlの濃度でピューロマイシン(SIGMA)を添加し7日間培養し組換え細胞を単離した。なお組換え細胞は、1ベクターあたりランダムに12クローンずつ単離を行った。
【0044】
ピューロマイシンによる選択を行ったところ、得られた細胞のコロニー数に関しすべてのベクターに差は認められなかった。また、すべてのベクターに関して1ベクターあたり12クローンを単離した。それぞれのクローンは、24穴のマイクロタイタープレートに単離し、細胞が増殖したところで12穴のマイクロタイタープレート2枚にパッセージしレプリカを作製した。それらのうち1枚をルシフェラーゼ活性測定に用い、もう一枚は細胞のゲノミックDNA抽出及び保存用に用いた。
【0045】
[実施例3] ルシフェラーゼ・アッセイ
それぞれのベクターから得られたクローンに関し、ゲノムDNAを抽出しPCRを行いルシフェラーゼ遺伝子の存在を確認した。
【0046】
組換え細胞に関して、PROMEGA社のルシフェラーゼ・アッセイキットを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。また、その際測定装置としてダイアヤトロンCT-9000Dを用いて蛍光強度を測定した。また、測定に用いた個々のサンプルに含まれるタンパク量を、アマシャム社のプロテインアッセイキットを用いて測定した。データに関しては、個々のクローンについてタンパク1μgあたりの蛍光量を求めた。また、それらのデータをもとにそれぞれのベクターの蛍光量の平均値を求め同時にグラフ化を行った(図4)。
【0047】
インスレーターを連結していないベクターであるPGK-LUC-p(A)は平均441の活性を示したのに対し、インスレーターを1コピー連結したFF、FR、RF(図3)では、それぞれ4672、2585、5687という活性を示しPGK-LUC-p(A)の5.9〜12.9倍という高い活性を示した。これらのことから、インスレーターを1コピー連結しただけで、インスレーターの向きと位置によって違いはあるものの、遺伝子の不活性化を回避する能力があることが明らかになった。
【0048】
インスレーターをカセットの上流と下流に2コピー連結した場合に、IL、SL2、SL3(図3)では、それぞれ3353、1099、1377という活性を示した。これはPGK-LUC-p(A)の活性の2.5〜7.6倍の活性であり、1コピーのインスレーターを連結した場合よりも低いことが明らかになった。しかしながら、OL(図1)では、ルシフェラーゼ活性は57800であり、これはPGK-LUC-p(A)の131倍に相当する。これらのことから、2コピーのインスレーターをベクターに連結する場合には、その方向によって遺伝子の発現量に大きな差が生じることが明らかになった。中でも、カセットの上流と下流に外向きにインスレーターを連結ことで非常に高い遺伝子発現を示すことが明らかになった。このような結果は、これまでに報告されている他のインスレーターでは全く見られていないことから、ウニARSインスレーターが遺伝子の不活性化を回避するシールドとしての能力が極めて高いことを示している。また、OLのようにインスレーターを連結することが、遺伝子組み換えを行う場合に、高い効率で遺伝子を発現させる手段として有効であることが明らかになった。
【0049】
これまでに、インスレーターがベクターの中に2コピー存在すると、インスレーターどうしが結合してループを形成し、遺伝子の不活性化を阻害する可能性が示唆されている。我々の結果では、2コピー連結したインスレーターの方向によって遺伝子発現の差が認められた。このような差が生じた原因として、インスレーターの方向によってループを形成しにくい組み合わせがあるのではないかという可能性が示唆された。
【0050】
【発明の効果】
これまで多くの学術的研究、あるいは医薬品開発のための基礎研究の領域において培養細胞を用いた遺伝子組換え、あるいは遺伝子組換え動物の作製がなされてきた。しかしながら、これらの遺伝子組換え実験において、遺伝子組換え細胞あるいは遺伝子組換え動物が得られても、導入した遺伝子が発現しない現象が起きることが知られており、大きく効率を低下させる原因の一つとなっていた。これらの現象の原因の一つとして、導入遺伝子がポジション・イフェクトを受け不活性化されてしまうことが明らかにされてきた。しかしながら、これまではこの現象を回避する手だてはなかった。しかしながら、本発明において開発されたインスレーターを連結した発現ベクターを用いることで、遺伝子の不活性化を回避でき、効率よく導入遺伝子を発現させられることが明らかになった。このベクターは、以下の研究・開発などにおいて非常に有効である。
【0051】
(1)培養細胞系での遺伝子組換え
脊椎動物の細胞には、細胞内免疫機能の一つとしてウィルスなどの外来遺伝子が染色体に組み込まれた場合に、DNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化を行い、その遺伝子を不活性化することが知られている。このため、遺伝子組換えのために遺伝子発現ベクターを導入しても、これらの作用によって導入遺伝子が発現しない、あるいは発現してもその発現量が非常に少ないなどの現象が起きることが知られている。インスレーターを連結したベクターを用いることで、これらを回避でき効率よく導入遺伝子を発現する組換え細胞が得られる。
【0052】
(2)遺伝子組換え動物の作出
遺伝子組換え動物は、遺伝子発現ベクターDNA溶液を直接受精卵の核に注入して作出するため非常に作出効率が悪い。一般的に、導入遺伝子を持つ個体が得られる効率はマウスで10%程度、家畜では1%未満である。さらに、低い効率で生まれた遺伝子組換え動物であっても、ポジション・イフェクトを含む導入遺伝子の不活性化を受けるため、導入遺伝子の発現する割合はそのうち数割にすぎない。インスレーターを用いた遺伝子発現ベクターを用いることにより、これらの現象を回避し遺伝子組換え動物で導入遺伝子を高い効率で発現させられる。
【0053】
【配列表】
Figure 0004300271
Figure 0004300271
Figure 0004300271
Figure 0004300271
Figure 0004300271
Figure 0004300271

【図面の簡単な説明】
【図1】 ウニ由来インスレーターを連結したベクターの作製概念を示す図である。灰色矢印はウニARS遺伝子インスレーター(580pb)を示す。また、矢印の向きはインスレーターの連結されている方向を示す。PGKはマウスPGK-1プロモーター、LUCはルシフェラーゼ遺伝子、SVp(A)はSV40ウィルス由来ポリA付加シグナルを示している。
【図2】 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクターを示す図である。ベクターを構成するパーツに関しては、図1と同じである。インスレーターの向きと数が異なる。
【図3】 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクターを示す図である。ベクターを構成するパーツに関しては、図1と同じである。インスレーターの向きと数が異なる。
【図4】 ベクターを導入した細胞でルシフェラーゼ活性を測定した結果を示す図である。各ベクターごとに得られた12クローンのルシフェラーゼ活性を平均化してグラフ化してある。OLベクターを導入したクローンのルシフェラーゼ活性が非常に高いことが分かる。

Claims (4)

  1. 以下に示されるベクターであって、
    Figure 0004300271
    ここで、矢印は、以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のDNAである、ウニ由来のインスレーターを示す、前記ベクター。
    (a)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が置換、欠失、付加および/または挿入した塩基配列からなる、エンハンサーブロッキング活性を有するDNA
    (c)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、エンハンサーブロッキング活性を有するDNA
  2. 任意DNAが挿入された、請求項1に記載のベクター。
  3. 請求項1または2に記載のベクターを保持する形質転換体。
  4. 請求項に記載のベクターが染色体に導入された形質転換体。
JP2002301503A 2002-10-16 2002-10-16 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター Expired - Fee Related JP4300271B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002301503A JP4300271B2 (ja) 2002-10-16 2002-10-16 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター
PCT/JP2003/013124 WO2004035780A1 (ja) 2002-10-16 2003-10-14 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002301503A JP4300271B2 (ja) 2002-10-16 2002-10-16 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004135532A JP2004135532A (ja) 2004-05-13
JP4300271B2 true JP4300271B2 (ja) 2009-07-22

Family

ID=32105020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002301503A Expired - Fee Related JP4300271B2 (ja) 2002-10-16 2002-10-16 ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4300271B2 (ja)
WO (1) WO2004035780A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100959456B1 (ko) 2004-11-18 2010-05-25 고쿠리츠다이가쿠호진 히로시마다이가쿠 유전자 증폭에 의해 형성된 반복서열로부터, 발현이 억제된단백질을 발현시키는 방법, 키트, 및 형질전환체
US20140342432A1 (en) * 2011-12-21 2014-11-20 Danisco Us Inc. Fungal Gene Expression Using Insulator DNA Sequences

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6037525A (en) * 1996-08-01 2000-03-14 North Carolina State University Method for reducing expression variability of transgenes in plant cells
JP3240370B2 (ja) * 1997-01-17 2001-12-17 農林水産省畜産試験場長 培養細胞または受精卵に外来遺伝子を導入する方法
JP3777416B2 (ja) * 1998-12-09 2006-05-24 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 植物において外来遺伝子を安定に発現させる導入方法
AU2001265024A1 (en) * 2000-05-26 2001-12-11 University Of Virginia Patent Foundation An insulator element having enhancer-blocking properties
AU2002211615A1 (en) * 2000-10-20 2002-05-06 University Of Kentucky Research Foundation Genetic insulator for preventing influence by another gene promoter
WO2002066635A1 (fr) * 2001-02-23 2002-08-29 Gencom Corporation Animal transgenique possedant un gene du metabolisme des medicaments et utilisation correspondante

Also Published As

Publication number Publication date
WO2004035780A1 (ja) 2004-04-29
JP2004135532A (ja) 2004-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2023156355A (ja) 細胞または生物のゲノムへのDNA配列の標的化組み込みのためのCas9レトロウイルスインテグラーゼおよびCas9レコンビナーゼ系
JP4927730B2 (ja) 改変トランスポゾンベクター及びその利用方法
JP7418469B2 (ja) アミエロイス由来のトランスポザーゼを用いた核酸コンストラクトの真核生物のゲノムへの転移
JP7418470B2 (ja) オリジアス由来のトランスポザーゼを用いた核酸コンストラクトの真核細胞への組み込み
CN108531487B (zh) 人源化sirpa基因改造动物模型的制备方法及应用
US20230329201A1 (en) Cells and non-human animals engineered to express adar1 and uses thereof
CN101688222A (zh) 启动子
JP2007259871A (ja) 細胞周期を仲介する組成物および方法
US20040137572A1 (en) Compositions and methods for generating conditional knockouts
CN117015600A (zh) 高活性转座子和转座酶
JP2001513336A (ja) トランスジェニック動物の生産における「マリーナ」トランスポザンの使用
JP3844656B2 (ja) 動物細胞の形質転換のための方法
WO2006078072A1 (ja) キメラ非ヒト動物およびその使用
JP4300271B2 (ja) ウニ由来インスレーターを用いた遺伝子発現ベクター
KR20100097123A (ko) 신규한 재조합 서열
US20040091966A1 (en) Polypeptide regulation by conditional inteins
JP4364474B2 (ja) 哺乳動物において機能的なトランスポゾン
WO2003066867A2 (en) Genetically engineered phic31-integrase genes
JP2011518566A (ja) Abi1/hssh3bp1コンディショナルノックアウトマウス
US7135324B2 (en) Viral recombinases, related articles, and methods of use thereof
WO2003066855A1 (fr) Gene rag-1 de porc et utilisation de celui-ci
PL197770B1 (pl) Zwierzę transgeniczne, transgen, znakowane epitopowo TBP, ich zastosowanie i sposób wytwarzania, sposób charakteryzowania składu i wyodrębniania kompleksów transkrypcyjnych wyższego rzędu, sposób identyfikowania czynnika TAF i/lub czynnika oddziaływującego z TAF oraz przeciwciało
KR100952960B1 (ko) 돼지 β-카제인 게놈 DNA를 이용하여 생리활성물질을생산하기 위한 넉-인 벡터 및 이를 이용하여생리활성물질을 생산하는 방법
WO2001025425A1 (fr) Adn helicase de type recq5 localisee dans le noyau
US20030188325A1 (en) Disruption of the REDK gene

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040225

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050826

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050826

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051005

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080716

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090311

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090317

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees