JP4299901B2 - 位置検出装置 - Google Patents
位置検出装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4299901B2 JP4299901B2 JP31951998A JP31951998A JP4299901B2 JP 4299901 B2 JP4299901 B2 JP 4299901B2 JP 31951998 A JP31951998 A JP 31951998A JP 31951998 A JP31951998 A JP 31951998A JP 4299901 B2 JP4299901 B2 JP 4299901B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sensor
- line element
- magnetic
- signal
- scale
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果を有する材料により感磁領域が形成された磁気抵抗効果センサを用いた位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、回転動作をする物体の回転位置の検出や直線的な動作をする物体の位置の検出をする磁気式の位置検出装置が知られている。
【0003】
図21にこのような磁気式の位置検出装置の一例を示す。
【0004】
位置検出装置100は、長尺状の磁気スケール110と、基板上に感磁部が薄膜成形された磁気抵抗効果センサ(MRセンサ)120とを備えており、磁気スケール110とMRセンサ120のいずれか一方が移動する物体に取り付けられ、他方が基準部に取り付けられている。
【0005】
磁気スケール110には、N極とS極とを交互に繰り返す周期的な位置信号が長手方向に沿って着磁されており、その記録ピッチはλとなっている。
【0006】
MRセンサ120は、例えば図示しない保持機構等に保持されて、磁気スケール110の位置信号が着磁された着磁面に対向するように配設されている。このMRセンサ120は、磁気スケール110の着磁面と所定距離の空間的なギャップを保ちながら、この磁気スケール110の位置信号に沿って平行移動する。そして、このMRセンサ120は、平行移動することにより上記位置信号を検出し、検出した位置信号を電気信号に変換して、フレキシブルケーブル130等を介して外部に出力する。
【0007】
このような構成を有することにより、位置検出装置100では、磁気スケール110と、MRセンサ120との相対位置を記録ピッチλの2分の1の間隔P毎に検出することができ、そのため、物体の移動位置を検出することができる。
【0009】
次に、上記MRセンサ120について、さらに説明する。
【0010】
MRセンサ120は、図22に示すように、ガラス等の非磁性材料からなる基板121上にFe-Ni,Ni-Co等の強磁性材料が成膜され、短冊状の感磁部122が形成されている。この感磁部122は、長手方向に直流電流が流され、この感磁部122に流される電流に対して垂直であって膜面に平行な方向に印加される信号磁界の強さが最小の場合には抵抗値が最大となり、また、この感磁部122に流される電流に対して垂直であって膜面に対して平行な方向に印加される信号磁界の強さが最大の場合には抵抗値が最小となる磁気抵抗効果を有する。
【0011】
このMRセンサ120には、感磁部122として、例えば、第1から第4の感磁部122a〜122dが、長手方向に対して平行に形成されている。第1と第2の感磁部122a,122bは、磁気スケール110の位置信号の検出ピッチPの間隔をもって配設され、また、第3と第4の感磁部122c,122dも、この検出ピッチPの間隔をもって配設されている。さらに、第2と第3の感磁部122b,122cは、P/2の間隔をもって配設されている。
【0012】
また、感磁部122a,122bは電極123aにより電気的に直列接続され、感磁部122c,122dは電極123bにより電気的に直列接続されている。感磁部122bの電極123aが接続されていない一端と、感磁部122cの電極123bが接続されていない一端とは、電極124により電気的に直列接続されている。そして、感磁部122aの電極123aが接続されていない一端は、電極125aを介して接地されており、また、感磁部122dの電極123bが接続されていない一端は、電極125bを介して定電圧源に接続されている。MRセンサ120では、このように各感磁部122a〜122dを接続することによって、図23に示すような等価回路を構成し、電極124からセンサ出力を検出することができる。
【0013】
次に、このMRセンサ120の動作について説明する。
【0014】
上述したMRセンサ120は、物体の移動に応じて磁気スケール110の位置信号上を相対的に移動する。例えば、図24に示すように、このMRセンサ120の感磁部122a,122bが位置信号のN極とS極の上に移動してきたときには、この感磁部122a,122bは漏れ磁束の感磁面内成分の磁界強度が零となっているため、抵抗値が最も大きくなった状態になる。このときには感磁部122c,122dには、反対に感磁面内成分で最大の磁界が印加されることとなるため、抵抗値が最も小さくなった状態になる。従って、電極124からは、最大の電位が得られることになる。
【0015】
また、例えば、図25に示すように、このMRセンサ120の感磁部122c,122dが位置信号のN極とS極の上に移動してきたときには、この感磁部122c,122dは漏れ磁束の感磁面内成分の磁界強度が零となっているため、抵抗値が最も大きくなった状態になる。このとき感磁部122a,122bには、反対に感磁面内成分で最大の磁界が印加されることとなるため、抵抗値が最も小さくなった状態になる。従って、電極124からは、最小の電位が得られることになる。
【0016】
以上のように、MRセンサ120では、磁気スケール110上を移動することによって、位置信号の記録ピッチλの2分の1の周期(λ/2)に応じて発生する信号を、上記電極124から出力することができ、そのため、物体の移動位置を検出することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁気式の位置検出装置100では、一般に、MRセンサ120と、磁気スケール110を接触させて使用することができないため、MRセンサ120と磁気スケール110とを一定の空間的なギャップを保ったまま相対移動するように配置している。このMRセンサ120と磁気スケール110とのギャップ長は、磁気スケール110の位置信号の記録ピッチλや、この位置信号からMRセンサ120に与えられる磁界の強さとともに、MRセンサ120の出力感度に影響を与える。
【0018】
図26に、MRセンサ120と磁気スケール110とのギャップ長xの変化に対するMRセンサ120の出力特性を示す。なお、この出力特性は、MRセンサ120の抵抗変化によるものである。
ここでは、図26(A)に図示するように、MRセンサ120が平板型の磁気スケール110の位置信号が着磁された面に対向するように設けられ、また、図26(B)に図示するように、磁気スケール110の記録信号の幅LがMRセンサ120の感磁部122の長手方向の長さlよりも充分に長い場合についての特性を示している。すなわち、ここでは、MRセンサ120の感磁部120の全領域に、同一の強さの信号磁界が印加された場合の特性を示している。
【0019】
この場合、MRセンサ120の出力特性は、図26(C)に示すように、所定のギャップ長x0で出力のピーク値を検出することができる。従って、位置検出装置100では、MRセンサ120と磁気スケール110とのギャップ長を、このギャップ長x0付近で保ち相対移動するように配置することによって、良好な検出出力を得ることができる。
【0020】
これに対し、被測定物体の関係上、磁気スケール110を平板型にすることができず、例えば、丸棒状や多角形状にしなければならない場合がある。
【0021】
図27に、磁気スケール110が丸棒状である場合のMRセンサ120と磁気スケール110とのギャップ長xの変化に対するMRセンサ120の出力特性を示す。
ここでは、図27(A)に図示するように丸棒型の磁気スケール110の位置信号が着磁された面にMRセンサ120を対向させ、また、図27(B)に図示するように磁気スケール110の記録信号の幅L(この場合は磁気スケール110の直径に相当)がMRセンサ120の感磁部122の長手方向の長さlよりも短い場合についての特性を示している。すなわち、この図27には、MRセンサ120の感磁部120の長手方向に対して、異なる強さの信号磁界が印加された場合の特性を示している。なお、ここで示すギャップ長xは、磁気スケール110とMRセンサ120との最短距離で示している。
【0022】
この場合、MRセンサ120の出力特性は、図27(C)に示すように、出力のピーク値を検出することができず、また、先の平板状の磁気スケールの場合と比較して出力が50〜60パーセント程度しか得ることができない。
【0023】
以上のように、MRセンサが平板形状となっているのに対して、磁気スケール110が、丸棒状、円弧、多角形状等となっている場合には最適な出力特性を得ることが困難である。この理由は、MRセンサ120が、位置情報を着磁した磁気スケール110からの漏れ磁束を効率的に検出することができないためである。
【0024】
図28に丸棒状の磁気スケール110と、MRセンサ120の感磁部122との位置関係を示す。
【0025】
例えば、丸棒状の磁気スケール110の半径rを1mm、MRセンサ120の感磁部122の長手方向の長さlを2mm、感磁部122と磁気スケール110との最短のギャップ長x1(感磁部122の長手方向の中心の位置Q1のギャップ長)を120μmとする。
【0026】
係る場合、感磁部122の中心から0.5mm離れたの位置Q2におけるギャップ長x2、及び、中心から1mm離れた位置Q3におけるギャップ長x3を求めると、以下のようになる。
【0027】
【数1】
【0028】
このことから、感磁部122の中心の位置Q1におけるギャップ長x1に対して、位置Q2のギャップ長x2は長くなっており、磁気スケール110が発生する磁界の強さが均一であれば、位置Q1に到達する漏れ磁束に比べて、位置Q2に到達する漏れ磁束が少なくなることが分かる。そのため、例えば、位置Q1での抵抗変化率に対して、位置Q2の抵抗変化率は10パーセント程度しか生じず、さらには、位置Q2より以遠は抵抗変化がほとんど生じない。
【0029】
従って、丸棒状の磁気スケール110を用いた場合、MRセンサ120の感磁部122で実質的に磁気抵抗効果を生じているのは、中央付近の一部であり、端部では只の抵抗としての機能しか生じておらず、効率が悪くなっている。
【0030】
また、このように丸棒状の磁気スケール110を用いた場合におけるMRセンサ120の出力特性を改善するために、磁気スケール110の直径よりも、感磁部122の長手方向の長さを短くすることが、例えば、特開平8−285509号公報で提案されている。しかしながら、感磁部122の中心の位置と磁気スケール110との中心が完全に一致している場合には、充分な出力が得られるものの、固定位置が多少でもずれた場合には、著しい出力低下を生じ、安定した出力を得ることが困難であり、また、素子の抵抗が低くなり電気的に好ましくないこと等から磁気スケール装置としての組立も困難となる。
【0031】
本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、発磁体の着磁面が曲面、円弧であっても、充分な出力が得られるとともに特性の良い出力の得られる磁気抵抗効果センサを用いた位置検出装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明に係る位置検出装置は、位置情報を与える信号磁界が長手方向に記録された丸棒状の発磁体と、上記発磁体に記録された信号磁界の記録方向に相対移動が可能に配設され、磁気抵抗効果を有する材料により感磁領域が形成された磁気抵抗効果センサとを備え、上記磁気抵抗効果センサの感磁領域は、中央部と、流される電流と直交する方向である上記相対移動方向における幅が該中央部よりも大きい端部と、該流される電流と直交する方向の幅が次第に大きくなり、該中央部と該端部とを連続させる傾斜部とを有し、該中央部においては、その長さが上記発磁体の径と略同一であり、該長さ方向の中心が該発磁体の表面まで最も近接し、該傾斜部においては、該流される電流の方向に沿って、該発磁体の表面までの最短距離が次第に大きくなり異なる強さの信号磁界が該発磁体から印加される。
【0035】
この位置検出装置では、磁気抵抗効果センサの感磁領域の幅が、発磁体から印加される信号磁界の強さに応じて異なる。
【0036】
【発明の実施の形態】
まず、本発明を適用した第1の実施の形態の位置検出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1に示す第1の実施の形態の位置検出装置1は、直線的な動作をする物体の位置を検出する装置である。
【0038】
位置検出装置1は、丸棒状の磁気スケール2と、基板上に感磁部が薄膜成形された磁気抵抗効果センサ(MRセンサ)3とを備えており、磁気スケール2とMRセンサ3のいずれか一方が移動する物体に取り付けられ、他方が基準部に取り付けられている。
【0039】
磁気スケール2には、N極とS極とを交互に繰り返す周期的な位置信号4が長手方向に沿って着磁されており、その記録ピッチはλとなっている。
【0040】
MRセンサ3は、例えば図示しない保持機構等に保持されて、磁気スケール2の着磁面と所定距離の空間的なギャップを保ちながら、この磁気スケール2の位置信号4に沿って平行移動する。そして、このMRセンサ3は、移動位置における上記位置信号を検出し、検出した位置信号を電気信号に変換して、フレキシブルケーブル5等を介して外部に出力する。
【0041】
このような構成を有することにより、位置検出装置1では、磁気スケール2とMRセンサ3との相対位置を記録ピッチλの2分の1である検出ピッチPの信号として検出することができ、そのため、物体の移動位置を検出することができる。
【0042】
次に、上記MRセンサ3について説明する。
【0043】
MRセンサ3は、図2に示すように、ガラス等の非磁性材料からなる基板11上にFe-Ni,Ni-Co等の強磁性材料が成膜され、感磁部12(12a〜12d)が磁気スケール2の位置信号4が着磁された面に対向する面に形成されている。この感磁部12は、長手方向に直流電流が流される。MRセンサ3は、感磁部12に直流電流が流される方向即ち感磁部12の長手方向に対して直交し、且つ、この成膜された感磁部12の膜面に対して平行な方向に、磁気スケール2と相対移動することにより、感磁部12が磁気スケール2の漏れ磁束を検出する。MRセンサ3は、この感磁部12に流される電流に対して垂直であって膜面に平行な方向に印加される信号磁界の強さが最小の場合には抵抗値が最大となり、また、この感磁部12に流される電流に対して垂直であって膜面に平行な方向に印加される信号磁界の強さが最大の場合には抵抗値が最小となる磁気抵抗効果を有する。
【0044】
このMRセンサ3には、感磁部12として、例えば、それぞれ同一形状の第1から第4の感磁部12a〜12dが、長手方向に平行に成膜されている。第1と第2の感磁部12a,12bは、磁気スケール2の位置信号4の記録ピッチλに対し(nλ+P)の間隔をもって配設され、また、第3と第4の感磁部12c,12dも、この記録ピッチλに対し(nλ+P)の間隔をもって配設されている。さらに、第2と第3の感磁部12b,12cは、((m/2)λ+P/2)の間隔をもって配設されている(n,mは整数。)。
【0045】
また、感磁部12a〜12dは、それぞれ長手方向の一端に電極13a〜13dが接続されている。また、感磁部12aと感磁部12bの電極13a,13bが接続されていない一端には、電極14aが接続され、感磁部12aと感磁部12bとを電気的に直列接続している。また、感磁部12cと感磁部12dの電極13c及び13dが接続されていない一端には、電極14bが接続され、感磁部12cと感磁部12dとを電気的に直列接続している。そして、感磁部12aが接続された電極13aは接地されており、また、感磁部12dが接続された電極13dは定電圧源に接続されている。さらに、電極13bと電極13cとは、外部回路で接続され、感磁部12a〜感磁部12dは、電圧源から接地端子にわたって直列接続されて長手方向に電流iが流される。従って、このMRセンサ3では、この中点の感磁部12bと感磁部12cの間の電位がセンサ出力として検出される。すなわち、MRセンサ3では、このように各感磁部12a〜12dを接続することによって、図3に示すような等価回路を構成し、電極13b或いは電極13cからセンサ出力が検出される。
【0046】
また、上述した各感磁部12a〜12dは、中央部15a〜15dと、この中央部15a〜15dの長手方向の両端に、この中央部15a〜15dと電流方向に対して直交する方向の幅が異なる端部16a〜16d及び端部17a〜17dとから構成されている。なお、各感磁部12a〜12dは、その形状が同一であるので、感磁部12aを例にとって以下説明をする。
【0047】
中央部15aは、流れる電流の方向の長さが磁気スケール2の半径rとほぼ同一であり、また、流れる電流と直交する方向の幅がw1となっている。また、中央部15aは、この中央部15aの長さの中心が、感磁部12aと磁気スケール2とのギャップ長が最も短くなる中心位置Q1にほぼ一致している。
【0048】
端部16aは、電極14aと中央部15aとの間に形成され、中央部15aの一端から電極14aに向かって次第に幅が太くなった後、その幅がw2となって、電極14aに接続される。
【0049】
また、端部17aは、電極13aと中央部15aとの間に形成され、中央部15aの他端から電極13aに向かって次第に幅が太くなった後、その幅がw2となって、電極13aに接続される。
【0050】
端部16aと端部17aの幅w2は、この中央部15aの幅w1に対して、1.5倍以上の長さとなっており、例えば、2倍程度となっている。
【0051】
すなわち、MRセンサ3は、磁気スケール2とのギャップ長が短い部分では電流方向に直交する方向の幅が狭く、このギャップ長が長い部分ではこの幅が広くなるように感磁部12が形成されている。つまり、MRセンサ3では、感磁部12aに流される電流と直交する方向の幅が、この感磁部12aに対して磁気スケール2から印加される信号磁界の強さに応じて異なるようになっている。なお、この幅w1と幅w2との比率は、印加される信号磁界の大きさによって、最適に設定されるものであり、磁気スケール2の形状によって異なる。
【0052】
このような、ギャップ長が短く幅が狭い部分となる中央部15aでは、電気的な抵抗が相対的に大きくなるとともにその変化率も大きくなるため、抵抗変化が大きくなり、定電圧駆動をした場合に大きな電圧変化を得ることができる。また、ギャップ長が長く幅が広い部分となる端部16a及び端部17aでは、電気的な抵抗が相対的に小さくなるともにその変化率も小さくなるため、定電圧駆動をした場合に電圧に対する依存度が小さくなる。
【0053】
従って、このMRセンサ3の感磁部12aでは、電流方向に直交する方向の幅が狭い部分となる中央部15aと、この幅が広い部分となる端部16a及び端部17aとが直列に接続されているため、全体として、充分大きくかつS/N比が良好な出力を得ることができる。また、このMRセンサ3では、感磁部12の全体で有効な抵抗変化が生じるため、ギャップ長を短くせずとも高い出力を得ることができ、さらに、ギャップ長を短くする必要がないので磁気スケール2に対して組立が容易となり、信頼性の向上を図ることができる。
【0054】
なお、このMRセンサ3は、上記図2で示した形状に限られず、感磁部に流される電流と直交する方向の幅が、この感磁部に印加される信号磁界の強さに応じて異なれば、どのような形状であってもよい。
【0055】
MRセンサ3の変形例として、MRセンサ20を図4に示す。なお、このMRセンサ20を説明するにあたり、上記MRセンサ3と同一の構成については、同一の符号を図面中に付け、その詳細な説明を省略する。
【0056】
このMRセンサ20には、例えば、第1から第4の感磁部22a〜22dが、長手方向に平行に成膜されている。
【0057】
各感磁部22a〜22dは、中央部25a〜25dと、この中央部25a〜25dの長手方向の両端にその幅が異なる端部26a〜26d及び端部27a〜27dとから構成されている。
【0058】
感磁部22aの中央部25aは、流れる電流の方向の長さが磁気スケール2の半径rとほぼ同一であり、また、流れる電流と直交する方向の幅がw1となっている。また、中央部25aは、この中央部25aの長さの中心が、感磁部22aと磁気スケール2とのギャップ長が最も短くなる中心位置Q1にほぼ一致している。
【0059】
端部26aは、電極14aと中央部25aとの間に形成され、感磁部22bに対して反対側の流れる電流方向の一辺のみに傾斜が形成され、中央部25aの一端から電極14aに向かって次第に幅が太くなった後、その幅がw2となって、電極14aに接続される。
【0060】
端部27aは、電極13aと中央部25aとの間に形成され、感磁部22bと反対側の一辺のみに傾斜が形成され、中央部25aの一端から電極13aに向かって次第に幅が太くなった後、その幅がw2となって、電極13aに接続される。
【0061】
端部26aと端部27aの幅w2は、この中央部25aの幅w1に対して、1.5倍以上の長さとなっており、例えば、2倍程度となっている。
【0062】
また、感磁部22bは、感磁部22aとの境界線を中心として電流方向で線対象の形状となっており、端部26b及び端部27bの傾斜が形成されていない辺と、感磁部22aの傾斜が形成されていない辺とが対向するように設けられている。
【0063】
また、感磁部22cは、感磁部22aと同一の形状を有しており、感磁部22dは、感磁部22dと同一の形状を有している。
【0064】
以上の構成のMRセンサ20も、上記MRセンサ3と同様に、ギャップ長が短い部分である中央部25a〜25dでは、電気的な抵抗が相対的に大きくなるとともにその変化率は大きくなるため、抵抗変化が大きくなり、定電圧駆動をした場合に大きな電圧変化を得ることができる。また、ギャップ長が長い部分である端部26a〜26d及び端部27a〜27dでは、電気的な抵抗が相対的に小さくなるともにその変化率は小さくなるため、定電圧駆動をした場合に電圧に対する依存度が小さくなる。従って、このMRセンサ20の感磁部22全体では、それぞれが直列に接続されているため、充分大きく、かつ、S/N比が良好な出力を得ることができる。
【0065】
次に、MRセンサ3の動作について説明する。
【0066】
MRセンサ3は、物体の移動に応じて、磁気スケール2の位置信号4上を相対的に移動する。例えば、このMRセンサ3の感磁部12a,12bが位置信号4のN極とS極の上に移動してきたときには、この感磁部12a,12bは漏れ磁束の膜面成分磁界強度が略零となっているため、抵抗値が最も大きくなった状態になる。このとき感磁部12c,12dには、反対に最大の磁界が印加されることとなるため、抵抗値が最も小さくなった状態になる。従って、電極13b(13c)からは、最大の電位が得られることになる。
【0067】
また、例えば、このMRセンサ3の感磁部12c,12dが位置信号のN極とS極の上に移動してきたときには、この感磁部12c,12dは漏れ磁束の膜面成分の磁界強度が略零となっているため、抵抗値が最も大きくなった状態になる。このとき感磁部12a,12bには、反対に最大の磁界が印加されることとなるため、抵抗値が最も小さくなった状態になる。従って、電極13b(13c)からは、最小の電位が得られることになる。
【0068】
以上のように、MRセンサ3では、磁気スケール2上を移動することによって、位置信号の記録ピッチλの2分の1のP間隔に応じて発生する信号を、上記電極13b(13c)から出力することができ、そのため、物体の移動位置を検出することができる。
【0069】
また、上記信号と90゜位相のずれた(P/4相当)の信号を検出する別のセンサを配置し、この2つの信号から相対的な位置を検出することもできる。
【0070】
つぎに、上記MRセンサ3の出力特性を、従来のMRセンサの出力特性と比較して説明する。
【0071】
図5(A)には、従来の短冊状の感磁部が成膜されたMRセンサにより、丸棒状の磁気スケールに記録された位置信号を検出した際の出力特性図を示している。また、図5(B)には、従来の短冊状の感磁部が成膜されたMRセンサであって、感磁部の長手方向の長さが磁気スケールの直径より短いMRセンサにより、丸棒状の磁気スケールに記録された位置信号を検出した際の出力特性図を示している。また、図5(C)には、上記MRセンサ3により、丸棒状の磁気スケール2に記録された位置信号を検出した際の出力特性図を示している。なお、各特性図の横軸は、感磁部の長手方向の中心の位置(例えば、第1の実施の形態の位置検出装置1であれば、感磁部12の中心位置Q1)を、丸棒状の磁気スケールの長手方向に対して直角かつ感磁部に並行に、すなわち、感磁部に流れる電流方向に、移動させた場合の移動位置を示している。また、縦軸は、MRセンサの出力電圧を示している。
【0072】
この図5(A)〜図5(C)を比較して分かるように、第1の実施の形態のMRセンサ3では、従来の短冊状の感磁部が成膜されたMRセンサの出力よりも高い出力が得られ、また、従来の磁気スケールの直径よりも短い感磁部が成膜されたMRセンサよりも、位置ずれ等が生じた場合であっても高い出力を得られることができる。
【0073】
以上のように、第1の実施の形態の位置検出装置1では、磁気スケール2の位置信号3が記録された着磁面が曲面状であっても、充分な出力が得られるとともに特性の良い出力の得ることができる。また、この位置検出装置1では、磁気スケール2とMRセンサ3との距離を大きく保つことができ、そのため、組立が容易となり、信頼性の向上を図ることができる。
【0074】
なお、本発明では、磁気スケールの着磁面は曲面に限られず、例えば、多角形形状の磁気スケールを用いた位置検出装置に適用しても、有効に位置情報を検出することができる。例えば、図6に示すような三角柱状の磁気スケール7を適用したスケール装置6や、図7に示すような八角柱状の磁気スケール9を適用したスケール装置8によっても位置検出をすることができる。この場合には、MRセンサ3の感磁部12は、磁気スケール7や磁気スケール9から印加される漏れ磁界に応じて、その形状が変更される。
【0075】
従って、上記位置検出装置6,8では、位置信号が記録された着磁面が多角形状であっても、充分な出力が得られるとともに特性の良い出力の得ることができる。
【0076】
以上本発明の第1の実施の形態を説明するにあたり、磁気スケール2に所定の記録ピッチλで位置信号3が連続的に記録され物体の位置を検出する位置検出装置1を説明したが、本発明は、このような位置検出装置に限られず、例えば、被測定物が単位長移動する毎に1個の信号を発生する原点信号が離散的に記録された発磁体から、この信号を検出して物体の位置を検出する位置検出装置であってもよい。
【0077】
つぎに、本発明を適用した第2の実施の形態の位置検出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0078】
図8に、本発明を適用した第2の実施の形態の位置検出装置の斜視図を示し、図9に、この第2の実施の形態の位置検出装置の側面図を示し、図10に、この第2の実施の形態の位置検出装置の内部構造を表すための断面図を示す。
【0079】
本発明を適用した第2の実施の形態の位置検出装置30は、本体部31と、この本体部31に取り付けられたヘッドスライダ32とから構成される。
【0080】
この位置検出装置30は、工作機械の一部分として構成され相対的に直線移動する2部材の相対移動位置を、検出する装置である。例えば、位置検出装置30は、所定の位置に固定された基準部33と、この基準部33に対して図8中に示すX1方向及びX2方向に直線移動する可動部34との相対移動位置を検出する。この位置検出装置30は、本体部31或いはヘッドスライダ32のいずれか一方が基準部33に取り付けられ、他方が可動部34に取り付けられる。図8及び図9中には、基準部33に本体部31を取り付け、可動部34にヘッドスライダ32を取り付けた例を示している。
【0081】
本体部31は、筐体36と、丸棒状の高保磁力材料からなる記録媒体であり、この筐体36の内部に設けられた磁気スケール37と、磁気スケール37の両端部を保持してこの磁気スケール37を筐体36内の所定の位置に固定するブラケット38,39とを有している。なお、図8中には、図面の記載の明確化のため、このブラケット38,39を図示していない。
【0082】
筐体36は、例えば、矩形の筒状の形状を有しており、一側面が切り欠かれスリット40が形成されている。また、この筐体36は、スリット40が形成された側面と直交する側面41,42の長手方向の端部に、略円形状の筐体取付孔43が形成されている。
【0083】
磁気スケール37は、ブラケット38,39によりその両端が保持され、筐体36内に固定されている。この磁気スケール37は、筐体36の長手方向に平行であり、矩形の筒の中心軸上に位置されるように設けられている。また、この磁気スケール37には、スケール信号と原点信号とが位置信号として磁気記録されている。このスケール信号と原点信号とについては、その詳細を後述する。
【0084】
また、ヘッドスライダ32は、本体部31の内部に設けられたヘッド保持部46と、本体部31の外部に設けられたヘッドキャリア47と、このヘッド保持部46とヘッドキャリア47とを連結する連結部48とを有し、磁気スケール37の長手方向に移動可能に本体部31に取り付けられている。
【0085】
図11に、このヘッド保持部46の要部の分解斜視図を示す。
【0086】
ヘッド保持部46には、ヘッドホルダ49が設けられている。このヘッドホルダ49には、磁気スケール37の挿通孔が設けられている。ヘッドホルダ49は、この挿通孔にこの磁気スケール37が挿通されることにより、この磁気スケール37に取り付けられ、この磁気スケール37の長手方向に直線移動可能とされている。
【0087】
このヘッドホルダ49は、ヘッドホルダケース52により外部が覆い包まれており、その内部に、スケール信号用MRセンサ50と原点信号用MRセンサ51とを保持している。スケール信号用MRセンサ50は、磁気スケール37に記録されているスケール信号を検出する。また、原点信号用MRセンサ51は、磁気スケール37に記録されている原点信号を検出する。スケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51は、それぞれヘッドホルダ49に保持されていることから、このヘッドホルダ49の直線移動に伴い磁気スケール37の長手方向に平行移動する。これらスケール信号用MRセンサ50と原点信号用MRセンサ51の磁気スケール37の構成、及び、配設位置については詳細を後述する。
【0088】
このヘッドホルダ49の磁気スケール37の長手方向の両端には、一対の摺動支持部材53,54が取り付けられている。この摺動支持部材53,54は、その形状が略円柱状となっており、その中心軸に磁気スケール37が挿通する挿通孔が設けられている。この摺動支持部材53,54は、この挿通孔に磁気スケール37が挿通されることにより、この磁気スケール37に摺動自在に支持される。また、この摺動支持部材53,54は、磁気スケール37に摺動自在に支持されることにより、ヘッドホルダ49が磁気スケール37の長手方向に平行移動した場合に、このヘッドホルダ49を移動方向と直交する方向に位置ぶれを生じさせないようにしている。
【0089】
また、ヘッド保持部46には、一対の第1のスペーサ55,56と、一対の第2のスペーサ57,58とが設けられている。
【0090】
一対の第1のスペーサ55,56には、磁気スケール37が挿通する挿通孔が設けられている。この一対の第1のスペーサ55,56は、この挿通孔に磁気スケール37が挿通されることにより、磁気スケール37に取り付けられ、磁気スケール37の長手方向に直線移動可能とされている。また、この一対の第1のスペーサ55,56は、摺動支持部材53,54の磁気スケール37の長手方向のヘッドホルダ49が取り付けられていない一端面に当設している。
【0091】
また、一対の第2のスペーサ57,58は、磁気スケール37が挿通する挿通孔が設けられている。この一対の第2のスペーサ57,58は、この挿通孔に磁気スケール37が挿通されることにより、磁気スケール37に取り付けられ、磁気スケール37の長手方向に直線移動可能とされている。また、この一対の第2のスペーサ57,58は、第1のスペーサ55,56の磁気スケール37の長手方向の摺動支持部材53,54が当設していない一端面に当設している。
【0092】
また、ヘッド保持部46には、一対のヘッドホルダ挟持部材59,60と、バネ61とが設けられている。
【0093】
ヘッドホルダ挟持部材59,60には、磁気スケール37が挿通する挿通孔が設けられている。ヘッドホルダ挟持部材59,60は、この挿通孔に磁気スケール37が挿通されることにより、磁気スケール37に取り付けられ、磁気スケール37の長手方向に直線移動可能とされている。また、このヘッドホルダ挟持部材59,60は、連結部48に固定されている。この一対のヘッドホルダ挟持部材59,60は、摺動支持部材53,54が取り付けられたヘッドホルダ49を、一対の第1のスペーサ55,56と一対の第2のスペーサ57,58を介して、磁気スケール37の長手方向に平行な方向の両端から挟持している。また、ヘッドホルダ挟持部材59と第2のスペーサ57との間には、バネ61が設けられいる。このバネ61は、このヘッドホルダ挟持部材59からヘッドホルダ挟持部材60に向かう方向へ、ヘッドホルダ49を付勢している。
【0094】
また、ヘッドホルダ49には、回り止め用ピン62が設けられている。この周り止め用ピン62は、長手方向の一端がヘッドホルダ49に固定されており、他端が連結部48に設けられた回転規制穴63に挿入されている。そのため、ヘッドホルダ49の磁気スケール37を中心軸とする回転が規制される。
【0095】
また、第1のスペーサ55,56と第2のスペーサ57,58とが当設するそれぞれの当設面は球面形状を有している。この球面形状の当設面は、ヘッドホルダ挟持部材59,60が磁気スケール37の長手方向に直交する方向にヘッドホルダ挟持部材59,60が位置ずれした場合に、摺動支持部材53,54等から磁気スケール37に与える曲げモーメントを少なくするように機能している。
【0096】
以上のような構成のヘッド保持部46は、磁気スケール37の長手方向に平行な方向に移動可能に、この磁気スケール37に取り付けられている。この移動に応じてスケール信号用MRセンサ50と原点信号用MRセンサ51とが磁気スケール37に記録されたスケール信号及び原点信号を検出する。
【0097】
このヘッド保持部46は、連結部48を介してヘッドキャリア47と連結している。この連結部48は、磁気スケール37の長手方向と直交する方向の一端がヘッドホルダ挟持部材59,60に固定され、他端がスリット40から挿出して本体部31の外部に設けられたヘッドキャリア47に固定される。
【0098】
このようにヘッドスライダ32は、これらヘッド保持部46、ヘッドキャリア47、連結部48で構成され、磁気スケール37の長手方向に移動自在に本体部31に取り付けられている。そして、このヘッドスライダ32は、本体部31との相対移動に応じてスケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51が検出したスケール信号及び原点信号を、ヘッドキャリア47に設けられた信号ケーブル64を介して図示しない制御装置に供給する。
【0099】
以上のような構成の位置検出装置30は、磁気スケール37が基準部33と可動部34の相対移動方向に平行となり、スリット40が可動部34側に開口するように配置される。このように配置された位置検出装置30の本体部31は、スリット40が形成された側面と直交する側面41,42の一方が取付面となる。そして、この取付面の磁気スケール37の長手方向に平行な方向の端部に設けられた筐体取付孔43の位置で、本体用ボルト65,66や座金69等の固定部材により、基準部33に固定される。また、このように配置された位置検出装置30のヘッドスライダ32は、スライダ用ボルト67,68により可動部34に固定される。
【0100】
従って、この位置検出装置30では、この可動部34の直線移動に応じて本体部31とヘッドスライダ32との相対位置が変化し、ヘッドスライダ32内に設けられたスケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51がこの相対位置の変化に応じて変化するスケール信号及び原点信号を検出することにより、この可動部34の移動位置を検出することができる。
つぎに、磁気スケール37に記録されるスケール信号及び原点信号について説明する。
【0101】
スケール信号は、N極とS極とを交互に繰り返している周期的な信号であって、磁気スケール37の長手方向に連続して記録されている。具体的に、位置検出装置30の磁気スケール37には、図12に示すように、スケール信号として、所定の記録ピッチ(記録波長)λ1で交互に極性が反転する磁気信号が長手方向に沿って記録されている。このスケール信号は、丸棒状の磁気スケール37の外周全面に亘り記録されている。また、このスケール信号は、磁気スケール37の長手方向のほぼ全長に記録されている。このようなスケール信号が記録された磁気スケール37を用いることにより、位置検出装置30では、本体部31とヘッドスライダ32との相対移動位置の変化を検出ピッチP1(P1=λ1/2)毎の波長で検出することができ、基準部33と可動部34との相対位置を連続的に検出することができる。
【0102】
原点信号は、離散的な磁気信号例えば1波長分の磁気信号が、磁気スケール37の長手方向の所定の1カ所に記録された信号である。具体的に、位置検出装置30の磁気スケール37には、図12に示すように、原点信号として、記録ピッチλ2の1波長分の原点信号が、長手方向に少なくとも1カ所、上記スケール信号に重畳されて記録されている。この原点信号の記録ピッチλ2は、上記スケール信号の記録ピッチλ1よりも長い波長であり、例えば、スケール信号の記録ピッチλ1に対して2倍以上の波長となっている。また、この原点信号は、丸棒状の磁気スケール37の外周の一部に記録されている。例えば、この原点信号は、丸棒状の磁気スケール37に対して、略中心角60度の範囲の外周部分に記録されている。このような原点信号が記録された磁気スケール37を用いることにより、位置検出装置30では、本体部31とヘッドスライダ32との初期設定位置や原点位置等の基準位置を検出することができ、基準部33と可動部34との相対位置を基準位置に設定することができる。
【0103】
以上のようなスケール信号と原点信号とを比較すると次のようになる。
【0104】
原点信号の記録ピッチλ2は、スケール信号の記録ピッチλ1よりも長く、例えば、スケール信号の記録ピッチλ2の2倍以上となっている。スケール信号は、交互に極性が反転する磁気信号が磁気スケール37の長手方向のほぼ全長に亘り連続して記録された信号であるのに対して、原点信号は、1波長分の磁気信号が、磁気スケール37の長手方向の少なくとも1カ所に離散的に記録された信号である。また、スケール信号は、丸棒状の磁気スケール37の外周全面、換言すると中心角360度の外周部分に亘り記録された信号であるのに対して、原点信号は、磁気スケール37の外周の一部分、例えば中心角60度の外周部分に記録された信号である。なお、記録部は中心角60±30度程度で使用可能である。
【0105】
つぎに、スケール信号を検出するスケール信号用MRセンサ50の配設位置、及び、原点信号を検出する原点信号用MRセンサ51の配設位置について説明する。
【0106】
スケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51は、上述したように、磁気スケール37に取り付けられたヘッドホルダ49により保持されている。
【0107】
原点信号用MRセンサ51は、図13に示すように、磁気スケール37の長手方向と平行な方向に移動した際に、この磁気スケール37の外周の一部分に記録された原点信号と対向するように配設されている。すなわち、原点信号用MRセンサ51は、磁気スケール37に対して、中心角60度の外周部分に対向する位置に配設されている。
【0108】
スケール信号用MRセンサ50は、このような原点信号用MRセンサ51に対して、例えば、磁気スケール37を挟んで互いに向き合う位置に配設されている。
【0109】
ここで、スケール信号用MRセンサ50は、磁気スケール37の外周から間隔x1を保って配設されている。この間隔x1は、磁気スケール37の材質や半径に応じて、例えば、検出出力が十分大きくできる距離に定められる。また、原点信号用MRセンサ51は、磁気スケール37から、上記間隔x1より大きい間隔x2を保って配設されている。例えば、磁気スケール37と原点信号用MRセンサ51との間隔x2は、磁気スケール37とスケール信号用MRセンサ50との間隔x1に対して2倍程度の間隔となっている。
【0110】
このような位置に配設されたスケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51を保持するヘッドホルダ49は、磁気スケール37の長手方向の両端に一対の摺動支持部材53,54が取り付けられている。そのため、このヘッドホルダ49は、磁気スケール37の長手方向に対して垂直な方向への位置ぶれを生じさせずに、スケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51を平行移動させることができる。また、このヘッドホルダ49には、上述したように、回り止め用ピン62が設けられている。そのため、この周り止め用ピン62により磁気スケール37を中心軸とするヘッドホルダ49の回転が規制される。このことにより、原点信号用MRセンサ51は、原点信号が記録された磁気スケール37の外周の一部分に沿った領域の側面に常に対向した位置に保持される。
【0111】
以上のようなスケール信号用MRセンサ50では、原点信号が十分検出できる適正な間隔を磁気スケール37の外周から保って配設されるとともに、原点信号が記録されていない磁気スケール37の外周領域に対向して配設される。そのため、スケール信号用MRセンサ50は、原点信号の影響を受けることなく、磁気スケール37の外周全面に記録されたスケールから信号を検出することができる。
【0112】
また、原点信号用MRセンサ51は、原点信号が記録されている磁気スケール37の外周領域に対向して配設されるとともに、スケール信号が減衰するように、スケール信号用MRセンサ50よりも大きな間隔を磁気スケール37の外周から保って配設される。ここで、磁気スケール37には、スケール信号の記録波長より大きい記録波長の原点信号が記録されている。そのため、「記録長さ(波長)の短い記録ほど空間の磁気減衰が大きい」といういわゆる磁気のスペーシングロスの基本理論により、原点信号用MRセンサ51は、スケール信号の影響を受けることなく、原点信号を検出することができる。
【0113】
次に、スケール信号用MRセンサ50の構成についてさらに詳細に説明する。
【0114】
図14に、スケール信号用MRセンサ50の基板上に形成される線素群、線素及び電極のパターンを示し、図15に、スケール信号用MRセンサ50の基板上に形成される線素群内の線素のパターンを模式的に示す。
【0115】
スケール信号用MRセンサ50には、ガラス等の非磁性材料からなる基板上にFe-Ni,Ni-Co等の強磁性材料が成膜され、磁気抵抗効果を有する64個の線素が形成されている。これら64個の各線素は、その長手方向が磁気スケール37との相対移動方向に対して直交する方向となるように全て形成され、この長手方向に電流が流される。また、これら64個の各線素は、磁気スケール37との相対移動方向(図14中X1,X2方向)に並行に並べられ、基板上に形成されている。
【0116】
各線素は、上述した第1の実施の形態のMRセンサ3と同様に、線素に流される電流と直交する方向の幅が、この線素に対して磁気スケール2から印加される信号磁界の強さに応じて異なるようになっている。すなわち、各線素は、丸棒状の磁気スケール37とのギャップ長が狭い中央部分ではその幅が細くなっており、丸棒状の磁気スケール37とのギャップ長が広い端部部分ではその幅が太くなっている。
【0117】
このスケール信号用MRセンサ50に形成されている64個の各線素は、それぞれ8個の線素から構成される同一パターンの第1から第8の線素群71〜78に分割されている。
【0118】
第1の線素群71を基準としたときの他の第2から第8の線素群72〜78の配置関係は図14に示すとおりである。すなわち、第2の線素群72は、第1の線素群71からX1方向に(1+1/8)λ1離れた位置に形成されている。第3の線素群73は、第1の線素群71からX1方向に(3+1/12)λ1離れた位置に形成されている。第4の線素群74は、第2の線素群72からX1方向に(3+1/12)λ1離れた位置に形成されている。また、第5の線素群75は、第1の線素群71からX1方向に(6−1/4)λ1離れた位置に形成されている。第6の線素群76は、第5の線素群75からX1方向に(1+1/8)λ1離れた位置に形成されている。第7の線素群77は、第5の線素群72からX1方向に(3+1/12)λ1離れた位置に形成されている。第8の線素群78は、第6の線素群76からX1方向に(3+1/12)λ1離れた位置に形成されている。
【0119】
なお、X1方向とは、磁気スケール37とスケール信号用MRセンサ50との相対移動方向のうち一方向を示すものとする。また、λ1は、磁気スケール37に記録されたスケール信号の記録ピッチである。
【0120】
また、各線素群71〜78は、第1から第8の線素の8個の線素から構成されている。
【0121】
例えば、第1の線素群71内の第1の線素71aから第8の線素71hの配置関係は図15に示すとおりである。すなわち、第2の線素71bは、第1の線素71aからX1方向に(λ1/12)離れた位置に形成される。第4の線素71dは、第3の線素71cからX1方向に(λ1/12)離れた位置に形成される。第6の線素71fは、第5の線素71eからX1方向に(λ1/12)離れた位置に形成される。第8の線素71hは、第7の線素71gからX1方向に(λ1/12)離れた位置に形成される。また、第3の線素71cは、第1の線素71aからX1方向に(λ1/4)離れた位置に形成される。第7の線素71gは、第5の線素71eからX1方向に(λ1/4)離れた位置に形成される。また、第5の線素71eは、第1の線素71aからX1方向に(1/2+1/20)λ1離れた位置に形成される。第7の線素は、第3の線素71cからX1方向に(1/2+1/20)λ1離れた位置に形成される。
【0122】
なお、第1の線素群71を例にとって説明したが、線素群内における各線素の配置関係は、第1から第8の線素群71〜78までの全ての線素群で同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0123】
また、このスケール信号用MRセンサ50の基板上には、外部から電圧を供給し、また、外部に検出したスケール信号を供給するための接続端子が形成されている。
【0124】
スケール信号用MRセンサ50の基板上には、図14に示すように、電圧入力端子(+V1)と、電圧入力端子(−V2)と、電圧入力端子(+V2)と、電圧入力端子(−V2)と、電圧入力端子(+V3)と、電圧入力端子(−V3)と、電圧入力端子(+V4)の7個の電圧入力端子が設けられている。また、スケール信号用MRセンサ50の基板上には、図14に示すように、出力端子(A1)と、出力端子(A2)と、出力端子(B1)と、出力端子(B2)4個の出力端子が設けられている。
【0125】
例えば、電圧入力端子(+V1)、電圧入力端子(+V2)、電圧入力端子(+V3)、及び電圧入力端子(V4)には、それぞれ+5ボルトの電圧が印加される。また、例えば、電圧入力端子(−V1)、電圧入力端子(−V2)、及び電圧入力端子(−V3)には、それぞれグランド電圧が印加される。
【0126】
次に、スケール信号用MRセンサ50上に形成された64個の線素と、各電圧入力端子及び出力端子との接続関係について、図16を用いて説明する。
【0127】
電圧入力端子(+V1)と出力端子(A1)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(+V1)と出力端子(A1)との間には、電圧入力端子(+V1)からの接続順に、第1の線素群71の第1の線素71a、第1の線素群71の第2の線素71b、第1の線素群71の第5の線素71e、第1の線素群71の第6の線素71f、第3の線素群73の第1の線素73a、第3の線素群73の第2の線素73b、第3の線素群73の第5の線素73e、第3の線素群73の第6の線素73fとが接続される。
【0128】
電圧入力端子(−V1)と出力端子(A1)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(−V1)と出力端子(A1)との間には、電圧入力端子(−V1)からの接続順に、第1の線素群71の第3の線素71c、第1の線素群71の第4の線素71d、第1の線素群71の第7の線素71g、第1の線素群71の第8の線素71h、第3の線素群73の第3の線素73c、第3の線素群73の第4の線素73d、第3の線素群73の第7の線素73g、第3の線素群73の第8の線素73hとが接続される。
【0129】
電圧入力端子(+V2)と出力端子(B1)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(+V2)と出力端子(B1)との間には、電圧入力端子(+V2)からの接続順に、第5の線素群75の第1の線素75a、第5の線素群75の第2の線素75b、第5の線素群75の第5の線素75e、第5の線素群75の第6の線素75f、第7の線素群77の第1の線素77a、第7の線素群77の第2の線素77b、第7の線素群77の第5の線素77e、第7の線素群77の第6の線素77fとが接続される。
【0130】
電圧入力端子(−V2)と出力端子(B1)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(−V2)と出力端子(B1)との間には、電圧入力端子(−V2)からの接続順に、第5の線素群75の第3の線素75c、第5の線素群75の第4の線素75d、第5の線素群75の第7の線素75g、第5の線素群75の第8の線素75h、第7の線素群77の第3の線素77c、第7の線素群77の第4の線素77d、第7の線素群77の第7の線素77g、第7の線素群77の第8の線素77hとが接続される。
【0131】
電圧入力端子(+V3)と出力端子(B2)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(+V3)と出力端子(B2)との間には、電圧入力端子(+V3)からの接続順に、第6の線素群76の第1の線素76a、第6の線素群76の第2の線素76b、第6の線素群76の第5の線素76e、第6の線素群76の第6の線素76f、第8の線素群78の第1の線素78a、第8の線素群78の第2の線素78b、第8の線素群78の第5の線素78e、第8の線素群78の第6の線素78fとが接続される。
【0132】
電圧入力端子(−V2)と出力端子(B2)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(−V2)と出力端子(B2)との間には、電圧入力端子(−V2)からの接続順に、第6の線素群76の第3の線素76c、第6の線素群76の第4の線素76d、第6の線素群76の第7の線素76g、第6の線素群76の第8の線素76h、第8の線素群78の第3の線素78c、第8の線素群78の第4の線素78d、第8の線素群78の第7の線素78g、第8の線素群78の第8の線素78hとが接続される。
【0133】
電圧入力端子(+V4)と出力端子(A2)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(+V4)と出力端子(A2)との間には、電圧入力端子(+V4)からの接続順に、第2の線素群72の第1の線素72a、第2の線素群72の第2の線素72b、第2の線素群72の第5の線素72e、第2の線素群72の第6の線素72f、第4の線素群74の第1の線素74a、第4の線素群74の第2の線素74b、第4の線素群74の第5の線素74e、第4の線素群74の第6の線素74fとが接続される。
【0134】
電圧入力端子(−V3)と出力端子(A2)との間には、8個の線素が直列に接続されている。電圧入力端子(−V3)と出力端子(A2)との間には、電圧入力端子(−V3)からの接続順に、第2の線素群72の第3の線素72c、第2の線素群72の第4の線素72d、第2の線素群72の第7の線素72g、第2の線素群72の第8の線素72h、第4の線素群74の第3の線素74c、第4の線素群74の第4の線素74d、第4の線素群74の第7の線素74g、第4の線素群74の第8の線素74hとが接続される。
【0135】
スケール信号用MRセンサ50では、以上のように各線素と、電圧入力端子及び出力端子が接続されて、ブリッジ回路を構成する。
【0136】
例えば、電圧入力端子(+V1)と出力端子(A1)との間に直列に接続された線素の抵抗をR1、電圧入力端子(−V1)と出力端子(A1)との間に直列に接続された線素の抵抗をR2、電圧入力端子(+V2)と出力端子(B1)との間に直列に接続された線素の抵抗をR3、電圧入力端子(−V2)と出力端子(B1)との間に直列に接続された線素の抵抗をR4、電圧入力端子(+V3)と出力端子(B2)との間に直列に接続された線素の抵抗をR5、電圧入力端子(−V2)と出力端子(B2)との間に直列に接続された線素の抵抗をR6、電圧入力端子(+V4)と出力端子(A2)との間に直列に接続された線素の抵抗をR7、電圧入力端子(−V3)と出力端子(A2)との間に直列に接続された線素の抵抗をR8とするとする。この場合、スケール信号用MRセンサ50上に構成されるブリッジ回路は、図17に示すようになる。
【0137】
このように構成されたブリッジ回路では、出力端子A1から、電圧入力端子(+V1)と電圧入力端子(−V1)との中間電圧を中心として変化する記録ピッチλ1の1/2の波長(検出ピッチP1)の略正弦波の電気信号を得ることができる。
【0138】
また、上記出力端子(A1)から出力される信号がAsin(θ)とすると、出力端子(A2)からはAcos(θ)が出力され、出力端子B1からは−Asin(θ)が出力され、出力端子B2からは−Acos(θ)が出力される。
【0139】
ここで、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間に接続される線素の線素パターン及びその配線関係を図18に示す。
【0140】
この図18に示すように、第1の線素群71の第1の線素71aと、第1の線素群71の第2の線素71bとの対は、その中心間の距離がλ1/12となっている。同様に、第1の線素群71の第5の線素71eと第1の線素群71の第6の線素71fとの対、第3の線素群73の第1の線素73aと第3の線素群73の第2の線素73bとの対、第3の線素群73の第5の線素73eと第3の線素群73の第6の線素73fとの対も、それぞれその中心間の距離がλ1/12となっている。このλ1/12は、出力信号ではP/6に相当し、位相では1/6波長になる。このように出力信号の位相が1/6波長ずれていることによって、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間の線素は、記録ピッチλ1の1/2波長で変化する抵抗値のなかの3次高調波成分抵抗変化を低減する。従って、この出力端子(A1)から出力される出力信号(記録ピッチλ1の1/2の波長、即ち検出ピッチP1)の中の3次高調波信号を低減することができる。なお、この距離はλ1/12に限られず、(n/2±1/12)λ1であってもよい。
【0141】
また、第1の線素群71の第1の線素71aと第2の線素71bとの対と、第1の線素71の第5の線素71eと第6の線素71fとの対とは、その中心間距離が(1/2 + 1/20)λ1となっている。また、第3の線素群73の第1の線素73aと第2の線素73bとの対と、第3の線素73の第5の線素73eと第6の線素73fとの対とは、その中心間距離が(1/2 + 1/20)λ1となっている。このように位相が1/20波長ずれていることによって、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間の線素は、記録ピッチλ1の1/2波長で変化する抵抗値のなかの5次高調波成分抵抗変化を低減する。従って、この出力端子(A1)から出力される出力信号(記録ピッチλ1の1/2の波長、即ち検出ピッチP1)の中の5次高調波信号を低減することができる。なお、この距離は(1/2 + 1/20)λ1に限られず、(n/2±1/20)λ1であってもよい。
【0142】
また、磁気スケール37にはN極とS極とを交互に繰り返す周期的なスケール信号が長手方向に沿って着磁されている。スケール全体又は長手方向の一部分に直流磁化的な微小着磁分があった場合、スケール信号用MRセンサ50自体の異方性方向が線素の長手方向に並行にできてなく微小に角度を有している場合、又は、スケール信号用MRセンサ50自体が外部からの線素と直角に交わる磁化の方向が異なる場合等、スケール信号以外の影響がある場合、単独の線素は記録ピッチλ1の1/2の波長の抵抗変化に加えて、記録ピッチλ1での波長の抵抗変化を起こす。しかしながら、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間の線素は、これらのいずれか(或いは複数)の要因による記録ピッチλ1の波長の抵抗変化を、各線素が1/2波長ずれていることで、加算して打ち消している。なお、この距離は、λ 1 /2に限られず、((2n+1)/2 )λ1であってもよい。また、記録ピッチλ1の波長の信号を低減するためには、位相差が(2n+1)λ1/2の組を必ず設け、線素の合計を偶数とする。
【0143】
また、第1の線素群71と第3の線素群73との中心間の距離は、(3 + 1/12)λ1となっている。このように位相が1/12波長ずれていることによって、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間の線素は、記録ピッチλ1の1/2波長で変化する抵抗値のなかの3次高調波成分抵抗変化を低減する。従って、この出力端子(A1)から出力される出力信号(記録ピッチλ1の1/2の波長、即ち検出ピッチP1)の中の3次高調波信号を低減することができる。なお、この距離は(3 + 1/12)λ1に限られず、(n/2±1/12)λ1であってもよい。
【0144】
このように、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間に接続される線素の線素のパターンにより、この出力端子(A1)から出力される信号は、3次、5次の高調波信号を低減することができ、また、波長λ1のピッチの信号を打ち消すことができる。特に、3次高調波は、位相が1/12波長ずれるパターンを2重に繰り返すことによって、さらに低減されている。
【0145】
なお、ここでは、電圧入力端子(V1)と出力端子(A1)との間に接続される線素の線素パターンの例を示したが、他の端子間の線素パターンも同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、偶数次の高調波歪みは、上述したブリッジ回路を構成することにより、打ち消しあって低減される。
【0146】
以上のように、スケール信号用MRセンサ50では、このような線素を有することによって、磁気スケール37との相対位置を電気信号に変換して出力することができる。特に、このスケール信号用MRセンサ50では、高調波歪みの少ない正弦波信号を出力することができる。従って、例えば、検出ピッチP1(記録ピッチλ1の1/2)の内挿を正確に行うことができ、高分解能な位置検出をすることができる。
【0147】
つぎに、原点信号用MRセンサ51の構成についてさらに詳細に説明する。
【0148】
図19に、原点信号用MRセンサ51の基板上に形成される線素のパターンを示し、図20に、この原点信号用MRセンサ51の回路図を示す。
【0149】
原点信号用MRセンサ51には、ガラス等の非磁性材料からなる基板上にFe-Ni,Ni-Co等の強磁性材料が成膜され、磁気抵抗効果を有する12個の線素が形成されている。これら12個の各線素は、その長手方向が磁気スケール37との相対移動方向に対して直交する方向となるように全て形成され、この長手方向に電流が流される。また、これら12個の各線素は、磁気スケール37との相対移動方向(図19中X1,X2方向)に並行に並べられ、基板上に形成されている。
【0150】
この原点信号用MRセンサ51に形成されている12個の各線素は、それぞれ6個の線素から構成される第1と線素群91(線素91a〜線素91f)と、92(線素92a〜線素92f)に分割されている。
【0151】
この第1の線素群91と第2の線素群92とは、λ2/2離れた位置に形成されている。なお、λ2は、磁気スケール37に記録された原点信号の記録ピッチである。
【0152】
また、この原点信号用MRセンサ51の基板上には、外部から電圧を供給し、また、外部に検出したスケール信号を供給するための接続端子が形成されている。
【0153】
原点信号用MRセンサ51の基板上には、図19に示すように、電圧入力端子(+V)と、電圧入力端子(−V)と、出力端子(A)とが設けられている。 例えば、電圧入力端子(+V)には+5ボルトの電圧が印加され、例えば電圧入力端子(−V)にはグランド電圧が印加される。
【0154】
上記電圧入力端子(+V)と出力端子(A)との間には、第1の線素群91の各線素91a〜9fが直列に接続されている。また、上記電圧入力端子(−V)と出力端子(A)との間には、第2の線素群92の各線素92a〜92fが直列に接続されている。
【0155】
原点信号用MRセンサ51では、以上のように各線素と、電圧入力端子及び出力端子が接続されて、ブリッジ回路を構成する。例えば、電圧入力端子(+V)と出力端子(A)との間に直列に接続された線素の抵抗をR11、電圧入力端子(−V)と出力端子(A)との間に直列に接続された線素の抵抗をR12とする場合、原点信号用MRセンサ51上に構成されるブリッジ回路は、図20に示すようになる。
【0156】
このように構成されたブリッジ回路では、出力端子Aから、電圧入力端子(+V1)と電圧入力端子(−V1)との中間電圧を中心として変化する記録ピッチλ2の1/2の波長(検出ピッチP2)の電気信号を、原点信号を通過したときに得ることができる。
【0157】
このように原点信号用MRセンサ51では、このような線素を有することによって、磁気スケール37に記録された原点信号を電気信号に変換して出力することができる。
【0158】
以上のように、第2の実施の形態の位置検出装置30では、磁気スケール37の位置信号が記録された着磁面が曲面状であっても、充分な出力が得られるとともに特性の良い出力の得ることができる。また、この位置検出装置30では、磁気スケール37とスケール信号用MRセンサ50との距離を大きく保つことができ、そのため、組立が容易となり、信頼性の向上を図ることができる。
【0159】
また、この位置検出装置30では、スケール信号用MRセンサ50及び原点信号用MRセンサ51を以上のように配設することによってクロストークが抑えられ、良質なスケール信号及び原点信号を検出することができる。
【0160】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明するにあたり、直線的に移動する物体の位置を検出する位置検出装置1及び位置検出装置30を説明したが、本発明は、このような位置検出装置に限られず、例えば、回転する物体の回転位置を検出する位置検出装置であってもよい。
【0161】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明するにあたり、丸棒状の磁気スケール2又は磁気スケール37等から磁界が与えられる磁気抵抗効果センサ(MRセンサ)3及びスケール信号用MRセンサ50について説明したが、本発明の磁気抵抗効果センサに磁界を与える発磁体は、感磁部に対して、流される電流の方向に沿って異なる強さの信号磁界が印加されるものであればどのようなものであってもよい。
【0162】
また、本発明は、以上の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他様々な構成を取り得ることは勿論である。
【0165】
【発明の効果】
本発明に係る位置検出装置では、丸棒状の発磁体と磁気抵抗効果センサとを備え、磁気抵抗効果センサの感磁領域は、中央部と、流される電流と直交する方向である相対移動方向における幅が中央部よりも大きい端部と、流される電流と直交する方向の幅が次第に大きくなり、中央部と端部とを連続させる傾斜部とを有し、中央部においては、その長さが発磁体の径と略同一であり、長さ方向の中心が発磁体の表面まで最も近接し、傾斜部においては、流される電流の方向に沿って、発磁体の表面までの最短距離が次第に大きくなり異なる強さの信号磁界が発磁体から印加される。
【0166】
このことにより、本発明に係る位置検出装置では、発磁部が曲面、円弧であっても、特性が良く大きな出力を得ることができる。また、この位置検出装置では、発磁部との距離を大きく保つことができ、そのため、組立が容易となり、信頼性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の位置検出装置を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の位置検出装置の磁気抵抗効果センサを説明する図である。
【図3】上記磁気抵抗効果センサの等価回路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の位置検出装置の他の磁気抵抗効果センサを説明する図である。
【図5】(A)は、従来の短冊状の感磁部が成膜されたMRセンサにより、丸棒状の磁気スケールに記録された位置信号を検出した際の出力特性図である。(B)は、従来の短冊状の感磁部が成膜されたMRセンサであって、感磁部の長手方向の長さが磁気スケールの直径より短いMRセンサにより、丸棒状の磁気スケールに記録された位置信号を検出した際の出力特性図である。(C)は、本発明のMRセンサにより、丸棒状の磁気スケールに記録された位置信号を検出した際の出力特性図である。
【図6】三角柱状の磁気スケールを用いた上記本発明の第1の実施の形態の位置検出装置の変形例を説明する図である。
【図7】八角柱状の磁気スケールを用いた上記本発明の第1の実施の形態の位置検出装置の変形例を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の位置検出装置の斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の位置検出装置の側面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の位置検出装置の内部構造を表す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の位置検出装置のヘッド保持部の要部分解斜視図である。
【図12】上記位置検出装置の磁気スケールに記録されたスケール信号と原点信号を説明する図である。
【図13】スケール信号と原点信号とが記録された磁気スケールと、スケール信号用MRセンサと原点信号用MRセンサとの配置関係を説明する図である。
【図14】スケール信号用MRセンサの基板上に形成される線素群、線素及び電極のパターンを示す図である。
【図15】スケール信号用MRセンサの基板上に形成される線素群内の線素のパターンを模式的に示す図である。
【図16】スケール信号用MRセンサ上に形成された64個の線素と、各電圧入力端子及び出力端子との接続関係を説明する図である。
【図17】スケール信号用MRセンサの等価回路図である。
【図18】電圧入力端子と出力端子との間に接続される線素の線素パターン、及び、その配線関係を示す図である。
【図19】原点信号用MRセンサの基板上に形成される線素群、線素及び電極のパターンを示す図である。
【図20】原点信号用MRセンサの等価回路図である。
【図21】従来の位置検出装置を説明する図である。
【図22】上記従来の磁界抵抗効果センサを説明する図である。
【図23】上記従来の磁界抵抗効果センサの等価回路図である。
【図24】上記従来の磁界抵抗効果センサの動作を説明する図である。
【図25】上記従来の磁界抵抗効果センサの動作を説明する図である。
【図26】(A)は、MRセンサと平板状の磁気スケールとのギャップ長xを説明する図である。(B)は、MRセンサの感磁部の長手方向の長さlと磁気スケールの記録信号の幅Lを説明する図である。(C)は、平板状の磁気スケールを用いた場合の従来の磁気抵抗効果センサの出力特性図である。
【図27】(A)は、MRセンサと丸棒状の磁気スケールとのギャップ長xを説明する図である。(B)は、MRセンサの感磁部の長手方向の長さlと磁気スケールの記録信号の幅Lを説明する図である。(C)は、平板状の磁気スケールを用いた場合の従来の磁気抵抗効果センサの出力特性図である。
【図28】丸棒状の磁気スケールと従来の磁気抵抗効果センサの位置関係を説明する図である。
【符号の説明】
1,30 位置検出装置、2,37 磁気スケール、3 磁気抵抗効果センサ、12(12a,12b,12c,12d) 感磁部、31 本体部、32 ヘッドスライダ、33 基準部、34 可動部、36 筐体、37 磁気スケール、50 スケール信号用MRセンサ、51 原点信号用MRセンサ、71〜79,91,92 線素(線素群)
Claims (2)
- 位置情報を与える信号磁界が長手方向に記録された丸棒状の発磁体と、
上記発磁体に記録された信号磁界の記録方向に相対移動が可能に配設され、磁気抵抗効果を有する材料により感磁領域が形成された磁気抵抗効果センサとを備え、
上記磁気抵抗効果センサの感磁領域は、中央部と、流される電流と直交する方向である上記相対移動方向における幅が該中央部よりも大きい端部と、該流される電流と直交する方向の幅が次第に大きくなり、該中央部と該端部とを連続させる傾斜部とを有し、該中央部においては、その長さが上記発磁体の径と略同一であり、該長さ方向の中心が該発磁体の表面まで最も近接し、該傾斜部においては、該流される電流の方向に沿って、該発磁体までの最短距離が次第に大きくなり異なる強さの信号磁界が該発磁体から印加される位置検出装置。 - 上記発磁体には、記録ピッチλの位置情報が記録されており、上記磁気抵抗効果センサ上には、複数の上記感磁領域が上記発磁体との相対移動方向に並列配置されており、
上記磁気抵抗効果センサ上に並列配置された各感磁領域は、{(n/2)±(1/12)}λ(nは整数)の間隔を以て配置された感磁領域が対をなし、対をなす感磁領域が接続され、対をなす感磁領域が他の対をなす感磁領域と{(m/2)±(1/12)}λ(mは整数)を以て配置され直列に接続される請求項1に記載の位置検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31951998A JP4299901B2 (ja) | 1997-12-04 | 1998-11-10 | 位置検出装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-334434 | 1997-12-04 | ||
JP33443497 | 1997-12-04 | ||
JP31951998A JP4299901B2 (ja) | 1997-12-04 | 1998-11-10 | 位置検出装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11223506A JPH11223506A (ja) | 1999-08-17 |
JP4299901B2 true JP4299901B2 (ja) | 2009-07-22 |
Family
ID=26569751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31951998A Expired - Fee Related JP4299901B2 (ja) | 1997-12-04 | 1998-11-10 | 位置検出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4299901B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101705957B1 (ko) * | 2012-04-20 | 2017-02-10 | 더 팀켄 컴퍼니 | 인덱스 신호를 생성하기 위한 자기 인코더 |
JP2016031320A (ja) * | 2014-07-30 | 2016-03-07 | 株式会社デンソー | 磁気エンコーダ装置 |
-
1998
- 1998-11-10 JP JP31951998A patent/JP4299901B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11223506A (ja) | 1999-08-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR0139904B1 (ko) | 상대 변위 측정 장치 | |
US8766625B2 (en) | Linear segment or revolution counter with a ferromagnetic element | |
KR101417140B1 (ko) | 가변 자화 방향을 가진 위치센서 및 그 제조방법 | |
JP4907770B2 (ja) | フラックスゲート・センサを使用する位置エンコーダ | |
JP2005510859A (ja) | センサ配列 | |
JPS62237301A (ja) | 磁気的変位センサ | |
US20080238417A1 (en) | Magnetic substance detection sensor and magnetic substance detecting apparatus | |
CN103529277A (zh) | 磁式变换器以及用于测量电流的电流变换器 | |
JP2012255770A (ja) | 磁気センサ装置 | |
JP2015232473A (ja) | 位置検出装置 | |
EP0921407B1 (en) | Magneto-resistive effect sensor and position detection device | |
JP2000035343A (ja) | 巨大磁気抵抗効果素子を備えたエンコーダ | |
JP4947250B2 (ja) | 角度検出装置 | |
JP2012112703A (ja) | 磁気式位置検出装置 | |
JP4028971B2 (ja) | 磁気センサの組立方法 | |
JP4299901B2 (ja) | 位置検出装置 | |
JPS61173101A (ja) | 位置センサ | |
KR19980080674A (ko) | 물체의 위치를 무접촉 검출하기 위한 장치 및 상기 장치의 용도 | |
JP3064293B2 (ja) | 回転センサ | |
JPH11311543A (ja) | 磁気抵抗素子及び磁気検出装置 | |
JPH11311542A (ja) | 磁気検出装置 | |
JP4506960B2 (ja) | 移動体位置検出装置 | |
JP2001174286A (ja) | 磁気エンコーダ | |
JP2008014954A (ja) | 磁気センサ | |
JP2009300143A (ja) | 磁気式位置検出装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050817 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070516 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070807 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071005 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081007 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081208 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090113 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090311 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090323 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090414 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090420 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424 Year of fee payment: 3 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140424 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |