しかしながら、このような従来の検査方法では、ラインセンサカメラ510により夫々の基板502を走査して、夫々のベースマーク503及び補正マーク506の画像を取得して、夫々の位置の計測を行ない、多面取り基板501又は夫々の基板502の位置ズレ及び回転ズレを検出し、この検出結果を用いて、さらに夫々の基板502上を走査して、夫々の検査点505、506の画像を取得して、その位置計測を行なっているため、ラインセンサカメラ510による夫々の基板502上の走査が、実質的に2回行なわれることとなり、撮像検査に要する時間が大きくなるという問題点がある。
また、多面取り基板501の対角に設けられた夫々のベースマーク503は、多面取り基板501全体の位置ズレ及び回転ズレを検出するための基準となるものであり、特に、回転ズレに対しては、2つのベースマーク503の位置を正確に検出することで検出できるものであるものの、この2つのベースマーク503の画像を取得するためには、ラインセンサカメラ510の走査軸の図示Y軸方向への移動を伴う必要がある。このような場合にあっては、上記走査軸の移動誤差が、そのまま、夫々のベースマーク503の位置検出誤差として含まれることとなり、検査精度に直接的に影響することとなる。例えば、超高密度実装エリアに検査点が配置されているような場合にあっては、当該検査点に対して、その基準位置の良好な補正精度を得ることができず、高精度な検査を行なうことができないという問題がある。
図14について具体的な例を挙げて、上述の問題点をさらに説明すると、例えば、図示左下の基板502から図示右下の基板502までを走査するのに要する時間が10秒、その走査における誤差量が(3,0)um(X軸方向に3um、Y軸方向に0umであることを示す)であり、図示右下の基板502から図示右上の基板502への走査軸の軸移動に要する時間が2秒、その誤差量が(0,3)umであり、図示右上の基板502から図示左上の基板502までを走査するのに要する時間が10秒、その走査における誤差量が(3,0)umであり、図示左上の基板502から図示左下の基板502への走査軸の軸移動に要する時間が2秒、その誤差量が(0,3)umであるような場合には、上述の基板検査の動作に要する合計時間が46秒、その誤差が(12,9)umとなり、検査時間及び精度とも、良好なものであるとは言い難い。
また、夫々の基板502が、上記したようにフレキシブル状の基板である場合にあっては、伸縮性を有しかつ撓み易いというその特性により、補正マーク506自体が、上記たわみ等に起因して、予め定められた位置に位置されていないような場合も生じ得、このような場合にあっては、正確な検査処理を円滑に行なうことができない場合があるという問題がある。
さらに、多面取り基板501において、夫々の基板502が貼り付けられてその配置関係が固定された状態にあるものの、多面取り基板501の対角に設けられた1組のベースマーク503を検出するのみでは、個々の基板502の貼り付け位置を正確に検出することができないという問題もある。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、基板上に配置される部品実装位置や回路パターン等の検査点の画像を、走査方式センサを走査させることで取得して、上記夫々の検査点の位置検査を行なう基板検査において、その検査に要する時間の短縮化を図りながら、その検査精度を向上させることができる効率的かつ高精度な基板検査方法及び装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、(略方形状の)第1の基板と第2の基板とが隣接して配置され、当該配置関係が保持された状態にある基板集合体において、上記基板集合体の大略表面沿いに走査される走査方式センサを用いて、上記第1の基板及び上記第2の基板上に配置された夫々の検査点の画像を取得して、当該画像に基づいて上記夫々の検査点の位置検査を行なう基板検査方法であって、
上記走査方式センサを上記第1の基板に沿って走査させて、上記第1の基板が備える少なくとも2個のベースマークの画像を上記走査方式センサにより取得し、当該取得された画像に基づいて、上記夫々のベースマークの位置計測を行ない、
上記第1の基板の上記検査点の近傍に配置された隣接マークの基準位置データを、上記ベースマークの位置測定結果を用いて補正し、
当該補正された基準位置データに基づいて、上記隣接マークの画像を上記走査方式センサにより取得して、当該取得された画像に基づいて、上記隣接マークの位置計測を行ない、
上記検査点の基準位置データを、上記夫々のベースマーク及び上記隣接マークの位置計測結果を用いて補正し、
当該補正された基準位置データに基づいて、上記検査点の画像を上記走査方式センサにより取得して、当該取得された画像に基づいて、上記検査点の位置検査を行ない、
その後、上記走査方式センサを上記第2の基板に沿って走査させることで、上記第2の基板が備える少なくとも2個のベースマークの画像を上記走査方式センサにより取得して、当該取得された画像に基づいて、上記第2の基板の上記検査点の位置検査を行なうことを特徴とする基板検査方法(あるいは基板計測方法)を提供する。
ここで、上記検査点の位置検査は、上記取得された画像に基づいて、当該検査点の位置計測を行ない、当該位置計測結果と上記補正された基準位置データとを比較することで行なうことができる。また、この比較結果が所定の許容範囲内にあることでもって、上記検査結果を良好と判断することができる。
本発明の第2態様によれば、上記第1の基板及び上記第2の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方式センサの走査方向に対して略直交する方向に、互いに対向して配置されている第1態様に記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記第1の基板及び上記第2の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方式センサの走査方向における一の端部(上記方形状の基板の端部)近傍に配置され、
上記走査方式センサによる上記夫々の基板に沿っての走査は、上記一の端部側より開始される第2態様に記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第4態様によれば、上記第1の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方式センサの走査方向に対して略直交する方向に互いに対向して配置されて、
上記第2の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方向に略直交する方向から傾斜された方向に互いに対向して配置されている第1態様に記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記走査方式センサによる上記第1の基板の走査開始前に、上記夫々の基板における上記夫々のベースマークの基準位置データを取得し、上記取得された夫々の基準位置データに基づいて、上記走査方式センサによる上記基板集合体の走査経路の決定を行なう第3態様に記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記走査方式センサによる上記第1の基板の走査開始前に、当該第1の基板における上記夫々のベースマークの基準位置データ、上記隣接マークの上記基準位置データ、及び上記検査点の上記基準位置データを取得し、上記取得された夫々の基準位置データに基づいて、上記走査方式センサによる上記第1の基板の走査が開始される第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第7態様によれば、上記第1の基板が、上記隣接マークを有さないさらに別の検査点を有する場合には、上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて、上記別の検査点の基準位置データを補正し、
当該補正された基準位置データに基づいて、上記別の検査点の画像を上記走査方式センサにより取得して、当該取得された画像に基づいて、上記別の検査点の位置検査を行なう第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記第1の基板の上記検査点の上記基準位置データの補正においては、
上記夫々のベースマークの位置計測結果に基づいて、上記第1の基板の回転移動に起因する当該検査点の上記基準位置データの位置ズレの補正を行ない、
上記隣接マークの位置計測結果に基づいて、上記第1の基板の表面沿いの平行移動に起因する当該検査点の上記基準位置データの位置ズレの補正を行なう第1態様から第7態様のいずれか1つに記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第9態様によれば、第1の基板と第2の基板とが隣接して配置され、当該配置関係が保持された状態にある基板集合体において、上記基板集合体の大略表面沿いに走査される走査方式センサを用いて、上記第1の基板及び上記第2の基板上に配置された夫々の検査点の画像を取得して、当該画像に基づいて上記夫々の検査点の位置検査を行なう基板検査方法であって、
上記走査方式センサを上記基板集合体に沿って走査させて、上記第1の基板が備える少なくとも2個のベースマークの画像、及び上記第2の基板が備える少なくとも2個のベースマークの画像を上記走査方式センサにより取得し、上記取得された夫々の画像に基づいて、上記夫々のベースマークの位置計測を行ない、
その後、上記第1の基板又は上記第2の基板のいずれか一方の上記基板の上記検査点の近傍に配置された隣接マークの基準位置データを、当該一方の基板における上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて補正するとともに、上記走査方式センサを上記一方の基板に沿って走査させて、当該補正された基準位置データに基づいて、上記隣接マークの画像を上記走査方式センサにより取得して、上記取得された画像に基づいて、上記隣接マークの位置計測を行ない、
上記検査点の基準位置データを、上記夫々のベースマーク及び上記隣接マークの位置計測結果を用いて補正し、
当該補正された基準位置データに基づいて、上記検査点の画像を上記走査方式センサにより取得して、上記取得された画像に基づいて、上記検査点の位置検査を行ない、
その後、上記走査方式センサをいずれか他方の上記基板に沿って走査させて、当該他方の基板における上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて、当該他方の基板の上記検査点の位置検査を行なうことを特徴とする基板検査方法を提供する。
本発明の第10態様によれば、上記第1の基板及び上記第2の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方式センサの走査方向に対して略直交する方向から傾斜された方向に、互いに対向して配置されている第9態様に記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第11態様によれば、上記第1の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方式センサの走査方向に対して略直交する方向から傾斜された方向に、互いに対向して配置され、
上記第2の基板上において、上記夫々のベースマークは、上記走査方向に対して直交する方向に互いに対向して配置され、
上記第1の基板の上記夫々のベースマークの画像取得を行なった後、上記第2の基板の上記夫々のベースマークの画像取得を行ない、
その後、上記第2の基板を上記一方の基板として、上記検査点の位置検査を行なう第9態様に記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第12態様によれば、上記隣接マークあるいは上記検査点についての上記補正された基準位置データに基づいて特定される当該基板上の位置の画像を取得することで、当該隣接マークあるいは当該検査点の画像取得を行なう第1態様から第11態様のいずれか1つに記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第13態様によれば、上記画像取得を行なわない場合の上記走査方式センサの移動速度が、上記画像取得を行なう場合の移動速度よりも大きい第1態様から第12態様のいずれか1つに記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第14態様によれば、上記夫々の基板は、フレキシブル基板である第1態様から第13態様のいずれか1つに記載の基板検査方法を提供する。
本発明の第15態様によれば、複数の基板が隣接して配置され、当該配置関係が保持された状態にある基板集合体において、上記夫々の基板上に配置された夫々の検査点の画像を取得して、当該夫々の画像に基づいて上記夫々の検査点の位置検査を行なう基板検査装置であって、
上記基板集合体の大略表面沿いに相対的に走査しながら上記基板集合体上における測定対象位置の画像を取得する走査方式センサと、
上記走査方式センサと上記基板集合体との上記相対的な走査を駆動する走査駆動装置と、
取得された上記測定対象位置の画像に基づいて、当該測定対象位置の位置計測を行なう位置計測手段と、
上記位置計測手段による上記測定対象位置の位置計測結果に基づいて、当該測定対象位置とは別の測定対象位置の基準位置データを補正する基準位置補正手段と、
上記走査方式センサ、上記走査駆動装置、上記位置計測手段、及び上記基準位置補正手段の夫々を制御可能であって、上記夫々の基板において、上記走査駆動装置により上記走査方式センサの走査を行ないながら、当該基板上に配置された少なくとも2個のベースマークを上記測定対象位置として、上記夫々のベースマークの画像を上記走査方式センサにより取得するとともに、上記位置計測手段により、当該夫々のベースマークの位置計測を行ない、当該基板の上記検査点の近傍に配置された隣接マークを上記別の測定対象位置として、上記基準位置補正手段により当該隣接マークの基準位置データを、上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて補正し、当該補正された基準位置データに基づいて、上記隣接マークの画像を上記走査方式センサにより取得するとともに、上記位置計測手段により、当該隣接マークの位置計測を行ない、さらに、上記検査点を上記別の測定対象位置として、上記基準位置補正手段により当該検査点の基準位置データを、上記夫々のベースマーク及び上記隣接マークの位置計測結果を用いて補正し、当該補正された基準位置データに基づいて、上記検査点の画像を上記走査方式センサにより取得して、上記位置計測手段により、当該検査点の位置検査を行なう制御装置とを備えることを特徴とする基板検査装置(あるいは基板計測装置)を提供する。
本発明の第16態様によれば、上記位置計測手段は、上記取得された測定対象位置の画像に基づいて、上記各々の基板上における当該測定対象位置の絶対位置の計測を行なう第15態様に記載の基板検査装置を提供する。
本発明の第17態様によれば、上記基準位置補正手段は、上記位置計測手段により計測された上記夫々のベースマークの絶対位置より、上記基板の表面沿いの方向における平行移動に起因する位置ズレ量、及び当該基板の表面沿いの方向における回転移動に起因する位置ズレ量を算出するとともに、当該算出された夫々の位置ズレ量を用いて、上記隣接マークの基準位置データの補正を行なう第16態様に記載の基板検査装置を提供する。
本発明の第18態様によれば、上記基準位置補正手段は、上記位置計測手段により計測された上記隣接マークの絶対位置より、上記基板の表面沿いの方向における平行移動に起因する位置ズレ量を算出するとともに、当該隣接マークの絶対位置に基づいて算出された上記平行移動による位置ズレ量、及び上記夫々のベースマークの絶対位置に基づいて算出された上記回転移動による位置ズレ量を用いて、上記検査点の基準位置データの補正を行なう第17態様に記載の基板検査装置を提供する。
本発明の第19態様によれば、上記基板集合体の表面沿いでありかつその走査方向に直交する方向における上記走査方式センサの撮像視野の幅寸法が、上記夫々の基板における上記方向の幅寸法以上の寸法を有している第15態様から第18態様のいずれか1つに記載の基板検査装置を提供する。
本発明の第20態様によれば、上記夫々の基板における当該夫々のベースマークの基準位置データ、上記隣接マークの基準位置データ、及び上記夫々の検査点の基準位置データを取得して保持する基準位置データ取得部をさらに備え、
上記基準位置データ取得部は、上記走査方式センサによる上記夫々の基板の走査開始前に、当該基板に関する上記夫々の基準位置データを取得して保持する第15態様から第19態様のいずれか1つに記載の基板検査装置を提供する。
本発明の第21態様によれば、上記夫々の基板は、フレキシブル基板である第15態様から第20態様のいずれか1つに記載の基板検査装置を提供する。
本発明の上記第1態様によれば、複数の基板(第1の基板及び第2の基板)が整列配置され、かつ、当該配置関係が保持された状態にある基板集合体において、従来のようにその位置ズレを検出するためのベースマークが基板集合体全体として備えられているのではなく、個々の上記基板毎に夫々のベースマークが設けられていることにより、上記各々の基板に個別に生じる位置ズレ量を確実に検出することができる。
また、上記夫々の基板毎に上記夫々のベースマークが少なくとも2個以上設けられていることにより、上記各々の基板毎に個別に生じる位置ズレ量を、上記基板の表面沿いの平行移動に起因する位置ズレ量だけでなく、上記基板の表面沿いの回転移動に起因する位置ズレ量をも確実に検出することができる。
また、上記夫々の基板において、まず、当該基板における上記夫々のベースマークの位置計測を行なうことで、当該基板自体の位置ズレ量を算出し、当該基板における上記検査点に隣接して配置された隣接マークの基準位置データを上記算出結果と関連付けることで、高い位置精度でもって、上記隣接マーク及び上記検査点の位置計測を行なうことができる。
具体的には、先に算出された上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて、上記隣接マークの基準位置データの補正を行ない、当該補正された基準位置データに基づいて、上記走査方式センサによる走査の際に、上記隣接マークの形成位置を確実に特定することができ、上記隣接マークの画像を確実に取得することができる。その後、この取得された画像に基づいて、上記隣接マークの位置計測を行ない、上記夫々のベースマーク及び上記隣接マークの位置計測結果を用いて、上記検査点の基準位置データを補正するとともに、当該補正された基準位置データに基づいて、上記検査点の形成位置を確実に特定することができ、上記検査点の画像を確実に取得することができる。従って、上記基板において、撓みや位置ズレが生じているような場合であっても、当該基板上において、上記検査点の画像を確実に取得することができ、その画像を取得することで、上記検査点に対する位置検査(すなわち、当該画像に基づく上記検査点の位置計測を行ない、当該位置計測結果と、上記補正された基準位置データとを比較することで、上記位置検査を行ない)を高い精度でもって行なうことができる。
本発明の上記第2態様によれば、上記夫々の基板において、上記走査方式センサの走査方向に対して略直交する方向に、互いに対向して、上記夫々のベースマークが配置されていることにより、上記夫々のベースマークをいわゆる平行マークとして取り扱うことができる。具体的には、上記各々の基板において、上記走査方式センサの走査により、上記平行マーク、上記隣接マーク、上記検査点の順序となるように、夫々の位置計測を行なうことで、基板検査に要する時間を短縮化することができる効率的な検査方法を提供することができる。
本発明の上記第3態様によれば、さらに、当該基板において、上記夫々のベースマークが配置された基板の一の端部より、上記走査方式センサによる走査が開始されることで、上記第2態様による効果を確実に得ることが可能となる。
本発明の上記第4態様によれば、上記基板集合体における上記第1の基板に備えられた上記夫々のベースマークが上記平行マークとしての機能を有し、上記第2の基板に備えられた上記夫々のベースマークが、上記走査方向に略直交する方向から傾斜された方向に互いに対向して配置されたいわゆる対角マークとしての機能を有しているような場合であっても、上記第1態様による効果と同様な効果を得ることができる。特に、より高精度な位置検査が要求されるような基板を上記第2の基板とすることで、より確実かつ高精度な検査を効率的に行なうことが可能となる。
本発明の上記第5態様によれば、上記第1の基板の走査開始前に、上記基板集合体における上記夫々の基板の上記夫々のベースマークの基準位置データを取得し、当該取得された夫々の基準位置データに基づいて、上記走査方式センサによる走査経路が決定されることで、上記夫々の基板における上記夫々のベースマークの配置を参照しながら、効率的な走査経路を選択して決定することができる。
本発明の上記第6態様によれば、上記第1の基板の走査開始前に、当該第1の基板における上記夫々のベースマーク、上記補正マーク、及び上記検査点の基準位置データを取得し、これらのデータに基づいて、上記走査方式センサによる上記第1の基板の走査が開始されることにより、上記走査中にデータ取得を行なうこともなく、連続した走査を実現して、効率的な検査を行なうことができる。
本発明の上記第7態様によれば、上記第1の基板が、上記隣接マークを有さないさらに別の検査点を有する場合に、上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて、上記別の検査点の基準位置データを補正し、当該補正された基準位置データに基づいて、上記別の検査点の画像を取得して、当該取得された画像に基づいて、上記別の検査点の位置検査を行なうことにより、上記検査点とは検査精度が異なる上記別の検査点の検査にも柔軟に対応することができ、多様化された検査への対応が可能となる。
本発明の上記第8態様によれば、上記検査点の基準位置データの補正において、上記夫々のベースマークの位置計測結果に基づいて、上記第1の基板の回転移動に起因する当該検査点の上記基準位置データの位置ズレの補正を行ない、上記隣接マークの位置計測結果に基づいて、上記第1の基板の表面沿いの平行移動に起因する当該検査点の上記基準位置データの位置ズレ量の補正を行なうことで、上記平行移動による位置ズレ量は、上記検査点により近接して配置された上記隣接マークの位置計測結果を用いて、高い精度でもって補正を行なうことができるとともに、上記回転移動による位置ズレ量は、少なくとも2個以上配置されている上記夫々のベースマークの位置計測結果を用いて、高い精度でもって補正を行なうことができる。
本発明の上記第9態様によれば、上記夫々の基板における上記夫々のベースマークの画像のみを先に取得し、当該取得された画像に基づいて、上記夫々の基板における上記隣接マークや上記検査点の画像の取得を行って、その位置検査を行なうような場合であっても、上記第1態様による効果と同様な効果を得ることができる。
本発明の上記第10態様によれば、上記夫々の基板において、上記夫々のベースマークが上記対角マークとしての機能を有するように配置されていることにより、上記第9態様による効果をより効果的なものとすることができる。
本発明の上記第11態様によれば、上記第1の基板に配置された夫々のベースマークが上記対角マークとしての機能を有し、上記第2の基板に配置された夫々のベースマークが上記平行マークとしての機能を有しているような場合であっても、上記第1の基板の上記夫々のベースマークの画像取得を行なった後、上記第2の基板の上記夫々のベースマークの画像取得を行ない、その後、上記第2の基板を上記一方の基板として、上記検査点の位置検査を行なうことで、上記第9態様による効率的な検査を実現することができる。
本発明の上記第12態様によれば、上記隣接マークあるいは上記検査点についての上記補正された基準位置データに基づいて特定される当該基板上の位置の画像を取得することで、当該隣接マークあるいは当該検査点の画像取得を確実に行なうことができる。
本発明の上記第13態様によれば、上記走査方式センサが、その移動速度として2種類の速度を有し、上記画像取得を行なわない場合の移動速度が、上記画像取得を行なう場合の移動速度よりも大きく設定されていることで、検査のための移動に要する時間を短縮化することができ、効率的な検査を実現することができる。
本発明の上記第14態様又は上記第21態様によれば、上記夫々の基板が、可撓性を有し、撓みやすく、その上記基板集合体としての配置位置の位置ズレや、当該基板の表面自体の位置ズレが生じ易いという特徴を有するフレキシブル基板であることにより、上記夫々の態様による検査方法をより効果的なものとすることができる。
本発明の上記第15態様によれば、上記走査方式センサと、上記走査方式センサの走査を駆動する上記走査駆動装置と、取得された画像に基づいて上記測定対象位置の位置計測を行なう上記位置計測手段と、その位置計測結果に基づいて、当該測定対象位置とは別の測定対象位置の基準位置データを補正する上記基準位置補正手段と、これら夫々の制御を行ない、上記第1態様と同様な手法にて、上記基板の上記検査点の位置検査を行なう制御装置とが備えられていることにより、上記基板検査装置において効率的かつ高精度な検査を実現することができる。
本発明の上記第16態様によれば、上記位置計測手段が、上記画像に基づいて、上記測定対象位置の絶対位置の計測を行なうことで、上記位置計測を確実に行なうことができる。
本発明の上記第17態様によれば、さらに、上記基準位置補正手段が、上記位置計測手段により計測された上記夫々のベースマークの絶対位置より、上記基板の平行移動による位置ズレ量及び回転移動による位置ズレ量を算出するとともに、当該算出された夫々の位置ズレ量を用いることで、上記隣接マークの基準位置データの補正を確実に行なうことができる。
本発明の上記第18態様によれば、さらに、上記基準位置補正手段が、上記隣接マークの絶対位置により、上記平行移動による位置ズレ量を算出するとともに、上記夫々のベースマークの絶対位置により、上記回転移動による位置ズレ量を算出して、上記夫々の位置ズレ量を用いることで、上記検査点の基準位置データの補正を確実に行なうことができる。
本発明の上記第19態様によれば、上記走査方式センサの撮像視野の幅寸法が、上記夫々の基板における幅寸法以上の寸法を有していることにより、上記基板上の走査による画像取得を効率的に行なうことができる。
本発明の上記第20態様によれば、上記基準位置データ取得部において、上記走査開始前に上記夫々の基準位置データを取得することで、走査経路の決定等を事前に行なうことができ、より効率的な検査を実現することができる。
(用語の定義)
本発明の実施の形態を説明するに先立って、本発明の明細書又は特許請求の範囲にて用いられる用語の定義について説明する。
用語「基板」とは、部品等が所定の位置に実装されることで、電子回路を形成可能な回路基板のことである。さらに、本発明においては、その部品実装位置の位置精度に高い精度が要求される反面、可撓性を有し、外力付加やその支持形態により当該基板自体が撓むことで、その部品実装位置の2次元的な絶対位置が変化されるという特徴を有するような基板を対象とする。上記基板の具体例としては、上記可撓性を有するフレキシブル基板等があり、このような基板は一般的に略方形状を有している場合が多い。
用語「基板集合体」とは、複数の上記基板が隣接して配置され、当該配置関係が保持された状態のものをいう。上記複数の基板が集合されて形成される場合、さらに、1枚の基板が、複数の基板に分割可能な複数の基板形成領域を有しているような場合も含まれる。また、上記基板集合体は、上記複数の基板を配置保持するための基板保持部材(あるいは基板支持体)が含まれているような場合であってもよい。
用語「ベースマーク」とは、上記基板上の測定対象位置を特定するための基準の位置となる識別マークのことである。上記基板集合体を構成する個々の基板上に配置され、上記基板集合体に対する上記各々の基板の平行移動による位置ズレ量や回転移動による位置ズレ量を検出するための基準となるとともに、上記基板集合体自体の位置ズレ量を検出するための基準ともなる。また、上記回転移動による位置ズレ量を確実に検出するために、上記ベースマークは、1枚の上記基板に少なくとも2個配置されていることが好ましく、さらに、その認識精度を向上させるために、上記基板上において、上記夫々のベースマークが互いに離間して配置されていることがより好ましい。具体例としては、上記基板が略四角形状の形状を有する場合にあっては、当該基板における1組の対角に上記夫々のベースマークが配置された対角マークや、上記走査方式センサの走査方向と直交する方向における上記基板上に、互いに対向するように上記夫々のベースマークが配置された平行マーク等がある。
用語「隣接マーク」とは、上記基板上の測定対象位置を特定するための基準の位置となる識別マークのことである。ただし、このような識別マークとしての独立して形成されているような場合のみに限られるものではなく、その形状、模様、及び色彩、又はこれらの組み合わせ(すなわち、形態)として、上記基板上に一体的に形成されているような場合であっても、当該基板上における他の位置と識別可能に形成されていればよい。
用語「検査点」とは、上記基板上においてその位置精度が検査対象となる位置のことである。例えば、上記基板上における部品の実装位置や電極等の接続端子の形成位置等がある。また、上記検査点は、検査対象となる「位置」である場合のみに限られるものではなく、上記基板上において検査対象となる「領域」であるような場合であってもよい。このような検査対象となる領域としては、例えば、上記基板上における複数の微小部品の高密度実装領域等がある。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる基板検査方法を行なう基板検査装置の一例である撮像検査装置100の模式的な構成を示す模式構成図を図1に示す。また、この撮像検査装置100にて取り扱われる基板の一例を、図2の模式平面図に示す。
まず、図2に示すように、撮像検査装置100においては、複数の基板2が、互いに隣接して配置され、その配置関係が保持されて一体的な状態とされた基板集合体として取り扱われる。具体的には、略四角形板状の形状を有する基板支持体1aの上面に、略四角形状の4枚の基板2が互いに隣接されるようにして貼り着して保持されることで、基板集合体の一例である多面取り基板1が形成されている。夫々の基板2は、例えば、可撓性を有するフレキシブル基板やフィルム状基板であり、その表面あるいは内部には電子回路が形成されており、部品が実装可能に形成されている(あるいは、既に部品が実装されているような場合であってもよい)。このように可撓性を有し、単体では確実な搬送を行なうことが困難であるというような基板2が、基板支持体1aに貼り付けられてその配置や形態が保持されていることで、夫々の基板2の確実な搬送を可能とすることができる。
また、図2に示すように、夫々の基板2における部品の実装側表面(例えば、上面)には、撮像検査装置100による検査対象となる1又は複数の検査点4、5が配置されている。このような検査点4、5は、基板2に形成された電子回路において、その形成位置精度が重要視されるような位置が該当し、例えば、基板2における部品の実装位置や電極端子等が検査点となり得る。また、このような検査点は、位置(点)である場合のみならず、領域であるような場合もある。例えば、基板2における複数の部品の高密度実装領域等が、このような領域の検査点となり得る。また、夫々の検査点4、5の種類により、求められる位置精度が異なる場合がある。例えば、図2に示す夫々の基板2においては、検査点5よりも検査点4の方が、より高い位置精度が要求される検査点となっている。
さらに、夫々の基板2には、基板支持体1aへの基板2の配置位置の位置ズレや、各々の基板2上における検査点の近傍の位置ズレを認識するための基準マークとなる複数の種類、例えば、2つの種類の補正マークが設けられている。これらの補正マークのうちの1つの種類は、基板2全体の位置ズレを認識するためのベースマーク3と称する補正マークであり、残りの1つの種類は、所定の検査点近傍の位置ズレを認識するための隣接マーク6と称する補正マークである。
各々の基板2には、少なくとも2個のベースマーク3が設けられており、図2に示す夫々の基板2においては、2個のベースマーク3が設けられている。このように1枚の基板2において、2個以上のベースマーク3が設けているのは、基板2の表面沿いの平行移動による位置ズレを認識するだけでなく、基板2の表面沿いの回転移動による位置ズレ(角度ズレ)の認識も可能とするためである。また、図2に示すように、夫々の基板2における図示Y軸方向の夫々の端部に、夫々のベースマーク3が互いに対向するように配置されている。このような配置形態を有する夫々のベースマーク3を平行マークと称しており、後述する基板2における対角への配置形態を有する対角マークと区別される。なお、平行マークにおいては、夫々のベースマーク3のX座標が同じで、Y座標が異なり、一方、対角マークにおいては、夫々のベースマークのX座標及びY座標ともに異なっている。
また、図示下方に配列される2枚の基板2においては、夫々のベースマーク3が図示X軸方向左側の端部に配置されており、図示上方に配列される2枚の基板2においては、夫々のベースマーク3が図示X軸方向右側の端部に配置されている。このような配置は、後述する走査方式センサの走査方向及び走査経路との関係で決定することができ、夫々の基板2において、上記走査方式センサの走査方向の手前側の端部に夫々のベースマーク3が配置されることが好ましい。なお、図2においては、上記下方に配列された夫々の基板2については、図示X軸方向右向きが上記走査方式センサの走査方向となっており、また、上記上方に配列された夫々の基板2については、図示X軸方向左向きが上記走査方式センサの走査方向となっている。また、図2においては、夫々の基板2において、2個ずつのベースマーク3が配置されている例について説明したが、3個以上のベースマーク3が配置されて、そのうちの上記配置に該当する2個のベースマーク3のみが平行マークとして用いられるような場合であってもよい。なお、図2において、図示X軸方向とY軸方向は、基板2の表面沿いの方向であって、互いに直交する方向である。
また、図2に示すように、夫々の基板2において、隣接マーク6は、より高い精度の位置計測が求められる検査点4の近傍に隣接するように設けられている。さらに、各々の検査点4についての隣接マーク6は、夫々の検査点4に対して、上記ラインセンサカメラの走査方向手前側に配置されており、上記ラインセンサカメラを走査させた場合に、必ず検査点4よりも先に当該検査点4についての隣接マーク6を認識することが可能となっている。なお、各々の検査点4について、1個の隣接マーク6が設けられている場合に代えて、2個以上の隣接マーク6が設けられているような場合であってもよいが、基板2の製造コスト削減や小型化の観点より、配置される補正マークは必要最小限とすることが好ましい。なお、夫々の基板2において、検査点5の近傍には隣接マーク6が設けられていない。また、夫々の基板2において、1個の検査点4に対して1個の隣接マーク6が設けられている場合に代えて、2個以上の検査点4に対して個別に対応する複数の隣接マーク6が設けられるような場合、あるいは、2個以上の検査点4に対して1個のみの隣接マーク6が設けられるような場合のいずれの場合であってもよい。また、その近傍に配置された検査点4と隣接マーク6との間の距離寸法は、例えば5mm程度となっており、このような距離寸法は、3〜15mm程度の範囲で決定されることが望ましい。検査点4に部品が装着される場合に、その装着位置ズレや部品の寸法公差等により隣接マーク6が当該部品により隠れてしまわないような距離寸法を少なくとも確保すること、及び、検査点4とこれに隣接する隣接マーク6とを1枚の画像に収めた場合にその画像データが大きくなりすぎないようにすることを考慮したものである。
次に、このような多面取り基板1の夫々の基板2が備える夫々の検査点4、5に対して、夫々の画像を撮像し、当該画像に基づいてその形成位置の検査を行なう撮像検査装置100の構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、撮像検査装置100は、検査対象である多面取り基板1を解除可能に保持する基板保持部12と、基板保持部12に保持された状態の多面取り基板1における夫々の基板2の表面を走査しながらその画像を撮像して取得する走査方式センサの一例であるラインセンサカメラ10とを備えている。さらに、撮像検査装置100は、図示X軸方向沿いに配置されたラインセンサカメラ10の走査軸Pに沿って、ラインセンサカメラ10を移動させることで、上記走査を行なう走査駆動装置14と、基板保持部12を図示Y軸方向に沿って移動させることで、基板保持部12に保持された多面取り基板1に対してラインセンサカメラ10を相対的に図示Y軸方向に移動させて、走査軸PのY軸方向の相対的な移動を行なう保持部移動装置16とを備えている。なお、走査駆動装置14及び保持部移動装置16は、ラインセンサカメラ10や基板保持部12の移動機構として、例えば、ボールネジ軸と、これに螺合したナット部と、上記ボールネジ軸を回転駆動する駆動モータを用いた移動機構を用いることができる。
また、ラインセンサカメラ10は、その走査軸Pと直交する方向である図示Y軸方向沿いかつ線状の視野を有しており、走査軸Pに沿ってラインセンサカメラ10が移動されることで、上記線状の視野が基板2の表面沿いに移動され、その結果として、基板2の表面における2次元画像データを取得することができる。このようにラインセンサカメラ10の上記視野が走査軸Pに沿って移動されることにより形成される領域が、ラインセンサカメラ10の撮像領域Rとなっている。図1に示すように、多面取り基板1における図示Y軸方向左側にラインセンサカメラ10の撮像領域Rが位置されるような場合にあって、多面取り基板1における図示Y軸方向右側に撮像領域Rを位置させたい場合には、保持部移動装置16により多面取り基板1に対してラインセンサカメラ10の走査軸Pを図示Y軸方向右側に相対的に移動させることで、撮像領域Rの移動を行なうことができる。なお、ラインセンサカメラ10の上記線状の視野の幅寸法(すなわち、図示Y軸方向の寸法)は、図2に示す夫々の基板2における図示Y軸方向の幅寸法と略同じ、あるいは、僅かに大きくなるように形成されている。
また、図1に示すように、撮像検査装置100には、ラインセンサカメラ10による撮像動作、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の走査動作、基板保持部12による多面取り基板1の保持/保持解除動作、保持部移動装置16によるラインセンサカメラ10の走査軸Pの相対的な移動動作、さらに、撮像された画像に基づく夫々の検査点4、5の位置検査動作の夫々の動作制御を互いに関連付けながら統括的に行なう制御装置20が備えられている。
このような制御装置20の構成について、図3に示す模式構成図を用いて以下に説明する。なお、この模式説明図は、制御装置20の構成のうちの主要な構成のみを示している。
図3に示すように、制御装置20は、制御装置20の外部よりデータの取得を行なうデータ取得部22と、当該取得されたデータ等の解析処理あるいは当該解析結果に基づく撮像検査装置100の動作制御等を行なう撮像検査制御部21と、上記取得されたデータや上記解析処理結果等を、取り出し可能に記憶するメモリ部23とを備えている。
具体的には、図3に示すように、データ取得部22は、ラインセンサカメラ10を通して取得される画像データを取得する画像データ取得部27と、検査対象である夫々の基板2に関する基板データ、例えば、ベースマーク3、隣接マーク6、検査点5の基準位置データ(設計上決定される位置データ)の位置情報を含む基板データを取得する基板データ取得部28とを備えている。この基板データは、例えば、夫々の基板2についての部品実装データ等を含むCADデータ等に含まれている。さらに、画像データ取得部27にて取得された画像データはメモリ部23に取り出し可能に記憶され、基板データ取得部28にて取得された基板データもメモリ部23に取り出し可能に記憶される。
また、撮像検査制御部21は、メモリ部23に記憶された基板2上における測定対象位置の画像データを取り出して、当該画像データに基づき、上記測定対象位置の位置計測を行なう位置計測手段の一例である位置計測部24と、上記測定対象位置の位置計測結果に基づいて、当該測定対象位置とは別の測定対象位置の基準位置データを補正する基準位置補正手段の一例である基準位置補正部26と、メモリ部23に記憶された基板データを取り出して、当該基板データに基づき、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の走査動作(すなわち、画像撮像動作)を制御するカメラ走査部25とを備えている。位置計測部24は、上記画像データに基づき、上記測定対象位置の絶対位置を検出することで、当該測定対象位置の位置計測を行なう。また、位置計測部24による位置計測結果のデータや、基準位置補正部26による基準位置データの補正結果のデータは、メモリ部23に取り出し可能に記憶させることが可能となっている。さらに、メモリ部23に記憶された上記位置計測結果のデータや基準位置補正結果のデータを、カメラ走査部25が取り出して、これらのデータに基づいてラインセンサカメラ10の走査動作を制御することもできる。制御装置20が、このような構成を有していることにより、多面取り基板1の夫々の基板2が有する夫々の検査点4、5の形成位置の検査を行なうことが可能となっている。なお、図3に示す模式構成図においては、その図示を省略したが、制御装置20が上記検査結果を当該制御装置20の外部に出力可能とする出力部が設けられているような場合であってもよい。また、上記絶対位置とは、上記位置計測において絶対的な基準となる共通の座標系のことであり、例えば、夫々の基板2毎にベースマーク3を基準として決定される位置のことである。また、このような場合に代えて、隣接マーク6が基準とされるような場合であってもよい。
このような構成を有する撮像検査装置100において、多面取り基板1に対して検査処理を行なう手順について、図4に示す多面取り基板1の模式平面図を用いた検査処理手順の模式説明図と、図5に示す検査手順の基本的な流れを記載したフローチャートとを用いて、以下に説明する。なお、以下に説明する検査処理においては、制御装置20により、撮像検査装置100の夫々の構成部が互いに関連付けられながら統括的な制御が行なわれる。
まず、撮像検査装置100において、多面取り基板1が基板保持部12に保持されるとともに、当該多面取り基板1に関する基板データが、制御装置20の基板データ取得部28に入力されて取得され、メモリ部23に取り出し可能に記憶される。その後、カメラ走査部25において、メモリ部23より基板データが取り出されるとともに、当該基板データに基づいて、多面取り基板1における基板2の個数や配置、さらに、夫々のベースマーク3、隣接マーク6、検査点4、5の夫々の基準位置データが認識される。カメラ走査部25においては、これらの基板データに基づいて、ラインセンサカメラ10による撮像領域Rの振り分けや、当該振り分けられた複数の撮像領域Rの撮像順序等の決定が行なわれる(図5のステップS1)。
具体的には、図4に示す多面取り基板1において、図示左下に配置されている基板2を第1の基板2−1とし、この第1の基板2−1から図示反時計方向に順に、第2の基板2−2、第3の基板2−3、第4の基板2−4とすると、ラインセンサカメラ10の視野幅が、夫々の基板2の図示Y軸方向の幅寸法と略同じ、あるいは、僅かに大きく形成されているため、走査軸Pの移動を伴わない連続的な走査で一度に画像の取得ができる撮像領域Rとしては、第1の基板2−1と第2の基板2−2とにより形成される撮像領域Rと、第3の基板2−3と第4の基板2−4とにより形成される撮像領域Rとに振り分けることができる。ただし、この場合、夫々の撮像領域Rにおいて、2枚の基板2が含まれることとなるため、この2枚の基板2を分割して、結果的に、夫々の基板2ごとの4つの撮像領域Rへの振り分けを行なう。この4つの撮像領域Rを、第1の基板2−1について第1撮像領域R1、第2の基板2−2について第2撮像領域R2、第3の基板2−3について第3撮像領域R3、第4の基板2−4について第4撮像領域R4とする。
また、これら夫々の撮像領域Rの振り分けとともに行なわれる夫々の撮像領域Rの撮像順序の決定は、各々の基板2に形成されているベースマーク3の配置等を考慮して行なわれる。例えば、本実施形態にように、ベースマーク3として平行マークが用いられるような場合にあっては、ラインセンサカメラ10により夫々の基板2が走査される際に、各々の基板2において始めに必ずベースマーク3が認識されるような走査経路であって、かつ、その全体の走査経路が最短となるような走査経路が考慮される。その結果として、図示X軸方向右向きを走査方向として、第1の基板2−1、第2の基板2−2の順序で走査を行ない、その後、図示Y軸方向への走査軸Pの軸移動を行ない、図示X軸方向左向きを走査方向として、第3の基板2−3、第4の基板2−4の順序で走査を行なう走査経路が採用される。従って、撮像順序としては、第1撮像領域R1、第2撮像領域R2、第3撮像領域R3、第4撮像領域R4の順序と決定される。
この撮像領域の振り分けが行なわれた後、制御装置20のカメラ走査部25において最初の撮像領域Rとして第1撮像領域R1が選択される(ステップS2)とともに、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の移動と、保持部移動装置16による基板保持部12の移動とを行なうことで、ラインセンサカメラ10を多面取り基板1の第1の基板2−1の図示X軸方向左側上方に位置させる。この状態が図4に示す状態である。なお、この配置状態においては、ラインセンサカメラ10の走査軸Pが、第1の基板2−1及び第2の基板2−2の夫々における図示Y軸方向の略中央付近に位置されている。その後、走査駆動装置14によりラインセンサカメラ10が図示X軸方向右向きに移動が開始され、第1の基板2−1の上面の走査を開始する(ステップS3)。
カメラ走査部25において、基板データにおける第1の基板2−1の夫々のベースマーク3の基準位置データに基づいて、既に移動を開始しているラインセンサカメラ10が夫々のベースマーク3の上方に位置されたと判断されたときに、夫々のベースマーク3の画像が画像データ取得部27を通して取得される。取得された画像データは、メモリ部23に保持されるとともに、位置計測部24により取り出されて、当該画像データに基づいて、夫々のベースマーク3の形成位置の計測が行なわれる(ステップS4)。この位置計測の結果は、メモリ部23に記憶される。
その後、カメラ走査部25において、基板データに基づき、第1の基板2−1においてラインセンサカメラ10の走査方向に検査点があるかどうかが判断される(ステップS5)。走査方向に複数の検査点が配置されているような場合にあっては、走査方向において最も近い位置に位置されている検査点が選択される。図4においては、第1の基板2−1の検査点4が選択される。さらに、この選択された検査点4が隣接マーク6を有しているかどうかの判断が行なわれる(ステップS6)。上記選択された検査点4は隣接マーク6を有しているため、基準位置補正部26において、メモリ部23からこの隣接マーク6の基準位置データ、及び夫々のベースマーク3の位置計測結果のデータが取得されるとともに、夫々のベースマーク3の位置計測結果のデータに基づいて、隣接マーク6の基準位置の位置ズレ量の補正が行なわれる(ステップS7)。
具体的には、夫々のベースマーク3の位置計測結果における夫々のXY座標に基づいて、基板2の表面沿いの回転移動に起因する位置ズレ量である夫々のベースマーク3の基準位置に対する回転角度ズレ量と、基板2の表面沿いの平行移動に起因する位置ズレ量であるX方向及びY方向のXY位置ズレ量が算出され、この算出された上記回転角度ズレ量とXY位置ズレ量とを隣接マーク6の基準位置データに反映することで、当該基準位置データの補正を行なう。このような補正を行なうのは、第1の基板2−1自体や多面取り基板1自体の位置ズレに起因して、基準位置データにて特定される第1の基板2−1上の位置に、本来位置されているべき補正マーク6が存在せず、その画像の取得を行なうことができないという事態が発生することを未然に防止して、確実な画像取得を行なうためである。なお、この補正された基準位置データはメモリ部23に記憶される。
その後、カメラ走査部25において、メモリ部23から隣接マーク6の上記補正された基準位置データが取り出されて、当該データに基づいて、ラインセンサカメラ10が隣接マーク6の上方に位置されたと判断されたときに、当該隣接マーク6の画像が、画像データ取得部27を通して取得され、メモリ部23に記憶される。さらに、メモリ部23から位置計測部24へ当該画像データが取り出されて、当該画像データに基づいて、隣接マーク6の形成位置の計測が行なわれる(ステップS8)。この位置計測の結果は、メモリ部23に記憶される。
その後、基準位置補正部26において、メモリ部23から上記選択された検査点4の基準位置データ、及び隣接マーク6の位置計測結果のデータが取得されるとともに、隣接マーク6の位置計測結果におけるXY座標に基づいて、この隣接マーク6の基準位置に対するXY位置ズレ量が算出される。この算出された上記XY位置ズレ量を検査点4の基準位置データに反映して、XY位置ズレ量の補正を行なうとともに、先に算出された夫々のベースマーク3の上記回転角度ズレ量を検査点4の基準位置データに反映して、回転角度ズレ量の補正を行なう(ステップS9)。この補正された基準位置データはメモリ部23に記憶される。
その後、カメラ走査部25において、メモリ部23から検査点4の上記補正された基準位置データが取り出されて、当該データに基づいて、ラインセンサカメラ10が検査点4の上方に位置されたと判断されたときに、当該検査点4の画像が、画像データ取得部27を通して取得され、メモリ部23に記憶される。さらに、メモリ部23から位置計測部24に当該画像データが取り出されて、当該画像データに基づいて、検査点4の位置計測、すなわち、位置検査が行なわれる(ステップS11)。具体的には、上記補正された検査点4の基準位置データと上記位置計測結果のデータ(すなわち、XY座標の絶対位置)との比較判断が行なわれることで、検査点4が予め定められた位置に形成されているかどうかが判断される。この検査結果は、メモリ部23に取り出し可能に記憶される。必要に応じて当該検査結果を認識可能にメモリ部23から出力することもできる。
さらに、その後、第1の基板2−1において、ラインセンサカメラ10の走査方向に、別の検査点があるかどうかが判断されて(ステップS5)、検査点がある場合には、その検査点が隣接マーク6を有しているかどうかが判断される(ステップS6)。図4に示す第1の基板2−1においては、隣接マーク6を有さない検査点5が選択される。その後、基準位置補正部26にて、メモリ部23からこの検査点5の基準位置データが取得されるともに、先に算出された夫々のベースマーク3の上記XY位置ズレ量及び上記回転角度ズレ量を、検査点5の基準位置データに反映することで、当該基準位置データの補正を行なう(ステップS10)。この補正された基準位置データはメモリ部23に記憶される。
その後、ステップS11において、上述した手順と同様な手順にて、ラインセンサカメラ10により、検査点5の画像が、画像データ取得部27を通して取得されて、当該画像データがメモリ部23に記憶される。さらに、メモリ部23から位置計測部24に当該画像データが取り出されて、当該画像データに基づいて、検査点5の位置検査が行なわれる。
さらにその後、ステップS5において、ラインセンサカメラ10の走査方向における第1の基板2−1上に、他の検査点が存在するかどうかが判断され、他の検査点が存在しないと判断された場合には、次の撮像領域Rが存在するかどうかが判断される(ステップS12)。次の撮像領域Rが存在する場合には、当該撮像領域R、すなわち、第2撮像領域R2が選択される(ステップS13)。その後、第2撮像領域R2、すなわち、第2の基板2−2に対して、ステップS3からS11までの上述した同様の手順が行なわれることで、第2の基板2−2に設置されている検査点4、5に対する位置検査が行なわれる。
第2の基板2−2の全ての検査点4、5に対する位置検査が完了すると、ステップS12及びS13にて、第3撮像領域R3が選択される。その後、制御装置20のカメラ走査部25により走査駆動装置14の動作制御が行なわれて、ラインセンサカメラ10の走査軸Pの軸移動が行なわれ、この走査軸Pが、第3の基板2−3及び第4の基板2−4の図示Y軸方向の略中央付近に位置されるとともに、ラインセンサカメラ10が第3の基板2−3の図示X軸方向右側に位置される。その後、ステップS3からS11までの手順が順次行なわれることで、第3の基板2−3上の夫々の検査点4、5の位置検査が行なわれる。さらにその後、同様な手順が繰り返し行なわれることで、第4の基板2−4に対する夫々の位置検査が行なわれる。第4に基板2−4に対する位置検査が完了すると、ステップS12において、次の撮像領域Rが存在するかどうかが判断されて、全ての撮像領域Rに対する位置検査が完了しているので、検査処理が完了する。
上記検査手順の説明においては、走査駆動装置14によりラインセンサカメラ10が移動されて、全ての基板2の上面を走査するような場合について説明したが、本実施形態はこのような場合にのみ限られるものではない。このような場合に代えて、夫々の基板2の上面において、測定対象位置の上方のみを走査するような場合であってもよい。ここで上記測定対象位置とは、ベースマーク3、隣接マーク6、及び検査点4、5のことである。このようなラインセンサカメラ10が夫々の測定対象位置の上方のみを走査するような場合にあっては、当該測定対象位置が存在しない部分において、ラインセンサカメラ10を高速移動させる(すなわち、画像取得時における走査速度よりも速い速度で移動させる)ことができ、撮像検査装置100による多面取り基板1に対する検査に要する時間を短縮化することができる。
また、このような検査に要する時間の短縮化を実現するために、ラインセンサカメラ10の走査軸Pの軸移動が行なわれる場合であって、ラインセンサカメラ10のX軸方向の移動も要求されるような場合にあっては、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の図示X軸方向の移動を行ないながら、保持部移動装置16による基板保持部12の図示Y軸方向の移動を並行して行なうことができる。
また、本第1実施形態においては、夫々のベースマーク3が平行マークとして用いられるため、各々の撮像領域R、すなわち、各々の基板2において、ラインセンサカメラ10による走査が開始される位置は、夫々のベースマーク3が形成されている側の端部となっている。従って、夫々のベースマーク3の配置が異なれば、ラインセンサカメラ10の走査経路も当該配置に応じて異なることとなる。
また、多面取り基板1において、一の基板2が備えるベースマーク3や隣接マーク6等の位置情報は、他の基板2の位置情報等に関係付けられることなく、影響を及ぼすものではない。
上記第1実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
まず、複数の基板2が整列配置され、かつ、その配置関係が保たれた状態で、基板支持体1aに貼り付けられることで形成された多面取り基板1において、従来のこのような基板のように、この多面取り基板1全体としてのベースマークを備えるのではなく、個々の基板2毎に夫々のベースマーク3が設けられていることにより、各々の基板2が基板支持体1aに貼り付けられる際に生じる位置ズレ量として、回転角度ズレ量及びXY位置ズレ量を確実に検出することができる。
このような夫々の基板2が高い可撓性を有さないようなプラスチック基板であり、複数のプラスチック基板が一体的に形成されることで上記多面取り基板が形成されるような場合にあっては、個々の基板毎に位置ズレを伴うような撓みが発生することや、基板支持体1aへの貼り付けに起因する位置ズレが発生することが起り難い。しかしながら、本第1実施形態のように、夫々の基板2が高い可撓性を有するフレキシブル基板であり、かつ、各々の基板2が個別に製造された上で、様々な処理のための搬送における取扱性を良好とさせる目的で、基板支持体1aへの貼り付けが行なわれるような場合にあっては、個々の基板2毎に位置ズレを伴うような撓みが発生することも、さらに、上記貼り付けに起因して、個々の基板2ごとの位置ズレが生じることもあるため、夫々の基板2毎にその位置ズレ量を検出することができることは、効果的なものとなる。
また、夫々の基板2において、まず、夫々のベースマーク3の形成位置を計測し、その基準位置のXY座標とこの計測結果とを比較して、基板2自体の位置ズレ量を算出し、この算出結果を用いて検査点5の基準位置データを補正することで、当該補正された基準位置データに基づいて、ラインセンサカメラ10が検査点5の上方に位置されたと判断したときに、確実に検査点5の画像を取得することができる。
さらに、より高い位置検査精度が要求される検査点4に対しては、その検査点4に隣接して配置された隣接マーク6を用いるとともに、この隣接マーク6をベースマーク3と関連付けることで、さらに高い位置検査精度を達成することができる。具体的には、先に算出された夫々のベースマーク3の位置ズレ量のデータを用いて、隣接マーク6の基準位置データの補正を行ない、当該補正された基準位置データに基づいて、ラインセンサカメラ10が隣接マーク6の上方に位置されたと判断したときに、確実に隣接マーク6の画像を取得することができる。その後、この取得された画像に基づいて、隣接マーク6の形成位置の計測を行ない、当該計測結果と上記補正された隣接マーク6の基準位置とを比較することで、そのXY位置ズレ量の算出を行ない、この算出されたXY位置ズレ量のデータに基づいて、検査点4の基準位置データにおけるXY位置ズレ量を補正するとともに、先に算出されたベースマーク3の回転角度ズレ量のデータに基づいて、検査点4の基準位置データにおける回転角度ズレ量を補正することができる。従って、基板2において、撓みや位置ズレが生じているような場合であっても、基板2上において、検査点4の位置をより確実に特定することができ、その画像データを取得することで、検査点4に対する位置検査を高い精度でもって行なうことができる。
また、夫々の基板2に設けられるベースマーク3として、ラインセンサカメラ10の走査方向に対して直交する方向に配置された平行マークが用いられることにより、夫々の基板2において、ラインセンサカメラ10の走査方向沿いに、平行マーク、隣接マーク、検査点の順序となるように、基板2上の夫々のマーク等の配置及びラインセンサカメラ10の走査経路が決定されることにより、多面取り基板1におけるラインセンサカメラ10の走査経路をより短くすることができ、基板検査に要する時間を短縮化することができる。
具体的な例を挙げて説明すると、例えば、図4における第1の基板2−1から第2の基板2−2までを走査するのに要する時間が10秒、その走査に伴い生じる誤差量が(3,0)umであり、第2の基板2−2から第3の基板2−3へのラインセンサカメラ10の走査軸Pの軸移動に要する時間が2秒、その移動に伴い生じる誤差量が(0,3)umであり、さらに第3の基板2−3から第4の基板2−4までを走査するのに要する時間が10秒、その走査に伴い生じる誤差量が(3,0)umであるような場合には、本実施形態の検査処理に要する合計時間が22秒、生じる誤差量が(6,3)umとなる。これは、従来の検査方法における検査処理に要する合計時間が46秒、生じる誤差量(12,9)umを、大幅に改善することができ、検査処理に要する時間では従来の1/2程度の時間に短縮化することができるとともに、これに伴い生じる誤差量も従来の1/2程度とより精度を高めることができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる基板検査方法においては、上記第1実施形態の基板検査方法のように、夫々のベースマーク3が平行マークとして配置された夫々の基板2により形成された多面取り基板1を検査対象とするのではなく、夫々のベースマークが対角マークとして配置された基板により形成された多面取り基板を検査対象としている点、及び、上記対角マークに適した検査手順が用いられている点において、上記第1実施形態の基板検査方法とは異なっているものの、その他の点においては、上記第1実施形態の基板検査方法と同様となっている。以下に、本第2実施形態の基板検査方法について、上記異なる点についてのみ説明を行なう。なお、本第2実施形態の基板検査方法は、上記第1実施形態と同様に、撮像検査装置100にて行なうことができる。
まず、本第2実施形態の基板検査方法を多面取り基板31の模式平面図を用いて、説明する模式説明図を図6に示す。また、この基板検査方法における検査処理の手順を示すフローチャートを図7に示す。なお、図7に示すフローチャートにおいては、その説明の理解を容易なものとすることを目的として、当該手順における主要な手順を中心として示している。
図6に示すように、多面取り基板31は、4枚のフレキシブル状の基板32が、互いに隣接して整列配置され、かつ、当該配置が保持されるように基板支持体31aに貼り付けられることで形成されている。また、個々の基板32においては、その1組の対角の夫々の端部にベースマーク33が配置されることで、対角マークが形成されている。ここで対角マークとは、基板上において、ラインセンサカメラ10の走査方向に略直交する方向から傾斜された方向において、互いに対向するように配置された1組のベースマークのことである。具体的には、図6において、夫々の基板2の右上端部と左下端部との夫々にベースマーク33が配置されている。なお、この対角マークの配置はこのような配置のみに限定されるものではなく、このような場合に代えて、例えば、基板2の左上端部と右下端部に夫々のベースマーク33が配置されるような場合であってもよく、さらに、各々の基板2毎に対角マークの配置位置が異なるような場合であってもよい。
また、図6に示すように、多面取り基板31の夫々の基板32においては、上記第1実施形態の夫々の基板2と同様に、夫々の検査点4、5、さらに検査点4に隣接して配置された隣接マーク4が備えられている。
また、多面取り基板31及び夫々の基板32は、上記第1実施形態の多面取り基板1及び夫々の基板2と同様な形状を有している。さらに、多面取り基板31において、図示左下側に配置される基板32を第1の基板32−1とし、図示反時計方向に順に、第2の基板32−2、第3の基板32−3、第4の基板32−4とすると、上記第1実施形態の場合と同様に、第1の基板32−1の上面の領域を第1撮像領域R1、第2の基板32−2の上面の領域を第2撮像領域R2、第3の基板32−3の上面の領域を第3撮像領域R3、第4の基板32−4の上面の領域を第4撮像領域R4とすることができる。
このような構造の多面取り基板31に対して、撮像検査装置100により検査処理を行なう手順について、図6の模式説明図及び図7のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、以下に説明する検査処理の手順においては、撮像検査装置100が備える制御装置20により、夫々の処理が互いに関連付けられながら統括的に制御されて行なわれる。
まず、撮像検査装置100において、多面取り基板31が基板保持部12に保持されるとともに、当該多面取り基板31に関する基板データが、制御装置20の基板データ取得部28に入力されて取得され、メモリ部23に取り出し可能に記憶される。その後、カメラ走査部25において、メモリ部23より基板データが取り出されるとともに、当該基板データに基づいて、、多面取り基板31における基板32の個数や配置、さらに、夫々のベースマーク33、隣接マーク6、検査点4、5の夫々の基準位置が認識される。カメラ走査部25においては、これらの基板データに基づいて、ラインセンサカメラ10による撮像領域Rの振り分けや、当該振り分けられた複数の撮像領域Rの撮像順序等の決定が行なわれる(図7のステップS31)。
このような複数の撮像領域Rへの振り分けの実施とともに、上記取得された基板データに基づいて、夫々の基板2に配置された夫々のベースマーク33の配置形態より、対角マークが用いられていることが、カメラ走査部25において認識される。ここで、対角マークが用いられていることが認識されると、多面取り基板31において、夫々の対角マークの画像の取得がまず始めに行なわれることとなる。これは、基板32における対角マークの配置位置の特徴に起因するものであり、例えば、一の基板32において、ラインセンサカメラ10の走査経路における始点と終点の夫々にベースマーク33が配置されている場合において、2個のベースマーク33の夫々の画像を取得するためには、基板32の始点から終点までラインセンサカメラ10を移動させる必要があるからである。それとともに、基板32において、夫々のベースマーク33の形成位置の計測を行なわないことには、隣接マーク6や検査点4、5の形成位置を確実に特定することができないからである。
具体的には、撮像検査装置100において、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の移動と、保持部移動装置16による基板保持部12の移動を行なうことで、多面取り基板31に対して、相対的にラインセンサカメラ10のXY移動を行ない、図6に示すように、多面取り基板31の第1の基板32−1の図示左側上方にラインセンサカメラ10を位置させる。なお、この状態においては、第1の基板32−1及び第2の基板32−2の図示Y軸方向の略中央付近に、ラインセンサカメラ10の走査軸Pが位置された状態とされている。その後、走査駆動装置14により図示X軸方向右向きにラインセンサカメラ10の移動が開始されて、夫々のベースマーク33の画像取得のための走査が開始される(ステップS32)。
まず、第1の基板32−1の上方において、図示左下端部に配置されているベースマーク33の上方にラインセンサカメラ10が位置されたと、ベースマーク33の基準位置データに基づいて、カメラ走査部25が判断したときに、ラインセンサカメラ10の下方に位置されているべく当該ベースマーク33の画像が画像データ取得部27を通して取得される。さらに、図示右上端部に配置されているベースマーク33の上方にラインセンサカメラ10が位置されたと判断されたときに、当該ベースマーク33の画像が画像データ取得部27を通して取得される。取得された夫々の画像データはメモリ部23に記憶され、さらに、メモリ部23から夫々の画像データが取り出されて、位置計測部24において夫々のベースマーク33の形成位置の位置計測が行なわれる(ステップS33)。なお、この計測結果は、メモリ部23に記憶される。さらにその後、同様な手順にて、第2の基板32−2における夫々のベースマーク33の位置計測が行なわれる。
第2の基板32−2における夫々のベースマーク33の画像取得が完了すると、ラインセンサカメラ10の走査軸Pの軸移動が行われて、第3の基板32−3及び第4の基板32−4における図示Y軸方向の略中央付近に走査軸Pが位置されるとともに、第3の基板32−3の図示右側上方にラインセンサカメラ10が位置される。その後、走査駆動措置14によりラインセンサカメラ10が図示X軸方向左向きに移動されて、第3の基板32−3及び第4の基板32−4の上面の走査が開始される。これにより、上記手順と同様な手順にて、第3の基板32−3及び第4の基板32−4における夫々のベースマーク33の画像が取得されるとともに、取得された夫々の画像データに基づいて、その位置計測が行なわれる。
全てのベースマーク33の画像の取得及びその位置計測が行なわれると、上記振り分けされた4つの撮像領域Rの中から最初の撮像領域として、第1の撮像領域R1、すなわち、第1の基板32−1が選択される(ステップS34)。この選択により、ラインセンサカメラ10の走査軸Pの軸移動が行われて、ラインセンサカメラ10が第1の基板32−1の図示左側に位置されるとともに、ラインセンサカメラ10が図示X軸方向右向きに移動されて、第1の基板32−1の上面の走査を開始する。
この走査の開始とともに、第1の基板32−1上における当該走査方向に検査点が存在するかどうかが判断され(ステップS35)、検査点が存在する場合には、その検査点に隣接マーク6が備えられているかどうかが判断される(ステップS36)。具体的には、図6において、検査点4が選択されるとともに、この検査点4が備える隣接マーク6が選択される。以降、上記第1実施形態における図5のフローチャートに示したステップS7からS11までの手順と同様に、図7のフローチャートに示すステップS37からS41までの手順が行なわれることで、夫々の検査点4、5の位置検査が行なわれる。
ステップS35にて、第1の基板32−1上の全ての検査点4、5に対して位置検査が完了したことが確認されると、ステップS42にて、次の撮像領域Rが存在するかどうかが判断されて、ステップS43にて、次の撮像領域Rである第撮像領域R2、すなわち、第2の基板32−2が選択される。その後、この選択された第2の基板32−2が有する夫々の検査点4、5に対する位置検査が、上述したステップS35からS41までの手順が順次繰り返し行なわれることで実施される。
その後、第3撮像領域R3及び第4撮像領域R4、すなわち、第3の基板32−3及び第4の基板32−4に対しても同様な手順が施され、夫々の検査点4、5の位置検査が行なわれる。ステップS42において、多面取り基板31における全ての撮像領域Rに対する夫々の検査点4、5の位置検査完了が確認されると、検査処理が終了する。
本第2実施形態においては、多面取り基板31の夫々の基板32上における1組の対角に夫々のベースマーク33が配置されて、対角マークとして用いられる場合について説明したが、対角マークの配置形態はこのような場合のみに限られるものではない。基板32において、図示Y軸方向沿いの夫々の端部近傍に配置された夫々のベースマーク33のX軸座標が異なっていれば、上記対角に配置されていなくても対角マークとして機能することができる。
また、多面取り基板31において、ラインセンサカメラ10の走査により夫々のベースマーク33の画像を取得する際において、夫々の基板32の領域に拘らず、常に一定の速度で、走査駆動装置14によりラインセンサカメラ10が移動されるような場合にのみ、本第2実施形態の基板検査方法が限定されるものではない。このような場合に代えて、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の移動速度が可変されるような場合であってもよい。例えば、夫々のベースマーク33の上方をラインセンサカメラ10が移動される場合には、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の移動速度が、画像取得のための走査速度とされ、夫々のベースマーク33の上方以外の領域の上方をラインセンサカメラ10が移動される場合には、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ10の移動速度が高速化されることで、その移動に要する時間の短縮化を図ることができる。
また、上記においては、ラインセンサカメラ10の視野幅が、夫々の基板32におけるY軸方向の幅寸法と略同じ、あるいは、僅かに大きいような場合について説明したが、ラインセンサカメラ10の視野幅が、夫々の基板の幅寸法と大きく異なる場合について、本第2実施形態の変形例として以下に説明する。
(第1変形例)
まず、第1の変形例としては、その視野幅が、基板32の幅寸法よりも大きく形成され、例えば、多面取り基板31のY軸方向の幅寸法と略同じ、あるいは、僅かに大きくなるように形成されたラインセンサカメラ40を用いて、基板検査方法が行なわれる場合である。この基板検査方法を模式的に示す模式説明図を図8及び図9に示す。なお、図8及び図9においては、その説明の理解を容易なものとするため、夫々の基板32上に形成されている隣接マーク6や検査点4、5の表示を省略している。これらの隣接マーク6や検査点4、5については、図6に示す多面取り基板31の模式説明図を参照して理解することができる。
また、図8及び図9に示す夫々の模式説明図においては、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ40の移動経路を矢印D1及びD2で示しており、矢印D1で示す部分においては、画像取得が可能な速度でラインセンサカメラ40の移動(すなわち、走査)が行なわれ、矢印D2で示す部分においては、画像取得が行なわれず、移動時間を短縮化するために高速移動が行なわれている。
多面取り基板31に対して、ラインセンサカメラ40を用いて検査処理を行なう場合には、まず、図8に示すように、多面取り基板31の図示X軸方向左側上方にラインセンサカメラ40を位置させる。このとき、ラインセンサカメラ40の走査軸Pが、多面取り基板31におけるY軸方向中央付近に配置される。その後、ラインセンサカメラ40を図示X軸方向右向きに移動させることで、夫々の基板32の上面の走査を開始する。この走査開始により、ラインセンサカメラ40により、第1の基板32−1及び第4の基板32−4に設けられている夫々のベースマーク33の画像が同時に取得されて、その位置計測が行なわれる。その後、ラインセンサカメラ40が、第2の基板32−2及び第3の基板32−3の上面を走査することで、夫々の基板32における夫々のベースマーク33の画像が同時に取得されて、その位置計測が行なわれる。
ラインセンサカメラ40が、多面取り基板31の図示右側端部上方に位置されて、全てのベースマーク33の画像取得及び位置計測が行なわれると、図9に示すように、ラインセンサカメラ40の走査方向が反転されて、図示X軸方向左向きへの走査が開始される。このラインセンサカメラ40の走査により、第2の基板32−2及び第3の基板32−3における夫々の検査点4、5の画像の取得が同時に行なわれて、その位置検査が行なわれる。さらに、ラインセンサカメラ40が、第1の基板32−1及び第4の基板32−4の上方に移動されて走査が行なわれることにより、夫々の基板32の夫々の検査点4、5の画像の取得が同時に行なわれて、その位置検査が行なわれる。多面取り基板31において、全ての検査点4、5に対する位置検査が完了したことが確認されると、検査処理が終了する。
上記第1変形例によれば、ラインセンサカメラ40が、多面取り基板31の幅寸法と略同じ、あるいは僅かに大きい程度の視野幅を有していることにより、ラインセンサカメラ40の走査により、Y軸方向に隣接して配置された2枚の基板32の上面の画像を同時に取得することができる。従って、検査処理に要する時間を大幅に短縮することができ、より効率化された基板検査方法を提供することができる。さらに、このような複数の基板32の画像の同時取得を可能とすることができることで、検査処理において、ラインセンサカメラ40の走査軸Pの軸移動を伴う必要を無くすことができる。よって、上記軸移動に伴い発生する誤差が、位置検査精度に含まれることがなく、検査精度を向上させることができる。
(第2変形例)
次に、第2の変形例としては、上記第1の変形例とは逆に、その幅寸法が、基板32の幅寸法よりも小さく形成されているようなラインセンサカメラ50を用いて、基板検査方法が行なわれるような場合である。この基板検査方法を模式的に示す模式説明図を図10及び図11に示す。これらの図10及び図11においても、同様に検査点等の表示を省略している。
また、図10及び図11に示す夫々の模式説明図においては、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ40の移動経路を矢印D1、D2、D3、D4で示しており、矢印D1で示す部分においては、画像取得が可能な速度で、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ40の移動(すなわち、走査)が行なわれ、矢印D2で示す部分においては、画像取得が行なわれず、移動時間を短縮化するための走査駆動装置14によるラインセンサカメラ40の高速移動が行なわれている。また、矢印D3で示す部分においては、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ40の上記高速移動を行ないながら、保持部移動装置16による走査軸Pの相対的な軸移動が行なわれており、矢印D4で示す部分においては、保持部移動装置16による走査軸Pの相対的な軸移動のみが行なわれている。
多面取り基板31に対して、ラインセンサカメラ50を用いて検査処理を行なう場合には、まず、図10に示すように、多面取り基板31の第1の基板32−1の図示X軸方向左側上方にラインセンサカメラ50を位置させる。このとき、その後のラインセンサカメラ50の図示X軸方向右向きへの走査により、第1の基板32−1の図示下方に配置されているベースマーク33の上方をラインセンサカメラ50が通過可能に、その走査軸Pを配置する。その後、ラインセンサカメラ50の走査を開始することで、第1の基板32−1及び第2の基板32−2の夫々において、図示下方に配置されているベースマーク33の画像を取得し、位置計測を行なう。
第2の基板32−2における図示下方側のベースマーク33の画像が取得されると、ラインセンサカメラ50の走査軸Pの軸移動も併せて行ない、多面取り基板31における図示右端の略中央付近上方にラインセンサカメラ50が位置される。その後、走査方向が反転されて、ラインセンサカメラ50の図示X軸方向左向きへの走査が開始される。この走査により、第2の基板32−2の図示上方側のベースマーク33、第3の基板32−3の図示下方側のベースマーク33、第1の基板32−1の図示上方側のベースマーク33、そして、第4の基板32−4の図示下方側のベースマーク33の順で、夫々のベースマーク3の画像が取得され、その位置測定が行なわれる。
その後、ラインセンサカメラ50の走査軸Pの軸移動が行なわれて、第4の基板32−4の図示上方側のベースマーク33の上方にラインセンサカメラ33が位置されるとともに、図示X軸方向右向きへの走査が開始されて、当該ベースマーク33、第3の基板32−3の図示上方側のベースマーク33の順で夫々の画像が取得され、その位置計測が行なわれる。
全てのベースマーク33の画像取得及び位置計測が完了すると、図11に示すように、第3の基板32−3の図示右上端部の上方に位置された状態のラインセンサカメラ50が、図示X軸方向左向きに移動され、第3の基板32−3及び第4の基板32−4の図示下方部分を除く上方側領域に位置されている検査点等の画像を取得して、その位置検査を行なう。ラインセンサカメラ50が、第4の基板32−4の図示左上端部の上方に位置されると、走査軸Pを図示Y軸方向下方側へ軸移動して、第4の基板32−4の図示左下端部及び第1の基板32−1の図示左上端部の上方にラインセンサカメラ50が位置される。その後、図示X軸方向右向きへラインセンサカメラ50を走査させることで、上記第3の基板32−3及び第4の基板32−4の図示下方側領域と、第1の基板32−1及び第2の基板32−2の図示上方側領域とに位置されている検査点等の画像を取得して、その位置検査が行なわれる。さらにその後、走査軸Pが図示Y軸方向下側へ軸移動されることで、第1の基板32−1及び第2の基板32−2の図示下方側領域に位置されている検査点等の画像を取得して、その位置検査が行なわれる。全ての検査点の位置検査が実施されたことが確認されると、検査処理が終了される。
上記第2変形例によれば、ラインセンサカメラ50の視野幅が、基板32の幅寸法よりも小さいような場合であっても、ラインセンサカメラ50の走査経路を工夫することで、上記第2実施形態と同様な効果を得ることができる基板検査方法を行なうことができる。
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様な効果を得ることができるとともに、夫々の基板32に形成されたベースマーク33が、平行マークとしてではなく対角マークとして形成されているため、この対角マークの位置計測を行なうことで、基板32の表面におけるY軸方向の位置ズレだけでなく、X軸方向の位置ズレをも検出することができる。従って、高い可撓性を有し、撓み易いという特性を有するフレキシブル状の基板32に対して、その表面におけるX軸方向及びY軸方向の位置ズレを確実に検出することができ、夫々の検査点の位置検査の精度をさらに高めることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる基板検査方法について説明する。本第3実施形態の基板検査方法は、上記第1実施形態の平行マークを有する基板と、上記第2実施形態の対角マークを有する基板とが、混在するように整列配列されることにより形成された多面取り基板61を、検査対象基板とするものである。この多面取り基板61の模式平面図を用いて、基板検査方法を説明する模式説明図を図12及び図13に示す。
図12に示すように、多面取り基板61は、4枚の基板62が互いに隣接するように整列配置されることにより形成されており、図示左下に配置された基板62を第1の基板62−1とし、以降図示反時計方向に順に、第2の基板62−2、第3の基板62−3、第4の基板62−4となっている。また、第1の基板62−1及び第3の基板62−3には、対角マークとして夫々のベースマーク33が配置されており、第2の基板62−2及び第4の基板62−4には、平行マークとして夫々のベースマーク3が配置されている。
このような構成の多面取り基板61に対して、検査処理を行なう場合について、その手順を図12及び図13を用いて説明する。なお、図12及び図13に示す夫々の模式説明図においては、走査駆動装置14によるラインセンサカメラ70の移動経路を矢印D1、D2、及びD3で示しており、矢印D1で示す部分においては、画像取得が可能な速度で走査駆動装置14によるラインセンサカメラ70の移動(すなわち、走査)が行なわれ、矢印D2で示す部分においては、画像取得が行なわれず、移動時間を短縮化するために走査駆動装置14による高速移動が行なわれている。さらに、矢印D3で示す部分においては、走査駆動装置14による上記高速移動が行なわれながら、この高速移動と併せて保持部移動装置16による走査軸Pの軸移動が行なわれている。
まず、始めに、図12に示すように、多面取り基板61の第1の基板62−1の図示左側上方にラインセンサカメラ70を位置させる。その後、図示X軸方向右向きにラインセンサカメラ70を移動させることで、第1の基板62−1における夫々のベースマーク33(対角マーク)の画像を取得するとともに、その位置計測を行なう。第1の基板62−1においては、まず、夫々のベースマーク33の画像取得及びその位置計測のみが行なわれる。その後、継続してラインセンサカメラ70を移動させることで、第2の基板62−2の図示左側端部に配置された夫々のベースマーク3(平行マーク)の画像を取得し、その位置計測を行なう。さらに、ラインセンサカメラ70による第2の基板62−2の上面を走査することで、上記位置計測結果を利用しながら、第2の基板62−2における夫々の検査点の位置検査を行なう。
第2の基板62−2における全ての検査点の位置検査が完了すると、ラインセンサカメラ70が、第4の基板62−4の図示左側上方に位置されるように、高速移動が行なわれる。その後、図示X軸方向右向きを走査方向として、ラインセンサカメラ70の走査が開始され、第4の基板62−4の夫々のベースマーク3(平行マーク)の画像が取得されるとともに、その位置計測が行なわれる。さらに、走査が継続されて、上記位置計測結果を利用しながら、第4の基板62−4における夫々の検査点の位置検査が行なわれる。その後、ラインセンサカメラ70が第3の基板62−3を走査することで、第3の基板62−3における夫々のベースマーク33(対角マーク)の画像が取得され、その位置計測が行なわれる。この時点では、第3の基板62−3においても、夫々のベースマーク33の画像取得及び位置計測のみが行なわれた状態である。
次に、図13に示すように、第3の基板62−3の図示右側上方に位置された状態にあるラインセンサカメラ70の走査方向を図示X軸方向左向きに反転させるとともに、第3の基板62−3の上面を走査させて、夫々の検査点の位置検査を行なう。第3の基板62−3における全ての検査点の位置検査が完了すると、ラインセンサカメラ70は、第1の基板62−1の図示左側上方に位置されるように高速移動される。その後、図示X軸方向右向きを走査方向として、ラインセンサカメラ70による第1の基板62−1の上面の走査を行ない、夫々の検査点の位置検査を行なう。第1の基板62−1における全ての検査点の位置検査が完了すると、検査処理が終了する。
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様な効果を得ることができるとともに、多面取り基板61において、複数の種類の基板62が配置されているような場合にあって、夫々の基板62における位置検査精度が異なるような場合に、平行マークと対角マークとを使い分けることで、要求される検査精度を担保しながら、その検査に要する時間を短縮化することができ、高精度かつ効率的な検査を行なうことが可能となる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。