JP4298052B2 - 糸目不良検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本や雑誌等を糸綴じしたときの綴じられた糸目の目飛びその他の糸目不良を検査するための糸目不良検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、本、雑誌又は通帳等の背部を糸綴じしたときは、その後工程において糸目が正しいかどうか、すなわち糸目の目飛びや糸切れがあるか否かを検査している。ここで、糸綴じの種類としては、単環縫い(1本の糸が連続するもの)や、二重環縫い(3本の糸が並設して連続するもの)等があり、単環の糸目不良としては、糸目の目飛びによって糸がとぎれるものがあり、また二重環の糸目不良としては、糸目の目飛びの他に、3本の糸が1本又は2本に減少するものがある。
【0003】
従来の糸目不良検査装置の第1例としては、特公平1−35300号公報に開示されたものが挙げられる。この例では、糸綴じ部にブラックライトを照射して、糸に含有されている蛍光塗料の反射光をセンサ(蛍光センサ)で受光して、目飛び(糸切れ)の有無を判別するものである。
【0004】
また、従来の第2例として、特開平5−330267号公報に開示されたものが知られている。この例では、糸綴じ部の画像データを撮影により取り込み、この画像データから糸の位置ずれ関係を求め、これを所定値と比較して良否判定するものである。
さらにまた、従来の第3例として、特開平7−16376号公報に開示されたものが挙げられる。この例ではCCDカメラにてミシン目の画像を読み取った後、画像データからミシン目の長さを測定し、正常なミシン目に対して整数倍の長さを有する目飛びを検出するものである。
【0005】
さらには、従来の第4例として、特開平10−170231号公報に開示されたものが挙げられる。この例では、縫い目の所定幅の画像を読み取り、この縫い目の幅寸法を検出し、正常な幅寸法と比較して目飛びの有無を判定するようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の従来の技術において、第1例では、蛍光センサのレベル調整が困難であるという問題がある。また、蛍光センサを用いた場合は、複数連続して生じた大きな目飛びを検出することができても、単環の場合の細かなピッチ(例えば6mm程度)の1つの目飛びを確実に検出することが困難であるという問題がある。さらにまた、二重環の糸目の3本の糸が1本や2本になったときの不良を精度良く検出するには、蛍光センサでは不十分であるという問題がある。さらに、蛍光センサで受光する方法では、検知可能なエリアが狭いので、本等を順次搬送した状態で撮像すると、蛇行により糸目のラインがセンサの検知可能なスポットから外れてしまい、検知不能になるという問題がある。
【0007】
また、第2例から第4例のように、CCDカメラ等の撮像手段で糸目の画像を撮像する場合に、糸目の画像を精度良く撮像するには糸と下地(本等)の色との色差が大きいほど好ましいが、例えば下地の色が糸と同系色(白色系)であるときは、糸と下地とが区別しにくくなるので、糸目の画像のみを下地と分離して明確に撮像することができず、精度良く糸目不良の検査ができなくなるという問題がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、単環や二重環の糸目の目飛びその他の糸目不良を確実に判別できるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、本、雑誌又は手帳の糸綴じの後工程にて蛍光塗料を含有する糸により綴じられた糸目の目飛びその他の糸目不良を検査する糸目不良検査装置において
糸目に紫外線を照射するブラックライトからなる投光部と、
前記投光部により照射された糸目を撮像する撮影エリア内に糸目のピッチが複数存在し、かつ隣り合う該撮影エリアの一部が重複して撮影されるように設定した撮像部と、
前記撮像部により撮像された該撮影エリアの糸目の画像に基づいて、所定のエリア内における糸目の画素数を算出する画像処理手段と、
前記画像処理手段による前記撮影エリアの分割画像エリア間における糸目の画素数の算出結果に基づいて、連続する分割画像エリアの画素数が減少したか否かにより、本、雑誌又は手帳の糸目が正常であるか否かを判別する判別手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の糸目不良検査装置において、前記糸目が二重環縫いによる場合、前記撮像部は合焦位置からずれ並設された複数本の糸が連結した像となる位置に光学系を配置することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の糸目不良検査装置において、前記画像処理手段は、前記撮像部により撮像された前記撮像エリアの前記分割画像エリアが、前記糸目の1つの目の長さより短い幅で前記糸目の連続方向に分割して処理することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の糸目不良検査装置において、前記判別手段は、前記画像処理手段により算出された前記分割画像エリアの糸目の画素数が連続して所定数より少ない場合、糸目が不良であると判別することを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1の発明においては、糸目に投光部から紫外線が照射されると、糸は、含有している蛍光材料により発光する。撮像部は、発光した糸目を撮像する。また、撮像部で撮像された画像は、画像処理手段に伝送され、画像処理手段では、糸目の所定のエリアの糸目の画素数が算出され、これが判別手段に伝送されて、判別手段で糸目の画素数に基づいて糸目が正常であるか否かが判別される。したがって、下地と糸とが同系色であっても発光した糸を撮像するので、下地の色に影響を受けないで糸目を撮像して、正確に糸目不良を検査することができる。また、糸目の連続する撮像エリアは、その一部が重なり合う。したがって、検査対象物の搬送時のぶれや搬送速度に変化が生じても、糸目が撮像エリアから外れてしまうことを防止することができる。
【0012】
請求項2の発明においては、二重環の糸目の場合には、その合焦位置からずれて、並設された複数本の糸が連結した像で撮像される。したがって、糸目の1本当たりの画素数が増加するので、合焦時と比較して、より確実に二重環の糸目の不良を判別することができる
【0013】
請求項の発明においては、撮像エリアのうち、糸目の1つの目の長さよりも小さい幅に分割されたエリアごとに糸目が正常であるか否かが判別される。したがって、細かなエリアで糸の画素数を判別できるので、目飛び以外に糸が球状に絡まった糸目不良も判別することができる。
請求項の発明においては、判別手段により、画素数が少ないエリアが連続したときに糸目が不良であると判別されるので、糸目間の画素数が減少するエリアに影響を受けることなく、正確に糸目不良を判別することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明による糸目不良検査装置の一実施形態を示す構成図である。この糸目不良検査装置は、検査対象物1(本、雑誌又は通帳等)を糸綴じした糸目が正常であるか否かを検査するための装置である。
糸目不良検査装置は、投光部11と、撮像部12と、画像処理手段13と、判別手段14等とを備える。投光部11は、ブラックライト、すなわち紫外線(紫外光)を検査対象物1の糸目に対して照射するものである。撮像部12は、例えばCCDカメラであり、投光部11により照射された糸目の画像を撮像するものである。画像処理手段13及び判別手段14は、例えば撮像部12と電気的に接続されたCPUであり、画像処理手段13は、撮像部12で撮像された糸目の画像を取り込んで糸の画素数の演算等を行う部分であり、判別手段14は、画像処理手段13で画像処理された画像データに基づいて糸目が正常であるか否かを判別する部分である。
【0015】
ミシン等により糸綴じされた検査対象物1は、順次搬送されている。先ず、投光部11は、検査対象物1の糸目に対して光を照射する。ここで、糸は、蛍光塗料を含有したものであるので、投光部11すなわちブラックライトの照射により発光する。これにより、検査対象物1の下地色にかかわらず糸目のみを浮き出して撮像可能な状態にすることができる。よって、検査対象物1の下地色が糸と同系色であっても、糸のみを確実に撮像できるようになる。
また、検査対象物1の下地として蛍光物質を含有する用紙を用いる場合は、糸の発光のみを捕らえることができるように、下地面に対する撮像部12の撮像角度を調整すれば、糸目の検査を行うことができる。
【0016】
撮像部12は、所定大の撮像エリアごとに糸目をその連続方向に沿って順次撮像する。図2は、糸目の撮像エリア3を示す平面図である。撮像部の撮像エリア3は、連続する糸目2のうち複数ピッチを包含する大きさを有する。そして、隣接する撮像エリア3では、一部の領域が重複するように設定されている。これにより、検査対象物1の搬送時のぶれや搬送速度に変化が生じても、糸目2が撮像エリア3から外れてしまうことを確実に防止することができる。
【0017】
ここで撮像された撮像エリア3の画像データは、画像処理手段13に伝送される。画像処理手段13では、1つの撮像エリア3を、図2中、2点鎖線部で示すように、糸目2の連続方向に対して直交する方向のラインで複数のエリアに分割し、それぞれ分割した画像エリア(分割画像エリア)3aごとに、画像データの処理を行う。ここで分割画像エリア3aの幅は、糸目2の1ピッチの長さよりも短い幅を有している。画像処理手段13では、各分割画像エリア3aの糸の画素数を演算し、その演算結果を判別手段14に伝送する。判別手段14では、この演算された画素数と糸目2が正しいときの画素数とを比較し、糸目2が正しいか否かを判別する。
【0018】
このような判別方法により、糸目2が目飛びしているときは、分割画像エリア3a内での糸の画素数が減少するので、不良と判別される。また、糸が球状に絡まっている場合において、撮像エリア3内で画素数を演算すると、糸が球状で存在しても糸が直線状のときとほとんど変わらない画素数となって、糸目2が正常であると判別されてしまう場合がある。しかし、分割画像エリア3aごとに糸の画素数を演算することで、糸が球状に存在する場合は、正常の糸目2のときよりも画素数が多くなるので、糸目2の不良を識別することができる。
また、分割画像エリア3a内に糸目2間を含む場合は、糸目2が存在しない部分が多いと、糸目2の画素数が減少し、不良と判別されてしまう場合がある。そこで、連続する2つの分割画像エリア3aで双方とも糸目2の画素数が減少したときに糸目不良と判別することにより、糸目2間に影響されることなく、正確に糸目不良を判別することができる。
【0019】
図3は、1つの分割画像エリア3aにおいて、二重環を撮像したときの画像を示す図である。図中(a)は、糸目2の合焦位置に光学系を配置したときを示す図であり、3本の糸に正確に合焦している状態を示す。これに対し、図中(b)では、撮像部12は、糸目2の合焦位置からずれた位置であって二重環の並設された3本の糸が連結して1本の糸の像を得る位置に光学系を配置した状態を示している。二重環の糸目2の不良を検査するときは、図中(b)に示すように二重環の場合の糸間の隙間をなくして糸目2を撮像することで、糸間の下地の領域が糸の領域となり、実際よりも糸の領域が増加するので、目飛びがあるときとないとき、及び糸数が3本のときと1本又は2本のときとで、糸と下地との画素数の差を実際よりも大きくすることができ、より確実に二重環の糸目2の不良を判別することができる。
【0020】
なお、単環の場合は、合焦位置を正しく合わせても目飛びを検出することができるので、焦点を合わせて糸目2を撮像しても何ら問題はないが、上記のように焦点をずらして撮像しても、目飛びを検出することができる。
これに対し、二重環の糸目2の不良を検査する場合には、撮像部12の光学系の焦点を合わせて撮像しても良いが、糸目2の不良の判別は、焦点をずらしたときよりも困難になる。
【0021】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、発光した糸目の画像を撮像し、これを画像処理して糸目不良を判別するようにしたので、下地の色が糸の色と同系色であっても、下地の色に影響を受けないで糸目を撮像して、正確に糸目を検査することができる。また、難しいレベル調整を不要にすることができ、装置の簡略化を図ることができるし、検査対象物の搬送時のぶれや搬送速度に変化が生じても、糸目が撮像エリアから外れてしまうことを防止することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、二重環の糸目の場合に、画素数の差を実際よりも大きくして、より確実に二重環の糸目の不良を判別することができる。
請求項の発明によれば、糸目の1つの目の長さよりも小さい幅のエリアで糸の画素数を判別するようにしたので、目飛び以外に糸が球状に絡まった糸目不良も判別することができる。
請求項の発明によれば、糸目と糸目の間を含むエリアに影響されることなく、正確に糸目不良を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による糸目不良検査装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】糸目の撮像エリアを示す平面図である。
【図3】二重環を撮像したときの画像を示す図であり、(a)は、糸目の合焦位置に光学系を配置した状態を示し、(b)は糸目の合焦位置からずれた位置に光学系を配置した状態を示す。
【符号の説明】
1 検査対象物
2 糸目
3 撮像エリア
3a 分割画像エリア
11 投光部
12 撮像部
13 画像処理手段
14 判別手段

Claims (4)

  1. 本、雑誌又は手帳の糸綴じの後工程にて蛍光塗料を含有する糸により綴じられた糸目の目飛びその他の糸目不良を検査する糸目不良検査装置において
    糸目に紫外線を照射するブラックライトからなる投光部と、
    前記投光部により照射された糸目を撮像する撮影エリア内に糸目のピッチが複数存在し、かつ隣り合う該撮影エリアの一部が重複して撮影されるように設定した撮像部と、
    前記撮像部により撮像された該撮影エリアの糸目の画像に基づいて、所定のエリア内における糸目の画素数を算出する画像処理手段と、
    前記画像処理手段による前記撮影エリアの分割画像エリア間における糸目の画素数の算出結果に基づいて、連続する分割画像エリアの画素数が減少したか否かにより、本、雑誌又は手帳の糸目が正常であるか否かを判別する判別手段と
    を備えることを特徴とする糸目不良検査装置。
  2. 請求項1に記載の糸目不良検査装置において、
    前記糸目が二重環縫いによる場合、前記撮像部は合焦位置からずれ並設された複数本の糸が連結した像となる位置に光学系を配置することを特徴とする糸目不良検査装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の糸目不良検査装置において、
    前記画像処理手段は、前記撮像部により撮像された前記撮像エリアの前記分割画像エリアが、前記糸目の1つの目の長さより短い幅で前記糸目の連続方向に分割して処理することを特徴とする糸目不良検査装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の糸目不良検査装置において、
    前記判別手段は、前記画像処理手段により算出された前記分割画像エリアの糸目の画素数が連続して所定数より少ない場合、糸目が不良であると判別することを特徴とする糸目不良検査装置。
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